日本機械学会 2011 年度年次大会 [2011.9.11‐14]
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[No.11-1] 日本機械学会 2011 年度年次大会 DVD-ROM 論文集 〔2011.9.11‐14,東京〕
G010013
摩擦を考慮した異方性材料の接触解析
松木 亮*1,古口 日出男*2 Contact analysis considering a friction for an anisotropic material
Ryo MATSUKI*1 and Hideo KOGUCHI*2
*1 Graduate School of Nagaoka University of Technology. Dept. of Mechanical Engineering Kamitomiokamachi 1603-1, Nagaoka, Niigata, 940-2188 Japan
In this paper, the indenter is penetrated into an anisotropic elastic half-space with a pattern, and then a tangent force is applied to the indenter and judge apressure distribution region and the relations of the shearing force. The partial slip contact problem was solved by a numerical procedure based on the conjugate gradient (CG) method and fast Fourier transform (DC-FFT) method. It is shown that the High shear stress and pressure occurrred at a corner of the surface pattern.
Key Words : Friction,Contact Analysis,Anisotropic Material,Shear Traction,Partial Slip,Texture
1. 緒 言
表面に微細な加工を行い,摩擦係数を制御する技術は,MP(マイクロパターンニング)技術として確立してい る.しかし近年,プレス金型において,フランジ(鋼板滑り止め)部の摩擦係数や摩耗をコントロールするニー ズが高まっており,パターン形状(テクスチャー)に関しても様々な要求がある.そこで,テクスチャーによる摩 擦特性のコントロールの有効性について調べることが必要となってきた.そのために表面に加工された微細なパ ターンの微小領域の接触解析を行う必要が出てきた(1).ここでは,表面グリーン関数を用いて接触解析を行う.
テクスチャーを有する異方性半無限弾性体に圧子を押し込み,圧子に接線力を作用した際の圧子と下地の間の摩 擦特性を調べる.その際,垂直荷重と摩擦力の下での部分的すべりを考慮に入れる必要がある.Wang(2)らは,
部分的すべりの接触問題を共役勾配法および高速フーリエ変換に基づいた数値的手法によって解いた.部分滑り 解析を考慮して,テクスチャーを有する異方性半無限弾性体に圧子を押し込み,摩擦力が作用した際の圧力と接 線力の関係を評価する.
2. 半無限異方性弾性体の表面グリーン関数
異方性材料における平衡方程式は弾性定数テンソルCijklと変位ベクトルukを用いて以下のように表すことがで きる.
(1)
表面の(x, y, z)=(0, 0, 0)の点に集中荷重f=(f1, f2, f3)が作用するとき,表面の作用力は以下のように表される.
(2)
Cijkluk,lj=0
t x( 1,x2,0)=f!( )x1 !( )x2
*1 長岡技術科学大学大学院 工学研究科(〒940-2188 新潟県長岡市上富岡町 1603-1)
*2 正員,長岡技術科学大学 工学部 E-mail: [email protected]
ここで, である.
境界条件を考慮して平衡方程式を用いて,集中荷重fが作用したときの変位uを求めると,
u x( 1,x2,x3)=4!i2
1
"
!"
"
#
!"
"
# A e!ip*!x3 !B!1fe!1(!1x1+!2x2)d!1d!2 (3)
が得られる.ここで
e!p*!x3 =diag e"# !p1!x3,e!p2!x3,e!p3!x3$%,
{
Q+p(
R+R+p2T) }a=0 (4)
A=!"a1,a2,a3#$,B=!"b1,b2,b3#$, b=
(
RT+pR)
a= 1p(
Q+pR)
Cijks:弾性定数,f:集中荷重ベクトル,Qik=Cijksnjns,Rik=Cijksnjms,Tik=Cijksmjms,m=[0,0,1]T,n=[n1,n2,0]=[cosθ,sin θ,0]Tである.また,i,j,k,s=1,2,3とする.
3. 接線力の作用する接触解析
3・1 接触解析への表面グリーン関数の適用
一般に,単位集中荷重に対する表面の応答をKijで表すと,接触解析において接触力pjに対する応答変位wiは
次式で求めることができる.Kijはj方向の単位集中作用力に対するi方向変位から求めることができる,すなわ ち,上述した式(3)のfをf=(1,0,0), f=(0,1,0), f=(0,0,1)Nとして得ることができる.また,wijはj方向接触力pjに対 するi方向の応答変位である.また,i,j=x,y,zとする.
(5)
ここで,IFFTは逆高速フーリエ変換を表す.Fourier変換の定義式は f!( )! =#!"" f x( )e!2!ix"dx,ξ=constである.
本研究では,Liu(3)らが提案したDC-FFT法を用いて接触問題を解く.彼らはFFTを接触解析に適用する際に生じ る誤差の原因を明らかにするとともに,その誤差を回避する方法を示した.すなわち,接触する面を含む領域を L0 L 0とすると,2 L 0 2 L 0の領域に対するデータを用いることにより,安定した結果を得ることができた.
3・2 接線力の作用する接触解析離散化解法
接触面を含む の領域を微小領域に分け,その中心座標を(xi, xj)とする.一般的な接触解析はi方向の剛 体変位δiと微小領域の変位wiを用いて以下のように表すことができる
(6)
ここで,hijは初期二面間の間隔で,接触時の二面間の間隔はgij,sxおよびsyは相対スリップ距離を表す.
また,接触時の圧力分布pijはgijに関する以下の関係式から得られる.
x1,x2,x3
( )=(x, y,z)
wx wy wz
!
"
##
##
$
%
&
&
&
&
=
wxx+wxy+wxz wyx+wyy+wyz wzx+wzy+wzz
!
"
##
##
$
%
&
&
&
&
=IFFT K!p
x
wx K!p
y
wx K!p
z
wx
K!p
x
wy K!p
y
wy K!p
z
wy
K!p
x
wz K!p
y
wz K!p
z
wz
!
"
##
##
#
$
%
&
&
&
&
&
! px
! py
! pz
!
"
##
##
$
%
&
&
&
&
' ( ))
* ))
+ , ))
- ))
2L0!2L0
wx wy wz
!
"
##
##
$
%
&
&
&
&
'
!x
!y
!z
!
"
##
##
$
%
&
&
&
&
= sx sy gij'hij
!
"
##
##
$
%
&
&
&
&
(7)
ここで,第一式は接触格子点での間隔gijと圧力分布pij,第二式は非接触格子点での間隔gijと圧力分布pij,第三 式は圧力分布の総和pij,押し込み荷重P0の関係式である.これらの連立方程式を解くにあたり,PolonskyとKeer(4) が提案した共役勾配法を用いた.
接線力Fiを与えた際の滑り領域と固着領域の関係を以下に示す.また,滑り領域と固着領域の関係図を図1に 示す.
In!the!stick!region: qx2+qy2 !µfpz!and! s2y+s2y =0!
In!the!slip!region!!: qx2+qy2 =µfpz!and! s2y+s2y"0!
qij=Fi
#
$
%
&
&
'
&
&
(8)
Fig.1 Stick region and slip region
ここで、せん断力qiは摩擦係数µfと垂直圧力分布pで表す.第三式はせん断力の総和qij,すなわち接線力Fiの
関係式である.また,i,j=x,yとする.
全体の解析のフローチャート(1)を図2に示す.
Input normal load P0,tangential load Fx and Fy , Initial pressure
Nomal contact analysis (CG) to get
Pressure convergence
Stick-Slip loop(CG) to get qxn+1(i,j), qyn+1(i,j)
Get normal displacement wzxn+1(i,j), wzyn+1(i,j) due to qxn+1(i,j), qyn+1(i,j)
Surface geometry update by adding wzxn+1(i,j), and wzyn+1(i,j) to surface In!contact:gij=0!then!pij>0
In!separation:gij>0!then!pij=0 pij=P0
!
"
#$$
%$
$
p0( )i,j =0 pn( )i,j
pn( )i,j !pn!1( )i,j <
"
" error
Fig.2 Flow chart for the calculation of the stick-slip contact model
N End
Fig.3 Model of contact analysis for structure with texture
3・3 解析モデルおよび解析条件
本研究の解析対象を図3に示す.この図のようにテクスチャーを有する半無限異方性弾性体に圧子を押し込み,
摩擦力が作用した際の圧力領域とせん断力の関係を調べる.そこで式(5),(6)を用いて接触解析を行う.解析 対象の材料は,Cu[111]およびNi[111]の二種類である.それぞれの材料の弾性定数は表1の通りである.解 析モデルは格子点数256×256,格子点間隔0.05mmである.基盤の接触表面には,0.25*0.25*0.1mmであるパター
ンがx方向,y方向に0.15mm間隔で分布している.圧子を垂直荷重P0=20N一定とする.そして,摩擦力をx方
向にµfP0与える.ここで,摩擦係数µfを0.3とする.圧子は剛体球状圧子で直径 18mm とした.
3・4 解析結果および考察
解析結果を図4~図7に示す.まず図4はCu[111]を,図5はNi[111]を基盤とした場合の解析結果である.そ れぞれ,せん断力qx,qyの解析結果を示す.2材料に共通することは,qxはパターンの角にせん断力が集中してい る.そして,xのプラス方向に摩擦力をかけているため,xのプラス方向にせん断力分布が高くなった.また,qy
パターンに対して上部がプラス,下部がマイナスのせん断力分布である.Cu[111]とNi[111]の接触半径はそれぞ
れ1.27mm,1.01mm,押し込み深さδzは8.21×10-2mm,5.69×10-2mmとなった.図4図5より,CuがNiより押し
込まれていることがわかる.これは,CuがNiより柔らかいためである.図6はCu[111]の,図7はNi[111]の それぞれの圧力分布を示す.それぞれの最大圧力は,42.3MPa,74.4MPaであった.これは,NiがCuより硬く接 触半径が小さいため,最大圧力が大きくなったと考えられる.
4. 結 語
本論文では,テクスチャーを有するCu[111]とNi[111]の異方性半無限弾性体に圧子を押し込み,摩擦力が作 用した際の解析を行い,押し込み深さと接触圧力,せん断力の関係を調べた.基盤材料の違いにより,押し込み 深さや最大圧力の違いが生じることがわかった.また,パターンの角にせん断力分布と圧力分布が集中するある ことがわかった.
Cu[111] Ni[111]
C11 220.3 325.7
C33 237.6 351.6
C12 104.1 128.0
C13 86.8 103.2
C15 24.5 36.6
C44 40.8 72.5
C66 50.1 98.3
Table.1 Elastic constants [GPa]
Fig.4 Shear traction qx,qy of texture for Cu[111]
Fig.5 Shear traction qx,qy of texture for Ni[111]
Fig.6 Pressure pz of texture for Cu[111] Fig.7 Pressure pz of texture for Cu[111]
文 献
(1) Yuan,F.G., Yang,S., Yang,B., Three-dimensional Green’s functions for composite laminates,International Journal of Solids and Structures,Vol.40(2003), pp.331-334.
(2) Wang,Z.J.,Wang,W.Z.,Wang,H.,Zhu,D.,Hu,Y.Z., Partial Slip Contact Analysis on Three-Dimensional Elastic Layered Half Space, Transactions of the ASME, Journal of Applied Mechanics, Vol.132(2010), pp.133-144.
(3) Liu,S.,Wang,Q. and Liu,G.,A versatile method of Discrete Covolution and FFT (DC-FFT) for Contact Analyses,Wear,Vol243,2000, pp.101-111.
(4) Polonsky,I.A. and Keer,L.M.,A numerical ethod for sloving rough contact problems based on the multi-level multi-summation and conjugate gradient techniques, Wear, Vol.231, 1999, pp. 206-219
-0.5 0.0 0.5
y-coordinate [mm]
1.0 0.5 0.0 -0.5
x-coordinate [mm]
70 60 50 40 30 20 10 0
pressure p
z [M
Pa]
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
y-coordinate [mm]
1.0 0.5 0.0 -0.5 -1.0
x-coordinate [mm]
-30x10-3 -20 -10 0 10 20 30 shear traction qy [GPa]
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
y-coordinate [mm]
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
x-coordinate [mm]
40 30
20
10 0
pressure pz [MPa]
-0.5 0.0 0.5
y-coordinate [mm]
1.0 0.5 0.0 -0.5
x-coordinate [mm]
70 60 50 40 30 20 10 0
pressure p
z [M
Pa]
-0.5 0.0 0.5
'y-coordinate [mm]
1.0 0.5 0.0 -0.5
x-coordinate [mm]
35x10-3 30 25 20 15 10 5 0
shear traction qx [GPa]
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
y-coordinate [mm]
1.0 0.5 0.0 -0.5 -1.0
x-coordinate [mm]
-30x10-3 -20 -10 0 10 20 30 shear traction qy [GPa]