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建築計画における衛生器具の適正値設定について

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建築計画における衛生器具の

適正値設定について

谷口字幸

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まえがき

建築計画における OR 手法の適用例として適正衛生器 具数の算定に GPSSを用いたシミュレーションモデノL の 考え方を紹介する. 適正衛生器具数の算定法の確立は建築計画・設備計画 いずれにおいても重要な基本的要素であることはまぎれ もなく,わが国独自の算定法が久しく求められていた. 今年,空気調和・衛生工学会にて筆者の研究を含めて検 討がなされ算定法 [14J が提案されている. 等モデルのデータとして用いられている実測データ・ アンケート調査結果ならびに既応の研究との比較につい ては紙面の都合上割愛しているが参考文献 [7J

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日幻等を参照していただきたい. なお,当論文が主として参考文献 [IOJ によるものであ ることを付記する.

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既応の衛生器具数算定法の紹介

従来建物内の設置衛生器具数の決定は計画対象建物の 計画人員数,あるいは学校の教室数や病院のベッド数な どの建物固有の機能単位から算出された計画人員を基に

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Plumbing Code

[IJ や労働安全衛生規則 [2J

を用いて算出されていた. わが闘では上記の法的算出法の他に設置衛生器具数を 決定するための方法が L 、くつか提案されている.たとえ ば,事務所建物・学校・劇場に関してあふれの確率を仮 定したものとして,あふれ率を用いる吉武による方法[3J および,待ち合せ理論を用いた藤井他のモンテカルロシ ミュレーションによりあふれ率を定め器具数を決める方 法[4J. また超過確率を用いた村川による方法 [5J などが あげられる.これらは衛生器具に着目し,その使用回数 たにぐち たかゆき 大成建設脚開発本部開発第一部 干 163 新宿区西新宿 1-25ー l 新宿センターピル

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や占有時間などを調査して,器具を使用できない人の割 合(あふれの縫率)の上限値を仮定し器具数を決定するも のであった. 衛生器具数に対するこれらのアプローチはし、ずれも衛 生器具に測定器具を設置し,使用者の業務内容その他の 属性は考慮に入れずに衛生器具の側から見た使用回数や 占有時間の測定結果より器具数を決めるものであり,換 言すれば「衛生器具の使われ方J に着目した算出法と言 える.筆者は建築設備計画が建物使用者の快適環境の創 造とその質的向上をめざすため,適正衛生器具数を「衛 生器具使用者の待ち時間がある許容値以下になるように 設置された個数である J と考えた.すなわち,使用者の 「衛生器具の使い方 J に着目した算出法を提案し,設計 実務で大きな割合を占める事務所建物を研究対象として 業務内容,性別を考慮した適正衛生器具数算定法を提案 した.

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適正衛生器具数の概念およびその算

定手順

1) 適正衛生器具数の観念 一般に事務所建物におけるトイレ内衛生器具の使用形 態は,使用するさいに待ちを生じさせな\', r即時利用式 J で計画されるべきと言われているが,実際の建物内には 三十周対象人員に対して適正な衛生器具数が設置されてい る例が少ないため,不便を感ずる待ちを往々にして生 じ,使用者は何らかの方法でそれを回避している.毎時 のトイレ使用頻度は平均的な就業時間帯あるいは. 24時 間周期で同様なパターンを繰り返す.これは対象とする トイレの使用者によって多少の差異はあるが,通常出社 直後の 1 時間と昼食時前後の 1 時間ならびに退社直前の 1 時間の各時間帯においてピークが見られる. 衛生器具数はこのピーク時の混雑の解消を考慮して決 められたものでなければならない.従来より,使用され る衛生器具の側からアプロ一千した衛生器具数算定法 オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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r- Na士山 nal Plumbin百C c 法的基準値を ill いて算出 ; L..-労働安全衛生規則 衛生器具数

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~l, 衛生器具を使用できない 人の割合(あふれの確率) を l甘いて算出 「吉武による方法(あふれ率)

L州他による方法/モンテカノレロ法て前

1 あふれ率を決める/ 村川による 1i法 超過縫準を用いて算出 業務内谷毎に各衛生器具 に i期する許容待ち時間を 評価尺度に用いて算出

巴豆日

図 1 当衛生器具数算出法の位置づけ [3J一[5Jが提案されている.

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[4J については,各衛生 器具への平均到着率(単位時間当りの使用人数)の概念 を用いて,全日あるいは一定時間内において衛生器具を 使用できない人の割合(これを,あふれの確率叫と定義 する)を仮定し,使用できない人の割合がこの値以下に なるように衛生器具数を決定するものであった. 本研究では,衛生器具使用者の行動に着目し業務内容 や性別などの属性を考慮したうえで使用するさいに不便 を感じない衛生器具の設置数を適正衛生器具数として以 下のごとく定義した. 図 2 (a) に示すようにトイレ使用者を一定にし. r十分 満足できる多数の器具数(図 2 (a)中 N. 点)を次第に減 少させた場合,衛生器具使用者の多くの者が急、に不便を 感じはじめる直前の器具数(図 2 (叫中 No点)J とした. 2) 適正衛生器具数の算定手順 適正衛生器具数は 3. の 1) で述べた定義と以下に示す 手順により設置衛生器具数に関する意識調査を行なうこ とによって求められる.以下に適正衛生器具数算定の概 念フローを示す. ステップ1.設置衛生器具数が等しく,配属人員数の 異なる複数の既設建物内の各階を対象に して, トイレ使用感アンケート調査を行 なう. この結果を図 2 (b) に示すように 各階ごとに集計し,現状の設置器具数に 満足する人の割合を求め,この値が急激 に減少する階の人員数N を求める, *2 吉武によるあふれの確率は以下で定義されるもの である. 「衛生器具を使用するために到着した人数に対する 衛生器具を使用できない人数の期待値の割合」 1990 年 4 月号 ステップ 2. ステップ l で用いた設置衛生器具数 P と 求められた人員数である N人分のトイレ 使用状況調査結果を基礎データとし,器 具使用時における待ち時間のシミュレー ションを行ない,最も混み合う時間帯で の最大待ち時間を求め,この値を「許容 待ち時間 J とする. ステップ 3. 次に,他の計画人員数について向様の器 具使用シミュレーションを行ない, トイ レ使用時に生じる待ち時間がステップ 2 で求められた最大待ち時間以下となる器 具数を求め,これを各人員数に対応する 適正衛生器具数とする. 満足伎大 満足度 トイレ使用のきいの 器具数減少 No ←ー-.\ぉ J自1E l車i~_上 限只・数 一一一_.L一一一一ー一一歩 l:;:I!!~総 !1-12Ei白a 伽i 数 図 2(a) 適正衛生器具数決定の概念図 満足する人の割合 現状の器具数に 各階配属人員数 図 2(b) 設置衛生器具数が P 個での各階配属人員 数と現状の器具数に満足する人の割合

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く建築用途別衛生器具使用形態〉 ×人員密度[人1m2] Step 3 く計画人員数と衛生器具数 の関係〉

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GPSS を用いた衛生器具 使用~:i(Ì.兄シミュレーション より器具数・人員数‘待ち 時間の関係を求める. 計画人員数

注 4 印 l主,本研究の流れを示す.

図 3 適正衛生器具数の算定手 n蹟 ただし,ステップ 1 -3 で対象としているトイレ使用 者は同じ属性を有する人間であるものとする. 以上のステップ 1-3 で調査の対象としているトイレ 使用者は全く同じ属性を有するグループであることを仮 定しているが,このような状況は現実にはありえず,使 用者のトイレの使い方,時間に対する考え方,短気か否 かという性格などによって,同程度の待ち時間でも,そ の設置衛生器具数に対する満足度は個々人によってかな り異なる.そのため図 2 刷に見られるような明瞭な相関 関係が得られることは難しく,そのばらつきは大きいと 思われる. そこで,本算定法では,男女別かつ業務内容別にトイ レ使用状況調査 [7J を行ない, 被調査者毎の使用特性を 求め,これを基礎データとして磁気テープに収納し,さ らに得られた衛生器具使用時聞を提示して許容待ち時間 をアンケート調査により求め, GPSS を用いて作成した 衛生器具状況シミュレーションモデルに磁気テーフ・から 計画人員数分のデータをランダムに取り出し入力し,設 置衛生器具数と最大待ち時間との関係を求め,アンケー ト調査で得られた許容待ち時間に対応する衛生器具数を 適正衛生器具数とした. 以上に述べた適正衛生器具算定手 l慣を図 3 に示す.

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GPSS を用いた衛生器具使用状況予

i則シミュレーションモデル

1) GPSS によるシミ a レーションの手順 図 4 に GPSS を用いた衛生器具使用状況予測シミュレ ーションの手順を示す.すなわち事務所建物内の執務人 員に対し就業時間帯を対象とした衛生器具使用状況アン ケート調査 [7J を行ないトイレ内の各衛生器具への到着 時刻,各衛生器具の占有時間を調べる(図 4,①).集め られたデータを被調査者の属性, たとえば, イ)業務内 容, ロ)年令,ハ)男女別などによってトイレ使用回数や 占有時間の分類を行なう(図 4,③).これをマグネチッ クテープ (M.T.) に基礎データ群として記憶させてお き,計画対象建物の各階において計画人員数とその業務 内容,男女比率等の属性を想定し M.T. 内の基礎データ 群より抽出したトイレ使用状況のアンケート結果を単位 時間毎にトイレの使用人数,各衛生器具の使用人数およ び使用パターンの分類と使用器具の割合をまとめ(図 4 , (), 各衛生器具について最も使用頻度の高い時間帯を 求める.衛生器具数の決定にさいしてはこの時間帯にお ける各衛生器具の適当と考えうる待ち時間を判定基準と し決定する e 2) GPSS による衛生器具使用状況のモデル化 トイレ内の衛生器具を使用するさいの人間の動きは以 オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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おける衛生器具の使用行動パターンの割合である.

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1 -x. はそれぞれ以下に示す割合である. x,: トイレ到着者のうち大小便器を使用する者の割 ぷ斗 口 x2: 便器使用者のうち大便器を使用する者の割合 x3: 大便器使用者のうち使用後に手洗器を使用する 者の割合 x.: 小便器使用者のうち使用後に手洗器を使用する 者の割合

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GPSS による衛生器具使用状況シミュレーショ ン例 アンケート調査結果より得られた人員数,衛生器具 数と最大待ち時間の関係を求める手順とシミュレーシ ヨン結果を示す.図 B には M.T.~.こ記憶された基礎デ ータから 24人分を抽出した衛生器具使用状況例を示す. 次に計画人員数を 200人とした場合の小便器使用状 況のシミュレーション例を示す. 基礎データ群より 200 人分のデータを抽出し, これを用い 1 日の就業時 1990 年 4 月号 下のようにモデル化される.なお,各 衛生器具を使用するさい,その器具が 空いていない場合に器具の前で空くま で待つための列を想定している.すな わち,衛生器具の使用者は,はじめに ①衛生器具の前の列に並び,その列に 並んでいるすべての人が使用を終えて 立ち去った後に初めて②衛生器具を占 有することが可能となる.③衛生器具 を占有した後に④その器具から離れ る.なお,小便器を使用した後に手洗 器を使用する場合のように同一人が複 数個の衛生器具を使用する場合には上 記の①~④が繰返し生じると考えられ る. 衛生器具を使用するさいの人間の行 動パターンは図 E に示す 5 種類であ る.すなわち,手洗・洗面のために手 洗器のみを使用するもの(パターン 1 ) 大小便器のみを使用するもの(パター ン 2 , 4) および大小便器を使用の後 に手洗器を使用するもの(パターン 3, 5) である.ここで図 5 に示すx1-x. は抽出したトイレ使用状況アンケート 調査結果のうち最も混雑する時間帯に 調査ならびに分析 トイレ使用状況アンケート 衛生器具占有時 UI1, トイレ使用人 数ならびに到着時刻1.衛生器具使 用行動パターンの格上中 被調査者ごとに在階時間, I イレ 入室時刻,使用衛生器具.衛生器 具占有時間の記入を依頼 被調査者全員の毎時在階者数, ト イレ使用状況のまとめ たとえば性別.年令 jjlj ,業務 l付干子 別(事務系,技術系,件業系など) によるトイレ使用頻度,使用時刻l の整理 GPSS によるシミュ レ l ション シミュレーションの結来,衛生器IL ごとに計画人員数,設置衛生器具数 と待ち時間の関係を求め,アンケー 卜調布から得られた n午容待ち時t:1J かよけ断E 衛生器具数を決定する. 図 4 GPSSによるシミュレーション手順 本 M.T.: マグネティックテープ(コンピュータのデータ記憶装置) ① 図 5 トイレ内衛生器具使用行動パターンの分析 (35)

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間帯内で小便器の使用頻度の最も高い時間帯を含む 13時 台における衛生器具使用パターンの割合(図 5 中の X1 -x‘)とトイレへの到着時刻を求める.関 7 は検軸にシミ ュレーション対象時間の 1 時間の全到着人数に対する l 人 1 人の到着順番,縦軸に到着時刻を秒単位で示したも のを関数で多項式近似判したもので・ある.シミュレーシ ヨンのさい, 200人分の到着時刻は抽出したデータのう ち 13時台にトイレを使用した人数分を確率変数 0-1 の 問の数値判を乱数によって発生させ同図に示す関係より 求める.これにより,短時間の混雑を再現することが可 能となる. 小便器の占有時間は図 S に示すようにアンケート調査 結果を確率変数 0-1 の区間で位相 K=II のアーラン分 布で関数近似を行なっている. 以上シミュレーションモデルの概説を行なったが,シ ミュレーションの結果については紙面の制約上割愛する ものである. 19~

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(y :到着時 刻. X: 確率変数)であった. *4 乱数は乗算式合同法の一種を用いて発生させてい る. 24: 00 図 8 トイレ内衛生器具使用状況例 (矢印は各衛生器具の使用時刻を示す. 矢印のみは,小使器の使用を表わす) 23:00 」ーー一一一一一 ~O 40 ぃ f更

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:1,000 二 (11)1) トイレ到着時刻(秒) U (start 13日寺) 0.2 0.4 0.6 O.tl 1.り 確率変数 小便器占有時間累積分布 図 S 012345678 り 10 術生君主具 ylj 持累積人数(入) 到着時間間隔を指数分布と仮 定した場合のシミュレーショ ン結果と実測値との講離の例 図 8 トイレ到着時刻の関数近似 (Y 7J1j館 6 階 13時台) 図 7 オベレ}ションズ・リサーチ

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..・...・・・・・・....・...・...・...・・・....・....・・・・...・-同町田....・-・・...・ m・...・・ m・・・・ E・m・....・...・・・・・....・...・-・・・・・・田町田町...

報文集価格表(会員価格)

T-73-1

ネットワーク構造を有するオペレーションズ・リサーチ問題の電算

機処理に関する基礎研究

1200門

T-78-1

オペレーションズ・リサーチのためのデータとプログラムに関する研究 40∞円

T-77寸 システムダイナミックス一一方法論と適用例 2500円

R-7

リ-

l

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R の実践とその有効活用」視察団報告

1200門

R-82-1

r 欧州における OR 実施状況J 視察団報告書

12∞円

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4-

1

r米国における OR の実践J 視察団報告

1200門

T-8

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1

r南北協力の新しい戦略一一マイクロ電子技術を起爆として一一ーJ

35∞門

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r 南米諸国との OR 交流視察団」報告書

1200円

1990 年 4 月号

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参照

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