貯水池における池水の流動と水質分布について-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告

貯水池における池水の流動と水質分布についで

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良 八 郎

On the circulAtion and quality distIibution of waterin a reseIVOirX

Hachiro XIRA (Laboratory of AgriculturalEngineeIing) (ReceivedJuly2,]960) Ⅰ ま え が き 筆者は,神内上池な対象にした年間総合調査(1)において,と.くに成層期間中の洪水時にしばしば混濁流入水が, 顕著なdensityundeIflowとして流下し,これがdam upされて縦断方向の大循環をなす様相を軌忍しえたが,これ ら大規模な混濁庶周密度流の発達に.は,流入水の流速energyによる慣性流や流入水塊と池水塊との密度差にもとづ く侍置のenergy,さらにKNAPP,BELL(2)が[一河川に.おいては流水が浮遊物貿を運ぶが,貯水池において−は逆に浮遊 物異に.よって水が動く」と表現しているごとき,高濁流入水の浮遊物督による水の流送作用,あるいは流入水のもた らす多品なイオン物質と池泥中の溶解物質が池底付近に張敬している化学的底成層との閲に起る Chemica仁density Cur・rentなどの要因が考えられる このような貯水池における流動状態(とくに層庶流)の判定私 通′苗浮子法や微流速計による盾按流速測定や水温 分布調査なとに.よりて確認しうるものであるが,その他seston分布(たとえば生物セストンとしてのプランクトン 数や称類(8),または無生物セストンとしての浮遊物磐の汲度,濁皮,清澄度(1)など)や化学的溶㈲物質分布(たと えばpH,アルカリ皮,篠解貿濃度その他各種の溶解無機塩類)調宜などのいわゆる水質分布調査によりてもその流 動の様相が明らかとなるはずである このような概点から1959年9月4∼5日,香川県の内場貯水池を対象にして,池水の流動と沈滞タイ横間題に関連 した水質調査を行った・ Ⅱ 調査事項および方法 調査の対象とした内場貯水池は,香川県香 束川支流内堀川を蟻高50・払の車力堰堤で締切 り,]953年築造された多剛l勺ダムであるが, これは流域雨粒け=28.OK12,満水面巌A= 486,0師−12,貯水容掃C=7,400.00n㌦(有 効貯水才温<7,200、l)00−げ)でC/F=0い2642, C/Ⅰ=09511のごとくけ水能が比較的大きい, タイ妙による押没凍慢が割合小さい貯水抽と いえる げigl参照)い その形態をみると容粘仔数はM=0317で 香川県に数多く分布する貯水池増■中では極め て小さく,Fig3 に示すどとく,釦点い峡谷 型の貯水池であるので,神内」二弛と同株に稗 Figl 内 場ダ ム 庶流発達の斑著な貯水池と考えられる小 調杏は1リ59年9月4∼5日にわたって行ったが,両日とも鵬後染でその流入水撞は9月4日041Tげ/SeC,9月5日 0,35nP/SeCで少く,貯水位は9月4日E.L.=244小587rL,9月5LIE L=24LIA57nで満水両下約147n・に減水している #:貯水池のタイ妙に関する研究(16)

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第12巻第1号(1960) が,まだ約1カ月前の台風6号(8月8日)に よる混濁流入水の影響が全域に残存し,肉眼に よりても池水が混濁している様相や取水塔から の放流水も相当混濁していることが観察された (Fig2参!!召)= まず9月4日は,主としてFig3に示す測点 No1∼No8(Sl∼S8)にわたる採派や透明 度測定,プランクトン調査などを行い∫竪5日 には,測点No1(Wl),No…2(W2),No 4 (WB),No..7(W4)について名水貿の錬磨分 布,とくに測点No.7(ダム付近右折奉賛曲点) については各水質の横断面内鉛直分布調査を行 53 った. 観測にほゴ ムボートを使 用し,採派は EKMAN−BE− RGE採泥器, 透明度はSEC・ HIS disc,ブ ランクトス調 査には通常の プランクトン ネットを用い た小 さらに水 質観潮としては,水温は転倒湿度討と絶縁式北原B号採水器を用いて値接観測し,その他の名水貿項目については, 北原B号採水器で各測点の各水深(2∼4払)どとの採水を行い,ポリエチレン製採水瓶に入れて実験室に持帰り迅 速に分析を行ったぃ この際濁度は白金濁度討とS式濁度計を併用し,pHはBT.,BおよびP R標準比色液を用いた比色 法および迅速水素イオン煽1により,さらにアルカリ皮はメチリレ・オレンヂ法,塩素イオンはMobr法,硫酸イカ■ンは クロム酸バリウム法,鉄は比色法,カルシウムは容認法,タイ酸は比色法などによりて−,それぞれ分析定二苗したま た各測点の表面池派匿ついては,−JL般的理学性や粒度分派について分析したが,この際の粒度分析は主として一目動粗 凰測定器砿よった. Ⅱ 調査結果および考察 Tablel..内場貯水池における流入水,純水ならび に流出水の水貿比較(1959年9月5[り ます観測当日(9月5日)の測点No. 1(inlet)における流入水と取水塔から の流出水および池水平均の水債分析結果 を示したのがTablelであり,池水が 台風6号(8月8日)の拶轡をうけてま だ全域が混濁しており,その放流水も相 当高濁度であるのに対して,観測当日流 入水ははとんど透明で渥濁池水が漸次柿 水 貿 靂流入水l地水※l流∼.山水‡ 備 考 水濁 ※:地水の佃は測 点No.2,No,4, Noり7において鉛 胞分れ観測を行っ た池麿総ヰ均値を 示す. 25いる1124 O 43 751 pH アルカリ度 硫 酸 m m m m m m p p p p p p p p p p p p ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ 44

1二二

釈されつつある様相がうかがえる。 カルシウム (1)水温分布について 塩 素 まず水温分布では,Fig..4,5,6, 7などから典型的な夏季塑の正列成層

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香川大学農学部学術報告

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direct stratificationをなしており,顕著な躍屑が発達している様相がうかがえる・ 測 点 番 号

No 8 No−7 Noり占 No.5 No.4 No.5 No.2 No.1(Inlet) 50 (2る0dO) 水 40 (250..る0) 50 深(240・占0) 20 (25D.る0) 10 (220…る0) 0 (210…る0) 500 1,000 1,500 2,000 2,500 追 加 距 離(仇′) Eig4 内場貯水池の水湿分布ならびに水温勾配鉛債分布 すなわちFig4に示す畑勾配(または鵬傾度)の鉛直分布(深さ1〝レビとの水温傾度大きさを黒帯射で Table2‖ 内場貯水池の躍屑範囲と水温勾配(1959年9月5日) (測 点 No7) 濁度、アルカリ度、塩素、硫酸、鉄、カルシウム(ppm) 水 温(OC) 010 20 804060 100 1う0 190 0 2 4 8 81012141618 2022 242¢28 紳 02 4 ′0 8 D24る8川1214帖用別2224鮎285052 水 深︵乱し 水 深︵仇︶ 0 2 4 ′0 0U nU 2 4 ′0 8 nU 2 1 1・1 ﹂− イ1 2 2 2 2 2 5 5 Pt【80657076808{〉9095 Fig5 内場貯水池の水質鉛直分布(測点No7)

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罪12巻第1号(1960) (測 点No、4) 濁度、アルカリ度、塩素、硫酸、鉄、カルi/ウム(ppm) 水温(OC) 010 20 30 40 50 100 】き0 190 0 2 4 6 8 1012141618 2022 24 26 28 き0 55 水 深 ︵仇︶ 024る8101214柑18202224鮎遁別52 −● ●

7「ア「

・ nU ___ 4る8101214柑182022 水 深︵肌︶ 4.b8 2225 5“005707 680869096 pH Figる 内場貯水池の水質鉛債分布(測点No…4) 表示してある)をみると,大体水深0∼3仇の第1次躍層と,水深4∼9m′の第2次躍屑の存在が確認されること で,約9仇以下が深水屑となっているル、ま躍屑内の水温鉛億傾度をみるとrable2に示すと−とく,まず水深0∼3 ケルの第1次躍屑では,測点No,7で平均傾度2り㈹OC,測点No4で2.760C,測点No..2で2.830C,また第2次躍層で は,測点No.7で水深4∼97ル(平均傾度1880C),測点No‖4で4∼8?ル(2.200C)のどと.く,深水屑の平均傾度 (測点No.7で0.330C,No。4で0。170Cに比較して極めて大きく,その変曲点inflexionlayerは第1次躍屑の測点 No.7(水深2∼3仇)で叔大傾度3.300C,測点No4およぴNol2(水深2∼37ル)で4,00Cとなり,また第2次 踵屑でほ測点No..7(水深5∼6,6∼7〝む)で2..30C,測点No4(水深6∼7仇)で320Cとなっている〃 (測 点 No.2) 濁度、アルカリ皮、塩素、硫酸、鉄、カ)L/Vクム(ppm) 水湿(OC) 01020 $0 40 50 100 150 1−900 2 4(;8 101214161820 22 2426 28 30 水 探︵讐 024る81012141る18202224加285052

。2〝る81。鮎28諾

60¢5ア07∂さ.085909∂ pH Fig7 内場貯水池の水質船底分布(測点No2) この際各躍周では,上流側測点はど水温傾度が大きく,また第2次躍層より第1次躍層の水温傾度が各測点ともに 大きく,このような顧著な水温躍屑の発達は神内上他の場合(1)詳述したよう町,池水の流動に対して一層の壁の ごとき抵抗を示し,そのため後述濁度分布において特異な現象を呈したわけである さて水温分布から槻測当日の流入水の流状を∵検討してみると,貯水位は相当低減してその流入点はFig3のどとく 相当下流まで前進し,流入水は割合少く,しかも流入水温も2560Cではゞ表水温に近く,さらに全域にわたる傾度の

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香川大学農学部学術報告 56 高い躍屑存在のため日中はいわゆる表層流として流下している様相がうかがえる.. (2)濁度分布について 濁度分布で注目すべきことは,神内上池ではみられなかった特異な現象(turbidlayer)を示していることであ る.すなわち万ig8は濁度縦断分布を示すものであり,その躍層部分が特紅混濁し,顕著なturbidlayer・を形成して いるのに対して,その下屑の深水ノ酌ま割合清澄であり,さらに地底伺近に至って再び混濁状態を示していることがわ かる.この際躍層部分におけるtuIbidlayerの混濁状態は,Fig5,6,7に示す濁度鉛直分布をみるとさらに明 瞭となり,第1次雌屑と第2次躇屈の境界イ寸近で比較的水湿傾度の小さい部分(水深3∼4札内近)が,濁度のpeak (約60γ90ppm)を示していることは興味深いことである. 測 点 番 号 No.7

50No..8 No..る No5 Noハ4 No5 No2No.1(Inlet)

O N 4 N。 占ハ 5 0 N さらに流入水濁度は僅か120ppmで澄明なるに 対し,流出水のそれは68..Oppmで非常に窺ってい るが,これはFig.8でわかるどとく,取水塔の gate開放位置が高濁度を示す水温躍層範閲にある ので,主としてこのイ右近の混濁水が流出している ことを示している またpig.3に.示す測点No7(右前矧地郡)の 横断において,両岸償.張った間縄に.左岸より2GL仇 どと浮子としてポリエチレン製採水瓶を結びつ け,7測点濫ついて鉛直採水,水質観測を行った が,その結果から濁度分布図を作製したのがFig・ 9となるこの結果によると,表層の水温躍層部 におけるtur・bidlayerの左岸側が乱されて,清泣 とな.′,ていることが明瞭に示されているこの現 象は,清流灘入水が表層流として流下し,この右 折攣曲部分において左偏向流を生じていることを 貼付けるものといえよう..この際の清泣流動水の 左偏向流は,神内上他の場合(1)(左折攣曲部にかけ る混濁流動水の右偏向流)と条件がすべて逆であ る点で興味ぶかレ= 羅眉部分(turbidlayer)における潟皮のPeak

No1 Noい2

5 No.るNo.7

仇0 2 4 る 8 10 12 14 1占 18 20 22 24 2る 28 50 52 0 10 20 50 40 50 占0 7〔〕80 90100110120150ケル Fig9 内場貯水池(測線No.7右折轡曲部)における 淘度横断分布図(1959年9月5日)

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第12巻欝1号(1960) 57 は,中層に至りて清泣となり,底層檻至りて再び高濁度を示す様相がうかがえるが,これら表層柁屑部および底屑都 における濁度のpeakは,約1カ月前の台風6号(8月8日)によりてもたらされた高濁流入水によったものと考え られる”すなわち,その際の高濁流入は,神内上他の場合(1)のtLとく主としてturbldity densityunderilowとして 流下し,dam upされて表層逆向流として全域に・拡散されたか,または台風6昔時の雨遠(高松で75.,6役m)も相当あ ったため,洪水遠が急増して高龍,高速流入水は成層期とはいえ池内全域に拡散されながら流下したことが想像され る。しかして洪水後約1カ月にわたっても表層躍屑部や底層部になお高尚度のturbidlayerが残存しているのは,主 として叔著な水温勾配と浮遊物栗(主として土壌コロイドとしてのAl”Silicate)の沈降速度の関係によったものと考 えられる.. たとえば,夏季の水温正列成層をなした池水において二,その衷水屑は山般湛水温均一・で水温勾配が小さく流入,流 動水や風などの影響で部分的な流動を起し易いから,混濁粒子はその沈降速度が速められる..しかるにStabilily(水 温勾配や密度勾配)の秘めて高い雌層部分では水温の急に低下す如β分であるから,この際水の粘性係数は 旦ニニ軋 i布石潮一両頂ii百喜秤

0..0179 符=で購′rの低下により増大し,したがつてSTOXESの公式Ⅴ=÷ー翫

る関係から,沈降速度Ⅴが微小距離において刻々減速される結果となり,これら躇層部分で泥港ヨ粒子の沈降がl損止さ れる状凄となっていることが二考え.られる.. またれ温躍層滞にturbidlayerを形成している浮遊物栗ほ,後述のどとくその水温勾配の頑著な躍屑箱紺にタイ酸 のpeakが認められることから,主としてAl−Silicateからなるi壊コロイト(FeやHumusは少いようであるから)と 考えられ,この際アルミニクムは両性であり,酸性側(pH=4)よりアルカリ性側(pH=7.0∼8…0)のカが沈降し がたい土壌コロイドとなる傾l旬を示すものといえ,その躍屑範囲に形成されているpH不連続層の反応(水深0∼9勒 の範出でpII=85∼7..0を示す)とあいまって浮遊物賓沈降阻止に役立っているのではないだろうか. 以上のととく鼠李成層期の躍層内にtuIbidlayerが発達することば,従来主として湖沼における例が岩二十報告さ れていることで,向井(3)(4)による湖沼酒蘭通常牒する一過の研究常よると,背水湖,野尻湖などで夏季の雌屑内紅 tu工bidlayerの発達を確認し,その僧は他より比較的pH高く,‘温気伝導塵がmax佑を示して:いること,また竹村(5) はこれらturbidlayerす己速のmodeltestを行っているさら紅最近小島(6)の報菩濫よると,夏季の貯水池で濁度, ブランクf・ン,銅なとが減少する際,しばしば躍層付近にpeakをもったまゝ減少し,このPeakが下層に移ることな く消失する現象濫.ついて,銅を政司jして広口瓶で沈減退を測定する実測法濫より,この躍層弥浮遊物は吹送流により て池岸部に蓮ほれて沈槌するという考察を行っているが,このことはFig..9に示す右岸別の濁度分布の様相からも推 察できることである■ また9月51](嶋後曇)の各測点池衷瀾塵と透明度の測定値を示したのがTable3であるが,これによると下流側 はど濁度が岩二1一低く,透明度は逆に・若干大きくなっており,池衷は下流側闇ど若二】二透明となる傾向がうかがえる. Table 5.内場椙水他の瓶度と透明度(1959年9月5[り

. ∴

_ こ?去…lこ?去;lこ?去… こ?;≡−こ?9… 洩 皮(ppm) 透明度(mノ) 税政は池衷 (3)pHおよびアルカリ皮分布について まずp仕分計では,流入水温が25・60Cで高湿なるためpHは8‖0であるのに対し,池内各測点の鉛蔭分布をう.ると, Fig5,6,7に.示されるごとく67∼87の範囲で大体衷屑が高く,低層が低いpH成層をなしていることがわかる この際水深4仇以下ではあまり変動しないのに対して,47ル以上の肇1次躍屑矧抑こおいては,地衣に近二づくは ど,測点No・・7で68から8い6,測点No4では67から8・0のごとくpH勾配の高いpH不連続屑がみられる..このよう 紅水面高温部でとくにpH高くアルカリ性に傾くのは,高温紅よる蒸発作用やCo2の溶解度に微速していることが想像 され,また水温分布とおなじようにpH成j酌ミごきるのは,生物学ならびに化学的両面から説明がつくだろうちな みに測点No7横断における実測例を示したのがTableい4であり,p技の成層や不連続屑発達の様相が・うかがえるい つぎにアルカリ既分れでは,流\入水のアノレカリ度(メチノレ・カ■レンデ法に.よる総アルカリ度)は42りOppmで相当高い のに対し,池内においては26・0∼580ppmの範囲で,神内上池における夏季成層期の場合のごとく,pH値とは逆紅

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58 香川大学農学部学術報普 Table 4.内場貯水池におけるpHおよびアルカリ度の鉛直分布(測線No..7横断,1959年9月5日) 表層低く底屑高い傾向を示している.この点から,pHとメチルオレンヂアルカリ度に.ついて時間的,空間的な考慮 をせず,単庭数値的な相関をみると,夏季成層期に.おける池水では,逆相関をなす場合が多いのではないかと考えら れる.この際測点No7横断におけるアルカリ度の鉛直分布実測例を示したのがTableu4となり,その成層化の様相 がうかがえる (4)硫酸イオン,塩素イオン,カルシウムイオン,鉄,クイ酸などの各水質分布について つぎに硫酸,塩素,カルシウム,鉄,ケイ駿などの各水質に関する測点別鉛廼分布は,前掲のFig.4,5,6に示 され,また軋息No.,7横断における鉛直分布実測値を示したのが,それぞれTable。5(硫酸),Table 6(塩素), Tableル7(カルVグム),Table8(鉄)となる Table5.内場貯水池における硫酸イオンの鉛通分布(測線No.7横断,1959年9月5日) これらによると,内場貯水池では塩素や鉄分は極めて微鼠であるのに対し,カルソクム,さらにタイ酸や硫酸など は相当含まれているようである.このうちとくに.鉛直変化を示すのはケイ酸や硫酸イオンであるが,水温躍層部にお いてケイ酸は大体濁度分布と類似傾向を示すのに対し,硫酸イオンでは濁度分布と大体逆傾向を示していることは興 味ぶかい.その他のカルソクム,塩素または鉄などははゞ鉛直分布を示しているが,ただ微量ながら鉄分が地底付近 で急増し,さらに最も多邑な硫酸イオンも池底付近で急増していることは,いわゆる化学的底成層を意味するものと いえよう

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第12巻欝1号・(1′960)

Table る.内場貯水池における塩素イオンの鉛直分布(測線No.7横断,1959年9月5日)

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Table 7… 内場貯水池匿おけるカルレクムイオンの鉛直分布(測線No。7横断,1959年9月5日)

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香Jtl大学農学部学術報告 60 これら水底付近.で02が減少し,N且生,Fe,Mnなどが激増して底成層(mud中の有機物の酸化作用のため水中の02を 吸収して,CoB,Hco2,,He‥,Mn‥などを出すこと紅よって生ずる化学成層)を形成する現象は,湖沼などでよ くみかけられる現象であるが,この点太酔7)のかんがい用山地(奈良市,地嶽谷池)を対象に.した水貿鉛値分祁調 査でも,NH4=−N,No3−N,P去05,K20,CaO,Sio2,Clなどの各成分患の差は僅少であるが,FeO8やSo4などは相 当鉛直差を示し,とくに鉄,硫酸については深層付近で急増する傾向を確認し,これら化学成層の存在を暗示してい る 以上のどとく池水中の細磯塩類が相当鋸歯差を示す場合には,神内上池を対象にした解析(1)のどとく,水温β,浮 遊物賀濃度C(または濁度T)のみを採用して密度pの計算せ行うことが問題であり,かかる場合にはさらにその溶 解物質漉皮Sを加味した次式を用いて,池水の鉛睦安定度(密度勾配)Eを計辞し,その流動状態変化を検討する必 要が起1つてくる

E=憲㌻=意笠+省一意+意意

(5)タイ砂池泥の分布について 内場貯水池の低水位以下におけるタイ砂の縦断的分布がどのようになっているかについて,測点No..1へノNo8に わたり採脂分析した結果を示したのがTable”9およびEig10に示される ′ ′二才 ■;亭▼ グ / 一一■■一′ ′ −■一′ ../ SI ./ イ′ ′ S5 S2 J■ ′ 一′ 白 十.. ノ ′一一 一′ /一/l nV 一′ / ノ /■ノ 一つ「▼ ・S3′_ 1′ 一■一■■ ′一一′ 1/ / / ′′ ′ tノ′ ノ1 ■● / 円 ーγ′ ノノ / ′ / /ンー ′ / / ′/ S8 /

Slニ軌ご孟No1 Sg:〝Noノ2 S3:〝No3 Sす:〝No4 S5:”No5 S6:ノ′J翫6 ST−:〝No7 ち8:〝No8、.

一b ∧U O O <VO O O ハV −0 9 9 8 7ルnY∂d一3 ウー l 累加百分率P ︵%︶ _8 _7 −6 −4 −さ −$ −2 −1 0 1 2 $ 4 斥 6 7 8 9 10 11 1≦≧ 1き 14 15 1(i 粒 径 d(d)= −log2d(郡) Figl口 内場財水油のタイ砂粒皮加砧曲線(縦軸確率目盛で表示した累加百分率 械軸普通目盛で表示した¢嘩イ立粒径) Tabe19.内場貯水池における表面タイ砂の理学性 中 央 粒 径 比 重 試 料(測点)

仮比重 窮比重

Md¢ * 1。9521 2“る29  ̄  ̄ − Sl(No1) S2 (No−2) S3 (No.5) Sヰ (No.4) S5 (No..5) S6 (Noる) S7 (No7) S8 (No8) 全 平 均 S2∼S8平均

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罪12巻第1号(1960) 61 これらによると観測当日流入点のNo。1資料を除いた測点No2∼No.8の総括平均によると,仮比重1.404,畏比 重2571,孔隙率45..3%,中央粒径(Md¢=6.32,d50=0.0374郡)の底泥となる.その粒皮分布は,大体下流側はど 微粒子であることは,横軸に粒径をd(¢)=−log2d(制)なる¢単位で,縦軸に累加百分率Pを確率目盛で示した万ig.10 の粒度分布曲線,または中央粒径(M叫=またはd60)により明瞭となる.ここで測点No..4(S4)と測点No5(S6) の粒度分布が多少趣を異にするのは,Fig.3でみられるどとく,肢節からの流入土砂の影響をうけたことを㍊味する ものといえよう… これらは,主として浮流形式で流速され,低水位以下の流心部に沈澱タイ赦した表層池泥を示すものであるが, Figllに示す観測当日の流入点付近 の露JJl地底をみると,かなり大きな 石礫が流送されている様相がうかが え,減水期の洪水時には,これら低 水イ立イ弓近まで掃流形式によるニヒ砂輸 送が活発となるこ.とが推察できる しかして内場貯水池では,豊水期に. おけるback water付近に築造され ている砂防ダム(Fig.12参照)によ りて,流域上流側からの掃流土砂礫 が阻止され,そのタイ妙による埋没 年数を助長する面に大いに役立って いるといえる。 (6)池水の流動と水貿分布 以上の流入水および池内における 各水贋分端から,観測当日の池水流 figll内場貯水池の減水期(1959年9月5日)における流入点 付近届出池底 動状態について検討してみると,日中は主と してStabilityの極めて高い躍屑の抵抗に.より て表層流として流下していることが推察で き,とくに測点No.7付近の右折攣曲部に飼 いてはこの表層流が左偏向流とな/,て−ダム方 向に達していることが確認されるこのよう に水温や瀾磯瑠たは各種の溶解物質潰磯など の分布調斎によりて−,弛水の流動状態が概洛 的に判定できることは興味あることであり, 貯水池のどとき広水域に.おける池水の流動と 沈澱タイ横に関する水理現象を把握する方法 として,将来大いに活用できるものと確信す る.. Ⅳ あ と が き Fig12 内易貯水池backwateェイ寸近の砂防ダム (豊水期) 香川県における内場貯水池について,台風6号の約1カ月後(1959年9月4∼5日),主として池水の流動と水贋 分布に関する調査を行ったが,その結果を要約すると・ (1)約1カ月前の台風6号(8月8日)による混濁流入水の影響が弛水全域に残存し,清澄流入水は池水の清澄化 に役立っているが,まだ池水の大部分および流出水は相当混濁している.. (2)水温分布をみると,典型的な夏季≡型の正列成層を示し,とくに水深0∼9mの矧珂に,水温勾配の極めて大き い顕著な第1次および第2次両躍屑の発達が確認された. (3)繊度分布をみると,水温躍層都紅高濁度のpeakがみられ,深水屑に至りて清澄となるが,西び池應付近や旭

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62 香川大学蔑学部学術報告 岸付近で高尚度を示すがどとき特異な混濁現象がみられたが,これほ台風6号の際もたらされた混濁浮遊物貿が,主 として躍層部の極打て大きい水温勾配と,混触手の沈降速度,またはAトsilicateからなる土墟コロイドとアノレ カリ性を示すpH不連続屑との相互関係で阻止され,これが吹送流などにより池岸部濫運ばれて除々に沈澱しつゝあ ることを意味するものといえよう. 睦)pHほ大体表層高く底層低いのに対し,メチノレオ■レンデアルカリ度は大体表層低く底層高い逆相関を示すがご とき分布をなしているが,とくに表層の水温第1次雌層部においてpHの不連続層がみられ,このように日中水面高 温部でとく紅pH高くアルカリ性に傾くのは,高温による蒸発作用やCo2の溶解度に関連しているものと考えられる. (5)塩素イオン,カルシウムイオン,鉄などの鉛直差に比較してケイ酸や硫酸イオンのそれは変動著しく,その含 畳も多い..この際ケイ酸は濁度分布とおなじく水温躍腰部でpeakを示すのに対して,硫酸イカ■ンは逆に減少する. また硫酸イカ・ンは地底付近が急増していわゆる化学的底成層を形成しており,この際池水の鉛直安定肢判定紅あたり て,これら溶解物質濃度を加味した密度計算を行う必要がある… (6)内場貯水池の低水イ立以下流心部における底貿分布をみると,肢節からの流入土砂の影響により多少異るが,大 体下流側はど微粒子となる傾向を示し,その総平均紅よると仮比重1404,轟比重2−571,孔隙率45−3%,中央粒径 (Md¢=632,d60=0.0374謝)なるいわゆる腐泥である・ (7)水温,濁度その他溶解物栗の潰度分布によると,当日の清澄流入水は,日中表層流として流下し,とくにダム 付近の右折攣曲部においては左偏向流となつてダム紅蓮していることが認められ,これら水貿の鐘喧分布調査により て,貯水池のどとき広水域の水理現象を把握する方法は,興味ある問題として大いに・研究の必要がある1 最後に,本調査は文部省試験研究費の一都により行ったものであり,調査に思たり種々の御助言賜ったところの代 表者前川忠夫農学部長,分堪研究者玉置薦彦博士,また調査分析に協力された石本辰夫,太田抑彦,筒井徳子諸氏に 感謝の恵を表したい 文 邸 (5)TAKEMURA,Ⅰ=Amodelexperiment neferirng to thecausc oL the formation of the turbidlayer

inthelake,JourFac.LibAri.Sci,,Shin,Shu 打如〝L・,(5)(1955)‖ (6)小島貞男:貯水池における浮遊沈降機構の−・考 察,第24回陸水学会大会講演要旨(1959)一. (7)太田頼敏,橋本扮之助‥かんがい用貯水池の水質 に関する調査研究(1),奈良学芸大学紀要,7(2)(1957) (8)小島貞男:貯水池における水の流動について,水 道研究,(40)(1960)… 参 考 (1)ま良八郎‥かんがい用貯水池のタイ妙に関する研 究(Ⅵ∼Ⅹ),貯水池における密度流について(2∼6〉, 香川大学農学部学術報告,9(2)(1957),9(3)(1958), 10(1,2)(1959),11(1959)・ (2)KNAPP,P.T,BELL,臥S:Density curIent (Discussion),T〃川一ざ‖AGひい,田乱257(1941)・ (3)向井正幸:背水湖における湖水清澄度の鉛塩分布 並にその変化について(1,2),気象集誌,19(6)(19 41),21(6)(1943)‖ (4)向井正幸‥野尻湖における湖水椅泣皮の鉛直分 布,気象某誌,20(1功(1942)・ R畠s u mる

In connectionwiththe Naiba reservoir,a multi−purpOSe damlocatedin Kagawa P工efecture,Japan,in・ vestigationsonthecirculation and quaiity distributionof water asso(;iated main1ywith the problems of

sedimentations and accumulations were caIred out just about a month after the typhoon No.6 0f Al】guSt 8,1959September 4∼5,1959,tO be exact;and the results obtained are summarjzedinthe following:

(1)The effects of turbidinflow brought about by the typhoon No6were stillapparent throughout the

reservoir,and althoughthe clearinflow on the days of obseIVation was of helpin clearing up water,the

major portation of reseIVOir as wellas the out−flow were sti11conside【ably muddled

(2)Temperature distribution of waterindicated a direct stratification of typicalsummer type,and

especia11y atthe depth of O to 9m,the developments of primaIy and secondary thermoclines having

temperature gradient of extreme magnitude were confiImed.

(12)

第12巻第1号(1960) 63 (3)Regarding tuIbidity dist【ibution a peculiar phenomenon of turbidity was observed that somelayers

Of highturbidity weIe Stillfound within the temperature thermoclines,and the wate工gradua11y became limpid down at the hypolimnion,andit agaln Showed highturbidity around the boIderand also near the

bottom of the reservOir.This can be said as slgnifying a phenomenon of gradualpreclpitations of those SuSpending sediments sl】bstances ca工riedin at the time of the typhoon No6which had been obstructed chiefly on account of the inteIrelationship of extremely great temperature gradient of theImoclines and the fal1・Velocity of suspending sediments,and whichwe【e nOW being carried to the marglnS Of reseIVOir by wind currentsts

(4)While the pH factor was high for the surfacelayers andlow for the t−OttOmlayeIS On the whole,

the distribution of methylorange alkalinity,On the contrary,WaS generallylow for the suIfacelayeIS and high for the bottom,and particulazly at the temperature thermoclines someinterrupedlayers of pH

were observed

(5)Compared with the verticaldiiferences of chlorineion,Calciumion andiron,those of silisic acid and sulfuric acidions varied greate】y,andin addition their contents were considerable.On this occasion

while the silicic acidion showedits peak at the tempeIature thermoclines justlike the tuIbidity distribu−

tion,the sulfuric acidion decreased,and moreoveISulfuric acidion jncreased near the bottom ofIeserV− 01r,forming a chemicalbottom st工atificationhln such a caseiniudging the verticalstability of water of

the reservoir,density calculations must be perfoImed takinginto consideration the densities of these dissoIved substancesinaddition to water temperature and densitjes of suspending sediments

(6)Whenthe dist工ibution of sediments about the centralflow below thelow waterlevelwas observed, the farther the downstream became,the more minute the corpuscles tended to get“Judged 董IOm aggI−

egate averages,it was essentially a mud ofiloating form,having apparent specific gIaVity ofl.404, realspecific gravity of2571,pOrOSity of45。3%and median diameter of(Md4)=632and d50=0‖0374抑)

(7)Fromthedata obtained of watertemperature,tu工bidity and density distribution of other dissoIved matters,itbecame known thatthe clearinflow water during the days of observation flowed down as a surfacelayer current during daytime,and especially at the right bend near the dam siteit became aright deflecting current reaching to the dam,As a result of theinvestigations of verticaldistributions ofwater qualjty,the method of judging hydraulicalptlenOmena Of vast river basins such as reservoirs has been proved asaninteresting andimportant pIOblem which needs to be studied extensively

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