151 第15巻第2号(19る4)
タケノホソクロバの産卵数についで
(四国地方における主要衛生害虫の生態学的研究 Ⅶ)
松 沢 寛 緒 p タグ類の薬を食害し,また時々局地的大発生をなして問題となるタグノれソクロバA摘犯αノ’甜〝β㌢■αJよぶ BuTlER ほ,異豚亜目励fβ㌢¢犯β〝㌢・αのマダラガ科Z.γgαβ乃よdαβに属するが,ドクガ類助♪㌢■βCfよざとならんで,その幼虫ほ 人を別して皮膚炎を超さしめるので,衛生害虫としてもよく知られる. 木種に関しては,小竹(1904),長野(1911,1915),山村(1910),堤(1959.),山口(19占0)らの諸氏によるいく つかの研究があり,今日ではその−・般生態も大方明らかにされた観があるい 実は,筆者は,195占一−1958年の5年間,本秤の生態に関する研究を行ない,その成績を整理してこいたが,未発表の ままで時日を経過してしまった.これらの成績は∴大層のところ,山口(19る0)らのえた成績とはぼ類似するので・ 改めて公表することをさけたいが,雌鼠虫の産卵数や卵塊の大きさに関する事項は,山口(19占0)の報告とはかなり いちじるしいちがいが認められた.そこで,19占5年,ふたたびこの点阻関する再調査を行なったので,以下にその大 要を報薯する 調 査 方 法 雌成虫(香川県三木町産)の産出卵塊数,卵塊の大きさ,産卵数の調査ほ,大型クー汐内で新たに羽化した成虫 を,雌雄1組として,毎日大型試験管(5.5cmx20cm,管ロにガーゼ装着)に収容して調査したが,産卵何の笹葉 は,毎日新鮮なものを提供することにした 野外(香川県三木町大宮地区)における卵塊の大きさに関する調査は,各世代とも,任意のランダム採取を行なっ て,実験室内で正確に卵数を数える方法をとった. 調 査 成 績 香川県三木町における タグノホソクロバの周年 経過ほ,第1図のどとく で,従来報告せられた関 東,中部,近畿における 調査結果にくらべると, 各世代とも成虫の羽化時 期が若干早い傾向が見ら れた本種の1年間の発 生回数については,小竹 (1904),名和(1884), 長野(1911)らによる1 年2回発生という説と, 山村(1910),山口( 19占0)ら紅よる1年5回Fig」.1.I.ife historychartof ArionajiLneraliSBuTLIER,Zygaenidae・
(Kagawaprefecture)
A:Adult,E:Egg,L:Larva,P:Pupa
ホ春111大学畏学部応用昆虫学研究室黙約 No70
香川大学農学部学術報告 という説,長野(1911)の1年2−5回という説があるが,香川県地方では, 従来の諷査の結果,明らか紅1年.5回の発生をなすようである ところで,本種の雌成虫は,数個の卵塊を作って産卵するが,容器内にて産 卵した場合の1雌成虫あたりの産出卵塊数は,調査の結果欝2図のごとくで, 2−5卵塊を生むものが最も多かったまた第1,第2,第5卵塊のそれぞれ の卵塊の大きさ(第4卵塊についてほ,例数が少ないので省略)およびそれら 全体の卵塊の大きさ,各世代の野外卵塊の大きさを調査した結果は.,第5図の ごとくで,それぞれの産卵で,そ・の卵塊の大きさの平均や変異の幅ほ非常にこ となること,容器内と野外では,また卵塊の大きさや変員分布がかなりことな ることがわかる 従来卵塊を作って■産卵するいくつかの昆虫でほ,横軸に階級すなわち1卵塊 あたりの卵粒数をとり,縦軸に頻度すなわち卵塊数をとって頻度分布をしらべ てみると,それらは,はぼ正規分布かもしくはそれに近いものになり,またそ の階級値の対数と PIObit単位に変換した頻度すなわち卵塊数の累積偲の間に は,直線的な関係が成り立つ場合が多いとされるけれども,今回の調査で は,容器内の第1次産卵の卵塊のみは,一応中高の左右相称的な曲線となっ 2 0 nO 6 ▲t S︼﹂V買MhLO∝局当苫n叉 り 1 2 3 4 5 NUMI)ER OF EGGMASSES PER FEMALE Fig.2.Frequency distribution Of the number of egg
masses per female ad− ults ただが,他ほいずれもピークの左偏する不相 称な曲線となり,また,本年他の地区で別途に えた調査結果も,第4図のように,同様な不相 称型であった.しかして,それら不相称型の頻 度分布を,横軸にその対数を,そして−また縦軸 に累積頻度のPIObit変換値をとってみても,あ るいはまた両軸をともに対数にとってみても, もちろん明瞭な喧線的な関係は,この場合認め られなかったり 次に雌成虫の産卵数であるが, 山口(19占0)によれば,本種の雌ほ,第1世代 でほ平均90,第2世代でほ平均14ロ,第5世代 でほ平均87の卵を産んだという.けれども,筆 者の調査成績でほ,帝1表および第5図のよう に,各世代とも平均して150−1占0の産卵数とな り,山口(19占0)のそれとはずいぶんこ.となっ た結果となったしかして従来筆者が行なった 195占−1958年の調査結果も,だいたい今回の成 績と同様であった 考 察 の叫S∽く苫じじ叫kO粥何句苫nZ 苫−−如Nu N↓の−ひ00 N芝−N↓∽ 父岩−N∽O NO−−付票 −謡−gO −巴−−謡 −Nの−−川古 −≡−−帖∽ りれ−︼コ○ 巴−ヾい 覚丁・宍 −−∼∽
NUMBER OF ECGS PER EGG MASS
Fig.5.Frequency distribution of the number of eggs
per egg maSS.
A−D:Rearing,E:Field sample
(1),(2】,†3):Thelst,2nd and the 5Id egg masseslaid out
I,ⅡJⅡ:The lst, 2nd and the 5rd generation タケノれソクロバの産卵数やその卵塊の大き さについて調査した成絞ほ,大体以_とのペたご とぐであるが,1雌成虫あたりの産卵数ほ,そ れぞれの世代とも,大体150−1る0程度で,とく に世代間でのちがいほ,はとんど認められなか った.山口(19占0)によると,第1世■代でほ, 20−182,平均90,第2地代では,20−2る8,平均140,第5世代では,2る−145,平均81であったというが,筆者の今 回の成紙とはかなりいちじるしいちがいが見られた これはおそらく,飼育の条件のちがいにもとずくものであろう が巨峰成虫の平均産出卵塊数や野外の卵塊の,平均の大きさなどから考えて,野外で正常な産卵を行なう場合,おそ
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第15巻鍵2号(19占4) らく平均ほ.百数十前後を下ることほあるまいと思 う 次に,1雌成虫あたりの産出卵塊数ほ,概して−2 −5卵塊が普通のようであるしかしでそれの卵塊 の大きさほ,第1卵塊のみについて一考えてみると, すでに第5図にも示したように,平均129を中心 に,大方左右相称的な頻度分布を・示すようである が,第2卵塊,第,5卵塊などは,次第に左偏した頻 度分布を示し,全体として−ほ解2,第5卵塊の影響 をうけて,やはりいちしるしく左偏した頻度分布を 示すことになるようである.野外の卵 塊が,・−・般に正規分布的な曲線となら
ず,左偏した頻度分布曲線を示すの 云;云恵
細 別 柑 0 ︵£s国SSく苫UU国hO銘凹凸烹⊃F 巧かー父さ N巴−当仇 NNゆ−拐O NO−−にい l琴⊥曽 ︼小−−︼u∽ lNの−1雀 −○−−−N∽ 苫−−00 81∵a b甲−等 1−▲持切 NUMBEROFEGGSpE8EGGMASSFig.4.Frequency distribution curve of the n11mbeI Of eggs per egg mass巾(Field sample)
Tablel.Number of eggslaid out per femaleい
C(〉effi云i盲ムt Of vaI・iation NumbeI Of females Sample mean lる1.77 15占.12 StandaId deviation Min.−Max. 55・一540 52・−528 は,やはりこうした事情匿もとずくも のであろうと考えられるしかして, 容器内での産出卵塊の大きさは,平均 80−90前後,野外卵塊の大きさは,平 均100−140前後で,後者の方が大きい 偲を示したが,これはやはり,容器の 空間の制約を受けたためであろう 28−55(;158.58 摘 要 タグノホソクロバの産卵数とその卵塊の大きさを知るため に,本年(19占5)この研究を実施し,おおよそ次のような成 績をえた (1)1雌あたりの産卵数ほ,平均150−1占0で,各世代の間 でもあまり大差はなかった (2)1雌あたりの産出卵塊数ほ,概して平均2−5卵塊で あった (3)卵塊の大きさは,容器内では平均8ロー90,野外では平 均100−140であった (4)卵塊の大きさについての頻度分祐曲線は,容器内飼育 の場合,第2,第・5卵塊などの大きさの影轡をうけて,いち じるしく左偏した左右不相称な曲線を示した野外卵塊の大 きさについての頻度分布曲線の不相称性にも,同様なことが 関係していると考えられる S凹J亘雲=出血︰﹄○錦崇葛岩岳 旨−−“苫 N巴−u8 営−−∼冨 −∽−−N00 −○−−㌫○ 巴−−冨
E L
A O∽T合OM E FNUMBER OF EGGS LAID OUT PER
Fig5.Frequency distribution of the number of eggs per female adl11t. 引 用 文 献 (4)堤 千里:昆虫,27,2占0(1959) (5)山口 呆:衛生動物,11,175(19‘0) (6)山村亀太郎:昆虫世界,14,250(191D) (1)小竹 浩:昆虫世界,8,500(1904). (2)長野菊次郎:同上,15,155(1911)‖ (3)・−:同上,19,9(1915)小
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On the number of eggslaid out per female adult
Of∠レれ㈲αノ■〟〝♂γαゐ−∫BuTJLER,ZJ官αβ〃オd〃β(Ecologicalstudies on someimportantinsectsin Shikoku from sanitary point of view Ⅶ)
HiroshiMATSUZAWA
SummaryIn order to clarify the number of eggslaid out per female adult of Ariona jおneralis BuTLER,this st11dy was carIied outin19占5 and the following re$ults wer’e aCquired.
(1)The number of eggslaid out per female adult was about150−160in average and the difference of
it among each generation was not so greatin general
(2)The number of egg masseslaid out per female adult was about 2−5in average
(3)The number of eggs per egg massin the field was aboutlOO・r140in average,althoughit was about8Oq9Oin the case of the rearingin glass tubes(5‖5cmx20cm)。
(4)The freqllenCy distributionof the number of eggs per色gg massin the rearing was affected by the decreased number’Of eggs per egg皿aSSlaid out at the 2nd ti皿e Or the 5エd time and showed the
asymmetrical distribution curvein which the peak of the cuIVe appearedinclining to theleft side.
Perhaps,the asymmetry observedin the distribution curve of the n11mber of eggs peregg皿aSSin the
field,may havealso been affected by the same factors mentioned above。
(ReceivedNovemberll,1965)