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B2 ( 19 ) Lebesgue ( ) ( ) 0 This note is c 2007 by Setsuo Taniguchi. It may be used for personal or classroom purposes, but not for commercia

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(1)

解析学

講義・演習

(

平成

19

年度前期

)

— Lebesgue

積分

谷 口 説 男

(

九州大学大学院数理学研究院

)

(

平成

19

7

12

)

0This note is c°2007 by Setsuo Taniguchi. It may be used for personal or classroom

(2)
(3)

はじめに

Riemann積分は極限操作おいて脆弱である.たとえば,関数 fn: [0, 1]→ R を, fn(x) =    1, x = k m (1≤ ∃m ≤ n, 0 ≤ ∃k ≤ m) のとき, 0, それ以外のとき とおく. f (x) = { 1, x∈ [0, 1] ∩ Q, 0, x∈ [0, 1] \ Q, とおけば,fn(x)は,f (x) に各点収束している.fnは Riemann 可積分であり, ∫ 1 0 fn(x)dx = 0である.安直に考えれば 0 = lim n→∞ ∫ 1 0 fn(x)dx = ∫ 1 0 f (x)dx という等式が成立するように思われるが,f は Riemann 可積分でなく,最後の項 ∫ 1 0 f (x)dxは全く意味をなさない.これは,数学の様々な場面で現れる基本的な 操作である極限操作に Riemann 積分が耐えない一例である. しかしこれは Riemann 積分の定義に帰れば当然の脆弱さであるといえる.た とえば{(x, y) ∈ R2| x2+ y2 ≤ 1, y ≥ 0} という半径 1 の半円の面積の計算を考 えてみよう.このとき Riemann 積分を用いれば面積は ∫ 1 −1 √ 1− x2dx として計算される.これは定義に変えれば, lim n→∞ n−1 −n √ 1− (k/n)2×1 n と一致する.すなわち,半円を縦方向 (x 軸と垂直な方向) に薄切りして,それ ぞれの細片の面積を長方形で近似し寄せ集めたものが Riemann 積分である.関 数が収束するというのはグラフでいえば y 成分の変動 (x 軸と平行な方向の変動) を見ているわけであるから,この細片の作り方とは全く相容れない.このことが Riemann積分が収束に耐えないことの理由である. 半円の面積を計算するのならば半円を横方向 (x 軸と水平な方向) に薄切りし た細片の面積を寄せ集めることでも可能である.こうすれば関数の収束と薄切り する方向は一致し,収束に耐える面積の計算が得られるはずである.しかし,円 は良いが,たとえば y = x sin(1/x) のようなグラフにおいては横軸方向に切った 「細片の面積」が如何なるものなのか? この「細片の面積」に意味を付け,さらに 上のような極限操作に対する脆弱さを乗り越えるものが Lebesgue 積分である.

(4)

この講義では,まず幾つかの事実の証明を先送りにして Riemann 積分の拡張 となる L-積分を導入し,極限操作と積分の交換可能性について調べる.その後, この導入を支える抽象論 (現在,測度論と呼ばれているもの) を紹介し,続けてそ れのユークリッド空間での具体例である Lebesuge 測度に関わる話題を紹介する という形で,抽象と具体の間の行きつ戻りつを繰り返しながら進んでゆく.

Contents

1 収束定理 — Riemann 積分の拡張を通じて — 1 2 測度 (一般論) 13 3 Lebesgue測度 19 4 可測関数 24 5 積分 29 6 収束定理 — 厳密に — 38 7 H¨older,Minkowski の不等式,Lp空間 49 8 直積測度と Fubini の定理 56

(5)

1.

収束定理 — Riemann 積分の拡張を通じて —

Riemann積分の復習から始める.この節を通じ,−∞ < a < b < ∞ とする. Def 1.1. (i) a = a0< a1<· · · < an−1 < an = bなる点列 ∆ ={a0, . . . , an} のことを [a, b] の分割という. |∆| = max{aj+1− aj| 0 ≤ j ≤ n − 1} とおき,分割 ∆ の巾という. (ii) 分割 ∆ ={a0, . . . , an} と有界関数 f : [a, b] → R に対し, S(f ; ∆) = n−1j=0 inf{f(x) | x ∈ [aj, aj+1]} × (aj+1− aj), S(f ; ∆) = n−1j=0 sup{f(x) | x ∈ [aj, aj+1]} × (aj+1− aj) S(f ) = sup{S(f; ∆) | ∆ は [a, b] の分割 } S(f ) = inf{S(f; ∆) | ∆ は [a, b] の分割 } と定義する.

(iii) S(f ) = S(f )となるとき f は [a, b] 上 Riemann 可積分であるという.値

S(f ) = S(f ) b a f (x)dx と表し,f の [a, b] 上の Riemann積分という. Thm 1.2 (Darboux). f : [a, b]→ R は有界とする.分割の列 {∆n}∞n=1の巾|∆n| が 0 に収束する,すなわち|∆n| → 0,ならば, lim n→∞S(f ; ∆n) = S(f ), nlim→∞S(f ; ∆n) = S(f ). とくに f が Riemann 可積分であるならば, lim n→∞S(f ; ∆n) = limn→∞S(f ; ∆n) = ∫ b a f (x)dx.

Example 1.3. (1) f : [a, b]→ R が連続であるならば f は Riemann 可積分であ

る. (2) n∈ N とし,Qn={k/m | k ∈ Z, m ∈ N, m ≤ n} とおく.f : [a, b] → R を f (x) = { 1, x∈ [a, b] \ Qn, 0, x∈ [a, b] ∩ Qn,

(6)

とおく.このとき f は Riemann 可積分である. (3) f : [a, b]→ R を f (x) = { 1, x∈ [a, b] \ Q, 0, x∈ [a, b] ∩ Q とおく.このとき任意の α < β に対し inf{f(x) | x ∈ [α, β]} = 0,sup{f(x) | x ∈ [α, β]} = 1 となる.よって任意の分割 ∆ に対し S(f ; ∆) = 0, S(f ; ∆) = b− a である.したがって f は Riemann 可積分ではない. Def 1.4 (外測度). (i) A⊂ R に対し, λ∗0(A) = inf { j=1 (bj− aj)¯¯¯ aj≤ bj, j = 1, 2, . . . , j=1 (aj, bj]⊃ A } とおき,A の外測度という.ただし (a, a] =∅ と約束する. (ii) λ∗0(A) = 0となる集合 A⊂ R を零集合という.

Prop 1.5. (i) A⊂ B ならば λ∗0(A)≤ λ∗0(B)である.

とくに,A が零集合ならばその部分集合はすべて零集合である. (ii) A1, A2,· · · ⊂ R に対し λ∗0 (∪ j=1Aj ) ∞j=1λ∗0(Aj)が成り立つ. とくに,Ajがすべて零集合ならば, ∪ j=1Ajも零集合となる. Proof. (i)∪j=1(aj, bj]⊃ B ならば j=1(aj, bj]⊃ A である.よって外測度の 定義より従う. (ii) もし λ∗0(Aj) = ∞ となる j が存在すれば不等式は自明となる.したがって λ∗0(Aj) <∞ (∀j) と仮定する.ε > 0 とし,aj,k< bj,kk=1 (aj,k, bj,k]⊃ Aj, k=1 (bj,k− aj,k)≤ λ∗0(Aj) + ε 2j となるように選ぶ.このとき j,k=1 (aj,k, bj,k] j=1 Aj, j,k=1 (bj,k− aj,k) j=1 λ∗0(Aj) + ε. したがって λ∗0 ( j=1 Aj ) j=1 λ∗0(Aj) + ε. ε& 0 として求める不等式を得る.

(7)

Thm 1.6 (Lebesgue). f : [a, b]→ R を有界関数とする.f の x ∈ [a, b] における 振動量 J (f ; x) を J (f ; x) = inf { sup y∈I∩[a,b] f (y)− inf y∈I∩[a,b] f (y)¯¯¯ I ⊂ R は x ∈ I ∩ [a, b] なる開区間 } と定義する.さらに Nf ={x ∈ [a, b] | J(f; x) 6= 0} とおく.f が Riemann 可積分となるための必要十分条件は λ∗0(Nf) = 0となるこ とである. Proof. 演習問題.

Def 1.7. (i) f : [a, b] → R が階段関数であるとは a = a0 < a1 < · · · <

an− 1 < an= bなる点列{aj}nj=0{cj}nj=0−1が存在し, f (x) = cj, x∈ (aj, aj+1), j = 0, 1, . . . , n− 1 が成り立つことをいう. (ii) f : [a, b]→ R が L-可測関数であるとは,階段関数の列 {fn}∞n=1と零集合 Nが存在し f (x) = lim n→∞fn(x), x /∈ N が成り立つことをいう.上のことを『fn→ f a.e.』と表す. Prop 1.8. f, gは L-可測関数とする. (i) α, β∈ R ならば,αf +βg もまた L-可測関数である.ただし,(αf +βg)(x) = αf (x) + βg(x)(ii) f gもまた L-可測関数である.ただし (f g)(x) = f (x)g(x). (iii) max{f, g},min{f, g} もまた L-可測関数である.ただし

(max{f, g})(x) = max{f(x), g(x)},(min{f, g})(x) = min{f(x), g(x)}.

Proof. 演習問題.

Lem 1.9. f : [a, b]→ R を L-可測関数とする.

(i) もし f が有界ならば,階段関数の列{fn}∞n=1で,supn∈N,x∈[a,b]|fn(x)| < ∞

かつ fn→ f a.e. となるものが存在する.さらに,極限値 lim n→∞b a fn(x)dx が存在し,有限確定値となる.この極限値を ∫ [a,b] f dλと表す.

(8)

(ii) Fn= max{−n, min{f, n}} とおく.もし sup n∈N[a,b] |Fn| dλ < ∞ (1.1) ならば lim n→∞[a,b] Fndλ が存在し,有限確定値となる.この極限値も ∫ [a,b] f dλと表す. Proof. ここでは証明しない.6 節の演習問題とする. Def 1.10. 有界もしくは (1.1) を満たす L-可測関数 f : [a, b]→ R を L-可積分で あるといい,Lem 1.9 の極限値 ∫ [a,b] f dλを f の L-積分という.

Remark. L-積分を定義するために Lem 1.9 (i) は一纏めで書いているが,実際 は,次のような二つの事実からなっている (これもまた 6 章の結果である);

(i) もし f が有界ならば,階段関数の列{fn}∞n=1で,supn∈N,x∈[a,b]|fn(x)| < ∞

かつ fn→ f a.e. となるものが存在する.

(ii) もし階段関数の列{fn}∞n=1が,supn∈N,x∈[a,b]|fn(x)| < ∞ かつ fn→ f a.e.

を満たせば,極限値 lim n→∞b a fn(x)dxが存在し,有限確定値となる. Thm 1.11. (i) f, g : [a, b]→ R は L-可積分であり,α, β ∈ R とする. (a) αf + βgも L-可積分であり, ∫ [a,b] (αf + βg) dλ = α[a,b] f dλ + β[a,b] g dλ が成り立つ. (b) f ≥ g a.e. (すなわち,零集合 N が存在し x /∈ N ならば f(x) ≥ g(x) が成り立つ) ならば, ∫ [a,b] f dλ≥[a,b] g dλが成り立つ.

(ii) 有界な f : [a, b] → R が Riemann 可積分ならば L-可積分であり,さらに

[a,b] f dλ =b a f (x)dxとなる. Proof. (i) f, gが有界な場合にのみ証明する. (a) f, gに対し Lem 1.9 の階段関数の列{fn}∞n=1{gn}∞n=1をとる.このとき, αfn+ βgn→ αf + βg a.e. かつ sup n∈N,x∈[a,b] |αfn(x) + βgn(x)| < ∞

(9)

である.L-積分の定義と Riemann 積分の線形性より ∫ [a,b] (αf + βg) dλ = lim n→∞b a (αfn+ βgn)(x)dx = lim n→∞ { αb a fn(x)dx + βb a gn(x)dx } = α[a,b] f dλ + β[a,b] g dλ. (b) Hn= max{fn, gn},hn= min{fn, gn} とおけば,

Hn→ f a.e., hn→ g a.e., sup n∈N,x∈[a,b] |Hn(x)| < ∞, sup n∈N,x∈[a,b] |hn(x)| < ∞. よって L-積分の定義と Riemann 積分の正値性より ∫ [a,b] f dλ = lim n→∞b a Hn(x)dx≥ lim n→∞b a hn(x)dx =[a,b] g dλ. (ii)演習問題 Q1.9 の fnをとれば,fnは階段関数であり, fn→ f a.e., sup n∈N,x∈[a,b] |fn(x)| ≤ sup x∈[a,b] |f(x)| < ∞. よって f は L-可積分となる.L-積分の定義と Thm 1.2 により[a,b] f dλ = lim n→∞b a fn(x)dx =b a f (x)dx. Thm 1.12 (Lebesgueの優収束定理). fn, f : [a, b] → R, n = 1, 2, . . . , はすべ て L-可積分であり,fn → f a.e. とする.さらに L-可積分関数 Φ ≥ 0 が存在し |fn| ≤ Φ a.e. となっていると仮定する.このとき積分と極限の順序交換が可能で ある; lim n→∞[a,b] fndλ =[a,b] f dλ. Proof. 6節で証明する. Cor 1.13. α < βとする.f : (α, β)× [a, b] 3 (t, x) 7→ f(t, x) ∈ R は,各 t に対 し f (t,·) が L-可積分となるとする.

(i) (Lebesgueの優収束定理 (連続版)) 各 x ∈ [a, b] に対し,写像 (α, β) 3

t 7→ f(t, x) ∈ R は連続であり,さらに L-可積分な関数 Φ ≥ 0 が存在し supt∈(α,β)|f(t, ·)| ≤ Φ a.e. が成り立つと仮定する.このとき写像 t 7→[a,b] f (t,·) dλ は連続である; lim t→t0 ∫ [a,b] f (t,·) dλ =[a,b] f (t0,·) dλ, ∀t0∈ (α, β).

(10)

(ii) (Lebesgueの優収束定理 (微分版)) (a) 各 x∈ [a, b] に対し写像 (α, β) 3 t 7→ f (t, x)∈ R は C1級であり,(b) 各 t∈ (α, β) に対し f(t, ·) は L-可積分であ り,(c) さらに L-可積分な関数 Φ≥ 0 が存在し sup t∈(α,β) ¯¯ ¯∂f ∂t(t,·) ¯¯ ¯ ≤ Φ a.e. が 成り立つと仮定する.このとき写像 t7→[a,b] f (t,·) dλ は連続的微分可能で あり,さらに次が成り立つ. ∂t[a,b] f (t,·) dλ =[a,b] ∂f ∂t(t,·) dλ. Proof. (i) t0 ∈ (α, β) とし,{tn}∞n=1 ⊂ (α, β) は tn → t0を満たすとする. fn(x) = f (tn, x)とおけば,|fn| ≤ Φ a.e. かつ fn→ f(t0,·).Thm 1.12 より,[a,b] f (tn,·) dλ =[a,b] fndλ→[a,b] f (t0,·) dλ (n → ∞) となる.任意の収束列{tn}∞n=1に対し成り立つので,主張を得る. (ii) t0∈ (α, β) とする.|h| < min{t0− α, β − t0} なる h ∈ R に対し g(h, x) =      f (t0+ h, x)− f(t0, x) h , (h6= 0), ∂f ∂t(t0, x), (h = 0), とおく.(i) を用いれば主張が得られる.詳細は演習問題とする. L-積分は複素数値関数 f :R → C に次のように自然に拡張できる; f を f = u + iv (i2=−1) と実部と虚部に分解し,u, v 共に L-可積分関数となるときに,f は L-可積分関数であるといい,f の L-積分を[a,b] f dλ =[a,b] u dλ + i[a,b] v dλ と定義する.Thm 1.12 やその Cor はこのような複素数値関数に対する L-積分に ついても成立する. Example 1.14. r > 0に対し,fr : [0, π]→ C を fr(x) = exp(ireix)と定義す る.Cauchy の積分公式の応用例として計算される ∫ 0 sin x x dx = π 2 において は ∫ π 0 fr(x)dxという Riemann 積分の,したがって ∫ [0,π] frdλという L-積分の r→ ∞ および r → 0 での極限値を知る必要がある. sin x≥ 0 (x ∈ [0, π]) であるから,

¯¯exp(ireix)¯¯= exp(−r sin x) ≤ 1 x ∈ [0, π] (∗) となる.これより,

lim

(11)

となる.とくに後者から fr→ 0 a.e. である.さらに (∗) から,Φ(x) ≡ 1 として Thm 1.12が使え, lim r→0[0,π] frdλ =[0,π] 1 dλ =π 0 1dx = π, lim r→∞[0,π] frdλ =[0,π] 0 dλ =π 0 0dx = 0 を得る.

演習問題

Q1.1. a∈ R とする.λ∗0({a}) = 0 となることを証明せよ. また A を高々可算な集合とすれば λ∗0(A) = 0となることを証明せよ. Q1.2. λ∗∗0 (A) = inf{∑j=1(bj− aj)¯¯¯ aj ≤ bj, j = 1, 2, . . . , j=1(aj, bj)⊃ A } と おく.

λ∗0(A) = λ∗∗0 (A) (∀A ⊂ R) が成り立つことを示せ.

Q1.3. [a + ε, b− ε] (ε > 0) がコンパクトであることと Q 1.2 利用して λ∗0((a, b))≥

b− a となることを証明せよ.

Q1.4. a < b,∈ R とする.A ∈ {(a, b), (a, b], [a, b), [a, b]} に対し λ∗0(A) = b− a と なることを証明せよ. Q1.5. f : [a, b]→ R は有界とし,J(f; x) を Thm 1.6 の通りとする. (i) x0∈ [a, b] とする.J(f; x0) = 0は f が x = x0で連続となるための必要 十分条件であることを示せ. (ii) c≥ 0 とする.{x ∈ [a, b] | J(f; x) ≥ c} は閉集合であることを示せ. Q1.6. f : [a, b]→ R は有界であるとする.Nf ={x ∈ [a, b] | J(f; x) > 0} とおく. λ∗0(Nf) = 0とする. (i)任意の ε > 0 に対し次の性質を満たす有限個の開区間 (a1, b1), . . . , (an, bn) が存在することを証明せよ.『∑nj=1(bj− aj) < εかつ{x ∈ [a, b] | J(f; x) ≥ ε} ⊂nj=1(aj, bj)となる.』 (ii)任意の ε > 0 に対し,次の性質を満たす点列 a≤ c1 < d1≤ c2 < d2 . . . dn−1 ≤ cm < dm ≤ b が存在することを証明せよ.『supx∈[ck,dk]f (x)− infx∈[ck,dk]f (x) < ε (k = 1, . . . , m)かつ I\m k=1[ck, dk]n j=1(aj, bj)を 満たす.』 (iii) f は Riemann 積分可能であることを証明せよ. Q1.7. Thm 1.6の通りに Nfを定義し,n∈ N に対し Nf,n ={x ∈ [a, b] | J(f; x) ≥ 1/n} とおく.f は Riemann 積分可能であるとする. (i)任意の ε > 0 に対し,点列 0 = a0< a1<· · · < aN−1< aN = 1が存在

(12)

し,oi = supx∈[ai,ai+1]f (x)− infx∈[ai,ai+1]f (x)In ={i | oi ≥ 1/n} とお けば, i∈In (ai+1− ai) < ε が成り立つことを証明せよ. (ii) Nf,n⊂i∈In[ai, ai+1]∪ {a0, . . . , aN} となることを証明せよ. (iii) λ∗0(Nf,n) = 0を示せ. (iv) λ∗0(Nf) = 0となることを証明せよ. Q1.8. Prop 1.8を証明せよ. Q1.9. 有界な f : [a, b]→ R は Riemann 可積分であるとする.fn(x) = f (a + (b−

a)k2−n),x∈ [a + (b − a)k2−n, a + (b− a)(k + 1)2−n),k = 0, . . . , 2nとお

く.このとき Thm 1.6 を用いて fn → f a.e. となることを証明せよ. Q1.10. Cor 1.13(ii)の証明を完了せよ. Q1.11. U ⊂ Rn を開集合とし,f : U × [a, b] → R は,(a) ∀t ∈ U に対し, f (t,·) : [a, b] → R が L-可積分であり,(b) すべての x ∈ [a, b] に対し, U 3 t 7→ f(t, x) ∈ R は C1 級であり,(c) L-可積分関数 Φ ≥ 0 が存 在し,sup t∈U ¯¯ ¯∂f∂t i (t,·)¯¯¯ ≤ Φ a.e.(i = 1, . . . , n) となると仮定する.ただし, t = (t1, . . . , tn). このとき,任意の i = 1, . . . , n と t∈ U に対し,∂f/∂ti(t,·) は L-可積分で あり,さらに次式が成り立つことを示せ. ∂ti[a,b] f (t,·) dλ =[a,b] ∂f ∂ti (t,·) dλ. Q1.12. fは L-可測関数とし,L-可積分関数 fn: [a, b]→ R は,0 ≤ fn ≤ fn+1% f を満たすとする.このとき次を示せ. (a) f が L-可積分であることと sup n∈N[a,b] fndλ <∞ となることは必要かつ十分である. (Hint: an,m= ∫ [a,b] min{fn, m} dλ とおけば,∞ = ∞ を許して lim

n→∞mlim→∞an,m= limm→∞nlim→∞an,m

となることを証明し,それを利用せよ.) (b) fが L-可積分であれば, lim n→∞[a,b] fndλ =[a,b] f dλが成り立つ.

(13)

Q1.13. L-可測関数 fn, f : [a, b]→ R は,sup{|fn(x)|, |f(x)| | x ∈ [a, b], n ∈ N} < ∞ を満たし,さらに fn→ f a.e. とする.このとき lim n→∞[a,b] fndλ =[a,b] f dλ となることを示せ. Q1.14. fn : [a, b]→ R は L-可積分関数で,すべての x ∈ [a, b] に対し n=1|fn(x)| < ∞ であるとする.さらに f(x) =∞n=1fn(x),g(x) = n=1|fn(x)| とお けば,f, g : [a, b] → R は L-可積分関数であるとする.このとき無限級数 n=1[a,b] fndλは絶対収束し,さらに ∫ [a,b] f dλ = n=1[a,b] fndλ が成り立つことを証明せよ. Q1.15. L-可積分関数 fn: [a, b]→ R は,L-可積分関数 f に一様収束すると仮定す る.このとき, lim n→∞[a,b] fndλ =[a,b] f dλとなることを示せ. Q1.16. fn, f : [a, b]→ [0, ∞),n = 1, 2, . . . ,は L-可積分とし,fn ≥ fn+1& f と なると仮定する.このとき lim n→∞[a,b] fndλ =[a,b] f dλとなることを示せ. Q1.17. 以下の Riemann 積分の極限値を求め,その求め方を説明せよ. (i) lim n→∞ ∫ 1 0 exp ( x n + x2 ) dx (ii) lim n→∞ ∫ 3 0 n sin ( x2+ 1 n ) dx (iii) lim n→∞ ∫ 1 0 n2{1− e−(x/n)2}dx Q1.18. f : [a, b]→ R は f ≥ 0 かつ Riemann 広義積分可能であるとする. (i) n > 2/(b− a) に対し,fn : [a, b]→ R を fn(x) = { f (x), x∈ [a + (1/n), b − (1/n)], 0, それ以外, とおく.このとき,0≤ fn(x)≤ fn+1(x)% f(x) (x ∈ (a, b)) となることを 証明せよ. (ii) fは L-可積分関数であり ∫ [a,b] f dλは f の Riemann 広義積分と一致す ることを示せ.

(14)

Q1.19. L-可測関数 f : [a, b] → R に対し,定数 C > 0,0 < α < 1 が存在し,

|f(x)| ≤ C min{(x − a), (b − x)}−α (∀x ∈ (a, b)) が成り立つとする.この

とき f は L-可積分関数であることを証明せよ.

Q1.20. f : [a, b]→ R は L-可測関数で,さらに f(x) ≥ min{x−a, b−x} (∀x ∈ [a, b])

を満たすとする. (i) gn(x) = e−nf(x)は L-可積分関数となることを証明せよ. (ii) limn→∞gnを求めよ. (iii) lim n→∞[a,b] e−nfdλ = 0となることを証明せよ. Q1.21. f : [a, b]→ R は可測関数で,e|f|が L-可積分関数であるとする. (i) fnは L-可積分関数であることを証明せよ. (ii) efは L-可積分関数であることを証明せよ. (iii)次の等式が成り立つことを証明せよ. ∫ [a,b] efdλ = n=0 1 n![a,b] fndλQ1.22. f : [a, b]→ R は可測関数で,|f| < 1 であり,さらに 1 1− |f| が L-可積分関 数となるとする. (i) fnは L-可積分関数であることを証明せよ. (ii) 1 1− f は L-可積分関数であることを証明せよ. (iii)次の等式が成り立つことを証明せよ. ∫ [a,b] 1 1− f dλ = n=0[a,b] fndλQ1.23. f : [a, b]→ R は L-可積分関数とし,g : R → R を C∞級関数とする.y∈ R に対し fy(x) = g(x− y)f(x) (x ∈ [a, b]) とおく. (i) fy: [a, b]→ R は L-可積分関数となることを示せ. (ii) F (y) =[a,b] fydλとおく.関数 F :R → R は C∞級であることを証 明せよ. (iii) a0, . . . , an ∈ R が存在し,n j=0ajg (j) = 0が成り立つとする.この とき, nj=0 ajF(j)= 0 が成り立つことを証明せよ.

Q1.24. (Laplace変換) f : [a, b] → R を L-可積分関数とする.y ∈ R に対し,

fy(x) = e−yxf (x) (x∈ [a, b]) とおく.

(15)

(ii) F (y) =[a,b] fydλとおく.関数 F :R → R は C∞級であることを証 明せよ. (iii) もし f が Cn級で,f(j)(a) = f(j)(b) = 0 (0 ≤ j ≤ n − 1) を満たし, さらに a0, . . . , an ∈ R と L-可積分関数 g : [a, b] → R が存在して nj=0 ajf(j)(x) = g(x), x∈ [a, b] が成り立つとする.このとき次式が成り立つことを証明せよ. nj=0 ajyjF (y) =[a,b] gydλ

Q1.25. (Fourier変換) f : [a, b]→ R を L-可積分関数とする.y ∈ R に対し,fy(x) =

eiyxf (x) (x∈ [a, b]) とおく. (i) fy: [a, b]→ C は L-可積分関数であることを証明せよ. (ii) F (y) =[a,b] fydλとおく.関数 F :R → R は C∞級であることを証 明せよ. (iii) もし f が Cn級で,f(j)(a) = f(j)(b) = 0 (0 ≤ j ≤ n − 1) を満たし, さらに a0, . . . , an ∈ R と L-可積分関数 g : [a, b] → R が存在して nj=0 ajf(j)(x) = g(x), x∈ [a, b] が成り立つとする.このとき次式が成り立つことを証明せよ. nj=0 aj(−iy)jF (y) =[a,b] gydλ Q1.26. (Fourier-Laplace変換) f : [a, b]→ R は L-可積分関数とする.z ∈ C に対 し,fz(x) = ezxf (x) (x∈ [a, b]) とおく. (i) fz: [a, b]→ C は L-可積分関数であることを示せ. (ii) F (z) =[a,b]fzdλ (z ∈ C) とおく.F は正則関数であることを証明 せよ. (iii) fn(x) = xnf (x)とおく.次の等式が成り立つことを示せ. F (x) = n=0 zn n![a,b] fndλ.

(16)

Q1.27. (Cauchyの積分表示) f :C → C を連続関数とする.r > 0 とし,|z| < r な る z∈ C に対し, fz(x) = irf (reix)eix reix− z , x∈ [0, 2π] とおく. (i) fz: [0, 2π]→ C は L-可積分関数であることを証明せよ. (ii) F (z) =[0,2π]fzdλ{z ∈ C | |z| < r} において正則であることを示 し,その n 階微分 F(n)を求めよ. Q1.28. (Beta関数) α, β∈ C+={z ∈ C | Re z > 0} に対し B(α, β) = ∫ 1 0 xα−1(1− x)β−1dx と Riemann 広義積分により定義する. (i) Riemann広義積分が定義可能であることを示せ. (ii)C2+3 (α, β) 7→ B(α, β) は正則関数であることを証明せよ.

(17)

2.

測度 (一般論)

Def 2.1 (加法族). X を集合とし,E ⊂ 2Xとする.ただし 2Xは X の部分集合 の全体. (i) E が有限加法族であるとは次の 3 条件を満すことをいう. (a)∅, X ∈ E, (b) A∈ E ならば Ac:= X\ A ∈ E, (c) A, B∈ E ならば A ∪ B ∈ E. (ii) E が σ 加法族であるとは上の条件 (c) の代りに (c0) A1, A2,· · · ∈ E ならば j=1Aj ∈ E を満すことをいう. Def 2.2 (測度). (i) E を X 上の有限加法族とする.µ : E → [0, ∞] が有限加 法的測度であるとは,µ6≡ ∞ であり,さらに A, B∈ E, A ∩ B = ∅ =⇒ µ(A ∪ B) = µ(A) + µ(B) となることをいう.ただし∞ = ∞ を許す.この性質を µ の有限加法性と 呼ぶ. (ii) E を X 上の σ 加法族とする.µ : E → [0, ∞] が測度であるとは,µ 6≡ ∞ で あり,さらに Aj∈ E, Ai∩ Aj =∅ (i 6= j) =⇒ µ ( j=1 Aj ) = j=1 µ(Aj) となることをいう.ただし∞ = ∞ を許す.この性質を µ の σ 加法性と 呼ぶ. (iii) E が σ 加法族で,µ が測度のとき,三つ組 (X, E, µ) を測度空間という. Thm 2.3 (測度の単調性). µ を σ 加法族E 上の測度とする. (i) An ∈ E,An ⊂ An+1,n = 1, 2, . . . ,とする.このとき µ(∪n=1An ) = limn→∞µ(An).

(ii) An ∈ E,An ⊃ An+1,n = 1, 2, . . . ,とする.さらに µ(A1) <∞ と仮定す

る.このとき µ(∩n=1An ) = limn→∞µ(An). Proof. (i) A0 =∅,Bn = An\ An−1 とおけば,{Bn; n ∈ N} は互いに素で,k n=1Bn= Ak, ∪ n=1Bn= ∪ n=1Anとなる.よって µ の σ 加法性より, µ ( n=1 An ) = µ ( n=1 Bn ) = n=1 µ(Bn) = lim k→∞ kn=1 µ(Bn) = lim k→∞µ (k n=1 Bn ) = lim k→∞µ(Ak).

(18)

(ii) A1\ An⊂ A1\ An+1より,(i) の結果を用いると µ ( A1\ n=1 An ) = µ ( n=1 {A1\ An} ) = lim n→∞µ(A1\ An). これを µ ( n=1 An ) + µ ( A1\ n=1 An ) = µ(A1),

µ(An) + µ(A1\ An) = µ(A1), µ(A1) <∞

と合わせれば µ ( n=1 An ) = µ(A1)− µ ( A1\ n=1 An ) = lim

n→∞{µ(A1)− µ(A1\ An)} = limn→∞µ(An).

Def 2.4 (外測度). E を有限加法族とし,µ を有限加法的測度とする. µ∗(A) = inf { j=1 µ(Bj)¯¯¯ Bj ∈ E, j=1 Bj ⊃ A } , A⊂ X とおき,µ∗を µ の外測度と呼ぶ. Thm 2.5 (Caratheodoryの拡張定理). E0を有限加法族とし,µ を有限加法的測 度,µ∗をその外測度とする.さらに A1, A2,· · · ∈ E0が Ai∩ Aj=∅(i 6= j) およ び∪∞j=1Aj ∈ E0を満たせば,µ (∪ j=1Aj ) =∑j=1µ(Aj)が成り立つとする. E = {B ⊂ X | µ∗(G) = µ(B∩ G) + µ(Bc∩ G), ∀G ⊂ X} とおく.このとき (i) E は σ 加法族である. (ii) µ∗E 上の測度である.

(iii) E0⊂ E であり,さらに µ∗(A) = µ(A) (∀A ∈ E0)である.

Proof. (1)次式が成り立つことを示す.

µ∗(A) = µ(A), ∀A ∈ E0. (2.1)

∵) A ∈ E0とする.A⊂ A より,µ∗(A)≤ µ(A) は明らか.

ε > 0とし,Aj ∈ E0を ∪ j=1Aj ⊃ A, j=1µ(Aj)≤ µ∗(A) + εとなるよう にとる.

(19)

Cj = A∩ { Aj\(∪jk=1−1Ak )} とすれば,Cj ∈ E0, ∪ j=1Cj = A,Ci∩ Cj=∅ と なる.仮定より µ(A) = j=1 µ(Cj) j=1 µ(Aj)≤ µ∗(A) + ε. ε→ 0 とすれば µ(A) ≤ µ∗(A)となり,(2.1) が従う./// (2)次が成り立つことを見る. µ∗ ( j=1 Bj ) j=1 µ∗(Bj), ∀B1, B2,· · · ∈ 2X. (2.2) ∵) ε > 0 を任意に固定し,An,k ∈ E0を ∪ k=1An,k ⊃ Bn, ∑ k=1µ(An,k) < µ∗(Bn) + ε2−nとなるように選ぶ.このとき, ∪ n,k=1An,k n=1Bnである から, µ∗ ( n=1 Bn ) n,k=1 µ(An,k) n=1 { µ∗(Bn) + ε2−n } n=1 µ∗(Bn) + ε. ε→ 0 とすれば (2.2) が従う./// (3)E は有限加法族であり,さらに B1, . . . , Bn∈ E が互いに素ならば次が成り立 つことを示す. µ∗ (n k=1 ( Bk∩ G )) = nk=1 µ∗(Bk∩ G), ∀G ⊂ X. (2.3) ∵) µ∗(∅) = 0 より,∅, X ∈ E となる.また,E の定義より,B ∈ E ならば Bc∈ E となることは明らかである.したがって,有限加法族であることを見るには,後は B1, B2∈ E のときに B1∩B2∈ E を示せばよい (演習問題 Q2.1 参照).B1, B2∈ E より µ∗((B1∩ B2)c∩ G) + µ∗((B1∩ B2)∩ G) = µ∗((B1c∪ Bc2)∩ G) + µ∗((B1∩ B2)∩ G) = µ∗(B2∩ {(B1c∪ B c 2)∩ G}) + µ∗(B c 2∩ {(B c 1∪ B c 2)∩ G}) + µ∗((B1∩ B2)∩ G) = µ∗(B2∩ B1c∩ G) + µ∗(B c 2∩ G) + µ∗((B1∩ B2)∩ G) = µ∗(B2∩ G) + µ∗(B2c∩ G) = µ∗(G) したがって B1∩ B2∈ E. (2.3)は,n = 2 のときに示せば十分である.B1, B2∈ E,B1∩B2=∅,G ⊂ X とする.このとき B1∈ E であるから, µ∗((B1∪ B2)∩ G) = µ∗(B1∩ {(B1∪ B2)∩ G}) + µ∗(Bc1∩ {(B1∪ B2)∩ G}) = µ∗(B1∩ G) + µ∗(B2∩ G).///

(20)

(4)E は σ 加法族であり,µ∗E 上の測度である. ∵) Bn ∈ E は互いに素であるとし,B = n=1Bn とおく.G ⊂ X とする. G = (B∩ G) ∪ (Bc∩ G) であるから,(2.2) より µ∗(G)≤ µ∗(B∩ G) + µ∗(Bc∩ G). (2.4) Mn= ∪n k=1Bkとおく.(3) より Mn ∈ E である.(2.3) より, µ∗(G) = µ∗(Mn∩ G) + µ∗(Mnc∩ G). Mn⊂ B より,Mnc ⊃ Bcである.よって µ∗(Mnc∩ G) ≥ µ∗(Bc∩ G).また,(2.3) より µ∗(Mn∩ G) =n k=1µ∗(Bk∩ G).これらをあわせると µ∗(G)≥ nk=1 µ∗(Bk∩ G) + µ∗(Bc∩ G). n→ ∞ とし,さらに (2.2) よりk=1µ∗(Bk∩ G) ≥ µ∗(B∩ G) となることに注 意すれば, µ∗(G)≥ k=1 µ∗(Bk∩ G) + µ∗(Bc∩ G) ≥ µ∗(B∩ G) + µ∗(Bc∩ G) となる.(2.4) とあわせて µ∗(G) = k=1 µ∗(Bk∩ G) + µ∗(Bc∩ G) = µ∗(B∩ G) + µ∗(Bc∩ G). よって B∈ E となる.この等式で G = B とおけば σ 加法性も従う./// (5)E0⊂ E である. ∵) A ∈ E0,G⊂ X とする.An ∈ E0を ∪ n=1An ⊃ G ととる.このとき A∩ G ⊂ n=1 (A∩ An), Ac∩ G ⊂ n=1 (Ac∩ An) であるから, n=1 µ(An) = n=1 {µ(A ∩ An) + µ(Ac∩ An)} ≥ µ∗(A∩ G) + µ∗(Ac∩ G). ここで{An} について下限をとれば µ∗(G)≥ µ∗(A∩ G) + µ∗(Ac∩ G). 逆の不等式は µ∗の劣加法性より従うので, µ∗(G) = µ∗(A∩ G) + µ∗(Ac∩ G). すなわち,A∈ E. Cor 2.6. E0を有限加法族,µ を有限加法的測度とし,互いに素な A1, A2,· · · ∈ E0 が∪j=1Aj ∈ E0を満たせば,µ (∪ j=1Aj ) =∑j=1µ(Aj)が成り立つとする.こ

(21)

演習問題

Q2.1. (i){∅, X},2Xはともに σ 加法族であることを確かめよ.

(ii) A⊂ X とする.J = {∅, X, A, Ac} とする.J は有限加法族となること

を証明せよ.

(iii)E が,Def2.1 の (a),(b) を満たすとする.このとき,E が有限加法族

となるための必要十分条件は,任意の A, B∈ E に対し,A ∩ B ∈ E となる ことであることを確かめよ. (iv)E が有限加法族でさらに有限集合であれば,σ 加法族となることを示せ. Q2.2. (i)F, G ⊂ 2Xは σ 加法族とする.F ∩ G もまた σ 加法族であることを証明 せよ. (ii) Λを添え字集合とし,α∈ Λ に対し σ 加法族 Fα⊂ 2Xが対応している とする.このとき∩α∈ΛFαもまた σ 加法族であることを証明せよ. (iii)A ⊂ 2Xとする.A を含む包含関係の意味で最小となる σ 加法族が一 意的に存在するを証明せよ.(この σ 加法族を σ[A] と表し,A から生成さ れる σ 加法族と呼ぶ.) Q2.3. X =R2E = {A × R1| A ⊂ R1},G = {R1× B | B ⊂ R1} とする. (i)E, G はともに σ 加法族であることを証明せよ. (ii)E ∪ G は σ 加法族か? Q2.4. (i) µが有限加法的測度もしくは測度ならば,µ(∅) = 0 を満たすことを示せ. (ii)測度は有限加法的測度であることを確かめよ.

(iii) µが有限加法的測度で,A, B ∈ E が A ⊂ B を満たせば,µ(A) ≤ µ(B) となることを示せ.さらに µ(B) <∞ ならば,µ(B \ A) = µ(B) − µ(A) と なることを示せ.

Q2.5. µが有限加法的測度ならば,A, B∈ E に対し,µ(A ∪ B) ≤ µ(A) + µ(B) と

なることを示せ.さらに µ が測度ならば,Aj ∈ E に対し,µ (∪ j=1Aj ) j=1µ(Aj)となることを示せ.(この性質を劣加法性という.)

Q2.6. M ∈ N,X = {1, 2, . . . , M},E = 2Xとする.µ(A) = #A/M (A∈ E) と

おく.µ は測度であることを証明せよ. Q2.7. X =N,E = 2X,a n> 0 (n∈ N) とし, µ(A) = n=1 anXA(n), A∈ E とおく.ただしXA(n) = 1 (n∈ A),= 0 (n /∈ A).µ は測度であることを 示せ. Q2.8. Cor2.6を証明せよ. Q2.9. (X,E, µ) を測度空間とする.A1, A2,· · · ∈ E が n=1µ(An) <∞ を満たせ ば,µ(∩∞m=1 n=mAn ) = 0となることを証明せよ.

(22)

Q2.10. (i) µ∗を有限加法的測度 µ の外測度とする.µ∗(B) = 0かつ A ⊂ B なら ば,µ∗(A) = 0となることを証明せよ.さらに µ∗(B) = 0ならば,任意の G⊂ X に対し,次式が成り立つことを示せ. µ∗(G) = µ∗(B∩ G) + µ∗(Bc∩ G). (ii) µ∗(An) = 0ならば µ∗ (∪ n=1An ) = 0となることを証明せよ. Q2.11. n∈ N, > 3,X = {1, 2, . . . , n},N = {1, 2},E0={∅, N, B, N ∪ B | B ⊂ {3, . . . , n}} とおく.µ(A) = #(A ∩ {3, . . . , n}) (A ∈ E0)とおく. (i)E0は σ 加法族であり,µ はE0上の測度となることを示せ. (ii) Thm2.5の通りにE0からE を構成する.E = 2Xとなり,E06= E であ ることを確かめよ. (たとえE0が σ 加法族であってもE はそれよりも大きくなる). Q2.12. X ={0, 1, 2, . . . }, E0= { A⊂ X¯¯¯¯(i) 0∈ A かつ #A c<∞,もしくは (ii) 0 /∈ A かつ #A < ∞ } , µ0(E) = #E (=∞ を許す) とする. (i)このとき,E0は有限加法族であり,µ0は有限加法的であることを確か めよ. (ii) µ∗0(A)を求めよ. (iii) Thm2.5の通りにE0からE を構成すれば,E = 2Xとなることを示せ.

(iv) α > 0に対し,µα(A) = αXA(0) + #(A\ {0}) とおく.このとき,

(X,E, µα)は測度空間であり,µα(E) = µ0(E) (∀E ∈ E0)が成り立つこと

を証明せよ. Q2.13. E0を有限加法族とし,µ をその上の有限加法的測度とする.µ は Caratheodo-ryの拡張定理 (Thm 2.5) の条件を満すとし,(X,E, µ∗)を µ を拡張した測度 空間とする.もし Xk ∈ E0で µ(Xk) <∞, k=1Xk= Xなるものが存在す

ると仮定する.さらに ν を (X, σ(E0))上の測度で,ν(E) = µ(E) (∀E ∈ E0)

を満すものとする.このとき,ν(A) = µ∗(A) (∀A ∈ σ(E0))となることを

(23)

3.

Lebesgue

測度

N∈ N を固定しておく.

Def 3.1. (i) I⊂ RNが区間であるとは,−∞ ≤ ∃a

i≤ bi≤ ∞,i = 1, . . . , N,

が存在し,I =Ni=1(ai, bi]と表現されることをいう.ただし (a, a] = ∅,

(−∞, ∞] = R とする. (ii) J ⊂ RN が区間塊であるとは,互いに素な区間 Ik,k = 1, . . . , n により, J =nk=1Ikと表されることをいう.区間塊の全体をF0とおく; F0= { J = nk=1 Ik ¯¯ ¯¯Ii∩ Ij=∅ (i 6= j), Ikは区間 } .

(iii) 区間 I の体積を|I| =Ni=1(bi− ai)と定義し,区間塊 J の体積を次で定義

する. λ0(J ) = nk=1 |Ik|. (共に = ∞ を許す) Lem 3.2. 区間 I が互いに素な区間 Ik,k = 1, . . . , n,により I =n k=1Ikと表

されたとする.このとき,I は区間塊と見なせるが,|I| = λ0(I)が成り立つ.と

くに区間塊 J の体積 λ0(J )はその区間による表現に無関係である.

Proof. 演習問題.

Prop 3.3. (i) F0は有限加法族である.

(ii) λ0はF0上有限加法的測度である.

Proof. 証明の粗筋を述べる.

(i)∅ =Ni=1(0, 0],RN =∏i=1N (−∞, ∞] より,∅, RN ∈ F0.次に,A∈ F0なら

ば Ac∈ F0となることは容易に分かる.最後に,A, B∈ F0とする.区間塊をな す区間の境界を用いて共通の細分を作れば A∪ B ∈ F0となることも簡単に分か る. (ii) A1, . . . , Anに共通の細分を作れば,有限加法性は証明できる. Def 3.4. (i) λ0の外測度を λ∗0と表す. λ∗0(A) = inf { n=1 λ0(Jn) ¯¯ ¯¯Jn∈ F0, A⊂ n=1 Jn } , A⊂ RN. (ii) F ={A⊂ RN¯¯¯ λ∗0(A∩ G) + λ∗0(Ac∩ G) = λ∗0(G), ∀G ⊂ RN } とおき,λ = λ∗0¯¯Fとおく. Thm 3.5. F は σ 加法族であり,F0⊂ F を満たす.さらに,λ は F 上の測度で ある.また,λ(J ) = λ0(J ) (∀J ∈ F0)が成り立つ.(F の元を Lebesgue 可測集 合 λ をRN 上の Lebesgue測度という.)

(24)

Proof. 互いに素な Fn∈ F0が,F = n=1Fn∈ F0を満たせば, λ0(F ) = n=1 λ0(Fn) (3.1) が成り立つことを示せば,Caratheodory の拡張定理より定理の主張を得る. まず,λ0(F ) < ∞ と仮定して,(3.1) を示す.Hn = F \n k=1Fk とおく. Hn↓ ∅ である.λ0の有限加法性 (Prop.3.3) より, λ0(F ) = λ0(Hn) + nk=1 λ0(Fk) となるから,もし λ0(Hn)↓ 0 が証明できれば,(3.1) が得られる.λ0(Hn)↓ 0 とな ることを背理法を用いて証明する.λ0(Hn)≥ λ0(Hn+1)であるから極限は存在する が,その極限が 0 でないと仮定しよう.すなわち,ε > 0 が存在し,λ0(Hn)≥ 2ε (∀n ∈ N) が成り立つと仮定する.Q2.7 を用いて,有界な Jk ∈ F0,⊂ HkJk⊂ Hk,λ0(Hk\ Jk) < ε2−kとなるように取る (B は B の閉包).このとき λ0 ( Hn\ nk=1 Jk ) = λ0 (∪n k=1 {Hn\ Jk} ) ≤ λ0 (∪n k=1 {Hk\ Jk} ) nk=1 λ0(Hk\ Jk) < nk=1 ε2−k≤ ε. したがって λ0 (n k=1 Jk ) = λ0(Hn)− λ0 ( Hn\ nk=1 Jk ) > ε. とくに∩nk=1Jk 6= ∅.したがってn k=1Jk6= ∅.J1は有界集合であるから,J1は コンパクト集合となる.J1の閉部分集合族 {∩n k=1Jk| n = 1, 2, . . . } は,上の考 察より有限交叉性を持つから,∩k=1Jk6= ∅.したがって n=1Hn6= ∅.これは 矛盾である. 次に λ0(F ) =∞ とする.このとき,Q2.7 を用いて,有界な Km⊂ F, Km∈ F0 を λ0(Km)≥ m ととる.λ0(F∩Km) <∞ に注意して,F ∩Km= ∪ n=1(Fn∩Km) に (3.1) を適用すれば, m≤ λ0(Km) = n=1 λ0(Fn∩ Km) n=1 λ0(Fn). m→ ∞ とすれば, n=1 λ0(Fn) =∞ = λ0(F ) となり,λ0(F ) =∞ の場合にも (3.1) が成立する. Thm 3.6 (平行移動不変性). A∈ F,x ∈ RN とする.A + x = {y + x|y ∈ A}

(25)

Proof. λ0(J + x) = λ0(J )となることは容易に分かる.したがって,∀G ⊂ RN に対し,λ∗0(G + x) = λ∗0(G)が成り立つ.したがってもし A + x∈ F といえれば, λ(A + x) = λ(A)である. A + x∈ F となることを示す.(A + x)c= Ac+ xとなることに注意すれば, λ∗0((A + x)∩ G) + λ∗0((A + x)c∩ G) = λ∗0({A ∩ (G + (−x))} + x) + λ∗0({Ac∩ G + (−x)} + x) = λ∗0(A∩ (G + (−x))) + λ∗0(Ac∩ G + (−x)) = λ∗0(G). したがって A + x∈ F. Thm 3.7. (i) A⊂ RN が λ

0(A) = 0を満たせば,A∈ F かつ λ(A) = 0.

(ii) A⊂ RN が開集合ならば A ∈ F である.また A が閉集合ならば F に属 する. Proof. (i)は Q2.10 から従う. (ii)開集合 A は可算個の Jn ∈ F0を用いて A = n=1Jnと表される.よって, Thm3.5より A∈ F となる.A が閉集合ならば RN \ A は開集合である.再び, Thm3.5より A∈ F となる.

Thm 3.8. (i) λ∗0(A) = inf{λ(G)|G は開集合,G ⊃ A} (∀A ⊂ RN).

(ii) 任意の A∈ F, ε > 0 に対し,λ(G \ A) < ε を満たす開集合 G ⊃ A が存在 する.

(iii) 任意の A∈ F, ε > 0 に対し,λ(A \ F ) < ε を満たす閉集合 F ⊂ A が存在 する.

Proof. (i) A⊂ G ならば λ∗0(A)≤ λ∗0(G)であるから λ∗0(A)≤ inf{λ(G)| · · · }.

ε > 0とする.λ∗0(A) = λ∗∗0 (A)であった (Q3.6) から,Jn ∈ F0が存在し, ∪ n=1Jn◦⊃ A, n=1λ0(J0)≤ λ∗0(A) + εとなる. ∪ n=1Jn◦は開集合であり λ ( n=1 Jn ) n=1 λ(Jn) n=1 λ(Jn) = n=1 λ0(Jn)≤ λ∗0(A) + ε.

よって inf{λ(G)| · · · } ≤ λ∗0(A) + ε.ε→ 0 とすれば inf{λ(G)| · · · } ≤ λ∗0(A)

ある. (ii) Bn = {x ∈ RN| |x| < n},Cn = A∩ (Bn \ Bn−1)とおく.Cn ∈ F で あり,Def3.4 より,λ∗0(Cn) = λ(Cn)である.λ(Cn) < ∞ であるから,(i) よ り開集合 Gn ⊃ Cn で,λ(Gn) < λ(Cn) + ε2−nとなるものが存在する.この とき,G =∞n=1Gnとおけば,G は開集合であり,G ⊃ A を満たす.さらに G\ A ⊂n=1(Gn\ Cn)より, λ(G\ A) ≤ n=1 λ(Gn\ Cn) < n=1 ε2−n= ε. (iii) Acに (ii) を適用し,G⊃ Acなる開集合で λ(G\ Ac) < εとなるものをとる. G\ Ac = G∩ A = A \ Gc,A⊂ Gc,であるから,Gcが求める性質を持つ閉集 合である.

(26)

演習問題

Q3.1. Lem3.2を証明せよ.

Q3.2. Prop3.3を詳しく証明せよ.

Q3.3. (i) a∈ RN,A ={a} とする.λ

0(A) = 0となることを証明せよ.

(ii) an∈ RN,A ={a1, a2, . . .} とする.λ∗0(A) = 0となることを外測度の

定義から直接証明せよ. (iii) Λを添え字集合とする.α∈ Λ に対し λ∗0(Aα) = 0であるが λ∗0(∪α∈Λ ) > 0となる例を挙げよ. Q3.4. (i) A⊂ RN が有界集合ならば,λ 0(A) <∞ となることを示せ. (ii) 0 < λ∗0(A) <∞ となる非有界集合を例示せよ. Q3.5. K0= [0, 1],K1= [0, 1]\ (1/3, 2/3),K2 = K1\ {(1/9, 2/9) ∪ (7/9, 8/9), K3= K2\ {(1/27, 2/27) ∪ (7/27, 8/27) ∪ (19/27, 20/27) ∪ (25/27, 26/27)}, と Knを順次前の Kn−1の中央の 1/3 区間を抜き取ることで構成する.K = n=0Knとおく.このとき (i) Kは可算集合ではないことを証明せよ. (ii) λ∗0(K) = 0となることを証明せよ. Q3.6. A⊂ RN に対し,λ∗∗0 (A) = inf {∑ n=1λ0(Jn)| Jn ∈ F0, n=1Jn◦ ⊃ A } と おく.ただし,B◦は B の内核.このとき,λ∗0(A) = λ∗∗0 (A)が成り立つこ とを示せ. Q3.7. J ∈ F0, λ0(J ) < ∞ とする.任意の ε > 0 に対し,有界な K ∈ F0で, K ⊂ J,λ0(J\ K) < ε となるものが存在することを証明せよ.ただし K は K の閉包.また,λ0(J ) = ∞ ならば,任意の m > 0 に対し,有界な K∈ F0で,K ⊂ J,λ0(K)≥ m となるものが存在することを証明せよ. Q3.8. J ∈ F0に対し,λ∗0(J ) = λ0(J )となることを証明せよ. Q3.9. 開集合 A は可算個の Jn ∈ F0を用いて A = n=1Jn と表されることを 示せ. Q3.10. A ∈ F とする.開集合の列 {On}∞n=1と E ∈ F が存在し,λ(E) = 0, E⊂n=1On,A = n=1On\ E となることを証明せよ. Q3.11. A∈ F とする.λ(A) = sup{λ(F )|F ⊂ A, F は閉集合 } となることを証明 せよ.

さらに閉集合の列{Fn}∞n=1と E∈ F が存在し,λ(E) = 0,A = E∪

n=1Fn となることを証明せよ. Q3.12. A∈ F は有界集合とする.任意の ε > 0 に対し,λ(RN\ F ) < ε をみたす 閉集合 F ⊂ RN が存在し,F 上X Aは連続となることを証明せよ. さらに A の有界性がなくてもこの主張が成り立つことを示せ.

(27)

Q3.13. A ⊂ RN とする.任意の ε > 0 に対し開集合 O と閉集合 F が存在し, F ⊂ A ⊂ O,λ(O \ F ) < ε となるならば,A ∈ F となることを証明せよ. Q3.14. α > 0に対し,T : RN → RN を T x = αx と定義する.A⊂ RN に対し, T A ={T x | x ∈ A} とおく.このとき λ∗0(T A) = αNλ∗0(A)となることを証 明せよ. Q3.15. α > 0とし,線形変換 T :RN → RN を T x = αx (x ∈ RN)と定義する. A∈ F とし,T A = {T x | x ∈ A} とおく.このとき,T A ∈ F であり,さ らに λ(T A) = αNλ(A)となることを証明せよ. Q3.16. U :RN → RN は直交変換とする (線形変換で対応する行列が直交行列とな る).A⊂ RNにたいし U A ={Ua | a ∈ A} とおく. (i) x∈ RN, α > 0に対し I(x, α) ={y ∈ RN| 0 < y i− xi< α, i = 1, . . . N}

とする.λ(U (I(x, α))) = λ(U (I(0, 1))λ(I(x, α)) となることを証明せよ. (ii)開集合 O に対し U O∈ F かつ λ(UO) = λ(U(I(0, 1))λ(O) となること を証明せよ.

(iii) λ(U (I(0, 1)) = 1を示せ.

(iv) A∈ F に対し,λ(UA) = λ(A) を示せ.

Q3.17. N = 1とする.A /∈ F なる A ⊂ R の存在を次の手順で証明せよ. (i) x− y ∈ Q となるとき x ∼ y とおく.これは同値関係であることを証明 せよ. (ii)R/ ∼= Λ とし各 α ∈ Λ に対し xα∈ (0, 1] を α = {x ∈ R|x ∼ xα} とな るように選び,A ={xα|α ∈ Λ} とおく.r ∈ Q ∩ (0, 1] に対し Ar={x ∈ (0, 1]|x = a + r or x = a + r − 1 (∃a ∈ A)} とおくと, r6= s ∈ Q ∩ (0, 1] =⇒ Ar∩ As=∅, (0, 1] =r∈Q∩(0,1] Ar となることを証明せよ.

(iii)もし A∈ F ならば λ(Ar) = λ(A)となることを示し,これと (ii) より

矛盾を導け. Q3.18. Q∩[0, 1] = {q1, q2, . . . ,} とおく.an> 0,n = 1, 2, . . . ,とする. n=1(qn− an, qn+ an)⊃ [0, 1] が成り立たない例を挙げ,その理由を Lebesgue 測度を 利用して説明せよ.

(28)

4.

可測関数

Def 4.1. (i) (X,E, µ) を測度空間とする.関数 f : X → [−∞, ∞] と a ∈ [−∞, ∞] に対し, [f > a] ={x ∈ X | f(x) > a}, [f < a] = {x ∈ X | f(x) < a}, [f ≥ a] = {x ∈ X | f(x) ≥ a}, [f ≤ a] = {x ∈ X | f(x) ≤ a}, [f = a] ={x ∈ X | f(x) = a} とおく.f : X → [−∞, ∞] が (E-) 可測であるとは,[f > a] ∈ E (∀a ∈ [−∞, ∞]). (ii) X =RNF が Lebesgue 可測集合の全体であるとき,F-可測関数のこと を Lebesgue可測関数と呼ぶ. 以下とくに断らない限り,測度空間 (X,E, µ) を考える. Prop 4.2. f : X→ [−∞, ∞] とする. (i) 次の条件は同値である.

(a) fE-可測,(b) [f ≤ a] ∈ E (∀a ∈ [−∞, ∞]),(c) [f < a] ∈ E (∀a ∈ [−∞, ∞]),(d) [f ≥ a] ∈ E (∀a ∈ [−∞, ∞]). (ii) fが可測ならば,[f = a]∈ E (∀a ∈ [−∞, ∞]). (iii) f, g : X → [−∞, ∞] は共に可測とする.このとき,[f > g] := {x ∈ X| f(x) > g(x)} ∈ E,[f ≥ g] := {x ∈ X | f(x) ≥ g(x)} ∈ E,[f = g] :={x ∈ X | f(x) = g(x)} ∈ E. Proof. (i)次の等式が成り立つ. [f ≤ a] = X \ [f > a], [f < a] = n=1 [f ≤ a − (1/n)], [f ≥ a] = X \ [f < a], [f > a] = n=1 [f ≥ a + (1/n)]. したがって,(a)⇒ (b) ⇒ (c) ⇒ (d) ⇒ (a). (ii) [f = a] = [f ≤ a] ∩ [f ≥ a] と (i) より従う.

(iii) [f > g] =q∈Q[f > q]∩ [g < q] となるので,(i) より,[f > g] ∈ E.補集合

を考えると [f ≤ g] ∈ E.f, g を入れ替えると [g ≤ f] ∈ E.この二つの共通部分

により,[f = g]∈ E.

Thm 4.3. (i) f : X → [−∞, ∞] は可測とする.A ∈ E とし,fA(x) = f (x)

(x∈ A),= 0 (x /∈ A) とおく.このとき fAは可測関数である.

(ii) fn : X → [−∞, ∞] (n = 1, 2, . . . ) がすべて可測ならば,supn∈Nfn(x),

(29)

(iii) fn : X→ [−∞, ∞] (n = 1, 2, . . . ) がすべて可測関数ならば, f (x) =    lim

n→∞fn(x), (lim supn→∞ fn(x) = lim infn→∞ fn(x)なるとき),

0, (それ以外) もまた可測関数である. (iv) f, gは共に可測で有限値を取るとする,すなわち [|f| = ∞] = [|g| = ∞] = ∅ とする.このとき,∀α, β ∈ R に対し,αf + βg も可測となる.(注: 有限値 を取るという仮定は∞ − ∞ を避けるためのものである) (v) f gはともに可測で有限値を取るとする.このとき f g も可測である.

Proof. (i) a < 0ならば,[fA > a] = Ac ∪ [f > a] ∈ E.a > 0 ならば,

[fA> a] = [f > a]\ A ∈ E. (ii) [ supn∈Nfn> a ] =∪n=1[fn> a]より,supn∈Nfnは可測となる. これら以外の証明は演習問題とする. Def 4.4. f : X → R が柱状関数であるとは,a1, . . . , an ∈ R と A1, . . . , An∈ E が存在し,f (x) =nk=1akXAk(x) (∀x ∈ X) と表されることをいう.ただし, XB(x) = 1 (x∈ B),= 0 (x /∈ B).柱状関数の全体を CF と表す. Thm 4.5. (i) g∈ CF は可測である. (ii) f : X→ [0, ∞] を可測関数とする.このとき,柱状関数の列 {fn} ⊂ CF が 存在し,0≤ fn(x)≤ fn+1(x)かつ limn→∞fn(x) = f (x) (∀x ∈ RN)を満 たす. Proof. (i)演習問題. (ii) E(n, k) = [k2−n≤ f < (k + 1)2−n]とおき, fn(x) = n2nk=0 k2−nXE(n,k)(x) + nX[f≥n] とおく.fn∈ CF,0 ≤ fn≤ fn+1,かつ fn(x)→ f(x) となることは容易に分か る. Lebesgue可測関数に特有の性質; 以下 Lebesgue 測度空間 (RN,F, λ) 上の可測 関数について考察する.

Thm 4.6 (Egorovの定理). fn :RN → R は Lebesgue 可測関数とする.E ∈ F

は λ(E) <∞ を満たし,さらに任意の x ∈ E に対し,limn→∞fn(x) = f (x)が 存在すると仮定する.このとき∀ε > 0 に対し,閉集合 F ⊂ E が存在し次のの性 質を満たす; (a) λ(E\ F ) < ε,(b) 関数列 {fn} は F 上 f に一様収束する. Proof. ε > 0を固定する.p, n∈ N に対し, Ep,n= k=n {x ∈ E | |fk(x)− f(x)| < 2−p}

(30)

とおく.fn(x)→ f(x) (∀x ∈ E) より,Ep,n⊂ Ep,n+1% E(n → ∞).したがっ て λ(Ep,n)→ λ(E) である.増大列 {n(p)} ⊂ N を λ(Ep,n(p)) > λ(E)− ε2−p−1 となるように選び, Hp= E\ Ep,n(p), H = E\ p=1 Hp とおく.このとき,H, Hp⊂ E, λ(E\ H) = λ ( p=1 Hp ) p=1 λ(Hp) p=1 ε2−p−1= ε/2. さらに x ∈ H ならば ∀p ∈ N に対し x /∈ Hp.Hpの定義より,これは x Ep,n(p)(∀p) を意味する.すなわち |fn(x)− f(x)| < 2−p (∀n ≥ n(p), p ∈ N).し たがって sup x∈H|f n(x)− f(x)| → 0 (n → ∞). Thm.3.8(ii)より閉集合 F ⊂ H が存在し,λ(H \ F ) < ε/2 となる.この F が求 めるものである. Thm 4.7 (Lusinの定理). f :RN → R は Lebesgue 可測とする.このとき ∀ε > 0 に対し,閉集合 K で λ(RN\ K) < ε を満たすものが存在し,さらに K 上 f は連 続となる. Proof. f ≥ 0 と仮定する.Thm4.5 より,0 ≤ fn ≤ fn+1 % f なる fn ∈ CF が存在する.ε > 0 とする.Q2.12 より,λ(RN \ F n) < ε2−n−1となる閉集合 Fn ⊂ RN が存在し,Fn上 fnは連続となる.F = n=1Fnとおけば,F は閉集 合で F 上すべての fnは連続となる.さらに λ(RN \ F ) ≤ n=1 λ(RN \ Fn) < ε/2. Lk = F ∩ {n − 1 ≤ |x| < k} とおく.Thm4.6 より,閉集合 Kk ⊂ Lkが存在し, λ(Lk\Kk) < ε2−k−1かつ Kk{fn} は一様収束する.K = n=1Knとおく.Kλ(RN\ K) = λ(RN\ F ) + λ(F \ K) = λ(RN \ F ) + + nk=1 λ(Lk\ Kk) < ε を満たす.この K が求めるものである.(位相的な考察が残っているが,それは 演習問題とする.)

演習問題

基本的に測度空間 (X,E, µ) で考察する.RN が現れたときは Lebesgue 測度空間 (RN,F, λ) を考えているものとする.

(31)

Q4.1. (i) f : X → (0, ∞) は可測関数とする.このとき g(x) = 1/f(x) も可測関数 となることを示せ. (ii) f : X→ [−∞, ∞) とする.次は同値であることを示せ. (a) f は可測である, (b)任意の開集合 G ⊂ R に対し Gf ={x ∈ X|f(x) ∈ G} は可測集合であ る, (c) 任意の閉集合 F ⊂ R に対し Ff ={x ∈ X|f(x) ∈ F } は可測集合であ る. (iii) f : X → R は可測関数で,g : R → R が連続関数であれば,合成関数 g◦ f : X → R もまた可測関数となることを証明せよ. Q4.2. fn : X→ [−∞, ∞] (n = 1, 2, . . . ) がすべて可測関数ならば,infn∈Nfn(x),

lim supn∈Nfn(x),および lim infn∈Nfn(x)はすべて可測であることを示せ.

Q4.3. fn : X → [−∞, ∞] (n = 1, 2, . . . ) はすべて可測関数とする.集合 {x ∈ X| limn→∞fn(x)が存在する} は可測集合であることを示し,さらに f (x) = { limn→∞fn(x), (limn→∞fn(x)が存在するとき), 0, (それ以外) もまた可測関数であることを示せ.ただし limn→∞fn(x)±∞ となって もよい. Q4.4. (i) fは可測関数,α∈ R とする.このとき,αf が可測関数となることを示 せ. (ii) f, gは共に有限値を取る可測関数とする.αf + βg も可測関数となるこ とを示せ. (iii) fn : X → [0, ∞] はすべて可測とする.このとき n=1fnもまた可測 となることを証明せよ. Q4.5. f, g : X → R は共に可測関数とする. (i) (f± g)2はともに可測であることを示せ. (ii) f gも可測であることを示せ.

Q4.6. f ∈ CF とする.a1, . . . , an ∈ R,A1, . . . , An∈ F で,ai6= aj,Ai∩ Aj=

(i6= j),nj=1Aj = X,f =n j=1ajXAj となるものが存在することを示 し,f ∈ CF は可測関数であることを証明せよ. Q4.7. (i)連続関数 f :RN → R は Lebesgue 可測となることを証明せよ. (ii) 微分可能関数 f : RN → R の a 方向 (a ∈ RN)への微分 ∂ af (x) = limh→0{f(x + ha) − f(x)}/h は可測関数であることを証明せよ.(注:微分 可能は微係数の連続性を要求しない) Q4.8. (i) g :RN → [−∞, ∞] を Lebesgue 可測関数とする.f : RN → [−∞, ∞] は,Ef ={x ∈ RN|f(x) 6= g(x)} とおけば,λ∗0(Ef) = 0を満たすと仮定す る.このとき f もまた可測となることを証明せよ. (ii) Q2.11を用いて,一般の測度空間 (X,E, µ) では (i) の主張が成り立たな いことを例を挙げて説明せよ.

参照

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