【論 文】 日本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告 集 第 453 号
・
1993 年 ll月 Journal of Strucし.
Constr,
Engng,
AIJ,
Ne,
453,
Nov.
,
1993コ
ン
ク
リ
ー
ト
への
塩
分 浸
透
と
塩害
環
境
の
評 価
CHLORIDE
PERMEATION
INTO
CONCRETE
AND
ESTIMATION
OF
SALINE
ENVIRONMENT
川
上英 男
*,
脇
敬
一
**ffideo
KA
協AKAMI
and 働’
ichi
WAKI
Mortar and concrete Specimens were exposed at sea 訂de a∬Bas
hl
Ho
dku
distric
匸,
1 ated 血the central
part
of Japan,
fQr 4years
,
The Speeimens consis しed of 4 kinds of water ceme 且t raio and th 『アwere exposed a[ しwo ki皿ds of condhions,
roofed and un−
roofed,
The
larger
was the water−
oement ratio of 山 e speG 血 e皿s,
the larger value of the chlodde contentwas resulted
.
And 山 e larger values of the chlo 自de conte 且t was found in the specimens of roofedexposure than甑 of un
−
roofedgroup
of theSpecimens
、
The faccs
proved
山 aしtheper
皿 eated chlodde wasgovemed
not olllアby 山e aし皿ospheric sa 虚tソbut alsobアthe
properties
of the specimens and the exposure condi 【ion・
伽 醒 み :emPSZtte
,
跏 θ 砌 吻 磁4 ablorrde cvntaet.
卿 翊 吻 磁 翻α7
,
anaEzt−
matartwtio 暴露、
塩分 環 境.
塩 分 含 有 量、
浸 透.
拡 散、
セメ ン ト水 比1.
まえがき 海 岸 付 近の鉄 筋コ ン ク リー
トで は、
外部よ り浸透 蓄 積 した塩 分によっ て鉄筋の腐食が促進さ れ.
鉄 筋コン ク リー
トの寿 命 を著しく短 縮 する ことがある。
こ の種の塩 害 を 生ぜ し める危 険 性は大 気 中の塩 分 濃 度に支 配 され、
そ の原 因の ほとんど は海 塩粒 子の飛来にあ るとされて い る。
こ の大 気 中の塩 分濃 度の地 域 分 布 や そのコンク リー
ト 中へ の浸 透 蓄 積の実 態につい ての資 料は極め て乏しい。
ま ず海 塩 粒 子の発生 や 内陸 部へ の飛 来 とい う現 象につ い て は気象条件.
海象条件.
海岸か らの距離.
地形等多 く の 要 因 が 総合し て 影響を及ぼ し(t)更に そ れ ら が季 節 的に も変動する の で、
そ の実態は極め て多様で.
且つ地 域性に富 むことが想 定 される。
したがっ て、
そ れ を風 向.
風 速 な ど特 定の 影響要 因別に系 統 的に把 握 することは極 めて困 難である。
そこで提 案 されて い る指 標の一
っ に海 岸 か らの距離が ある。
これにつ い てはlSO(2)、
日本 道 路 協 会(3h 樫 野 (の の提 案があ り、
また建 設省に よ るステン レ ス板によ る塩 分 捕 集 調 査(5)や橋
梁 等 実構 造 物の被害実態調査に 基づく塩 害 対 策 必要 地 域の設定
が行 わ れて い る。
しか し ながら海 岸からの距 離とコングリー
ト中の塩 分濃 度 (塩 害 危 険 度 )の関 係に っ い て は 地域差が大き いこと(6’
7).
を 考 え る と よ り適 切 な 塩害対策に はきめ細かい範囲の地 域 設 定が必 要であ る。
さ ら に
、
塩 害 危匡鍍 の実 態 把 握 を 困 難にして い る理由 の一
つは、
コ ン ク リー
トに飛来付 着 した海 塩 粒 子が降 雨 雪に よっ て洗い流され.
大気 中で の捕捉塩分の年 間の積 算 値が そのま ま鉄 筋コ ン ク リー
ト各部の塩 害 危 険 度の大 小に対応しない可 能性が考え ら れ ることである。
こ の こ とは.
海岸地域の建物の外壁に用いた亜 鉛 引 き鉄板では.
雨が か り に なっ てい る下方部は健 全であるの に.
却っ て 雨の掛か ら ない軒下部分が錆びて いる とい っ た現 象か ら も想定され る。
そこで本研究で は海 塩環 境に試 験 体 を 暴 露し.
コン ク * 福 井大 学 工学部環 境 設 計 工 学 科 教 授・
工 博 *1 福 井 大 学工学 部環境設計工 学科 文 部 技 官Prof
.
,
Dept.
of Architecture and Civi且Eng.
,
Faculty Qf Eng.
,
FukuiUniv
.
,
Dr.
E皿9,
Technician
,
Dept.
of Architecture and.
Civii Eng.
,
Faculty of Eng.
,
Fukui Univ
.
海
4
本 N畳
日 本 海↓
K
\
o 50 100 − km 日 ” 日 海 本 K−
4 。「
‘
FK−
5尹
。 ° 、 2 3K囗 一 K−
3O oK−
1 K−
2 0 L 一 2 3K囗 図1
暴露地点 リー
ト中へ の塩 分の浸 透蓄積の実 態 を 明 らかにす ること を 試 みた。
す な わ ち、
北陸地 方の内.
図 1に示 すF
及びK
の2
地域に モ ル タ ル及びコ ン ク リー
ト試 験 体 を4
年間 暴 露し、
そこ に浸透蓄積した塩分の分析結 果から塩分の 浸透蓄積に及ぼ す 水セメ ン ト比、
及 び雨よ けの フー
ドの 有無に よ るコ ン ク リー
トの乾湿条件の影響を 検 討 した。
なお一
旦コ ン ク リー
トに浸透した 塩分の一
部 はセメ ン ト と結合して フ リー
デル氏 塩 を形成し、
鉄筋の腐食に関与 する のは その残 りの溶 解 塩 分と さ れ て い る ことか ら、
本 報 告で は溶解塩 分 を対 象と した。
また.
拡 散 理 論 を適用 して耐 久 性 上 設 定 さ れた許容 塩分濃 度に達す る期 間 を試 算 し、
鉄筋コ ンク リー
トの塩害対 策 を 必 要 とす る範 囲に つ い て も考 察し た。
なお.
本 報 告 は 既 報の1
年、2
年(9’
ω 及 び4
年 間の暴 露試験結果α ω を と りま とめ た も の で あ る。
2
試 験体及 び 暴 露条 件 暴 露試験体用材料は表1
に示す通りであ る。
調合は表2
に示 す よ うに4
水準の水セメ ン ト比 を 対 象 と し た。
モ ル タ ル は これ らの調合から粗骨材を除いた も の であ る.
モ ル タルは直 径5,
5・cm、
コ ンク リー
トは直 径10cm
の塩化ビニー
ル パイプ (長 さ90cm
)に詰 め16
日間 密 封 養 生 後.
長 さ15c
皿に切断、
脱型 した。
こ れ らを 室 内にお い て気 乾 状態と し、
端面を 残 して遮塩性 塗料 を塗 布 した。
コ ン ク リー
ト試 験 体は表2
の調 合の う ち水セメ ン ト比45
%と65
% の2
種類を対象とし た。
砂利 自体は塩 分の浸 透に あま り関 係しない と考えられ ること.
ま た、
浸 透 塩 分の分析におい て も、
試 料 中の砂利の多少 が試料 全体に対す る塩分量の比 率に影響し、
分析 値の信 頼性を 低 下 させ る恐れが大きいことを考え て、
暴 露試験 体 はモ ル タ ルを 主 と した。
な お、
使 用材料 中には塩分 は1
釧 究
頭龍幅 儡
1
:
12
表1
使用枋料 重 $鑾
セメント2
.
49
2.
36
1.
68
7.
00
普通 ル トラン ドセメン ト 比重:3.
15
圧縮強 度364kgf
/cm2, 曲げ強度68.
4
ki
;f
!c皿 2一
45
茄6570
168
372
655
1190
166
302
717 (1190)$165
255
774
1175
157
227
818
1175
9.
a (モ ルタル の み) 表3
暴露 試 験 体 準錆 殆 ど含 ま れていない もの と 見 な され る。
こ の こ とは 後述 の分析 結果におい て試験体 内部の塩分浸透が及ばない部 分では塩 分 が 検 出 されて いない ことにも現 わ れて いる。
試験体の準 備 作 業 及び養生等を表3
に示 す。
暴 露地 薫を図 1に示す。
F 地域 1 箇所 (海からの距 離200m
)、K
地域4
箇所 (海からの距離iOOm−3km
)で、
試 験 体露 出 端 面 を 海の方 向に向 けて水 平に設置し た。
設 置 場 所 は海 風 を 遮 る もの の無い建 物 屋 上 また はフェ ンス と し、
その高 さは 地 上 約6
−
12rn (海 面 よ り約15m
− 21m
)であ る。
暴露 試験体 1セ ッ トはモ ルタル4
種 各3
本、
コ ン ク リー
ト2
種 各1
本.
計14
本であ る。
各暴露地点には雨よ けのフー
ドを 設 けた1
セッ トとフー
ド無し1
セッ トを 隣 接し て設置し た。
暴 露 試 験 体 各セッ トの状況を 図2
に.
暴露 期間等の条 件 を 表4
に示 す。
3
塩 分 分析 回 収し たモ ル タル試験体は約lc
皿厚に輪 切 りに し、
各 片 を微 粉 砕して電 気乾燥器 (105
°C
)に 入 れ.
絶乾 状 態靴
解
フー
ド無 し1
^
:糞く
ゆ
くt )
.
;一
: .x
冫く1.
x
;
x2
・
{
ユ
.
」
ク
フ
_
ドグ
妣
(醐 ・き フ
ー
ド付き 図2
試 験 体 暴 露状 況
.
表4
暴 露期 聞』
t
W
1234
KKKK
3.
Ok
旧2.
1k
皿500m100
皿1987.
7.
14
〜
1991.
6.
11
(1428 日)FK5
200m
1987.
7.
24
1991i6.
8
(1415
日 と し た後、
質量を測定する。
これを50℃ 精 製水に浸 潰、
攪拌.24
時 間以上経過後の上 澄水 を濾 過 し、
これに対 して電 量 滴定法に よ る塩分濃 度 計を 用い て塩素イ オン量 を測定し た。
コ ン ク リr ト試 験体は約1c
皿厚に輪 切 りの 後、
丁寧にハ ン マー
で粗 砕、
丹 念に砂 利 を 取 り除き、
残 りの モ ル タ ル部にっ いて上記モル タ ル と同様の分析を 行 っ た。
塩 素イオン量は いずれもモ ル タ ル絶乾質量に対 す る百分率で表し た。
4
塩 分 分 析 結果
暴 露 地 点5
箇 所の各モル タ ル試験体内部の塩分量を表 面からの深 さとの関 係で示 したのが図3
である。
各 図に プロ ッ トし た各 デー
タ は輪切 りに し た試 験 体 部 分の平均値を 表 す もの で あ る。
海岸に最も近いK4 地 点 で は塩分量が大きいの で縦軸の目盛は他の場 合の 1/2に 縮め て あ る。
コ ンク リー
ト試 験 体の分 析 結果 を 同様に図4
に示す。
0 42
8
4
2 0 0 0 0 0 0 0
0
0 0
0
セ
α 塩 分 量(
対 モ ル タ ル % )匪
500屡
凵 0 1 フー
ド無 し 070x ロ0駢 今55ゴww ’
rm
x4sx≡
訟
§鴻 読 B−
1 2 3 4 5 1 フー
ド付 き 070x ロ0邱 △55S 潤 ゐ 」β 認 朋 朋 0 0 00
0 0
0
ほ
塩 分 量 ( 対 モ ル タ ル % ) x45S、
驫
恥 働_
4L 2 3 4 5 衾面 か らの深 さ (cm) 070s oe5∬ o A55sピ
欣
x 45s “.
・
、 丶.
、 N ち 。.
。訳
’b\ 。
一 』
一
警
ii
磊
二
〇 1 2 3 4 5 6 表 面か らの 深さ (cm) K4 フー
ド無し e/\
童
5 考察5 .
1 試 験 体 内の塩 分 分 布どの暴露地 点におい て も
、
試験 体 表 面よ り内 部へ の距 離 (深 さ )が 大 き くな るほど塩 分 量 は少 なく なっ て い る の が一 般 的 傾 向で ある。
中には表層部の塩分量 が2
層 目 の塩 分 量 よ り小 さい場 合 も認められ る。
こ の現象は水セ メ ン ト比の大 きい試 験 体に おいて顕著で あ る。
jASS 5 の許 容 塩 分量0,
3kg
/m3 (対コ ン ク リー
ト) は.
コ ン ク リー
ト中の モ ルタルとして1100kg
/m3を見込 むと き は対モ ル タ ル塩分 量は0.
027
% と な る。
こ の値はコ ン クリー
ト製 造 時の全 塩 分であ るが、
まえ がきに述べ た よ うに、
あ る経 過 年 数 以 後の塩 害 は 溶 解塩 分に起 因 する と ころか ら、
これ ら両 者 を 対 比 す ること と し た。
海岸か ら 500m 以 内で は、
こ の値を 超 え る部 分が多 く 見受けられ る。
また通 常の鉄 筋位置と し て想 定 され る深 さを表 面 か ら含cm とす ると、
これらの図に示す よ うに、
1
…
li
…
嵐
義
攣
゜ 且 2 3 4 51
1
藍
璽
0 1 2 3 4 5 表面からの深さ 〔Cts) e:40 cr:
:
:
:
♂
《
一 購 塩』
o,
% ’ 丶 e7。s ’ q.
ロe5s鑑
i
丶
∵
1
:
越嶷
01234567 表面か らの 深 さ (cロ) 図3
表面 か らの 深 さ と塩分量 (モ ルタル)
ll
;
臨
一
対 O 且 2 3 4 5 モ多
゜・
°慢
K3 フー
ド唱
ε
ll
塾
蠹廴
0 1 2 3 4 5 表面からの深さ(cn) 0.
05O,
04ー
Ot
20 δ 日
4 0 0 1 D O o O
O O O
O
ロ
q 塩 分 量(
対 モ ル タ ル % ) FK5 フー
ド無 し躑
盤
鑑
.
1 2 3 4 5 6講
“12
蜜
池
こ
ト
ら O L 2 3 4 5 6 表 面 か らの深 さ 〔cm)一 ’
11
一
Cユ
’
墨o.
06 K3 フー
ド付 き1
:
:
旗
一
表 面 からの深 さ (em)、r °
’
24 ・ \ 口 塩 o・
20 fO・
16 量 o,
12僉。
.
。81
。.
。4耄
o 。 Cl一
塩 O.
e6 分 量o.
04・
得2
。.
。2i 幻 o)
FK5 フー
ド付 雹 口\ ロ
卩
・
65S 」 尋。u\ 2Slsx
丶 x.
0\鹽
丶 囗’
x・
…・
・
据_
■
岾_
0 1 2 3 4 5 籤 面 か らの 深 さ (c囗〕 K4 フー
ド付t\\
購
\
\
’
口 pm.
一
き
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\
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01’
塩 o・
加 分 0・
16 量 o,
12E 。,
08覓
’ 0.
04窮
。 ) O 64
2 0
0
0
0 0
0 0 塩 丑 量
(
対 篭 ル タ ル 暫 V FIく5 フー
ド無 し K4 フー
ド無し ロ6ss臨
鴨
ぐ
皿 翼鄭’
x−・
・
.
量
> 01
2
ゴ
’
x4一
’
表 面 からの深さ (om) ロ〆
\
賑
1
’
ロ
ロ\ \
s−
ロ Lgon一
き
・ x.
.
:一\
・一
12345 0123 毀面 からの深 さ (Cロ) 表 面 からの卵さ (cm)図
4
表面からの深 さ と塩分量 (コ ンクリ
ー
ト)
う{ _ 4 5 すでにその値に達した り、
ま たは それ を 超 えるもの は.
海 岸からの距離200m (FK−5
)のフー
ド付 き試 験 体で は.
w /c・
Te%、
65% の場 合で あり、
距離 100m 〔F−
4)では フー
ド無 しのw /c・
45
% の試験体 を除い てすべ て の試 験 体に及 んで いる。
同一
暴 露 地 点、
同一
水セメ ン ト比の試 験 体では フー
ド 付 き試 験 体 表層 部の塩 分 量 はフー
ド無 しの場 合tc
比べ て、
塩 分 量は大 き く.
お およそ2倍に達 して いる。
降雨 雪に よって一
旦飛 来 付 着し た塩 分が流 されること が少ないた め と考 え られ る。
試 験 体 内 部の塩 分 量 も 同一
深 さを 比 較 するとフー
ド付 きの方が フー
ド無し の場 合 よ り大きい値 を示し て い る。
同一
地 熹内の試験体で は 水セメ ン ト比 (w /c )が 大 きい程、
試験 体内各 部の塩分量は大きい値と なっ て い る。
5 .
2
海岸からの距 離 と試 験 体 表 層 部の塩 分 量一
般的に海岸からの距離が大き くな るほ ど、
各 水セメ ン ト比の試 験 体 内の各 深さ に お ける塩分 量は減 少し て い る。
試 験 体 表 層 部の塩 分 量 を 海 岸から暴 露地 点ま で の距zalC
対応して示した の が図5
で あ る。
偏 叮 分 析 伍 2 置 軌 q(
対 モル
タ ル % V 吝亀
監
K竪
附 匙鴫
∵
0 り t.
e 1・
o 海 か らの距ほ (k皿) Cr分 。2K
鑑
。し。搬
析K
… s 苗 、 △sssc o45Pt t.
1
想
_
.
海 か らの距 隧 くk血) 図5
海からの距 離 と表 層 部 塩 分量 フー
ド付 きの場 合、
表 層 部 塩 分 量は,
海岸からの距 離100m
(k4地 点 )の場 合に比べ て500m (k3
地 点 )では 約 1/6
に減 少し.2,
lkm 地 点 (k −2
)で は極め て小 さ い値となっ ている。
フー
ド無しの場合では、
海岸からの距離 500m でその 表層部塩 分 量は極め て小さ く な り、2.lkm
地 点の場合 と殆ど同 程度となっ て いる.
これ らの結果は.
こ の地域で は海岸よ り100m
の地 煮 に比べ500m
以 遠の地 点では塩 分の コ ン ク リー 1・
中へ の 蓄積が大 幅に減少す るこ とを示し て いる。
5.
3
コ ンク リー
トとモ ルタル の比 較 図3
及び図4
によ るとコ ンク リー
トとモ ル タ ル で は試 験体の表 面 か ら内 部に向 か うほど塩 分 量が減 少 す る傾向 は ほぼ同様である。
叉塩 分 量その ものは各 暴 露地 点毎に 両者の間に やや差が見 られ るが、
どち らが大きいと言っ た一
定の傾 向は見 られない。
す な わち塩分 浸透 蓄 積 状 況 はほぼ同様と見 做し う る。
こ の点につい て は次 節で も述 べ る。
5 .
4
塩 分 浸 透 特 性 上 記の結 果にも とず き、
各試 験 体 内 部の塩 分 分布に対 してFickの拡 散方程 式の解 (式 (1) )を 適 用し、
最 小 自乗法を 用い て見 かけ の表 面 塩 分 量 (C
の と 見か け の 拡 散 係 数 (Dc )を 算 定 した。
・… 〔・一
・・f(
X2砺
丁τ)
・……
(・)C
:x にお ける塩 分 量 err :誤差関数Co
:見か け の表面塩分量x :表 面 か らの踞韃(cm)
Dc
:見かけの拡散係数t
:暴露期間 (sec ) 試験体の表面から第一
層目の塩分量が第2層 目の値よ り少なく.
叉2
層目以降の塩分量の分 布 傾 向 よ り大 き く一
12
一
憎
個鳶
海 3 の 転 離 距 の ー ら か 海 76
5
4
3
2
1 0 リ ロ ロ む ロ ロ ロ 見 か け の 表 面 塩 分 量
(
.
%)
8
と 吐 1 2 3 海か らの距離 (k旧} 図6
海か ら の 距 離 と見かけの表 面 塩 分量一
ド付き ・・ 1 ・.
・纏 昌
4 年 目臨
)
0
(C
ノ耻)1.
43
1.
54
1.
82
2.
22
(N
/C
)0.
70
0.
65
0.
550.
45 図7
セメン ト水比 ・水セメン ト比 と拡 散係 数 外 れて いる場合は、
第2
層 目以 降の塩 分 量のデー
タを 解 析の対象とした。
こ の よう な場 合はCo
の算定 値は表層 の塩分 分析値よ り か なり大 きい値とな るが.
試 験 体 内部 の塩分 分布を よ り忠 実に反 映 するものと見做 される。
a )見かけの表面 塩 分 量 (C
のCo
の値 を水セメ ン ト比 (w /c )別に.
海 岸からの距 離に対 しでプロ ッ トしたの が図6
であ る。
海 岸 よ り100m の地 点 (K4
) で は フー
ドの有 無に拘・
わ らず、CD
は水セ メ ン ト比が大きい ほ ど、
大 きい値を 示 して いる。
す な わ ち 同じ海塩環境下に あっ ても、
内部 へ の塩 分 浸 透 を特 徴づ け る指標と して のCo
は 同一
値を 示さず、
モ ルタル の水セ メ ン ト比に依存す る こ と を示し て いる、
海 岸 よ りの距離が大きい場合は塩分 量の絶対値 が小 さい ので.
そ の差 も小さ く、
上記の傾向を見分け ら れ るほ ど に は至 らない。
b
)見 か けの拡散係数 (De
) 見が けの拡 散 係 数Dc は 試験 体の水セメ ン ト比 が同一
であ?ても暴露地点に よつ て バ ラ ツキ が あ る の で、
そ れ らの値の水セメン ト比及 びセメ ン ト水 比 ご との平
均 値 を 図7
に示す。
Dc
の平 均 値 は水セ メ ン ト比が小さ い ほ ど.
小さくな っ て お り.
同一
表 面 塩 分 量に対 して は内 部への浸透 塩 分 量を低く押さえ られることを 示し てい る。
曁
一
方.
ど の水セメ ン ト比の場合におい てもDc
は フー
ド付き の場合の方がフー
ド無しの場 合に比べ て小 さい値 と なっ てい る。
こ の こと は同 じ水セ メン ト比のモ ルタル やq
ンク リー
トでもその環境 条 件 (フー
ドの有 無による 乾 湿度の差など)に よっ て拡 散 係 数が異 な ることを 示 し ている。
表51 表 面 か ら3c
皿の位 置でCl−
Pt
O
.
3k
!ガに達 する暴露期 間 (年)WIC
海 か らの距100
皿500
皿2.
lk
皿3.
Okm
ま た同図は暴 露 期 間が長 期になる ほどDc の値は小 さ く な ること を示して いる。
これに は試 験 体の材 令が進 ん で材 質 が 緻 密化 したこと も関与し て い るものと考 えられ る。
C )塩 分 蓄積の推定 (1)式に よ れ ばC
。とDc
が与えられると、
あ る期 間 (t
)に お け る表 面か らの距離 (x )に対応す る塩 分 量 (C
)が求められる。
今仮に暴 露期間4
年のCo
とDc
を用い て.
表面からの深 さ3cm
(通 常の鉄 筋コ ン ク リ a トにお け る鉄筋の位置を想定 )における塩分 量が0,3
kg/ma (JASS
5,
鉄筋の腐 食 を 防 止 す る 観 点か ら定め た コ ン ク リー
ト中のC1
一
イオン の上 限値) に達する期間 (t
年 )を算定し た。
その結果 を表5
に示 す。
同表 中の空欄は暴 露 期 間
4
年のCo
の値が0.3kg
/m3 (対モ ル タ ル0.027
%)に達して いない ので (1
)式 を 適用する に至ら な かっ たもの で あ る、
そ れらのt
の算 定 値 を 海 岸から暴 露 地 点までの距 離と の関係で示し たのが図8
であ る。
座 標 軸 は 両 対 数 目盛と してあ る。
海岸からの距 離 500m 地 点でもw /c が 55% よ り大 きいと きは 通 常のRC
建物の耐用 年 数65
年に至 ら ない内にO.
3kg
/m3 に達 す る。
こ のよ う に同 図は海
45
3.
9
106.
5
2064.
4
55
2.
8
19.
8
65
1.
2
11.
2
70
0
.
7
6
.
3
一
106.
1
154.
2
38.
8
46曾
9
驫
無
と
1 } 100 5001000 5000 海か らの 距離 ( m ) 図
8
海 か らの距離と塩分限度到達 年 数 (フー
ド付きの場 合)一
13
一
岸からの距離と
t
と の関係を与える もの とな る。
た だ し.
これ らの関係は暴 露時まで の試験体の養生条 件に よっ て も異な る と考え られ るの で、
上 記の数 値は一
応の参考 値 であ る。
し か し.
こ の手法は多年に及ぷ塩分の蓄積を推 定 する可 能 性 を示 す ものと考 え られる。
ま た、F
地 区 海 岸から200m
地 点の算 定 値を 図8
に破 線で囲 んで示 す。
これ らの値は.K
地 区の同 列地点の年 数 よ り大 き く.
塩 害危険度はK 地区 よ り小さい ことを意 味 す る。
なお 図8
におい て海 岸からの距 離とt
は ほ ぼ 直 線的 関係となっ て いるが、
その普 遍性につ いて は.
塩 分 環境の地 域 依 存 性とあ わせて検証 する必 要が あ る。
こ こ ではCo 、Dc
の値は暴 露4
年の場 合 を採用してい るe
今 後 材 質 は安 定 して いる と見做 され るの でDc
の値 は そ れ ほ ど変 化 する と は考えに くい が、
Co の値こよ そ の経年変化を図9
に示す ように.一
部 例 外はあ るが年々 増加し て い る。
ま た、
参考 まで に図3
の塩 分 量 分 布か ら 浸 透 塩 分の総 量 (塩 分 分 布 図の面 積 )と暴 露期間と の関 係 を図10
に示 す。
これらの浸 透 塩 分増加の傾向考え る と.
暴 露 期 間4年 のデー
タに基づい て算 定し た上 記のそ れ ぞ れ の値は、
よ り長 年 月の予 測に対し て はいずれもさ らに大きい塩 分 量 とな る可能性が あ ること を示し て い る。
6
むすび j 北 陸 地 方の海 岸地域に4
年 問屋 外 暴 露 し たモ ル タ ル及 びコ ンクリー
ト中の可溶性塩分 分析及び そ の考 察から.
塩 分の浸 透 蓄 積にっ いて.
海岸か ら の距離を 始 め、
水セ メ ン ト比やフー
ドの有 無 な ど材 質 や 暴 露 条 件ご と に.
そ の実態 を明 らか にし、
こ の手法 が塩 害 対 策 地 域 区 分の設 定に有力な手段と なり得ることを 示 した。
叉s
塩 分の浸 透現 象につ い て明 らか になっ た事項を要約する と次の通 りであ る。
1)試験体各部の浸透塩分量は同地 点、
同 水セメ ン ト 見 か 0.
6 け の 表 面 0・
4 塩 分 量 0.
2 蕊聾
0・
一
一
フ・
ド 付 き一
囹’
一
…+
一
囲一
7一
ド無し 7掌
〆コ
タ
〆
45Xノ.
、
・
● ° ナ●’
『
70s
欝
1 2 4 年 数 図9 暴 露期 間と見かけの 表 面 塩 分 量 10 5 総 塩 分 量(
q %)
,
▼70X〆
.月 讎ノ /
縫
0 1 2 4 年 数 図10
暴 露 期 間と溶解 塩分総 量 比の場 合、
フー
ド付 きの方がフー
ド無しの場合に比べ て 大 き く.
約2
倍の塩 分 量 を示 した、
叉 同 地 点.
同 暴 露条 件の も とでは 水セメ ン ト比の大 きい場合ほ ど試 験体各部 の塩 分 量 は 大 きい値を示し た。
す なわちコン ク リー
トや モ ル タルに浸透蓄積する塩 分は必 ずしも大 気 中の塩 分濃 度だ けで一
義 的に決ま る もので な く.
コ ン ク リー
ト.
モ ル タル の材 質 条 件や、
雨が か りの有無 な どの環 境 条 件が 関与すること が示さ れ た。
2
)拡 散 理 論 解を 用い て 塩 分 浸 透 量 を推 定 する場合の 根 拠とな る見かけの表面塩分量につい て も同 様に水セメ ン ト比.
フー
ドの有無によっ て異 なった 値 とな り.
同一
地 点に対して一
定の値を想定で き な い ことが明 らか と な っ た。
叉こ の値は暴 露期間と ともに大き くな ることも示 された。
コ ン クリー
トやモ ルタルへ の塩 分の蓄積状 況におい て は地 域 差 が 顕 著であ る。
そ れ らに対応する塩害対’
策の地 域区 分は小 範 囲が望 ま し く、
で きれば本報告の手 法に よ っ て多 数の試験体を一
斉に各 地に暴 露す るのが望まし い が、
そ の よ うな資 料 が 整 わ ない うちは、
塩害を受け る こ と の ないよ うに充 分 な 対 策 を講ずる配慮が必 要であ る。
辮 本研 究の塩 分 分析および理 論的 解 析には福 井大学学 生、
南弘 子、
平 井 美 穂.
川 上英昭の諸 君の協力 を 得た、
,
こ こ に記 して謝意 を表し ます。
参 考 文 献D
た とえ ば,
堀 田 健治 :砂 浜海岸に おけ る海塩粒子の発生 に関 す る 研究.
日本建築学 会構造系論文 集、
第444号、
pp.
i45−
152,
1993.
22} 【SO/TC
,
156,
WG4,
N66E:Corrosivity o 『Atmospheres
.
19833) 日本 道 路協会:道路橋の塩害対 策指針 (案 ) 同 解説