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イシガミ石神 アキヒト昭人 略歴 1990 年東邦大学薬学部大学院薬学博士大日本インキ化学工業株式会社総合研究所研究員 1992 年米国国立衛生研究所 (NIH) 米国国立老化研究所 (NIA) 客員研究員 1994 年東京都老人総合研究所細胞化学部門研究員 2005 年東京都老人総合研究所老化制御

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ビタミンCと老化 機能性食品評価系の確立

Establishment of functional food evaluation which used vitamin C

insufficient mice.

 An appropriate evaluation system that correctly evaluates effectiveness and safety of the functional food and supplement has not been established yet. Most of the functional food and the supplement being marketed now has 'Anti-oxidation ability' as the effect. To evaluate the effect of the functional food and supplement, we used SMP30/GNL knockout mice that can not synthesize vitamin C and ‘real-time biography,’ a newly developed photonic imaging system, with the chemilumigenic probe, Lucigenin, to detect superoxide anion radicals. Superoxide-dependent chemiluminescence levels determined by ischemia-reperfusion were 3.0-fold higher in vitamin C depleted SMP30/GNL knockout mice than in vitamin C supplemented SMP30/GNL knockout mice. However, total superoxide dismutase activity and protein levels were not altered. Thus, vitamin C depletion specifically increased superoxide generation in the brain. Moreover, administration of hydrogen-rich pure water created a pronounced decrease of superoxide formation in the brain. Hydrogen-rich pure water acts as an anti-oxidant in the brain and prevents superoxide formation. Collectively, it has been understood that the SMP30/GNL knockout mice that cannot synthesize vitamin C by this research is practical and is possible as the human model animal that is correctly appreciable of effectiveness and the safety of the functional food and supplement with 'Anti-oxidation ability'. 1990年 東邦大学薬学部大学院 薬学博士 大日本インキ化学工業株式会社 総合研究所 研究員 1992年 米国国立衛生研究所 (NIH)、米国国立老化研 究所 (NIA) 客員研究員 1994年 東京都老人総合研究所 細胞化学部門 研究員 2005年 東京都老人総合研究所 老化制御 リーダー・主 任研究員 2008年 東邦大学薬学部生化学 准教授 現在に至る 略 歴

イシガミ

神 昭

アキヒト

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はじめに  機能性食品・サプリメントの有効性や安全性を正しく評価する適切な評価系は未だ確立されてい ない。現在市販されている、機能性食品・サプリメントのほとんどは、その効能として『抗酸化能 力』を持っている。私たちは、ビタミンCを合成できない遺伝子破壊マウス(SMP30/GNL遺伝子破 壊マウス)を開発し、このマウスをビタミンCの少ないエサ(マウスが1日に必要とするビタミンC量のわ ずか2.5%)で飼育したところ、普通のマウスより寿命が1/4に短縮することを突き止めた1−3)  ヒトは体内でビタミンCを合成できない。しかし、マウスは体内でビタミンCを合成できる。私たち が開発したビタミンCを合成できないマウスは、限りなくヒトに近いヒトモデル動物である。このマウ スは『抗酸化能力』を持つ機能性食品・サプリメントの有効性や安全性を正しく評価できるヒトモデ ル動物として利用価値が高い。本研究では、ビタミンC不足マウスを用いた『抗酸化能力』を持つ機 能性食品・サプリメントの評価系が有効であることを確認、立証するため、「水素(H2)ガスを高濃 度に溶解した水素水」を代表例とし、その効果を検証する。即ち、水素(H2)を飽和状態(0.6 mM) まで溶かした水素水(高濃度水素溶解精製水)の飲用が脳での活性酸素の発生を抑制できるかを、 ビタミンC不足マウス及びリアルタイムに脳での活性酸素の量を測定できる装置(リアルタイムバイオ グラフィー装置)を用いて比較、検討した。水素(H2)ガスは神経細胞から生ずる活性酸素、特に毒 性の強い活性酸素であるヒドロキシラジカルの発生を抑制、または減少させることが報告されてい る4−6) 実験方法 1. ビタミンC合成不全マウス(SMP30/GNL遺伝子破壊マウス)  加齢指標タンパク質30(SMP30)は、ラット肝臓より同定された加齢で減少するタンパク質である7,8) 最近、私たちはSMP30がビタミンC合成経路の重要な酵素であるグルコノラクトナーゼ(GNL)であ ること、SMP30/GNL遺伝子を破壊したマウスは体内でビタミンCを合成できないことを報告した1,3) 即ち、SMP30/GNL遺伝子破壊マウスは、体内でビタミンCを合成できないヒトに極めて類似したヒ トモデル動物である。  ビタミンCの不足が脳での活性酸素を増加させるか明らかにするため、SMP30/GNL遺伝子破壊 マウスを生後30日で離乳後、ビタミンCを全く含まない餌や飲み水を与えて4週間、飼育した。また、 水素(H2)ガスを飽和状態(0.6 mM)まで溶かした水素水の飲用がビタミンC不足による脳での活性 酸素の増加を抑制できるか調べるため、SMP30/GNL遺伝子破壊マウスを生後30日で離乳後、①水 素(H2)ガスを飽和状態(0.6 mM)まで溶かした水素水(高濃度水素溶解精製水)を与えた群、②充 分なビタミンCを与えた群、③水のみを与えた群の3群に分け、1ヶ月間、飼育した。水素は揮発性が 高いため、飲料水の交換は1日2回行った。 2. リアルタイムバイオグラフィー法  活性酸素は反応性が高いため、生体内で直接、その量を測定することは難しい。そのため、生 体成分の酸化程度を知るためには、カルボニル化タンパク質を指標とする酸化タンパク質、チオバル

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ビツール酸法による過酸化脂質、8-ヒドロキシ-デオキシグアノシン(8-OHdG)を指標とするDNAの酸 化修飾などが測定される。しかし、これらの方法は最終酸化生成物を測定するものであり、生体内 の活性酸素の量を測定するものではない。現在、活性酸素を直接に測定するためには電子スピン共 鳴(ESR; Electron Paramagnetic Resonance)測定装置が用いられる。しかし、この装置を用いて リアルタイムに生体内で発生する活性酸素を測定することは現時点では不可能である。これらの問 題を克服するため、東京都老人総合研究所の佐々木らは脳スライスを用いた脳での活性酸素の発生 をリアルタイムに捉える装置(リアルタイムバイオグラフィー装置)を開発した9)。脳での活性酸素の検 出には、スーパーオキシドアニオンラジカル(O2-・)に特異的に反応する化学発光試薬であるルシゲ ニン(Lucigenin)を用いた。ルシゲニンの化学発光量は高感度CCDカメラでリアルタイムに撮影を行 い、15分ごとの積算画像を数値化し定量した。この装置を用いることにより、生体に近い状態で脳 の活性酸素を測定することが可能である。 結果と考察 1. ビタミンC不足による脳の活性酸素の増加  ビタミンCの不足が脳での活性酸素を増加させるか調べるため、ビタミンCを体内で合成できない SMP30/GNL遺伝子破壊マウスとリアルタイムバイオグラフィー装置を用いて実験を行った。その結 果、脳の活性酸素量はビタミンCを充分に与えた群に比べてビタミンCを全く与えない群では定常状 態でも有意に高く、虚血、再灌流に似た窒素、再酸素により約3倍も活性酸素が多く生じた(図1)10) この時、脳のビタミンC含量はビタミンCを充分に与えた群に比べて6%以下であった。一方、抗酸化 系にはたらくスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性やMn-SOD、Cu,Zn-SOD、カタラーゼなどの タンパク質量に有意な差は見られなかった(図2)10)。これらの結果は、ビタミンCが不足し、高い酸 化ストレス状態にあっても脳の抗酸化防御システムはそれに対応できず、非常に脆弱であることを示 している。そのため、脳の酸化ストレスが少しでも高まると、神経細胞死が誘導されてしまうと考え られる。 図1 ビタミンC不足による脳の活性酸素の増加10) SMP30/GNL遺伝子破壊マウス(KO)及び野生型マウス(WT)を生後30日で離乳後、ビタミンC水(1.5 g/L)を与えた群(VC(+))と 水のみを与えた群(VC(−))に分けて4週間、飼育した。(A)リアルタイムバイオグラフィー装置を用いて脳の活性酸素を測定。活性 酸素の検出には、スーパーオキシドアニオンラジカル(O2-・)に特異的に反応する化学発光試薬であるルシゲニンを用いた。化学発 光量は高感度CCDカメラでリアルタイムに撮影を行い、15分ごとの積算画像を数値化した。(B)135-180分の再酸素による総活性 酸素量を測定。値は平均±標準誤差(5匹)。*p < 0.01 as compared to VC(+) SMP30/GNL KO, VC(−) WT and VC(+) WT.

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2. 水素水の飲用は脳の活性酸素を減少  水素(H2)ガスの吸引は一時的に血流が止まる虚血、再灌流により発生する活性酸素の生成を 抑 制することが報 告されている4−6)。しかし、水素ガスを日常的に吸引することは難しい。その ため、水素(H2)ガスを飽和状態(0.6 mM)まで溶かした水素水の飲用がビタミンC不足による脳 での活性酸素の増加を抑制できるか調べた。その結果、水素水投与群は水投与群に比べて窒 素、再酸素により生ずる活性酸素の量が27%も減少した(図3)11)。この時、水素水及び水投与群 の脳でのビタミンC含量は、両群ともビタミンC投与群に比べて6%以下であった。このように、活 性酸素のひとつであるスーパーオキシドアニオンラジカルをリアルタイムに測定できるリアルタイム バイオグラフィー装置を用いて、水素水の飲用が脳での活性酸素の増加を抑制することを明らか にした。通常、水素は毒性の強い活性酸素であるヒドロキシラジカルを消去する。しかし、本研 究から水素は生体内で過剰な活性酸素が発生するような条件下ではヒドロキシラジカル及びスー 図 2 ビタミン C 不足による脳の抗酸化系への影響10) SMP30/GNL 遺伝子破壊マウス(KO)及び野生型マウス(WT)を生後 30 日で離乳後、ビタ ミン C 水を与えた群(+)と水のみを与えた群(−)に分けて4 週間、飼育した。SOD 活性や Mn-SOD、Cu,Zn-SOD、カタラーゼなどのタンパク質量に有意な差は見られなかった。

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パーオキシドアニオンラジカルの両方を直接的或いは間接的に消去する可能性が考えられる。また、 水素はミトコンドリア膜を容易に透過できるため、ミトコンドリア内でのスーパーオキシドアニオンラ ジカルの生成を直接的或いは間接的に抑制する可能性も考えられる。今回の研究成果により、水素 (H2)ガスを飽和状態(0.6 mM)まで溶かした水素水の飲用は生体内で過剰なスーパーオキシドア ニオンラジカルの発生を抑制することが明らかになった。水素水は酷い酸化ストレスがかかる条件 下で有効な抗酸化物質であると考えられる。 まとめ  本研究により私たちが開発したビタミンCを合成できないSMP30/GNL遺伝子破壊マウスは『抗酸 化能力』を持つ機能性食品・サプリメントの有効性や安全性を正しく評価できるヒトモデル動物とし て実用可能であることが分かった。また、水素水の飲用がビタミンC不足による脳での活性酸素の 増加を抑制することも明らかになった。本研究から水素ガスは吸引だけではなく、飲用によっても脳 での活性酸素の増加を抑制できることが分かった。活性酸素は糖尿病、動脈硬化などの生活習慣 病やアルツハイマー病などの神経変性疾患、そして老化の一因であると考えられている。水素水は、 これら疾患や老化を予防する手軽に飲用できる水としてその効果がとても期待される。  なお本研究は、現在市販されている水素を含有する特定の健康飲料水や健康サプリメントの効果 を実証するものでは無い。純粋に科学的に水素(H2)ガスを飽和状態まで溶かした水素水が脳での 活性酸素の増加を抑制することを調べた研究成果である。 謝 辞  本研究を遂行するにあたり、研究助成を賜りました財団法人アサヒビール学術振興財団に深く感 謝いたします。 図3 水素水の飲用は脳の活性酸素を減少11) SMP30/GNL遺伝子破壊マウスを生後30日で離乳後、水素水を与えた群 (水素水)、ビタミンC水を与えた群(ビタミンC)、水のみを与えた群 (水)の3群に分けて1ヶ月間、飼育した。(A)リアルタイムバイオグラフィー装置を用いて脳の活性酸素を測定。化学発光量は15分ごとの積算画 像を数値化した。(B)135 −180分の再酸素による総活性酸素量を測定。水素水投与群の化学発光量は水投与群に比べて27%も減少していた。 値は平均±標準誤差(10匹)。*p<0.01 and **p<0.05 as compared to the vitamin C group. †p<0.01 and ††p<0.05 as compared to the H2O group.

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参考文献

1) 石神昭人: ビタミンCの不足が老化に及ぼす影響. ビタミン 81:303-308, 2007.

2) Ishigami A, Kondo Y, Nanba R, Ohsawa T, Handa S, Kubo S, Akita M and Maruyama N: SMP30 deficiency in mice causes an accumulation of neutral lipids and phospholipids in the liver and shortens the life span. Biochem Biophys Res Commun 315:575-580, 2004. 3) Kondo Y, Inai Y, Sato Y, Handa S, Kubo S, Shimokado K, Goto S, Nishikimi M, Maruyama

N and Ishigami A: Senescence marker protein 30 functions as gluconolactonase in L-ascorbic acid biosynthesis, and its knockout mice are prone to scurvy. Proc Natl Acad Sci U S A 103:5723-5728, 2006.

4) Ohsawa I, Ishikawa M, Takahashi K, Watanabe M, Nishimaki K, Yamagata K, Katsura K, Katayama Y, Asoh S and Ohta S: Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals. Nat Med 13:688-694, 2007.

5) Cai J, Kang Z, Liu WW, Luo X, Qiang S, Zhang JH, Ohta S, Sun X, Xu W, Tao H and Li R: Hydrogen therapy reduces apoptosis in neonatal hypoxia-ischemia rat model. Neurosci Lett 441:167-172, 2008.

6) Hayashida K, Sano M, Ohsawa I, Shinmura K, Tamaki K, Kimura K, Endo J, Katayama T, Kawamura A, Kohsaka S, Makino S, Ohta S, Ogawa S and Fukuda K: Inhalation of hydrogen gas reduces infarct size in the rat model of myocardial ischemia-reperfusion injury. Biochem Biophys Res Commun 373:30-35, 2008.

7) 石神昭人、丸山直記: SMP30 ノックアウトマウス - 新しい老化モデルマウスとしての可能性 -. 基 礎老化研究 27:35-40, 2003.

8) Ishigami A and Maruyama N: Significance of SMP30 in gerontology. Geriatrics & Gerontology International 7:316-325, 2007.

9) Sasaki T, Iwamoto A, Tsuboi H and Watanabe Y: Development of real-time bioradiographic system for functional and metabolic imaging in living brain tissue. Brain Res 1077:161-169, 2006.

10)Kondo Y, Sasaki T, Sato Y, Amano A, Aizawa S, Iwama M, Handa S, Shimada N, Fukuda M, Akita M, Lee J, Jeong KS, Maruyama N and Ishigami A: Vitamin C depletion increases superoxide generation in brains of SMP30/GNL knockout mice. Biochem Biophys Res Commun 377:291-296, 2008.

11)Sato Y, Kajiyama S, Amano A, Kondo Y, Sasaki T, Handa S, Takahashi R, Fukui M, Hasegawa G, Nakamura N, Fujinawa H, Mori T, Ohta M, Obayashi H, Maruyama N and Ishigami A: Hydrogen-rich pure water prevents superoxide formation in brain slices of vitamin C-depleted SMP30/GNL knockout mice. Biochem Biophys Res Commun 375:346–350, 2008.

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