• 検索結果がありません。

「北海道における外国人観光客の消費動向と今後の誘致の課題」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「北海道における外国人観光客の消費動向と今後の誘致の課題」"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2015 年 5 月 29 日 日本銀行札幌支店

北海道金融経済レポート

北海道における外国人観光客の消費動向と

今後の誘致の課題

本稿の執筆は札幌支店営業課 薄井 良輔が担当しました。本レポートで示された意見は執 筆者に属し、必ずしも日本銀行札幌支店の見解を示すものではありません。 照会先:日本銀行札幌支店営業課 橋本(TEL:(011)241-5232) 本レポートはインターネット(http://www3.boj.or.jp/sapporo/)からもご覧いただけます。 本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行札幌支店までご相 談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

(2)

1.外国人観光客数1と消費動向 ○ 2010 年以降の外国人入国者数の推移をみると、円安の影響やビザの緩和によって、全国 的に外国人観光客が増加している中、北海道においても、国際線の増便も相まって、増加し ている(図表 1)。この結果、延べ宿泊者数に占める外国人観光客の割合も全国各地で上昇 傾向にあり、特に北海道ではその傾向が強く見られている(図表 2)。 【図表 1】外国人入国者数 【図表 2】延べ宿泊者数に占める外国人の割合 ○ こうした中、百貨店、ドラッグストア、家電量販店における外国人観光客の消費額を試算する と、いずれの業態においても、売上高に占める外国人観光客の割合が高まっている(図表 3)。 特に、2014 年は、同年 10 月の免税対象品目拡大の影響から、一段と上昇している。 【図表 3】売上高に占める外国人観光客の割合(当店試算) <百貨店2> <ドラッグストア3> <家電量販店4 1 本稿で使用している外国人の入り込みや宿泊者数などのデータは、観光目的だけでなくビジネス目的などで訪日する外国人も含ん でいる。ただし、北海道に来る外国人は、観光目的が多いと考えられることから、本稿では各統計を観光客の動向を表すものとみな す。 2 売上高は、商業動態統計の「百貨店」を使用。外国人観光客の売上高は、訪日外国人消費動向調査の「服・かばん・靴」の購入率・単価に、 出入国管理統計の北海道への入国者数を掛け合わせた。「札幌市内」は、札幌市内の百貨店 4 社に対して売上高に占める免税品比率を聞き 取り、集計したもの(ただし、データの制約から、期間は 14/3~15/2 月)。 3 売上高は、専門量販店販売統計の 2014 年の計数を基に、2012~2013 年については商業販売統計の「医薬品・化粧品小売業」の前年比で 割戻して算出。外国人観光客の売上高は、訪日外国人消費動向調査の「化粧品・医薬品・トイレタリー」の購入率・単価に、出入国管理統計の 北海道への入国者数を掛け合わせた。 4 売上高は、専門量販店販売統計の 2014 年の計数を基に、2012~2013 年については商業販売統計の「機械器具小売業」の前年比で割戻し て算出。外国人観光客の売上高は、訪日外国人消費動向調査の「カメラ・ビデオカメラ・時計、電気製品」の購入率・単価に、出入国管理統計 の北海道への入国者数を掛け合わせた。 (注)北海道:新千歳・旭川・函館空港の合計 関東:羽田・成田空港の合計 九州:博多港、福岡・鹿児島空港の合計 (出所)法務省「出入国管理統計」 (注 1)北海道:北海道運輸局管内、関東:関東運輸局管内、 九州:九州運輸局管内、沖縄:沖縄総合事務局管内 (注 2)観光目的の宿泊客数が 50%以上の宿泊施設を集計 (出所)観光庁「宿泊旅行統計調査」 (出所)経済産業省「商業動態統計」、観光庁「訪日外国人消費動向調査」、法務省「出入国管理統計」、経済産業省「専門量 販店販売統計」 0 5 10 15 20 25 └ 1 0 ┘└ 1 1 ┘└ 1 2 ┘└ 1 3 ┘└ 1 4 ┘ 北海道 関東 九州 全国 (年) (%) 0.9 1.6 2.6 3.2 0 1 2 3 4 5 12 13 14 (%) (年) 札幌市内 1.6 2.3 4.3 0 1 2 3 4 5 12 13 14 (%) (年) 1.2 2.0 3.2 0 1 2 3 4 5 12 13 14 (%) (年) (%) 0 50 100 150 200 250 └ 1 0 ┘└ 1 1 ┘└ 1 2 ┘└ 1 3 ┘└ 1 4 ┘ 北海道 関東 九州 全国 (2010/1~3月=100) (年)

(3)

―― 小売業者からは、「外国人観光客が購入する商品は、ありとあらゆる品目に広がってい る」、「売上高に占める外国人観光客の割合は、月によっては 1 割程度に達することもあ る」との声が聞かれている。 2.外国人観光客の消費単価 ○ もっとも、道内の外国人観光客による消費が増加している一方、入国空港別の外国人観光 客による消費単価をみると、新千歳空港は他の空港に比べて低い水準となっている(図表 4)。 この背景には、北海道が他の地域に比べて、①旅行 1 回あたりの宿泊日数が短いこと、②個 人客の割合が低いこと、③支出額のうち買い物代について単価の低い菓子類の構成比が高 いこと、が挙げられる。 【図表 4】入国空港別の外国人観光客の消費単価 (消費単価が低い背景①)旅行 1 回あたりの宿泊日数が少ない ○ 新千歳空港から入国する外国人観光客の国籍をみると、福岡空港などから入国する外国 人観光客と同様に、宿泊日数が短い近隣諸国(アジア)からの割合が高い(図表 5、6)。ただ し、入国空港別の外国人観光客の平均宿泊日数をみると、福岡空港から入国した場合は、 新千歳空港から入国した場合よりも長い(図表 7)。これは、福岡空港から入国する外国人観 光客は、九州内を周遊していることから、宿泊日数が長くなっていることが一因と考えられる。 【図表 5】訪日外国人の国籍別割合(入国空港別、2013 年) <新千歳空港> <福岡空港> <全国> (注)2010~2014 年の平均(2010 年は 4~12 月) (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 (注)主要アジア諸国:中国・台湾・韓国・香港・シンガポール・タイ、主要欧米諸国:イギリス・フランス・ドイツ・米国・カナダ (出所)法務省「出入国管理統計調査」 88.7% 4.4% 6.9% 70.8% 13.0% 16.2% 0 20 40 60 80 100 120 140 160 新千歳 仙台 羽田 成田 中部 関西 福岡 那覇 新千歳の水準 (千円) 88.6% 4.1% 7.3% 主要アジア諸国 主要欧米諸国 その他

(4)

【図表 6】国籍別平均宿泊日数(全国) 【図表 7】入国空港別の外国人観光客の平均 宿泊日数 (消費単価が低い背景②)個人客の割合が低い ○ 観光客の消費については、団体客に比べて、個人客の方が宿泊単価や飲食単価が高くな る傾向があるが、都道府県別にみると、北海道は団体旅行向けパッケージ商品の割合が高く、 個人旅行の割合が低い(図表 8)。 【図表 8】外国人観光客の団体パッケージ旅行の割合(2014 年) (注 1)2010~2014 年の平均(2010 年は 4~12 月) (注 2)全国ベースのデータであり、観光以外の目的で訪日して いる外国人が含まれる。 (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 (注)2010~2014 年の平均(2010 年は 4~12 月) (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」 0 10 20 30 韓国 台湾 香港 中国 タイ シンガポール マレーシア インド 英国 ドイツ フランス ロシア 米国 カナダ オーストラリア (日) 0 10 20 30 40 50 60 北海道 熊本 県 和歌 山県 山梨 県 大分 県 沖縄 県 香川 県 富山 県 千葉 県 青森 県 愛媛 県 福岡 県 長崎 県 岐阜 県 大阪 府 東京 都 静岡 県 岩手 県 愛知県 宮崎 県 広島 県 兵庫県 三重 県 鹿児 島県 宮城 県 神奈 川県 京都府 長野 県 新潟 県 石川県 山形 県 滋賀 県 栃木県 山口 県 福島 県 奈良 県 佐賀 県 茨城 県 秋田 県 群馬県 埼玉 県 岡山県 福井県 鳥取 県 島根県 徳島 県 高知 県 (%) 全国平均=15.6 0 2 4 6 8 10 12 14 16 新千歳 仙台 羽田 成田 中部 関西 福岡 那覇 新千歳の水準 (日)

(5)

(消費単価が低い背景③)買い物代のうち、単価の低い菓子類の構成比が高い ○ 外国人観光客の消費額に占める品目別の割合をみると、北海道では菓子類の土産物の種 類が充実していることもあって単価の低い菓子類の構成比が高い一方、消費額の大きい関東 では単価の高いカメラ・時計や電気製品の構成比が高い(図表 9)。 ―― 家電など単価の高い商品の多くが道内で生産されているわけではないのに対し、菓子 類の多くが道内で生産されていることから、経済効果がない訳ではない。より付加価値の 高い商品を道内で生産し、外国人観光客に購入してもらうことで、より大きな経済効果を 生むことができる。 【図表 9】外国人観光客の消費額に占める品目別の割合 <北海道> <関東> ○ こうした現状認識のもと、今後、北海道を訪れる外国人観光客の消費単価を高めていくため には、①観光ルートのさらなる拡充を目指すなどといった広域連携等により、外国人観光客が 道内各地に足を運ぶように促すこと、②個人旅行がしやすくなるように観光・宿泊施設等で外 国語対応などのサービスを充実させること、③道内で高付加価値の土産品を生み出していく ことなどが必要と考えられる。 3.外国人観光客の入り込みのシーズン・地域格差の状況 ○ 外国人観光客の延べ宿泊者数を月毎にみると、北海道ではピークとボトムの差が大きいの に対し、沖縄県ではその差が小さい(図表 10)。また、北海道では、国内客が少ない冬季に外 国人観光客が比較的多く来ていることで、繁閑差を緩和している。もっとも、4 月は国内客、外 国人観光客ともに少なくなっていることから、今後、外国人観光客を誘致する際には、4 月を 中心としたオフシーズンでの集客を意識する必要がある。 (注 1)2010~2014 年の平均(2010 年は 4~12 月) (注 2)各品目の消費額は、訪日外国人消費動向調査の各品目の購入率・単価に、出入国管理統計の北海道への入国者 数を掛け合わせて算出。 (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」、法務省「出入国管理統計」 8.8% 12.7% 9.9% 18.7% 25.4% 24.6% 菓子類 カメラ・ビデオカメラ・時計 電気製品 化粧品・医薬品・トイレタリー 服(和服以外)・かばん・靴 その他 16.5% 8.2% 6.0% 25.6% 17.4% 26.4%

(6)

【図表 10】訪日外国人の月別延べ宿泊者数(2014 年) <北海道> <沖縄県> ○ また、振興局・総合振興局別の訪日外国人の延べ宿泊者数の割合をみると、札幌市を含む 石狩に集中しており、その集中度合いが高まっている(図表 11)。こうしたことから、今後は、① 札幌圏以外での外国人観光客の受入れ体制の拡充、②新千歳空港と各地域を結ぶ 2 次交 通網の整備などに取り組み、外国人観光客の宿泊日数の長期化につなげていくことが期待さ れる。 【図表 11】振興局・総合振興局別の訪日外国人延べ宿泊客数の割合 以 上 (出所)北海道庁「訪日外国人宿泊客数」 (注)年平均=100 (出所)観光庁「宿泊旅行統計調査」 (%) 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度上期 空知 0.6 0.7 0.6 0.4 0.8 石狩 36.7 35.1 36.9 39.6 44.4 後志 15.6 16.7 18.1 15.9 7.0 胆振 18.3 17.5 15.8 16.4 18.5 日高 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 渡島 7.6 7.9 8.3 8.8 8.9 檜山 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 上川 10.9 10.6 9.6 10.6 12.7 留萌 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 宗谷 0.3 0.4 0.4 0.4 0.6 オホーツク 2.1 2.1 2.6 2.1 2.3 十勝 4.8 5.8 4.7 2.9 2.2 釧路 2.8 2.8 2.8 2.6 2.4 根室 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 外国人 国内客 (月) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 外国人 国内客 (月)

参照

関連したドキュメント

・小麦の収穫作業は村同士で助け合う。洪洞県の橋西村は海抜が低いの

教育・保育における合理的配慮

現在政府が掲げている観光の目標は、①訪日外国人旅行者数が 2020 年 4,000 万人、2030 年 6,000 万人、②訪日外国人旅行消費額が 2020 年8兆円、2030 年 15

我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費 等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロス 1 が発生している。食品

2)海を取り巻く国際社会の動向

 福永 剛己 累進消費税の導入の是非について  田畑 朋史 累進消費税の導入の是非について  藤岡 祐人

その問いとは逆に、価格が 30%値下がりした場合、消費量を増やすと回答した人(図

したがいまして、私の主たる仕事させていただいているときのお客様というのは、ここの足