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CONTENTS BULLET FOR MY VALENTINE Interview with Matt Tuck Latest Interviews 08...BOYS LIKE GIRLS 10...DROPKICK MURPHYS 12...BLACK VEIL BRIDES 14...THE

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Vol.76

February - March 2013 Issue

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FREE!

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FREE!

フロントマン交代を経て、ついに今春、新作を発売

キルスウィッチ・エンゲイジのあらたな世界観とは

!?

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインの4作目完成

フロントマンのマット・タックにロングインタヴュー

!!

Vol.76

February - March 2013 Issue

KILLSWITCH ENGAGE

KILLSWITCH ENGAGE - BOYS LIKE GIRLS

DROPKICK MURPHYS - HADOUKEN!

MAN WITH A MISSION - BAD RELIGION

HATEBREED - FUNERAL FOR A FRIEND

HOLLYWOOD UNDEAD - BUCKCHERRY

ARCH ENEMY - COHEED AND CAMBRIA

BLACK VEIL BRIDES - THE SWORD

SHOTGUN REVOLUTION - HOLY GRAIL

MY DYING BRIDE - NEUROSIS

UNDEROATH - METALLICA - Northern19

BULLET FOR MY VALENTINE

BOYS LIKE GIRLS

DROPKICK MURPHYS

HADOUKEN!

MAN WITH A MISSION

BAD RELIGION

HATEBREED

FUNERAL FOR A FRIEND

HOLLYWOOD UNDEAD

BUCKCHERRY

ARCH ENEMY

COHEED AND CAMBRIA

BLACK VEIL BRIDES

THE SWORD

SHOTGUN REVOLUTION

HOLY GRAIL

MY DYING BRIDE

NEUROSIS

UNDEROATH

METALLICA

Northern19

(2)

Latest Interviews

08 ...

BOYS LIKE GIRLS

10 ...

DROPKICK MURPHYS

12 ...

BLACK VEIL BRIDES

14 ...

THE SWORD

16 ...

MAN WITH A MISSION

18 ...

HOLLYWOOD UNDEAD

20 ...

BUCKCHERRY

22 ...

BAD RELIGION

23 ...

HATEBREED

24 ...

COHEED AND CAMBRIA

25 ...

FUNERAL FOR A FRIEND

Pick-up Artists

26 ...

HADOUKEN!

27 ...

ARCH ENEMY /

...

SHOTGUN REVOLUTION

GrindHouse Disc Reviews

28 ...

国内盤・輸入盤レヴュー 2000年の創刊以来、US、UK、日本を中心としたシーン最前線のロックアーティストを紹介してきた「グライン ドハウス・マガジン」。情報提供のスピードアップと、誰でも自由に無料でアクセスできる手軽さを重視し、12周 年をきっかけにウェブマガジン&フリーペーパーとしてリニューアル! ウェブマガジンwww.grindhouse.jpに は、アーティストのインタヴュー、ライヴレポート、ディスクレヴューなど、最新情報を随時アップ。このフリー ペーパーでは、注目アーティストのロングインタヴューとカラーグラビアを厳選してお届けします。「グラインドハ ウス・マガジン」フリーペーパーは毎奇数月末の発行。次号Vol.77は2013年3月31日発行予定です!

発行人:有島博志/Publisher: Hiro Arishima 編集:権田アスカ/Editor: Aska Gonda スタッフ:松本美和、望月裕介 Staff: Miwa Matsumoto, Yusuke Mochizuki デザイン:一乃瀬光太郎 印刷:株式会社 八紘美術 2013年1月31日発行

CONTENTS

※本誌掲載の記事、写真等の無断複写、複製、転載を固く禁じます ©GrindHouse magazine

04

06

BULLET FOR MY VALENTINE

Interview with

Matt Tuck

KILLSWITCH ENGAGE

Interview with

Adam Dutkiewicz

GrindHouse Magazine

February - March 2013 Issue グラインドハウス・マガジン Vol.76 www.grindhouse.jp グラインドハウス・マガジン編集部 〒153-0052 東京都目黒区祐天寺1-20-8-301 有限会社 グラインドハウス TEL: 03-3794-6405 FAX: 03-3794-6406 info@grindhouse.jp

What is GrindHouse!?

全国のタワーレコード、ディスクユニオン、HMVの店舗ほか、ア パレルショップ、バー、ライヴやイベント会場にて、無料で配布 中! フリーペーパーの設置や配布にご協力いただける店舗も、随 時募集しております。配布場所、広告、記事に関するお問い合わせ やご要望は、info@grindhouse.jpまでメールでお願いいたしま す。どうぞお気軽にご連絡ください!!

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グラインドハウス・マガジン Vol.77 (April - May 2013 Issue)

www.grindhouse.jpにて随時更新 2013年3月31日発行予定

フリーペーパー ウェブマガジン

(3)

̶前々作『スクリーム・エイム・ファイア』(2008 年)までと比べると、前作はBFMVらしさをキープしつ つ、少し作風が変わった印象を受けたのね。今作も前作と はまたニュアンスやヴァイブが異なっている。もちろん BFMVの作品以外の何物でもないし、過去3作品のどれか らもそんなにかけ離れてないんだけど、そのかけ離れてい ないところで新しい領域を切り開こうという思いがあった のかな? バンドとしてキャリアが長いことが新しい領域を切り開かせ ているのかもしれないね。自分たちにある独特のサウンドと アイデンティティを理解しているよ。それはとても重要なこ とだから。常にそれを維持し、BFMVらしいサウンドを保つ ように心がけている。と同時に、常に新しい領域を探し求め ていることも事実。アイデンティティを保ち続けるのも重要 だけど、フレッシュさを求めることも大切で、新作ではドラ ムとヴォーカルパートを刷新している。だけどギターやテク ニックにおいては、これまでと同じなのが、聴けばわかると 思うんだ。そこが、これまでと違うところだと思う。部分的 に変化を加えることで、いつもの自分たちのアイデンティ ティを保ち続けながらも、常に新しく活気のあるバンドとい うイメージが作り出せるんだからね。 ̶新作には2分台の曲もあるし、曲の尺が過去のどの作品 より短いね。ムダを削ぎ落としたっていう言い方もできる けど、それ以上に1曲1曲の純度、濃度を高め、聴く人に与 えるインパクトをさらに強めたっていう気がするんだけ ど、もしかして今作でそれに一番こだわったんじゃない? 曲の尺を短くすることで、もっとパワフルな作品を作りた かったというのが本音でね。前は最短でも1曲が4分から5 分の長さだった。だけどそれはもうすでにやってきたこと だから、今回はもっとパワフルで短い曲を作りたかったん だ。音楽的なことを濃縮・凝縮するために、つなぎの部分 を短めにした。素早く本題に入ることで、曲自体を短くで きる。曲頭ですぐにヴォーカルが入るとかさ。その方がコ ンパクトで滑らかだし、断然おもしろいよ。 ̶それぞれの曲の表情、性格もより豊かになったよね。 “ブレイキング・ポイント”“ダーティ・リトル・シーク ミドルテンポの曲を増やし、スピーディな曲を減らした。 今回はスローな作風を求めた。多くの人たちがスピード感 のある方が複雑でヘヴィな曲が作れると思っているけど、 実は逆でスローな方がよりヘヴィになるんだ。意図的にミ ドルやスローなテンポにすることで、曲にさらなるヘヴィ さを与えるようにしたね。次に目指したのが、ミッドテン ポでメタルなサウンド感あふれる作品を作ること。そう いった影響が散りばめられた作品になっているよ。これま でのような典型的なメタルアルバムを作ることもできたけ ど、すべての作品が同じ作風になることを避け、1枚1枚 の作品にそれぞれ独特のヴァイブを持たせるようにした かったんだ。 ̶いよいよ新作『テンパー・テンパー』が発売を迎えるね。 発売が楽しみだし、作品にはとても満足しているよ。すばらしい出来だし、これまで発売してきたなかでもベストな作品さ。 ソングライターとしても、またバンドとしても最善をつくし、これ以上ないくらい作品が輝きを増すように作り上げた。 ̶昨年8月には完成していたわけだから、今はかなり客観的に新作を捉えられる時期にあると思うけど、今の話だと当 然胸を張って断言できる自信作だよね? 新作には100%満足しているし、今聴いても変更の必要性をどこにも感じない。1曲1曲がキラーチューンさ。同じリズム パターンなどの繰り返しもなく、過去の曲と重複した感じもないし、最高のメタル作だ。これ以上にないくらいの最高の サウンドプロダクションだし。スタジオを出たときの印象と、今現在のそれとの間に変化はないな。曲作りを始めたとき となんら変わらない。当初と同じフィーリングを今も感じる。すべてが揃い、あるべきところにちゃんとあるという感じ がするから。 ̶昨年は新作を完成させ、並行してサイドプロジェクトであるアックスワウンドのアルバム『ヴァルチャーズ』も出 し、ライヴも演ったりしたので、例年とはまた違う充実感があったんじゃない? そのとおり。最高の年だったよ。静かな年になるかと思いきや、アックスワウンドとして活動し、ブレット・フォー・マ イ・ヴァレンタイン(BFMV)の新作制作をしたりと忙しかった。とても達成感のある年となったよ。 ̶2011年3月、アイアン・メイデンやライズ・トゥ・リメインと日本で共演することになっていたけど、東日本大震災 で公演が中止になったじゃない。震災のあった11日、バンドは飛行機で日本へ向かっていたけど、成田空港へは降りられ ず、ほかの空港から本国に引き返したっていう話を聞いたよ。JEFF KILLED JOHN時代を含めるとマットのバンド歴は 15年近くになるけど、こういう経験はこのときが初めてだったんじゃない? 日本にはもう何度も行っているし、前にも地震を体験していたから、初めての経験という感覚ではなく、自然が猛威をふ るうさまを目の当たりにしたっていう思いだった。日本では何万という人々が大きな被害を受けたわけだから、それを考 えるといたたまれないけど、自分たちが危機を回避できたことに感謝している。あのときはちょうど飛行機が成田に着陸 寸前だったけど、機長が不可能と判断し、着陸地を変更することになった。それで、台湾の台北へ路線変更したんだ。混 乱し、恐怖に包まれた瞬間だったよ。まったく事態の把握ができず、その深夜にTVで、日本でなにが起きていたかを知る ことになった。恐ろしい光景だったし、ホテルの一室で混乱した。公演が中止になったわけだから、ファンには申し訳な いし、残念ではあるけれど、実際にこの地震を体験した日本の人々のことを思えば、ライヴのひとつがキャンセルになっ たことなど、オレの人生のなかではとるに足らないことさ。 ̶プライベートな質問だけど、2010年3月に第一子が 生まれたじゃない。アーティストによっては自分の子供の ことを歌った曲を作品に入れるけど、マットはどう? まだ書いていないね。ツアーを含め忙しい生活をしている から、そういう曲を書く余裕がない。すべてが短期間のう ちに起きる感じで、アックスワウンドだって、11日間で アルバムの曲作りをしたしね。今後、時間ができて機会に 恵まれれば、ロックやメタルというジャンルから離れ、子 供のことについて曲を書きたいとは思うよ。子供を持つと いうことや親になるということなど、パーソナルなことに ついて書いてみたいんだ。今は多忙だからと理由づけしつ つも、決して今後一切そういう曲を書かないと言っている わけじゃないよ(笑)。 ̶新作をどういう作品にしたいと思い描きながら曲を書 き、制作に挑んだの? ある特定のことを思い描いたという感じではなかったけど、 いくつかアイディア程度のものは最初からあった。まず、 リズムのテンポ面でこれまで以上にスローにすること。 レット”“ライオット”“セインツ・アンド・シナーズ” などの第一印象は強烈だったよ。 そうした力のある表情豊かな曲も欲しかったんだ。だか ら、いかにもスタジオで歌っている感じではなく、もっと パフォーマンス感あふれるヴォーカルに挑戦した。まるで ライヴで歌っているときのように躍動感のあるヴォーカル にね。それに、作品全体をライヴのように伸びがあり、 エッジも豊かなものにしたかった。だからライヴ感あふれ るレコーディングをし、本当に必要だと思わなければオー バーダブもしなかった。ヴォーカルに関しても、できる限 りライヴで再現できるような歌い方をしたんだ。そこをわ かってもらえてうれしいよ。 ̶もちろん、ジェイソン“ジェイ”ジェームス(b,vo) のスクリームも健在だけど、マットはこれまで以上に多く の声色を使っているよね。コーラスパートもちょっと感じ の違うものがあるし。 先に言ったヴォーカル面を刷新したっていうのは、まさに そういうことでね。インスピレーションあふれる、独特の 声色にしたいと思ったんだ。だからいろいろなヴォーカル スタイルとテクニックに挑戦した。それはコーラスパート も同じ。自分の声でありながらも違う側面を引き出してい る。それでも、もともとのアイデンティティはそのまま キープしている。このことを念頭に置き、違うトーンに シャウトにスクリーム、そしてこれまでとは異なった歌い 方などにチャレンジした結果、とてもイイ効果を生むこと ができたと思う。 ̶今回もプロデューサーはドン・ギルモアだね。前に マットは人を信頼し、心を開くまでに時間がかかるって 言っていたじゃない。で、前作制作中にドンに対してその ハードルを少し下げたとも言っていたけど、ということは 前作でドンとイイ仕事ができ、だからこそ今回も組んだっ ていうこと? そう。ドンとの関係は上々さ。前作では互いのことをまだ よく知らなかった。スタジオでの仕事ぶりとか、互いの性 格やユーモアの度合いとかも。現場で互いを理解しようと したんだけど、最初はどうしてもストレスが溜まった。曲 作りの手助けをしてくれたり、自分たちがなにか違うこと に挑戦するよう助言してくれる人なわけだから、相手のこ とをよく知らないっていうのはちょっと微妙じゃない?  だけど、前作でそういった経験があったからこそ、互いの 関係をうまく構築できた。おかげで、新作制作では前のよ うなぎくしゃくした感じが取り去られた。以前よりリラッ クスできたし、楽しんでやれた。ドンとは友人にもなれた し、すべてがバッチリ合ったんだ。 ̶今作でリスナーにもっとも伝えたい、そして一緒に共 有したい音楽的なこと、歌詞的なことってなに? 特に共有したいことは考えていなかったな。歌詞はアルバ ムタイトルが物語るように、怒りのこもった内容でね。短 気を起こしたりして自己制御不能になったり、世のなかや 家族や友だちに怒りを覚えることについて書いている。 BFMVとしての人生やツアー生活はすばらしいけど、不安 定でクレイジーな人生でもある。歌詞の多くでは、BFMV であることはタフなことでもあるということを歌ってい る。バンドのことは好きだし、すばらしい仕事だし、自分 たちも好きでやっているけど、ときに体力的にも精神的に も過酷なんだ。BFMVの実生活に迫る歌詞さ。もし共有し てもらえるなら、普段は外側からしか見えないBFMVの実 生活を体験してほしいな。

文・有島博志/text by Hiro Arishima translation by Miki Yonezawa

特定

領域

まらず

新作

さら

なる

進化

とげ

た、

ブレ

マイ

ヴァレ

前作『フィーヴァー』から約3年。ブ

レット・フォー・マイ・ヴァレンタイ

ンが4枚目のニューアルバム『テン

パー・テンパー』を発売する。『ザ・

ポイズン』(2005年)など初期2作で

確立した彼ららしさを維持しながら

も、前作では音楽的新境地を切り開く

などの大きな進化・成長をとげた。そ

れは一部のファンの間で物議を醸した

けど、新作ではさらに前へ前へと歩を

進めている。

マット・タック(vo,g)に話を聞いた。

Co

ver A

rtis

ts

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KILLSWITCH ENGAGE

OF WAR: BLOOD & METAL』(日本盤未発売)に“My Obsession”を提供しているが、当然これはハワードが ヴォーカルを取っている。ジェシーが歌うことを前提にし た、キルスウィッチ・エンゲイジとしての純粋な新曲に関 して、現段階では知る術はない。アダムも少しだけ作風に ついて教えてくれたが、「ファストな曲が多い。ギターリ フが満載で、もちろん歌やスクリームのパートもたくさん 入っている。柔軟性のあるアルバムだよ。ジェシーが戻っ てきたことで、ヴォーカル面での変化は感じられると思 う。アグレッシヴさを損なわないまま、そこかしこでメロ ディを際立たせた作風だ。バンドの自然な進化を反映させ た作品だけど、変わらずキルスウィッチ・エンゲイジの作 品だ」という説明にとどまっている。ぶっちゃけ、いかよ うにも解釈できる発言だ(笑)。さすがにミックスもマス タリングも終えていない中では、話せることはどうにも限 られてしまうのだろう。  前述したとおり、キルスウィッチ・エンゲイジはハード コアとデスメタル両方から影響を受けたバンドだ。もともと アダムとジョエル・ストローゼル(g)はAFTERSHOCK で、マイク・ダントニオ(b)はOVERCASTで活動してい たメンバーだった。前者にはアダムの兄であるトビー (vo)が、後者には現シャドウズ・フォールのブライア ンらが在籍していたことでも有名だ。解散後に双方からメ ンバーが集まり、いっしょにスタジオ入りしたことが結成 のきっかけとされている(どちらも後に期間限定で再結成 した)。つまり、もともとキルスウィッチの主戦場はハー ドコアシーンだったのだ。もちろん、当時はすでにメタル とハードコアの境目は曖昧になっていたし、メタルバンド と共演する機会も少なくはなかっただろう。ただ、こう いった前身バンドやキルスウィッチ・エンゲイジの初期音 源を聴くと、明らかにハードコアの要素が強いことがわか る。ハワードが加入して以降、よりツインギターの絡みが 増えたし、いわゆるモッシュを誘発するようなパートも 減っていき、メタル化していった。2006年にディオの “ホーリー・ダイヴァー”をカヴァーし、メンバー全員で RPGゲームよろしくのコスプレ(しかもアダムがお姫 様)を披露するPVまで制作したのも象徴的だ。しかし ジェシーは、ライヴで7 SECONDSやバッド・ブレインズ といったハードコアパンクバンドのTシャツをよく着てい る。彼が加入したことでハードコアの要素が復活し、原点 回帰的な作風へとシフトする可能性は十分にある。同時 に、ジェシーのスキルアップしたヴォーカルを生かし、こ こ最近の作風を推し進めてくることも予想から外すことが できない。もしかしたら、こういった憶測を根底から裏 切ってくるかもしれない。しかし、どのようなアルバムを 出してくるにしろ、キルスウィッチ・エンゲイジというバ ンドの根幹が変わることはないはずだ。彼らが素晴らしい アルバムを携えて、再び僕たちの前に戻ってくることは間 違いない。新作はもちろん、ジェシーにとっても初となる 来日公演にも期待したいと思う。  次号では新作に関するインタヴューをお届けする予定だ。 のか…という思いもある。疑っているわけではなくて、 ジェシーとハワードはシンガーとしてタイプが違うのだ。 試しに、ジェシーが参加している『キルスウィッチ・エン ゲイジ』(2000年)と『アライヴ・オア・ジャスト・ブ リージング』(2002年)の初期2作品と、ハワードによ る『ジ・エンド・オヴ・ハートエイク』(2004年)、 『アズ・デイライト・ダイズ』(2006年)、『キルス ウィッチ・エンゲイジ』(2009年/注:セルフタイトル 作は2枚ある)を聴き比べてみてほしい。ジェシーは絞り 出すような声で叫んでおり、テクニックよりも表現重視な タイプだ。ジェシーはバンドがブレイクし始めたころのツ アーに関して、「テクニックと感情表現のバランスがわか らず、すぐにノドをつぶしてしまっていた」と振り返って いる。それほどの身を削った表現こそが、根強いジェシー のファンを生み出したわけだが、その身体的なことのほ か、精神的な面での疲弊が、彼の脱退を招いた要因でも あった。  対してハワードは、声量を生かして声色をコントロール するタイプ。どちらがいいということではない。それぞれ スタイルはもとより、体のつくりが違うのだ。より細かな テクニックや声量が必要とされるハワードの曲を歌いこな すことは、並大抵のことではないはず。僕自身もそれを危 惧していたひとりだ。先にあげたロードランナー設立25 周年記念ライヴを収録したDVD『ロードランナー・ユナ イテッド∼ザ・コンサート』(2008年)でハワードと ジェシーが“マイ・ラスト・セレナーデ”を歌っている映 像を観ることができるが、安定したパワーでハワードが圧 倒していた感がある。ジェシー復帰の一報を聞き、彼の歌 うキルスウィッチのライヴが日本で実現する可能性に喜ん だものの、「大丈夫なのか…?」とも思った。いくら同じ メンバーがやっているとはいえ、タイムズ・オヴ・グレイ スを比較対象にすることもできない。…で、迷ったあげ く、誘惑に勝てずにジェシーが歌っているライヴ映像を観 た。2012年6月1日∼3日にドイツのニュルブルクリンク にて開催されたRock am Ringのものだ。彼らは初日に出 演し、約40分のセットを披露していた。ハワードの曲を 中心に数曲、映像を観てみたのだが、結論から言うと、 まったく問題ない。ジェシーは以前より歌がうまくなって いるだけでなく、声量、パワーも格段にアップ。彼自身特 訓を積んだのか、SEEMLESSやTHE EMPIRE SHALL FALLでの活動のたまものなのか、それは正直わからな い。もしかしたら昔よりもちょっと太ったことも無関係で はないのかもしれない。まぁ、それはいずれジェシー本人 に確認する機会を待つことにするが、アダムの発言がウソ でも、大きく言い過ぎたわけでもないことはわかった。  そしてリリース日が刻一刻と迫る新作の内容なのだが、 3月27日にリリースされるということと、『ディスアー ム・ザ・ディセント』というタイトルで12曲入りである こ と が 明 ら か に な っ て い る 。 先 行 シ ン グ ル “ イ ン ・ デュー・タイム”も、2月5日より配信開始予定だ。ただ し、これを書いている1月8日の時点では、サウンドに関 してはなにも明らかになっていない。2010年にビデオ ゲーム『GOD OF WAR』シリーズのサントラ的なEP『GOD  ひとつの時代を作ったバンドが動き出す瞬間というもの に は 、 心 が 動 か さ れ ず に は い ら れ な い 。 メ タ リ カ や KORN、リンキン・パーク、スリップノット、リンプ・ビ ズキット、オフスプリング、ザ・プロディジーなど、彼ら がなにかアクションを起こすとなれば、一気に視線が集ま る。それがひさしぶりの始動であれば、なおさらだ。必ず しもポジティヴなものばかりではないかもしれない。「大 丈夫か?」「今度はなにをやらかすんだ?」̶̶そういっ た不安の混じった声もあがるだろう。そして、実際に作品 をリリースすれば、賛否両論とともに上へ下への大騒ぎと なる。今度は、キルスウィッチ・エンゲイジの番だ。  キルスウィッチ・エンゲイジは、マサチューセッツ州 ウェストフィールドで1999年に結成され、ハードコアと デスメタル双方からの影響を絶妙なバランスでブレンドし た、メタルコアシーンのパイオニアだ。その彼らが、今年 の3月に通算6作目となる新作をリリースするのだ。バン ドの頭脳であるアダム・デュトキエヴィッチによれば、レ コーディングその他に9ヵ月を費やし、現在はミックスと マスタリングの作業に入っているとのこと。  しかしこのリリースにあたって、気にかかることがいく つかある。まず、今回の新作は、2009年発売の前作『キ ルスウィッチ・エンゲイジ』から実に4年ぶりとなるこ と。シーンの回転はますます速くなり、さまざまなバンド がデビューしては消えていくなかで、この年月はかなり長 いものだ。もちろん彼らは、なにかにつけてツアーやフェ スティバル出演を続けてきた。しかしそれも、アメリカや ヨーロッパでのことなので、たとえばここ日本ではなにか トピックがないと、その情報はメディアを通じて知ること ができない。やはりライヴをやるか、アルバムなど直接 ファンが触れることのできるものをリリースするかしない と、アテンションを維持するのは難しいのだ。キルス ウィッチ・エンゲイジはこれまで、基本的に2年に1枚の ペースで作品をリリースしてきた。前々作『アズ・デイラ イト・ダイズ』(2006年)と前作の間は3年と少し長 かったが、今回ほどではない。今こそバンドの真価と底力 が問われるときだ。  そしてもうひとつどうしても見逃せないのが、バンドが フロントマンの交代をしているということだ。2002年に 加入し、約10年間にわたってバンドのイメージを決定付 けてきたハワード・ジョーンズが昨年初頭に脱退。数人と のオーディションを経て、なんと初代シンガーであるジェ シ ー ・ リ ー チ が 電 撃 復 帰 し た 。 2 0 0 2 年 の 脱 退 後 、 SEEMLESSやTHE EMPIRE SHALL FALLのほか、いく つかのプロジェクトで活動してきたジェシー。脱退後も 2005年に行われた所属レーベルRoadrunner Recordsの 設立25周年記念ライヴで共演するなど、バンドとの交流 は続けていた。それに、2010年にハワードが個人的な理 由からツアーを離脱した際はヘルプとしてフロントに立っ たり、アダムと再び手を組みタイムズ・オヴ・グレイスを 結成。2011年に『ザ・ヒム・オヴ・ア・ブロークン・マ ン』をリリースしたりもしていた。そういったことが伏線 としてあったものの、ジェシー自身も、あくまで候補者の ひとりとしてオーディションを受けたそうだ。そのオー ディションやジェシーの復帰に関して、アダムは次のよう に語っている(以下、発言はすべてアダムのもの)。 「オレたちは、バンドとして正しい選択をしたと思ってい る。もちろん、キルスウィッチ・エンゲイジというバンド のオリジナルシンガーであり、ずっとオレたちの友だちで もあったジェシーは、ほかの候補者より有利な立場にいた ことは否定しないよ。だけどオレたちはあくまでバンドと しての判断を優先したんだ。ほかの候補者も、キルス ウィッチ・エンゲイジの曲をすべて歌える、実力のあるシ ンガーばかりだったから、悩んだよ。いろいろ考慮してみ た結果、ジェシーがこのバンドにもっとも適任だと思っ た。オレたちの曲をまた彼が歌ってくれることになって、 うれしいよ。彼自身もとても興奮し、喜んでくれた。辞め たハワードが作った曲には独特のエネルギーや躍動感が あったけど、ジェシーはそれを見事に歌いこなしている」  ここまで言われては、文句の付けようがないだろう。 ジェシーがバンドに復帰するのは必然だったのだ。  ただ、アダムが「ジェシーはハワードの曲も歌いこなし ている」と断言しているとはいえ、実際のところはどうな 文・望月裕介/text by Yusuke Mochizuki

translation by Miwa Matsumoto

カウントダウン開始!!

4年ぶりとなる

キルスウィッチ・

エンゲイジの

6作目が今春発売に!

今号の表紙を飾ったブレット・フォー・マイ・ヴァ

レンタインとともに、2013年のメタルシーンを掌

握するのは、間違いなくこのキルスウィッチ・エン

ゲイジだ。再びのフロントマン交代を経ての新作に

は、いやでも期待がかかる。今回はギタリストのア

ダム・デュトキエヴィッチへのメールインタヴュー

での発言を抜粋しつつ、バンドを再考察してみた。

次 号 で は 、 よ り 新 作 の 内 容 に 踏 み 込 ん だ イ ン タ

ヴューをお届けする予定だ。

Interview with Adam Dutkiewicz

Co

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̶で、新作だけど、CDを聴く前に、ジャケットにドーンって出ているバンドの表

情を見て、デビュー作『ボーイズ・ライク・ガールズ』(2006年)や前作の時代は

卒業し、大人になったなって思った(笑)。そういう意識ってあった?

そうだね、少しは大人になったかな。タイトなTシャツを着て、ネオンの下でダンス

をするっていう時代は終わったということさ(笑)。あのジャケットは、いつもイイ

写真を撮っている友だちに撮影してもらったんだ。私服を着て、ロサンゼルスの自然

の中、車を走らせ、いつもの姿を撮ってもらった。今回は奇をてらうんではなく、今

のありのままの自分たちをとらえたかった。山ほど撮ってもらったけど、全員が気に

入ったのがあの写真だったんだ。ボクたちのうしろに、白い柵があるだろ? その柵

が、バンド名とボクたち4人の間の絶妙なところに位置していて、見た目的にもクー

ルだと思った。ちょっと大人になったボクたちの姿も映し出しているから、これでい

こうってことになったんだよね。スタイリストがついたわけでもなく、いつもの格好

で決して気取らず、じゃあ、このへんで撮ろうか、みたいに自然な形で生まれたもの

なんだ。

̶新作はマーティンによるセルフプロデュース作だね。なぜ、今回そういう方法を

とったの? そして、マーティンに冷静かつ客観的に曲や作風などを捉えてもらえる

よう、まわりはどんな助言をしたの?

今作が復帰作っていうことを強く意識していたから、今回は自分たちでやろうって話に

なったんだ。マーティンは最近よくプロデュースや曲作りをしているし、イイものを

作っているから適任だった。自宅にスタジオも作ったし。全員でアイツの家に泊まり込

んで作った作品なんだよ。みんなで話し合い、全体像を掴みながらね。イイやり方だっ

たと思う。大体はマーティンが主導権を握っていたけど、ボクもジョンもきたんなく意

見が言えたし、方向性に関する助言もできた。いろんなプロデューサーのところに飛ん

でいくよりもよかったと思うな。もしかしたら次作は外部プロデューサーを使うかもし

れないけど、今回はマーティンにやってもらってよかったと思う。その方が、ボクたち

らしい気がするし。

̶とはいえ、新作を初めて聴いたとき、正直ビックリしたよ。前2作とベクトルが違

うし、描く世界観も異なるから。なぜ今回、前とは違う方向性でいくことにしたの?

いろんな理由があるんだ。音楽のトレンドが少し変わったし、ボクたちの曲の書き方

も変わった。だから、今回は曲を書いたあとのプロダクションを変えたんだ。大きな

壁に囲まれ、ドラムからヴォーカルまで、なにもかもをデカい音を出しつつ録るん

じゃなく、よりオーガニックに作った。その方が、強弱が出ると思ってね。おかげ

で、何度も聴き返したい作品になったと思うよ。今まではベースとギターとドラムの

音があるだけだったけど、今回はギターもエレクトリックとアコースティックの両方

を使ったし、マンドリンも入れたし…。ボクたちはみな、トム・ペティとか、いわゆ

る60年代以降のシンガーソングライター系のアメリカンロックの大ファンだから、

今回はそういう音楽に、今らしさをプラスしたかった。それで必要と思う音をいろい

ろ入れていったら、イイ響きになったんだ。

̶前2作のメロディやサウンドメイキングにあった、キラキラ感やパンクロックを通過

してのエッジ、そして四方八方に弾けるはっちゃけ感みたいなものは今作には皆無だけど、

そのぶん広大なるスケール感や穏やかさ、そして聴く人を包み込むような優しさがあるね。

今作を聴いて再度、バンドが大人になったことを実感したよ(笑)。温かさもあるし。

うれしいね! まさにそういうふうに作りたかったんだ。ポップなパンクロック色を

薄め、もっと多くの人たちが聴けるものにしたかったんだ。新作を気に入ってもらえ

てうれしいよ。ボクたちにとっては、スゴく大きな意味のあることだから。温かいっ

て言ってもらえたのは初めてだな。ありがとう。

̶今作を介して、リスナーに伝えたいこととは?

ヘッドホンか、いいスピーカーで、最初から最後までじっくり聴いてほしいんだ。か

つてレコードをそうやって聴いたみたいにね。じっくり聴いてもらえるようにできて

いる作品だと思うから。たとえは、“ヘイ・ユー”。イントロのピアノパートを録っ

ているとき、救急車が近くに乗りつけ、スライドドアを開けた音をマイクがたまたま

拾ったんだ。曲の雰囲気に合うと思ったから、そのまま残した。スゴく小さな音だか

ら、よく注意しないとわからないかもしれないけど、ぜひ聴いてみてほしいな。

やめた!」と言ったわけではなかった

し、様子を見ようっていう感じだった

んだ。その間にメンバーそれぞれが自

分のことをやりつつ、連絡を取り合っ

ていた。それから1年ぐらいしてからか

な、マーティンがボクとジョンにいく

つか曲を送ってくれて、“ロサンゼル

スにこないか? レコーディングしよう

ゼ!”って言ってきた。だから、“よ

し、やろう”っていう話になったん

だ。タイミング的にもちょうどイイ気

がしたしね。

̶活動休止状態を解き、新作制作に

突入してから間もなく、ブライアンが

脱退したよね。

あれは、大きな決断のひとつだった。

ブライアン自身の音楽的興味が、ボク

たちのそれとはズレ始めていたし、

ムード的にも少し外れてきていたん

だ。再結集するときには、全員が同じ

認識のもとから出発したかった。みん

なで連絡を取り合っていたけど、ブラ

イアンはときにはなかなか捕まらない

こともあった。伝言を残しても折り返

しがなかったこともあったし。で、

いっそのこともう、ブライアンのこと

は切り離して考えようってことになっ

たんだよね。

̶確かにブライアンは前々からハー

ドコア好きといったように、方向性の

違いが大きかったよね。かつEMBだけ

ではなく、もうひとつTHE TOWER

AND THE FOOLもかけ持ちしていて、

それらがBLGの活動の妨げになってい

たとも聞いたけど、アナタはEMBをブ

ライアンとやっていたわけだし、一緒に

過ごした時間も長かったろうから、彼に

自制をうながすこともできたんじゃな

い? 「このままではマズいよ」とか。

ボクたちはバンドだから、お互い言いた

いことが言い合える仲じゃないといけな

いと思うよ。まぁ、今回はみんなが成長

していくなかで、ブライアンの方から自

然に離れていったっていう感じかな。だ

から、ボクからわざわざ「ちゃんと話し

合おうゼ!」なんて制することはしたく

なかった。それに、ボクがEMBの一員

だった事実はなく、単にヘルプしてい

ただけだから。ブライアンと同じ町に

住んでいたから1、2週間に1回は会っ

ていたけど、今後はそれぞれの道を行

く方が、自然な気がしたんだ。だから

アイツをクビにしたとか、そういう感

じではないんだ。指摘のとおり、音楽

的な違いも大きかったと思うよ。

̶2010年1月に実現した前回の来日以降、ボーイズ・ライク・ガールズ(BLG)

にはいろんなことがあったじゃない。まず前作からの1stシングル曲“ラヴ・ドラン

ク”のコーラスパートがザ・キラーズの“サムバディ・トールド・ミー”(2004年

発売のデビュー作『ホット・ファス』収録)と酷似しているとメディアから指摘さ

れ、ちょっとした話題になったけど、あのときバンドは、特になにもコメントしな

かったよね。

その話は確かに耳にしたけど、あっちの曲を聴くまで気づかなかったよ。だけどすぐ

に忘れちゃったね。気に留めることでもなかったから。明らかに違う曲だし。まぁ、

なにをやってもケチをつけるヤツはつけるから。なにかとなにかを比べたがるのは人

間の性なんじゃない?

̶その後、メンバーはBLGの活動から離れ、各自思い思いのことをやっていたよ

ね。マーティン(・ジョンソン/vo,g)はソロ作の構想を練りつつ曲を書き、ジョン

(・キーフ/ds)はTHE REBELS(現EMPIRE KIDS)とコラボし、ブライアン(・ドナ

ヒュー/b,vo)は別バンド、EARLY MORNING BLUE(EMB)を始めたし。ポー

ルはEMBに参画しつつ、アパレルブランドBlack Carbon Customも立ち上げたよね

(http://blackcarboncustom.com)。

ブライアンがプロジェクトをやろうとしていたから、ボクはスタジオに何度か遊びに

いき、リードラインやソロを少し録ったりなど手を貸していたんだ。EMBの音楽は

BLGとは全然違う。2006年、2007年頃のヘヴィなエモに近いかな。実はジョンの

THE REBELSにも練習やライヴに何回か助っ人として参加したんだ。ボクはボクで

アパレルブランドをやったり、みなそれぞれ自分のことで忙しかったね。

̶アパレルブランドは前々からやりたかったの?

オフになにかできることはないかなってずっと考えていたんだ。それでいくつかデザイ

ン画を描いたらイイのができ、名前もクールなのを思いついたからやってみたんだ。

ビッグな商売にならなくとも、友だちとかに着てもらえたらイイなと思ってさ。デザイ

ンからウェブサイトの立ち上げ、発送まですべて自分でやったんだよ。スゴく楽しかっ

たけど、BLGが本格的に活動を再開したから、今は二の次といった感じだね。

̶ウェブで商品を見たけど、自分の中ではBLGとしての前作までのイメージが強

いから、もっとポップな色合いとかデザインとかを想像していたら、全然違うね。

もっとダークな感じだよね。黒やスカルを多用しているし。音楽というよりバイクに

影響を受けているんだ。ボクはバイク狂だから。コンセプトは特になかったけど、自

分や友だちが好きなデザインを思いついたから作ってみたっていう感じさ。だからバ

ンドとの関連性は特に意識しなかったよ。

̶その後、BLGは突然一時的な活動休止宣言をするわけだけど、なにが原因だっ

たの?

アメリカのラジオなど音楽を取り巻く環境が変わっていったのが理由のひとつ。ラジオ

でロックがあまりかからなくなっていた。ボクたちの音楽はギターを多用しているか

ら、そういう作品を今後出しても、うまくいくかどうかわからなかった。なにもかもが

変わってしまったから、多くの人たちに受け入れられないかもと思ったしね。で、少し

エレクトロ寄りの作品を作ろうともしたんだけど、それってやっぱり、ボクたちがやる

べきこととは違うって思って。ボクたちらしくないっていうかさ。ボクたちが一時的に

第一線から身を退いたことを理解してくれない人たちもいた。だけど「もう、音楽は

人間的にも音楽的にも大きくなったボーイズ・ライク・ガールズが3枚目の新作でカムバック!

文 ・

有島博志/text by Hiro Arishima translation by Sachiko Yasue

BOYS LIKE GIRLS

キラキラしたメロディと、はっちゃけ感の強いヴァイブで、パンキッシュなロック好きに人気

を博したボーイズ・ライク・ガールズ。そんな彼らが、しばしの活動休止期間を経て、3年ぶ

りのニューアルバム『クレイジー・ワールド』をリリース。再びシーンに戻ってきた! 活動

を休止していたこの長い期間が、バンドをあらゆる方向に向けて成長、進化させたようだ。ギ

タリストのポール・ディジョバンニに話を聞いた。

(6)

ているよ。ドロップキック・マーフィ̶ズのメンバーとは、できるだけ距離を置きた

いね(笑)。今後もあいつらと長い時間を過ごさなければならないんだから、クリス

マスくらいは会わないようにしないと! 1月にはヨーロッパツアーが始まるし、短

い休暇ではあるけれど、のんびり過ごして英気を養うつもりだよ。

̶ちなみに、アルのお気に入りのクリスマスソングは?

1曲挙げるなら、「リトル・ドラマー・ボーイ」かな。

̶「ラパパンパーン♪」のコーラスで有名な、あの超定番曲?

そう。オリジナルのハリー・サイムワンのヴァージョンはイマイチなんだけど、ビン

グ・クロスビーとデヴィッド・ボウイがデュエットしているカヴァーは大好きなんだ。

̶クリスマスネタはこのへんにして、1stシングル“Rose Tattoo”について。

リリースに合わせ、ファン向けにタトゥーコンテストを開催していましたよね。

ファンと一緒になにかおもしろいことをやりたかったから、タイトルにちなんで、タ

トゥーの写真を募集したんだ。ドロップキック・マーフィーズのファンにはタトゥー好き

が多いし、バンドのロゴを入れているやつらも結構いるからね。何百と届いたので、それ

をジャケットやミュージックビデオで使うことにしたんだ。ウェブでも紹介しているよ。

̶アルもバラのタトゥーを入れているんでしたっけ?

ふたつ、いや、もっとあるかな? 体中にいろんなタトゥーを入れているから、細かいところ

は把握してなくて…。ちゃんと探せば、4、5本のバラが咲いているかもしれない(笑)。

̶この“Rose Tattoo”に「Signed and Sealed in Blood」という歌詞が出てきま

すが、なぜこれをアルバムタイトルに選んだんですか?

タトゥーは血をにじませて肌に墨を入れることであり、いわば血の契りだよね。血で書か

れた契約書であり、約束である。今後も音楽や俺たちのファンに対し、俺たちはコミット

していきたい。そんな思いを込めて、このフレーズをアルバムタイトルにしたんだ。

̶1曲目の“The Boys Are Back”は、ドロップキック・マーフィーズの帰還を

高らかに宣言する曲ですよね。ラストの“End of the Night”はその逆で、まさにエ

ンディングにふさわしい楽曲です。合間にはミドルテンポのフォークソングも、ファ

ストなパンクナンバーもある中で、アルバム全体に大きな流れを感じました。曲作り

の段階から、曲順がある程度見えていたんでしょうか。

いや、そんなことはなくて、試行錯誤を続け、いろんなパターンを試しているうち

に、最終的にあの形に落ち着いたって感じだった。ただ、中盤の流れ以上に、最初と

最後はとても重要だし、勢いのある“The Boys Are Back”を頭に、終焉を思わせ

る“End of the Night”を最後に持ってきたいというのは、イメージとして初期段階

からあった。ゼロから組み立てるより、始まりと終わりを先に決めてから間を埋める

方が、全体の流れを作りやすいんだ。

̶前作にはブルース・スプリングスティーンやNOFXのファット・マイクなど、大

物ゲストが参加していましたが、今回はどうなんでしょう?

イギリスのフォークロックバンド、マムフォード・アンド・サンズのウィンストンが

バンジョーを弾いているくらいかな。今回はゲストらしいゲストはいないんだ。先の

ことを深く考えずに作り始めた作品だし、自分たちだけで密にやる、こういうアルバ

ムもあっていいんじゃないかと思って。

̶バンドは毎年、アイルランドの守護聖人・聖パトリックの命日である3月17日の

祝祭前にショートツアーを行なっていますが、今年のツアーは過去最大規模で、ボス

トンのTD Gardenでのショウは“Dropkick Murphys Irish Festival”と銘打って2

ステージを組み、多くのバンドが参加するとか。

そうだね。大きいハコだし初めての会場だから、すごく楽しみにしているんだ。もと

もと、セント・パトリックス・デイの当日にやっていただけのライヴが、ここ数年は

1週間にわたってボストン界隈でショウを何回もやるようになり、ついに今回は全米

ツアーとは別に、セント・パトリックス・デイ・ツアーとして1ヵ月近く各州をまわ

ることになった。今後しばらくはツアー漬けだよ。最近、「今回のツアーはいつから

いつまでですか?」と聞かれたら、「15年前からずっとツアー中だ」と答えるよう

にしているんだ(笑)。

̶そんなお忙しい中ではありますが、日本にはいつ来てもらえるんでしょうか。

もうツアーはしたくない…というのは冗談で、考えてみたら2008年以来、日本に

行ってないんだから、ブランクが長過ぎるよね。できるだけ早くジャパン・ツアーを

実現したいと思っているよ。

らなければいけないし、レコーディン

グ中はとにかく精神的に疲弊するん

だ。完成した作品を手にしたり、でき

たアルバムを聴いたりするのは楽しい

から、結果だけが好きで、プロセスは

苦手ということだね(笑)。

̶新作を聴いて一番驚いたのは、

“The Season's Upon Us”なるクリ

スマスソングが収録されていることで

す。めずらしいなと思いましたが、ド

ロップキック・マーフィーズならでは

のジョークにあふれていますね。

町中で流れているようなクリスマスの定

番曲は、どうも安っぽいというか、ベタ

な感じだからね。俺たちはもっと、バカ

で楽しい感じにしたかったんだ。残念な

がらラジオで繰り返しかかることはない

だろうけど(笑)、モダンロック系のラ

ジオ局の評判はすごくいいんだ。ロック

系の番組が初めてオンエアしたクリスマ

スロックソングだよ。

̶この“The Season's Upon Us”

は2ndシングルとしてプロモーション

ビデオも作られていますが、撮影はい

かがでしたか?

歌詞に出てくるトラブル続きのクリス

マスパーティの雰囲気を再現したんだ

けど、友だちや家族を大勢呼んで、バ

ンドと一緒にビデオに出演してもらっ

たから、おもしろかったよ。

̶ケン・ケイシー(b,vo)はたくさ

ん映っていたけど、アルはほとんど出

てないですよね。アルがボーッとしな

がら、子供みたいにテディベアを抱き

しめている姿は、なかなか素敵でした

けど…。

ああ、アレね(笑)。実は、前日に妻

が出産して、俺は寝ないまま撮影に向

かったんだ。徹夜明けで疲れていた

し、無事子供が生まれて気が抜けたん

だと思うけど、ディレクターに話した

ら事情を察してくれて、俺の出演シー

ンを少し撮って、みんなより先に帰し

てくれたんだ。妻のもとに早く戻れた

かわりに、出演シーンは少なくなった

というわけ。

̶この曲では、家族や親戚が集まっ

てもロクなことがないし、クリスマス

なんて面倒なことばかりで、年に一度

だけで本当によかったといったことが

歌われていますが、アルの2012年の

クリスマスは、どんな感じになりそう

ですか?

プロモビデオとは真逆の、家族だけの

静かなクリスマスを過ごしたいと思っ

̶2011年初春に発売された前作『ゴーイング・アウト・イン・スタイル』は、

コーネリアス・ラーキンなるアイルランド移民のストーリーを追ったコンセプトアル

バムでした。通算8枚目となる新作『サイン・アンド・シールド・イン・ブラッド∼

勝利への約束』は、前作の反動なのか、とても多彩で自由度の高いアルバムですね。

そうだね。確かに反動は少しあったかもしれない。コンセプト作はコンセプト作でお

もしろかったけれど、たとえいい曲ができても、その世界観を壊すようなものであれ

ば、アルバムには入れられないし、どうしても制約ができてしまうから。でも、意識

的に前作とは異なるアルバムを作ろうとしたわけではなくて、自然とこういう形に落

ち着いたんだ。というのも実は、前作に伴う長期ツアーを終えたあとも、クリエイ

ティヴィティの大きな波のようなものにまだ乗っている感じで、これで一段落って雰

囲気ではなかった。ツアー中にすでにいろいろ曲のアイディアが生まれていたし、そ

の勢いのまま、曲作りを続けることにした。テーマなどは特になにも決めずに、とに

かくいい曲を書くということだけを考えていたから、自然とヴァリエーション豊かな

作品になったんじゃないかな。

̶創作意欲がまったく衰えないというのは、アーティストとしてすばらしいことで

しょうけど、さすがに長期ツアーで疲れたし、少しは休みを取りたいなと、正直なと

ころ思いませんでした?

まあ、個人的にはちょっとは思ったんだけど(笑)、みんながすごくやる気だったから

ね。それに、音楽マーケットの現状は非常に厳しいものだし、聴き手の好みほか、すべ

ての移り変わりが激しいから、アーティスト側は一度つかまえたファンを逃さないため

に、どんどん新しい作品を世に送り出さなければならない。曲を作るのはもちろん大好

きだし、だったらやれることを最大限にやってみよう、このまま新しいアルバムを作ろ

うって話になったんだ。そのおかげで、すごくいい作品が完成したと思うよ。

̶前作『ゴーイング・アウト・イン・スタイル』は、ビルボード初登場6位を記録

しましたが、バンドは当時、その成功をどのようにとらえていたんでしょう?

とにかく興奮したよ。これまで何枚も作品を出してきたけれど、毎回少しずつとはい

え成長し、よりよい作品を作れるようになっていたから、7枚目にして、それを認め

てもらえたような気がした。普段、それほどチャートアクションを気にしているわけ

ではないけれど、上位にランクインするということは、それだけ大勢の人たちがアル

バムを聴いてくれた証なわけだから、純粋にうれしい。音楽業界全体が冷え込んでい

る中、いい作品を作り続け、少しずつファン層を広げられたんだからね。

̶前作に引き続き、今回もプロデューサーはテッド・ハットですね。

テッドは優れたプロデューサーだし、常にアイディアにあふれている。人柄もすばら

しいし、信頼をおける人物なんだ。前作で一緒に仕事をして、すべてがすごくうまく

いったから、今回も引き続きプロデュースをお願いすることにした。

̶レコーディングは、順調に進んだんですか?

いや、レコーディングは常に長くてツライ。順調だと感じたことは、これまでに一度も

ないね(笑)。すべての工程を終えさえすれば、苦労した甲斐があったと最終的には思

えるんだけど、やっている最中は本当にイヤで、とてもじゃないけど耐えられない。他

のメンバーや別のバンドがどう感じているかはわからないけど、個人的にはレコーディ

ングは大嫌い! 身を削るばかりで、なにもおもしろいことがない。絶対に必要なこと

であるのはわかっているけど、ベストなものを生み出すために、自分自身に批判的にな

アイリッシュ・パンクバンド、ドロップキック・マーフィーズのアグレッシヴな新作が登場!!

文 ・ 権田 ア ス カ

/text by Aska Gonda

DROPKICK MURPHYS

前作から2年も経たずして、ドロップキック・マーフィーズが8作目『サイン・アンド・シール

ド・イン・ブラッド∼勝利への約束』を発売する。全米チャートでバンド史上最高位の6位を

マークした前作『ゴーイング・アウト・イン・スタイル』は、アイリッシュ移民の物語にもと

づいた、彼らにしてはめずらしいコンセプトアルバムだったが、ニューアルバムの方向性はい

かに? クリスマス直前、ヴォーカルのアル・バーに電話で話を聞いた。

(7)

に行き、いろいろ話をしたらすぐに意気投合してさ。オレたち2人がいろんな意味で似

ていることがわかったんだ。だから一緒にいるのがあまりに楽しくて、2人で曲を書き

始めてしまったくらいさ。と言っても、BVB用にとかそういう意図があったわけでは

なく、似たような目線の2人がただ一緒に書いただけという感じだった。そんなふう

だったから、今作を作ろうという話になったとき、彼とやろうと思ったのはまったく自

然な流れだった。ジョンはジョシュとはまったく違うタイプのプロデューサーでね。

ジョシュは週に2、3回やってきてあちこちに手を入れてくれるような感じだったけ

ど、ジョンはスタジオに入ったその瞬間から、直接関わってくれるタイプなんだ。朝早

くやってきて、夜は誰よりも遅く帰る。終日、熱心に作業していたよ。

̶ジョンと一緒に書いた曲って、もしかして今作に入っていたりします?

“ウィ・ドント・ビロング”がそうさ。

̶長期ツアーをやった成果のひとつだと思いますけど、今作ではよりBVBという

バンドの個性や存在感がデフォルメされ、音自体がより強く、かつ太くなっています

ね。そういったところはアンディ自身も自覚しているのでは?

そうだね。ソングライターとしても確実に成長したと思う。オレにとってこの新作

は、史上最高の傑作だと、自信を持って言えるよ。

̶それは、今作がコンセプト作ということにも関係しているんですかね?

そうだと思うよ。コンセプトという必然性ありきの作品だから、それに合わせてがん

ばったのがよかったのかもしれない。ロックオペラを書くっていう目的が目の前に

あったから、自分にハッパをかけることができたんだと思うな。

̶今作ではスケール感、ダイナミクスがさらに増し、よりドラマ性も加わり、壮大

なコンセプト作にふさわしい音像、作風に仕上がりましたね。もともとBVBの音楽

にはクラシック音楽からの影響がありますけど、それもより色濃く出ていますし。

そうだね。聴いてのとおりストリングスを多用しているし、中盤にはオーケストラが奏

でる2分半のインタールードまであるから。バッハからの影響は大きいよ。オレたちに

言わせれば、メタルという音楽そのものが、クラシック音楽から派生したものだから。

70年代、80年代のギターゴッドたちは、みなクラシック音楽の影響を強く受けている

し、うちのジンクス(g)もクラシック音楽に影響されている。今作では、オレたちが

受けてきた音楽的影響を、これまで以上にディープに掘り下げているんだ。

̶新作制作中にもっとも心がけたことってなんでした?

これまでにやってきたことからのステップアップになること。新作で、自分たちが向

上できるように心がけた。「みんなが気に入るとイイな」なんて思いながら作品を

作ったことは今までないんだ。すべては自分たちのため。自分たちの実力を試すため

にやっている。もちろん、多くの人たちに気に入ってもらえたらうれしいけど、こう

いう楽しくてスケールの大きなものをやろうと思ったら、まずはバンドが一致団結し

て、一生懸命がんばることが先決だから。

̶“デイズ・アー・ナンバード”にはザ・ユーズドのバート・マクラッケン

(vo)がゲスト参加し、アンディとデュエットしていますね。彼はどういう経緯で

参加したんです? ジョンの人脈からですか?

そう、ジョンを通じて。ジョンはザ・ユーズドを発掘しブレイクさせた人だから。

バートはよくスタジオでジョンとツルんでいたよ。そんな中ある日、バートと話す機

会に恵まれ、1曲歌ってみないかって自分から誘ってみたんだ。彼らしい声をオレた

ちの曲に入れてくれって頼んだ。バートはこの曲に向いていると思ってさ。スゴく楽

しかったよ。計画的な参加ではなく、単なる成り行きだったけど。「ちょっとスタジ

オに寄って楽しんでってよ」みたいな感じだったから。彼とはこれをきっかけに仲よ

くなれたしね。

̶今作発売とワールドツアー実践で成しとげたいこととは?

正直言って、今は新作を携えてツアーに出られるっていうことにワクワクしている、

それだけさ。またファンの前でプレイができるということがうれしくて仕方ないか

ら、そのことばかり考えている。次のステップなんてまだ考えられないよ。新作は全

力投球した作品だから、リアルな手応えを感じたいね。

̶次はいつごろ来日してくれるんでしょう?

多分夏以降じゃないかな。今度は長いジャパンツアーをやりたい。今まではツアーと

いうほどの規模ではなかったから、もっと本格的な長いツアーをやってみたいね。東

京以外のところにもいきたいんだ。

ら。曲作りは集中してやらないといけ

ない。特に今回みたいにロックオペラ

のような、スケールが大きくて劇場型

のものを作る場合、頭をそれでいっぱ

いにしてほかのことは考えられないぐ

らいにしないとね。

̶今作はコンセプト作ですね。ス

トーリーやコンセプトを簡単に教えて

ください。

最初にオレが短いストーリーを書いた

んだ。ヨーロッパツアーを終え、ロサ

ンゼルスに帰る飛行機のなかでひらめ

いた。ジョージ・オーウェルの『1984

年』(近未来世界の恐怖を描いた物

語 ) 風 の 話 だ っ た 。 あ る い は 『 V

フォー・ヴェンデッタ』とか。映画化

もされたコミックなんだけど知って

る? 未来において科学や絆が社会か

ら抹殺されてしまい、一挙手一投足を

なんらかの大きな存在にコントロール

されてしまう世界の話でね。オレが書い

たのは、とある反逆者のグループが大き

な悪者に反逆を試みるというストー

リー。書いているうちに、これをもとに

アルバムを作ろうと、どんどん話が発展

していったんだ。今作は劇仕立てのよう

な感じになっている。話の流れを説明す

るナレーターがところどころに出てくる

んだ。こういう制作プロセスは、今まで

取ったことがなかったよ。

̶ストーリーの内容と曲のスタイル

をうまく噛み合わせるために、注意し

た点や苦労した点とは?

途中で、ストーリーに深く入り込み過

ぎる前に、曲のことをもっと話し合わ

ないといけないって気づいたんだ。ス

トーリーラインばかりが気になってし

まうと、曲作りがおろそかになってし

まう。ストーリーは頭の片隅に置き、

とにかくイイ作品を作ることに力を注

いだよ。そうすれば、自然な形で物語

は流れていくから。

̶ 前 作 の プ ロ デ ュ ー サ ー は ジ ョ

シュ・エイブラハムでしたけど、今回

はジョン・フェルドマン(ベテラン・

メロディックパンクバンド、ゴールド

フィンガーの一員でもある)を起用し

ています。プロデューサーを代えた理

由は? そして、なぜ今回はジョンを

起用したんです?

プロデューサー選びをわざわざやった

わけじゃないんだ。ジョンとオレたち

とは共通の知り合いがたくさんいた関

係で、向こうからオレに会いたいと

言ってくれた。それである日、彼の家

̶新作『レッチド・アンド・ディヴァイン』が発売になりましたね。かなりの力作

ですから、相当自信も持っているでしょう?

今はスゴく興奮しているし、その出来に自信を持っている。今まで作ってきた作品の

なかでは、一番スケール感が大きいんじゃないかな。全体がロックオペラのコンセプ

ト作みたいな感じでね。もちろん、制作は難航したけど、とても楽しみながらできた

し、そのすべてに納得しているよ。

̶ブラック・ヴェイル・ブライズ(BVB)はV-ROCK FESTIVAL '11に参戦しま

したね。マーダードールズとの初来日のときとはファン層も違うので、興味深い体験

ができたのでは?

そうだね。あのフェスでは、日本のロックにどんなものがあるのかを垣間見ることが

できたよ。そういうバンドを観たり、メンバーと会ったりするのはなかなかできない

ことだから。彼らのライヴの仕方や、共演するアーティストたちとの関わり方とかを

目の当たりにして、スゴくクールだと思った。

̶初来日のときの単独公演(2011年3月11日)の開始直前、サウンドチェックを

やっているときに東日本大震災を経験しましたよね。再来日の話が来たとき、またあ

の恐い経験を…と、来日に躊躇するようなことはありませんでした?

いや、それはなかった。まさかまた大地震を経験することにはならないだろうと思っ

たし。ただ、こっちでパーティなんかにいくと、「震災があったとき日本にいたん

だって? どんな感じだった?」ってよく聞かれたものさ。そういうとき、自分の日

本での最初の経験が大災害だったと話すのは、ツラいものがあった。それにしても、

一番印象に残ったのは、日本の立ち直りのはやさだね。マグニチュード9.0の地震が

あった当日も、ファンがサインをもらいにホテルの前まできてくれたんだから。「飲

みにいかない?」なんて誘ってくれたヤツらまでいた。東京でさえ、あんな大変なこ

とが起こっているというのに、オレたちを楽しませようとしてくれていたんだ。アメ

リカだったらみんな、家に閉じこもってしまうだろうから。

̶もしかしたら、アンディのストレスを和らげようとしてくれていたのかも。

そのとおりだと思う。オレもそのときそうだと思ったよ。日本人は自分たちの築いて

きたものに誇りを持っている。ああいう震災が起き、「(史跡などを)観光できなく

て可哀相に」って思ってくれるヤツらがいたんだ。オレたちをあちこち連れ回して、

日本の文化を見せてやりたいと思ってくれていたらしい。イイ話だよね。

̶前作発売に伴い、一昨年から昨年にかけて、ほぼノンストップでツアーを続けま

したね。日本では震災を経験し、ワープド・ツアーに出る直前にはアンディが演奏中

にステージの柱から転落し、肋骨を骨折するというアクシデントもありました。様々

なことが起きた長期ツアーを振り返って、今どう思います?

ツアーに出て毎晩プレイできるというのはスゴく幸運なことだと思うんだ。観客と強

いつながりを持つことができるから。もちろんツアーには私生活の犠牲も伴うけど、

ずっとやりたかったことだし、とても楽しいよ。

̶おそらくそのツアーの合間を縫って今作の曲作りをやったと思うんですけど、そ

こまでツアーに時間を割いていたわけですから、なかなかじっくり腰を据えての作

業ってできなかったのでは?

イヤ、実は半年ぐらい楽曲制作に時間を取っていたんだ。これほど長い期間ライヴを

やらなかったことは、これまでなかったよ。不思議な感じだったけど、必然だったか

ブラック・ヴェイル・ブライズは今年、間違いなくメタルシーンの“台風の目”になる!!

文 ・

有島博志/text by Hiro Arishima translation by Sachiko Yasue

BLACK VEIL BRIDES

ブラック・ヴェイル・ブライズが前作『セット・ザ・ワールド・オン・ファイア』(2011

年)から約1年半ぶりとなる通算3枚目の新作『レッチド・アンド・ディヴァイン』を発売し

た。80'sメタルとクラシック音楽からの影響が濃厚なブラック・ヴェイル・ブライズ節が、

デッカいスケール感を伴うシアトリカルな作風の下で大炸裂する! 2013年一発目の、必聴

作である。フロントマンのアンディ・ビアサックが語ってくれた。

参照

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