国際標準規格(ECHONET Lite)を利用したスマートメーターと家電製品とを統合したHEMSサービスの研究生活行動推定技術
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(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-GN-106 No.2 Vol.2019-CDS-24 No.2 Vol.2019-DCC-21 No.2 2019/1/24. 年々増加している.[2] これは,住宅に関する技術の発展は. ータ収集システムの簡易図を図 2 に示す.収集対象機器は. 省エネ等が多く,生活者に向けた技術の発展はあまり進ん. 実験に応じて変更を行う.収集したデータは実験用 PC を. でいないとことが要因であると考えている.. 介して MySQL のデータベースに保存している.また,csv. 基準を設ける為には高齢者も含めた生活者の行動をセ. 型式でバックアップも行っている.. ンシングして,生活行動のデータを蓄積する必要がある. 高齢者の暮らしを考えると,高齢者の暮らす住宅が新築で あるケースは少ないので,既存住宅にも対応できるよう住 宅内にあるものを活用する必要がある.. 図 2 Figure 2. データ収集システムの概要 Overview of data collecting system.. 3.2 制御方法 今回のシステムは Node-Red での制御を採用した.NodeRed での処理内容を図 3,4 に示す.Node-Red では,収集 対象との接続,データの保存の他,取得したデータを視覚 的にわかりやすい形に変換する役割を担っている. 図 1 Figure 1. 高齢者による家庭内事故と交通事故年次推移 Domestic accidents and traffic accident annual trends by elderly people.. 1.2 研究目的 本研究では,既存住宅にある物として,近年普及の進ん でいるスマートメーターと IoT 機器をセンサとして活用す ることで,生活の行動推定が出来る可能性があることを提 案する. そこで,本稿では HEMS サービス普及に貢献する為に作 製したデータ収集システムと,データから推定出来た生活 者の生活行動例について報告する.. 図 3 Figure 3. Node-Red での処理内容① Processing details at Node-Red ①.. 2. 関連研究 先行研究として,住宅内においての行動推定に関してこ れまでに様々な研究が行われている.生活者の行動を認識 する研究はカメラを用いて画像処理により認識する手法 [3]と,接触センサや圧力センサなど用いて認識する手法 [4][5]に大別できる.どちらの手法もセンサを新たに取り付 けることを必要とする為,既存住宅で実装することが困難 である.本研究では新規に取り付けを行う必要があるセン サは用いずに行動推定を行う事とする. 図 4. 3. データ収集システム. Figure 4. Node-Red での処理内容② Processing details at Node-Red ②.. 3.1 システム構成 データ収集システムでは,一定間隔で収集対象機器に ECHONET Lite[6]を用いて接続し,データの収集を行う.デ. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 2.
(3) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-GN-106 No.2 Vol.2019-CDS-24 No.2 Vol.2019-DCC-21 No.2 2019/1/24. 4. 実験⑴ 4.1 実験目的 実験⑴では,電気と水道の使用量から生活者の行動推定 を行う事を目的としている. 4.2 実験方法 実験⑴の実験環境では,電気の他に水道使用量の収集も 可能である為,分電盤を 2 台利用し電気と水道のデータ収 集と,IoT 機器のデータ収集を行った.実験⑴の概要を図 5 に示す.また,収集を行った機器とその機器に対する取得 情報を表 1 に示す. 表 1 に示した機器の動作を 1 分間隔で記録した.被験者 を集め,洗濯,風呂共に 40 回の実験を行った.実験の流れ を図 6 のフローチャートに示す. 実験の記録として,電気と水道の使用量,収集時間等共. 図 6. 通の項目以外に,風呂実験では実験被験者の普段の入浴傾. Figure 6. 実験⑴の実験手順. Experiment procedure of experiment ⑴.. 向,洗濯実験では洗濯物の内容等の項目を記録した. 4.3 収集結果 実験⑴では,実験 1 回ごとに結果を記録したシートを作 成した. 記録シートに記載したグラフは,MySQL のデータベース から日時,消費電力,水道使用量を基に進数変換をした後 に,累積値から変動率計算を行い出力した.風呂実験での 記録例を図 7 に,洗濯実験での記録例を図 8 にそれぞれ示 す.. 図 5 Figure 5 表 1 Table 1. 実験⑴のデータ収集システム. Data collecting system of experiment (1). 実験⑴の収集対象機器及び取得情報 Collection target equipment and acquisition information of experiment (1).. 機器名. 取得情報. 浴室乾燥機. 動作状態. 図 7 Figure 7. 風呂実験記録例. Example of bath experiment record.. 運転モード 室内温度 給湯器. 動作状態 風呂温度 自動モード 風呂動作状況. 洗濯機. 瞬時電力. 分電盤 1. コンセント 1(瞬時電圧) 図 8. コンセント 2(瞬時電圧) コンセント 3(瞬時電圧) 分電盤 2. Figure 8. 洗濯実験記録例. Example of washing experiment record.. 共通水道使用量 温水使用量. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 3.
(4) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 4.4 解析結果. Vol.2019-GN-106 No.2 Vol.2019-CDS-24 No.2 Vol.2019-DCC-21 No.2 2019/1/24. 5.2 実験方法. 風呂,洗濯の各動作で作成したグラフの例を図 9,10 に 示す.. 実験⑵では,3 人暮らしの一軒家を対象に実験を行った. 各機器での瞬時電力とスマートメーターから住宅全体の瞬. 水道の使用量に着目すると,風呂実験では,生活者がお. 時電力を取得した.家庭内のコンセントごとの消費電力を. 湯はりしている時間やシャワーを浴びるタイミングが確認. 収集する為,eneQube[7]を採用している.実験⑵の概要を図. でき,洗濯実験では,洗濯が開始された時間と,洗濯物の. 11 に示す.また収集を行った機器とその機器に対する取得. 量が確認する事が出来た.. 情報を表 2 に示す.. 一方,電気の使用量に着目すると,風呂実験では,風呂. 表 2 示した機器に対して 1 日の動作を記録した.計測間. 上がりのドライヤーのタイミング等が確認でき,洗濯実験. 隔は実験⑴と比べ,対象機器数が増えたことを踏まえて,. では,乾燥モードの所要時間から,洗濯物の量を確認する. ネットワークの負荷を軽減し,処理の遅延による収集時の. 事が出来た.. データの欠落を減らす為,計測間隔を 3 分に変更した.. 図 11 Figure 11 図 9 Figure 9. 実験⑵のデータ収集システム. Data collecting system of experiment (2).. 生活動作(風呂)グラフ Living behavior (bath) graph.. 表 2 Table 2. 実験⑵の収集対象機器及び取得情報 Collection target equipment and acquisition information of experiment (2).. 図 10 Figure 10. 生活動作(洗濯)グラフ. 機器名. 取得情報. 電子レンジ. 瞬時電力. テレビ. 瞬時電力. 洗濯機. 瞬時電力. 収集用 PC. 瞬時電力. 換気扇. 瞬時電力. 洗面台. 瞬時電力. 空気清浄機. 瞬時電力. 電気ケトル. 瞬時電力. 炊飯器. 瞬時電力. 洗濯機. 瞬時電力. スマートメーター. 瞬時電力. Living behavior (washing) graph.. 5. 実験⑵ 5.1 実験目的 実験⑵では,電気の使用量と家電の動作状態から生活者 の行動推定を行う事を目的としている.. 積算電力 5.3 収集結果 1 日に 1 機器当たり約 480 件の動作を記録した.欠落防 止の為,収集間隔にゆとりを持たせたが,全体の1%は欠 落してしまう結果となった.欠落データに関しては,前後 データの平均値を採用し,補完を行った.. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 4.
(5) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-GN-106 No.2 Vol.2019-CDS-24 No.2 Vol.2019-DCC-21 No.2 2019/1/24. グラフは実験⑴同様,MySQL のデータベースから日時,. 5.4 生活者の行動軌跡. 消費電力,家電の動作情報を基に進数変換をした後に,累. データ収集を積み重ねることで,生活者の住宅内での行. 積値から変動率計算を行い出力した.1 日の家電の動作状. 動が推定できる可能性を示す為,実際に実験⑵のデータ収. 態を図 12 に,スマートメーターによる住宅全体の消費電. 集を基に行動軌跡を作製した.作成手順のフローを図 15 に,. 力の波形を図 13 に,収集対象家電の瞬時電圧合計を図 14. その手順から作成された生活者の行動軌跡を図 16 に示す. 住宅内の各セクションでの行動推定を組み合わせること. に示す.. で,生活者の 1 つのデータだけでは推定できない住宅全体 での行動が可視化できた. 今回の実験を実施した住宅では,キッチンから移動でき る部屋はリビングのみであり,キッチンとリビングでの行 動軌跡の割合は本来であればほとんど等しくなる筈である. しかし,TV や換気扇といった稼働させた後一定時間稼働 させたままにしておくことが多い機器でデータの収集を行 っている性質上,一度稼働させた後の動作を正確に追跡す る事が困難であり,往復の割合が大きく異なってしまうと いう結果となった. 図 12 Figure 12. 1 日当たりの収集対象家電の動作状態 Operating state of household appliances to be collected per day.. 図 15 Figure 15 図 13. 行動軌跡作成手順. Procedure for creating behavior trajectory.. スマートメーターによる住宅全体の消費電力. Figure 13. Power consumption of housing overall by smart meter.. 図 16 Figure 16 図 14 Figure 14. 生活者の行動軌跡. Behavior trajectory of residents.. 収集対象機器全体での瞬時電力. Instantaneous electric power in the whole collection target device.. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 5.5 解析結果 洗濯機に着目すると,図 12 に示したように動作状態だ. 5.
(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-GN-106 No.2 Vol.2019-CDS-24 No.2 Vol.2019-DCC-21 No.2 2019/1/24. けのグラフだと,洗濯機が何かしら動作している事は推定. る可能性を示せたが,行動を行った生活者の特定が可能で. できるが,実際の動作モード等の推定は出来ない.. あることを示すことはできなかったので更なる研究が必要. 一方で,図 14 に示したグラフだと洗濯機の動作モード. である.. を消費電圧の波形から推定する事が出来る. また,図 13,図 14 の短時間で大きくグラフが変動して いる個所に着目すると,ドライヤーや,T-fal 等の短時間の. 8. 今後の展望. 内に消費電力が高い家電が稼働している可能性が高いと言. 今後の展望として,データ収集対象機器の充実を図ると. えるので,風呂上がりのタイミングの推定や,生活者がキ. 伴に、現在のデータ収集システムは PC による制御を必要. ッチン内にいること等が推定できる.. としている為,Raspberry Pi などを活用した小型なデータ収 集システムを搭載したデバイスの開発研究を行っていく事. 6. 結論 1 ) 実験 1 の結果より,電気と水道の使用量から,生活. を検討している.また,上記の課題として記載したが,停 電など想定外の異常が起きた際にも対応できる用自動復帰 システムの追加を検討している.. 者が家事を行ったタイミングを推定する事が出来た.洗濯. 高齢者向け HEMS サービスに活用できる行動推定技術. 物の量などは一方のデータだけでも推定できたが,2 つの. の可能性を示すことができたので,実住宅で容易に実現で. データを組み合わせることで,より精度の良い推定が可能. きる見守りサービスや健康維持サービスなどのプロトタイ. である.また,風呂実験のグラフと生活者の入浴傾向等の. プ作製に取り組んでいく.. パーソナルデータを照らし合わせることで,生活者の判別 も行える可能性があることが見えてきた.. 謝辞. 本研究を進めるに当たり,多くの皆様にご協力い. 2 ) 実験 2 の結果より,IoT 機器の動作状態だけでは推定. ただきました.実験に関して,ご協力いただいた被験者の. できない IoT 機器の動作モード等も,家電の瞬時電力デー. 皆様,藤田 裕之様,関家 一雄様(神奈川工科大学工学教育. タと組み合わせることで推定する事が出来た.また,住宅. 推進機構スマートハウス研究センター)に深くお礼申し上. 全体の消費電力のグラフと収集対象機器全体の消費電力の. げます.ここに謝意を表します.. グラフを比較することで,IoT に対応していない家電製品 の消費電力が判断出来るので,IoT に対応していない家電. 参考文献. 製品の動きも推定できる.. [1]. 様々なデータ収集を行い,積み重ねることで生活者の行 動や,住宅状況の可視化が可能になり,生活行動推定が出 来ることが示せた.. [2] [3]. 7. 課題 課題として,大きく分けて 4 つのことが考えられる.. [4]. 1 ) 現時点でのデータ収集システムは,Node-Red による 制御モードの起動,および停止を手動で行う必要がある為, 停電などの想定外の異常が起きた際自動復旧が出来ずに長. [5]. 時間の計測エラー等が起きることである. 2 ) 収集時のデータの欠落件数の軽減である.欠落デー タの補填には前後の平均値を使用しているが欠落したデー タの値と補填したデータの値の誤差の幅が現手法では確認 できない為,別途の補填手法を検討する必要がある. 3 ) データ収集は現在 1 分と 3 分の等極めて短い間隔で. [6] [7]. 経済産業省,電気分野におけるデジタル化について.2018/5/18, 資源エネルギー 庁,http://www.meti.go.jp/committee/sougouene/denryoku_gas/den ryoku_gas_kihon/pdf/009_08_00.pdf 厚生労働省,”人口動態統計年報 主要統計表”. https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html, 産総研,生活者を見守る住宅 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2003/pr20030203_2/p r20030203_2.html 上田健揮, 玉井森彦, 荒川豊, 諏訪博彦, 安本慶一.ユーザ位 置情報と家電消費電力に基づいた宅内生活行動認識システ ム. 情報処理, 2015, vol. 57, no. 2, 1-10. http://ubi-lab.naist.jp/~ara/wp-content/uploads/2016/05/2_15.pdf 上田博唯.センサーネットワークと家電製品を結合したサー ビス提供 NICT ユビキタスホームにおける事例. 情報処理, 2006. https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_do wnload&item_id=52286&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1 エコーネットコンソーシアム:ECHONET Lite 規格書, http://echonet.jp, eneQube 九電テクノシステムズ株式会社(Q-tecno) https://www.q-tecno.co.jp/products/social13.html. 収集を行っているが,実用的な収集間隔で実施した場合に 行動推定の精度が変化する可能性があることが挙げられる. より HEMS サービスの普及に貢献できるよう実用的な 30 分や 1 時間間隔でのデータ収集にも対応できるよう検討が 必要である. 4 ) 今回の行動推定では,生活者の行動内容を推定でき. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 6.
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