農地等に対する課税制度について
個人(所得税)
譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 )
農地に限らず、土地を売却し、譲渡益が発生すると、その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される。
税額 = 譲渡所得金額 × 15%
(※)※ 取得後5年以内に土地を売却した場合の税率は30%となる。
法人(法人税)
税額 = 土地譲渡益 × 税率
(※) ※ 法人の形態や所得に応じて、15% ~ 23.9%とされている。 注2) このほかに法人住民税や事業税等が課税される。 ① 法人住民税 : 税額 = 法人税額 × 17.3% ② 事業税 : 税額 = 土地譲渡益 × 3.4% ~ 6.7% 注1) 土地等の譲渡所得は、他の所得と分離して課税される。 注1) 土地等の譲渡所得は、他の所得と合算して課税される。 注2) このほかに住民税が課税される。 ・ 税額 = 譲渡所得金額 × 5%(取得後5年以内に売却した場合は9%)土地の譲渡に対する課税
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譲渡の種類 控除額 公共事業などのために土地建 物を譲渡した場合 5,000万円 特定土地区画整理事業などの ために土地を譲渡した場合 2,000万円 農地保有の合理化などのため に土地を譲渡した場合 800万円特別控除
特定の譲渡を行った場合、
① 所得税については譲渡収入金額から
一定の金額が控除され、
② 法人税については一定の金額が損金
に算入される。
○特別控除の例 (H27.4.1以降に開始される事業年度に適用される税率) (H26.10.1以降に開始される事業年度に適用される税率)○ 固定資産税において農地は、一般農地、市街化区域農地に区分され、評価及び課税される。 ○ 「一般農地」については、農地の売買実例価格を基に評価(農地評価)され、課税に当たっては「一般農地の負担 調整措置」(注)が講じられる(農地課税)。 市街化区域農地のうち、「生産緑地地区の農地」については、生産緑地 法により転用規制がされているため、評価及び課税に当たっては一般農地と同様の取扱いとなる。 ○ 「市街化区域農地」は、道路状況など宅地として利用する場合の利便性が類似する宅地の価額を基準とした価額 から、農地を宅地に転用する場合に必要と認められる造成費相当額を控除して、評価額が求められる(宅地並評 価)。このうち、 ・ 「一般市街化区域農地」は、「一般農地の負担調整措置」(注)が適用されるため、評価額は高くなっても実質の課 税は農地に準じた課税となる。 ・ 「三大都市圏の特定市の市街化区域農地」は、「宅地の負担調整措置」(注)が適用される(宅地並課税)。 宅地並評価 : 近傍の宅地の売買実例価格を基準として評価した価格から造成費相当額を控除した価格 農 地 評 価 : 農地利用を目的とした売買実例価格を基準として評価 固定資産税は、1月1 日現在の固定資産(土 地、家屋、償却資産)の 所有者に課せられる。 (評価) (課税) 農地評価 宅地並評価 宅地並評価 農地課税 農地に準じた課税 宅地並課税 一般市街化区域農地 三大都市圏の特定市の 市街化区域農地 (特定市街化区域農地) 農地評価 農地課税 税額の イメージ 千円/10a 数千円/10a 数万円/10a 数十万円/10a 一般農地 農 地 市街化区域農地 (本則) 税額=固定資産税評価額 ×1.4% 生産緑地地区の指定を 受けた農地
農地の保有に対する税金(固定資産税)
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農 地 を 相 続 し た 場 合 の 課 税 の 特 例 ( 相 続 税 納 税 猶 予 制 度 )
○ 農地を農業目的で使用している限りにおいては到底実現しない高い評価額により相続税が課税されてしまうと、農 業を継続したくても相続税を払うために農地を売却せざるを得ないという問題が生じるため、自ら農業経営を継続す る相続人を税制面から支援するために相続税の納税猶予制度が設けられた (昭和50年度創設)。 ○ 従来、相続税の納税猶予制度は、相続人自らが農業の用に供する場合のみを対象としていたが、農地の効率的な 利用を促進する観点から、市街化区域外の農地に限り、特定貸付け(※)を行った場合についても適用できることと なった(平成21年度改正)。 相続税納税猶予を受けるための要件 被相続人の範囲 農業相続人の範囲 ① 死亡の日まで農業を営んで いた者 ②生前一括贈与(贈与税納税 猶予)をした者 ③死亡の日まで特定貸付けを 行っていた者(注) ① 相続税の申告期限までに農 業経営を開始し、その後、引き 続き農業経営を行う者 ②生前一括贈与を受けた受贈者 ③相続税の申告期限までに特定 貸付けを行った者(注)納税猶予額のイメージ
本来の
税額
農業投資価格(※) による相続税額 納税猶予額 ※ 農業投資価格 農地等が恒久的に農業の用に供される土地として自由 な取引がされるとした場合に通常成立すると認められる 価格として国税局長が決定した価格 (20万円~90万 円程度/10a) 相続 相続又は遺贈により取得された農地が、引き続き 農業の用に供される場合には、本来の相続税額のう ち農業投資価格を超える部分に対応する相続税が、 一定の要件のもとに納税が猶予され、相続人が死亡 した場合等に猶予税額が免除される。相続税納税猶予の概要
被相続人が、農業の用に供していた又は特定貸付けを行っていた農地(注)で、 次のいずれかに該当するもの ・被相続人から相続により取得した農地で遺産分割がされているもの ・贈与税納税猶予の対象となっていたもの ・相続の年に被相続人から生前一括贈与を受けたもの特例の対象となる農地
※ 特定貸付け・・・・・ 次の事業により貸し付けることをいう。 ①農地中間管理事業、 ②農地利用集積円滑化事業、 ③利用権設定等促進事業(農用地利用集積計画) 注:特定貸付けを行っていた農地は市街化区域外の農地に限られる。農地を相続した場合の課税の特例(
相続税納税猶予制度 )
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贈与者 (親) 後継者 (推定相続人 の1人) 農地等を一括贈与 贈与税額の計算 (基礎控除110万円) 〔贈与税の納税猶予〕 免 除 (贈与者又は受贈者の死亡) 相続税の納税猶予に移行 相続税の課税対象
贈与税の納税猶予を受けるための要件等
贈与者の要件
受贈者の要件
贈与 農地等を贈与した日まで引き続 き3年以上農業を営んでいる個 人であること 次の要件をすべて満たすこと ① 贈与者の推定相続人であること ② 農地等を取得した日の年齢が18歳以上であること ③ 農地等を取得した日まで引き続き3年以上農業に従事し ていたこと ④ 農地等を取得した日以後、速やかに農業経営を行うこと (注)相続時精算課税の適用を 受ける場合を除く贈与の要件
贈与者が農業の用に供している農地の全部(採草放牧地及び準農地を所有している場合、その2/3 以上)を推定相続人の1人に一括して贈与すること (注)特例の対象となる農地等の範囲は相続税と同じ 猶予税額がすべて確定する場合 猶予税額が一部確定する場合 ・ 猶予適用農地等について、20%超(面積)の譲 渡、貸付、転用、耕作放棄をした場合 ・ 受贈者が猶予適用農地等での農業経営をやめ た場合 ・ 受贈者が贈与者の推定相続人に該当しないこ ととなった場合 ・ 継続届出書を提出しなかった場合 等 ・ 収用交換等による譲渡等をした場合 ・ 猶予適用農地等について、20%以下(面積)の譲 渡、貸付、転用、耕作放棄をした場合 ・ 生産緑地地区内の農地について、買取申出をした 場合 ・ 農用地区域内の農地について、①農地中間管理 事業、②農地利用集積円滑化事業、 ③利用権設定 等促進事業に基づく事業により譲渡した場合 等納税猶予期限の確定事由
○ 贈与税の納税猶予制度は、旧農業基本法の趣旨である農業経営の近代化に資するため、民法の均分相続等による農
地の細分化防止と農業後継者の育成を税制面から支援するために設けられた (昭和39年度創設)。
○ 農業を営む者が、その農業の用に供している農地の全部を農業後継者(推定相続人の1人)に一括して贈与した場合
は、後継者に課税される贈与税の納税が猶予され、贈与者又は受贈者のいずれかが死亡したときに贈与税は免除され
る。
○ 贈与者の死亡により贈与税額の免除を受けた場合には、贈与農地を相続により取得したものとみなされ相続税の課税
対象となる。 この場合、農業を継続する場合は、相続税納税猶予の適用を受けることができる。
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農地を生前一括贈与した場合の課税の特例
(贈与税納税猶予制度)
○ 土地の投機的取得の抑制等を目的として、昭和48年に特別土地保有税(市町村税)が、平成3年に地価税(国税)が 措置された。なお、地価税については平成10年以降、特別土地保有税については平成15年度以降、課税が停止されて いる。