教員養成大学における授業科目「ソルフェージュ」に及ぼす自律訓練法の効果に関する研究
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(2) 4)セッションの内容 75分授業の最初15分をAT指導者(日本自律訓練学会. でも同様の結果であり,早期に習得できていたことがう かがえた.しかし,新郎涼感については, 1学期末のア. it:会員)によるATの指導に,残り60分を授業者による ソルフェージュの授業に当てた.なお, ATの指導15分 の内訳は次の通りであった.. ンケートの(○,△,×) = (1,5,5)から, (○, △. ×) = (3, 4, 4)へと変化し.徐々に習得に向か っていることがうかがえた.. ・アンケート(習得状況の確認,質問・感想)のn'll人,. (2)心理検査 STAI特性イこ安のPre-test. λIid-test, Post-testの結果. 及び前[uEのアンケ-トでの質問に対する返答と感想の紹 介(7分) ・AT体験及びホームワークの確認(8分). をFIGURE 2に示した.. 5) ATの指導. 得点 50. 導入は第1回の授業(75分)を当て,ビデオ(佐々 木; 1993】1))の視聴とホームワークの説明等を行った.以 後の展開は,授業時に集団で実施する集団ATセッショ. 4 5 .3 4 0 .1 40 3 4 .5. ンと個人で取り組むホームワーク(朝,堤,夜の3セッ ション)とした.集団ATセッションは単純椅子姿勢,. 30. 朝と夜のホームワークは仰臥姿勢で行うこととし,取り 組む公式は安静,四肢量感,四肢温感,額部涼感とした.. 20. 6)測定指標 (DATの習得指標:授業目及び期末試験時に実施のアン ケート,及びSTAI, POMSの関連尺度(検査の実施及. P re. M ia】. P os t 晴 刺. FIGURE 2特性不安(STAI)の推移(平均得点). び結果の検討は,水口ら(1991-21),横山ら(199413))に従っ た.). STAIの評価尺度に則して,各時期における特性不安 及び状態不安の不安得点の平均を算出し,それに基づい て分散分析を行った結果,特性不安において3時期の得. (2)学習効果指標:試験の成績(対照群との比較),及び 内省報告(期末試験時に実施のアンケート). 点平均に有意な差が認められた(F-7.45, df-2/20, pく01).そこで, 3時期の平均の差の下位検定を行った ところPre-testとPost-testとの間において有意な差が. 3結果と考察 1)習得状況. 認められた(t-5.97, df-10, p<.01).状態不安におい ては3時期の得点平均に有意な差が認められなかった.. (1)アンケート 1998年度受講生11名のPost-test時のアンケートによる AT各公式の体感状況をTABLE lに示した.なお,表中. この結果から, AT習得に伴い特性イこ安が有意に低下 した,すなわち個人の不安をもつ傾向の改善が認められ. の○,△,×は,○: 「実感あり工△: 「なんとな く」, ×: 「実感なし」を表す.. た.これは,多くのATの効果についての報告(例えば, 野田; 199814))と一致するところであった. POMSでは, Pre-testとMid-testとの間においてT ・ A. TABLE 1 AT各公式の体感状況(単位:名). (緊張・不安)とA・H (怒り・敵意)の尺度において改 善傾向がうかがえたが有意なものではなかった.. ○ 3 ( E. 額部涼感. 0. 0. ×. 以上から,ソルフェージュ授業に組み入れた集同AT セッションとホームワークにより, ATの基礎段階であ. 0. 両腕こ両足△両腕〇両足×. る安静感,四肢量感,四肢温感を習得するレベルに達し たことが,受講生のアンケートから確認できたとともに,. 刑. 梶 両. 感 蕊 飯 四. c r > M o. 足足. 1両 - ( ︺. 腕 両. 感 重 肢 四. 8. △. 1. 1. 両腕○両足△両腕二雨足× 3. △. 心理検査における変容からも裏付けられた.このことは, 「自律訓練研究」に掲揖された論文の分析(松岡1997'. 0. ×. 3. の中に,安静惑,四肢重感,四肢温感までの指導で効果 を上げている報告もかなりあり, ATの効果を期待でき. E^^^^^^^^KI. この結果から,ソルフェージュに組み入れた集団AT セッションとホームワークにより,安静惑,四肢量感,. る状況まで導くことができたことを意味していると考え た.そして,このレベルまで達することができた要因と しては,集団ATセッション時に毎回行った受講生全員. 四肢温感はほぼ習得できたと判断した.この安静感,四 肢毛感,四肢温感については, Mid-test時のアンケート. の質問や感想をシェアリングしたことが,継続的な取り 観みへの動機付けになったと推察した.. -14-.
(3) この結果から,ソルフェージュ授業へのATの適用は,. 2)学習効果 (1)試験の成績 事前, l学期末, 2学期末の3回の各試験毎における4段 階絶対評価の推移に注目し,成績の変化を上昇,変化な. 成績下降者を減少させ,成績上昇者を増加させるという 学習効果を高める効果があることが確認された.. し,下降の3カテゴリーに分けた.そして,事前と2学期 末とにおける成績の推移について, AT条件群と対照群. 移を追跡したが, 0から学習目標の最高到達点までの絶 対尺度を設定し,成績の追跡を行うことがより精密な成. の様相をFIGURE 3に示した. AT条件群では成績下降 者は出現しなかった.. 績の検討に必要であると推察した.. 課題としては,各試験毎における絶対評価で成績の推. (2)内省報告 1 AT指導者が実施したアンケートの結果 AT条件群に実施したPost-test時のアンケート結果に おける,授業はじめのAT,試験直前のATについての感 想は次の通りであった. 授業初めの!lTに関する問いの回答結果をTABLE 3に 示した. 次に,試験直前のATについては, 「試験で不安だった が,落ち着けた.いつも通りにやればよいと思った.」 (7名), 「試験の日が気になって仕方なかったが.落ち着 いて待つ心構えができた.」 (l名), 「目覚めるとき少しだ. 対照群AT条件群. 」. FIGURE3両群の事前と2学期期未読等剣こおける成績の推移(3カテゴリ-). 次に, AT条件群の成績下降者数が0人であること,及 び度数の期待値が5未満のセルが存在することから,成 績の変化を上昇,その他(変化なし,下降)の2カテゴ リーに整理し直す(TABLE2)とともに,フィッシャ ーの直接法により, AT条件群と対照群における2カテゴ リーの比率の差を検定した.その結果,観測されたパタ ーン及びそれより対立仮説「AT条件群の方が学習効果 は大きい(成績の上昇率は高い)であろう.」を支持す る方向にある6パターンの生起確率の合計(p-.044)が 5%未満であった.すなわち, AT条件群と対照群との間 に,学習成績における有意な差が認められた.. その 他. 計. 5. 7 .8. ll. 32. 2 9 .2. 41. 上昇. AT条件群. 6. 対 照 群. 9. 計. 15. 3 .2 ) 1 1 .8. 37. った.」 (1名)であった. これらから.受講生は授業初めのATと試験直前のAT 共に肯定的な評価を下していることがうかがえた. この結果から,ソルフェージュ授業の最初に設定した 集団ATセッションでは,授業-の心と体の準備,授業 への集中,音取りの基本的構え等の学習効果に影響を与 える要因に対してプラスの影響を与えるとともに,試験 前の集団ATセッションでは,試験に対する緊張が適切 なレベルで維持され受験できるという効果をもたらすこ とが認められた. 1笠、授業者が実施したアンケートの結果 ソルフェージュを受講することの不安について, 1学. TABLE2両群の事前と2学期期末試験における 成績の推移(2カテゴリー) m. るかったが,今まで以上にリラックスできた.」(1名), 「聞いてする方が一人でするより集中できる.」 (l名), 「寒くて仕方なかったが,体がぽかぽかして気持ちよか. 期当初に不安を感じていた者は, AT条件群では8名 (73%)であったが, 1学期末には全員が不安を解消してい た.この8名の内3名が「ATにより不安が軽減した.」と 回答した. - ・方,対照群では31名(76%)が当初に不安を 感じていたが, 1学期末にも不安を感じていた者が12名. 52. (29%)いた.このことはATの適用により早期に授業に対 する不安の軽減がはかられたことを示唆するものであっ た. (単位:名). ( )内は各セルの度数の期待値である.. TABLE3 ATに関する問いの回答結果 A T に 関す る学 生 の回 答. は. い. どち らとも言 えない. いい え. 朝 の 慌 た だ し さ か ら、 授 業 へ の 心 の 準 備 が で き る.. 10. 1. 0. 朝 の眠 気 や気 だ るさが す っき りす る.. 8. 2. 1. 落 ち着 い て 授 業 に 臨 め る .. ll. 0. 0. 授 業 への 集中 力 が高 まる.. 8. 2. 1. 書 取 りの基 本 的構 え. ll. 0. 0. ll. 0. 0. ( リラ ッ ク ス して 気 負 わ な い ) に 役 立 つ .. 授 業の 中 にA T が も り込 まれ てい て、 よ か った.. -15-.
(4) 次に,各試験における緊張度について,事前試験での 「大変緊張した」 (9名), 「少し緊張した」 (1名), 「緊張し なかった」 (1名)に対し, 1学期期末試験では「大変緊張 した.」 (0名), 「少し緊張した」 (10名), 「緊張しなかった」 (1名)であり, 2学期期末試験では「大変緊張した.」 (1名), 「少し緊張した」 (6名), 「緊張しなかった」 (4名)であった. また, 「事前試験より1学期期末は緊張しなかった」 (9名),. ソルフェージュの教育内容編成について〔2〕兵庫教 育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センター 『実技教育研究』第ユ2号 5)新山真弓1999初等教員養成課程における授業科目 ソルフェージュの教育内容編成について〔3〕兵庫教 育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センター 『実技教育研究』第13号. 「1学期期末試験より2学期期末は緊張しなかった」 (9名) であった.これらから, 1学期期末試験以降には事前試 験の過緊張の状態が媛和されており,しかも時間の経緯 とともにより進んでいた.このことは,特性不安(STAI) の低下と一致しているところであり,徐々に不安を持つ 傾向が改善されていることを表していたと判断した. この結果から, ATの適用により授業に対する不安の 軽減がはかられ,試験での緊張の緩和がはかられるとい う効果があったと推察した. 以上から,ソルフェージュ授業-のATの適用は,不 安の軽減や緊張の緩和により学習効果を促進させる効果 があったと考えた. しかし,受講生のAT習得には,毎時間AT指導者の協 力が必要であった.そのため,授業者自らがATの指導 を行えるようになることが必要であり,さらに評価の課. 6)松原秀樹・対馬寛子1993演奏不安・あがりとその 対処方略-ステージ・フライトの意識の問題とイメー ジ・リハーサルの有効性と効果-エリザベト音楽大学 研究紀要第13巻 7)内山喜久雄1985自律訓練法と教育自律訓練研究 7(1-2 5-13. 8)藤原忠雄1994リラクセイションの活用に関する研 究一高等学校における実践を通して-岡山県教育セン ター研究紀要第175号 9)藤原忠雄L996リラクセイションの活用に関する研 究Ⅲ -高等学校における実践を通して一末公刊(内容 の一部;山陽放送学術文化財団「リポート」第40号 (1996) 64-68,及び岡山県教育弘済会平成8年度「教育 研究収録」 151-157所収) 10)藤原忠雄1997 Vラクセイション岡山県学校教 育相談研究記録「瓜」第20号47-56 (Vx-). 題も含め,効率のよいATの適用方法を模索していくこ とが課鴇として残った.. ll)佐々木雄1993心を強くする自律訓練法入門 ごま吾hi. 4おわりに. 12)水口公信・下仲順子・中里克治1991日本版. ATをソルフェージュ授業に適用し, ATの学習効果に. STAI状態・特性不安検査State-Trait Anxiety. 及ぼす影響を検討した.その結果, AT適用による変化. Inventory使用手引三京房 13)横山和仁・荒記俊一1994日本版POMS手引金子 書房. としての不安の軽減や緊張の緩和により学習効果を促進 する要因が高まり,学習成績そのものにも有意な効果を 及ぼすことが認められた. 今後は,授業上の効果(授業の効率化,受講生の意 欲・態度に及ぼす影響等),評価の課題,個人追跡等に. 14)野田悦子1998自律訓練法と産業メンタルヘル ス-自己調整法の導入とその効果一自律訓練研究17. ついても検討を進めていきたい.. 15)松岡洋一・松岡素子1997自律訓練法の効果判定 に関する-・考察自律訓練研究16 (2) 3-ll. (1・2). 68-74. 引用・参考文献 1)新山真弓1994ソルフェージュ教育に関する一考察 兵庫教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導セン. 謝辞. ター『実技教育研究』第8号 2)新山最弓1996初等教員養成課程におけるソルフェ. 教授に御示唆をいただいた.また,データの分析には, 浅川研究室の院生,長谷川剛君に御協力いただいた.記. 本研究に関して,兵庫教育大学(幼児教育)の浅川潔. して感謝の意を表したい.. ージュ教育のあり方について兵庫教育大学学校教育 学部附属実技教育研究指導センター『実技教育研究」 第10号 3)新山真弓1997初等教員養成課程における授業科目 ソルフェージュの教育内容編成について〔1〕兵庫教 育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センター 『実技教育研究』第11号 4)新山真弓1998初等教員養成課程における授業科目. -16.
(5) The Effect of Autogenic Training on the Students Transcription of Music Notes - How Can We Reduce the Extra Te】1tion in Solfeggio Training ProgramMayumi Niiyama and Tadao Fujiwara. Department of Music Education. The Center for Practical Education. Hyogo University of Teacher EdLicalion. Okayama Preiectual Ujo High School. In line with the former practices and researches, we introduced autogenic training (AT) into the 'solfeggio class in order to improve the teaching style, expecting significant reduction of surplus anxiety and easing the tension of students in the class. This research was plailned to determine whether the introdLiction of AT has the expected effectornot.. The results of solfeggio test of ll students who attended the AT-iniroduced 'solfeggio'class in 1998 were compared with those of 41 students who were in the former-styled 'solfc、ggio class in 1994-97. All these students had been novices at solfeggio before attending each 'solfeggio class. The results of some psychological tests and reflectioilS by the stLidents indicated that AT were effective for reducing surplus anxiety and easing the tension of the students. The higher scores of the AT-introduced class students, which were significantly different from those ot the control group , may be understandable by considering the effect of the improvement. Other variables, such as efficiency of the class management, attitudes of le StLidents in the class, and so on , seem to be valuable to add in the future design of the similar researches. Also, individually-focused comparison and further improvement of the evaluation of the solfeggio skill may be necessary. -17-.
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