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拡張ベイズ法による広域地下水モデルの逆解析: 非定常データに基づく場合

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Academic year: 2021

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Title

拡張ベイズ法による広域地下水モデルの逆解析: 非定常デー

タに基づく場合( 本文(Fulltext) )

Author(s)

本城, 勇介; 橘川, 正男; 小川, 正二

Citation

[土木学会論文集 = Proceedings of JSCE] vol.[561] p.[175]-

[183]

Issue Date

1997-03-21

Rights

Japan Society of Civil Engineers (公益社団法人土木学会)

Version

出版社版 (publisher version) postprint

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/24271

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

十 木 学 会 論 文 集No. 561/III-38, 175-183, 1997. 3

拡 張 ベ イ ズ法 に よ る広 域 地 下 水 モ デ ル の

逆 解 析: 非 定 常 デ-夕 に基 づ く場 合

本 城 勇 介1・ 橘 川 正 男2・ 小 川 正 二3 1正会 員 Ph. D. 岐 阜大 学 助 教 授 工 学 部 土木 工 学 科(〒501-11岐 阜 市 柳 戸H) 2正会 員 工 修 中 部 電力 株 式 会 社 飯 田支 店土 木 建 築 課(〒395飯 田市 吾 妻 町100番 地) 3正会 員 工 博 長 岡工 業 高等 専 門 学 校 校 長(〒940長 岡 市 西片 貝 町888) 新潟 県 六 日町地 区の 非 定常 な観 測 デ ー タ に基 づ い た広 域 地 下水 の逆 解 析 問題 に, 赤 池 ベ イ ズ情 報 量 規 準 (ABIC)に よ る拡 張 ベ イ ズ法 と 呼 ばれ る逆解 析 手 法 を 適 用 した. 地 盤 工 学 の 分 野 の逆 解 析 を 行 う上 で 問 題 とな る共 線 性 は, 本研 究 にお い て も観 測 井 戸 が解 析 モ デル の 中央 部 に集 中 して い る ため, そ の発 生 が 予 想 され る. この 問 題 に対 処 す る ため 事 前情 報 を導 入 し, 観測 情 報 と事 前情 報 の適 切 な 重 み 付 け をABICに よ り解 決 し, も う一 つ の 問題 と な るモ デル 選 択 の 問 題 もABICに よ り解 決 した. 本 研 究 の 最 も大 き な成 果 は, 解 析 モ デル の 水 頭 変化 を計 算 し, そ の結 果 を 逆解 析 に用 い て いな い 実 際 の観 測 値 と比較 した こ とに よ り, ABICに よ り選 択 さ れ たモ デ ル の 予測 信 頼性 を確 認 した こ とで あ る.

Key Words: groundwater, inverse analysis, Akaike Bayesian information criterion, finite element method, extended Bayesian method

1. は じめ に 著 者 等 は, 広 域地 下 水 の解 析 モデ ル の逆解 析 に拡 張 ベ イズ法 を適 用 す る こ とを提 案 し, 研 究 を続 けて い る. 先 に本城, 福井 と小 川1)は, 定 常 デ ー タを用 いた解 析結 果 を発 表 した が, 本研 究 で は非 定常 デ ー タに基 づ いた場 合 につ いて検 討 を行 った. 先 の論文 で, 既 存 の研 究の レ ビュー, 逆 解析 の 問題 点, 拡 張 ベ イ ズ法 の特 徴等 につ いて は詳 しく述 べ たの で, こ こで は繰 り返 さない. 非 定常 デ ー タを用 い た今 回 の 解 析 で, 狙 い と してい るのは 次 の よ うな 点 で ある: 1) 逆 解析 の モ デル選 択 にお いて は, モデ ル のデ ー タへ の 当て は ま りの良 さと, パ ラメ ータ の推 定 信 頼性(こ れ は, 予測 の信 頼性 や安 定 性 に直結 す る)の 間 に存在 す る トレー ドオ フ関 係 を如 何 に調 整 し, 最適 モデ ル を選 ぶか が 最大 の 問題 点 の一つ で あ る. 非定 常 デ ー タを用 い る場 合, 観 測 期 間 の長 さ によ り(すな わ ち情 報量 の増 加 に よ り), 選 択 され るモ デル が異 な るこ と も十 分 に予 測 され る. この よ うな関 係 を, 拡 張 ベ イズ 法 で 採 用 して い る赤 池 の ベ イ ズ 情 報 量 基 準 (ABIC)が, どの よ うに反 映 され るか を調 べ るこ とは, 本 研 究 の一 つ の狙 い で あ る. 2) 逆解 析 によ り同定 され るモデルの最 終 的な 目的 は, 将 来 の地 下水 挙 動 を 出来 る 限 り正 確 に 予測 す る こ とで あ る. 逆 解析 に使用 した観 測 期 間以 上 の 長 い観 測 記 録 が あ る今 回 の解 析 の よ うな 場 合, これを 用 いて 実 際の 予測 が どの程 度正 確 に行 われ て い るか を評 価す る こ とが で き る. こ の よ うな評価 を 通 して, 選 択 され たモ デル が, 予測 を考 え た上 で最 良 の もので あ るか を, 客 観 的 に判 断で き る. 3) 2)と 同様 の方 法 に よ り, 逆 解析 に用 い た観測 期 間の 長 さが, 将来 の 予測 の 信頼 性 に与 え る影 響 につ い て評価 す る ことが で き る. 本 研究 で は, 以 上 の よ うな諸 点 を, 新 潟 県六 日町地 域 で得 ら れ た詳 細 な 地下 水 観 測 デ ー タ に基づ い て検 討 して い る. 最後 に, 逆 解析 を 実 デ ータ を用 い て実 施す る こと の重 要性 を 強調 して, この まえ が きを 閉 じた い. 地 盤 工 学 にお け る逆 解 析 の研 究 も, 講 座 が 「土 と基 礎 」 誌 上 に掲 載 され る2)など, 普 及 と実 用 化 の段 階 に入 って 来 た と言 え る. 基礎 理 論 を検 討す る段 階で の研 究 論 文 では, 逆解 析 で 利用 して い る力学 モ デル によ り観 測 デー タを 生成 し, これ を用 い て逆 解析 を行 い, その 適用 性 を検 討す る と言 う, 言 わ ば疑 似 観測 デ ー タ に基づ い た逆解 析 が 多 く見 られた(も ち ろん, 先 に述 べ た講座 で も, ま た他 の論 文 で も, 実 デ ー タを 解 析 した もの はあ るが, その 数 は現在 の と ころ限 ら れて い る). 基礎 理 論 を 開発 す るた め には や むを得 な い方法 で あ るが, 逆解 析 によ り地 盤工 学 的 に新 し い知 見 を見 い だそ うと した り, よ り正確 な 予測 を行

(3)

お うと逆解 析 を実施 す る場 合, 実 デ ー タを 用 いて検 討 す る ことが極 め て重 要 で あ る. そ の理 由 は, 後述 の本 研 究 にお ける逆 解 析 の定 式化 の と ころで も仮 定 して い る, 観 測値 とモデ ル計 算値 の残差 を平均 値0 の多変 量 正規 分布 に従 う と仮 定 す る こ とに, かな り の無 理が あ るか らで あ る. それ は, 観 測値 とモ デル 計算値 の 残差 は, 一般 に言 われ るよ うに計 測 誤差 に 起 因 してい るばか りで な く, 複雑 な現 象 を単純 化 し モデ ル と して扱 うと言 う, モデ ル化 誤差 を含 んで い るか らであ る. 計 測 誤差 につ き正規 分布 を仮定 す る ことは広 く認 め られ るが, モデ ル化 誤差 は不 偏(平 均 値0)で あ る とい う保証 も, 正規 分 布 に従 うと言 う保 証 もな い. む しろ, この誤差 の性 質 を研究 す る こと 自身 が モデ ルの 改 良や, 新 しい現 象 の発見 に繋 が るの であ る. その よ うな 目で この モデ ル化 誤差 を 考え るこ とが, 地 盤 工学 の発 展 を サ ポー トす る強 力 な道具 と しての 逆解 析 の発展 の ため にぜ ひ必要 で あ ると言 うの が, 著 者 等 の認 識 で あ る. 本 研究 が, 以上 の よ うな方 向性 を研 究 の 中に完 全 に取 り込 み き って い るわ けで はな い が, 実 デ ー タに 則 した 予測 の信 頼性 を考 え る と言 う意 味 で, そ の第 一歩 と して 出来 る限 りこの よ うな方 向 での努 力 を し たっ も りで あ る. 2. 問■ の定 式 化 地 下水 浸透 流 モデ ル の, 赤 池の 情報 量 統計 学 に基 づ いた拡 張 ベイ ズ法 に よ る定 式化 を, 以 下 に示す. 本 城 ら1)は, 同様の手法を定常データに基づいた場合 の定 式化 を用 い たが, 本 研 究 では 非定 常 な観 測情 報 を基 に透 水量 係数 を 推定 す るため, 定 式化 が 若干 異 な る. まず基 本 とな る, 物理 モデ ル, 観 測 モ デル, 事 前 情報 モ デル につ いて 述べ る. 次 に これ らを基 に, ベ イ ズ推定 法 を用 い た場合 に最小 化 す る 目的関 数 を導 く. そ して事 前情 報 と観 測 情報 の 相対 的 な重 み であ るd(式(6)を 参 照)お よび将 来 の予 測 に適 したモ デ ル を選択 す る指 標で あ るABICに つ い て説 明す る. (1)基 本 モ デ ル a)物 理 モ デ ル 地 下水 流 の物 理 モデ ル は本来 三 次元 的 な熱 伝導 形 の偏微 分方 程 式 に よ って 与 え られ るが, 本研 究 で は, 広域 地下 水 問題 を扱 う場 合 に広 く行 われ て い る ように, Dupuitの 仮 定 に従 って 地下 水 の鉛 直流 速 成 分 を無視 し, 二 次 元平 面 問題 と して 取 り扱 う-こ の 方程 式 を与 え られた初 期条 件 と境 界条 件 の も とで解 くため に, ここで は有 限要 素法 を 用 い る. 有 限要 素 法 によ り定 式化 され た二次 元 平 面浸透 流 問題 を, マ トリック スで表 す と, 次 式 の よ うにな る3).

Mh+K(B)h=

f

(1) こ こにMは 貯 留 行列, K(q)は 透 水 量係 数 ベ ク トル θ(M次 元)の 関 数で あ る透 水 量行 列 で あ る. M1は 未 知 の透 水 量係 数 の数 に一致 す るので, 分 割 ゾー ン数 で あ る. hは 節 点水 頭 ベ ク トルdh/dtは 節 点水 頭 ベ ク トル の時 間微 分 ベ ク トル, fは 流 量ベ ク トルで あ る. b)親 測 モ デ ル 各観 測 井戸 にお け る観 測 水 頭 は, 次 の よ うに与え られ る. hk=hk(e)+Ek (2) こ こにh*は 時 刻kの 観測 水 頭 ベ ク トル(N次 元)で あ り, 々κ(q)はこれ に対 応 す る透水 量 係 数ベ ク トル を θ と した ときの各 観測 点 に おけ る計算水 頭 値 ベ ク トル(N次 元)で あ る. Nは 観 測 点数 で あ る. εκは誤差 ベ ク トル で あ り, n次 元 の多 変量 正 規 分 布N(0, σ2Vh)に 従 う. こ こ に, qe2は 分 散 を 表す ス カ ラー値, Vhは, こ こで は 単位 行列 で あ る. c)事 前 情 報 モ デ ル 推 定 しよ うとす る透 水量 係 数 ベ ク トル θは, 次 式 で表 され るよ うな事 前 情報 を 持つ とす る. θ=θ*+δ (3) こ こに, θ串は透 水量 係 数ベ ク トルの 事前 平 均ベ ク トル, δは事 前平 均 の不 確実 性 を 表す 確 率変 数ベ ク トル で 多 変 量正 規 分布N(qσ δ2v0)に従 う. こ こに, σδ2は事前 分散 Vθ は各 パ ラメ ータ の分 散 の相 対 的な大 き さを表 す行 列 で あ る. (2)パ ラメ-タ の ベ イ ズ推 定 θのベ イ ズ推 定 を行 うため に, この事 後分 布 を導 く. 式(2)に 基 づ く観 測水 頭hκの デ ータ分 布 は, 次 の多 変量 正規 分 布 とな る. た だ し, こ こで は観 測 デ ー タは ラ ンダ ム誤差 と考 え, した が って 時 間的 な相 関関 係 はな い と仮 定 して い る. Nx Nx 1

g(he,cs)=(2g)-

2 (o 2)-

2 V 2

(4)

exp(h(9) k - hk) Vh-1(h(e)

kh*k

こ こに, Nは 観測 点 数Kは 総 時 間ス テ ップ数 で あ る. 次 に, 式(3)で与 え られ る事前 分布 は, 次 式 の よ うな多変 量 正規 分布 とな る.

fIa*,Qa2)=(2,z)2652/-2IV9[2

(5)

exple)Ve1(e-e*

こ こにMfは 未知 パ ラ メー タ(透 水 量 係数)の 数 で あ る. ここで, 事 後 分布 と事前 分布 の相 対 的な 重 みを 表

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す 適切 化パ ラメ ー タdを 定義 す る. このパ ラメー タ を導入 す る ことによ り事 前情 報 分布 と観 測 デー タ分 布 の相 対 的 な重 み付 け を調 整す る ことが, 拡 張ベ イ ズ法 の特 徴 であ る. このdを 適 切化 パ ラ メー タ と呼 ぶ(赤 池 は これ を超パ ラ メー タ と呼ん で い る). (6) この式 か らわか るよ うに, dが 小 さい ほ ど相対 的 に事前 分布 の分散 が 大 き くな り, した が って推 定 に お ける観 測 デー タへ の重 み が増 す こと にな る. したが って, 式(4), (5), (6)よ りθの事後 分布 はベイ ズの定理 を用 いる と事 後分 布 〃は次 の よ うに な る.

W(9h*,

d2,

cs) oc

g(h9,)f(e6/d2)

NK+M NK+M 1 1

(27c) 2 (d2)M(2) 2 IVhI

2lvel

2

-

flf(k

K -h*k

T

Vh

1_ k -h*k

+c

e-9*

T

VB

1

8-e*

(8) θのベ イ ズ推定 量 は, 式(8)を 最 大 化す る ことに よ り得 られ るか ら, 最 大 化 に関 係 のな い定 数項 を 省 略す る と, 次 に示 す 関数Jを 最 小化 す るこ とにな る. finC (9)

1G{F(kh*JVlh

(-0I-hI+yB-BaB-B)

したが ってパ ラ メー タの ベ イ ズ推定 は, 式(9)を 最 小 にす る θの組 み合 わせ を求 め るこ とによ って行 われ る. (3)A31Cの 適 用 ABICの 統 計学 的 な背 景や 情 報論 的 な意 味, 式 の 展 開につ い ては赤池4),5), 本城6)を参照されたい. ABICは 次 式 によ り定義 され る.

ABIC=-2In1ghI8Qf9Q/d2)d8

(10)

+2(num ber of hyperparam eter)

この場 合, 関数hが θに関 して 線形 で あれ ば第 一 項 の 積分 を解 析 的 に行 うこ とがで き, ABICを 簡 単 に計算 で きる. しか し, 本 研究 で 対象 と してい る地 下水 浸透 流 問題 で はhは, θに関 して非 線形 関数 で あ るた め, θを ベ イズ推 定 値 の 回 りでテ ー ラー 展 開 し, そ の二項 目ま で とる こ とで線 形化 した うえ で ABICを 求 め る ため の積 分 を行 う. その展 開 を行 っ た結 果, ABICは 次 式 によ り与 え られ る.

ABIC=NKIn{J(B)}-In(d2IVeI-1)-lnlVAI-+(Sk)T(yh)1Sk+d2V1

(11)

+2(number

of hyperparameter)

+ const.

上式 のABICに よ り, 最 適 モデ ル の選 択 と, デ-タ分布 と事前 分布 の相 対 的な 重 みを 表すdの 決 定 を行 う. 3. 広 域 地 下 水 モ デ ル の逸 水 量 係 数 分 布 の推 定 (1)六 日町 地 域 の 地 形 ・地 電 状 況 図-1に 示す 六 日町 盆地 は, 最小 幅約2km, 最大 幅 約5kmで, 南 南 西か ら北 北 東 に細 長 く延 び る. 盆地 の中央 部 には信 濃 川 の支 流 で ある魚 野川 が北 流す る. 盆 地 の東 端 と西 端 には, 魚 野 川 に沿 った氾 濫原 に左 右 両 岸か ら流入 す る小 河川 によ り形 成 された扇 状地 が並 ぶ. 右 岸 の河 川 は, いず れ も標 高2, 000m前 後 の急 峻 な越 後 山脈 に源 を発 し, 20km弱 を流 下 し魚 野 川 に合流 す る-各 扇 状 地 は, 広大 で 傾斜 が, 10%か ら25%と 比較 的緩 い. 左 岸 の各 河 川 は, い ずれ も標 高700m前 後 のな だ らか な魚沼 丘 陵東 面 を4kmほ ど流 下 す るのみ で, 魚 野川 に合 流 す る. そ のた め, 各扇 状 地 は右 岸 の もの に比 べ て小 規模 な が ら傾 斜 は約 50%と 急 峻 で あ り, 明瞭 な 扇状 地 地形 を 呈す る. こ れ らの扇 状地 はほ とん ど開析 され て い な い. また, 六 日町盆 地 の 西縁 部 は比 較 的直 線状 で あ る の に対 して, 東縁 部 は屈 曲が著 しい. これ は, 西縁 部 に新 発 田 一小 出構 造 線 の南 方延 長 に あた る断層 (六 日町盆地 北 西縁 構 造線)が 伏在 す るため で, 同 盆 地 は西縁 部 の沈 降 によ って形成 され た断層 角 盆地 で あ る. 帯 水層 は六 日町地 域 全体 に連続 して発 達 してお り, 地 下水 の 涯養 は極 め て潤 沢 で あ る. 六 日町 市街 地 の 付近 に軟弱 粘土 層 が堆 積 して い るため, 一 部 の 地 域 で被 圧帯 水 層 とな って い るが, 帯 水 層 は地 域全 体 で 連続 した一 層 か らな る モデ ル と して考 え この帯 水 層 の透水 係 数 は対 象地 区 内の約120本 の 井戸 に お け る揚 水試 験 結果 よ り調 べ られて い る. 透 水 係 数 は, 主 に 山地 沿 い の地 区 で小 さ く(10-5か ら 1r6m/s), 魚野 川沿 いの地 区で大 きい(10-3か ら 10-4/s). しか し例 外 的 に, 六 日町 市街 地 で は, 魚 野川 左岸 の 幅数10mか ら約100mの 地 区で10-6m/s程 度 と非常 に小 さい値 を 示す. この 地域 は軟 弱粘 土層 が堆 積 して い る地域 とほ ぽ一 致 して い る. こ こで本研 究 で用 いた デ ー, 夕 は, 新 潟 県衛 生 公害 研 究 所 が 中心 とな り, 昭和61年 か ら62年 に か けて調 査 した もの を用 いた7),8),9). (2)解 析 モデ ル と鰻 測 デ ー タ 8)解 析 モ デ ル 今 回 の逆 解析 に用 いた プ ロ グ ラムは, 本 城 ら1)で 紹介 され てい る プ ログ ラム で あ り, これ に揚水 量 を 逐次 更新 で きる よ う改 良 を加 え た もの で あ る. 解 析 対象 地 区 と境界 条 件 を図-1に 示 す. 解 析 対象 地 区 は当地 区 は, 南 北 に約8km, 東 西 に最大 幅 約5km, 最小 幅約2kmの 範 囲で あ り, ほ ぽ 中央 に六 日町 市街 地が 位 置す る. 解 析 に おい て は, 一 つ の要 素が 東 西 278m, 南 北232mの 長 方 形要 素 に な るよ うに離散 化 し た. この有 限要 素 法 メ ッシュ は, 507節 点, 441要 素

(5)

か ら形成 され て い 境 界条 件 と しては 東西 の 山地 部分 は地下 水 の流 動 が 非常 に小 さい こ とか ら, 東 西 の 山地 沿 い の端部 を不透 水 境界 と した. ま た, 扇 状地 が地 下 水 の酒養 源 にな って い る ことや, 解 析 地 区 の南端 の 魚野 川 お よび登 川付 近 の水 頭 が年 間 を通 じて ほぼ安定 してい る こ とか ら, 河川 の流 入 部分 や 扇状 地 の付 近 に水 頭 一定境 界 条件 を設 けた. 北 端 の付 近 は, 流 線 が ほぽ 東西 に走 って い るこ とが観 測 され て いる ことを考 慮 し, 図-1に 示 す よ うな条 件 を設 定 した. これ らの メ ッシ ュ分 割 お よび境 界条 件 は, 谷 中 ら9), 本城 ら1) が行 った解析 条件 と同一 に して い る. 図-2に パ ラメ ータ推 定の ため に設 定 した分 割数 の 異 な る4種 類 の ゾーニ ングを 示 した. ここで ゾ ーニ ングの種 類 は無 数 に考 え られ るが, 本 研 究 では本 城 ・福井 と小川1)が行ったゾーン分割を基礎として (詳 しい地質 情報 につ いて もこの文 献 を参 照 された い), 解 析 モ デル の 中央部 の ゾー ン分 割 に絞 り, 13 分 割か ら10分割 までの4種 類 の ゾー ニ ングを行 った. これ は後 述 す る よ うに, 観 測井 戸 の位 置 が解 析 モデ ル の 中央 部 に密 集 した 配置 を とって い るた め, 解 析 モ デルの南北 の両 端付 近 の ゾー ンの透水 量係 数 の摂 動 は式(3)の 目的関 数 の変 化 に敏 感 には反 映 され な い と考 えた か らで あ る. な お 図-2で ゾー ニ ング を変 化 させ た 中央部 の地 域 は網 掛 け して あ り, モデ ル名 は ゾ ー ン分 割数 と対 応 してい る. ここで透水 量 係数 の 事前 平 均値 は, 得 られ て い る 地質 ・地 形情 報 お よび揚 水 試験 に よる透水 係 数 の分 布, 本城 らの推 定値1)を基 に, 決 定 した. す な わ ち, 今 回の解 析 で は特 に六 日町付 近(図-2の モ デル11 で 言え ば, ゾー ン5, 6, 7, 8)に 井 戸が 集 中 して い る ため, 先 に本城 ら1)が行 った と同様 な定 常 デー タ に 基づ く予備解 析 を行 い, これ らの ゾー ンの事 前平 均 値 を(35, 000, 400, 5, 300, 10m2/day)か ら(50, 000, 480, 10, 000, 20m21day)へ 修正 した. 他 の ゾー ン の透 水 量係 数 の事前 平 均値 は本城 ら1)の結 論 と同 じ で あ る. なお本 解 析 で は, ここ に設定 した事 前平 均 値 は, 逆解 析 を実 施す る前 にお い て, 最 も確 度 の高 い もの で あ るとい う立 場 か ら, これ以 外 の事 前平 均 値 に よる解 析 は実施 して いな い. なお貯 留 係数 は全 域 で0. 0002で 一 定 と し, 各 ゾ ー ンの透水 量 係数 を推 定 す る. 貯留 係数 を 一定 と した の は, これ を変 化 させ る ほ ど多 くの情 報 が存 在 しな いか らで あ る. 揚水 量 の調査 は, 新 潟県 衛 生公 害研 究 所 に よ り有 限要素 法 メ ッシュの 要素 毎 に月 間揚 水 量が 調査 され てい る. しか し本 研 究 で は, 一 晩で20m以 上の 水頭 降下が 生 じるこ と も希 では な い地下 水 位 の著 しい変 動 を, 解 析 にお いて 再現 す るため に, 有 限 要素 メ ッ シュ上 の節 点 にお け る時間 毎 の揚水 デ ー タが必 要 で あ る. このた め本研 究 で は月 間揚 水 量 を時 間揚水 量 に換算 して用 い た. 以 下 に その換 算 方法 お よ び仮 定 を述べ る. 地下 水位 と降雪 量 は密 接 な関係 が あ り, 降雪 が あ 図 一1 解析対 象地 区と境界条件 不違水籠昇 水 一定籠鼻(単位: m) 図-2 モデル選 択のた めの代替 的なモデル (1) 層ワ 乃10 (2)昏 ヲ乃朋 (3) モ デ ル12 (4) モ デ ル1

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る と地 下水 は敏 感 に反 応 し低 下す る. また多 量 の降 雪 が ある と地 下水 位 の低 下 も大 き くな る傾 向が あ る が, 水位 も速や か に回復 す る こと も当地 域 の大 き な 特 徴で あ る. 揚 水量 は人為 的な操 作 が大 き く関 わ っ てい るた め, 地 下水 位 や積 雪 量か ら定量 的 な関 係 を 導 くのは 困難 で あ る. そ こで本 研究 では, 地 下水 が 低 下 して い る時 間 に着 目 し, 揚水 量 のパ ター ンを「降 雪 時 の時 間揚水 量 」 と 「非 降雪 時 の時 間揚 水量 」 の 二 つ に分類 した. つ ま り地 下水 の低 下が 発生 す るの は, 消雪 用地 下水 の汲 み上 げ に よ る もの で あ り, こ れ は 「降雪 時 の時 間揚 水量 」 に該 当す る. また, 地 下 水位 が上 昇 してい る場 合, 消 雪用 地下 水 の汲 み上 げは行 ってい な いか ら, これ は 「非 降雪 時 の時 間揚 水 量」 に当 た る. この 二つ の 分類 は直感 的 な判 断 に も適応 してい る と考 え られ, そ の妥 当性 は 比較 的 高 い と思 われ る. ま た, 二 つ の揚 水量 の ケ ー スは次 式 で与 え た. 非 降 雪 時 の2時 間 毎 揚 水 量= 非降雪期月間揚水量 31x12 降雪時の2時間毎揚水量= (降雪期月間揚水量)-(非降雪期月間揚水量) Σ(地下水位低下時間) →〈非降雪時の2時間毎揚水量) こ こで2時 間毎揚 水 量 とな って い るのは, 全 観測 井戸 中で最 も細 か い観 測 力桁 われ てい る六 日町一 号 井 が2時 間毎 に水 頭観 測 を行 って い るので, この井 戸を もとに, 地下 水 の低 下 時 間 も2時 間を 基準 に算 出 した. したが って 揚水 量 も2時 間毎 の値 を計 算 し た. 実際 の計 算 時間 ス テ ップ は, 後 述 の ケー ス1で は有 限要 素法 で72ス テ ップ, 逆解 析 の計 算 は24ス テ ップで ある. 一 方, 揚 水量 は有 限要 素 メ ッシュの要 素 毎 に調 査 され てい るこ とか ら, これ を周 辺接 点 に 振 り分 け るこ とに よ り求 め た. 本研 究 で は, 以 上 の よ うに実 デ ー タに即 して 出来 る限 り客観 的 に各節 点 にお ける揚水 量 を算 出す るよ うに務め たが, 依 然 と して そ こに多 くの不 確実 性 が あ るの も事実 で あ る. b)親 測 デ ー タ 本 研究 で は逆 解析 に用 い る観測 デ ー タ と して昭 和 60年12月 上旬 の水 頭 観 測値 を用 いた. これ は 昭和60 年度 に初 め て多 量 の降 雪が あ った時期 で あ り, 消 雪 用地 下水 の汲 み上 げのた め地下 水 位が 激 しく変 動 し た期 間 であ る. また, 観測 井 戸 は, 新 潟 県土 木 部, 六 日町役 場, 新潟 県環 境保 健 部が 年 間を 通 じて 水位 を 観測 して い る井戸 が合 計24本 あ るが, 当時 は計 測機 器 が発 達 してい なか った こと もあ り, 観 測 記録 の欠 落 が多 い-この うち逆 解析 の デー タ と して使 用す るこ とが で き る観 測井 戸 は14本 で あ る. これ らの観 測井 戸 は解 析 地域 の 中央 部 に密集 した配 置 に な ってお り, 逆解 析 に適 した観 測点 の配 置 とは言 い難 く(図-3). 地 域 全体 に均 等 に配 置 され て い る ことが望 ま しい. 本 研 究の 一つ の 目的 は, 先 に も述べ た よ うにABIC が情 報量 に応 じたモデル 選択 を 的確 に行 うか否 かを 検 討す るこ とにあ る. このた め解 析 期 間を 図-4に 示 図-3観 測井戸 の配置 図 一4解 析 期 間 の ケ ー ス 図-5 観測井戸 の水頭変 化 (8) 「ケ ー ス1」 3号井 5号井 5身井 六 日町一号艸 9号井 6号井 10号井 19号井 12号井 13号井 15号井 (b) 「ケ-ス2」 3丹 鈴 5号 齢 6号 鈴 六 日町-号 弁 9号 齢 6号 齢 10号齢 11丹齢 19号 齢 12号鈴 13号 齢 14号 齢 15号鈴 16号 鈴 (c) 「ケ ー ス3」 3号井 5号井 6号井 六日町一嗣 陸 9号井 8号井 10号井 19号井 17号井 14号井 16号井

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す よ うに三つ の ケ ース に分 け た. ここで解 析期 間が 6日 の ケー スを 「ケ ー ス1」 、3日 のケ ー スを 「ケ ー ス2」, 1. 5日 のケ ー スを 「ケ ー ス3」 と した. それ ぞれの ケ ース の観測 井 戸 にお け る水 頭変 化 を図-5 に示す. また各 観測 井 戸 では 一 日四 回, 6時 間毎 に 観測 が行 わ れ てい る. これ らの各 々の解 析 期 間 にお いて, 図-2で 設定 し た解析 モ デル の逆解 析 を行 い, 情 報 量 に応 じて変 化 す るモデ ル選択 の 妥 当性 を考 察す る. (3)逆 解 析 の結 果 と 考 察 表-1に 透 水 量係 数 の事 前平 均 値, 逆解 析 に よ り得 られ た透 水量 係数 の 推定 値, お よ び その標 準偏 差 を 示す. こ こにRSSは 残 差 二乗 和 で あ る. ABICと 適 切 化パ ラメー タdの 関 係 を示 す. 図-6で わか る とお り, 各 モ デル に おい てABICが 最小 値 を と って お り, 事 前情 報 と観 測 情報 の相 対 的 な 重み を決 定 して い る. また 各 ケー スの モ デル10 のABICとdの 曲線 が滑 らかで な いの は, このモ デ ルで は 自由度 が 制 限 され, パ ラ メー タの 推定 が不 安 定 にな った ため と思 わ れ る. これ は各 ケ ー スを通 じ て言 え るが, モ デル10は パ ラメ ータ推 定 が不 安 定 に な りやす い傾 向が あ る. またABICは 解析 期 間 の異 な る3ケ ー スで それぞれ 異 な るモデ ル を選択 した. ケー ス1で はモ デル12, ケ ー ス2で はモ デ ル11と, ケ ース3で は モデ ル10で, 解析 期 間が 短 くな り情 報 量 が小 さ くな るほ ど, 相 対 的 に簡 単 なモ デル が選 択 され た. これ らのケ ー スは 同 じ観 測 点で解 析 期 間 を変 化 させ た もの で あ り, 情 報 の量 は 各 々の ケ ース で著 し く異 な る. 情 報 量が 多 くな る こ とに よ り, よ り複 雑 な モデ ル が選 ばれ, そ れ に よ りよ り詳細 な 予測 が可 能 にな るべ きで ある と 言 う観 点 に立 っ と, ここで示 され た モデ ル選 択 は合 理 的 で あ ると考 え られ る. な お, ABICの 差 が小 さ けれ ば, それ だ けモ デル 間 の差 異 は小 さい こ とを意 味す るが, この差 の 定量 的 な意 味 につ い て論 じる こ とは難 しい. ケ ー ス1, ケ ー一ス2で はABICは 的確 な 挙動 を示 し 表-1 各 ケ ー ス の 透 水 量 係 数 の 推 定 値 (単位: m2/day) 図-6 AB1cとdの 関 係 (a) 「ケ ー ス1」 (b) 「ケ ー ス2」 (c) 「ケ ー ス3」

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て お り, これ らのケ ー スにつ いて は, ABICが 行 っ た モデル 選択 は妥 当性 の 高 い結 果 で あ ると考 え られ る. しか しケ ー ス3に お いて は, ABICとdの 関係 が 不 連続 に変 化 す るモ デル(モ デ ル12: 図-6(c)参 照) が あ り, ま たケ ー ス3の モ デル10で は 推定 され たパ ラメ ー タ値 が, 他 の ケ ース と著 し く異 な って お り, これは情 報 量が かな り少 ないた め に解 析 全体 が不 安 定 にな って い る兆 候 で あ る と考 え られ, この ケ ー ス の結果 の 判 断 には注 意 を要 す る. また表-lを 見 る と, ケ ース1の 推 定 値 は事 前平 均 値 か らほ とん ど変 化 して いな いが, これ は6日 間の 解 析期 間を基 に3. (2)a)で 述 べ た よ うな 事前 平均 値 の調整 を 加 えた か らで あ る. ケー ス2は ケー ス1の 推 定 値 と比 較す る と, モデ ル13のZone3, 4, 12な どは観 測 井 戸が な く, また観 測 井戸 か ら離 れ て い るた め に パ ラメ ータ の推定 が 不安 定 な状 況 にな り, ケー ス1 の推定 値 とはか な りの差 が 生 じてい るが, 観 測点 が あ るゾ ー ンでの推 定 値 は ほぼ 同 じで あ る. これ は情 報 量 がケ ー ス1と 比較 して減 少 して い るため に, 観 測 点 のな いゾー ンで推 定値 に影響 が 出始 めて お り, 標 準偏 差 も全 体 的 に増加 して い る. ケ ー ス3に お いて モ デル11に 着 目す る と, 観測 点 か ら遠 くに位 置す るZone1, 3, 10(こ れ らの ゾー ンは 各 モ デル 共通)な どは標 準偏 差 が著 し く大 き くな っ てお り, 推 定値 の信 頼 性 が低 下 して い る. またZone7 な ど観 測 点 に近 い ゾー ンにお い て も, ケー ス1や ケ ー ス2と著 しく異 な る推 定 値 を算 出 して お り, 観 測 点付近 の ゾー ンにおい て も推 定 が困 難 にな って いる-した が って ケ ース3は 情 報量 が 少 な いた め に, 推 定 値 の信 頼 性が 低 下 して お り, 得 られ た推定 値 も含 め て解析 結 果 の判 断 には 注意 が必 要 で あ る. この よ うに解析 期 間 が短 くな る と, 推定 値 が事 前 平 均値 か ら大 き く変 化す る ゾー ンが見 られ る. これ は解 析 期 間が短 くな るこ とによ り得 られ る情 報量 が 減 少 し, パ ラメ ータ の推 定 に おい て は困難 な 状況 に な るか らで あ る と思 われ る. これ に対 して ケー ス1や ケ ー ス2に おけ るABICの 挙 動, また推 定 され たパ ラメ ー タ値 に は連続 性 が あ り, ケ ース3に 見 られ るよ うな 問題 は生 じて いな い と考 え られ る. (4)推 定 さ れ た モ デ ル の 予 測 信 頼 性 の検 討 こ こでは各 ケ ー スにお い て逆解 析 によ り推 定 され た透 水量 係 数お よ びモ デ ルを 用 いて, 逆 解析 に用 い た もの よ りかな り長 い期 間 につ いて, 順 解析 の 計算 値 と観測 され た水頭 と比較 し, ABICに よ り選択 さ れ たモ デル の予 測 の信 頼性 を 検討 す る. す なわ ち解 析期 間が 予 測精 度 に及 ぼす 影 響 を検 討す る. 順 解析 にお いて, 揚水 量(実 測値), 貯 留係 数 の 値, お よび境 界条 件 も逆 解 析 に お ける条 件 と同一 と し, 各 ゾー ンに おい て推 定 され た透 水 量係 数 は, 推 定値 の有 効 数字 二桁 と した ものを順 解析 に用 い 順 解析 の 期 間は12月9日 か ら12月31日 まで行 い, これ は 各ケ ー スの 逆解 析 の期 間を大 幅 に越 え て い るた め, 順解 析 の ほ とん どの 期 間が 予測 の領 域 で あ る. したが って モ デル 選択 にお け るABICの 有効 性 を, 実際 の地 盤 の観 測値 とモ デル によ る計算 値 を 比較 す るこ とに よ り, 将 来 の異 な る条 件下 にお いて 検討 で き る. 図-7に ケ ース1の 最適 モ デル で あ るモ デル12の 順解 析 を行 った結 果 を示 す. モ デル の 計算 値 と実 測 値 は水 頭 に数mの 差 が 見 られ るが, 水 頭変 化 の傾 向 は よ く再現 して い る と思 われ る. こ こで各 モ デル によ る予測 信 頼性 を評 価す るため 次式 に示す, Erssを 定 義す る. (12) ここに, hjは 観 測井 戸jの 時 刻jに お け る観 測 井 の観 測水 頭, バ は観測 井 戸jの 時刻jに お けるモ デ ル の計 算水 頭, Kは 観 測 ステ ップ数, nは 観 測井 戸 数 で あ る、 こ こでErssは 各観 測 井戸 の 標準 偏差 の平 均 に準 じる もの であ り, 次 元 は長 さ(m)で あ る. な おErsssは今 回の よ うに予 測 しよ う とす る部 分 の観 測値 が 与 え られ てい る場 合 は計 算 で き るが, 実際 の 将来 予 測 を行 お う とす る場 合 は計算 で きな い. 本 研 究 で はE, SSを用 い る ことに よ りABICの 挙 動 の適切 性 を評 価 しよ う と して い る. a)モ デ ル(ゾ-ニ ン グ)と 予 淵信 頼 性 の 検 討 ここでは ケー ス1か らケ ー ス3の各 ケ ー スにお いて モ デル10か らモ デル13ま で の順 解 析 を行 い, ABIC によ り最 適 と判 断 された モデル の予 測 の有効 性 を検 討 す る. 図7 計算値 と観測値の比較 (10号 井) (19号 井)

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図 一8にゾー ン数 と最 小 のABICとE あぶぶの 関係 を 示 す. ケ ー ス1, ケ ー ス2はABICとE の 傾 向 が よ く にぶぶ 似 て お り, ABICに よ り選 択 され たモ デル が, E を にぶぶ 小 さ く してお り, す なわ ちABICは 予 測 に適 したモ デ ルを選 択 して い る こ とが わ か る. 一方ケ ー ス3は, ABICとE あぼぶの関 係 に相 関が 見 ら れな い. 前 述 したよ うにケ ー ス3に お いて は情 報量 がか な り制 限 され て い るた め, ABICを 含 め解析 自 体 が不 安定 で, 表-1に 示 した よ うにモ デル に よ って パ ラメ ータ推 定値 が激 しく変 動 した. この こ とが ABICとErss の 関係 が連 動 してい な い理 由で あ る と 思 わ れ る. な おケ ー ス3の モ デ ル12に おい てErssは 2. 20と 全体 を 通 じて 最小 とな って お り, 一見, 予測 信頼 性が 高 いよ う に思 われ るが, これ は初 期水 頭 の 誤差 と幾つ かの井 戸 にお ける揚水 量 の不 適切 さによ るもので あ り, 本 質 的な 予測 信 頼性 を 表 して い る も ので は ない と判 断 した. 一 方, 情 報 量が 多 いケ ー ス1, ケ ース2に おい ては ABICに よ り選 択 され た モ デル の予 測信 頼 性 は確認 で きた と考 え られ る. 特 にケ ー ス1に お い てはABIC とErss の関 係 は酷似 して お り, 将来 の 予測 にお け る 最適 な モ デル を選 択す る指標 と してABICは 極 め て 有用 で あ る と言 え る. また ケー ス1か らケ ー ス3を 比 較す る と, 情報 量 が大 きい ほ どABICが 行 うモデ ル 選択 の信 頼 性 は高 くな る と言 って 間違 い な い. b)解 析 期 間 と予 測 信 頼 性 の 検 討 ここで はケ ー ス1か らケ ー ス3の そ れ ぞれ にお い てABICに よ り最適 と判 断 され たモ デ ルを 用 いて, 解析 期 間 の差 が予 測信 頼 性 に どの よ うな 影響 を与 え るかを 見 る. ま た本城 ら1)が定常データに基づいて 構築 した モデ ル の順解 析 も同様 にErssを 用 いて評 価 し, 定 常 デー タ と非定 常 デ ー タ によ り推 定 され たモ デ ルの 予測 信 頼性 につ いて も述 べ る. 表-2に 各 ケ ー スの 最適 モ デ ル にお け るErssを 示 す. 本研 究 で行 った ケー ス1か らケ ー ス3のErssの 差 は 少 な く, 今 回 の解 析 で は, この 指標 に よ っては, 解 析期 間 に よ る予測 精度 に及 ぼす 影響 につ い て確認 で きなか った. ま た非定 常 デ ー タのErssと 定 常 デ ータ の それ らでは, 非 定常 デ ー タのErs sの ほ うが明 らか に小 さい. これ は 当然 とは言 え, 定常 解析 に基づ い たパ ラメ ー タ推 定 よ り も本研 究 で行 った 非定 常 デ ー タにお け る推 定 の ほ うが, 降雪 期 の地 下水 変 動 にお け る予 測信 頼 性が 高 い こ とを示 して い る. 4. 結 論 本 研 究 で は, 六 日町地 域 の現 地調 査 結果 と実 際の 観 測値 を用 いて, ABICに 基 づ く拡 張 ベ イズ法 によ る逆解 析手 法 に よ り, 観 測期 間 の異 な るデ ータ を用 いて, 非定 常浸 透 流 問題 に お け る広 域 地下 水 モ デル の 透水 量係 数 を推 定 し, そ れ ぞれ の解 析期 間か ら予 測 に適 した最 適 モデ ル の選択 を行 った. また 推定 さ れ た解 析 モデ ル を用 い て, 将 来 の地 下水 変 動 の 予測 を 行 い, その解 析 結果 を 観測 井 戸 の実 測値 と比較 し た. そ こで得 られ た結 果 を要 約す る と, 以 下の よ うに な る. (1)実 際 の地 盤 を対 象 と した解 析 にお いて も, ABIC は幾 つか の解 析 モ デル の 中か ら, 情 報量 に応 じ た 的確 なモ デル 選択 を行 うこ とが で きる. た だ し情 報量 が 著 し く減少 した場 合, ABICの 挙動 を含 め た解 析 全体 が不 安 定 に な るこ とが あ るの 図-8 各 モ デ ル 最 小 のAB1cとDErssと ゾ ー ン数 の 関 係 (a) 「ケ ー ス1」 (b) 「ケ-ス2」 (c) 「ケ ー ス3」 表-2各 ケ ー ス の 最 適 モ デ ル に お け るE

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で, いろ い ろな情 報 を加 味 した総合 的な 判断 を 行 う必 要 が あ る. (2)逆 解析 にお いてABICに よ り選 択 され た モデ ル は, 将 来 の地 下水 挙 動 の予 測 に適 した もので あ る こ とが, 逆解 析 に用 いた以 上 に長 い期 間の観 測 デ ー タにつ い て予 測 を行 い, モ デル の評 価 を 行 う ことに よ り確認 され た. また逆 解 析 にお い て情報 量 が多 い ケ ー スほ ど, ABICに よる判 断 は的確 にな る と思 われ る. (3)各 解析 期 間 にお け る最適 モデ ル に よ り, 将 来 の 条 件 にお け る予 測解 析 を行 った と ころ, 本 研 究 において は解析 期 間 によ る明確 な差 が得 られな か った. さ らに長 い解 析 期 間 を用 い た逆解 析 を 実施 し, 検 討 す る必 要 が あ る と思 われ る 一 方 定 常 デ ータ に基 づ く逆解 析 よ り も非定 常 デ ー タ に基 づ い た ものの 方 が, Erss は小 さ く, 降 雪 期 の地 下水 挙 動 の予 測信 頼 性 は高 い. 謝 辞: 解 析 に用 いた 貴 重な 資料 を 頂 き ま した, 新潟 県衛 生 公害 研究 所, 谷 中隆 明氏, 大 関 正春 氏, 新潟 県 環境 保健 部, 北嶋 永 一氏, (株)日 さ く, 水 谷 宣 明氏 に感謝 致 します. また本 研究 は文部 省 統計 数 理 研 究所 との共 同研 究(8-共 研A-49)の 成 果 の一 部 で あ り, ご指 導 頂い た柏 木宣 久 博士 に深謝 の 意 を表 し ます. 参 考 文 献 1) 本 城 勇 介, 福 井 宏 行, 小 川 正 二: 拡 張 ベ イ ズ 法 に よ る広 域 地 下 水 モ デ ル の 逆 解 析: 定 常 デ ー タ に 基 づ く場 合, 土 木 学 会 論 文 集, No. 34, pp. 93-102, 1996. 2) 佐 藤 忠 信 他: 講 座 「地 盤 工 学 に お け る逆 解 析 」, 土 と 基 礎, Vo1. 43, No. 4, 1995カ らVo1. 44, No. 6, 1996ま で.

3) 市 川 康 明: 地 盤 力 学 に お け る 有 限 要 素 法 入 門, pp. 132-134, 日科 技 連, 1990.

4) Akaike, H.: Likelihood and the Bayes procedure with discussion, J. M. Bernardo et. al. (ed.)Bayesian Statistics, Valencia University Press, pp. 143-166,

185-203, 1980. 5) 赤 池 弘 次: 「事 前 情 報 の 選 択 と そ の 応 用 」, 鈴 木 他 編 「ベ イ ズ 統 計 学 と そ の 応 用 」東 京 大 学 出 版 会, pp81-98, 1989. 6) 本 城 勇 介: 逆 解 析 に お け る 事 前 情 報 と モ デ ル の 選 択, 講 座 「地 盤 工 学 に お け る 逆 解 析 」, 土 と 基: 礎, Vo1. 43, N0. 7, PP. 63-68, No. 8, PP. 51-56, 1995. 7) 新 潟 県 衛 生 公 害 研 究 所: 南 魚 沼 地 域 地 盤 沈 下 機 構1解明 調 査 報 告 書, pp. 1∼95, 1988. 8) 谷 中 隆 明, 永 野 多 美 雄, 山 崎 興 樹, 水 谷 宣 明: 新 潟 県 六 日町 盆 地 の 地 下 水 流 動, 地 下 水 学 会 誌, Vo1. 31, No. 3, pp. 143∼153, 1989. 9) 谷 中 隆 明, 前 川 統 一 郎, 永 野 多 美 雄: 準 三 次 元 モ デ ル に よ る新 潟 県 六 日 町 の 地 盤 沈 下 予 測, 地 下 水 学 会 誌, Vo1. 31, No. 3, pp. 155∼163, 1989. (1996. 4. 10受 付)

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