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アメリカにおける被用者の「団体行動」と使用者の 対応

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(1)

アメリカにおける被用者の「団体行動」と使用者の 対応

その他のタイトル Employer Economic Responses to Concerted Employee Activity in NLRA

著者 岸井 貞男

雑誌名 關西大學法學論集

巻 47

号 1

ページ 1‑38

発行年 1997‑04‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00024532

(2)

︹ 論

使

本稿は︑前稿︵﹁アメリカにおける団体交渉義務﹂︶に続いてウエスト社のナッツ・シェル・シリーズの一冊︑バー

ジニア大学教授ダグラス・エル・レスリーがアメリカ労使関係法を体系的に叙述した﹁労働法

( L a b o r L a w )

版︶を素材にアメリカ労使関係法の現況を探ることを目的とするものである︒本稿では︑第九章﹁被用者の団体行動

( 1 )  

に対する使用者の対応

(E

MP

LO

YE

RE

CO

NO

MI

C  R

ES

PO

NS

ES

  TO 

CO

NC

ER

TE

D  E

MP

LO

YE

E  A

CT

IV

IT

Y)

を取り上げることにする︒本稿も前稿と同様に︑同書の紹介・翻訳を主たる内容とするものであるが︑その目的はわ

が国の現況と対比させることにあるから︑必要に応じて筆者のコメントを付したり︑原文にはない引用条文の翻訳を

加えたり︑原文にない小題を起こすなどの所作をしている︵ただし︑本稿では次章で述べるところ以外は︑この点の

所作はない︶︒ただし︑訳文中の①以下の番号を入れるなどしてわが国の法状況との対比を明確にしようと努めた︒

',

̲ 

アメリカにおける 被用者の﹁団体行動﹂

説 ︺

と使用者の対応

貞 男

(3)

なお︑前稿では言及しなかったが︑本書には注は一切なく引用されている判例・命令も本稿の中で示しているごと

OF 

C A S E S "

A B

C

順に掲げるという方法がとられている︒本稿は前稿と同様に︑引用されている判例・命令

にはすべて個別に注をつけているが︑これは^^

T A B L E  

OF  

C A S E S "

の中から該当するを判例・命令を引き出し筆者

の手で作成したものである︒

A c t i v i t y

" )

本章の概観とアメリカ法の特質

本章は︑七節に分けて検討されているが︑大きく分ければ二つからなるものと思われる︒その一は︑全国労働関係

(N

LR

A)

7条で保障された被用者の団体行動権の対象となる行為︑すなわち﹁団体行動﹂の意義と︑その保

護の対象外とされる行為について述べられている部分

( A .

B

.保護の喪失

( L o s o f s   P r o t e c t e d   s t a t u s ) )  

の対抗策の態様とこれらが︑いかなる場合に不当労働行為となるかについて述ぺられている部分︵C.解雇および採

( D i s c h a r g e s a n d   R e f u s a l s   t o   H i r e

)

( D o m m a t 1 o n   a n d   A s s i s t a n c e  

F.経営再編

( M a n a g e m e n t R e s t r u c t u r i n g )

( L o c k o u t n   a d   t h e   L a s t   W o r d   o n   E m p l o y e r   I n t e n t ) )  

アメリカ法の特質は︑前者の部分に集中的に現れていると思われるので︑本書で引用されている判例︑命令等のな く事件名の後に︑例えば︵連邦最高裁︑ また︑本文の中で挿入した割注はすべて筆者によるものである︒

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

とされているだけで︑出典は本書の巻頭に一括して^^

T A B L E  

の意義

( T h e M e a n i n g   o f  

^ ^  

C o n c e r t e d  

である︒その二は︑その被用者の団体行動に対する使用者

G.

 

ロックアウト及び使用者の意思

D

( E c o n o m i c I n d u c e m e n t s )

E

.支配および援助

(4)

使

かからその主なものに限ってこれを抽出すると︑

つぎのようにいうこができよう︒

NLRA

で保障されている団体行動権の個人主義的性格である︒わが国の労組法にはNLRA

7七条

に相当する団体行動権の保障規定はないが︑憲法二八条は個々の勤労者

( w o r k e r s )

に﹁団体行動をする権利

( r i g

h t   •••

t o

  •••

a c t   c o l l e c t i v e l y )

J m

沐臨呻ーy

J

g

g

: ' c o l l e c t i v e l y "

という用語が挿入されているとは

いえ︑この法文上の用語の違いだけからみると

NLRA

7条が個々の被用者に保障している﹁団体行動に従事する

権利

( r i g h t t o   e

n g a g e  i n   c o n c e r t e d   a c t i v i t i e s )

﹂とはそう大きな違いはみられないと思われる︒しかし︑

NLRA

保障されている団体行動権は個々の被用者の権利に比重を高めて解釈されているため︑被用者個人に保護される団体

行動の対象となる行為の範囲は広く︑組合員個人の自発的活動だけではなく︑組合に所属していない非組合員の自発

的活動も被用者の﹁相互扶助ないし相互保護﹂のためになさたものであるかぎりすべてこれに含まれる︒その具体例

はレスリー教授の述べるところに譲るが︑この点からみると︑保護される被用者ないし組合員個人の団体行動権の範

囲はわが国におけるよりもかなり広いことになる︒

N L R

Aで保障されている団体行動権がこのようにう個人主義的性格の強いものであるとすると︑^

' C

O N

'

CE

RT

ED

C   A

TI

VI

TI

ES

"

を﹁団体行動﹂と訳することは実態からかなり遊離したものとなり適切な訳語とはいえな

い︒しかし︑団体行動という訳語はかなり定着しているものと思われるので本稿では敢えて異を唱えないことにした︒

NLRA

の団体行動権は組合員︑非組合員の区別なく個々の被用者に保障されたものであるとされてい

るから︑後に詳論されているごとく︑例えば︑数人の被用者が職場内が寒いことに抗議して許可を得ずに職場を放棄

した行為も︑組合が主体となって行われているかどうかに関係なく︑賃金その他の労働条件の改善を目的とするスト

(5)

( B o a r d )  

は︑被用者が正当な理由によって停職 ライキと同一視され︑この被用者が行ったウオークアウトも第7条で保障された団体行動と把握されている︒また︑

自身が属していない組合が設けたビケット・ラインを越えることを拒否することも︑﹁たった一人の労働者の苦情を

解決するためにストライキをすることと変わるところはない﹂として︑そのような行為も正当なストライキ︑すなわ

ち︑﹁保護される団体行動﹂とされている︒団体行動権の主体がこのように個々の被用者とされていることと関連が

あるのかどうか不明であるが︑わが国におけるように団体行動権を組合活動権と争議権に分けてそれぞれの権利構造

を分析し︑これを前提として労使の利害の対立を調整しつつ不当労働行為の成否を判断するという視点はここにはみ

その三は︑わが国の労働協約では債務的部分とみられる条項についても個々の組合員が直接履行を求めることがで

き︑その履行を求める組合員の行為も︑NLRAのもとでは﹁保護される団体行動

( p r o t e c t e d c o n c e r t e d   a c t i v i t i e

s )

のなかに含まれ︑さらに︑それには︑組合の意思に反して行われる場合も含まれている点である︒この点もNLRA

のもとで保護される被用者の団体行動の範囲はわが国におけるよりも広くなる︒

( s u s e p n d e d )  

N

L R

Aには︑第

1 0 条い項において︑﹁

N L R B

または解雇

( d i s c h a r e g d )

された場合には︑かかる被用者に対して復職またはバックペイの支払いを命

令してはならない﹂とする規定がが設けられている点である︒この規定は一見あってもなくても当然の事理を定めた

ものと思われるが︑現実の運用面ではかなり厳格に解釈され︑この規定により正当な理由による解雇であるとされる

されることが少ない点は注目に値する︒また︑この規定と団体行動権の行使との間には当然のこととして利害の衝

突・対立が生ずることはわが国におけると同様であるが︑そこにおける利害の調整方法がわが国の判例法理のように

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

四 四

(6)

考にされるべきものがあると思われる︒ 硬直的ではなく︑きわめて柔軟である点も参考になるものがある︒

スト禁止条項

( n o

s t

r i k e   c l a u s e )

に典型的にみられるように︑

アメリカではNLRA7条で保障さ

れた団体行動権も労働協約で放棄することが認められ︑その効力が個々の被用者におよぶことである︒したがって︑

アメリカでは労働協約のスト禁止条項は債務的効力にとどまらず規範的効力が付与されているということができる︒

このため︑労働協約でスト禁止条項が締結されると︑この条項に反する個々の被用者の行動は﹁保護されない団体行

動﹂となり︑これを理由とする解雇は正当なものとされる︒したがって広範囲に保障されている個々の被用者の団体

行動も容易に正当性が奪われることになる︒しかし︑これも無制限に認められている訳ではなく︑例えばスト禁止条

項の適用対象を限定的に解釈したり︑使用者の不当労働行為に抗議するストはその対象外としたり︑組合が被用者の

勧誘およびビラまきの権利を放棄することは許されないなどとされている点は︑その理由とともに注目に値する︒

スト禁止条項に違反してなされたストに対する損害賠償は︑組合に対しては請求することは可能であるが︑

組合役員及び個々のスト参加者に対しては請求できないとされ︑また︑山猫ストに対しても同様の取り扱いがなれて

いる点もアメリカにおける判例法の大きな特色であるが︑この点については次稿で詳細に紹介することにする︒

その六は︑解雇等が組合活動を理由になされたものか︑あるいは組合活動以外の非行を理由になされたものかが不

明な場合︑その真の動機が問題となるが︑その動機の立証責任の分配及びその理由づけに関するもので︑この点は参

アメリカにおける被用者の﹁団体行動﹂と使用者の対応

(7)

NLRA

︵全国労働関係法︶第7

相互保護のために団体行動に従事する権利

( r i g h t t o   e

n g a g e   i n   c o n c e r t e d   a c t i v i t i e s   f o r   m u t u a l   a i d   o r r   p o t e c t i o n )

この第7条の権利にかかわる大抵の事件では︑問題となる被用者の行為が団体行動であることも︑またそれが保護

されていることも争いはない︒保護される団体行動

( p r o t e c t e d c o n c e r t e d   a c t i v i t y )  

織化活動︑②被用者の間での組織化に関する論議︑または③被用者のある者が他の被用者に組合の支援を求める行動

等である︒しかし︑団体行動は組合がかかわっていることは必要でない︒④組合に属していない被用者のグループが

職場で待遇の改善を求める活動は︑保護される団体行動と見なされている︒⑤手当または労働条件の改善を目的とす

ウム会社事件︵連邦最高裁︑ る被用者グループのストライキは︑第7条で保護される団体行動である︒例えば︑NLRB対ワシントン・アルミニ

一九六二年︶では︑七人の被用者が職場内が寒いことに抗議して許可を得ずに職場を放

棄した︒このウオーク・アウトは第7条で保護される団体行動と判断された︒

ケースが周知の事例と異なってくると︑保護される団体行動の概念の適用は困難となる︒しかし︑次のケースはほ

ぼ解決済みといってよい︒⑥一人の被用者が他の被用者たちを説得して組合を支持させるか︑相互利益のために組合

活動に参加させようとした場合︑その被用者は︑たとえ説得に失敗したとしても︑保護される団体行動を行っている

ことになる︒このような活動が保護をうけるかどうかは︑他の被用者たちがその活動に加わるかどうかによって左右 保障している︒

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

の意義

ワグナ法制定以来改正されることなく︑被用者に対して相互扶助ないし

の典型的なものは︑①組合の組

六 六

(8)

使

連邦最高裁は︑労働協約上の権利を行使することは﹃協約に起源を発する争訟手続の不可欠の一部(^^

a n   i n t e g r a l   p a r t f   o   t h e   p r

o c e s s   t h a t   g a v e   r i s e   t o   t h e   a g r e e m e n t

"

)

あると判示し︑これを支持した︒

マイヤーズ工業事件

(N LR

B

( 5 )  

では︑被用者は維合化されておらず︑協約も存在しなかった︒その

LRB

は︑この行政法審判官の認定と結論を採用した︒ されない︒問題は︑この考え方をどこまで拡張することができるかである︒インターボロ請負会社事件

(N LR

B

( 3 )  

で︑⑦労働協約の諸条項の履行を求めた一人の被用者の試みは︑たとえその被用者がたったひとりで自

分自身のために行動したとしても︑その努力は他の被用者と共通の目標を目指すものであるがゆえに団体行動となる︑

( 4 )  

一九八四年︶では︑⑧一人のトラックNLRB

NLRB対都市塵芥処理システム事件︵連邦最高裁︑

運転手がこのトラックのプレーキが故障していて危険であると実直かつ合理的に信じそのトラックの運転を拒否した

ところ︑これを理由に解雇された︒労働協約の一条項に基づいて︑この運転拒否は正当であるとして保護することも

可能であったと思われたが︑組合はその運転手のために苦情手続によって解決することを使用者に申し立てるのを拒

NLRBの事務総長

( G e n e r a l C o u n s e l )  

は︑この被用者の運転拒否という行為は第7条で保護された団体行動で

したがってその解燿は第

8

条い項①号に違反すると主張した︒行政法審判官

( A L J

= A d m i n i s t r a t i v e   L a w   J u d g e )

はこれを支持し︑労働協約条項の履行を求める試みは︑たとえ︑当該事件に関係しているのはたった一人の

被用者であるとしても︑それが協約の適用される被用者全員の利益になり︑それゆえに団体行動になると考えた︒N

であると言及し︑NLRBの決定は当該規定の妥当な解釈で

(9)

一人で︑従って︑結果に直接の利害関係をも

( i n  

一人の被用者が︑他の被用者の利益になると推測されるにすぎない権利を主張することは団体行動ではない︑

NLRB

NLRB

は︑活動が他の被用者と一緒に行われるか︑他の被用者たちの授権

( a u t h o r i t y )

に基づいて行われる場合にかぎって団体行動となると判断するであろう︒さらに︑NLRBにしたがえば︑その活動

が団体行動であると認定されても︑使用者がその活動を団体行動であることを知っていなければ︑その活動を理由と

する解雇は第8条い項①号に違反しないのである︒しかし︑使用者の認識

( k n o w l e d g e )

を要するとの見解について

は先例は一切示されなかった︒これは︑第8条い項①号事件では使用者の意図

( i n t e n t )

は不要である︑とする

N L R

Bの他の命令と矛盾するように思われる︒上記の二つの事件について興味を引く︱つの特徴は︑被用者が労働協約

による保護を受けることができ︑そしてまた︑解雇に対する保護はおそらく交渉によって解決可能な状況下において

は︑解雇に対する保護が第7条の適用によっても与えられるのに対し︑労働協約が存在せず︑従って︑保護の必要性

が一段と高くなる場合には︑第7条の保護が与えられない︑ということである︒

⑩被用者は︑これまで会ったこともなく直接の共通利益

( c o m m o i n n t e r e s t s )

も有しない第一二者と﹃共同して

c o n c e r t )

﹄た打動することができるか︒自身が属していない組合が設けたピケット・ラインを越えることを拒否する場

チョコレート会社事件︵第二控訴裁︑ 合には肯定されるものと思われる︒先例となる裁判所の見解は︑NLRB対ピーター・ケラー・コーラー・スイス・

( 6 )  

一九四二年︶で︑ラーニッド・ハンド裁判官によって示された︒同裁判官は︑

他人が行っているピケット・ラインを尊重することは︑たった一人の労働者の苦情を解決するためにストライキをす

ることと変わるところはない︑と考えた︒苦痛をうけている労働者は︑

つのは彼一人であるけれども︑同僚労働者たちは彼の主張を支持することによって︑もしも将来そのような事態が自

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

(10)

NLRB

J.

ワインガルテン会社事件︵連邦最高裁︑

︵ 九

分たちに発生するならば︑そのとき自分たちの苦情に対する支援を確実なものとして期待できることを知っている︒

しかし︑この他の使用者の事業場でのピットラインを越えるのを拒否する被用者の行為を﹃団体行動﹄として

保護する法理も︑労働協約でスト禁止条項が締結されている場合は︑これをストの一態様とみて保護されない団体行

動とされ︑それを理由とする解雇は不当労働行為でないとされる︒後掲のNLRB対ロッカウェイ通信社事件︵連邦

( 2 5 )  

一九五三年︶参照︒ただし︑後述されているごとく︑﹁NLRB

を拒否することに対する第7条の保護が労働協約の一般的スト禁止条項によって放棄されるものかどうかについては︑

( 7 )  

NLRB

NLRBがこの分野でさらに見解を展開させていくことを承認した︒しかし︑このNLRBの見解の展開は議論の余

地のあるものであった︒この事件は︑⑪ある被用者が使用者による調査のための聞き取りに組合代表が立ち会うこと

を要求したものであるが︑NLRBはその被用者の行動を第7条の団体行動にあたると判断したものである︒最高裁

は ︑

NLRBが示した制限的条件に注意を促した後に︑これを支持した︒即ち︑被用者が特に組合代表に立ち会いを

要求し︑かつ︑﹃この調査が懲戒処分をもたらすと信じても止むを得ない﹄場合に限って第7条の団体行動にあたる

としたのである︒使用者は︑被用者が組合代表の立ち会いに固執する場合には聞き取りの継続を拒否するという選択

肢をもっているし︑いずれにせよ︑使用者はそのような聞き取りの場で組合と交渉する義務はない︒

最高裁がNLRBの見解を支持したのは︑次のようないくつかの理由に基づくものであった︒第一に︑この被用者

だけが結果に直接の利害関係をもっているとしても︑彼の要求が文言上︑第7条に含まれていることは否定できない︒

使

結論を出すに至っていない﹄︑とされている︶︒

︵ 注

( B o a r d )

は︑ピットラインを越えること

(11)

代表の立ち会いを認めねばならない︑と判断した 第二に︑最高裁は︑ピーター・ケラー・コーラー・スイス・チョコレート会社事件から引用を行った︒本件におけるNLRBの判断は︑第7条制定の際の一っの重要な立法目的である︑交渉力の対等化を促進するものである︒最後に︑

組合代表の存在は聞き取りの対象事項に関する意見交換を助けることになろう︒即ち︑組合代表がいなければ︑この

被用者は恐れのあまり︑もしくははっきり意見がいえないために関連事項や状況を正確に語れないかもしれないし︑

または様々な酌量すべき状況があるにもかかわらず個人的にはわきまえていないかもしれない︒

NLRBはこの後︑ワインガルテン法理を最高裁の考えもしていなかったといってよい状況に拡張適用していった︒

事件の判断は間もなく変更された︵バトン・ルージュ・ウォーター製造事件︹NLRB

NLRBは委員の間で意見は分かれたが︑使用者は︑被用者に懲戒処分をただ伝えるだけの場にも組合

( 8 )  

︵カリフォルニア公認食糧雑貨業︹NLRB

( 9 )  

組合はワインガルテン事件判決で示された被用者の権利を労働協約で放棄することができる︑という見解が示されて

いた︒そうだとすると︑そして組合は第7条によらずとも団交でこの権利を勝ち取ることができるから︑この法理は︑

労働協約がこの権利に言及していないときに機能するにすぎないと思われる︒︵なお︑﹁︱︱︱

保護の喪失﹂の中でも例

示されているごとく︑⑫若干の被用者が工場内が寒いことに抗議するために許可を得ずに職場を離脱した被用者らの

行動も保護される団体行動に含まれると判断しと︑これを理由とする解雇を不当労働行為と判示している︒﹂

﹁相互扶助のための団体行動のすべてが必ずしも保護をうけるわけではない︒①暴力行為およびその脅し

( A c t s

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

10

 (10 

(12)

a n d   t h r e a t s   o f   v i o l e n c e )

m k

華立シJ

ニ つ

45いことは言うまでもない︒しかし︑被用者らは組織化をすすめるためにエ

場を破壊

( s a b o t a g e )

件︹連邦最高裁︑ しようとしている︑と使用者が誤信

( m i s t a k e n b e l i e f

)  

して彼らに報復した場合︑誤信のゆえ

に報復は正当とはならない︒その場合の解雇は第8条国項①号に違反する

( 1 0 )  

一九六四年︺︶︒また︑②通知をしない︑自然発生的短時間スト

S

i k e s ] )

および③職務の一部についてのみ就業拒否すること ︵クイッキー・スト

( r e f u s a l s   t o   p e r f o r m e   s l e c t e d   p i e c e s

f   o   w o r k )  

...P~l 護

されていない︒④使用者を強制して不当労働行為をなさしめようとすることも保護されない︒

電気労働組合第︱ニニ九支部︹ジェファーソン・スタンダード放送会社︺事件︵連邦最高裁︑ 広範な理由づけにもかかわらず︑当該事件の事実に基づいて考えると︑それほど問題のないのは︑NLRB対国際

( 1 1 )  

この事件では︑被用者らはストではなく︑ピケッティング︑ビラまきその他の広報活動を行い︑使用者に圧力をかけ

て組合の団体交渉における経済的要求を実現しようとした︒この使用者は︑テレビ局を経営していた︒組合の広報活

動中︑被用者は︑労働争議中であるという事実に触れずに︑局の放送の質が低いと非難するビラをまいていた︒使用

者は︑番組非難を行った被用者らを解雇した︒最高裁は︑解雇された被用者らは保護される活動を行っていない︑と

NLRBの決定を支持した︒最高裁は︑その際︑NLRA

1 0 条団項に依拠した︒同条は︑﹃NLRB

( B o a r d )  

は︑被用者が正当な理由によって停職

( s u s p e n d e d )

または解雇

( d i s c h a r g e d )

された場合には︑かかる被用者に対

して復職またはバックペイの支払いを命令してはならない﹄と定めている︒最高裁は︑同条の解釈として︑使用者は

不服従

( i n s u b o r d i n a t i o n

)

︑反抗

( d i s o b e d i e n c e )

または不忠実

( d i s l o y a l t y )

を理由に被用者を解雇できるものと判

断した︒もっとも︑解雇の真の理由が保護された団体行動を行ったことに対する報復である場合は︑その口実として

使

[ q u

i c k i e  

(N LR

B対バーンアップ&シムズ会社事

(13)

これらのいずれをも理由として用いることができないことは言うまでもない︒

この理由付けは広範なものであるが︑最高裁は︑この事件の疑問の余地のない事実を強調した︒即ち︑このビラは 組合に対する支援を公衆に求めるものではなく︑さらに労働争議があるとの事実を明らかにしてさえしていなかった︑

ということである︒最高裁は︑

NLRB

が当該被用者の行為を物理的妨害行為にたとえたことを支持した︒

最高裁のこの理由づけの問題点は︑これにより使用者は事実上どの団体行動についても解雇することができるとい うことである︒なぜなら︑このような行動は明示または黙示の使用者の

では︑組合のビラ

反し︑従って不服従を構成するだろうからである︒しかし︑ジェファーソン・スタンダード事件のこのような広範な

言い回しは長続きすることができないということが︑

NLRB

対ワシントン・アルミニュウム会社事件︵連邦最高裁︑

( 1 2 )  

一九六二年︶で明らかとなった︒この事件では︑若干の被用者が工場内が寒いことに抗議するために許可を得ずに職 場を離脱したことを理由に解雇されたのである︒最高裁は︑被用者を職場にとどめておくかどうかに関する使用者の

利益よりも︑第7

条で保障された被用者の権利が解雇によって侵害されるのを保護すべきである︑と判示した︒また︑

最高裁は︑使用者が第

1 0 条い項により﹁正当な理由﹂があれば被用者を解雇できることは認めつつ︑だからといって

使用者は団体行動に従事した被用者を自由に処分できるものではなく︑当該工場の規則は第

7条に明白に違反する︑

と判断した︒また︑ジェファーソン・スタンダード事件は次のような趣旨を明らかにする判決と解釈された︒即ち︑

7

条の保護を受けられない団体行動は︑適法な組合活動を行う上で違反する必要がないと思われるような使用者に 対する忠実義務違反が含まれているために︑それが﹁弁護の余地がない﹂と特徴づけられる行動に限られる︒

( 1 3 )  

よく知られた

NLRB

の事件であるパターン・サージェント会社事件

(N

LR

B

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

((

r u l e

" )

﹄におそらく常に違

(14)

使

スト禁止条項は適用されるものではない︒ まきが︑ジェファーソン・スタンダード事件を先例にして︑第7条の保護を受けられないものとされた︒組合のビラ

は︑ストのために会社の製品は使用者の正規の訓練の行き届いた被用者によって作られていないと警告し︑消費者が

ストが終わるまで製品を購入しないよう求めるものであった︒NLRB

判断したのは︑ビラが製品を非難していたことによる︒またNLRBは︑ピラがストに言及していたこと及びビラの

内容が真実であることを︑決定的な事情として取り扱うことを拒否した︒

ある種の活動は第7条の保護を労働協約で放棄することもできる︒最も重要な例は︑労働協約のスト禁止条項に違

ロ・プラスティック会社対NLRB事件︵連邦最高裁︑ 反してストを行った場合には︑被用者は第7条の保護を受けられないという一般原則である︒この原則は︑マスト

( 1 4 )  

一九五六年︶で制限が加えられた︒この事件では︑交渉代表

の地位にある組合を追放しようとしていた別組合に使用者が違法な援助を行ったことに抗議して被用者がストを行っ

た︒そして︑スト参加者が復職を求めたとき︑使用者はこれを拒否した︒最高裁は︑使用者に復職を命じたNLRB

の命令を支持した︒最高裁は︑使用者の不当労働行為に対してストを行う第7条の権利も被用者は放棄することは可

能であると考えたが︑本件労働協約のスト禁止条項にはこの意味は含まれていないと判断した︒最高裁の見解によれ

ば︑典型的なスト禁止条項は︑適法に選出された交渉代表の継続的存在を前提とし︑協約の有効期間中︑労使の経済

的関係に限って適用されるものである︒ところが︑本件不当労働行為は交渉関係を掘り崩そうとするものであるから︑

マストロ・プラスティック事件判決で示された見解が一体どの範囲まで適用されるのものか︑疑問の余地がある︒

NLRBの多数意見は︑重大な不当労働行為に対するストだけが一般的スト禁止条項によるスト権放棄の適用を受け

︵ 一 三 ︶

( B o a r d )

がこのビラまきが保護されないと

(15)

く同様の権利を有すべきである︑というものであった︒﹂ ︵アーランズ百貨店事件︹

NLR

( ^

^  

d e s t r u c t i v e   o f   t h e   f o u d a t i o

n   o

n   w h i c h   c o l l e c t i v e   b a r g a i n i n g   m u s t   r e s t "

﹄で

4 )

の ス

P

( 1 5 )  

一九六一年︺︶︒マストロ・プラスティック事件判決で示されたスト禁止条項の適用範囲に関する解釈は︑不当労

︵ 第

7条の権利を放棄している目的に適合するように協約を解釈する︶︑ストを行った

組合に対する損害賠償事件には必ずしも適用される訳ではない︒もっとも︑このような事件でも協約の解釈者︵裁判

所または仲裁人︶が︑この解釈が説得力あるものと考えることもあろう︒

NLRB対マグナポックス会社事件︵連邦最高裁︑ 保護することが求められている第7条の行動のなかにはその性質上︑事件によっては放棄が認められないものがあ

( 1 6 )  

一九七四年︶では︑組合は被用者の勧誘およびビラまきの

権利を放棄したが︑放棄することは認められなかった︒

して挙げられたのは︑職場は交渉代表および交渉問題に関する情報を広めるのに極めて適切であること︑組合に反対

する被用者たちの勧誘する権利は放棄することが許されないという事実に照らすと︑組合を支持する被用者もまった

働行為事件には適用されるが B

関法第四七巻第一号

マストロ・プラスティック事件と取り扱いを異にする理由と

﹁組合加入または組合支持を理由とする最初の報復形態はプラックリストであった︒これにより︑名前を知られた

組合支持の被用者はどの使用者からも雇用されないことになろう︒ワグナー法はこの使用者の慣行を違法とした︒被

用者の過去および現在の組合活動︵またはその他の団体行動︶を理由として採用を拒否した使用者に対して課せられ

と判断している︒重大な不当労働行為の︱つは︑

﹃団体交渉がよってたたねばならない基礎の破壊

一 四

︵ 一

(16)

使

一 五

︵ 一 五

一 九

た救済策は︑排除命令およびバックペイとそれに利息をつけて求職者に職を提供せよとの命令である︒バックペイを 命じる際には︑この間に︑求職者が他で得た収入は控除され︑また正当な理由なしに求職者が得ることをしなかった 収入も控除される︒これらの救済策は︑組合所属または団体行動を理由として雇用中の被用者を解雇した使用者に対 しても課せられる︒これらの救済策が適切かどうかは明らかでない︒これらは︑被用者または求職者について最も狭

い意味で原状回復をするにすぎない︒NLRB

の事務総長は差別を受けた被用者にかわって救済請求を行うが︑差別 を受けた被用者も救済を得る上で若干の出費と相当の手間を要する︒また︑差別的解雇であることが立証できない危 険もある︒さらに︑バックペイの利息は市場の利息率よりかなり低いものである︒したがって︑使用者は︑このよう な差別が組織化運動などの組合活動に与える影響を考えるとやってみる値打ちはある︑と決断するかもしれない︒

7

条の保護の基本は次のとおりである︒﹃使用者が保護された団体行動

( p r o t e c t e d

c o n c e r t e d   a c t i v i t y )

を理由に

被用者に対して報復する場合﹄は第

8条い項①号違反である︒これに対して︑﹃使用者が組合にかかわる保護された

団体行動

( p r o t e c t e d c o n c e r t e d   s c t i v i t y   t h a t   i n v o l v e s   a  u n i o n )

に対して報復する場合﹄は第8条い項③号及び①号違

反である︒解雇またはその他の懲戒処分事件の多くで︑使用者は保護された団体行動とは無関係の理由で解雇等がな

されたと主張するのが常である︒このような場合︑

NLRB

は使用者の真の動機

( t r u e m o t i v a t i o n )

を決定しなけれ

ばならない︒例えば︑ある被用者が組合の勧誘活動を行っていたが︑使用者が当該被用者を同僚被用者を殴ったこと を理由に解雇したとしよう︒この場合︑立証責任が問題となるが︑

NLRB対運輸経営会社事件︵連邦最高裁︑

( 1 7 )  

八三年︶で明らかにされた︒まず︑事務総長は︑当該解雇は少なくとも部分的には被用者の保護された団体行動を理 由としてなされた︑ということを立証しなければならない︒これがなされると︑使用者は︑たとえこの被用者が保護

(17)

LRB対マッカイ無線電信・電報会社事件︵連邦最高裁︑

された団体行動を行っていなかったとしても解雇されたであろうこと

で最高裁により認められた︒この事件で︑労 と関係なしに解雇をもたらしたであろうこと︶を立証できなければ法違反と認定されることになろう︒最高裁と次のように述べている︒﹃この使用者は法に違反する者である︒即ち︑使用者は法によって違法とされた動機によって行動している︒適法な動機と違法な動機の影響が区別できないことの危険は使用者が負うのが公平である︒なぜなら︑使用者は故意に危険を犯し︑かつこの危険は無垢の行為によってではなく︑自身の違反行為によって生み出されたも

ストライキは保護された団体行動を超える性格を有する︒即ち︑ストライキはそれが経済目的であれ組織目的であ

れ︑使用者に圧力をかけ被用者の要求を受け入れさせようとする経済的武器である︒保護された団体行動を行ったこ

とを理由として被用者に報復することは許されていないが︑使用者は適法な事業上の利益を図るために必要とする経

済的武器を行使し︑かつ必要とする経済的行動をとる権利を有している︒使用者のもっとも重要な権利の︱つが︑N

( 1 8 )  

働組合が経済的ストライキを行ったのに対し︑使用者はスト参加者にかえて代替労働者を導入した︒スト参加者らが

復職を申し出たとき︑彼らは使用者から︑代替労働者のうち何人かと常用雇用を約束していると告げられた︒ついで︑

会社は五人の組合リーダーは代替労働者によって永続的に代替されたと発表した︒この事件における最高裁の判断は︑

使用者は復職者を決定する際に組合活動または組合指導を理由に差別を行ったので︑第8条国項③号及び①に違反す

るというそつけないものであった︒しかし︑現在も異議なく受け入れられている傍論

( d i c t u m )

で︑被用者が経済

的ストライキを行った場合︑使用者は事業運営のためスト参加者に代えて新たな被用者に代替させることができると

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

︵即ち︑同僚被用者を殴ったことは︑組合活動

一 六

︵ 一

(18)

れている場合でも雇用に関する権利は何がしか残されている︑という見解をとってきた︒レイドロー会社事件

(N

L

一九六八距︶においてNLRB

代替労働者によってしめられているときに︑復職を無条件で申し入れたスト参加者は︑なお被用者であり︑代替労働

者が退職したときは完全な復職の権利を有する︒但し︑ R

B

使

最高裁は明言した︒さらに︑最高裁は︑ストが終了した場合︑使用者はスト参加者を復職させるために代替労働者を

解雇する必要もないと判示した︒また︑別の事件で︑永続的な代替であるという約束に反して解雇された代替労働者

が提起した州裁判所の訴訟は︑連邦法によって専占されていないと判示した

( 1 9 )  

マッカイ事件判決の傍論

( d i c t u m )

には問題がある︒というのは︑本件ではそもそもそのような判断を示すこと

は結論を導き出す上で必要ではなかったし︑加えてこの傍論は第7条の権利および労使関係の力のバランスに相当な

影響を与えることになるからである︒最高裁は次のような主張があることを知っていたとしても︑その当否について

一時的代替者の利用が不可能か不適切であることを証明できない限り︑

永続的代替者を雇用することは許されるべきではない︑というものである︒

NLRB対インターナショナル・ヴァン運輸会社事件︵連邦最高裁︑

経済的ストライキの参加者を解雇することはできないが代替することはできるという意味をもつと判示した︒これは︑

マッカイ事件原則に関して一般にとられていた見解である︒無条件の復職申出によりスト参加者が復職できるかどう

かは︑永続的代替労働者が確保されたかどうかにかかっている︒NLRB

は ︑

( B

o a r d )

は次のような判断を示した︒即ち︑経済的スト参加者の職が永続的 検討することはしなかった︒その主張とは︑

一 七

スト参加者の職が代替労働者にしめら

スト参加者がこの間に︑常用で実質的にみて前職と同等の職

( 2 0 )  

一九七二年︶で︑上記のマッカイ事件原則は︑ ︵ベルクナップ会社対ハーレ事件︹連邦

(19)

を他で得ているか︑または使用者が復職を認めないことにつき適法で相当な業務上の理由があることを証明できる場

合は別である︒鉄道労働法が適用されるある事件で最高裁は次のような判断を示した︒即ち︑使用者はスト代替者を

解雇することも︑ストに参加しなかった労働者を代替されたスト参加者より有利となるような先任権

( s e n i o r i t y )

与えることも必要とされない︒しかし︑スト参加者がいったん復職すれば︑その被用者はスト前の先任権を獲得する︒

労働協約が先任権によってレイオフの順番を決めている場合︑レイオフのときその被用者は協約上の先任権によるこ

用されるであろう︵トランス・ワールド・エアーライン対独立乗務員同盟事件︹連邦最高裁︑ ︵タフト・ハートレー法︶が適用される事件においても同様に適

( 2 2 )  

︵タフト・ハートレー法︶に違反することなくスト参加者を代替させることができるという使用者の権利

は︑使用者の不当労働行為に抗議して行われるストライキにまで拡大されることはない︒この場合には︑使用者に

よってすでに代替させられていたという事実にもかかわらず︑スト参加者は無条件の復職申出をすれば復職する権利

を有する︒また︑当初は経済的ストライキとして始まったものであっても︑スト期間中に使用者が不当労働行為を行

い︑そのためにストライキを長引かせることになれば︑当初の経済的ストライキは不当労働行為ストライキに転化す

ることもあり得る︒そのような転化があったかどうかは︑NLRBの事実認定の問題である︒

スト参加者の代替以上の問題を含んでいた事件が︑NLRB対エリー・レジスター会社事件︵連邦最高裁︑

三築︶であった︒被用者が経済的ストライキを行っていた間に︑使用者は組合に対し︑スト参加者の代替者および復

職したスト参加者には二0年間の付加的先任権

( a d d i t i o n a l s e n i o r i t y )

を与えるつもりである︑と通告した︒この先

任権は将来のレイ・オフに対する保証とはなるが︑勤続年数に基づいて与えられる他の諸利益には使えないというも NLRA  とを主張することができる︒この原則は︑NLRA

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

一 八

︵ 一 八

(20)

使

はなく︑不当労働行為であると認定した︒ のであった︒組合は︑このような超先任権

( s u p e r

,  s e

n i o r i t y )

の提供は第8条い項③号および①号に違反する︑と主

 

張した︒行政法審判官は︑使用者は団体行動を理由とする差別の意思なしにこの超先任権を与えたと認定したが︑N

LRB

は差別しようとする主観的意思

( s u b j e c t i v e i n t e n t   t o   d i s c r i m i n a t e )  

メントを行った︒最高裁は︑初期の無線士労働組合対NLRB事件︵連邦最高裁︑

一 九

︵ 一 九 ︶

のあったことを示す特別な証拠は必要で

最高裁はNLRBの法違反の認定を支持したが︑その際︑NLRA8条にかかる使用者の意思について重要なコ

( 2 4 )  

一九五四年︶を引用して次のよう

に述べた︒ある種の使用者の行為については︑その行為の性質上︑必要とされる差別的意思が含まれているものとみ

ることができる場合がある︒なぜなら︑その行為から自ずと起こりうる予見可能な結果

( t h e n a t u r a l   f o r e s e e a b l e   c o n s e q u e n c e s f   o   t h e   c o n d u c t )

ぶし

朕応のこととして推論することができる場合があるからである︒第一に︑﹁差別し

ようとする︑または組合員となることを奨励もしくは抑圧しようとする主観的意思のあることを示す明白な証拠が提

示され︑かつ認定される場合は︑そうでなければ︑通常︑業務上の行為に随伴する潔白または曖昧な行為

( i n n o c e n t o r m   a b i g u o u s   a c t i o n s )

として見逃される多くの行為が︑それだけで不当労働行為に変質されることになろう︒こう

した事件では︑外見上︑適法な業務上の目的に仕えると思われる行為が︑保護された権利を侵害する意思が証明され

ることによって︑完全に疑われるところとなる⁝⁝︒﹄第二に︑意思が明白な証拠によって立証されていない場合で

も︑使用者は︑適法な業務上の理由によって適切に説明することができなければ︑その行為から生じることが予見可

能な結果を意図していたものと判断され︑不当労働行為と認定されるであろう︒業務上の理由がある場合でも︑すべ

ての事件で使用者を救うとは限らない︒けだし︑﹁ある動機

( m o t i v e )

を他の動機より優先させることは︑実際には

(21)

︵ 二

0)

次のような極めてデリケートな仕事だからである︒その仕事とは︑団体行動における被用者の利益を一定の方法で業

務運営上の使用者の利益と比較衡量すること︑そして︑本法とその政策に照らして︑使用者の行為が被用者の権利に

対して与えようと意図している結果とその行為が達成しようとしている業務上の目的とのバランスをとること︑であ

エリー・レジスター事件の事実に基づき︑使用者による超先任権の付与は︑いくつかの理由で不当労働行為である

とされた︒超先任権は︑実際に代替された労働者にだけ影響を与えるマッカイ事件の代替と異なり︑スト参加者全員

に影響を与える︒スト不参加者に対置されるスト参加者に影響を与えるとともに︑この利益提供の申し出に誘発され

てストをやめたスト参加者にも影響を与える︒超先任権は︑これを与えられた者を交渉単位の残りの者との違いを比

較させることによってストを継続しようとする意欲をそいでしまう︒またこの利害の対立の故に将来の団体交渉を不

可能でないとしても著しく困難にする︒こうして︑NLRBは︑超先任権の付与は業務の運営を継続していくために

必要であるという使用者の主張にもかかわらず︑不当労働行為として取り扱う権限を与えられた︒

成否の判断を困惑させる最高裁先例となっていた︒NLRB対ロッカウェイ通信社事件︵連邦最高裁︑ ある種の状況下においては︑この解雇ー代替の区分理論

( d i s c h a r g e ' r e p l a c e m e n t d i s t i n c t i o n )

は︑不当労働行為の

( 2 5 )  

で︑使用者は︑他の使用者の事業場でのピットラインを越えるのを拒否したことを理由にある被用者を解雇した︒使

用者は﹃解雇﹄のとき彼に代わる被用者を確保していなかった︒最高裁は︑この解雇は不当労働行為でないと判断し

た︒最高裁のこの判断は︑ピットラインを越えるのを拒否したことを理由とする解雇に対する保護は労働協約のスト

禁止条項

( n

o , 

s t r i k e   c l a u s e )

によって放棄されていたという事実に依拠したものと思われる︒しかし︑最高裁はこ

る ︒

関 法 第 四 七 巻 第 一 号

0

参照

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