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鳴門教育大学学術研究コレクション

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Academic year: 2021

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Instruction of English Reading in Elementary School: A Study Based on Pupils' Eye Movement

教科・領域教育専攻 言語系コース(英語) 町 口 尭 治 I 研究の背景と目的 現在,小学校において外国語活動が領域とし て必修化されて8 年目となり,2020 年度からは 第3・4 学年で外国語活動が必修化され第5・6 学年では外国語科が教不」H匕となる。それに伴い, 第3・4 学年で「聞くこと」「話すこと」を中心 とした外国語活動が年間35 時間,第5・6 学年 では,教科化に伴い,「聞くこと」「話すこと(発 表・やりとり)」「読むこと」「書くこと」を含め た4 技能5 領域の指導が年間70 時間行われる。 この2つの改定において重要な点は,高学年で 「読むこと」「書くこと」が加わったことである。 しかし,現行の「小学校学習指導要領」(文部 科学省,2008)は,音声中心の活動が主であり, アルファベットなどの文字や単語の取り扱いに ついて,「文字については,児童の学習負担に配 慮しつつ,音声によるコミュニケーションを補 助するものとして用いること」如.108)との指 摘があり,さらに,「小学校学習指導要領解説タト 国語活動編(文部科学省,2008)」では,「読む こと及び書くことについては,音声面を中心と した指導を補助する程度の扱いとする」如.19) との配慮もなされている。以上のことから,今 までは外国語活動において文字は補助的な役害リ として扱われることが多かった。一方,2020 年度より全面実施される新学習指導要領の「小 学校学習指導要領解説外国語活動編(文部科学 指導教員 畑 江 美 佳 省,2017)」を精査したところ,小剃交第5 学 年及び第6 学年外国語の目標において,「読む こと」「書くこと」の内容項目が少なく,指導の 実際が見えにくく感じる。また,言語習得には 例えば「声に出して読みながら書く」などの他 技能の統合が一般的に必要とされているが, 4 技能5 領域のそれぞれの目標は独立していて, 繋がりが薄いように感じる。 本研究では,児童の「読む」学習効果を高め る英語学習の指導法の研究を行う。研究におい て,特に注目する点は「英語を読む際の児童の 目の動きの特徴」である。そこで,児童の眼球 運動を調査し,その動きの特徴を生かした新た な英語の指導法を提案する。そして,児童に対 して新たな指導法に即した新教材を実践するこ とで,従来の指導法と比べて,英語学習に対す る認識や効果がどのように現れるか比較し,そ の効果を検証する。 ~ 研究の構成 本研究は,4 つの章から構成される。本論文 における目的やその意義を第1 章で述べる。第 2 章では,眼球運動の測定に関する先行研究や 教育的諸価値について概観する。第3 章では, 前章の考察に基づいて,実際に行った調査に対 する報告をまとめる。第4 章では,教育的示唆 と今後の課題を述べる。 - 189 -

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III 研究の概要 研究の目的や背景について述べた第1章「序 論」に続き,第2 章「先行研究の概観」では, 眼球運動の特徴を活かした教材作成の導入のた めに,眼球運動の測定に関する先行研究や鳴門 教育大学附属小学校での児童の眼球運動のデー タを精査した。その上で,本論文では公立小学 校に属する児童に対しても同様のデータを取り その児童に対して新教材ヲ)実践と結果の分析・ 考察を行うこととした。 第3 章「調査」では,茨城県龍ケ崎市にある 公立小学校(1働の児童を対象に, 7 月に眼球 運動のデータを収集し,それを基に12 月には 新桝オを扱った英単語練習を行い,そのテスト 結果を分析・考察をした。 7月に行った調査では,眼球運動の停留時間 において,徳島県の鳴門教育大学附属小学校で の結果と同様にピクチャーカードに英語音声が 有る場合と無い場とを比較したところ,無い場 合の方がより文字に注目することがわかった。 この結果を基に,児童に対して音声を与える ことを遅らせることでより文字に注目し,単語 の認知と理解が高まるのでは無いかと考えた。 そこで,ピクチャーカードを児童に提示する際, 英語音声を1秒後(以下A群とする)と2 秒後(以 下B 群とする)の場合の2 パターン(それぞれ1 0 単語ずつ)用意して,英単語練習の実践とその テストを行った。英単語テストでは,あらかじ め行った未知語アンケートにより,全児童が知 らないと回答した英単語を用し、た。 12 月に行った調査では,全4 回の英単語練 習(1回2 分程度)の結果を口頭のテスト形式で 児童一人ずつ調査した。学年が上がるにつれて, 単語の発音の正確性と意味理解が高まっている ことが分かった。また,A 群とB 群の正答数に おいてt検定を行ったところ有意な差は見られ なかったが,B 群の方が平均点が高い結果とな った。これは,児童が音声情報の欠如を文字清 報で埋め合わせるように,自ら主体的にピクチ ャーカードに書かれている文字を見て音韻化し, 意味理解しようとする姿勢が練習の段階からあ ったことが推測される。 最終章である第4 章では,調査結果と考察か ら教育的示唆と今後の課題を提示した。 ~ まとめ 調査結果の分析・考察から,英語音声を意図 的に遅らせることで文字への注目を集められる ことが分かった。 V 今後の課題 本論文は,英語音声の提示の仕方に重点を置 いていたことから,ピクチャーカードのフオー マットは絵上・文字下の従来の型を採用し,音 声の効果のみが児童の英単語に対する正答率に 影響するように考慮した。しかし,文字に注目 させるのであれば,人間の眼球運動の特徴を鑑 みた場合,文字上・絵下のフオーマットを利用 することも考えられ,今後は上記の型のピクチ ャーカードを使用した調査をすることが望まれ る。 また,英単語練習の回数も本調査で行った4 回よりも増やすことが望まれる。それは,児童 自身が文字清報である英単語を音韻化するには 重点的な練習が必要で,本調査での児童の様子 を観察していると, 自信を持って発音ができて いた児童が少なかったからである。 -190 一

参照

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