理 学 療 法 学
第
32
巻 第3
号105
−
109
頁 〔2005
年
}報
告
理
学 療 法
学
生
の
留年経
験
と
そ
の
後
の
行動
*伊藤
日
出男
Uヒ
村佐知
子
2>石 川
玲
3)要 旨
1983
(昭和
58
)年
3
月 か ら15
年 間
にH
大学 医 療 技 術 短 期 大 学 部
理 学療 法
学 科 を 卒 業 し た 留年 経
験者
Z9
名
を対 象
とし
て,
郵 送 質 問 紙 法
に より留 年
の経 験 と学 業 を
継 続 で き た 要因
,
お よ び現 在
の理学療 法
十 とし
て の自己 評 価
につ いて調 査
し た、
調 査 内容
はD
留 年
経 験 と学 業 継 続
の要 因
,
2
)
現在
の理 学 療 法 士 と し て の自
己評 価
であ
っ た、
1
) につ いては あ ら か じ め 設定
し た回答
か ら の選 択 式
と し,
2
) につ い て は5
段
階 尺度
で評
価
を依 頼
し た。結 果
:回 答
は21
名
〔理 学 療 法
1
:経 験 年 数
:平均
10.
1
±4D
年
) か ら寄
せ ら れ た、
,留
年
に よ る挫 折 感 を克 服 し学 業 を継 続
でき
た要
因と
しては,
友
人や教員
,
家
族 な どの周
囲か ら の励 ま
しと,
自
ら発 憤
し た という 自発 的
な 要 因 が多
く選 択 さ れ た。
ま た留 年 決 定 後
は よく勉 強
した
,
患 者
や家 族
の気
持ち
が理 解
でき
る よう
に なっ た.
な ど留 年
の経 験
を肖
「
定 的
に とら え
る意見
が多
かっ た.
理 学療 法
士 と して の自
d
評
価
は,
教
育
研 究 面
よりも 臨床 面
と人 間 関 係 面
での 評価
が高
かっ た。
キー
ワー
ド理
学 療 法 学
生,
留 年
,
教
育
評価
は じめ
に最 近 大 学
生の学 力 低
下 や学 習 意 欲
の減
退,
悄 緒 面で の未 発 達
など
精神
状
態
が関連 す
る不 登 校
や休 学
・
退学
.
留
年
な どの増 加
が指 摘 さ
れている1’
5)。医療 技 術 短 期 大 学
に おい ても学 生
の異 動 状
況 に 関 す る 報 告 は 見 ら れ る が6−
9),
卒 業 者
か らの教育
評
価
に係
わ る報
tt
一
は少 な
い 10)。特
に留 年 を経 験
し た卒
業 者
の視 点
か ら出 身 校
の教 育 評 価 を 行
っ た報 告
は,
調
べ た範 囲
で は見
ら れ な かっ た.
、
本 研 究
の目 的
はt医療 技 術 短 期 大 学
に おいて留 年
を経
験 し
た理 学 療 法 学 生 を 対 象 と
して.
学
業
を継 続
で き た要
因とその後の行 動
を明
ら か にす
ることにより
,
理 学 療 法
教育
の改 善
に資 す
るこ とであ
る。なお
,
本研 究
で は「
留
年」
の定 義
と して,
「
最 低 修 業 年 限 を 越 えて在
籍 し た も の一
3)と規 定
し.
学内
の規 程 や取 得 単 位
数 に関 係 な く
4
年
以一
L
在 籍
し た もの を一
括 し て留 年 者
と し た,*
The
Fr
・
叱旧truLiullExperienced
by
Rupeating
1
’
hysiotl〕臼・
【lpy Students and rhe Lぐmg.
te1・
11/Effeじtsl}
h
’
森 県立大 学 健 康 科 f尹:部〔〒0308505 青 森 県 彦森 Illlj毒館間 瀬 58
−
PIIide〔)lto
,
RPT:Facu][y of HealLh Suiellu勝.、
、omori Umvers1【vロr IIeulLh arld IS
.
elfare2}秋出人 学医 学 部 保健学 科
Sachik〔, しemllr ;1
,
RPT:Deparlment of Ilealth SciuTICCS.
Akit}L UliiversiLy Sch(×}⊥ ⊂)f Hcalrh Sciencesn】弘 前大学 医学 剖二保 健 学 科
Akira lshikawa
.
RPT :Depとtrtulen しりf Ileal匸h Sciences、
H正msaki Univじrsity Sch〔)oi 〔)f Health Sciellcest
’
E
.
rllail・
h−
i山LXUしihth,
.
uc.
JP〔受 イ寸11 2002脅
:
4月5[[ 受理11 2005’
:十/3髭∫ユ2凵,対 象
およ び方 法
L
調
査対 象
H
大 学
医療 技 術 短
期 大学 部
理学 療 法 学 科
(入学 定 員
20
名
)に おい て,
第
1
期
生 (昭和
58
年
3
月卒
業 ) か ら第
16
期
生 (平 成
10
年
3
月卒 業
) ま で15
年 間
の卒 業
生 は301
名
で あっ た。
その う ち 所 定の届
出 や学 科 会 議 等
の資
料 に よっ て確 認で き た留 年 者
は30
名
で,
退 学 者
は18
名
(う ち除 籍
1
名
) であ
っk
,
、
留 乍 者
の中
で,
現 在 理 学療
法
士 と して業 務 を 行
っ て おり
,
同学 科
同窓 会 名
簿によ り勤 務 先 を確 認
でき
た29
名
を 調査
対 象 と し た。
2
,
調
査方法
調 査 方 法
は質問 紙 郵
送法
に よ り、
記 名
,
無 記 名
は自 由
とした
。調 査
にあ
たっ て は対
象
者
の プライバ シー
の保 護
と,
留 年 経 験
お よ び 学業
継 続
の要 因
を明
ら かにする こと の 教育
的 意義
を強 調
し協 力 を 依 頼 し
た。調 査
の実 施
に先
立っ て,
同 短期
大学 部
が母 体
とな
っ て平 成
12
年
亅0
月
に 設 置 さ れ たII
大学 医 学 部 保 健 学 科
・
理 学 療 法 学 専 攻 か ら本 研
究に対 す
る承 認 を
えた.
調査
期 間 は平
成13
年
1
ユ月
か ら1
・
,,亅年
12
月
に か け て の1
ヶ 月 問 で あっ た.
,
調
査 内
容 は 大 き く1つ に分 け ら れ
,
1
.
在 学 巾
に経 験
し た留 年
につ い て,
2
.
現 在
の理 学 療 法
1
:と
し ての臼
己評
fllli
につ い て.
であ
った
、
,
留 年
に 関す
る質
問 項 目 は,
(1
)留 年 を経 験
し た当
時の心 境.
(2
)学 業 を継 続で き た 要 因、
(3
〕留 年経 験
に 対 す る本 調
査時 点
で の心 境
,
〔4
.
)出 身 校
Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation
106 理
学療法
学第
32
巻 第3
号 の教 育 方 針
に対
する意見
の4
項
目 であ
った
。
質 問
に対
す る 回答
は,
あ
ら か じめ 図1
,
2
,
3
の よう
に(
1
) につ い て は10
項 目,
(
2
)
につ い ては
9
項 冂
,
(
3
) につ い て は8
項 目
を設 定
し,
重 要 な ものか ら 順 に3
つを選 択 す
る よう
に し た,
、(
4
) につ い ては自
由 記
述式
と
し た,理
学 療 法 十 と し
ての自己 評 価
に関す
る質
問
項
目 は,
(1
)臨 床 面
で の評 価
,
(2
)
人間 関 係 面
で の評 価
,
(3
)教 育
研究 面
で の評 価
の3
項
目 で あっ た。
回答
は「
非 常
に良
い方
だ 」 〔5
点 )
か ら,
「ま あ 良
いh
’
だ」
(
4
点 )
,
「
普 通 」 (
3
点
),
「
少
し劣
る方 だ」 (
2
点 〉
,
「
か なり劣
る方
だ 」 (1
点 )ま
で5
段 階 評 定 尺
度
で選 択 す
る よう
にし
た。結
果
回 答
は21 名
か ら寄
せ ら れ 回収 率
は70
%
であ
っ た。
記名 者
は20
名
で,
無 記 名 者 は1
名
だ けで あっ た、
,
性 別
は男性
ll
名
,
女性
1
〔〕名
で,
調
査時
全員
が 理 学療 法
1
:と
し て医療
機 関・
施
設 に勤 務
して おり
,
理学 療 法
士 経験 年 数
は平 均
10
.
1
±4
,
0
年
で あっ た。
対 象者
21
名
の在 学
期 聞の内 訳
は,
4
年
17
名
,
5
年
1
名
,
5
年
6
ヶ月
2
名
,
6
年
ユ名
で あっ た。
留 年
の原因
は学 力 不
振や病 気に よ るも
の の ほ か,一
部
に は 入 問 関係
のつまず きが 推 測 さ
れ る不 登 校
であ
っ た。 0 2 4 6 8 10 12〔人1 自 分 に 対 して 不 甲斐ない 家 族に対 して申 し訳ない隅■
留年 決 定に対す る諦め 暫灘 鼕
1
≒
成 績 不振に対する い らだち一 一
特 定 の 教 員 に 対 す る 不 満、
怒 り 躙そ の他
摯
将 来へ
の絶 望 図1
留年
が決定
し た当 時の心 境 (n;
21) re第 1位 ■第2位 」第3位覊
1
り第3位… 0 1 2 3 4 5 6 7:人) ・・
、
同 … co ・ : ・一
一 どう」て も円 「に な りたかっ
たZth。m扎 や 鯢
vampme
教 員のrc導
.
励 まL−
■ ■ ■自ら舶 した
P
S
l
.
一一
先 輩 の 励 まし ■■ ■■1−一
.
.
休 学 中 に 別 の 仕 事 を 経 験 した こと ■ その他 エ.
留 年経 験
につ いて (1
) 留
年
経 験
に対 す
る当時
の心 境 (
図
1
)
留 年
が決 定 した 時
の心 境
と して第 1位
にあ げ
ら れ た項
目のう
ちt
「自 分
に対 す
る不 甲 斐 な
さ」
(10 名)
が最 も
多
く,
次い で「
家
族 に対 す
る申
し訳 な
さ」
(5 名
)
,
「留
年 決 定
に対 す
る諦
め」 (
2
名)
,「
臨 床 実 習 指 導 者
に対
’
す
る 反 発一
/
(
2
名 ) な
どであ
っ た。
選択
さ れた 項 目
につ い て,
1
位 を
3
点
,
2
位
を2
点
,
3
位
を1
点 と し て 得点
化 す る と,
「
自分
に対 す
る不 甲斐 な さ」 (
40
点 )
と,
「
家 族に対 す
る申
し訳
ない気 持 ち 」 (
32
点 )
,
そ
れに「
留 年 決 定
に対 す
る諦
め」 (
11
点 )
が 上位
を占
め た。
以 ド,
「
同級
生 に対す
る劣 等 感 」 (
9
点 )
,
「
臨 床 実 習 指
導
者 に 対 す る 反 発 」 (8
点 ),
「留 年
に よ る経済 的 不 安 」
C7
点) な どの順
であ
っ た。
(
2
)学 業
を継 続
で き た 要 因 (図2
)
留 年 決 定 後
に学
業 を 継 続で き た 要 因 と して第
1
位
にあ
げ ら れた 項 目は
,
「
どう
しても
理学
療法
上
にな り
た かっ た」 (
5
名
) で,
次
い で「
友 人
・
同級
生の励
ま し」
(
4
名 )
,「
家 族の励 ま し」
(4
名 )
,
「
教 員
の指 導
・
励
ま し」
(
3 名
),
「自 ら発 奮
し た」
(
3 名)
,「
その他 」 (
3
名
)であ
っ た。
こ れを前 項 同 様
に1
位
か ら3 位
ま でを得 点 化 す
る と,
「
友
人・
同級 生
の励 ま
し」 (
28
点 )
が 最 も 高 く, 次い で「
どう
し ても
理学 療 法 士
にな り
た かっ た」 (
23
点)
, 「家 族 の励
ま し」 (
19
点 〕,
「教 員の指 導
・
励 ま
し」
(18
点 )
,
「自
ら発 奮 し
た」 (
14
点 )
,
「
先 輩
の励
ま し」
(5
点
〕 な どの順 臨床指導 者の励まし 図2
学 業 を継 続できた 要 因 (n=
2D 0 2 4 6 留 年 して か えって良かった ms.
鏃 の2zaちを醐 で き るよ うに なった轡 繊留年した の でよ く勉 強した置箇醤醤謝■圏 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
そ の 他
躙
■ ■ ■別 に何 とも思 わないこ当然だ と思 う
蒲
醤置
■ ■ い ま で も 同 級 生 に 対 して悔」い と思って い る 留 年しなくても卒 業で き た筈だ と思って い る い ま で も教 員 に 対する 不満は残って いる 8岬
囮第1位 ■第2位一
第3位 10〔人 ) 図3
留 年 経 験に対 する現 在の心境 (n
=
21
) であ
っ た。
(3
)留 年
経験
に対 す
る現 在
の心境
(
図
3
)
留 年 経
験 に 対 す る現在
の心 境 と
し て,
第
1
位
に選 択
さ れ た最
も多
い項 冂 は,
「
留 年
してかえ
っ てよか
っ た」
(9
名)
であ
っ た。次
いで「
留 年
し たので患
者
・
家 族
の気 持
ち を理 解
でき
る よう
にな
っ た」
C7
名
)
,
「留年
したの で よ く 勉 強 し た」 〔
2
名 )
,
「
その他 」 (
2
名 )
であ
っ た。
こ N工 工一
Eleotronio Library理 学 療 法 学 生の留年経 験 と その後の行動 107
表
1
理 学療 法 士と しての 白己 評価 (n=
21
) 臨 康 面 教 育 研 究 面 評 価 人 数 人 数5
:非 常に よ い方だ 4 :まあ 良い 方だ3
:普 通2
:少し劣る方
だ1
:か な り劣 る方だ 21621
0041
ρ
01
人 間 関 係 面 人 数 18
7
4
1
れ を前 項 同 様
に1
位
か ら3
位
まで を得 点 化 す
る と,
「
留
年
し て かえ
っ て良
かっ た」 (
37
点 )
が最 も多 く
,
次
い で「留 年
し たの で患 者
・
家
族の気
持 ち を 理 解 で き る よう
に なっ た」 (
24
点
),「留 年
したので よく
勉 強 し た」 (
18 点
)
な どの順
であ
っ た。
(4
) 出 身 校の教 育 方 針 に 対 す る 意 見出
身
校の 教育 方 針
や, 臨床
実習 等
のカ リ キュ ラ ムにつ い ての自
由記
述の 回答
がユ7
名
か ら寄
せ ら れ た。
共 通 す
る内容
を多
いも
の か ら順
にあ げ
る と次の通 り
であ
っ た。学 生 主 体
の人 間性 教 育
が行
わ れ た (8
名)
。
学 内 教 育 と臨 床 教 育
が乖 離
していた(
3
名 )
。
専
門職
と して倫
理重
視の 教 育 だっ た (2
名 )。
学
生 に対 す
る 過度
の期 待
があ
っ た (2
名)
。学
内
に専
門の カウ ンセ ラー
が 必要
(ユ名
〉。
留
年
組 に対
す る不
公平
な扱
いが あっ た (1
名)
。
2
.
理 学 療 法
十 とし
て の自己 評価
理
学 療 法
十 として の自
己 評価
につ い ては,
臨 床 面, 教育
研究 面
,
入 間 関係
面 の 項 目 ご と に 選 択 さ れ た 人 数 を 示 し た (表
1
)
。
さ らに臨 床
面,
教育
研 究 面,
人聞 関 係 面
の各 項
目 につ い て,
「
普 通
以E
」
と「
普 通 未 満 」
に人 数
を分 け
,
二つ の組
み合
わ せ ご と に カ イ :乗 検 定 を行
っ た。 こ の場 合
の棄 却
域 はp<OO17
(
ボ ン フ ェ ロー
二 の不 等
式 を 用
い てp
〈0.
05
〆3
とし た 〉
とな り
,
「
臨 床 面 」 対
「
教 育 研 究 面 」 (
カイ
1
乗 値
≡8.
005,
p
=0.
0047
)
,
お よ び「
入 間 関 係 面 」 対 「教 育 研 究 面 」 (カイニ乗=
13
.
7455
,
p=
0
.
0002
)に おい て統 計
学 的有
意 差 が 認 め ら れ た。
「
臨 床 面 」 対
「
入 間 関係
面」
(カ イ1
乗=LOO3,
p=
O.
3167
)
に おいて は有 意
差 が 認 め ら れ な かっ た。
す な わち
,
現 在
の勤 務 先
にお ける理学 療 法
士 と し ての自
己評
価
は,
教 育 研 究 面
より も臨床 面 と
人 聞 関係
面 で高
いこ と が 示 さ れ た。
考
察
L
「
留
年 」に対 する意 見回 答 者
の留 年 経 験
に対 す
る現 在
の心 境
とし
ては,
「
留
年
してか えっ て良
かっ た」
,
「
留 年
したの で患 者
・
家 族
の気
持
ち を 理解
で き る よう
になっ た」
,
「
留 年
したの で よく
勉 強
し た」な
ど,
留 年
に対 す
る肯定 的 な
回答
が多
かっ た。同学 科
で は、
進 級
に関
し て は教 授 会 審 議
の前
に学 科 会議
に おいて進 級
に 関す
る 十 分 な協 議 を行
い, 教 員 の 総 意 のも と
に進 級
の是 非 を
決定
して いたID。
ま た 教 授会
審 議 に よっ て留 年
が決 定
し,
結 果
と して休 学 す
る場 合
でも
,
学
生の状況
に 応 じて クラ ス担 任
を中心
に対 策
を 立て,
学
生の再 起
を見 守
っ てき
た。特
に学
生の意 見
を尊 重 し
,
「ど う して も理学療 法
十になり
たい」
という意 志
を確 認
し,
そ
の上で学
生自身
に計 画 を
立てさ
せ,
そ れ を援 助 す
るという指 導 方 法 を
とっ て きた。
実
際,
白
ら 発憤
してき た学
生の意志
を 教 貝 がタイミ ン グを 逸 す ること なく確
認 し,
適 度
な 刺激
を 与 え る こ と に よっ て学 業
に復 帰
す る こ と がで き た 学 生 も 多 かっ た。
わ れ わ れ が
接
してき
た 理学療 法 学 科
の学
生には,
確
か に無 気 力
さ はあ
る が,一
般
にい わ れ る意 欲 減 退 型 学
生 や スチュー
デ ン ト・
アパ シー
3)と は様 柑
が異
なる よう
に思
わ れ た。す な
わち
,
迷
い悩
みな が
らも
どこか
に理 学 療
法
上にな り
たい という気持 ち を棄
てきれ ず
にい る学 生 が
多
かっ た。
本
理学 療 法
学科
の教 育方
針とし て,
これ らの学 生
に 対 し て は,
教員
間 あ るい は学
生剤
1
談
担当
教貝 (
医
療 受 診
の場 合 は 主 治 医 ) との緊
密 な 連 携 と,
場
合に よっ て は 保護
者 との情 報
交 流 を 通 して根 気 強 く
見守
っ て き た。 こ の ような教 育 方 針 が
,
留 年 を経 験 した 卒 業 生
か ら 比較 的高
い評 価 を受
けたも
の と思
われる。本 調
査 におけ
る15
年 間
に30
名
という留 年 経 験 者 数
は,
年 平均
2
名
〔10
% )と な
る。ち
な み に退 学 者
が 同期 間 内
にユ8
名 (
年
平 均
1
.
2 名)
で あ り,
これ らの数
字
の 意味
は決
して軽
い もの で は ない、
,田 原
ら 9> に よ る と,
長崎
大学 医 療 技 術
短期 大 学 部
に おい て は1985
年
の開 設
時
か ら10
年 間
に留 年
を経 験
し た学
生は14
名
で,
対
入学
生 比
で6,
8
%と報 告
さ れ ている。
ま
た内
田11’
に よ る 国 立大 学
88
校 (
学 生 数 約
41
万人 )
の調 査
に よ ると
,
留 年 学
生数
は年 平 均 約
6.
9
% と報 告
さ れ てい るu これ ら と 比 較す
ると
,本
理学
療法
学
科
の留年
学
生の比率
は高
い傾向
に あ る。
留
年
学
生の多寡
に よっ て学
生の学 力
レベ ル や教 育
の 質 を 問 う もの で は ない が,一
三年 制 医 療 技 術
短期
大学
の詰
め 込 み教 育
に よ る問 題
の一
端
を示 す も
の と思
わ れ る。2
.
学 業 継 続の要 因につ いて留 年
に対 す
る当時
の心 境
とし
て選 択 さ れ
た項 凵
では,
「
白
分
に対 す
る不 甲斐 な さ」
と,
「
家 族
に対 す
る申 し訳 な
さ」
,
そ
れに「
留 年 決 定
に対 す
る諦
め」
が上位 を 占
め て い た。留 年
という挫 折 経 験
か ら立 ち直 り学 業 を継 続
でき
た要 因
とし
てはt「
友 人
・
同級 生
の励 ま
し」
,
「家 族
の励
まし」
,
「
教
員の指 導
・
励 ま し」
などの周 囲の 介 入と,
「ど う
し ても
理学 療 法
+ に な り た かっ た」
,「自
ら発 憤 し た」
という 自発 的
な要
因の2
つ に大
別 さ れ た。
学業
継続
のき
っ か け と なっ た 周 囲 か らの介
入 は,
ま さ に 彼 らの拠 っ て 立つ 人 間関
係
その もので あり
,
こ れ が あ ることによJapanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation
108 理 学 療 法 学 第
32
巻 第3
号 っ て自 分白 身
の進
むべき道 を再 確 認
した とも言
え よう
.
.
/
前
述の よう
に,
同学 科
で は留 年
し た学
生に対
しては そ の原 因
を 明 らか に し,
ク ラス担 任 を 中心
とし
て対 策 を
、:11 て学
生の 再 起 を 見守
っ て き た Tl)1i。
す なわ ちf
’
R
年
経 験か ら 立ち直
る自 発 的
な要 因
と し て,
ど う して も理 学療 法
十 にな り
たい とい う職 種
に 対 す る 魅 力 が,
周 囲 か らの励
ま し と連 動
し て,
も う.
一
度 発 奮 し学 業の継 続 に繋
がっ たも
の と思 わ れ る、
.
,
1
臨床 実
習指 導 者
に対 す
る反 発 」
や「
特 定
の教 員
に対
する不 満 」,
一
学 内 に 専 阿の カ ウンセ ラー
が必 要
1
という
意 見
も・
部
に 見 ら れ た,
これ らの意 見
は、
教 員
に よ る留
年 学
生に対
.
す る しっ か りと
し た説 明
〔同 意 も含
め て ) と その後
の フ t ロー
ア ッ プ,
そ れに学 生 を 支 援 する学内 体
制
の不 備
を指
摘 す る もので あっ た。
本 調
査結 果
に よ ると.
教員
側の介
入 が契 機
と なっ て学
生が自
ら発憤
し た こと も事
実であ り,
周 囲 か らの 介 入 と白
ら の発憤
の両 者
は相 互
に関係 し合
っ ていたも
の と推 測
さ れ る。
ま た,
教 員
の介入
そのも
のが 再 起
のき
っ か けにな
っ た とす
れ ば,
教 員
の励
ま し ば かり
で なく
,
ク ラ ス経
営
,
家 族
との コ ンサルテー
ショ ン な ど,教
員の役 割
の重
要 性 を改
め て確 認
さ せ ら れ た.
,
3.
本研 究
の意義
と限 界
現 在 日 本の理 学
療 法
.
1
二教 育
が 大学 院
レベ ルをLl
指
す.
一
方
で,
三年
制 度の 専 門 学校
に よ る養 成
がJc
き
な 比 重 を占
め る 現 状 に おいて は.
こ の よう
な 医療技 術 短 期 大学
にお ける留年
を経
験 し た 卒 業 生によ る 教 育 評価
は意 義
のあ るも
のと 考 え
る。同 答 者
が現 在
の職 場
に おいて,
教育
研究
面
よりも臨 床 面
と人 問 関係 面
の自
己評価
が高
かっ たこ と は,留 年 経 験 者
が教 育 研 究 面
に苦 手 意識
を持
っ てい る 可能 性
があ
る。
しか し本 調査 用紙
に添 付 さ
れ た書 面
や電 話
連
絡 に よ ると
,
同答 者
のう ち少 な く
とも
8
名
は現 在
理学
療 法
一
L
養
成校
の臨床
指導
を 担 当 している。
し た が っ て,
自身
の留年
経 験 を 積 極 的 に 後 継 者の臨床
教育
に生
かす
な ど,
卒業 後
に自 己 研 鑽 を積
み重
ねてい る卒業 生 も少 な く
ない こ とが 推 察 さ れ るtt
一
方
.
本 研
究の対
象
者 は21
例 という少 数
であ り
,
ま
た留 年
を経
験 し ない通常
の卒業 生 と
の比 較
は行
っ ていな
い た め,
本 研 究 結 果
を一
般 化 す ること は で き ない。
また対 象 者 が 卒 業 後 平 均
ユ0
年
を経
過 し た時
点 での もの で あ り,
時 間経
過に伴 う記
憶
違
いや 心 理 的 な変 化
,
そ れ に職
場
や家
庭環
境等
に よ る影響
も 当 然 あ る と 思 わ れ る.
,
以 上 を
総 合
す る と,
理学 療 法 教 育
におい ては学
生 が持
っ ている将 来
の可能性
に対 す
る信 頼 感
が教 育
理念
とし て 必須
であ り,
ま
た学
生の立 ち直 り
を支 援 す
るため に学
生相 談
に 関 わ る学 内 支 援 体 制 を 整 備 す
るこ と が亜 要
であ
る.
学 生
にと
っ て留 年
という経 験
は辛
いも
の であ
ろうが
.
教 員
側 はこれ を「
問 題の学
生
」
という 舎定 的
な と らえ
か たでは なく
,
「
自
分 探
し を してい る最
中の学
生」
,
あ るい は「
誠 実
に自分
と向
き あっ ている学
生」
21 という捉
え方
が 望ま
れる.
,
その た めには学
生自
らの発憤
を「
待
つ こと」
と,
「
タ イミ ングの よい適 度
な刺 激
を与
え るこ と が 必 要 と考
えてい るt.
,
文 献 D 卜.
山晴 彦 : ス チ ュー
デ ン ト・
アパ シー
研 究の展望,
教 育心 理苧:11
廾究44
:350
363
,
199
.
6
,
2
) 小 柳 晴 生 二大 学 生の不 登 校一
生 きh’
の変 更の場と して大 学を利用 す る
学
生 たち一.
心 の科学
69
:33
−
38
.
1996
,
3)内出千 代 子:k
学に お け る休・
退学,
留 年 学 生 に 関 す る 調 査〜
第22報一
その LCampusHealth
37
{2
);121
−
126
,
200
ユ.
.
D 内出千 代 子:k
学にお ける休・
退 学,
留 年 学生につ い て一
一
調 査 を も とに一
一
.
大 学と学 生 160;25−
33
,
2003.
5
:レ.
.
・
宮 [7
:,
馬 場園明・
他:入 学 時ア ン ケー
トの結 果と留年
・
休学・
退 学の関 連につ い て,
Catnpus Health 41〔1}:177
,
20
{}4
.
6
:1 中村
美代
子,
鈴
木 美 枝・
他 :入学 時THI
〔東 大式 健康 調 査 :】結果 に お ける退 学 者の 特 質
,
Campus
Heal11138
(2
): 499−
5〔,2,
20(,2.
7〕弘 前 大 学 医 療 技 術短期大学 部 〔編):弘 前大学 医療
技術短 期大学 部 白己点 検・
評価報 告 書.
現 状 と 課 題一.
教 育・
研 究・
社 会 活 動,
学 術 図 書 等一
1988−
1992.
弘 前大学 医 療 技 術 短 期 大 学 部.
青 森,
19.
94
.
pp5.
6
.
8
〕 ヒ野 武 治,
深澤 孝 克・
他 :北 海 道 大 学 医 療 技 術 短 期 大 学 部 作 業 療 法 学 科に おける学 化 異 動の実 態一
開 設以来10年 間 の入学 者 留 年・
休 学・
退 学 を111心に一.
北 海 道 大 学 医療 技 術 短 期 大 学 部 紀 要7
:61
−
71
.
1994
.
9: 田 原弘幸
,
井口茂
・
他 :長崎 大 学 医 療 技 術 矩期 大学 部 理学 療 法 学 科にお け る学生 異動の 実態
一
開設以来lo年間の 退 学・
休 学・
留 年 を 中 心 に.
長 III奇大 医 技 短 メこ紀 要9
: 15−
21.
工995,
1011秋山 人学 医 療 技 術短期左学 部 〔編 ):秋 田 大 学 医 療 技 術 短 期 大学 部 第3同 自Li点 検・
評 価報 告 書 章業生 と卒 業生の 上 司 か ら 見 た評価一.
20QO,
pp35−
4Lt.
1工:1 弘 前大学 医 療 技 術短期大学 部 〔編) :弘 前大学医療 技 術 短 期 大学 部∴ 「年 史.
1995,
p213.
12:・三浦孝 雄.
近 藤和泉・
他 :理 学 療 法 学 科 に お け る 自 己 評 価.
弖ム丿く医 短 紀 要 16:57−
69,
1992.
N工 工一
Eleotronio Library
-iftdiifti}ELkopsts"f"vatea)fkoMlut
log<Abstract>・
The
Frustration
Experienced
by
Repeating
Physiotherapy
Students
andthe
Long-term
Ellfects
Hideo
ITe,
RPT
Faculdy,
ofHbalth
Sciences,
Aomori
Uliiversity
ofHealth
andWbgfare
Sachiko
UEMURA,
RPT
Department
ofHealth
Science$,
Ahita
University
School
ofHUalth
Sciences
Akira
ISHIKAWA,
RPT
Department
ofHealth
Sciences,
Hirosaki
Universit.v
School
of'Hlealth
Sciences
The
purpose
ofthisreporLis
to
exuminethe
frustration
experiencedby
repeating physiotherapystudents. urid
the
lollg-term
effec:t.s.The
subjects were al] physiotherapy srudents who graduatedfrom
theSchool
ofAllied
Medical
Sciences.
H
University,
in
thefifteen
years
from
19S3
to
1998,
The
former
students were given aquestionnaire
which soughtinformation
aboutthe
followings:
feelings
experienccd at the time ofrepea[ingthe
academic year, readjustmentte
studentlife,
currentopinions of Lhe experience of repeuting. and self-evaluation of c]inical, research, and teaching skills
ulld
hurnan
relationshipsin
theirpresent
job.
Twenty-one
out of29
subjects responcled. andthc
respondcnts
had
practiced
asphysietherapists
on averagefor
10,1
years(
±4.1
years).