多地域電力系統を対象とした1サンプルの制御遅れをもつLQI形負荷周波数制御: University of the Ryukyus Repository

Title

多地域電力系統を対象とした1サンプルの制御遅れをもつ

_{LQI形負荷周波数制御}

Author(s)

山下, 勝己; 宮城, 隼夫

Citation

琉球大学工学部紀要(32): 135-141

Issue Date

1986-10

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12000/5576

Rights

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LQI-Type Load-.Frequency Control Having One

Time Controlling Delay for Multi-Area

Electric Energy Systems

Katsumi

YAMASHITA*

and Hayao

MIYAGI*

Summary

This paper presents a new method of designing discrete-type load-frequency regulator for interconnected power systems. An especially attractive feature of the proposed control scheme is that it requires as inputs signals accumulative quantities of area control error. An additional feature is that it considers the time delay due to the computation time of the control law and the transmission time of the system data over the telemeter links to the controlling plant. The re-alization of such a regulator may be easy and of low cost because of its simple construction.

In this paper, we apply the above method to 3-5 area systems provided with nonreheat type turbins. The results show that the proposed discrete-type regula-tor can act satisfacregula-torily for improving dynamic responses of the load-frequency control.

Key Words: Control Systems, Optimal Control, Power Systems

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136多地域電力系統を対象とした１サンプルの制御遅れをもつLQI形負荷周波数制御：山下・宮城

(5)より一般的なｎ地域串形電力系統モデルにも 適用した｡(`）これらの報告では，ｋ時点の操作母 を同時点の状態量の帰還形式として算出している が，実際には制御則の演算時間のために生ずる遅 れ，およびデータの伝送による遅れがあるため， これらの遅れを十分考慮して制御系を榊築しなけ ればならない。文献(7)では，ＬＦＣの実用的なサ ンプリング周期が２秒程度で，１サンプルの制御 遅れを考慮すれば，これらの遅れを十分加味でき る点に注目し，１サンプルの制御遅れをもつＬＱＩ 形負荷周波数制御方式を提案した。そして，それ を２地域電力系統モデルに適用したが，ここでは， 同手法を更に一般的モデルである、地域串形電力 系統モデルに適用するものである。 本論文では，以上の櫛成法を非再熱式火力シス テムより構成される実用規模の３～５地域串形電 力系統モデルの最適制御に適用するとともに，本 制御方式の有効性を周波数偏差および連系線潮流 偏差などの時間関係図を用いて明らかにしている。 大＝Ａｘ＋Ｂｕ（２） ただし，Ａは（４，－１）×（４，－１）次元の状 態定数行列，Ｂは（４，－１）×ｎ次元の制御定数 行列とする。 このとき，上式をサンプリング周期Ｔでサンプ ルし零次ホールド回路を用いれば，次式の離散形 状態方程式が得られる。 ｘ（ｋ＋１）＝のｘ（ｋ）＋〃ｕ（ｋ）（３） ただし， の＝ｅｘｐ（ＡＴ)，ヅー〔exp（ＡＴ)－，Ａ－１Ｂ ここでは，ステップ負荷外乱に対する周波数偏差 および迎系線潮流偏差の定常誤差を除去するため に，新しく地域制御誤差の積算 え(k)＝[x4n(k)x4n刊(k)…x5n-2(k） x5n-l(k)]丁（４） ただし， ｋ＋l

x4剛(k+')=Z(β｜`ｈ(､)+`PIi｡聰(､)）

_ｍ－Ｏ ｋ＋】

x`､利(k十1)=Z(β2`f`(､)-…Pｎ．鰹(､）

ｍ■Ｏ ＋JPtie四(、)） ｐＣＣ□●●●B●■●印●■●の⑤■●■･･G､｡････ロ･･■････□印■■■･･p■･･■･■･の■の.■■sc k＋１

x…(k+l)=E(βn-1Jfn-1(､)_α(…-,，

ｍ－０ ｘＪＰｔｉｅ(､-2)(､-,)(、)＋JPti｡(､-,)風(、)） ｋ＋l

xsm-1(k+1)=Z(βm』fm(､)_α(､-1)。

ｍ■Ｏ ｘｊＰＭｃ(､-,)n(、)｝ を導入する。行列形式で示すと ｘは＋１)＝ｘ（k)＋Ｃｘ（ｋ＋１） ＝ｘ（k)＋Ｃのｘ（k)＋Ｃｐｕ（k）（５） 2．制御方式の決定 (2.1）地域制御誤差の積算値を用いるＬＱＩ形負荷 周波数制御方式

図’のブロック線図に示される、地域串形電力

系統モデルに対して，状態変数ｘおよび制御変数 ｕを ｘ＝〔ＪｆｌＪＰｔｌ４Ｐｇｌ４ＰＭｅｌ２Ｊｆ２ｊＰｔ２.．… …JPtIe(､-,)ｎＪｆｎＪＰｔｎＪＰｇｎ〕Ｔ ｕ＝〔ＪＰｂ１ＪＰｃ２……ＪＰＣ､〕丁（１） と定義すれば，状態方程式は次式のように与えら れる。

'１雛Ｉ１ｌ

「ＩＩＩＩＩＩＩ－１ＩＩＩＩ－－ＩＩＩＩＩＩＩＩＩ］ ●●●●●（Ⅲｖ〈ｍＵｎＵｎＵｎＵ（Ⅱ〉ｎＶ

Ｆｉｇ．１．B1ockdiagramofn-arealongit-udiｎａｌｐｏｗｅｒｓｙｓｔｅｍ．

となる。このとき，状態変数をR(k)T＝[ｘ(k)Ｔ

え(k)T］と定義すれば，(3)式および(5)式より え(ｋ＋1)＝戯(k)＋，ｕ(k）（６） ただし，

征[品l]卜[｡:］

が得られる。 一方，上式に対する評価関数としては

Ｊ=Z(x(k)TQ父(k)+u(k)TRu(k)）'7）

ｋ再０ を定義する。このとき，(7)式を最小Iこする最適 制御則は良く知られているように次式で与えられ る。 ｕ（k)＝－Fえ(k） （８） ただし，

Ｆ＝(Ｒ＋IiTp嗽)－１ｹTpの

なお，行列Ｐは次式のリカッチ方程式の解である。

ｐ＝Ｑ＋ＤＴｐ６－６Ｔｐ‘（Ｒ＋‘TWP)－１

×ＦＴＰの（９） この制御は，現時点でのデータからその時点での 操作量を決定できる場合にのみ可能である。しか しながら，実際には制御則の演算時間のために生 ずる遅れ，およびデータの伝送による遅れがある ため，(8)式の帰還凪が］サンプリング周期遅れ たｉすなわち， ｕ（k）＝－Ｆ父（ｋ－１） （ｌｑ の制御が実行されることになる。なお，（１０式の 制御は帰還量を単に１サンプリング周期遅らせた ものにすぎないので，この制御では，必ずしも閉 ループ系の安定性を保証することはできない。特 に，ＬＦＣ問題では実用的サンプリング周期が２ 秒程度と長いので，この１サンプルの制御遅れに よる系への影響も多大であると思われる。 が得られる。 一方，上式に対する評価関数として，

」-2Ⅲ九(k)可[31][:(:］

ｋ－０ ＋ｖ(k)ＴＲｖ(k)｝（131 を定義すると，l131式を最小にする最適制御則は ｖ(k)＝－Ｆ*⑦ｘ(k)－Ｆ*､Ｐｕ(k）（M） としで求まるが，更に，ｌ１Ｄ式の関係より次式の 様な制御則の演算時間のために生ずる遅れ，およ びデータの伝送による遅れを考慮しうる形式で求 められる。 ｕ(k)＝－Ｆ＊のｘ（ｋ－１）－Ｆ＊Ｆｕ(ｋ－Ｄ ｕ（０）：不確定値 （１３ ただし， Ｆ*＝(Ｒ＋‘ＴＰﾀ)~IゥＴＰの． なお，行列Ｐは次式のリカッチ方程式の解とな る。

ｐ＝Ｑ＋のＴｐｂ－６Ｔｐ‘(Ｒ＋‘Ｔｐｳ)-ｌ

ｘＰＴＰの(161 3．例題計算および結果の考察 前章で提案した手法の有効性を立証するため， ３地域串形電力系統モデルを用いる。このモデル 系統の動特性式は，各地城に対してそれぞれ以下 の様に与えられる。 ［地域1］

旦旦』且411+ＤｌＪｆ,＋JPMoI2＝｣Pい－JPdl

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Ｔ"｡:ＦＭ+`PM言`P`，

T即｡筈`丹』P圏,一志』`+`P･’１ｍ

［地域２］

-2旦旦gl4些十D2Jf2-a12jPMo膠十JP《i・麺

_ｆ＊。ｔ ＝ｊＰｔ２－ＪＰｄ２ (2.2〕地域制御誤差の積算値を用いた１サンプル の制御遅れをもつLQI形負荷周波数制御方式 ここでは，文献(8)の考え方に基づき，１サン

プルの制御遅れをもつLQI形負荷周波数制御を

構成する。まず，新しい変数ｖ(k）を ｕ（ｋ＋１）＝ｖ（ｋ） Ｉ１Ｕ と定義する。このとき，(6)式およびＵＤ式より

［:(踵})]薑[:i][:(:ﾙ[I抄,Ⅲ，

T"等竺+』P"=』P“

T嘩半十』P唾一念…P｡，

（181 [地域3］

２１１２辿竺＋D3Jfn-a画JPmo画=JP【3-JPd3

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138多地域電力系統を対象とした１サンプルの制御遅れをもつLQI形負荷周波数制御：山下・宮城 なお，(7)式および(131式の評価係数で示される行 列ＱおよびＲは，それぞれ単位行列とした。ま た，不確定値ｕ（０）は零とした。 図２，図３には,JPdl＝ＯＯｌｐｕＭＷのステップ 負荷変動に対する周波数偏差jflおよび迎系線潮 流偏差JPtiel2の応答波形を示している。なお， (a)はI151式で示す１サンプルの制御遅れをもつ本 制御方式，（b)は(8)式で示す制御遅れを考慰しな い制御方式Ⅲに)は(8)式で示す帰還通を１サンプ リング周期遅らせた(lCI式の制御方式，（｡)は無制 御の応答波形である。図２から明らかな様に，周 波数偏差については(｡)の無制御が定常誤差を残 すものの，（a)，（b)，に)の応答波形にはそれほど 顕著な差異は現われていない。しかしながら，連 系線潮流偏差では(a)は遅れ無視の理想応答(b)に 近接するが，に)では１０秒から２０秒にかけて大 きくオーバシュートし，１サンプルの制御遅れの 影響が顕著に現われている。（｡)については，図 ２と同様に定常誤差を残す。なお，参考のため，

T噸芋+』P`,=』P｡，’１，

T嘩芋制P餌一念`い』P｡，

ただし，

`P…薑T蝋(ﾙﾊ"-ル）

`P`…T露(ﾙｍｉ－〃圏｡リ’”

このとき，状態変数ｘおよび制御変数ｕを ｘ＝〔ＪｆｌＪｐｔｌＪｐｇｌJptio12Jf2Jpt2Jpg2 Jptio23Jf3JpI3Jpg3〕Ｔ Ｕ＝〔ＪＰｃＩＪＰｃ２Ｊｐｃ３〕Ｔ ｌ２Ｄ と定義すると，(2)式で示す状態方程式が得られる。 一方，地域制御誤差の積算量に関する方程式は， (4)式より以下の様に与えられる。 ｋ＋】

×１２(k十1)=Ｚ(β｜`'1(､)+`P…(､)｝

×圏(k+1)=Ｅ{β,`f江､)-…PMo12(､）

＋JPMe23(、)）（劉 ｋ＋］

×脳(k+1)=Ｅ{β``f,(､)-α国`P…(､)｝

なお，行列Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれ１ｌｘ１１，１ｌｘ３， ３×１１次元の定係数行列となる。（付録１参照） 表１は，このモデル系統のパラメータを一括し て示したもので，その値は文献(2)に基づくもの である。 Ｊ－ｄ Ｃ『。□

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Ｆｉｇ．２．ResponseofJfL Ｔａｂｌｅ１．Parametervaluesofmodel system． Ｈｉ＝５ｓ Ｄｉ＝8.33×10~3ｐｕＭＷ/Ｈｚ Ｒｉ＝２４Ｈｚ/puMW Tti＝o3s Tgi＝０．０８ｓ βｉ＝Ｄｉ＋1/Ｒｉ＝Ｏ４２５ｐｕＭＷ/Ｈｚ ＰＩｉ＝２０００ＭＷ （ｉ＝１，３） f＊＝６０Ｈｚ Ｔ１２＝Ｔ２３＝Ｏ５４５ｐｕＭＷ/Ｈｚ・ｓ Ｔ＝２ｓ ８．＄９，つ‐

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②ＣＤＣ Ｆｉｇ・ａＲｅｓｐｏｎｓｅｏｆＪＰｔｉｅｌ２．

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Ｆｉｇ．４．Ｒｅｓｐｏｎｓｅｏｆｊｆｌ

Ｆｉｇ．７．Ｒｅｓｐｏｎｓｅｏｆ４Ｐｔｉｅｌ２．

地域を４地域および５地域からなる実規模系統に

拡張し，その場合の周波数偏差および連系線潮流

偏差を示したものが図４～図７である。これらの 場合も３地域と同様な特性が得られている。 以上より，この遅れに十分対処しうる本制御方 式の有効性が伺える。 ８．＄ 『ｏ０Ｃ－

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4．むすび ロＣＯＣ 本論文では１制御則の演算時間のために生ずる 遅れ，およびデータの伝送による遅れを考慮しう る，１サンプルの制御遅れをもつLQI形負荷周波 数制御方式を提案した。また，本構成法を非再熱 式火力システムより構成される３～５地域串形電 力系統モデルの最適制御に適用し，その有効性に ついては，周波数偏差および連系線潮流偏差など の時間関係図を用いて示した。 今後の課題としては，直流送電，超電導エネル ギ貯蔵装置などを考慮した系への拡張などが考え られる。 最後に，計算に多大な協力敵いた日本電装株式 会社平瀬修君に感謝の意を表します。 なお，本研究の一部は文部省科学研究費奨励研 究Ａ（61750253）の補助を受けたとともに，数値 計算は１本学科の計算FACOMM-160Fで行っ たことを付記する。 Fig.５．ResponseofJPtiel2． ｃ－ｏＣ ｎ｛室・』Ｉ

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Ｆｉｇ．６．ＲｅｓｐｏｎｓｅｏｆＪｆｌ

140多地域電力系統を対象とした１サンプルの制御遅れをもつLQI形負荷周波数制御：山下・宮城 付録 行列Ａ，Ｂ，Ｏの要素は以下の様に与えられる。 Ｃの要素 ｆ＊ ０ ２Ｈ１ １１ Ｔｔ１ Ｔｔｌ １ ０－ １行列Ａ，Ｂ，

恢一鋼

f＊Ｄｌ － ２Ｈ１ 0０ 00000 ０００００ ０００ 0 l Ｔｇ１ＲＩ Ｔｌ２

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