ポリプロピレン繊維からなる走行糸め物性について (第2報) 加工糸の塑性的挙動
著者 木村 里雄, 和田 義男
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 15
号 2
ページ 245‑250
発行年 1967‑09
URL http://hdl.handle.net/10098/4913
245
ポリプロピレン繊維からなる走行糸め物性について(第 2 報) 加 工 糸 の 塑 性 的 挙 動
木 村 里 雄 ・ 和 田 善 男
Physikalische Eigenschaften laufender Faden aus Polypropylenmonofilament
息C H )
P l a s t i s c h e s Verhalten von den v e r a r b e i t e t e n Faden Satoo KIMURA , Yoshio WADA
( E i n g e g a n g e n am
15.A p r i l
1967)Abstraktion
Zwecks Erforschungen d e s p l a s t i s c h e n Verhaltens v e r a r b e i t e t e r Faden aus Polypropylenmonof i 1 amente , u n t e r s u c h t e n wir d i e Abhangigkeiten der zu F
長den v e r a n l a s s t e n Spannungsschwankungen von den Spannungs
・Deh‑
nungskurven der Faden. H i e r b e i i s t d a s Exzenter fur das Verarbeiten d e r Faden mit Zykloiden g e b a u t und d i e Exzenterhub b e t r a g t 3
白nm.Die L a u f g e ‑ s c h w i n d i g k e i t von Faden i s t 4 5 0 cm pro Minute. Die w i c h t i g e n V e r s u c h s e r ‑ g e b n i s s e s i n d wie f o l g e n d e :
i ) Die e l a s t i s c h e n Grenzen fur u r s p r u n g l i c h e Faden s i n d b e i n a h e g l e i c h den fur d i e v e r a r b e i t e t e n Faden.
ii)
Die v e r a r b e i t e t e n F
五den b e s i z t e n immer d i e p l a s t i s c h e n P r o p o r t i o n a l i ‑ t a t s g r e n z e n und zwar durch den Verarbeitungsgrad t r e t e n s o l c h e E r ‑ scheinungen a l l m a h l i c h h
凸here i n .
1
輯 言第l報では,一定張力,一定速度で走行するポりプ ロピレン・モノフィラメント糸に 6種類の周期的変 位入力を与えて,出力張力変動の合理性を研究検討し てきた結果,位相がほとんどOで,誘発張力の最小で あるタベット Nr.6がえられた。
そこで本報では連続加工による張力応答と応力ひず み曲線とを比較検討し,このようにしてえられたポリ プロピレン・モノフィラメント加工糸の塑性的挙動を 究明せんことを目的とした。
普 教 授 酬 文 部 技 官
2
実 験 装 置連続塑性加工機としては第1報の図1aおよび1b に示す装置を用い,また変位入力を与えるタベットは サイクロイド形式で,その諸元は同報に示すNr.6の ものと同じにした。 G1は300g容量を.G2およびG宮
はともに容量を大きくして
1kg
のものを用いた。3
実 験 方 法試料とLては,ポりプロピレン150d単糸無よりの もりを用L
、 .
20oC. R. F. 46%の恒温恒温室にお重664gを示している。この点を過ぎると伸びが増加 するにつれて荷重が減少してLべ口この部分からほと んど塑性流動のみとなり,分子間のずれが著しくなっ て切断されることがわかるo この図から切断強度4,34
g/d,切断仲度28.5%および弾性率60.6g/dをう る口このような特性を示す原糸に,初張力2OOg,300
g, 400gおよび500gを与え.7Í'~を流走させて入力ひ ずみを与えて連続加工Lた。
塑性加工時の糸張力変動曲線から加工仕事量を考え るに当たって,入力ひずみに対する出力の張力変化を,
ストレイγメータを用い,ベン書きオシログラフによ って記録してみると図2に示すようになっているo 1 サイクル聞に生ずるものはほぼ図示するような張力変 動を受けながら糸は定速で走行している口そこでこの 図から算出される糸の単位長さ当たりになされた仕事 量を示すと表2のようである口
走行糸速を一定にして,初張力と 1サイクル当たり の加工仕事量 (g.cm/c)との関係を示したものが図
3,初張力を一定にして走行糸速と1サイクル当りの 加工仕事量(g.cm/c)との関係を示したものが図4. 走行糸速を一定にして,初張力と単位糸長当たりの加 工仕事量(g.cm/c)との関係を示したものが図5.初 張力を一定にして,走行糸速と単位糸長当たりの加工 仕事量との関係を示したものが図6である口ここで巻 き取り速度に比してタベットの変位速度のほうが大き いことに起因して,糸速400cm/minのときのこの値が
10 20
Dehnung in %
Abb. 1. Belastungs‑Dehnungskurven fur 15Od‑Polypropylenmonofilamente. AB: nicht verarbeitete Filamente. AC: verarbeitete Filamente, G1 =5oog: Vorspannung von Fila. mente beim Verarbeiten. .:vor Verarbeiten.
ー
:nachVerarbeiten.o 30 800
制
切 制
口市 凶ロ ロリ F m d
‑ ω
悶
200
いて 8hr保持したものを実験に供した。未加工試料 (原糸〉の荷重一仲び曲綿の測定試験機は,インスト ロン社のメトリックモデ、ノレス
TM‑M
型を使用L .
記 録装置は日本電気機材社のXY
レコーダ,XYT‑1
型 を併用したロこれらの設定条件はゲージ長さ100m m, 引張速度1∞
mm/min(100%/min).チャート・アルス ケール1kg,チャート速度200mm/minとした。そうし て図1bに示した装置を用い,表1の16種類の条件に より,タベット回転数60rpmにて原糸を連続加工し た口塑性加工糸の荷重一仲び曲線の担.tl定については,原糸の場合と同様な方法で,別口C,R. F. 53%の恒温 恒湿室において 8hr保持したのち引張試験を行なっ た口なおそれらの設定条件としては, ゲージ長さ 100 m m,引張速度1
∞
mm/minC 1
00%/min),チャート・フルスケール1kg,チャート速度500mm/minで、あるo
未加工試料(原糸〉の荷重一伸び曲緯を示すと,図 1の曲線A BのようになるO この図からわかるように 原点から点A(荷重100g,伸び1,1%)までは線形で あって完全弾性を示している口そうしてこの点を過ぎ るとこうばいがややゆるやかになれ徐々に上にとっ な曲線を形成している口したがって点Aから先の領域 においては塑性流動が一部生ずるものと考えられる口 さらに変形が進展して,伸び23,9%のところで最大荷
Faden.
vorspannung g Verarbeitungsbedingungen von Faden.
加 抑 制 剛 捌 棚 制 問 捌 抑 制 問 捌 制 制 剛
江
‑ m
一田町一
一叫
W︐
一閃
O L q h v 印 9 0 0
叩
9 0 9
開
︒
ι f o
d
‑
‑ 4 E
引8
n c
一dm加d副
as Fm E
実験結果および考察 Tabelle 1.
Probe.
nummer 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6
司 ム 守
i噌i唱A唱
i 1 i 1 4
4
ハVハVハu n u n u n u n u n u n v
6 4 2 υ¥ EQ
切5 2 E出
︒何 色
ω切口出口
EZ
AH
︿
850 Fadengeschwindigkeit in cm/min Abb. 4. Abhangigkeit der Fadengeschwin‑
digkeit von der Arbeitsmenge pro Kreis unter konstanter Vorspannung 2∞'g, 300, 400 und 500.
Arbeitsmenge
m一
/ /一
m一 部 品 位 認 担 指 却 加 盟
2 6 3 0 2 4 5 一 1 2 3 1 2 3
謁1
呂 田 町 日 田 加 部
OB一
700 550
O 400 8 3504
1 l 議
35剖
Tabelle 2.
自主 日
υ
・ 凶
旦
ω回口心EE
百A
h︿ 切回
叫切 ロロ ロロ 国内 同前
句吋凪回ω
Fadenlange pro Kris in cm Abb. 2. Arbeitsmenge pro Kreis
(schraffierte Fl五che) O
200 300 400 Vorspannung in g
Abb.5. Abh五ngigkeitder Vorspannung von der Arbeitsmenge unter konstanter Faden‑
geschwindigkeit 4∞cm/min,5∞, 700 und 850. 500
異常を呈していることがわかる口そこで走行糸速400 cm/minの場合を除外しで考えれば,図6から初張力 が一定であれば,走行糸速が変わっても単位糸長当た りの加工仕事量はほとんど変わらないことがわかる口
次に各々の加工条件において,誘発糸張力の最大値 および最小値をみると図7に示すように初張力一定の 条件で比較したとき,糸速550cm/minで最大値をと る。糸速が大なるにしたがってその最大値は減少し,
最小値は増加することから張力振幅の低減することが わかるo後でこのような現象と加工効果との関係を調 べてみる。
n v
ハv n u n v n u n u n v n u n U
6 4 2
U ¥
E U
︐M
52 uh
出
o h a ω
切回
ωE
百 円 E
︿H h 500
Vorspannung in g
Abb.3. Abh盃ngigkeitder Vorspannung von der Arbeitsmenge pro Kreis unter konstanter Fadengeschwindigkeit 40 cm/min, 550, 700 und 850.
300 400 O
200
400
ミ 田
OE u
eo
‑;200 ロ
M ロ ω E
+> m
2
100〈h
O
400 550 700 850 Fadengeschwindigkeit in cmjmin Abb. 6. Abh五ngigkeitder Fadengeschwindig‑
keit von der Arbeitsmenge unter konstanter Vorspannung 200g, 300, 400 und 500.
次に未加工糸と塑性加工の荷重一伸び曲醸の比較し たものが図 lで示される口ここで図のものは最も加工 効果が大とみられるNr.8(初張力500g.糸速550cm jmin)のものを引用したo これからわかるように,加 工糸についても未加工糸とほとんど同じこうぱいの完 全弾性部分を示している口そうして弾性限についても 未加工糸のそれと全く同じ値を示しているようであ る口加工前のものにおL、ては,荷重100g付近の変曲
100 凶
市
口 早 明
官
k
i 百
ga 咽掴醐。
国5田 明 拘 .伺
Fadengeschwindigkeit in cmjmin Abb. 7. Beziehung zwischen der Faden‑
geschwindigkeit und der Fadenspannung unter konstanter Vorspannung 200g, 3iり0, 400 und 500.一一‑maximaleSpannung・, roinimale Spannung.
点後徐々によにとっな曲線を形成しているが,加工糸 においてはこの変曲点以後では湾曲せずゆるやかなこ うばL、の線形を形成する部分が必ず存在してL、る口こ の線形部の終極限界は図8. 9, 10および図11に示し ている加工条件によって異なっていることが表3でも わかる口このような現象は動的な塑性加工の効果によ るものとみなされる口そこでこの限界を著者は塑性加 工比例限と称えることにしている。これ以後の現象は 加工前とほぼ同じ形状で上にとっな曲線に湾曲し,切 断に至るが,未加工糸のものに比して切断強度は上昇 し,切断伸びは減少する傾向を示していることがわか Tabel1e 3. Beziehung zwischen der Belastung und der Dehnung von den verarbeiteten Fi1amente.
Vorspan‑Faden‑ elastische viskoelastische Maximalwerte Bruchpunkte Grenze P‑grenze
Nummer nung gkeesit chwindig‑
B gl D
%
B g¥ D%
B g¥ D%
B g¥ D%
gl‑‑‑‑ cm/minl 4
∞
108,4 1,1 278,0 4.7 665,0 23.52
。
550 106.6 1.1 314,0 5,7 660,0 23,3 651,O! 25,93
。
700 107.0 1,1 299,0 5,4 654,0 23,3 643,4 24,54
。
850 109,8 1,1 283.6 4,8 651,0 23,6 648,8 24,3 5 300 4∞
102,0 1,1 333,0 6,3 627,6 23,6 621,8 25,26
。
550 98,6 1,1 366,0 7,1 667,4 23.2 659,0 25,1 7 7∞
100,4 1,1 354,0 6,8 663.2 22,5 658,6 23,58 850 101.0 1,1 345,0 6.5 659.0 23,S 649,8 26.8 9 400 400 1佃,0 1,1 362,0 7,0 666,8 23,3 660,8 25,0 10 q 550 99,0 1,1 384,0 7.8 663,4 22,9 656,2 24,2 11 タ 700 99,4 1,1 380,0 7,7 662,6 22,2 656,4 23,5 12
。
850 101,1 1,2 356,0 6,7 662,2 23,1 651,4 25,6 13 500 400 97,0 1,1 368,0 7,6 666,4 22,3 661,0 23,5 14。
550 95,0 1,1 391,0 8,1 674,2 22,3 663,6 24,315 700 96,2 1,1 374,0 7,5 677,8 22,5 675,8 23,1 16 850 97,8 1,1 375,0 7,5 673,8 22,1 667,2 23,8
249
o A
・
4∞
・5!10
̲・胃滞a駒
伯 釦
Dehnung in
%
Abb. 9. Belastungs‑Dehnungskurven fur 150d‑P. P.‑Monofilamente nach dem Verar‑
beiten, bei der Vorspannung G1 =加Og und den Fadengeschwindigkeiten 4oocm/min. 55', U 700 und 850.
。
A・
0400・S!IO
‑700
・IJ!IO 10 20
Dehnung in
%
Abb. 8. Belastungs‑Dehnungskurven fur 150 d‑Polypropylenmonofilamente nach dem Verarbeiten, bei der Vorspannung G1 = 却Og und den Fadengeschwindigkeiten 400cm/min, 550, 700 und 850.
800
600
4
∞
200 阿国市凶回目
H四
‑ 国
ω
閏
800
帥
旦回ω切回目凶ロロ判明J 細
旬。
30 0.‑300g
30 o 向‑2
, ∞
o
。
A・
400・民間
・
700・
85010 20
Dehnung in
%
Abb. 11. Belastungs‑Dehnungskurven fur 15Od‑P.P.‑Monofi1amente nach dem Verar‑
beiten, bei der Vorspannung G1 = 500g und den Fadengeschwindigkeiten 400 cm/min.
550, 700 und 850.
。
A・
4∞・
5150・
700・
ao10 20
Dehnung in %
Abb. 10. Belastungs‑Dehnungskurven fur 150d‑P.P.‑Monofilamente nach dem Verar‑
beiten, bei der Vorspannung G1 ~ 400g und den Fadengeschwindigkeiten 4
∞
cm/min, 550, 700 und 850.800
600
400
200 凶同市尚ロロ
HmdN︻ω同 eon
600
400
宮前
切回明初回ロ一百回同ω悶
30 G
, ‑
5009ー
。
。
G
・ ,
400,
D
ば,糸速の増加とともに上にとっな曲線に変化をな し,¥'、ずれの初張力の場合も糸速550cm/minで 最高値 を示している口
次に最大荷重点は初張力の増加にしたがし、増加の傾 向を示し,最大荷重点を示すときの伸びは減少する憤 向にある口糸速の変化に対しては,荷重はほぼ塑性加 工比例限と同じような領向を示
L
,仲びは塑性加工比 例限と逆の変化をするo次に切断強さは初張力の増加とともに増加し,糸速 の増加とともに塑性加工比例限とほぼ逆の傾向を示す ようであるO
る。
次に種々の加工条件によって,塑性加工された糸の 荷重一伸び曲韓を示すと凶8. 9 J 10および図11のよ うであって,弾性限,塑性加工比例限,最大荷重点お よび切断点における荷重および伸びを示すと表3のよ うである口図12はこれらの関係を示す口この図からわ かるように弾性限の値は加工条件が変わってもほとん ど一定であって,加工前のものと同じ値を示してい る口塑性加工比例限の値は,加工条件によってかなり の変化を示す口初張力が増加するにしたがって荷重お よび伸びはともに増加し,初張力一定にして比較すれ
71
800
旬。
切
ロ
官
旬
g
i
制蜘鉱訓。o 400 850 700 8釦
Fadengeschwindigkeit in cm/min
maximale Belastung Bruchfestig kei t
→ plastische Proportionalitatsgrenze
→ elastische Grenze
Abb. 12. Abhangigkeit der Fadengeschwindigkeit von der Fadenspannung. A : elastische Grenze, B: plastische Proportionalit五tsgrenze,C: maximale Belastung, D: Bruchfes‑
tigkeit.
動的塑性加工の結果については,図1に示す現象が ることが可能である口
みられるが,これを張力変動曲糠の解析結果と対照し さらに,このような加工糸を用い高次加工をほどこ て,加工効果を検討してみるO すなわち加工仕事量は したものから,すぐれた触感の高経製品が作り出され 同じであっても加工効果は異なり,最も特徴的な加工 ることが期待される。また,このようにしてえられた 効果の現象としての塑性加工比例限は,加工時の糸張 加工糸の内部徴細構造は,静的加工によるものとは異 力の最大値とほぼ同じ傾向にあることがわかる口した なり,染色加工の面でも良好な結果をもたらすであろ がって加工糸の塑性加工比例限は塑性加工時の最大張 うことが推察されるD このような着想で今後さらにこ 力によって左右されることになる。この場合も糸速 のような塑性加工の開発研究を進めていくoなお,本 400cm/minのときを除外して考えれば
i
結局初張力 研究は昭和39年度文部省科学研究費によるものであ が大なるほど,また糸速にだぷりの入らない程度に低 るo最後に本実験をしじゅう熱心に手伝ってくれた岡 糸速であるほど,加工時の最大張力は大きししたが 田正治君にあっく感謝の意を表する。って加工効果は良くなることがわかる白
5
総 括ポリプロピレン・モノフィラメントの流糸の動的塑 性加工によって,高い塑性加工比例部分が現われるこ とをみい出したことは,今後のこの方面における研究 に大きい意義がある。この限界は今回の実験では,最 良のものとして荷重400g,伸び8 %付近で あったが 加工条件をいま一層研究することにより更に向上させ
文 献
1 ) 木村・和田:ポリプロピレン錨維山らなる走行糸の物性につ いて(第l報),定常流糸の外乱による挙動,福大ゴ:麗研施設報
告 産4巻 p.83
2) M. Kornhauser Structural Effe::ts of Impact. p. 72 3) Frank A McClintock, Ali S. Argon Mechanical
Behavior of Materials. p. 247
4) Aneronow, W i仕,Ohaikinτ11eorieder Schwingun‑ gen. S. lt.:3
(昭和42年4月15目受理)