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1) Slooff WC: The Yeasts a taxonomic study 2nd edition (J. Lodder ed.) p , ) Yarrow D & Ahearn DG: The Yeasts a taxonomic study 3rd e

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(1)

教 育 講 演

抗 真 菌 薬 の 耐 性 機 構

山口英世

帝京大学 ・医 ・微生物

近年 抗真菌薬の研究 ・開発が急速 に進展 し、外用、 内用 を問わず高 い有用性 をもつ薬剤 が

次 々に臨床 に導入 され、 治療成 績の向上 に寄 与 して いる。 しか しいかな る抗真菌薬 につ いて

も治療効果 が100%に

達す る ことはあ りえず、 適切な用法、用 量での治療 に もかかわ らず感染

の持続 または進行、 つま り臨床 的な抗真菌薬耐性が必ずみ られる。 この臨床的耐性 は、 一般

に、 生体側要 因 (免疫状態、 感 染部位、 病態、 医療処置な ど) や薬剤側要 因 (静菌 的作用様

式、 用量、 薬物動態 な ど) に も依存す るが、 最 も直接 的に関与す るのは真菌側要因、 と くに

抗真菌薬 に対す る感染起 因菌の感 受性 と考 え られ る。

真菌 の薬剤感受性 は、通常、in vitrc

感 受性試験 によって測定 され、最 小発育 阻止濃度

(MIC) として表 され る。起 因菌 のMICが 一定の レベル を超す と、生体側要 因また は薬剤側要 因

の いか んにかかわ らず、 臨床的耐性 を示す結果 とな る。薬剤耐性 には一次耐性 と二次 (獲得)

耐性 とが あるが、 後者す なわ ち本来感受性 の菌種 において薬剤 との接触 によって生 じる耐性

が臨床的 にはよ り大きな問題 となる。

現在、 様 々なクラスの多数 の抗真菌薬が外用剤および (または) 内用剤 として用 い られて

いるが、 これ まで二次耐性 (以下単 に耐性 と略す) が比較 的高 い頻度でみ られ、 実際 に臨床

的問題 をひ き起 こして きた薬剤 として は、 フロロピ リミジン系の

flucytosine が知 られて いる。

一方、1960年 代初期か ら使用 され、 現在 も深在性 真菌症治療薬 の

"gold standard" とみな さ

れて いるポ リエ ン系の amphotericinB (AMPH-B)

については、 か くも長 い年 月にわた って使

用 されてきた にもかかわ らず、 ほとん ど耐性菌がみ られ ない。 内用 ・外用 の別な く最 も多数

の薬剤 を擁 し、最 も繁用 されて いるアゾー ル系 (イミダゾール系/ド リアゾール系) 抗真菌薬

につ いて も、1980年 代までは まった くといってよいほ ど、耐性が問題 とな ることはなかった。

ところが1990年 代 に入って、 口腔 咽頭 カ ンジダ症 を発症 したAIDS患 者 にお いて、投与 中のア

ゾール系経 口抗真菌薬 fluconazole (FLCZ) に耐性化 した Candida albicans 株 が高頻度 に分離 さ

れ るに至 り、 この問題が にわか にクローズ ・ア ップされたので ある。加 えて、FLCZ耐

性株 の

多 くは、itraconazole, miconazoleな

どの他 のアゾール系薬剤 と交叉耐性 を示す こと、 また少

数で はあるがAMPH-Bに

も同時 に耐性化す る株が み られ ることな どの理 由で、そ の臨床 的イ

ンパ ク トはさ らに増幅 され る結果 とな った。

この間題 の克服 に向けて は、耐性菌 の疫学 とな らんで、 耐性 機構 の分子 生物学 レベルで の

解 明が重要な研究課題 と 目され、 この数年来、 活発な研究 が世界 的に進 め られて いる。本講

演 にお いては、FLCZを

は じめ とするアゾール系薬剤 を中心 に、各種抗真菌薬 の耐性機構 につ

いて概説 し、問題点 を考察す る。

(2)

シ ン ポ ジ ウ ムI

SI-1

分 類 法 の 進 歩 と 課 題

○ 槙 村 浩 3内 田 勝 久、 山 口英 世

(帝 京 大 ・医 真 菌 研)

好 脂 質 性 の Malassezia (旧 Pityrosporum) 属 真 菌 は、 健 常 人 皮 膚 の 常 在 菌 で あ る が、 時 と

し て 療 風、 毛 包 炎、 脂 漏 性 皮 膚 炎、 間 擦 疹 な ど の 皮 膚 疾 患 や 全 身 感 染 症 の 起 因 菌 と な る こ と が

知 られ て い る。 本 属 菌 種 の 分 類 に 関 し て は 以 前 か ら議 論 が 多 く、 か つ て は 細 胞 の 形 態 学 的 性 状

に 基 づ い て Pityrosporum ovale とP. orbiculare の2菌 種 に 分 け られ て い た1)。 そ の 後P. ovale と

P. arbicutare は Malassezia furfur に 統 合 さ れ、 動 物 由 来 の 非 脂 質 要 求 性 菌 種M. pachydermatis と

合 わ せ て、Malassezia

は2菌 種 か ら な る 属 に再 編 成 さ れ た2)。Gueho ら の研 究 グル ー プ は、1990

年 に新 種M. sympodialis

を 提 示 し3)、さ ら に1996年 に 脂 質 要 求 性、 カ タ ラ ー ゼ 活 性、Dixon 培 地

上 の 発 育 に 対 す る 温 度 の 影 響、Tween

20、40、80の

資 化 性 と細 胞 の 形 態 な ど の 表 現 形 質 な ら び

にrRNAの

部 分 的 塩 基 配 列 に 基 づ い て、M. slooffiae、M. globosa、M. obtusa お よ び M. restricta

の4新 種 を 加 え、Malassezia

属 菌 を7菌 種 に 分 類 す る こ と を 提 唱 し た4,5)。しかし本年出版され

The

Yeasts 第4版6)で は、M. furfur、M, pachydrmatis

お よ びM. sympodialis の3菌 種 の み が 記 載 さ

れ、 そ れ 以 外 の4菌 種 に つ い て は コ メ ン ト欄 に 付 記 さ れ る に と ど ま っ た。 本 年6月 に 米 国NIH傘

下 の National Center for Biotechnology Informadonは、Guehoら

のrRNAの

部 分 塩 基 配 列 等 の 分 子 生

物 学 デ ー タ に 基 づ い てMalassezia属

をBasidiomycota、Ustilagionmycetes、Exobasidiomycetidae、

mitosporic Exobasidiomycetidae

に 帰 属 さ せ、 上 記7菌 種 が 含 ま れ る と報 告 した。 これ に よ り

Malassezia 属 菌 の 系 統 分 類 上 の 位 置 が 初 め て 明 らか に さ れ た こ と に な る。

一 方、 わ れ わ れ は

1993年 に、Malassezia

臨 床 分 離 株 が 集 落 形 態、 各 種 脂 質 資 化 性 お よ び 血 清 学 的 性 状 か らI∼V

型 の5タ イ プ に 型 別 で き る こ と を 示 し た。 そ の 後、 三 ッ 矢 ら は 菌 体 表 面 抗 原 と ウ サ ギ 特 異 抗 体

の immunablot

分 析 か ら1型 ∼N型

を 同 一 血 清 型 のM. furfur と し、V型

をM. sympodialis

と 同

定 し た。 さ ら に ア トピー 性 皮 膚 炎 患 分 離 株 のELISA解

析 か らす べ てM. sympodialis で あ っ た と

報 告 して い る。

以 上 の よ う に 最 近 の 急 速 な 研 究 の 進 展 に よ っ て、Malassezia

属 菌 種 の 分 類 が 確 立 さ れ る

の も 間 近 い も の と 思 わ れ る が、 各 菌 種 の 病 原 性、 関 連 疾 患 と の 因 果 関 係、 正 常 菌 叢 と し て の 役

割 な ど に つ い て は 未 だ 明 らか に さ れ て い な い。 これ らの 問 題 を 解 明 す る た め に は、 よ り簡 便 で

信 頼 性 の 高 い 菌 種 同 定 法 が 不 可 欠 で あ る。 今 回 は、 生 物 学 的、 血 清 学 的 お よ び 分 子 生 物 学 的 手

法 に よ る 簡 易 菌 種 同 定 法 に つ い て も報 告 す る。

1) Slooff WC: The Yeasts a taxonomic study 2nd edition (J. Lodder ed.) p. 1167-1189, 1970.

2) Yarrow D & Ahearn DG: The Yeasts a taxonomic study 3rd edition (NJW. Kreger-van Rji ed.)

p. 882-885, 1984.

3) Simmons RB & Gueho E: Mycol Res 94, 1146-1149, 1990.

4) Guillot J & Gueho E: Anton Leeuwenhoek 67, 297-314, 1995

5) Gueho E et al: Anton Leeuwenhoek 69, 337-355, 1996

6) Ahearn DG & Simmons RB: The Yeasts a taxonomic study 4th edition (CP. Kurtzman &

JW. Fell ed.) p. 782-784, 1998

(3)

36-SI-2

Malassezia furfur の 引 き起 こす炎 症 ・免 疫 反 応

○照井

(東北大 ・医 ・皮膚科)

Malassezia furfur が原 因とな り発症す る皮膚疾患 として、療風やマ ラセチ ア毛

包炎が知 られて いる。 しか し、最近 にな り、脂漏性皮膚炎や乾癬、 ア トピー性皮 膚

炎 な どの皮膚疾患 にお いて、 それ らの発症 や増悪 にMalassezia furfurが 関与 してい

るデータが い くつ か報告 され、 話題 を呼んでいる。 ここに上 げた疾患 は、 臨床症 状

だけでな く病理組織学 的所見 も異な るので、Malassezia furfurの

関与の仕 方がそれぞ

れの疾患で異 なる ことが推察 され る。Malassezia furfurの関わ り方 を解明す るには、

まず、Malassezia furfurが炎症や 免疫反応 をどのよ うに惹起 した り、修飾 した りす る

のか、 基礎 的な研 究 を通 じて理解す る必要が あると考える。そ こで、 これ まで論 文

で報告 されてきた実験結果 と当教室 で得 られた結果 を比較検 討 し、Malassezia furfur

と炎症 ・免疫反応の関係 について まとめて報告す る。

(4)

SI-33.

癌 風 と マ ラ セ チ ア 毛 包 炎

済 生 会 川 口 ・皮 膚 科

Malassezja furfur の本来の感染症である疲風は白癬やカンジダ症に比較して頻度が

低い こと、診断が比較的容易 であ ること、外用抗真菌剤が有効 なことが多い ことな どか

ら、問題 になることが少ない ように思 われる。 しか しなが ら、本症の再発率が極 めて高

いことと、色素異常が長期 間残 る とい う臨床 的課題は未解決 である。一方、 マ ラセチア

毛包炎 は新 しい疾患概念 として認識 されているが、 その独立性や診断法 に関 しては依然

として異論 も残 っている。今 回は廠風 とマ ラセチ ア毛包炎 について文献 的考 察 を加 え

て、以下 の ことを中心 にまとめたい。

(1)廠風 の 自験例 の供 覧。

(2)療風 の統計学的検討: 療風の発症率、 お よび本症 は夏期、 若年者 に多い とされている

が、 その傾 向 に変化 はないか。

(3)癩風 に対 す る抗 真菌剤の有効性 は向上 したか?

(4)疲風 に対 す る抗 真菌剤の有効性の評価方法。

(5)被験者 に常在 している癩風菌 を用い た抗真菌剤の評価方法 の検討。

(6)癩風の再発率 とその予 防。

(7)マラセチア毛包炎 の本邦報告例 の まとめ。

(8)マラセチア毛包炎 の臨床所見お よび診断法。

(9)マラセチ ア毛包炎 と類似疾患 との鑑別。

(5)

SI-4

脂 漏 性 皮 膚 炎

清 佳浩

(昭和大学 藤 が丘病院 皮膚科)

脂漏性 皮膚炎は、脂漏部位で ある頭部、顔面 中央、 耳、胸 部正中な どに生 じる油性 の落

屑性紅班 を特徴 とす る疾患 で、新生時 か ら乳児期 に発症 して 自然消退す る乳児型 と、思春期以 降

に発症 し、慢性 に経過 す る成 人型 とがあ る。原因の詳細は不明だ が、皮脂の異常、 内分泌 異常、

ビタ ミン代謝異常、 感染説、 環境 因子 な ど多 くの因子 が関係す る疾患 とされてい る。

疲風菌: 癩風菌 は、Unna が1887年

に脂漏性 皮膚 炎を定義 した ときすでに、角層 中 に菌要

素 があるこ とを記載 してい る。

そ の後、本菌の培養 に脂 質が必要であ ることが明 らか とな り、1951

年 に Gordon によ り、オ リー ブ油 を用 いて培養 され、 性状 が定 め られ た。 癒風 菌 は、 癩風 ・

Pityrosporum 毛包 炎 ・

敗血症 の原 因菌 だが、脂漏性皮膚炎、尋常性乾癬、ア トピー性 皮膚炎な ど

の皮疹 の悪化 因子 と して注 目されて いる。1984年

頃よ り、イ ミダ ゾール系抗真菌剤 が脂漏性 皮

膚 炎に有効 であ るとす る報 告が相 次 ぎ、最近 では、本菌 が脂漏性皮膚炎の発症 に重要な役割 を演

じてい ると考 え られてい る。

癒風 菌の菌種 については、1990年

まで、M. furfur と M. pachydermatis

の2菌 種のみが

認め られていたが、1990年

に Simons & Gueho がM. sympodialisを

分類 し、1996年

にGueho

らに よって新 た にM. globosa, M. obtusa, M. restricaとM. slooffiaeの4菌

種 が従来M. furfur

とされていた内か ら再 分類 された。これ ら7菌 種 の うち発病 に主に関与 している菌種 が どれであ

るかは、 現在 各研 究施 設 において検討 中であ る。

診断: 本症の診 断には、 まだ定量的な方法が確立 されてお らず、 臨床症状 を基 に、他の皮

膚疾患 を除外 しなが ら診断す る。我々は、皮脂量 をセ ブメーターで測定 し、ア トピー性皮膚炎 と

本症、健 常者間であ きらかな差があ ること、それゆえ本 法が診 断の助 け となる ことをこれ までに

報告 した。綴風菌の数 の多 少 と脂漏性皮 膚炎、健 常者間の相違 については、様 々な意見 があるが、

抗真菌剤 を用いて脂 漏性皮膚炎 を治療 する と、皮疹 の改善に平行 して菌 数が減少する ことは多 く

の報告で述べ られてい る。今 回、健 常者 において直接 検鏡 で菌数の測定 を行 った結果を報告 する。

治療: ステ ロイ ドの外用剤が著効す るが、外用 を中止す る と多 くはす ぐ再発 す る。我 々の

施設で の治療例 におい て、ステ ロイ ド外用剤、抗真菌剤おのおのの臨床 効果、胞子数の変化、再

発 までの期 間の検討 を行 い、ステ ロイ ド外用剤で治療 した症例 では菌数 が増加 す る例 が多い こと、

抗真菌剤 では菌数 が減 少す る例 がほ とん どで、再発 までの期間が長い症 例が多い ことな ど、判 明

した事項 について報告 する。

最 後 に: 諸 外 国 で は、 抗 真 菌 剤 を含 む 種 々 の剤 形 が す で に用 い られ てお り、我 が 国 にお い

て も脂漏性皮膚 炎に対 し、抗 真菌剤 が よ り広 く用 い られるよ うになるこ とを期待 する。

(6)

SI-5

真 菌 と ア ト ピー 性 皮 膚 炎

比留間政太郎

(順天堂大 ・医 ・皮膚科)

ア トピー性 皮膚炎 (AD)

の悪化 因子 として、 真菌が注 目されるよ うになった理由は、

(1)難治性AD患

者 に真菌に対す る抗体 が高頻度 に検 出され る、(2)抗真菌剤 によ る治療 に反応

す る例が あるな どであ り、今 日の免疫学 の進歩 で両者の関係は次第 に明 らか にされつつある。

(1) Malassezia属 とAD:

(1)本菌が常在す る頭頚部 の症状が強いAD患

者で、 本菌特異IgE

抗体 が高値 をしめす、(2)本菌特異IgE抗 体価 は、総IgE値、ADの

重症度 と相 関す る、(3)貼

付試験 が陽性 とな るな どの事実が ある。本症患者 よ り、Malasseziaの 分離 を試み ると、そ の

陽性率 は、ADに

お いて皮疹部、 無疹部 とも正常人よ りも有意に高率であ り、分離集落数で

は、AD無

疹 部12集 落、 皮疹部7集 落、正 常人皮膚5集 落で相互で有意 の差が認め られた。

(2) Candida 属 とAD:

(1)Candida特 異IgE抗 体価 は、重症AD患

者で陽性率が高 い、(2)プ

リック試験 と鼻咽腔か らのCandida分

離率が相 関す る、(3)Malasezia とCandidaが

同時 に存

在す るとIgE産 生 を増強す る、(4)Candida抗 原 に対す る即時型皮膚反応が充進す るのに反 し

て、 貼付試 験で は反応性が低下す るこ とな どが報告 されている。舌か らのCandidaの

分離で

は、 正常人 と比べ、 陽性率 は差がなか ったが、AD患

者 で分離集落数が有意に多 かった。

(3) ADの

抗真菌剤療法: 1983年, Clemmensen らは, AD患

者 に

ketoconazole が有効で あっ

た とし、 一

方, Crook は、多 くの疾患が消化管内のCandidaに

対す るアレルギーで生 じると

報告 した。 日本 では、松 田 ら、小村 ら、Kitamura らが、 有効率50-65%と

報告 している。わ

れわれ も、難治性顔 面病変 を有す るAD患

者 を対象 としで本療法 を試 みた。患者 背景は、年

齢、 性別、 発症年齢、 病変部位、 季節 的変動 の有無、 頭頚部 皮膚炎 の罹病期間、 治療 開始前

の外用 ステ ロイ ド剤の顔 への使用 の有 無

臨床検査(総lgE値、

特異IgE抗 体、 舌か らの

Candida分

離、Malassezia分 離) を検討 した。治療方法は、nuconazole、itraconazole の週1

-2回

の間欠投 与法 を用 い、外用剤 は、原則 として頭 ・頚部 には、保湿剤 を使用 し、評価方

法は、外 用ステ ロイ ド剤の使 用の有無 と臨床症状 を考慮 して決めた。治療成績 は、著効47%、

有効23%で、

有効以 上 は70%で

あ り、その後 ほぼ寛解 した ものが51%み

られた。 治療前後

におけるMalasssse加 の集落数では、 皮疹部 では、前後で菌数の減少傾 向が見 られたが、 無疹

部 では、有意 差は見 られなかった。ADの

抗真菌剤 の作用機序 は不 明であるが、(1)プラセボ

効 果、(2)抗真菌 剤 に よ り菌 が 減 少 し、真菌 に起 因す る直 接 また は 間 接 的炎 症 反 応 が お さ まる、

(3)免疫抑制 ・調整作用 あるな どが考え られる。本療法 は有効率が高 いので、一般的な治療に

反応 しない症 例 には、 一度 は試みて も良 い治療法 と考 えて いる。

(4) まとめ: 今後、(1)真菌抗原 の分析、(2)真菌特 異IgE抗 体 の精度の向上、(3)AD患

者か

らの真菌 の分離 と同定 の検討、(4)臨床症状 との相関の検討 な どが大切で ある。

(7)

-40-シ ンポ ジ ウムII

SII-1

作 用機 序 か ら眺 め た 抗 真 菌 剤 の 現 状 と展 望

中島

(岐阜 大 学医学 部 生化 学)

真 菌 症、 特 に深 在 性真 菌 感 染症 は 日和見 感 染症 と して む しろ増 加す る傾 向に あ り、エ イ

ズ患 者の60%以

上 に発 症 後 いず れ か の時 期 に カンジ ダ感染 症 が 見 られ る と言 う報 告 もあ り、

そ の治 療 は重 要 な問 題 とな りつつ あ る。 しか し、現 在 臨床 的 に使 用可 能 な抗真 菌剤 は限 ら

れ てお り、 一般細 菌 感染 症 に使用 さ れ る抗 生 剤 が多 岐 にお よぶ こ とに比 較 して 十分 であ る

とは言 い が たい。 また、 深 在 性真 菌 感 染症 はエ イズ な どの免 疫 機 能が 低 下 した状 態 あ る い

は重篤 な 基礎 疾 患 を有 す る患 者 に発 症 す る こ とが多 く、 副作 用 の点 か ら十分 量 の 薬 剤 を投

与 し難 い例 が多 い。 これ らの理 由 と して、真 菌 は真核 生 物で あ り、系 統 分 類的 に は原核 生

ゲ物 の細 菌 類 とは著 し く隔 た ってお り、 む しろ ヒ トを含 む高等 動 物 によ り近縁 な生 物 であ る

こ とが 挙 げ られ る。 す なわ ち、 細 胞 の構成 要 素、 代 謝 系 も高 等 動 物 に類 似 して い る部分 が

多 数あ り、 抗細 菌薬 に比 べ て 選択毒 性 を発 揮 す るこ とが 容易 で は ない。 現 在使 用 されて い

る抗真 菌 剤 の多 くは真 菌 の ス テロ ール であ るエ ル ゴス テ ロー ル その もの あ るい は そ の合 成

経 路 を標 的 と して い るが、 高 等動 物細 胞 の コ レステ ロ ー ルへ の作 用 も さけ られ な い。 ア ン

ホ テ リシ ンBを

は じめ とす る ポ リエ ン系抗 生 物 質 は真 菌 細胞 膜 のエ ル ゴス テ ロー ル に直接

作 用す る。 ステ ロ ー ル合 成 阻害剤 と して、 イ ミダゾー ル系、 トリアゾ ー ル系 な どい わゆ る

ア ゾ ー ル系 薬 剤 は、 エ ル ゴス テ ロ ール合 成 経 路 の14位

脱 メ チ ル酵 素(チ

トク ロ ー

ムP-450系)を

標 的 に して い る。 また、 ア リル ア ミ ン系、 チ オ カルバ ミ ン酸 系 な どス クア レ ン

エ ポキ シ ダー ゼ に作 用 す る薬 剤 も開発 され て い る。 一 方、 核 酸 の ピリジ ン塩基 類 似 体 と し

て5一フル オ ロ シ トシ ンが あ り、DNA合

成 阻 害剤 と して作 用 す る。 とこ ろで、 薬 剤 耐 性 菌

の 出現 も今後 大 きな 問題 とな る可 能 性 があ る。 エイズ 患 者 な どで、 治 療 あ るい は予 防 を 目

的 と して 長 期投 与 され るケ ー スが増 加 し、内服 剤 と して頻繁 に使 用 され て い る ア ゾ ール系

薬 剤 に対 して耐 性 を示 す 菌 の 出現 が報 告 され て いる。

この よ うな様 々な 問題 か ら、新 しい発想 で の抗真 菌 薬 の開発 が望 まれ てい る。 一方 で は、

二 形性 変 化 に関与 す る因子 を含 め て さ まざま な病原 性 に 関与 す る 因子 が 見 いだ され つつ あ

り、 これ らが これ か らの抗 真 菌薬 開発 の ターゲ ッ トに な る可 能 性 は十 分 に考 え られ る。 本

シ ンポ ジ ウ ムで は、 現在 使 用 され て い る抗真 菌剤 の作 用 メカニ ズ ムを基 礎 の立場 か ら概 説

す ると と もに、 将 来 の薬 剤 開発 の可 能性 を紹 介 した い。

(8)

SII-2-1)

小 児 に お け る抗 真 菌 薬 の投 与 と そ の 問題 点

西 本 勝 太 郎

長 崎 市 民 病 院 ・皮 膚 科

抗真菌薬 にかぎ らず、 小児 に使用す る薬剤 につ いては、一 般 的に薬剤 に要求 されるい く

つかの特性、 す なわ ち高 い有効性、 安全性、 経済性、 保存性 な どに加 えて

1) 味、 匂いな どを含 めて使用 しやす い剤型であ ること、

2) 使用 量の調節 が可能 である こと、

3) 短 い治療期 間で効 果が現れ る こと、

4) よ り高 い安全性 と低 い副作用 率、

5) 他剤 との相互作用 の少ない こと、

な どが 求め られ る。

1)、2)

に関 して は、内服剤 については錠剤よ りは液 剤、 あるいは細粒 の方が 好 ましく、

4)に

関 しては、 外用 剤 を誤 って 他部位 に使 用 した場合 の刺激性 や、 全 身使用 の薬剤 につ い

て は成長 やホルモ ンへ の影響、 あ るいは特定 の組織へ の沈着が特 に重 視され る。

小児 に対 して局所 用、 全身投 与 の抗真 菌剤 を使用 す る機会 は多 い。対 象 とな る疾患 は、生

後す ぐに生 じるおむつ 部 のカ ンジ ダ症、 よ り年長児 の頭 部 白癬、 体 部 白癬、 疲 風な どの表 在

性 真菌症 と、 白血病や腫 瘍 の治療 中の、immunccpromed

host

に合併する深在性 のカ ンジ ダ

症、 アスペルギルス症や、 菌血症な どが ある。

現在広 く使用 され て いる外用 抗真菌剤 にっいては、 特 に問題 とな るこ とはない。 全 ての皮

膚 の表在性真菌症 に対 して、成人 と同様 の適応 と治療期 間で用 いる ことが できる。

抗 真菌剤 の全 身使 用 に際 して は、通常 体重 に応 じた使用 量 が選 ばれ る。従来 よ りグ リセ オ

フル ビンに ついては、 年齢 に応 じて、1-3錠

な どの範 囲で加減 され、 頭部 白癬 にたいして

は約3ヶ 月、 爪 白癬 に対 しては6-10ヶ

月 の使用期間 が適 当 とされ てきた。 最 近登場した

新 しい薬剤、 フル コナ ゾール、イ トラコナ ゾール、 テル ビナ フィ ンについて は、 有効 性は確

認 され た もののまだ小児 への安 全性 は確立 してお らず、 また上記 疾患 に対す る 内服期間 も十

分 に検討 されて いない。 これ まで の内外 での使用成績 を見 る限 りで は、 内容、 頻度 ともに特

に問題 とな る副作用 は見 られてお らず、 グ リセ オフル ビ ンよ りは短縮 できる こ とが期待 され

ている。

深在 性 のカ ンジダ症、 アスペ ルギルス症 にたいす るフル コナ ゾール、 イ トラコナ ゾール、

テル ビナ フィンな どの有 用性 は認 め られて いるが、immunocompromised host

に合併す る深在性

真菌症 につ いて は、十 分 な治療効 果が え られ にくい。予 防的な投与 をふ くめて菌血症 に対 す

る治療 と共 に今後 の問題 として残 され る。

(9)

-42-SII-2-2)

高 齢 者 にお け る 抗 真 菌 薬 の投 与 とそ の 問題 点

内科

深 山牧 子

(東京 都 老 人 医療 セ ンタ ー)

高齢者 に おける抗 真菌薬投 与上 の問題点 を検 討す るた めに、深 在性真菌 症の実態 を調べ、

ハイ リスク群 を確認 し、そ の上で 治療成功 例 と失敗例 につい て検討 し、高齢者 における抗真菌

薬 の適 応 と治療 方法 を考 察 した。

まず、 高齢者 における深在性真 菌症 の実 態 を調査 する 目的 で、1989年1月 か ら1997年12月 ま

での連続剖検1663例 につ いて検討 した。 深 在性真 菌症 は20例 (男性12例、 女 性8例61-101歳

平均7&7歳)

に み られ、 そ の内訳 はカ ンジ ダ症l1例、 ア スペル ギル ス症10例 (うち2例 はカ ンジ

ダ とア スペル ギル スの重 複感 染)、 ク リプ トコック ス症1例 であ った。20例 の基 礎疾患 は、 カ

ンジダ症 では感 染症3例、 心不全2例、 固形癌2例、 血液悪性腫 瘍1例、 膠 原病1例、 脳血管障害1

例 であ った。 ア スペルギ ルス症 で は血液悪 性腫瘍5例、 固 形癌3例、 心不全1例、 感 染症1例 であ

り、ク リプ トコ ックス症 の基礎 疾患 は認 め られなか った。

血液 疾患 の 占める割 合 が少ない ことか ら、 この期 間 の血液 悪性腫瘍 を調べ た ところは88例 あ

り、これ らの死 因は感 染 症8例、 脳 血管 障害3例、 窒 息3例 であ り、残 りは原疾患 による もので、

真 菌感 染症 が問題 にな る ことは少 なか った。 血液病 棟で の白血病 を中心 として抗癌化学 療法を

行 な う際の、真 菌感 染予 防プ ロ トコールはAMPHの

気道 吸入143mg/日、

消化管滅 菌 には

1500mg/日

のAMPH服

用 を行 なって い る。一 般抗生物 質不応 の発 熱時に は、 アゾール系抗真

菌薬 (主 としてFLCZ)

を投与 してお り、AMPHの

静脈 内投与は まれで ある。 ただ し、アス ペル

ギルス 症 にお いて血液疾 患 の頻度 が多 い ことは、FLCZだ

けで は対応 しきれない ことを示 唆 し

てお り、今後 の検 討課題 であ る。

他方、 膠原病 科病棟で は、種々 の疾患 にステ ロイ ドを投与 する機会 が多 く、 特にステ ロイ ド

投与量 が1mg/kgと

な る と真菌感 染 の頻度 は増す。 一般抗生 物質不応 の発熱例 では、FLCZ投

を開始 するが無 効な場合 が多 く、AMPHに

変更 している。 多 くの場合、 臨 床検 体か ら真菌 は分

離で きていな いが、 診 断 に β-D-グルカ ンの測定 が有用 で あった。

高齢 者で のFLCZ100mg/日

投与時 の体 内動態 を7例 (平均81.9歳、 平 均体重43.2kg、 平均 ク レ

アチニ ンク リア ランス37.2ml/min) で測 定 した と ころ、初 回血 中濃 度 は、24時 間後 に2.9±0.6μ

g/mlで あ り、C. albicansには有 効で あるが、C、glabrata、Cryptococcusに は無 効例 が多 い。確診 例、

あるい は真菌症 が強 く疑 われ る症 例で は、AMPHを

撰択 している が、加齢 とともに腎障害が 存

在 して いる高齢 者で は投 与量 の調 製が必要 である。

以上 の ことか ら、膠原 病な どに対 して の ステ ロイ ド大 量投与時 には、 抗真菌 薬 の予防投与 は

考慮す べ きで あ る。 また、 有効活 安全な投 与薬剤 の撰択 のた めにMIC測 定 のルーチ ン化 と、高

齢者な ど腎機能 障 害時 のAMPH投

与量 設定 のた めの ノモ グ ラフの作成 が望 ましいと思われ た。

(10)

SII-2-3)

救 命 救 急 セ ン ター にお け る深 在 性 真 菌 症 の診 断 上 の問 題 点 と治 療

-潜 在 す る真 菌 感 染 を どの よ うに検 出 す る

か-田 中秀 治、 桜 井勝、 島崎 修 次

杏 林 大 学救 急 医 学教 室、 東 京都 三鷹 市 新 川6-20-2

従 来、 真 菌 感 染 は白血病 や癌 な どの免 疫不 全 患 者 で の発 症 が 問題 とな って い た が、

熱 傷や 外 傷患 者 とい っ た生 体 に強 大 な侵 襲 とな る状 態 で も真 菌 感 染 が お こる こ とを われ

わ れ は報 告 して きた。 これ ら重 症 患 者 で は治 療 の ため に体 内 に多 くの カ テ ー テ ル を挿 入

され、 大 量 抗 生 物 質 投 与 を受 け て い る こ とが 多 いが、 と き と して重 症 感 染 か ら敗 血 症 に

陥 い る。 この 場 合 が、 単 一 の真 菌 感 染 は む しろ珍 し くのMRSAや

緑 膿 菌 な ど との混 合感

染 が殆 どで あ る。 今 回 わ れ わ れ は救 命 救 急 セ ンタ ー にお け る深在 性 真 菌 症 発 症 の頻 度 を

血清 学 的診 断 法 お よび細 菌 培 養 に て、 入 室 後 早 期 よ り経 時 的 に調 査 し、発 症 に関 わ る他

の 感 染 菌 な ど リス ク フ ァ ク ター な ど につ い て検 討 した の で報 告 す る。 対 象 と方 法: 杏 林

大 学救 命 救 急 セ ン ター に平 成9年5月 か ら10年7月 まで に 入室 した重 症患 者 の う ち、10日

以 上 集 中治 療 室 へ 入 室 した重 症 患 者83例 (B.1. 15以

上 の熱 傷 患 者、ISSl6以

上 の外 傷

患 者、JCSII桁

以 上 の意 識 障害、 そ の他 敗 血 症 や他 臓 器 不 全 な ど) を対 象 と し、真 菌 培

養、 血 清 学 的検 査、 臨床 症状 (白 血球、 発 熱、SIRSポ

イ ン ト、血 中サ イ トカ イ ン) な ど

の検 討 を入 院後1、3、5、7、14、21、28日

目 にお こな った。 結 果: 受傷 直 後 の 真 菌培 養

検査 で は 口腔、 疾培 養 か ら10%以

下 に真 菌 が認 め られ た が、 受 傷 後3、5病

日で 真 菌 は

口腔 内感 染 が 高 率 (83%)

とな っ た。 次 い で 疲培 養 が 最初 の1週 間以 内 でみ られ た。 こ

れ と同様 に便 培 養 も受傷 後3、5病

日で 陽性 率 が 高 まった。 尿培 養 陽 性 は わず かで あ り、

血 液 培 養 は1例 も認 め られ なか っ た。 い わ ゆ る

Nosocomialin ection

が主 体 と考 え られ た。

血 中1-3-ベ

ー タDグ ル カ ンは発 症 直 後 か ら上 昇 し、 第 一 病 日で97.7pg/mlと な るが そ の後

徐 々 に低 下 した。 そ の後 感 染 を合 併 す る5-10病 日で 再 上 昇 した。 しか し血 中1-3-ベ

ー タ

Dグ ル カ ン値 はSIRSな

どの 臨床 像 とは一 致 をみず、TNF-α

とは軽 度 の相 関 をみ たが、

IL-1、IL6と

は相 関 は な か っ た。 しか しIL-10と 有 意 な相 関 をみ た。 真 菌 感 染単 独 での 死

亡 は ない もの の、 カ ンジ ダ陽性 患 者 で は緑 膿 菌 な どの他 の 細 菌 の 感 染 も高 率(92%)に

合併 した。 フ ル コナ ゾ ー ル400mg/日

の投 与 を行 っ た症 例 の 殆 どが 投 与前 の1-3-ベ

ー タ

グル カ ン は高 値 を示 して お り、投 与 後 にはす み や か に低 下 した。 考 案: 真 菌感 染 が 院内

感 染 の 原 因菌 と して年 々増 加 の傾 向 にあ り、重 症 患 者 と くに集 中治 療 領域 で の 真 菌感

染 に は治 療 者 を含 め そ の発 生 に対 して 医 療従 事 者 は認 識 を新 た にす べ きで あ る。 しか も

我 々が 考 えて い る よ り も遥 に早 期 に真 菌感 染 が 多 く発 生 して い た こ とが 本研 究 で 明 らか

に な っ た。 そ の 多 くは 口腔 内 か ら気 管 チ ュ ー ブ を介 して のNosocomial infectionであ り、

つ い で抗生 物 質 の頻 用 の結果、 腸 管内 細 菌 叢が 変 化 し真 菌 が増殖 す る ことが 考 え られ る。

この理 由 と して外 傷 や 熱 傷 が 広 範 囲 に及 ぶ と、1)

気 管 内挿 管 チ ュ ー ブや 中心 静脈 や尿

道 に カテ ー テ ルが 複 数 以 上 挿 入 され る た め常 在 菌 であ る真菌 感 染 が繁 殖 しや す い。2)

抗 生物 質 に よる消 化 管 の正 常 細 菌 叢 の崩 壊 と機 械 的 なバ リアー (粘膜 バ リア ー) の 喪失

か らMicrobial translocation

(MBT) が 発 生 し、 全 身 に真 菌 が播 種 され る原 因 とな る。3)外

傷 後 の 侵 襲 に よ り急 激 に

immuno conpromized な 状 態 に 陥 る。 こ と な ど が あ げ られ る。

もっ と も効 果 的 な対 策 法 は 早期 診 断 と早 期 治療 以 外 に は ない。 す なわ ち外 傷 (ISSI5

以 上 で呼 吸 器 を2週 以 上使 用 す る)

や 熱傷 (BII5以 上) 患 者 で は真 菌感 染 が か な らず 発 生 す

る と考 え、 経 時 的 に血 清 学 的、 真 菌 学 的 モ ニ ター を怠 らな い こ と、 経 口 な らび に経 静脈

的 な抗 真 菌 剤 の投 与 が 効 果 的 で あ る。 結 語: 重 症患 者 の真 菌 感 染発 生 をProspectiveに 検

討 す る こ とで 救 急 領 域 で の真 菌発 生 の傾 向 が 判 明 した。1-3-ベ

ー タ グ ル カ ンは迅 速 に

測 定 で き、 真 菌 感 染 の発 生 を早 期 に把 握 で きる指標 で あ った。

(11)

SII-2-4)

造 血 器 悪 性 腫 瘍 に お け る 抗 真 菌 薬 の 投 与 と そ の 問 題 点

順 天 堂 大 学 医 学 部 内 科 (血 液 学)

造 血 器 悪 性 腫 瘍 に 合 併 す る 真 菌 症 は、 生 前 の 粘 膜 病 変 ま で 含 め る と カ ン ジ ダ 症

が 最 も 多 く、 ア ス ペ ル ギ ル ス 痒 の 順 に な る が、 剖 検 例 で 見 る と 逆 に ア ス ペ ル ギ ル ス

症 が 多 く 治 療 に 難 渋 す る 場 合 が 多 い。 い ず れ に し て も ク リ ブ ト コ ッ ク ス 症 は 多 い も

の で は な い が、 決 し て 忘 れ て は な ら な い 疾 患 で あ る。

造 血 器 悪 性 腫 瘍 に お い て は

寛 解 に 導 く べ く 各 種 抗 癌 剤 の 併 用 療 法、 骨 髄 移 植 (BMT)

や 末 梢 血 幹 細 胞 移 植 (PBSCT) な ど が 行 わ れ る が、 末 梢 血 白 血 球 数 が 無 い か 減 少 し た

状 態 で、 抗 生 剤 に 不 応 の 発 熱 を 見 る と き、 深 在 性 真 菌 症 を 合 併 す る こ と が 多 い. 特

に 顆 粒 球 数 が500/μL以

下 の 状 態 が3週

間 以 上 持 続 す る と、 ア ス ペ ル ギ ル ス 症 発 症 の

確 率 は 高 い。

当 然 抗 真 菌 剤 の 予 防 投 与 が 行 わ れ、 白 血 球 減 少 に 対 し て は 穎 粒 球 あ る い は 単 球 コ

ロ ニ ー 刺 激 因 子 (G-CSF、M-CSFやGM-CSF)

が 用 い ら れ る が、 不 応 の こ と も あ る。

ク リ プ ト コ ッ ク ス 症 や カ ン ジ ダ 症 に 関 し て は、 現 在 市 販 さ れ て い る 薬 剤 で も あ る

程 度 の 効 果 は 期 待 で き る が、 ア ス ペ ル ギ ル ス 症 や ム ー コ ル 症 に 関 し て は 未 だ 十 分 と

は 言 え な い。

Cryptococcus

や Aspergillus

な ど の 外 因 性 真 菌 に よ る 感 染 症 に 関 し て は、 現 疾 患

に 対 す る 化 学 療 法 開 始 以 前 に 危 険 因 子 と な る 真 菌 の 除 去、 治 療 中 外 界 か ら の 持 ち 込

み を 遮 断 す る と 言 っ た こ と が 必 要 で あ る。

臨 床 の 場 で は 血 液 悪 性 疾 患 の 化 学 療 法 中 に 抗 生 剤 不 応 の 発 熱 を 認 め て も、 穎 粒 球

数 が 回 復 す る こ と に よ っ て 解 熱 す る こ と が 多 く、 抗 真 菌 剤 療 法 が 中 止 さ れ る こ と が

し ば し ば 見 ら れ る。 そ の た め 次 に 化 学 療 法 を 行 っ た 際、 再 度 発 熱 を 見、 取 り 替 え し

が っ か な い 結 果 に な る こ と が あ る。

造 血 器 悪 性 腫 瘍 治 療 中 に 合 併 す る 各 種 真 菌 感 染 症 に 対 す る 選 択 薬 剤、 検 出 真 菌 に

対 す る 各 種 抗 真 菌 剤 のMIC、

抗 真 菌 剤 の 投 与 量 と 血 中 濃 度 と の 関 連、 投 与 期 間 と い

っ た こ と を 検 討 し、 更 に 症 例 を 呈 示 し て ご 批 判 を 仰 ぎ た い。

(12)

sII-3

外 用 抗 真 菌 剤 の 現 状 と展 望

渡 辺 晋 一

帝 京 大 学 医 学部 皮 膚 科

一 般 に外 用 抗 真 菌 剤 は内 服 薬 と比 べ全 身的 な副作 用 が ほ とん ど見 られ な い の で、

薬効 さえ あ れ ば 副作 用 が 多 少 強 くて も、 外 用 抗 真 菌剤 と して使 用 す る こ とが で き る。

さ らに多 くの表 在 性 皮 膚 真 菌 症 で は原 因真 菌 が 表 皮 の角 層 に存 在 す るた め、 そ の治 療

に は外 用 抗 真 菌 剤 が 第 一 選 択 薬 とな っ て い る。 そ し て近 年抗 真 菌剤 のMCは

著 し く向

上 し、 一 日 一 回 の外 用 で も有 効 な外 用 抗 真 菌 剤 が次 々 と開発 され た。 しか も作 用 機 序

の異 な る薬 剤 も多 く登 場 し、 た とえ薬 剤 耐 性 菌 が生 じた と して も そ の耐性 菌 に対 応 で

きる よ う に な っ た。 しか しこの よ う な薬 剤 の登 場 に もか かわ らず、 臨床 上 の有 効 率 や、

菌 陰性 化 率 の 向上 は あ ま りみ られ て い な い。 そ の原 因 と して、 す で に市販 され てい る

薬剤 の有 効 率 が か な り高 い ため、 現 在 の治験 の 方法 で は薬剤 問 の差 が 出 に くい こ とや、

MICの 測 定 が 培 地 や培 養 条件 に左 右 され、 必 ず しも臨 床 的 な有 効 率 と一致 し な い こ と

な ど、 薬 効 評 価 が必 ず し も容 易 で は な い た め と考 え られ る。 また 皮 膚 糸 状 菌 に 関す る

限 り耐 性 菌 は み つ か つ て い ない の で、 敢 て作 用機 序 の異 なる抗 真 菌 剤 を開発 す るメ リ ツ

トは今 の と こ ろ少 な い よ う に思 わ れ る。 実 際 我 が 国 で は依 然 と して足 白癬 で悩 ん で い

る患 者 は多 く、 これ ら新 規 外 用 抗 真 菌 剤 が 多 数 登 場 した に もか か わ らず、 白癬 の治 療

が 容 易 にな っ た わ け で は な い。 この原 因 の一 つ と して、 現在 市販 され て い る外 用 抗 真

菌 剤 の コ ン プ ラ イ ア ンス の悪 さ に よ る もの が考 え られ る。 例 え ば 足底 の角 層 の tumover

は約4週 間 で あ る の で、 外 用 抗 真 菌 剤 が表 皮 の深 くまで浸 透 しな い限 り、足 白癬 の 治 療

には4週 間 以 上 毎 日抗 真 菌剤 を塗 り残 しが 無 い よ う に塗 り続 け な け れ ば な らな い。 しか

も角 層 の厚 い部 位 で は さ らに 長期 の外 用 を要 す る。 しか し、 この よ うに長 期 に わた っ

て抗 真 菌剤 を きち ん と塗 り続 け る こ と は実 際 の とこ ろ困 難 で、 多 くの足 白 癬患 者 は 中

途 半端 な治 療 を続 け て い る か、 自覚 症 状 が 無 く な る と治 療 を中断 して し ま う。 さ ら に

自覚 症 状 が 乏 しい未 治 療 の足 白癬、 爪 白癬 患 者 が多 く存 在 す るた め、 せ っ か く足 白 癬

が 治 癒 して も これ ら の患 者 か ら、 あ る い は患 者 自 身 の爪 白癬 か らの再 感 染 が お こる。

従 っ て足 白 癬 を根 治 す る た め に は、 患 者 自身 の 足 白癬 ば か りで な く家 族 の 足 白癬 や合

併 して い る 爪 白癬 を根 治 す る こ とも必 要 とな る。 と ころ が外 用剤 で は角 層 の厚 い部 位

や爪、 毛 に は薬 剤 が 浸 透 しな い の で、 角 質増 殖 型 足 白癬 や爪 白癬 な どの治 療 には、 ど

う して も内 服 薬 が 第 一選 択 とな って し ま う。 そ こで今 後 の外 用 抗 真 菌剤 が 目指 す も の

と して は、 まず 第 一 に治 療 期 間 の 短縮 や 二 日 に 一 回 の外 用 で よい とい っ た コ ン プ ラ イ

ア ン ス の 向 上 を 目指 す 必 要 が あ る。 そ の た め に は薬 剤 のMCの

低 下 を 目 指 す ば か り で

な く、薬 剤 の角 層 へ の貯 留性 を高 め る 工 夫 を行 うべ きで あ る。 さ らに外 用 抗 真 菌剤 の

皮 膚 へ の浸 透 性 を高 め、 爪 白 癬 や角 質 増 殖 型足 白癬 の治 療 が可 能 な薬 剤 の 開発 も必 要

とな る。 そ の 一 つ と して ネ イ ル ラ ッカ ー タイ プ の外 用 抗 真 菌 剤 な ど も よい の か も知 れ

な い。 も し薬 剤 の浸 透 性 が 向 上 し、真 皮 へ も薬 剤 が 到 達 す る こ とが で きれ ば、 深在 性

皮 膚 真 菌症 に対 して も、外 用 抗 真 菌 剤 が 第 一 選択 薬 に な る よう にな る と思 わ れ る。

(13)

SII-4-1)

全身性抗真菌 薬の展望-非ア ゾール系抗真菌薬

前崎繁文

(長崎大 ・医 ・第二内科)

深在性真菌症の治療はフルコナゾールな ど抗 真菌活性に優れ安全性の高い新しいアゾール系抗真菌薬

の登場によって新 しい展開を迎えたしかし、免疫 不全患者の深在性真菌症 として予後不良なアスペルギ

ルス症などの糸状菌による真菌症には、今でもアムホテリシンB (AMPH-B) が第 一選 択薬であるが 腎毒

性な どの副作用を高率に認めるため、

十分な用量を投与できない症例 も多レ、

そのため、AMP-Bの 優れた

抗真菌活性を保ちつつ安全性の優れたAMPH-B脂

質製斉唖

が開発 されその中のいくつかはすでに欧米では

臨床使用されているAMPHB脂

質製剤はその体内動態の特徴から肝臓や脾臓などの網内系に捕捉されや

す く、肝脾カンジダ症では優れた治療効果を認めたが 肺アスペルギルス症では十分な有効性が得 られ

なかったそのため我々はマウス肺内皮細胞に対するモノクローナル抗体を付与したAMPH-B脂

質製剤を

用いて、マウス肺アスペルギルス症において優れた治療効果を認め、さらに高いAMPH-B肺

吋 農度が長

時間維持 されることを報告 したまた直径が25∼50mmと 極めて小さい脂質超微粒子にAMPH-Bを

封入 し

たAMPH-B脂

質製削 (NS718) を用いて、

ラット肺アスペルギルス症およびマウス肺クリプ トコックス

症の治療を行い、

低用量でAMPH-Bと

ほぼ同等の治療効果を認めるとともに、AMPH-Bの

毒性を認め

る高用量投与においても毒性を示さず、さらに優れた治療効果 と臓器内菌数の抑制 を認めることを報告 した

またヒ ト培養腎尿細管細胞を用いて、本剤はAMPH-Bに

比べて細胞障害性が軽微であることが示され、

腎毒性など安全性においてもAMPH-Bよ

り優れていることが示唆 された。

これ までの抗真菌薬は真菌と同様の真核細胞であるヒ ト細胞に対 しても非選択的に作用 しその ことが

臨床的に副作用の原因と考えられている。

また、 アゾール系抗真菌薬はある程度、 真菌細胞に特異的に

作用するが その抗真菌活性は静菌的[6ある。

また、

近年、 臨床的に問題 となっているアゾール耐性カン

ジダ属などでは多 くのアゾール系抗真菌薬に交差耐性を認めることが示唆されてお りよ り真菌に特異的

な作用点を有し殺真菌作用を持つ新 しいカテゴリーの抗真菌薬が開発 されている。中でも真菌細胞壁の

合成に重要な働きをする1、3-β-D-グルカン合成酵素阻害剤が注目され、試験管内でカンジダ属やアスペル

ギルス属な どに対 して優れた抗真菌活性を示合後の動物感染モラrル

における治療 効果や臨床的な有用性

の検討が待ち望まれるその他キチン合成酵素阻害剤やマンナン合成酵 素阻害剤などの化合物も基礎的に

その抗真菌活性および動物感染モデルにおける有効性が検討されてお今後の臨床的検討が期待されてい

る。

(14)

SII-4-2)4全

易 用 航凛 菌 薬 の展 望2)

ア ゾール 係 抗 真菌 藁

二 木 芳 人

川 崎 医 科大 学呼 吸 器 内科

ア ゾー ル 系抗 真 菌 薬 は、 現在 全 身 用 抗 真菌 薬 と して は最 も頻 用 され て い る薬 剤 群 で

あ る。 優 れ た抗真 菌 活 性 を有 す るに加 え、amphotericin

B(AMPH) な どに比 し安 全 性 に優 れ、

fluconazole (FLCZ) な どは体 内動 態 や 臓 器 移 行 性 が 極 め て 良好 で あ る こ とが そ の理 由で あ

ろ う。 現 実 に これ らの 臨床 応 用 開始 依 頼、 深 在性 真 菌 感 染症 にお け る経 験 的 治 療 (empiric

therapy) が 普 及 し、 カ ンジダ感 染 症 な ど一 部 の深 在性 真 菌症 で は予 後 の 明 らか な 改 善 が認

め られ る よ うに な って い る。 他 方、 これ らア ゾー ル系 抗 真 菌 薬 の頻 用 は、 幾 つ か の 問題 点

を も浮 き彫 りに してい る。

ま ず 第 一 に 挙 げ ら れ る 問 題 点 は 耐 性 に 関 して で あ り、 最 も有 用 性 の 期 待 で き る

o. albians の耐 性 化、 加 え て 本来 耐 性 傾 向 に あ るc. albians以 外 の カ ンジダ 属や ア スペ ル

ギ ル ス 属 な どに よ る感 染 症 の相 対 的増 加 が あ り、各 々ア ゾール 系抗 真 菌 薬 の頻 用 が その 誘

因 で あ る こと は明 らか で あ る。 耐 性以 外 の問題 点 と して は、 そ の作用 が 静 菌 的 で あ るこ と

や 他 剤 との併 用 の是 否 な ど も挙 げ る こ とが 出来 る。 また、 安 全 性 面 で は本 系統 薬 は 比較 的

副 作 用 も少 な く使 い 易 い と考 え られ るが、 薬 物相 互作 用 はア ゾ ール 系抗 真 菌 薬 に特 有 の も

ので あ り、 長 期 使 用 例 な どで は注 意 す べ き もの で あ ろ う。

この よ うに 考 え て くる と、 ア ゾ ール 系 抗 真 菌 薬 に望 ま れ る将 来 像 は比 較 的 明確 で あ る。

す な わ ち、 最 大 の特 徴 で あ る高 い安 全 性 と良好 な組織 移 行 性 を維 持 した ま ま、 耐性 菌 も含

めて よ り幅広 く強 い抗 真 菌 活性 を持 たせ る こ とで あ り、特 に抗 ア スペ ル ギル ス活 性 の改 善

は不 可欠 で あ ろ う。 この開 発 目標 に従 って、 現 在 まで に多 くの 誘導 体 の 開発 が各 製 薬企 業

の研 究 所 で す す め られて い る よ うで あ るが、 国 内で検 討 中の誘 導 体 に はTAK-187、SSY726、

T-8581、ER-30346な

どが学 会 発 表 され て い る。 ま た、 海 外 で は既 に 臨床 試 験 に入 って い る

もの と して、voliconazole、SCH56592な

ど数 種類 が あ り、 この う ちvoliconazole は近 く我

が 国 で も臨 床 開 発 が 開始 され る予 定 で あ る。 本剤 は優 れ た た抗 アスペ ル ギ ル ス活性 に加 え

て、FLCZ耐

性 真 菌 の 多 くに も強 い 活 性 を示 す もの で、 経 口あ る い は静注 時の バ イオ アベ イ

ラ ビ リテ ィ も高 い とされ て い る。 臨 床 的有 効 性 や安 全 性 は現 在 評 価 途上 に あ るが、 期 待 さ

れ る薬 剤 の1つ

で あ ろ う。 た だ過 去 に臨床 開発 が 行 わ れ、 副 作用 や 体 内動 態 の問題 な どで

中 断 に 到 っ た 薬 剤 も必 ず し も少 な くな い の で、 慎 重 な 臨 床 評 価 が 望 ま れ る。

ア ゾール 系 抗 真 菌薬 は現 在 で は全 身 用 抗真 菌薬 の 中心 的存 在 で もあ る。 そ の特性 を さ ら

に生 か す 新薬 の 開発 に も当然 大 きな期 待 が か け られ るが、 現 在 臨床 応 用 中の薬 剤 にっ い て

も、 幾 つ か の 明 らか にす べ き点 や使 用 上 配 慮 すべ き点 もあ り、 これ らを 考 え なが ら理 論 的

な抗 真 菌 薬療 法 を 実施 す る こと も重 要 で あ ろ う。

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-48-ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー1 L1-1 皮 膚 疾 患 と 真 菌 と の 関 わ り 田上 八 朗 (東北 大 ・医 ・皮) 皮膚 の真 菌 感染 で は、感 染 の 部位 に炎 症 が生 じるほ か、 そ こか らの菌 抗 原 の 散布 に よ り、免 疫 反 応 と してのid反 応 が お き、皮 膚 疾 患 を生 じう る こ とが 古 くか ら記 載 され て い る。この よ うな もの と して結 節 性 紅 斑、環 状 紅 斑 な どの報 告 が あ るが、 ケ ル ス ス禿 瘡 にお け る躯 幹 の 苔癬 状 白癬 疹、足 の 汗庖 状 白癬 に と もな う手 指 の 小 水庖 型 白癬 疹 以外 に現 在、 は っ き り と関係 づ け う る もの は少 な い。 近 年 ク ロ ーズ ア ップ され て きた もの と して は、環 境 あ る い は皮 膚 表 面 の真 菌 に よる皮 膚 炎 の 誘発 や増 悪 の可 能 性 で、抗 真菌 療 法 の 効 果 も報 告 され つ つ あ る。 具 体 的 に は、 まず、 表 皮 内、 角 層 へ 向 けて の 炎症 細胞 の遊 走 の み られ る脂 漏 性 皮 膚 炎、あ る い は乾 癬 の病 変 部 に お け る炎症 症 状 発 現 の た め の 補 体 活 性 化 へ の 脂 漏 部 位 の 寄 生 真 菌 で あ る Malassez fafurfurの 関 与 の可 能 性 で あ る。 さ らに、ア トピー性 皮 膚 炎 で の1型 あ るい はIV型 ア レル ギ ー に 基 づ く炎症 反 応 の 抗 原 と してのM. fafurfurや Candldaa albidna、さら に空 中 真菌 の果 た す役 割 が 注 目 され てい る。と くに、C. albidna抗 原 へ の皮 膚 の反 応 性 で は、正 常 人 は もち ろ ん、他 の呼 吸 器 ア レル ギ ー性 疾 患 患 者 に もみ られ な いユ ニ ー ク なIV型 か らI型 ア レル ギ ー反 応へ の シ フ トが 認 め られ る。 L1-2 ア ゾ ー ル 系 抗 真 菌 剤: そ の 薬 物 特 性 と 生 体 へ の 作 用 安部 茂 (帝京 大 ・医 ・微 生 物) ア ゾ ール 系抗 真 菌 剤 の抗 真 菌 活性 発 現 機 序 は、主 に真 菌 のエ ル ゴス テ ロー ル合 成 に関 わ るチ トク ロ ームP450 14DMの阻害 と考 え ら れ て い るが、 個 々 の薬 剤 の 特性 は、必 ず し も明 解 に説 明 され てい ない。生 体 内 で の薬 剤 特 性 は、薬 剤 の 真 菌 に対 す る直 接 作用 だ け で な く宿 主側 との 相 互作 用 の有 無 な どに よ って も規 定 され る もの と考 え られ る。 宿 主側 の重 要 な因 子 と して の免 疫 関連 細 胞 に対 す る ア ゾー ル系 薬 剤 の作 用 は、多 くは抑 制 的で あ ろ うと90年 代 前 半 ま で推 定 さ れ て い た。 最 近、 本剤 の一 部 が、 宿 主細 胞、 ま たは真 菌 と宿 主 との 相 互作 用 に対 して 様 々 な 影響 を与 え る こ と、 ま たそ れ を介 して、 薬剤 の有効 性 や副 作用 も影響 を うける こ とが報 告 され て きてい る。 こ こで は、ア ゾー ル系 抗 真 菌剤 を と り上 げ、(1)食 細 胞 の 活性 化 な どの免 疫 増 強活 性、(2)細 胞膜 との相 互作 用 に よって 発 現す る 副作 用、(3)体 表 表 面 を覆 う外 分 泌 液 に含 まれ る抗 真 菌物 質 (リ ゾチ ー ム、 ラ ク トフェ リン な ど) との相 乗 的抗 真 菌 活性、(4)抗 細 菌 活性、 抗 炎 症 効 果、 創傷 治 癒 効 果 な どの そ の他 の 活性、 に つ い て 述べ る。そ れ らを もと に、個 々 の薬 剤 の特 性 へ の理 解 を深 め、 今 後 の ア ゾ ール系 抗 真 菌 剤 の新 た な展 開 につ い て考 えた い。 L1-特 別 発 言 自然 界 に抗 真 菌 作 用 を見 る: エ ッ セ ン シ ャル オ イ ル を例 に 井 上 重 治 (帝京 大 ・医真 菌 研) 初 夏 の カ ラ コル ム ・ヒマ ラ ヤ を訪 れ る と、2000mか ら3500m付 近 に野生 の ラベ ンダ ーや タイ ムの 紫花 が た くさ ん咲 いて い て美 し い。 ラベ ンダ ーの 花 は昔 は石 鹸 の代 わ りに用 い られ、 タイ ム の花 は現在 も健 康 茶 と して服 用 され て い る。一 方、私 の家 の まわ りに は、梅 干 の色 づ けや 料 理 の つ ま に用 い る野 生 の シ ソが は び こ って い る。 これ らの 植 物 か ら出 る揮 発性 の精 油 (ラベ ンダー 油、タイ ム油、 シ ソ油) の抗 菌 活 性 を調 べ る と、細 菌 よ り も真 菌、 と りわ け糸 状 菌 に 強 い活 性 を示 す こ とが 判 明 した。 これ らに加 え て、 ユ ズ 油、 テ ィー トリー 油、 レモ ング ラー ス油、 シ ナモ ンバ ー ク油 な どを用 い て詳 細 に調 べ る と、1)親油 性 の 強 い植 物 精油 の蒸 気 は胞 子 や 菌 糸 に よ く吸 収 さ れ る こ と、2)エ ー テ ル、ア ル コー ル、ケ トン主体 の精 油 は静 菌作 用 を、 ア ルデ ヒ ド主 体 の精 油 は殺 菌作 用 を、 フェ ノー ル主 体 の精 油 は 中間 的 な作 用 を示 す こ とが分 か った。 これ ら の精 油 は水 溶 液 と して作 用 させ る よ り も、蒸 気 の方 が 活性 が 高 く、 そ の作 用 点 も胞 子 の 発 芽抑 制、 菌 糸 の伸 長 阻害、 胞子 の形 成 阻害 な ど多 彩 で あ る。精 油 を用 い た ア ロマ テ ラ ピー で は、臭 覚 刺 激 に よる心 理 的、 生理 的 な効 果 と、直 接 的 な薬 理 効 果 の双 方 が 関 与 す る と考 え られ る。 古 代 か ら宗 教 儀 式 や悪 魔 払 い に用 い られ て きた精 油蒸 気 は、今 新 しい 評価 を受 けて、真 菌 の 感染 予 防 や 治療 の 分野 で リバ イバ ル す る可 能性 を秘 め て い る。

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ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー2 L2-1 血 清 で 診 る 深 在 性 真 菌 症1. β-グ ル カン ○ 吉 田 稔 (帝 京 大 溝 口 ・医 ・第4内 科) 真 菌 菌体 成 分(1→3)-β-D-glucan (以下 β-グ ル カ ン) 測 定 に よ る深在 性 真菌 症 の診 断 の有 用 性 は 我 が 国で 広 く認 め られて き た。 そ の測 定 は以前 は間 接 法 のFungal Indexが 用 い られ た が、 近 年 は フ ァンギ テ ツクG-testに よ る直 接 法 に 移行 して い る1)。 我 が 国で行 わ れ た 多施 設 共 同研 究 の結 果 で も深 在 性 真菌 症 の 診 断法 と して 本 法 は感 度90%、 特 異 性100%と 優 れ た 結 果 が得 られ た2)。 β-グル カ ン は殆 ど全 て の真 菌 に含 まれ るた め 菌 種 の 同定 は 出 来 な い。 しか し、深 在 性 真 菌 症 の併 発 が 多 い好 中球 減 少患 者 で最 も 重要 な 事 は本 症 の有 無 を早 期 に診 断 し治 療 を開 始 す る こ とで あ り、 そ の 目的 には β-グ ル カ ン測 定 は 極 め て 有 用 と考 え られ る3)。 本 症 で 最 も多 い もの はカ ンジ ダ 症 と アス ペ ル ギル ス 症 で ある が、 最 近 増 加 傾 向が 指摘 され て いる トリコス ポ ロ ン症、 フサ リウム症 等 で も β-グル カ ンは検 出 され る4)。 さ らに好 中球 減 少 患 者 で 臨 床 上 しば しば 経 験 す る抗 生 物 質 不 応 性 の発 熱 症 例 の鑑 別 に も β-グ ル カ ン の測 定 は有 用 で、 そ の様 な 自験45例 中 β-グ ル カ ン高 値 例 が22例 (48.9%) あ り、 これ ら に ア ゾ ール 系 抗 真 菌 剤 を 投 与 した と ころ18例 (81.8%) が 有効 で あ っ た5)。 この結 果 は β一グル カ ン測 定 に よ り深 在 性 真 菌症 の早 期 診断、 治療 が 可 能 で あ る事 を 示 して い る。 [参考 文 献]

1)Obayashi T et al. J Med Vet Mycol 30: 275-80, 1992

2) Obayashi T et al. Lancet 345: 17-20, 1995

3) Iwama A et al. Eur JHaematol

51: 156-60: 1993

4) Yoshida Metal.

J Med Vet Mycol 35: 371-74, 1997

5) Yoshida M. Int J Hematol 66: 2 79-289, 1997

L2-2 血 清 で 診 る 深 在 性 真 菌 症2. 抗 原 〇 二 木 芳 人 (川崎 医 大 ・医 ・呼 吸器 内 科) 深 在 性 真 菌 症 の血 清学 的診 断法 に よ る早 期 ・迅 速 判 断 は、 重 篤 な基 礎 疾患 や 患 者状 態 を背 景 と して発 症 す る本 症 に お いて、 唯 一 強 力で 救命 的な 治療 に直結 す る もの として 期待 され る と こ ろが 大 き い。 血 中抗 原 の検 出 に よ る診 断法 は、 中で も中核 を成 す もの で、 既 にクリフ トコッカス、アスペ ルギ ルス感染 症 の診 断 にお いて 欠 く事 の出 来 な い有 用 性 を示 して いる。 これ ら診 断 法が 実 際 に 臨床 の 場で 威 力 を発揮 す るた め には、 簡 便で 信 頼 性の 高 く、か つ 経済 的 な シス テム、 す な わ ちキ ッ ド化 が 必要 で あ るが、 先 に述 べ た2つ の 真菌 属 に関 して は 各 々満 足 の域 に達 す る もの が 得 られ て い る。アスベ ルギ ルスのガ ラ外 マンナン抗 原 検 出 系 は、 ラテックス凝 集 反 応 法 の 従 来 法 か ら ELISA法 に よ る改 良型 が 登 場 し、 そ の 感 度 が 飛 躍的 に高 め られ て お り、臨床 の 場で の活 用 が期 待 されて いる。 ただ、 加 ゾダ 感 染 症 につ い て は、 現行 の いず れ のキ ッ トも感 度 あ る いは特 異 性 に 問 題 を有 してお り、よ り信頼 性 の 高 い システ ム の 開発 が望 まれ て い る。現 時 点 にお い て、 他 の血 清診 断 法や そ れ 以外 の 古典 的 な 診断 法 との組 み合 わ せ に よ って、 宿 主状 態 を も勘 案 した 総 合 的な 判定 を行 うべ き と考 え られ る。今 ひ とつ これ ら抗 原 診断 あ る い は血 清 診 断 全般 の 有用 性 を 高め る 上で 重要 な ポ イ ン トは、 そ の 運 用方 法 で あ る。 まず、 第1に 迅 速性 が 求 め られ る ので、 検 査 室 サ イ ドで の緊 急 時の 対応 体 制 を整 備 す る必 要が あ り、外 注 で行 われ る場 合 も同 様 のサ ー ビスが望 まれ る。 又、 症 例 に よ って は モ ニタ ー 的な 検 査 を行 い、 臨床 的 な症 状 発現 以 前 にそ の 発症 を知 る努 力 も必 要 と思 わ れ る。 もう一 点 は経 済 的な 問題 で あ る が、 現行 の保 険適 応 の範 囲 内 で は、 十分 な 血清 診 断 は望 むべ く もな い。 血清 診 断法 を 活 用 す る上で これ も改 善 され るべ き 大 きな 問題 と考 えて い る。 Ll2-3 血 清 で 診 る 深 在 性 真 菌 症3, 遺 伝 子 ○ 川 村 純 生、 前 崎 繁 文、 河 野 茂 (長崎 大 ・医 ・第2内 科) 真 菌 症 の確 定 診 断 には、 原 因真 菌 を病 巣 よ り病 理 学 的 に、 ある い は真 菌 学 的 に証 明す る 必 要が あ るが、 深 在 性 真菌 症 は免 疫 不 全 状 態 の患 者 に発 症 しや す く確 定 診 断 され る症 例 が少 な い。しか も、 迅 速 な診 断 と治 療 の開 始 が 患者 の予 後 に大 き く影 響 す る た め優 れ た 感度 と特 異 性 を有 す る迅 速 な診 断 法 の確 立 が 急 がれ て い る。 近 年、 感 染 症 の 迅速 診 断 法 と してPCR法 を用 い た遺 伝 子 診断 が 検 討 されて お り、培 養 が 困 難 で 同定 に長 時 間 を要 す る原 因 微 生物 に よ る感 染 症 の 診 断 にお いて 有用 な 補 助 診 断法 のひ とつ と考 え られ て い る。一 方、 深在 性 真 菌 症 で は、カンゾ ダ血 症、 肺クリプ トコックス症、 侵 襲 性 肺アスペ ルギ ルス症 な どでPCR法 に よ る検 討 が 報 告 され て い るが、 中で もアスへ ルギ ルス症 は、PCR法 の 有用 性 が 最 も期 待 され て い る疾 患 で あ る。 また、 侵 襲 性 肺 アスペ ルギ ルス症 は、 β-グカ ン、抗 原 検 査 の よ うな 従 来 の血 清 学 的診 断法 で は 早期 診 断が 困 難 な 場合 が多 く、新 た な 補 助診 断 法 の ひ とつ と してPCR法 の 開発 が 求め られ て い る。PCR法 を施 行 す る際、 血 清 か らDNAを 抽 出す る 時singlePCR法 だ け で は検 出感 度 が 不 十 分 な こ とが多 く、 よ り 感度 を高 め るた め に2段 階 のPCR反 応 を行 うnestedPCR法 が 応 用 され て い る。 当科 で は、 アスペ ルギ 匪 マ33例、 アスへルギ ルス膿 胸3 例、 侵 襲 性肺 アスへルギ 畝 症4例 につ い てretrospectiveに 検 討 を 行 い β-グ肋 ン、抗 原検 査、ELISA法 と比 較 して優 れ た 結 果 が得 られ た。 また、 慢 性壊 死 性 肺 アスへ. ルギ ルス症 の患 者 につ い て、 臨 床 経 過 の 追 跡 に もPCR法 が 有 用 で あ っ た。 しか し、Aspergillus 属 は 空 中浮 遊 真 菌 で あ り、nested PCR法 を 施 行 す る 場 合 は contaminationに 対 して 十 分注 意 す る必 要が あ る ことか ら、PCR 法 の問 題点 と今 後 の課 題 につ い て も併 せ て 報 告す る。

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-50-ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー3

L3

COMPARISON OF CONTINUOUS TERBINAFINE WITH

INTERMITTENT TTRACONAZOLE FOR THE TREATMENT OF

TCJENAIL

ONYCHOMYCOSIS (L. I. ON STUD

O E. Glyn V. Evans, PHLS Mycology Reference Laboratory, University of

Leeds and General Infirmary, Leeds, LS29JT, LTK

Terbinafine and itraconazole have been found to be both safe and much

more

effective than griseofulvin for the treatment of fungal nail disease.

Continuous therapy has been the norm but intermittent dosing of

itraconazole has recently been advocated to improve its safety and cost

profile. This study compares continuous terbinafine therapy with

intermittent itraconazole therapy to evaluate their respective efficacy, safety,

and tolerability in the treatment of toenail onychomycosis.

Aprospective, randomised, double-blind, multicentre, parallel-group,

72-week study of 496 patients was performed in four treatment groups:

terbinafine 250mg/day for 12 or 16 weeks(T12 and TIC and itraconazole

400mg/day for 1 week in every 4 weeks for 12 or 16 weeks (13 and 14).

The primary efficacy assessment at week 72 was mycological cure(negative

microscopy and culture). Time to mycological cure was also assessed.

Secondary efficacy assessments were also performed, namely, 'clinical cure',

'complete cure', 'clinical efficacy'and percent nail improvement. Patients

were evaluated at weeks 4, 8, 12, 16, 24, 36, 48, and 72.

At the week 72 evaluation, the mycological cure rates were 75.7%

(81/107)in the T12 group, 80.8% (80/99)in the T, 6 group compared with

38.3% (41/107) in the I3 group, and 49.1% (53/108) in the 14 group. All

cornparisans (T12 vs I3, T, Z versus I4, T, &versus I3, T16 vs I4)showed

significantly higher cure rates in the terbinafine groups(F<0. 0001, 0.0002,

<0.0001, and <0.0001, respectively). The median time to mycological

cu. re was 24.9 weeks for T12, and 24.4 weeks for T16, while for itraconazole,

it was 36.1 weeks for both groups. Comparisons with respect to all clinical

assessments also demonstrated statistically superior cure rates in both the

terbinafine groups compared with the itraconazole groups. Overall, the

comparisons of safety data showed no differences between the study groups

wits of safety data showed no differences between the study groupd.

In conclusion, for the treatment of toenail onychornycosis, terbinafine

(250mg/day) given conltinuously for 12 weeks or 16 weeks results in

significantly higher mycological and clinical cure rates than itraconazole

(400mg/day) given intermittently for l week in every 4 weeks for either 12

weeks or 16weeks.

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ラ ン チ ョ ン セ ミ ナ ー4 L4-1 皮 膚 糸 状 菌 の 角 層 内 へ の 侵 入 条 件 滝 内石 夫 昭 和 大 (藤 が 丘) 皮 膚 科 皮膚角 質 に付着 した皮膚 糸状 菌が、 角 質細胞 内へ侵 入 してい くこ とが 白癬発症 の第一段 階 とい える。実験 的に 白癬病 巣を作製す るた め には、脱毛や 紙やす りな どによ り、傷 つけた角質 に菌 を接種す る方法 以外 には、ODT等 に よ り菌 の接 種部位 の湿度 を高 める ことが必 須 と され る。 靴 ・靴下 を脱 いだ 直後 に第4趾 間 の湿 度 を測 定 した所、 平均97.9% と測 定 され た。 そ こで、 鋏 で 切 り取 っ た 健 常 人 の踵 部 角 質 にT mentagrophytes、T. rubrumを 接種 し、種 々の湿度 にて培 養 し、PAS 染色 によ り菌の角 質内侵入 時間 を検討 した。湿度85%以 下では、7日 間を通 じて、菌 の角 質 内へ の侵 入像 は見 られ なかった。 各湿 度 にお い て、最 も早期に侵入 した 日数 を以 下に表示 した。 一方、傷 っけ られ た角質 細胞 を想 定 し、踵部 角質の切 断面に菌 を接 種 し、同様 の実験 をお こなった。や は り各湿 度にお ける、最 も早期 に 侵入 した 日数 を以下に表 示 した。 以 上の 結果 か ら、高湿 度 は、菌 の角 質 内への侵 入 に最 も重 要 な要 因で あろ うが、 角質のわ ずかな外傷 もこれ に劣 らず大 きな要因 となつ てい るもの と思 われ、 殊 に体部 白癬 や手 白癬 な ど、湿度 の低い部 での 発症 には、む しろに湿 度 に勝 る要因 となってい る可能性が推 測 された。 L4-2 白 癬 の 炎 症 と 免 疫 ○ 田上 八 朗 (東北大 ・医 ・皮 膚 科) 白癬 の炎 症 は 生体 には異 物 で あ る 白癬 菌 が 角 層 内 に寄 生 し、そ の代 謝産 物、抗原 物 質 を放 出す る こ とに 対 し、生 体 が反 応 を起 こ す た め に生 じる。 ヒ トの 白癬 の場 合、原 因 菌 の ちが い、感 染部 位 の ちが い、また個 体 の 免疫 状 態 の ちが いに よ り、特 有 のか た ちの 皮 膚 炎 がお こ り、さ まざ まな 臨床 像 を呈す る。 しか し、深 在性 真 菌 症 や他 の内 臓 の真 菌 症 と異 な り、白癬 菌 が感 染 して い る部位 が 炎症 細 胞 の 殺 菌作 用 や 貧 食 作 用 が 及び え な い皮 膚 の バ リア膜 で あ る角 層 で ある とい う こと は共 通 す る。菌 の存 在 によ りお き る炎 症 反 応 は表 皮 を巻 き込 み、その 増 殖充 進 を生 じさせ、それ に よ り 病 的 角 層 で あ る鱗屑 の形 成 ど、そ の落 屑 とい う過 程 を経 て菌 が感 染 した 角 層 の剥 脱 が はか られ る。 炎 症 像 の成 立 に は、菌 由来 の物 質 に よ る刺 激 性 皮膚 炎、白 血球 の表 皮 内 へ の遊 走 に よ る皮膚 炎、さ らに菌 の抗 原 で あ る トリコ ブ イチ ンに 対 す る 接触 過敏 症 に も とつ くア レル ギ ー性 接触 皮 膚 炎 とが、 いろ い ろな か た ちで 関与 す る。 モル モ ッ トの実 験 白癬 で の観 察 で は、炎 症 反応 と表 皮 増殖 が も っ とも効 果 的 にお き るの は菌 の 抗 原 で あ る ト リコ フ ィチ ンに対 す る接 触 ア レルギ ー に基 づ く炎 症 反 応 で あ り、これ が お こ りえ な い個 体 で は 炎症 の 弱 い慢 性 の 白癬 が 生 じう る。ま た 白血球 の反応 が 弱 くと も感 染 は遷 延 化 し うる。

参照

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