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長期無施肥水田の土壌養分動態およびイネの養分吸収 第1報

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(1)

2016 年 7 月 8 日受理 連作責任者:本間香貴(koki.homma.d6@tohoku.ac.jp)

長期無施肥水田の土壌養分動態およびイネの養分吸収

第 1 報 調査対象水田における 2014 年の養分動態

多田羅翔子

1)

・本間香貴

1,2)

・桒田光雄

1,3)

・小林正幸

3)

・白岩立彦

1) 1)京都大学大学院農学研究科 (〒 606-8502 京都市左京区北白川追分町) 2)現東北大学大学院農学研究科 (〒 981-8555 仙台市青葉区堤通雨宮町 1-1) 3)NPO 無施肥無農薬栽培調査研究会 (〒 606-8311 京都市左京区吉田神楽岡町 1106-2) 要旨: NPO 無施肥無農薬栽培調査研究会が管理する水田は,無施肥でありながら長年 3t ha-1 前後の収量を維持し ている.しかし長期無施肥水田の生産を支える基礎となる窒素,リン,カリウムなどの養分動態に関する情報は 少なく,収量維持の要因については未解明の部分が多い.そこで本報においては複数の長期無施肥水田において 土壌,灌漑水および土壌溶液の調査を行い,養分動態の特徴を示すことを目的とした.土壌溶液中の養分濃度は 土壌の湛水培養分析における液相中の養分濃度と相関を示し,湛水培養で示される供給能が土壌溶液中の養分濃 度に反映されていることが示唆された.灌漑水の分析養分のうち NH4+を除く PO43-,K+,Mg2+,Ca2+,SiO2では 灌漑水中の濃度が排水中の濃度を上回る傾向にあり,これらの養分は灌漑水が供給源の一つとなっていることも 示唆された.稲体の養分濃度から判断すると,長期無施肥水田においてカリが低下傾向にあるものの,他の養分 に相対的な不足はないことが確認された.土壌溶液中の養分濃度が必ずしも収量性を反映しなかったことから, 水稲の養分吸収を加えた動的な解析が必要であることが示唆された. キーワード:イネ,潅漑水,土壌の湛水培養,長期無施肥水田,土壌溶液

緒言

無施肥無農薬栽培調査研究会(無肥研)は京都市左京区 を拠点として無施肥無農薬栽培に関する調査および研究を 行う NPO 法人であり,当団体が管理する水田は,無施肥 でありながら長年 3t ha-1 前後の収量を維持している(小林 2015).これまで無肥研管理水田では灌漑水による養分供 給の効果が大きいこと(竹内ら 1979)やイネが吸収する 窒素の大部分が土壌から供給されていること(Okumura 2002)が報告されている.しかし窒素以外のリン,カリウ ムなどの各種養分の動態に関する情報は少なく,また,複 数の長期無施肥水田における養分動態の比較もされていな い.そのため,複数の無肥研管理水田で収量が維持されて いる要因については未解明の部分が多い. 植物は根を介して主に土壌の液相部分である土壌溶液か

ら養分を吸収している(山崎 1970,Smal and Misztal 1996).

そのため,土壌溶液中の養分濃度の変化を経時的に測定す ることによって,植物体の根圏における養分動態が評価で きると考えられる.水田においては土壌溶液への養分は, 土壌からだけでなく灌漑水からも供給されるため,両者の 評価が重要である(岡島・今井 1972,川村・中島 1979). 土壌からの養分に関しては,湛水培養法が窒素の可給態養 分評価のために用いられているが,ケイ酸など他の養分へ の有効性も示されている(北田ら 1992,住田 1992). そこで本研究では,複数の長期無施肥水田において,土 壌の湛水培養,灌漑水および土壌溶液の分析に基づいて養 分動態を評価し,イネの養分吸収量から生産性とその経年 持続性を示すことを目的とする.本報においては 2014 年 に行った計測結果に基づき,調査対象水田の養分動態の特 徴を紹介する.

材料および方法

栽培概要 無肥研が長期にわたり無施肥無農薬栽培を行っている野 洲圃場,亀岡圃場,小倉圃場(小倉区,栗東区)で 2014 年に調査を行い,京都大学大学院農学研究科附属京都農場 (京大圃場)を比較対照とした.野洲圃場は 2003 年,亀岡 圃場は 1993 年,小倉圃場小倉区は 2003 年より無施肥無農 薬栽培を継続している.小倉圃場栗東区では,滋賀県栗東 市にて 1951 年より無施肥無農薬栽培を行っていた水田の 表土を 2006 年に客土し,以後無施肥無農薬栽培を継続し ている.栽培品種は野洲圃場と亀岡圃場では秋の詩,小倉 圃場ではベニアサヒであり,京大圃場では秋の詩とベニア サヒの両品種を供試した.いずれの圃場でも無肥研で自家 採種されている種子を用い,野洲圃場では 3 月 30 日,亀 岡圃場では 3 月 29 日,小倉圃場では 4 月 6 日に,京大圃 場では 5 月 8 日に播種した.育苗は,長期無施肥圃場では 各圃場の土を,京大圃場では育苗用培土(商品名:くみあ い粒状培土 WK)を用いた.移植は野洲圃場では 5 月 20 日, 亀岡圃場では 5 月 17 日,小倉圃場では 5 月 25 日,京大圃 場では 6 月 5 日に行った.栽植密度は野洲圃場,亀岡圃場,

論 文

(2)

小倉圃場では条間 33cm,株間 18cm(16.8 株 m-2 )であり, 京大圃場では条間 30cm,株間 15cm(22.2 株 m-2 )とした. 長期無施肥圃場は無機質有機質を問わず外部からの投入は 一切無く,収穫後の稲わらおよび籾殻も外部に持ち出した. 京大圃場では無施肥区と施肥区を設け,施肥区では肥効調 節型肥料(商品名:エコロング)で N-P2O5-K2O を 6.0-4.7-5.6 g m-2 施用した.防除については,長期無施肥圃場では薬 剤散布を行わなかったが,京大圃場では除草剤・殺虫剤・ 殺菌剤等の農薬を適宜散布した.水管理は,長期無施肥圃 場ではかけ流し灌漑であるが,京大圃場はかけ流しにせず, 田面水が減少した場合に適宜灌漑を行った.野洲圃場は 7 月中旬から 8 月上旬に中干しを行い,それ以外の圃場では 中干しは行わなかった. 測定項目 栽培前(京大圃場の施肥区は施肥前)の土壌(いずれも 灰色低地土)を採取し 30℃ 4 週間の湛水培養を行った. 培養後の湛水土壌の上澄液を 0.2 mL 採取し,イオンクロ マトグラフィー(SHIMADZU PIA-1000)を用いて NH4+, K+, Mg2+, Ca2+ 濃度を測定した.培養後の土壌に塩化カリ ウム溶液を加えてろ過した溶液中の NH4+濃度をインド フェノール法により測定し,土壌の可給態窒素量とした. また,1 週間ごとに土壌溶液,灌漑水および灌漑排水を採 取し,養分濃度(NH4+, NO3-, PO43-, K+, Mg2+, Ca2+, SiO2)を 測定した.土壌溶液の採取は,各圃場各区 5 または 6 地点 に表層から 10cm の深さに土壌溶液採取器(ファイバー式, 大起理化工業)を設置し,吸引法により行った.採取した サンプルはろ過後イオンクロマトグラフィー(SHIMADZU PIA-1000)で NH4+, NO3-, K+, Mg2+, Ca2+濃度を,モリブデ ン青 - アスコルビン酸還元法により PO43-濃度を,モリブ デン黄吸光光度法により SiO2濃度を測定した.さらに, 成熟期に各圃場各区内の 3 地点において植物体 10 株を採 取し,収量を測定した.また , 同時に同地点において採取 した植物体 2 株を用いて,植物体中の養分濃度(N, P, K, Mg, Ca, SiO2)を測定した.養分濃度は,植物体をケルダー ル分解した後,インドフェノール法により N 濃度を,バ ナドモリブデン法により P 濃度を,炎光光度法により K 濃度を,原子吸光光度法により Mg および Ca 濃度を測定

した.SiO2濃度は 1.5 mol L-1フッ化水素酸 +0.6 mol L-1塩

酸で抽出したのち,モリブデンイエロー比色定量法により 測定した(Saito et al. 2005).

結果

植物体 各圃場各区の収量を第 1 図に示した.秋の詩の収量は, 亀岡圃場で有意に低く,野洲圃場は京大圃場の無施肥区お よび施肥区と有意な差はみられず,収量が高かった.また ベニアサヒの収量は,京大圃場の施肥区で有意に高く,小 倉圃場小倉区と栗東区は,京大圃場の無施肥区と有意な差 はみられなかった.植物体中の養分濃度において,K 濃度 はすべての長期無施肥圃場で京大圃場に比べて低くなる傾 向があったが,N,P,Mg,Ca 濃度では差はみられなかっ た(第 2 図).SiO2濃度は野洲圃場で著しく高く,他の長 期無施肥圃場では京大圃場と同等であった.以上の結果か ら,長期無施肥圃場では長年無施肥で栽培されているが, 比較的収量水準は高く,植物体中の養分濃度にも K 以外 の相対的な不足がみられないことが確認された. 土壌溶液

土 壌 溶 液 中 の NH4+,PO43-,K+,Mg2+,Ca2+,SiO2濃 度

の推移を第 3 図に示した.土壌溶液中の NH4+濃度は移植 後増加し,移植 3 週間後以降減少した.移植 3 週間後まで の平均 NH4+濃度は京大圃場に比べ長期無施肥圃場で高 かった.なお NO3-は生育期間を通じて検出されなかった. PO43-は,京大圃場の施肥区では生育期間を通じて検出され たが,無施肥区では移植後減少した.一方,長期無施肥圃 場では生育期間を通じて非常に低い濃度であった. K+ 濃 度は京大無施肥区,京大施肥区,亀岡圃場の順に高く, 第 1 図 各圃場各区における収量. 横軸の小倉 O は小倉圃場小倉区,小倉 R は小 倉圃場栗東区,京大 N は京大圃場無施肥区, 京大 F は京大圃場施肥区を示す.誤差線は標 準誤差を示し(n=3),同一符号は 5% 水準で 有意差がないことを示す(品種別に Tukey 法 による多重比較を行った).



第 2 図 成熟期における植物体中の養分濃度. 数値は京大圃場施肥区における養分濃度を 1 とした場合の相対値を示す. SiO2 SiO2

(3)

NH4+と同様にすべての圃場で移植後減少した.Mg2+濃度 と Ca2+ 濃度はどちらも野洲圃場で著しく高く,すべての圃 場で生育前半ゆるやかに増加し,生育後半は減少した. SiO2濃度は野洲圃場,京大無施肥区,京大施肥区の順に高 く,すべての圃場で移植後増加し移植 30 日後以降減少した. 土壌 土壌の湛水培養後における液相中の養分濃度および可給 態窒素量を第 4 図に示した.土壌中の可給態窒素量は長期 無施肥圃場と京大圃場で同程度であったが,液相中の NH4+濃度は長期無施肥圃場で高く,京大無施肥区で低い 傾向にあった.すなわち,長期無施肥圃場の土壌では京大 無施肥区に比べて湛水培養により無機化された窒素量のう ち液相中に移動する割合が高かった.また,培養後の液相 中の Mg2+ 濃度と Ca2+ 濃度はどちらも野洲圃場で高く,京 大圃場で低かった. 各圃場における土壌の湛水培養後における液相中の養分 濃度と土壌溶液中の養分濃度との関係を第 5 図に示した. なお,土壌の湛水培養の期間は 4 週間であったため,移植 から約 4 週間後の土壌溶液中の養分濃度の値を比較に用い た.その結果,湛水培養後の土壌の液相中の K+ ,Mg2+ , Ca2+ 濃度と土壌溶液中の各養分濃度との間に有意な正の 相関がみられ,NH4+濃度に関しても,有意ではないものの, 両者の間に正の関係がみられた. 第 3 図 土壌溶液中の NH4 + ,PO4 3-,K+ ,Mg2+ ,Ca2+ , SiO2濃度の推移. 第 5 図 土壌の湛水培養後における液相中の養分濃度 と移植約 4 週間後の土壌溶液中の養分濃度と の関係. 第 6 図 灌 漑 水 中 の NH4 + ,PO4 3-,K+ ,Mg2+ ,Ca2+ , SiO2濃度の推移. 第 4 図 土壌の湛水培養(30℃ 4 週間)後における液 相中の NH4 + ,K+,Mg2+,Ca2+濃度および可 給態窒素量. NH4+

(4)

灌漑水 第 6 図 に 灌 漑 水 中 の NH4+,PO43-,K+,Mg2+,Ca2+, SiO2濃度の推移を示した.灌漑水中の PO43-濃度は亀岡圃 場で高く,それ以外の養分濃度は野洲圃場で高い傾向で あった.また,長期無施肥圃場では,京大圃場に比べて養 分濃度の変動が大きかった. 長期無施肥圃場ではすべて灌漑水をかけ流しにして栽培 を行っているため,灌漑水中の養分濃度と排水中の養分濃 度とを比較した(第 7 図).NH4+では両者がほぼ等しかっ

た が,PO43-,K+,Mg2+,Ca2+,SiO2で は 灌 漑 水 中 の 濃 度 が排水中の濃度を上回る傾向にあり,灌漑水中のこれらの 養分が水田に供給されていることが示唆された.

考察

本研究では,複数の長期無施肥水田において土壌の湛水 培養,灌漑水および土壌溶液の分析に基づき養分動態の評 価を行った . 土壌の湛水培養における液相中の NH4+,K+, Mg2+ ,Ca2+ 濃度と土壌溶液中の各養分濃度との間には正 の相関がみられ(第 5 図),湛水培養で示される供給能が 土壌溶液中の養分濃度に反映されていることが示唆され た.また PO43-,K+,Mg2+,Ca2+,SiO2においては灌漑水 が供給源の一つとなっていることも示唆された. 土壌溶液中の NH4+濃度はすべての長期無施肥圃場で移 植後増加し,移植 3 週間後以降減少した.最高分げつ期頃 である移植 6 週間後以降はすべての圃場で非常に低い濃度 で推移した(第 3 図).低濃度になる時期は京大圃場でや や早く,亀岡圃場でやや遅かったが,慣行施肥田における 報告(鳥山・石田 1987)とほぼ同時期であった.また, 灌漑水と排水の NH4+濃度は生育期間を通じてほぼ等しく (第 6 図),灌漑水による NH4+供給量は少ないと推察され た.これらのことから,移植直後は土壌の窒素無機化量が 植物体の窒素吸収量を上回っており,土壌溶液中の NH4+ 濃度は増加したが,分げつが盛んになり植物体の窒素吸収 が活発になるにつれて土壌溶液中の NH4+濃度は減少し, 最高分げつ期以降は土壌からの窒素供給と植物体の窒素吸 収がほぼ釣り合っていたと推測される. 土壌溶液中の PO43-濃度は,すべての長期無施肥圃場に おいて生育期間を通じて非常に低いにもかかわらず(第 3 図),成熟期における植物体の P 濃度は京大施肥区と同等 であった(第 2 図).これは,土壌中でリン酸は固相の表 面に固定されやすいため,土壌溶液中に溶出しにくく,イ ネは吸収するリンの多くを根を通じて不溶態リン酸を可溶 化することで得ている(Kirk and Saleque 1995)ためであ ると考えられる. 土壌溶液中の K+ 濃度はすべての長期無施肥圃場で移植 後減少し,最高分げつ期以降は非常に低い濃度で推移した (第 3 図).カリウムでは窒素と同様,移植後植物体の K 吸収が活発になるにつれて土壌溶液中の K+ 濃度が減少し, 最高分げつ期以降は土壌および灌漑水からの K+ 供給量と 植物体の K 吸収量とが釣り合っていたことが推測される. 土壌溶液中の Mg2+ および Ca2+ 濃度は,すべての長期無 施肥圃場で生育前半ゆるやかに増加し,出穂期頃である移 植約 90 日後以降減少した(第 3 図).生育前半は土壌およ び灌漑水からの Mg2+ および Ca2+ 供給量が植物体の吸収量 を上回っており,土壌溶液中の濃度は増加したが,出穂期 以降は吸収量が上回るようになり,土壌溶液中の濃度は減 少したと推測される. 土壌溶液中の SiO2濃度はすべての長期無施肥圃場で移 植後増加し,分げつ盛期頃である移植 30 日後以降はゆる やかに減少した.移植直後は土壌および灌漑水からの SiO2 供給により土壌溶液中の SiO2濃度は増加したが,分げつ が盛んになり植物体の SiO2吸収が活発になるのに伴って, 土壌溶液中の SiO2濃度は減少したと考えられる.同様な 減少は施肥田においても観察されており(住田・大山 1991,三枝・小林 2002),必ずしも SiO2の供給量不足を 示すわけではないと考えられる.ケイ酸は病害虫抵抗性と の関連性などが指摘されており(笹本 1962),無施肥無農 薬栽培においては重要な元素の一つとみなされる.窒素吸 収などとのバランスに基づき解析することが必要と考えら れる(Tsujimoto et al. 2010). 養分動態と生産性について長期無施肥圃場間で比較した 場合,土壌溶液中の養分濃度と収量の高低は必ずしも対応 していなかった.調査した長期無施肥水田の中で最も収量 が高かった野洲圃場では,土壌溶液中の養分濃度も高く推 移する傾向にあった.一方亀岡圃場では収量が他よりも低 かったにもかかわらず,土壌溶液中の養分濃度に他の圃場 との大きな差異はみられなかった.土壌溶液中の養分濃度 は土壌からの養分放出や灌漑水からの養分供給により増加 第 7 図 灌 漑 水 中 お よ び 排 水 中 の NH4 + ,PO4 3-,K+, Mg2+ ,Ca2+ ,SiO2濃度の差の値の推移.

(5)

する一方で,植物体の養分吸収や溶脱により減少すると考 えられる.今回調査した圃場の中では野洲圃場のみ中干作 業を行っていたが,その影響は Mg2+ および Ca2+ で顕著だっ たものの,その他の養分では明瞭ではなかった.今後は植 物体の養分吸収と土壌溶液中の養分濃度の関係について, 両者の推移をイネの養分吸収モデルに当てはめて解析する ことで,長期無施肥水田の生産性を支える要因をより詳細 に調査する予定である.

謝辞

本研究を進めるにあたり,NPO 無施肥無農薬栽培調査 研究会の皆様に土壌や土壌溶液,植物体の試料を提供して いただきました.また,土壌溶液の養分分析にあたり,京 都大学大学院農学研究科農学専攻栽培システム学分野にご 協力いただきました.ここに厚く感謝の意を表します.

引用文献

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Kirk, G.J.D. and Saleque M.A. (1995) Solubilization of phosphate by rice plants growing in reduced soil: prediction of the amount solubilized and the resultant increase in uptake. Eur. J. Soil Sci. 46: 247-255.

小林正幸 (2015) 異なる水田における無施肥無農薬栽培水 稲の玄米収量の経年変化.NPO 無施肥無農薬栽培調査 研究会 2014 年度研究報告会資料. 岡島秀夫・今井弘樹 (1973) 土壌の養分供給能に関する研 究(第 2 報) 水田圃場における土壌溶液濃度と養分供給. 日本土壌肥料学雑誌 44: 296-300.

Okumura, T. (2002) Rice production in unfertilized paddy fi eld ―Mechanism of grain production as estimated from nitrogen economy―. Plant. Prod. Sci. 5: 83-88.

三枝正彦・小林紀子 (2002) 山間地棚田水田における田面 水及び土壌溶液ケイ酸の動態と水稲のケイ酸吸収.日本 土壌肥料学雜誌 73: 471-475.

Saito, K., Yamamoto, A., Sa, T. and Saigusa, M. (2005) Rapid, micro-methods to estimate plant silicon content by dilute hydrofluoric acid extraction and spectrometric molybdenum method. Soil Sci. Plant Nutr. 51: 29-36.

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profi les of forest and arable light textured soils, S. E. Poland. Applied Geochemistry 11: 81-85. 住田弘一・大山信雄 (1991) 水稲のケイ酸吸収促進に及ぼ す有機物およびケイ酸石灰の施用効果.日本土壌肥料学 雜誌 62: 386-392. 竹内史郎・奥村俊勝・長谷川浩 (1979) 立地条件が無施肥 田の水稲の生育・収量に及ぼす影響.近畿大学農学部紀 要 12: 117-125. 鳥山和伸・石田博 (1987) 土壌溶液モニター法による水田 土壌中の NH4-N 消失時期の把握.日本土壌肥料学雜誌 58: 747-749.

Tsujimoto, Y., Homma, K., and Shiraiwa, T. (2010) The effects of soil drying and rewetting on rice growth in lowland aquatic Ferralsols in the southeastern forest region of Madagascar. Plant Soil 333, 219-232.

山崎慎一 (1970) 土壌溶液の採取法およびその化学的組成. 日本土壌肥料学雑誌 41: 424-432.

(6)

Evaluation of Plant Nutrients Uptake in Relation to Nutritional Dynamics in

Soil in Long-term Nonfertilized Paddy Fields

1. Evaluation of Nutritional Dynamics in 2014

Shoko Tatara1), Koki Homma1,2), Mitsuo Kuwada1,3), Masayuki Kobayashi3), Tatsuhiko Shiraiwa1)

1) Graduate School of Agriculture, Kyoto University (Kitashirakawa-Oiwake, Sakyo-ku, Kyoto 606-8502, Japan) 2) Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University

(1-1, Tutsumidori-Amamiyamachi, Aoba, Sendai 981-8555, Japan)

3) NPO Nonorgaic, Nonchemical Crop Production Research Group

(1106-2, Yoshida-Kaguraoka, Sakyo-ku, Kyoto 606-8311, Japan)

Summary: The long-term nonfertilized paddy fi elds managed by NPO Nonorganic, Nonchemical Crop Production Research have maintained the grain yields of approximately 3 t ha-1. However, the nutritional evaluation for the maintenance are still

limited. This study aimed to characterize the nutritional dynamics in long-term nonfertilized paddy fields on the basis of measurements in 2014. The nutrients concentrations in soil solution showed consistency with those in a liquid layer after anaerobic incubation of soil, suggesting that the dynamics of nutrients concentration in soil solution were refl ected by the supply ability of nutrients from soil. The concentrations of PO43-,K+,Mg2+,Ca2+,SiO2 in irrigated water higher than those in drained water, respectively, suggesting some amount of these nutrients were supplied by irrigation. The nutrients concentration of rice showed that nutrients deficiency were not observed except K+. The nutrients concentrations in soil

solution did not always indicate rice productivity, recommending dynamic analysis for the relationship between nutrients concentrations in soil solution and nutrients uptakes.

Key Words:anaerobic incubation of soil, irrigation water, lomg-term nonfertilized paddy fi eld, rice, soil solution

Journal of Crop Research 61: 1- 6(2016) Correspondence: Koki Homma (koki.homma.d6@tohoku.ac.jp)

参照

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