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病原菌のアキレス腱をターゲットとした病害防除戦略

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1.はじめに

 人口増加に伴う食糧供給の不安は高まる一方であり,食 糧増産に向けた研究は多様な分野で展開されている.作物 生産における減収の要因として,病虫害による被害も大き く,効果的な病虫害防除法の開発が求められている.植物 病害の防除においては,農薬散布や抵抗性品種の利用が中 心である.また,病原菌の疫学的特徴から病気の発生しに くい栽培方法の開発も行われている.しかし,これら防除 法は安定した効果を持続できない場合が多い.病原菌が変 異することにより,薬剤耐性菌の出現や抵抗性品種の罹病 化現象が相次いで報告されている.従来までに確立された 防除法だけでは効果を発揮できない危険性を常に抱えてい るのが現状である.我々は多様な作用点を有する防除法を 開発し続ける必要がある.これまでの病害防除戦略におけ る問題点と今後の防除技術開発の方向性について述べる.

2.農薬の開発

2.1 農薬施用における問題点  農薬は広く用いられているが,その効果から殺菌作用を 有するもの,殺菌性は無いが病原菌の病原力発揮に重要な メラニン化を阻害する作用を有するものや,植物側の抵抗 性を誘導する作用を有するものなどに分けられる.医薬品 とは異なり,治療効果よりはむしろ予防効果を期待して病 原菌の感染に好適な時期に備えて予め農薬を散布しておく のが一般的な防除法である.殺菌作用を有する農薬は病害 が発生してしまっても治療効果が期待できるが,その作用 が強い故にヒトへの毒性や環境汚染の問題も配慮しなけれ ばならない.一方,元来殺菌作用を有していると考えられ ていた農薬について,その効果を形態学レベルで評価した 結果,静菌作用を示した例もある(Inoue et al., 2012).こ のような農薬を治療剤として多量に投与すると,生存した 病原菌が変異を起こし,薬剤耐性菌が出現する可能性を高 めてしまう.病原菌のメラニン合成経路を遮断する作用を 有する農薬などは,病原菌の病原性に特異的であり,環境 負荷は小さいために,開発が進められている.しかし,病 原菌を死滅させる作用を有さないことより,病原菌は変異 を引き起こし,作用点である酵素の形状を変化させ,薬剤 が無効化しやすい傾向にあるので,同一薬剤を長期使用す ることは避けるべきである.一方,植物の抵抗性を誘導す る農薬は,病原菌に直接作用するものではないので,病原 菌の変異を心配する必要はない.これら農薬の作用機序は, 以下のように考えられている.植物の抵抗性反応は複数の 情報伝達経路が活性化されるが,その一部を農薬により刺 激することで防除効果を得るものである.農薬により,絶 えず抵抗性反応を引き起こさせると,病害抵抗性関連タン パク質が蓄積し,矮化や疑似抵抗性病斑形成などの悪影響 が生じることも懸念される.病原菌の侵入時にのみ速やか に抵抗性反応を誘導できる,いわばアイドリングストップ 状態にさせる薬剤の開発が盛んに行われている.しかし, 病原菌の感染時に生じる刺激と,自然界に存在する光・温 度・接触などのストレス刺激がどこまで区別できるのか, 今後の研究に期待したい. 2.2 農薬の新しいターゲット  以上のように,画期的な農薬が開発されても,病原菌が 変異すると効果が発揮されなくなる場合が多い.同一農薬 の長期的な連続使用は避け,なるべく多様な作用点から成 る農薬を複数種類備えておくことが重要である.これを実 現していくためには,病原菌のターゲットを多様に設定し, 新たな農薬を開発していくことが重要である.効果的な防 除ターゲットを設定するためには,病原菌の感染戦略を理 解しなければならない.病原菌が感染を成立するために重

病原菌のアキレス腱をターゲットとした病害防除戦略

池田健一

神戸大学大学院農学研究科(〒 657 − 8501 兵庫県神戸市灘区六甲台町 1 − 1) 要旨:病害防除においては,抵抗性品種の崩壊や薬剤耐性菌の出現など多くの困難に直面する.持続的な病 害防除を実現するためには,病原菌の感染戦略や生存戦略を理解し,効果的な防除手段を多数用意する必要 がある.植物病害抵抗性遺伝子は病原菌の侵入を感知する受容体として機能している.しかし,植物に認識 される因子は病原菌にとって必須ではない場合が多く,その因子を変異させることにより容易に抵抗性品種 の崩壊が起こると考えられている.病原菌が病原力を発揮するために必要不可欠な因子−言わば病原菌のア キレス腱部位−を認識できる病害抵抗性遺伝子を選抜育種あるいは進化分子工学的手法により創出すること ができれば,持続性の高い防除が実現可能となる. キーワード:病原性因子,ヴァイロコントロール,病害抵抗性遺伝子,進化分子工学 2012 年 4 月 6 日受理

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数多くの研究が行われている.  病源性因子は,病原菌に対してランダムに変異を加え, 病原性を喪失した菌株の原因遺伝子を特定することにより 急速に明らかとなってきた.これら成果により,cAMP 経 路や MAPK など様々な情報伝達経路が関与していること が明らかとなったが,その中には,糸状菌の生育・代謝に 関わる因子も含まれていた.このような因子も病原性因子 と呼ぶことが妥当であるのか議論の分かれるところである (池田・土佐 2012).  我々の研究グループでは,病原菌の感染過程を形態レベ ルで解析し,感染成立に重要な形態変化の特定に取り組ん でいる.これまでに,宿主表面に接着する能力,および宿 主に侵入する能力について着目している. 2.3 植物病原菌の接着能力  胞子伝搬性の植物病原糸状菌は,胞子が宿主葉に到達後, 発芽・宿主侵入を経ることで感染が成立する.この過程で, 風雨に曝されて離脱することも考えられる.また,宿主侵 入の際には,侵入に伴う病原菌側の圧力から植物側の細胞 壁に反作用が生じてしまう.このように,病原菌は宿主侵 入する際に,宿主から離脱してしまう危機を乗り越えてい ることが考えられる.宿主侵入部位を電子顕微鏡観察する と,侵入に重要な器官である付着器の周辺に繊維状の物質 が蓄積していることが明らかとなった(第 1 図)(Ikeda et

al., 2012; Inoue et al., 2007).このような繊維状物質は細胞

外物質(extracellular matrix : ECM)と呼ばれ,宿主との接 着に貢献していることが考えられた(Apoga et al., 2001). この ECM の繊維状構造は,動物などに存在するコラーゲ ンを代表とする細胞接着因子と類似している.動物由来細 胞接着因子を抗原とした抗体を処理すると,発芽菌糸およ び付着器に陽性反応が認められた(Inoue et al., 2007).こ のことより,胞子発芽体にコラーゲンなどの糖タンパク質 を分解するコラゲナーゼやゼラチナーゼを処理したとこ ろ,ECM が分解され,病原菌が剥離してしまうことが明 らかとなった(第 2 図)(Inoue et al., 2007; Inoue et al., 2011a).このECMの特徴は,ナシ黒斑病菌など他の糸状菌 においても広く保存されていることが明らかとなり,有望 な防除ターゲットであると考えられた(Hyon et al., 2009). 2.2 病原菌の剥離作用を利用した生物防除法  病原菌の胞子発芽体はコラゲナーゼやゼラチナーゼなど で剥離することが可能であったことより,病原菌の剥離作 用を利用した新たな防除法の開発が考えられた.酵素を植 物に処理する方法はコストがかかるため,酵素生産性微生 物を利用した生物防除法を試みた.まず,ゼラチン分解活 性を指標として,自然界よりゼラチナーゼ高生産細菌を選 抜してきた(第 3 図)(Shimoi et al., 2010). 第 3 図 ゼラチン分解活性を指標とした微生物の分離行程 (Shimoi et al., 2010).  これら細菌を,いもち病菌胞子発芽体に処理したところ, コラゲナーゼ処理と同等の剥離効果が得られた(Shimoi et al., 2010).さらに,いもち病菌と高ゼラチナーゼ活性を示 す細菌を同時接種したところ,高い病害防除効果が得られ た(第 4 図)(Shimoi et al., 2010).この細菌を安定して定 着させる方法が確立されれば,実用化につながることが期 待できる. 第 2 図 各種分解酵素を用いたいもち病菌胞子発芽体の剥 離効果(Inoue et al., 2011a).左側写真:光学顕 微鏡写真,右側写真:コムギ葉接種における走査 型電子顕微鏡写真.Collagenase, Gelatinase 処理 区では胞子発芽体の剥離痕が観察された. 第 1 図 いもち病菌の宿主侵入過程における透過型電子顕 微鏡像(Inoue et al., 2007).矢印:細胞外物質

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3.病原菌の生態を理解した防除法

3.1 植物病原糸状菌の感染戦略  植物病原糸状菌はそれぞれ異なる生活環を有している. 胞子を多量に生産して子孫を拡散させるタイプもあれば, 胞子はほとんど作らずに菌糸が伸展して広大なコロニーを 形成するタイプもある.病害防除を成功させるには,これ ら病原菌の生態的な特徴を理解することも重要である.  生態的な特徴を理解する際に重要な考え方として,r-K 戦略がある.多量の胞子を形成するタイプは r 戦略であり, 菌糸を伸展させるタイプは K 戦略と理解できる.r 戦略を とる病原菌に対しては,農薬の散布が効果的であり,K 戦 略をとる病原菌に対しては,生物防除なども有効となる(第 5 図).  生物防除は環境負荷の低い防除法であると共に,農薬の 悪影響を心配する消費者の声が高まりつつあることより, 近年,さまざまな生物防除法の開発が進められている.し かし,これら試みの多くは,実験室レベルでの成功事例と は裏腹に,圃場レベルでは良好な成果が得られないのが現 実である.この原因としては,生物防除剤として用いる微 生物が,圃場における多様な微生物群集との競合に負けて しまい,持続的な効果が発揮できないためと考えられてい る.それでは,持続可能な生物防除法は実現するのだろう か. 3.2 果樹類紋羽病における病害防除  果樹類紋羽病は多様な多年生作物に被害を及ぼしている 土壌病害であり,その病原体は子のう菌に属する白紋羽病 菌と担子菌に属する紫紋羽病菌が知られている.これら病 原菌の疫学的特徴は,それぞれ子のう胞子および担胞子を 形成するものの,それらは病気の拡大には影響を及ぼさず, 菌糸が圃場内を伸展して病気の拡大を引き起こしている. これは典型的な K 戦略である.現在,紋羽病の防除は農 薬(フルアジナム)の大量投与に頼っており,その経費や 労力さらに環境汚染の懸念が高まっている.生物防除法は それら問題点を克服する上でも期待される技術である. Bacillus sp. などを用いた生物防除の試みは行われている が,ポット試験での防除効果は良好であるにも関わらず, 圃場における Bacillus sp. の定着能力については安定しな いことより,実用化に至っていない(中村 2004). 3.2 果樹類紋羽病のヴァイロコントロール  白・紫紋羽病菌における菌糸伸展性の特徴は,病原菌の 細胞が菌糸を介してつながり,大きなネットワークを形成 しているものと考えることもできる.このような菌糸ネッ トワークの細胞内部へ侵入し菌糸を介して伝搬できる,例 えばウイルスのような因子であれば,細胞内で増殖するた めに,環境中の微生物による競合から回避することが可能 である(Matsumoto,1998).菌類ウイルスは糸状菌に広く 存在していることが知られている.そのほとんどは中立的 で宿主細胞に影響を及ぼさないが,一部のウイルスは宿主 病原菌の病原力を低下させる作用を有している.この病原 力低下作用を有する菌類ウイルスを利用した生物防除法を ヴァイロコントロール(Virocontrol)と呼び,実用化に向 けて基礎研究を行ってきた(Ghabrial and Suzuki,2009).  これまでに,日本各地の圃場より白・紫紋羽病菌を分離 し菌類ウイルスの検出を行った.その結果,多様な菌類ウ イルスが検出され,新たに感染を繰り返していることが明 らかとなり,その中でも,宿主ではなく土壌中に生息して いる病原菌をクワ枝トラップ法により捕捉した場合におい て,病原力低下作用を有する菌類ウイルスが見出された (Ikeda et al., 2004 ; Ikeda et al., 2005).このウイルスは新た なファミリーを形成する新規ウイルスであり,ウイルス学 の分野においても興味深い成果であった(Chiba et al., 2009).これらウイルス保有菌を発病圃場の病原菌と接触 させ,ウイルスが伝搬するのを促進させるのがヴァイロコ ントロールである.  しかしながら,病原菌の方も,このような有害因子の侵 入を防ぐための機構を発達させている。糸状菌においては, 異なる遺伝子型を有する菌糸同士の融合を阻害する細胞質 不和合性機構が発達している.それぞれの菌糸が接触する 細胞において,不和合な組み合わせであることを認識する と,プログラム細胞死が引き起こされ,菌類ウイルスも移 第 4 図 選抜された微生物のイネ葉におけるいもち病 防除効果(Shimoi et al., 2010).

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には,細胞質不和合性によるウイルス移行の阻害を克服し なければならない.  このような背景のもとで,平成 20 年より生物系特定産 業技術研究支援センターのイノベーション創出基礎的研究 推進事業の支援を受けて,「植物糸状菌病制御のためのヴァ イロコントロール因子導入法の開発」という課題に取り組 んでいる(第 6 図).菌類ウイルスの特性評価を岡山大学 が分担し,細胞質不和合性反応の基礎研究を神戸大学が分 担し,果樹研究所・広島県立大学・神戸大学により菌類ウ イルス導入方法の開発を進めている.細胞質不和合性反応 を形態レベルで評価したところ,プログラム細胞死は既知 のアポトーシスやオートファジーなどとは異なる機構であ ることを明らかとした(Inoue et al., 2011b).また,菌類ウ イルスを菌株間移行させる技術として,細胞壁を除去した プロトプラスト融合法(Kanematsu et al., 2010)や亜鉛化 合物を処理して細胞質不和合性反応を遅延させる方法(朴 ら 2011)などを開発した. 第 6 図 ヴァイロコントロール実現に向けたウイルス導入 方法の開発.

4.病害抵抗性品種の開発

4.1 病害抵抗性品種の利用  病害抵抗性遺伝子は多くの作物遺伝子源から見出されて おり,それらは実用品種へ導入されることにより,有効な 病害防除手段の一つとなっている.しかし,これら抵抗性 品種に頼っていると,抵抗性を打破する病原菌が出現し, 効果が発揮されなくなってしまう.特に顕著な例が,イネ いもち病における抵抗性品種の崩壊現象である.新たに作 出されたいもち病抵抗性品種が圃場に展開されてわずか数 年で抵抗性を打破する病原菌の系統が出現する例が相次い でいる(Peng et al., 1998).  なぜ抵抗性品種の崩壊が起こるのか?まず,植物におい て抵抗性が発揮されるメカニズムを理解する必要がある (Dangl and Jones, 2001).近年,抵抗性遺伝子の単離報告が 相次ぎ,その実態はロイシンリッチリピートを含む受容体 である場合がほとんどであった.病原菌の生産するエリシ ター(エフェクター)を直接あるいは間接的に認識するこ とにより抵抗性反応を発動させていることが明らかとなり つつある.それでは,病原菌はなぜ見つかってしまうのか? 病原菌は宿主に定着できるように様々なエフェクターを産 生している.これらエフェクターは宿主細胞内に干渉する 性質を有することより,受容体に直接あるいは間接的に認 識されてしまうものと考えられる.この宿主に認識される ようになったエフェクターのことをエリシター(それを コードする遺伝子を非病原力遺伝子)と呼んでいる.病原 菌は宿主定着を確実なものとするために,エフェクターは 多種類用意されており,その一つが欠損しても病気を引き 起こす能力は保持している.突然変異により非病原力遺伝 子が欠損してしまうと,自然淘汰により抵抗性を打破でき る変異菌株が優占してしまうのである.すなわち,野生種 遺伝子源より見出された抵抗性遺伝子は,対象となる病原 菌を偶然にも認識できたが,その非病原力遺伝子が変異す るだけで無効となってしまう非常に危うい関係であること を考慮に入れておかなければならない. 4.2 新たな病害抵抗性遺伝子の開発  それでは,持続性の高い抵抗性遺伝子は存在し得るのだ ろうか?抵抗性遺伝子が,病原菌にとって変異すると生存 できない,あるいは病原菌として成り立たない,言わば「ア キレス腱」部位を認識することができれば,それは可能と なる.病原菌のアキレス腱部位を明らかとするためには, 病原菌の病原性について深く研究することが重要となる.  従来の育種ベースで見出された抵抗性遺伝子は,それが 持続性を有しているのか知ることが非常に困難である.有 望な遺伝子源を見出す過程において,多様な分離源からな る病原菌に対して抵抗性を示すことを明らかとしていれ ば,持続性が高いと評価できるのかもしれない.また,あ らかじめターゲットとなる「アキレス腱」因子を決定し, それを認識することができる遺伝子源を選抜してくるとい う逆転の発想により,持続性の高い抵抗性遺伝子が見出さ れるかもしれない。  一方で,持続性の高い抵抗性遺伝子を新たに創出するこ とは可能なのだろうか?既存の抵抗性遺伝子を進化分子工 学手法により人為的に進化させ,新たなリガンド結合能力 を有する抵抗性遺伝子を作出することは実現可能かもしれ ない.我々は抵抗性遺伝子のロイシンリッチリピートのリ ピート単位を任意にシャッフリングし,新たなターゲット タンパク質と結合できる遺伝子の作出に成功した(第 7 図) (池田・川崎 2008).さらに,得られた遺伝子に対して, error-prone PCR を行うことにより進化を加速させ,結合能 力を高めることにも成功した(池田・川崎 2008).

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5.今後の展開

 後半に述べた進化分子工学的手法を駆使した新たな抵抗 性遺伝子の開発については,解決すべき課題は多い.例え ば,リガンド結合能力の高い受容体遺伝子が作出できた場 合に,その認識情報はどのような仕組みで伝達され,抵抗 性反応に導かれるのだろうか? また,遺伝子組み換え技術に頼った場合に,それを受け入 れる消費者の土壌は将来において形成されるのだろうか? 現在,急速に発展しつつあるゲノム解析技術とゲノミック セレクション技術を組み合わせれば,遺伝子組み換え技術 に頼らないオーダーメイド遺伝子創出という新しい育種技 術が発展していくのかもしれない.

6.謝 辞

 本研究は生物系特定産業技術研究支援センター(イノ ベーション創出基礎的研究推進事業),科学研究費補助金 (特別研究員奨励費(20038)・若手研究 B(19780036)・若 手研究 A(23688006)・基盤研究 B(18380033))の支援を いただいた.

参考文献

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Disease protection measures targeting to the Achilles’ heel of the pathogen

Kenichi Ikeda

Graduate School of Agricultural Science, Kobe University(1-1 Rokkodai, Nada, Kobe 657 − 8501, Japan)

Summary: In the process of disease protection, we encounter numerous problems such as breakdown of disease resistance cultivar and emergence of fungicide tolerant pathogen. For the success of durable disease protection, we have to study the infection strategies and lifecycles of pathogen, and prepare multiple disease protection measures. Most of the disease resistance (R) genes function as a receptor for pathogen. However, most of the R genes sense dispensable factor for life or pathogenicity. Once the dispensable factors mutate, the disease resistance cultivars carrying R genes fail to sense pathogen, causing the breakdown of disease resistance. If an R gene senses essential factor for life or pathogenicity, that is Achilles’ heel of the pathogen, it would be a durable R gene. I present a possibility to create novel R gene by directed evolution.

Key words: Pathogenicity factor, Virocontrol, Disease resistance gene, Directed evolution

Journal of Crop Research 57 : 61 − 66(2012) Correspondence : Kenichi Ikeda(ikeken@phoenix.kobe-u.ac.jp)

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