Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japar ユese Physical Therapy Association理 学 療 法 学 第
42
巻 第2
号162
〜
163
頁 (2015
年 )平 成
25
年 度 研 究 助 成 報 告 書
集 中 治
療
領 域
の
医
師
・看 護 師
に
よ
る
理 学
療法
に
つ いて の
第
三
者評価
小 幡 賢 吾1)2),
山下 康 次3),
横 山仁 志4),
嶋 先晃5)
,
倉田和 範6),
山内康 太7〕,
高 橋 哲也 8},
小 松 由 佳9〕,
氏 家 良 人2) 1)岡山赤 十 字 病 院 リハ ビリ テー
シ ョン科2
)岡 山大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合研 究 科 救 急 医 学 分 野3
)市 立 函 館 病 院 リハ ビ リ テー
ショ ン科4
)聖 マ リ アンナ医科
大学
病 院リハ ビリ テー
ション部
5) 市立砺 波総 合病院 リハ ビ リテー
ショ ン科 6) 津山第一
病 院リハ ビ リテー
ショ ン科 7) 製 鉄 記 念 八 幡病院 リハ ビ リテー
ショ ン科 8 )東 京工科 大 学 医 療 保 健 学 部理学療 法 学 科 9 )杏 林 大 学 病 院 看 護 部 要 旨:【
目的】
本 研 究の 目的は,
国 内 施 設にお け る集 中 治 療 領 域での理 学 療 法の現 状 を,
当 該 領 域に おい て チー
ム医 療 を 担 う医師 (以 下,
Dr
.
)・
看 護 師 (以 下,
Ns
)・
理 学療 法士 (以 下,
PT
) を対 象に アンケー
ト調査を行い,
当 該 領域 に おい て 今 後の理 学療 法 (士)のあ り方につ い て検討 す ること で あ る。
【
方 法 】対 象
は集
中治 療
医学会 (
以下,
ICU
学会)
評 議委
員Dr
.
223
名,
集 中ケ ア 認定Ns
と 平成25
年 度 集中 ケ ア 認定Ns
教 育 課 程 研 修 生の合 計952
名のう
ち,
実 際に連 絡 先などが確
認 できたNs
631
名.
集 中ケア認 定Ns
が在 籍し てい る施 設のう ち,
PT
が 在 籍 してい る施 設のPT
431
名
。
当該 領
域の 理学 療 法
(士)に 関 し たアン ケー
トを 作 成 し,
回 答 を依 頼。
【
結 果】
当 該 領 域 の 理 学療
法に 対 し,
期待と さ ら な る発展を 望 む声が多
かっ た。
ま た 質 問 に よっ て はPT
の考 え と 他 職 種 と に 差 異 を 認 め た。
【
結 論】
本 研 究 の 結果を も と に,
改善で き る もの は改善 し,
そう
で ない もの に対し て も検
討し てい く必 要がある と思わ れ た。 キー
ワー
ド:集
中治療領
域,
理学療法 (
士)
,
多
職種
アンケー
ト は じめ に2eo9
年に報 告さ れ た人工呼 吸 患 者に対 する 早期理学 療 法の有用 性 1)や
PAD
ガ イ ド ラ イン 2),
ABCDE
bundle
3)な ど によ り
,
早 期 離 床 と 運 動 療 法の重 要 性 が 広 く 認 識 さ れ て き た。
し か しPT
が 急 性 期 医療チー
ム の一
員と し て 認 め ら れ てい る か は 別の 問 題 で あ る。
他 職種か らの意 見 を受けPT
の現 状 を知るこ と で,
今 後 集 中治 療 領域での理学 療 法の定 着や活 躍につ な が る ので はないか と思わ れ る。 そこ で今
回 我々 はアンケー
ト調 査に より他 職 種か らの評 価を行 うこ と と し た。 対象
と方法
Dr
.
は平 成25
年7
月の時 点でICU
学会
評 議 員であ る223
名
。
Ns
は 平 成25
年7
月の時 点で集 中ケア認 定Ns
の 資 格を もつ845
名 と平 成25
年 度 集 中ケア認 定Ns
教 育 課 程 研 修生107
名の計
952
名
のう
ち,
連 絡 先 などが 確 認で きた631
名。
PT
は平成25
年
7
月の時点
で集
中ケ ア認 定Ns
845
名の在 籍して い る 施 設 のうち.
PT
が在 籍し てい る431
施設 のPT
431
名。
アン ケ
ー
ト に てDr
.
・
Ns
・
PT
に対し ての共通設 問と各
職種
に 応 じ た設 問を作成
。 設 問数
は分岐
設 問を含
め,
Dr
.
15
問,
Ns
38
問,
PT
41
問 。 ア ンケー
トの内 容は,
1
.
各
施 設での理 学 療 法 (十)の現 状2
.
ICU
における今 後の リハ ビリテー
ショ ン (以下,
リハ )に関して,
3
.
ICU
で の理 学 療 法 (士)の問 題 点,
4
.
PT
に今 後 期 待 する こと,
などか らなる。
回収 方 法は,
Dr
.
は ア ンケー
ト作 成ホー
ムペー
ジに て ア ン ケー
ト を作 成し,
ICU
学 会 評 議員メー
リングリス トに て 回答 を 依 頼 した。
Ns
は 半 数はDr
.
と同 様の ホー
ムペー
ジ を使 用し,
残 りの半 数はア ンケー
ト用 紙 を 同 封 し た往 復 封 筒に て回 答・
返 信 を依 頼 し た。
PT
はすべてアンケー
トを 同封し た往 復 封 筒に て 回答・
返 信 を依頼
し た。
な おPT
に関し て は,
回答者
に条件
は設 けてお らず
,
1
施 設1
回答 用 紙と し た。
結 果 ア ンケー
トの回収 率は,
Dr
.
50
名/223
名 (22
.
0
%),
Ns
193
名/631
名 (30
.
1
%),
PT
311
名/431
名 (72
.
2
%)であっ た。
1
,
各 施 設のPT
の現 状 リハ 関連 職 種の常 勤 人 員 配 置;平 均PT
数 は14
.
7
名,
平 均 作 業 療 法 士 数 が6
.
3
名,
平 均 言 語 聴 覚 士 数 が3,
3
名で あっ た。 休 日対 応 :36
% が休日 に リハ を 行 う体 制 を とっ ていなかった。
ま た365
日体 制で リハ を行っ てい る施設 は7
% で あっ た。
ICU
で のPT
の 配 置 状 況 :83
% が一
般 病 棟と の兼 務で,
ICU
専 従・
半 専 従 を 合 わ せ て もll
% で あった。
ICU
でのPT
に重 点 を置い て もらい たい(
置 くべ き)
リハ の内容 (
表
1
)
。
リハ の リスク管
理 : 離床の基準
は リハ 部 門で独 自の基準
を使用 してい る との回答が23
% であっ た。
中止 基準
に 関 し て は,
多 くの施 設でなんらか の 基 準 を用いてい る ようであっ た が.
未 だに3
割の施 設は中 止 基準
を用い てい ない との回答
であっ た。
ま たPT
の リハ 中 有 害 事 象の 有 無 に 関 して (Ns
回 答〉は,
『あっ た 』 との回 答 は23
% で あっ た。
内容と し て は 点滴や挿管 チュー
ブ,
胃管チュー
ブ な どの事故 抜 去 が 圧 倒 的 に多
かった。
2
.
ICU
に お け る今後のリハ に 関 し てICU
に おけるPT
の配 置と し て,
Dr
,
は82
%,
Ns
は94
% が『
専 従 』『
半専 従 』を 望 ん でい る の に対し,
PT
は68
% ともっ と も低
かっ た。
ま たPT
の31
% は 『必要なと きだ けで よい』
との表
1
理 学療 法
士 が重 点
を置 く
べき
リハ内 容
Dr.
(%1Ns
(% )PT
(%) 件 数 〔%1
件 数 〔%} 件 数 {%) 関節 可 動域 運動 筋 力 強化 呼 吸 理 学 療 法 リ ラ クセー
ショ ン ウ イー
ニ ング 体 位 管理 (腹 臥位 療 法など) せ ん妄に対 するアプロー
チ 早 期 離床ADL
(目常生活 動 作 ) 練 習 嚥F
リハ コ ミュニ ケー
ション手 段の 確 立 発声・
発 語 その他9275690810
2
4
22
12181842
8440280620
5
(19154124
63
(2685
14D
6451133866
151101646153
如1
73
但23592034
菊 侶5785
32
7921
170177
2682260631973197190
繝 覿55
伯2386
σ 1920 価2463D
助 助 侮 β 但 *複数 回答 あ り N工 工一
Electronic LibraryJapanese Physical Therapy Association
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Japar ユese Physical Therapy Association集 中 治 療 領 域の医 師
・
看 護 師に よ る理 学 療 法につ い て の第三者 評 価163
表
21CU
に おけ
る 理学
療法 (
士)
の問 題点
内 容Dr
.
NsPT
休 日対 応が ない 専従or専任のPT
を 配置して ほしい が,
対 応 しても らえ ない リハ処 方 (依 頼 ) か ら介 入 まで,
タイムラ グが あるPT
のマ ンパ ワー
不 足を 感じ るPT
が 介 入 に 積極 的,
協 力 的 で ないPT
の重症患者に対する リ ス ク管理・
安 全 面へ の配 慮が不 十分 だ と思 うPT
の集 中 治 療 領 域の知 識 患 者の情 報 収 集 や 評 価が不 十 分だ と思 うPT
一
看護師間のコ ミュ
ニ ケー
ション不足,
PT
との接 点 が 少 ない PT・
医 師 間の コ ミュ ニケー
ショ ン不 足.
PT
との接 点が少ない 看 護 師で リハ を行っている (行 える)の で,
PT
介 入の必 要性 を 感 じないPT
に よ る早 期 リハ 介 入の重 要 性に対 して,
看 護 師の認 識が乏しいPT
に よ る早期 リハ 介入 の重 要 性に 対 し て,
医師の 認 識 が乏しい その他 % % % % % % % % % % % % %6842262042424
52
6
113
13
隅 跳 跳 踟 隅 脱 脳 跳 黝 脳 嘱 跳 偶532612344
45
% % % % % % % % % % % % %3402433135893
5126
4512
11
*
複 数 回 答 あ り表
3
今後
の リハ に期待
す
る こ と 【Ns
か ら】・
看 護 師へ の フ ィー
ドバ ック が ほ しい.
・
現状 を 変 えよう とするPT
が少 ない印象.
・
患 者 状 態が不 安 定だ と な に もせず帰るPT
が多い,
・
リハ プログラ ムの立 案 を し,
Ns
へ 提 案 して ほしい.
・
ただ触って お終いで はな く積極 的なリハ を して ほしい.
・
1
日 に何 度 か介 入 してくれ る とよい と思 う.
・
知 識 向 上 をは か り,
根 拠 を もって看 護 師に説 明 してくれ れ ば 今後普及すると思う,
・
常 駐セ ラ ピス トの普 及 を 強 く願いま す.
・
セラ ピス トによ り知 識・
技 術の差 が あ り共 通 した ケアがで き ない.
・
超 急 性 期の リハ
ビリの効 果 をPT
の視 点 か らの研 究 が 積 極 的 に行 わ れること を望 む.
・
患 者さ んをよくするため に一
緒に頑 張 りま しょう1
【Dr
,
か ら1
・
どん どん 集 中 治 療 に参 加 してくだ さい.
また,
勉 強会や 学会 に も積 極 的 に参 加 してくだ さい.
期 待 していま す.
・
この よう な調 査 を きっか け に,
理 学 療 法 士の関 心 が 高 まる こ とを 大いに期待 し ます.
・
積極的 に取 り組まれている方々 はい いですが,
そうで はない 方の意見もまと め てい くこ とも必要でしょう.
・
今 後,
ICU
に おいてもっ とも進歩する分 野,
あるい は もっ と も進歩すべ き分 野 と考え る.
回 答であっ た。
3.
ICU
に お ける理 学 療 法 (士)の問題 点 (表2
)
4
.
PT
に今 後 期 待 する こ と(
Dr
.
・
Ns
回 答〉 (
表
3
)
考 察1
.
各
施 設のPT
の現 状ICU
で のPT
配 置 状 況では,
専 従・
半 専 従を合わ せて も未だ に1
割 程 度と非 常に少 ない状 況であっ た が,
昨 今の当 該 領 域で のリハ の重要 性な ど か ら,
今 後は増加して い くこと が予 測さ れ る。
高 橋ら に よ る2002
年の調査 4)と 比べ る と,
休日 リハ の対 応 を 行っ てい る 施 設 は わずかでは あ る が 増 加 して いた。
PT
に重 点を置いて もらいたい リハ の内 容に関 して は,
Dr
.
は『
嚥 下リハ 』『
筋
力 強 化 』が多
く,
誤 嚥 性 肺 炎や近 年 話 題 に なっ てい るICU
−
aquired weakness など,
予 防と し て のリハに期
待
が高
い の では ないか と 思 わ れ た。
Ns
は,
『体
位管
理亅『
せ ん妄
に対 す
るアプロー
チ』
が多 く
,
特
に せ ん妄
はPAD
ガ イ ド ラインで も,
早 期 離 床や リハ の重要性が述べ ら れており,
これ ら を加 味し た結 果と思わ れ た。
リス ク管 理に関 しては,
離 床 基 準 や 中 止 基準を リハ 部 門で作成 して い る施 設は認め ら れ た が,
他の職種
に浸透
して いないよう
であっ た。
職種
ご と で用いてい る基 準が異 なる ということ は,
リスク管 理の問 題だけでな く,
患者 自身の混 乱を招 くな ど様々な問題 が予 測さ れ る。
PT
とNs
が共 通し た 基準をもと に離 床を行 う必要があるので は ないか と 思 わ れ る。
2.ICU
に お け る今 後の リハ に 関 してICU
にお け る理 学 療 法の配 置 に 関 しては,
『専 従 』 『半 専 従 』 を望 むのはPT
が もっ と も低い 結 果 と なっ た。
診 療 報 酬やス タッフ数な ど の 問 題を考 慮し た結果 か もし れ ない が,
アンケー
ト調 査 に よ る希望 的 な質問 で あって もこの よ う な 結 果 と なっ た の は非 常に残 念で あ る。
3
.
ICU
に お け る 理 学療法(
士)の 問 題点『
休
日対
応が ない』
『専従
・
専任化対
応し てもらえない亅
との 回答
が多
かっ た。
これ は各施
設に おけるPT
数を増 員 する だけで解
決す
るも
の で は なく
,
診療報酬
上 で の後 押
し が なけれ ば困難
では ないか と考え る。
ま た専 任・
専従 化をPT
自
身があまり望 ん で いないこ ともあ り,
施
設内
の増
員だけでは集
中治療領
域の リ ハ 頻度や配 置 人 数の増加へ はつ な が ら ない こと が予 測さ れ る。 ま た知 識 不 足に関 する回答も多かっ た が,
現 在のPT
協 会主 催の研 修 会は,
病 期に 応 じ た ものは非常に少ない。
知識の向上 は自ら が行う
もので は あ る が,
学 会・
協会 主催の研 修会・
卒 後 教 育 など を今 後は検討 する必 要があるので はない か と思わ れ る。4
.
PT
に今後期待
する こ と ほ と ん ど が肯 定 的 な意 見であ り,
Ns
か らあっ た否 定 的 な 意 見 も,
多
くがさら に発 展 する た めの改善
策であっ た。 また今 後t
学 会 単 位で多 施 設 問による臨 床 研 究を行 う必 要 性を感じ た。
文 献1
)Schweickert
WD
,
Pohlman
MC
,
et al.
:Early
physical
and occupationaltherapy
in
mechanically ventilated,
criticalill
patients
:arandomised controitrial
.
Lancet
.
2009
:373
{9678
)
:1874
−
1882
.
2
)
Barr
J,
Fraser
GL
,
et al:Clinical
practice
guidelines
for
the
management of pain,
agitation,
anddelirium
in
adultpatients
in
the
intensive
care unit.
Crit
Care
Med
.
2013
:
41
(1
):263
−
306
.
3
)
Balas
MC
,
Vasilevskis
EE
,
et al.
:Critical
Care
Nurse
’Role