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益田宗先生を送る

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Academic year: 2021

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益田宗先生を送る

高 稿  敏

 益田先生は平成10年3月めでたく定年退官を迎えられました。ここに先生の5年間にわ たった本館での御功績と研究業績の一部を紹介し,送別の辞に代えさせていただきます。

 先生は別掲の著作目録に明らかなように,古代・中世を中心とする歴史史料の文献批判的 研究を本分とされている。まず中世政治史の基本史料である『吾妻鏡』とその周辺に位置す る「保暦間記』『水鏡』『承久記』などに関する研究では,極めて精緻な本文批判・写本系統 論を展開され,これら史料のそれぞれの価値を明確に示され,中世史研究者に多大の恩恵を 与えてきました。また『言経卿記』『建内記』「二水記』などの公家日記の研究におきまして

も,東京大学史料編纂所における多年にわたる史料編纂業務の中で培った見識を基礎にした 堅実かつ創見に富む内容であります。更に先生は『国書総目録』全八巻と『国書総目録著者 別索引』の編集に携り,その完成のために重要な役割を担われました。この二書が日本史・

日本古典文学の研究にもたらした恩恵は計り知れないところがあり,今後も本書なくしては これらの分野の研究は一歩も前進することができないほどであります。現在先生はこれら二 書の姉妹編ともいうべき『国書人名辞典』の編纂・刊行を:進めております。

 本館においては中世史研究の基本史料の一つである『大乗院寺社雑事記』の全文データベー スを完成させ,更に本館所蔵の貴重な文献史料を広く提供すべく,それらの影印本の刊行を 推進するなど,学界に対して多大の貢献を行ってきました。

 かたわら,先生は本館の基幹研究として,「歴史資料分析の多角化と総合化」を立ち上げ るために御尽力され,大学共同利用機関としての本館の柱の一つである共同研究の推進にも 大きな力を発揮されました。

 先生が本館教授の任にありましたのは平成5年4月から同10年3月までの5年間でしたが,

すでに東京大学史料編纂所長在任中の平成3年6月に国立歴史民俗博物館運営協議員に就任,

本館の運営に協力を惜しまれませんでした。本館に着任の後も歴史研究部長・運営協議員な ど多くの要職を歴任されましたが,将来計画実行案作成委員会の委員長,また大学院設置推 進委員会および大学院設置準備委員会委員,組織改革実行委員会の委員を務められ,転換期 に立つ本館の困難な問題に取り組み,多大の成果を上げてこられました。

 叙上の業績により,平成10年6月本館名誉教授に推挙され,就任することになりました。

 また,先生は研究のかたわら趣味人としても多くの人々に愛される御人柄でした。生涯に わたる学習の時代が叫ばれる今日,先生にふさわしい御活躍の場が約束されていると確信し ております。      (国立歴史民俗博物館歴史研究部)

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