• 検索結果がありません。

「教職概論」の授業理解と教職に対する意識の検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「教職概論」の授業理解と教職に対する意識の検討"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「教職概論」の授業理解と教職に対する意識の検討

著者 中瀬 浩一

雑誌名 同志社大学教職課程年報

号 5

ページ 17‑28

発行年 2015‑12‑15

権利 同志社大学教職課程年報編集委員会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014287

(2)

論文

「教職概論」の授業理解と 教職に対する意識の検討

中 瀬 浩 一

(同志社大学免許資格課程センター准教授)

How students understood the course contents of “Introduction of Teacher Education” and the profession of teachers.

Koichi Nakase Summary

A survey was conducted in which 189 undergraduate students, who was taking the course of “Introduction of Teacher Education,”

responded concerning the profession of teachers. The main purpose of this study was to reveal how students understood the significance of the profession. More specifically, it was aimed to show if the students could have concrete images concerning to be teachers, if they were more motivated to be a teacher, and what sort of topics they were interested in the course. In addition, the relation between these factors and their magnitude of anxiety was also examined.

Overall evaluation towards the course was relatively positive indicating that they were more or less motivated to be a teacher. It was also suggested that deep understanding of the profession of teachers was related to the anxiety or uneasiness of the students who are eager to be teachers in the future. Furthermore, the percentage of the participants who wanted to become a teacher increased by 5 percent whereas those who only aimed to obtain teacher’s license decreased. It was also suggested that the teaching method of this course that incorporated active learning was effective, as it allowed the students to have the opportunities to hear many varieties of opinions of others, to critically think the related topics, and express their own opinions within each group.

(3)

1 はじめに

 文部科学省が公表した2014(平成26)年度の公立学校教員採用選考試験の 実施状況(文部科学省,2015)によると、採用者の学歴別内訳は、一般大学 出身者18,580人(59.4%)、教員養成大学・学部出身者8,573人(27.4%)、

大学院出身者3,355人(10.7%)、短期大学等出身者751人(2.4%)と一般大 学出身者が半数以上を占めていた。採用者の各試験区分においても小学校

(56.1%)、中学校(62.8%)、高等学校(63.1%)、特別支援学校(60.3%)、

養護教諭(54.3%)、栄養教諭(79.1%)で、一般大学出身者が最も多く占 めていた。開放制を原則とする戦後の日本の教員養成制度と教員養成大学・

学部以外の一般大学の教職課程(開放制の教員養成)の役割の大きさを表し た結果となっている。姫野ら(2015)は、「教員養成を主としていないとは いえ、教科に関する高い専門性に加え、教師としての資質や実践的な指導力 を涵養することが、一般大学の教職課程においても非常に重要である」と述 べているが、教員養成大学・学部ではない一般大学・学部の教職課程におけ る教職志望学生に対する教師としての資質や実践的な指導力向上に関する取 り組みは多くの大学で行われている(高旗 他,2013;井上,2013)。学生に 対する意識調査も実施されていて、同一大学での過去の意識調査との比較

(小山,2008)や教職観の分析を行う研究(白石・濱本,2012)、初年次プ ログラム(母校訪問)の実施前後での意識の変容を検討した研究(三島・高 旗ら,2014)などがある。このように一般大学における教職課程で履修する 学生の意欲を高めたり、指導力向上をめざす取り組みとその検証が多く実施 されている。

2 目的

 本研究は、これらの研究を参考にしつつ、一般大学において、教職課程の 入門授業として位置づけられている「教職概論(教職の意義等に関する科目)」

の授業の理解状況から、学生の教職に対する意識を質問紙調査を行うことに より、授業が職業選択に資することができたか検討する。

(4)

3 方法

(1)対象と時期

 筆者が担当した2015年度春学期開講の教職の意義等に関する科目「教職概 論」を受講した同志社大学の学生を対象とした。同科目は教職の必修科目で あり、担当した3クラスで215名が受講登録していた。調査は授業の第1回

(4月上旬)と最終授業の第15回(7月下旬)の合計2回。いずれも授業終 了前5~10分程度で実施した。第1回・第15回ともに回答があった有効回答 数は189名だった。なお、受講学生が所属する学部は教職課程を設置する13 学部にわたっていた。

(2)調査項目

 調査項目は、第1回は教職志望度と希望する学校種について尋ねた。第15 回は、第1回の内容に、授業による教職の意義に関する項目の理解度や教職 に対するイメージの具体性や職業選択の機会となったかどうか、興味深かっ た講義内容とさらに学習を深めたい講義内容、教職への不安の有無などを加 えた。授業のシラバスの概要を表1に示す。

表1 「教職概論」のシラバス(概要)

テーマ 主な内容

第1回 オリエンテーション

第2回 理想の教師像と教職の可能性 教師、教員免許状

第3回 教師の役割と教職観の変遷 教職観、勤務条件、教員の種類と職務

第4回 教師の仕事とその特徴 教育内容、授業、学級経営、生徒指導、学校運営、

部活動、特別活動、進路指導、校務分掌 第5回 教員の資格・任用と服務規程 教育公務員特例法、資格と要件、服務・分限・懲戒 第6回 学習指導要領 学習指導要領の変遷

第7回 学力保障と教師の役割 学力問題、PISAの結果 第8回 授業づくりと教師 授業づくり

第9回 子ども理解・学級集団づくり 体罰、いじめ、子ども理解 第10回 特別支援教育の理念と実践 特別支援学校、特別支援学級 第11回 特別な教育的ニーズのある子ども インクルーシブ教育、発達障がい

第12回 学校教育改革の動向 学校教育法、施行規則、保護者・地域住民の学校参画、

個人情報保護 第13回 学校評価・教員評価 学校評価、教員評価 第14回 多様な教職観・教育観 教員の専門性と研修 第15回 学習内容の振り返り

(5)

4 結果

(1)教職志望度

 第1回と第15回授業時の教職志望度の結 果を図1に示す。円グラフの内側が第1回、

外側が第15回の結果である。15回の授業を 経て「職業選択の第一志望」や「職業選択 の一つである」と答えた学生がともに5ポ イント増加し、「教員免許状を持っておき たい」と回答した学生が減少していた。

(2)希望する校種

 希望する学校種の結果を図2に示す。特 別支援学校を選択する学生が若干増加して いる以外に、大きな変化は見られていない。

(3)授業に対する有益感

 以下の質問は第15回時に実施したもので ある。質問項目につき、「大いにそう思う」、

「ある程度そう思う」、「どちらともいえな い」、「あまりそう思わない」、「全くそう思 わない」の5件法で回答を求めた。

 今回の「教職概論」の授業の有益感を尋 ねた結果を図3に示す。「大いにそう思う」

と「ある程度そう思う」の回答を授業が有

図1 教職志望度

図2 希望校種

図3 「授業は有益でしたか?」

益だったと肯定的に感じたと考えると、ほぼすべての学生が肯定的に感じて いた(1名「全くそう思わない」との回答あり)。

(4)自己評価による授業理解度

①教職の意義や教員の役割についての理解

 教職の意義や教員の役割について、授業をとおして理解できたかを尋ね

(6)

た結果を図4に示す。自己評価では「大いにそう思う」と「ある程度そう 思う」の合計が99%であり、学生はある程度以上理解できたと考えていた。

②教員の職務内容

 校務分掌などの教員の職務内容について、授業をとおして理解できたか を尋ねた結果を図5に示す。「教職の意義や役割についての理解」より若 干減少し、「大いにそう思う」と「ある程度そう思う」の合計が95%だった。

③教員が守らなければならないこと

 守秘義務や服務などの教員が守らなければならないことについて、授業 をとおして理解できたかを尋ねた結果を図6に示す。「大いにそう思う」

と「ある程度そう思う」の合計が95%だったが、先の教員の職務内容に比 較し、「大いにそう思う」と回答した学生の割合が多かった。

④教職・教員の仕事が具体的にイメージできたか

 授業をとおして教職・教員の仕事を具体的にイメージできたかを尋ねた 結果を図7に示す。「大いにそう思う」と「ある程度そう思う」の合計が 96%だった。

図4 教職の意義・役割の理解 図5 職務内容の理解

図6 服務などの理解 図7 教員の仕事がイメージできたか

(7)

⑤今の教員に何が求められているかについて、考える機会になったか  今の教員に何が求められているかについて考える機会となったかを尋ね た結果を図8に示す。「大いにそう思う」と「ある程度そう思う」の合計 が99%で、ほとんどの学生が考える機会となったと回答していた。

⑥大学卒業後の進路選択について考える機会になったか

 「教職概論」の授業は大学卒業後の進路選択について考える機会になっ たかを尋ねた結果を図9に示す。「大いにそう思う」と「ある程度そう思う」

の合計は93%だった。

図8 教員に求められていること を考える機会になったか

図9 進路選択を考える機会に なったか

数回答あり)。選択肢はほぼ授 業シラバスに沿ったものを提示 している。「教員の授業に関す る工夫」(第8回授業)につい ての関心が最も高かった。また、

特別支援学校の教育(第10回)、

「ADHDなど特別な教育的ニー ズのある子どもの教育」(第11回)

の内容が次に関心が高かった。 図10 興味深かった内容

(5)興味深かった講義内容

 15回の授業の中で興味深かった内容について尋ねた結果を図10に示す(複

(6)さらに学習を深めたい内容

 さらに学習を深めたいと考える内容について尋ねた結果を図11に示す。先

(8)

の授業での興味関心を示した内 容と同じく「教員の授業に関す る工夫」に対する要望が高かっ た。「教師の職務内容」が次に 多く、「学力問題」、「特別な教 育的ニーズのある子どもの教育」、

「特別支援学校の教育」がほぼ

同数だった。 図11 学習を深めたい内容

(7)教職に対する不安

 現時点での教職に対する不安の度合いに ついて尋ねた結果を図12に示す。全体の半 数以上が教職に対する不安を感じていた

(「大いにそう思う」、「ある程度そう思う」)。

さらに、自由記述の主なものを表2に示す。 図12 教職に対する不安の有無

表2 教職に対する不安(自由記述)

<生徒との対応>

・子どもと上手に接することができるか

・本当によい教師になれるのか

・生徒の可能性を自分が引き出せるのか

・自分がクラスをまとめられるかどうか

・生徒とぶつかった時に、自分が逃げ出さないかどうか

・荒れたクラスを担任した時の対応

・子どもと上手くいかなくなった時

・教員は生徒の人生に大きな影響を与えると思うので、生徒によい影響を与えられるかが不安です

・生徒に認めてもらえるか。

・いじめや学級崩壊が起こった時、どうすればよいか

・これまで出会ったことのないような人に対する接し方

・障がいを持った生徒との接し方

・大人数をまとめられるのかわからない

<授業について>

・本当にしっかり教えることができるかどうか

・学力をちゃんと付けさせてあげられるか

・授業展開の仕方、授業の技術

<保護者との対応>

・保護者への対応、モンスターペアレントについて

<校務について>

・多くの仕事をこなしきれるか

(9)

(8)全体的感想

 「教職概論」の授業の全体的な感想の主な内容を表3に示す。授業で多く 取りいれたグループワークや職業選択に関しての意見も多かった。

<自分の性格・成長・人間性について>

・自分は教育者としてちゃんと生徒を導いていけるか

・自分が人を育てるような人間になれるか、そのような人でいられるか

・生徒の見本となる人間に自分がなることができるか

・言葉にするということが苦手なので、わかっていても伝えられないということが多く、そもそもそ ういう職業に向いていないのではないかと思う

・自分自身が今以上に成長し、教育者として仕事をこなしていけるのか

・他人の人生を本当に預かれる人であるのか

・子どもの反発や学級崩壊などに心が折れることなく、最後まで向き合えるかどうか

・体力面が心配

・自分が本当に教員に向いているかどうか

・自己満足な教育をしてしまうのではないか

表3 授業の感想

<感想>

・教員の存在についてとても深く考えさせられた。他の人の考え方がわかって面白かった。

・教師になるための勉強のやる気が出ました。

・なんとなくでしか考えたことのなかった障がい者の教育について深く考えることができてよかった。

・知らなかった教職のことを知れてとてもよい機会でした。教師という職業がとても魅力に思えた。

・今までは職業の表向きの面しか知りませんでしたが、この講義をとおして裏の仕事や取り巻く環境 について深く知ることができた。

・ビデオなどで自分以外の学校のことを知ったり、教育現場を見たりすることができてよかったです。

・教職というくくりを超えて、人間を考えるとてもよい機会になった。教職をとらない人にもぜひ受 けてほしいと思った。

・教師に早くなってみたいと思った。

・自分の教師像がより明確になったように感じた。

・教員のことを今まで考えたことのない視点から学べたのは本当によかったです。教職よりも教育に ついての関心が高まりました。人と関わることのおもしろさを感じました。

・母が小学校の先生で、その背中を見て育ってきて、こんなに苦労しているんだなと感じた。

・教職の大変さや必要な能力などを深く考えることができてよかった。

・教職について本当にやりがいのある仕事だということがわかった。大変であるということもわかっ た。もっといろいろな先生のことを知りたいと思った。

・元々教師志望ではありましたが、さらに強い意志を持って教師を目指すことができるようになりま した。どの回の講義でも毎回新しい発見があり、自分の理想の教師像をより明確にすることができ ました。

・教師という仕事が、仕事以上に人間として成長させてくれる職業であると授業を通じて感じた。

・前から教師という仕事には興味がありましたが、この講義で不安なところも増えましたが、教師と いう仕事により興味がわきました。

・教員についてここまで知らず、興味がなかったので、少しやってみて面白そうだなと思うことがで きた。選択肢の一つではあるが、深く考えて将来のことをみていきたい。

・教師になるためのシナリオがなんとなくできあがったような気がします。

・生徒とかかわり成長していく、こんなにやりがいのある職業は他にないと思います。

・教師に対してのイメージが変わりました。教師っていいなと思えました。

・公立だけでなく私立の話もしてほしかった。

・般教などでは学べない特別支援教育について学べたのでよい経験になりました。

・専門学部ではないので、自分で能動的に動く大切さを痛感した。

(10)

5 考察

(1)授業内容について

 具体的な授業法について学ぶ「授業に関する工夫」が学生から好評だった ことは予想されたことであるが、「特別支援学校の教育」や「ADHDなど特 別な教育的ニーズのある子どもの教育」への関心が高い結果から、学生の関 心が特別支援教育が通常の学級担任をしていく上でも必要不可欠であるとい うインクルーシブ教育の理念の理解にもつながるものであることがわかった。

今後学習を深めたい内容については、上記の内容に加えて、「服務や法規」、

「学力問題」、「学校改革や学校評価」、「教員評価」など多岐にわたっている ことから、「教職概論」の授業を出発点として、より教職について学びたい という意欲が出てきたと考えられる。授業はグループワークを多く取りいれ ていた。自由記述にも見られたが、知識を習得し、それに対して自分で考え、

グループ内で発表し、他の人の考えを知り、グループの意見をまとめ、他の グループの意見を聞くというアクティブ・ラーニング的な手法が効果的であっ たことがうかがえた。

<グループワークについて>

・グループワークが多かったため、いろいろな意見を耳にできてよかった。

・グループワークで自分の意見を言ったり、他人の意見を聞き、いろんなことをしっかりと考えるこ とができたので、とても楽しかった。

・教職について学んだことについて、他者と意見交換ができたのはよかったです。理解が深まりまし た。

・ただ授業を聞いているだけでなく、自分で教師について考え、発表をして、人の意見を取りいれる ことで、私の考えていなかった考えも知識として得ることができました。

・知り、自分で考え、思いを伝え、他人の思いを知る。充実した講義でした。

<進路選択について>

・自分が教員だった頃の話や、教師のよいところやしんどいところなど、いろいろ聞けてより教職に 就こうと思えるようになりました。

・非常に興味深く教員という職業を考えるいい機会になりました。教師になりたいという考えで受け ましたが、現実を知って不安が大きくなりました。でも、そんな現実も含めて、なりたいという気 持ちが強くなりました。授業をとおして、自分がまだまだ未熟であることを改めて感じました。

・いろんな教師のことを知れてよかったです。自分は最初は教員免許を持っておきたいぐらいの気持 ちでしたが、今回の講義で教職に魅力を感じたので、少し前向きに教員をめざしてみようかなと思っ ています。

・正直軽い気持ちでこの授業をとった。でも、真剣に教師をやってみたいと思えた。

・教師になるかはまだわからないが、この授業はとてもよかった。自分をもう一度見直すいい機会に なった。

・教師について考えるきっかけにこの講義がなりました。正直、この講義をきくまで、あまり教師に なる気はありませんでした。しかし、それが選択肢のうちの1つに考えるようになりました。

・教員になる、ならない関係なく、この講義をとおして学んだことを今後に活かしていきたい。

(11)

(2)進路選択に資することはできたか

 教育職員免許法施行規則第6条に「教職の意義等に関する科目」に含める ことが必要な事項として、“教職の意義及び教員の役割”、“教員の職務内容(研 修、服務及び身分保障等を含む。)”、“進路選択に資する各種の機会の提供等”

とある。本授業においてもこれを踏まえ、学習指導要領や

PISA、体罰や特

別支援教育、個人情報保護、学校評価、教員評価など、今日の学校教育が直 面している課題などをとりあつかい、教職を進路として選択することに資す るよう努めた。教員養成大学・学部・学科における「教職の意義等に関する 科目」の授業改善に関する研究は多く見られる(岡東,2001;藤原,2002;

長谷川 他,2003;桜井 他,2004;霜川 他,2012;山崎,2012;橋本,2012)

が、開放制の原則による教員養成を行っているいわゆる一般大学における検 討はあまりみられない。教員養成大学・学部・学科においては、入学段階に おいて教職を志望する学生を前提としていることや、受講学生数が比較的少 人数で、学生の専攻(教科、校種など)が限定される場合もあることで、教 職の意義に関するカリキュラムを作成しやすいことが考えられる。しかし、

開放制の原則による教員養成を行う一般大学においては、入学段階で元々志 望する学問分野があり、教職は進路の第一希望ではなく、選択肢のひとつと して考える学生の比率が大きく、また実際に教職以外の職に就くことも多い。

 本研究においても、講義スタート時の学生の教職志望度合いを調査した結 果から、この傾向が認められた。しかし、授業後の調査結果では、「職業選 択の第一志望」の割合が増加していた。また、「職業選択の一つである」と 答えた学生も、授業の感想の自由記述からもこれまで選択肢として積極的に はあがっていなかった教職が積極的な選択肢となったことで増加となったと 考えられる。これは安易とも思える「教員免許状を持っておきたい」と回答 した学生が減少することにつながっている。この傾向は教職に関する理解が 深まり、教職への志望が強くなったことを表すが、一方で、教員の役割や職 務内容の理解が図られるほどに、教職に対する不安も大きくなってしまう恐 れもはらんでいる。受講者の半数以上が教職に対して不安を感じ、具体的な 不安内容の記述も多くなされていたことはその現れであろう。教職課程の入 門授業としての役割を果たせた一方で、今後の継続的な指導が重要であるこ とが明らかとなった。

(12)

6 おわりに

 「教職概論」を受講する学生への質問紙調査から、学生の意識について分 析し、授業の効果について考察した。全般的に学生の授業評価は高く、教職 課程への「動機づけ」としては成果があったと思われる。教職への理解の深 まりと不安の高まりは連動していることが判明したが、解決は容易ではない。

教職概論に続く他の教職課程の授業との連携や教職課程を担当する免許資格 課程センターの役割の検討が必要で、今後の課題としておきたい。

文献

文部科学省 2015 平成26年度公立学校教員採用選考試験の実施状況につい て http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/senkou/1354821.htm 姫野完治・大野栄三・近藤健一郎 2015 研究志向の大学における教職課程

の現状と学生の意識に関する基礎研究:北海道大学の事例を通して 北 海道大学教職課程年報,5:1-10.

井上雅彦 2013 立命館大学教職課程のカリキュラム改善に向けて―ある私 立大学における「経験されたカリキュラム」からの考察―,立命館教職 教育研究,6,15-24.

高旗浩志・後藤大輔・三島知剛・樫田健志・江木英二・曽田佳代子・高橋香 代・加賀勝 2013 全学教職課程の質保証に関する実証的研究(1)平 成22年度入学生の経年変化を中心に,岡山大学教師教育開発センター紀 要,第3号,80-89.

小山茂喜 2008 教職課程履修学生に対するアンケート調査からみた学生の 教職観に関する考察,教職研究,創刊号,51-63.

白石義郎・濱本隆 2012 久留米大学教職課程学生の教職観 久留米大学文 学部紀要情報社会学科編,第7号,1-26.

三島知剛・髙旗浩志・後藤大輔・樫田健志・江木英二・曽田佳代子・加賀勝 2014 全学教職課程の質保証に関する研究(2)―学生の平成24年度の 初年次プログラム前後における意識変容に着目して― 岡山大学教師教 育開発センター紀要,第4号,82-89.

岡東嘉隆 2001 教師教育経営試論(1)―教職の意義等に関する科目「教

(13)

職入門」を担当して― 広島大学大学院教育学研究科紀要,第3部第50 号,1-10.

藤原幸男 2002 「教職の意義等に関する科目」の実践的研究:教職像・教 職志望を中心に 琉球大学教育学部紀要,60,143-153.

霜川正幸・村上清文・鷹岡亮・髙橋雅子・長谷川裕・久保田尚 2012 「教 職概論」における授業改善の実際 山口大学教育学部附属教育実践総合 センター研究紀要,第33号,77-84.

長谷川順一・小方朋子・田上哲 2003 2002年度「学校教育入門」の授業評 価 香川大学教育実践総合研究,7,87-1901.

桜井佳樹・高倉良一・高木由美子・伊藤正信・黒田勉・田上哲 2004 2003 年度「学校教育入門」の反省的考察 香川大学教育実践総合研究,9,

79-83.

山崎明宏 2012 公立学校教員の職責理解を促す「教職概論」の授業実践に 関する研究 プール学院大学研究紀要,第53号,203-215.

橋本由美子 2012 幼稚園教員養成における教職の意義並びに内容を学生に 実感させる授業のあり方 浦和大学・浦和大学短期大学部 浦和論叢,

第46号,89-105.

(2015年9月17日査読済)

参照

関連したドキュメント

В данной работе приводится алгоритм решения обратной динамической задачи сейсмики в частотной области для горизонтально-слоистой среды

We have formulated and discussed our main results for scalar equations where the solutions remain of a single sign. This restriction has enabled us to achieve sharp results on

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

This paper presents an investigation into the mechanics of this specific problem and develops an analytical approach that accounts for the effects of geometrical and material data on

7.1. Deconvolution in sequence spaces. Subsequently, we present some numerical results on the reconstruction of a function from convolution data. The example is taken from [38],

In this paper we study certain properties of Dobrushin’s ergod- icity coefficient for stochastic operators defined on noncommutative L 1 -spaces associated with semi-finite von

While conducting an experiment regarding fetal move- ments as a result of Pulsed Wave Doppler (PWD) ultrasound, [8] we encountered the severe artifacts in the acquired image2.

I think that ALTs are an important part of English education in Japan as it not only allows Japanese students to hear and learn from a native-speaker of English, but it