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戦前日本における系統産業組合金融の歴史的役割 : 階層・地域間調節・国債消化

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(1)戦前日本における系統産業組合金融の歴史的役割 ―階層・地域間調節・国債消化―. 大  門  正  克. 〔目 次〕. ①資金市場のなかの産業組合. はじめに. ②組合金融と農村の階層構造. 1 産業組合金融の地域的展開. 2 系統産業組合金融の地域的展開. a. 時期区分. a. 県信用組合連合会の資金構造. s. 1920年代. s. 産業組合中央金庫の資金構造. d. 昭和恐慌期. d. 1930 年代後半における系統産業組合金融. f. 1930年代後半. g. 資金市場と階層構造― 3 地帯の比較―. はじめに. ―戦時資金供給機関への途― おわりに. 制の根強い残存に限界づけられ,地主制改革に 対する政策が小作調停法と自作農創設維持事業. 本稿の課題は,日本農業の地帯構造とその内. にとどまった日本では,社会政策的農政のもつ. 部における階層構成に留意しながら,1920 ・. 比重が決して小さくなかった.従来,1920 年. 30 年代の日本産業組合の展開過程を,事業の. 代の社会政策に相当する農政として,米価政策. 中核を構成する組合金融の展開と帰結のなかで. と産業組合政策の 2 つが指摘されている 1).本. 解明することにある.組合金融の分析にあたっ. 稿の問題関心は,このうち 1920 ・ 30 年代の産. ては,系統組合金融の全過程(産業組合中央金. 業組合を対象にして,社会政策的農政の意義と. 庫―県信用組合連合会―産業組合)と日本農業. 限界を確定することにある.. の地帯構造の両者を対象にする.いわば系統組. 日本の産業組合は,1900 年の同法公布以来,. 織を縦軸に,日本農業の地帯構造を横軸として,. 全国で設立がみられたが,本格的な普及は第 1. その両軸の関連を全体として解明することが課. 次世界大戦後の 1920 年代を待たねばならなか. 題である.. った.産業組合政策が新たに実施され,農村内. はじめに,課題設定との関連で問題の所在に ついてのべておきたい. 第 1 次世界大戦後から 1920 年代に至る時期. 部でも小商品生産の発展に対応できる農業組織 が必要とされたことが,1920 年代の普及をも たらした要因である.この時期の産業組合政策. は,日本資本主義が独占資本主義段階へ移行す. は,第 1 に,系統組織を全国レベルで整備し,. るとともに,政府は労働・農民運動への対応を. 全国連―県連―産業組合という独自の産業組合. 早急に迫られた時期であった.周知のように,. 組織をつくり出した.1921 年の産業組合法改. この段階ではじめて地主制そのものの改革が企 図されるとともに,中農をはじめとする小商品 生産者を対象とした新たな農政が展開した.そ れは,独占段階への移行にともなって登場する 社会政策的農政の色彩を強く帯びていた.地主. 1)『栗原百寿著作集Ⅲ 農業危機と農業恐慌』 校倉書房,1976 年,111 ∼ 123 頁,暉峻衆三『日本 農業問題の展開』上,東京大学出版会,1970 年, 291 ∼ 293 頁など.. 『エコノミア』第57巻第1号(2006年5月) ,27 − 73頁[Economia Vol. 57 No.1(May 2006),pp.27 − 73].

(2) . 正による全国連合会設立の許可を契機に,1923. 農業の半封建的生産関係が独占資本主義に連係. 年産業組合中央金庫・全国購買組合連合会の設. されつつ維持をはかられてゆく一つの有力なベ. 立,少し遅れて 1931 年には全国米穀販売購買. ルトの形成」3)と指摘している.みられるよう. 組合連合会が創設され,信用・購買・販売の 3. に,井上には産業組合の機能を国家資本,地主. 局面における全国系統組織が整備された.. 制,独占資本の三者の関連のうちに確定しよう. 第 2 は,産業組合行政に進展がみられたこと. とする秀れた視角があったが,すでに数多くの. である.1925 年,農林省農務局に産業組合課. 批判をあびたように,地主制を固定的にとらえ. が設置され,これを起点として県レベルにおい. 農民経営の発展を論理にくみこめていないこ. ても独自の産業組合行政の機関が設けられた.. と,具体的には 1920 年代に近畿・養蚕地方で. このような政策的対応の過程で,産業組合の農. 産業組合がなぜオーバーローンを解消し,貯金. 家組織率は,1922 年の 33 %から 29 年には 60 %. 組合に転化したのかが説明できない欠陥をもっ. まで進み,とくに近畿を中心とした西日本での. ている 4).. 組織率が高い.. 戦後の産業組合研究のなかからは,第 1 に,. ところで,1920 ・ 30 年代の産業組合を対象. 佐伯尚美 5),斎藤仁 6),篠浦光 7)の業績をあげる. にした研究には,戦前以来決して少なくない業. ことができる.佐伯,篠浦は,産業組合を独占. 績がある.しかし,本稿が対象にする組合金融. 段階における小農維持政策の一環として位置づ. に限っても,今までの研究は決して十分とはい. け,一方で斎藤は国家独占資本主義への産業組. えない.. 合の適合性を強調するという相違があるが,総. たとえば,戦前の代表的な著作『日本産業組. じて資本主義の発展段階との関連性が問題とさ. 合論』 において井上靖丸は,「寄生地主型地. れるのみで,地主制=農業構造の問題はまった. 方銀行の下属的機関」としてとどまっていた産. くドロップしている.組合金融の研究対象は資. 業組合が,産業組合中央金庫の設立を契機にそ. 金の流れに限定されがちであり,資金構造にお. の関係を絶ち,新たに「特殊日本型国家資本」. ける階層性の分析は抽象的な次元にとどまって. 2). のもとへ繋留されたとのべている.井上は,産 業組合用途別貸付金の全国統計を分析した結 果,国家資本から注入される低利資金はもっぱ ら消費用貸付金として使用されたとして,国家 資金は「中農をしてそのミゼラブルな再生産の 条件を辛うじて保持せしむるとともに」,「回収 の見込みなき貸付金に対する債権者たる組合, ひいては地主・富農に対して保証を与え」た, と結論づけた.井上は,このように国家資本を 媒介する産業組合の機能を,「中農上層内崩の 危機」からの回避と地主制の維持という 2 点で とらえている.井上はまた別のところで,系統 組織の完成を,「国家資本の運用と結びついて. 2)立田信夫『日本産業組合論』叢文閣,1937 年, (『井上晴丸著作選集 第 6 巻 日本協同組合論』 雄渾社,1972 年,所収).以下の引用は,『井上晴 丸著作選集』第 6 巻,180 ∼ 188 頁.. 3)『井上晴丸著作選集 第5巻 日本資本主義 の発展と農業及び農政』雄渾社,1972 年,331 頁. 4)井上晴丸が,先に用途別貸付金の構成を全 国統計で分析している点にも問題がある.後述の ように,用途別貸付金の構成も地帯別に特色があ り,井上のように一律に規定できない.全国統計 に依拠したために井上のような結論が生じたと思 われる. 5)佐伯尚美『日本農業金融史論』御茶の水書 房,1963 年. 6)斎藤仁『農業金融の構造』東京大学出版会, 1971 年. 7)篠浦光『農村協同組合の展開過程』亜紀書 房,1972 年. 8)加瀬和俊「1920 年代における産業組合普及 の意義とその限界」『土地制度史学』第 68 号,1975 年 7 月,同「小作争議と産業組合経営」全国農業協 同組合中央会編『協同組合奨励研究報告』第 2 輯, 1977 年,同「昭和恐慌と産業組合」斎藤仁編『シ ンポジウム日本資本主義の展開と産業組合』日本 経済評論社,1979 年,など..

(3) . いる. 戦後の研究の第 2 として,加瀬和俊の一連の. あるいは地主制=農業構造をまったく欠如させ るか(佐伯,斎藤,篠浦),また地主資金の役. 業績 がある.産業組合全体を対象にした加瀬. 割を強調するか(加瀬)という相違はあるが,. の研究から組合金融についての見解をまとめる. 3 つの研究に共通し,なおかつ組合金融研究の. と,以下のようになる.すなわち,1920 年代. 重大なポイントは,地主制=農業構造と産業組. の産業組合は,経営体としての側面と社会政策. 合の関連をいかに解明するかという点にあるこ. 的経済機関としての側面とが相互に制約して事. とがわかった.したがって,本稿ではこの点に. 業領域の拡張を阻み,小作争議対策として有効. 留意した組合金融分析の方法をたてる必要があ. に機能できなかった.それが 1930 年代の産業. るが,その前に組合金融研究にとって注目すべ. 組合拡充運動の過程で地主資金を結集すること. き他の研究成果を紹介しておきたい.. 8). により,産業組合は階級協調的機能を獲得した. それは,日本金融構造史に関する研究業績で. のだとする.地主層の譲歩による地主資金の結. あり,ここでは伊牟田敏允,浅井良夫両氏の研. 集という問題を通して,地主制の問題を産業組. 究を紹介しておく.伊牟田 9)は独占段階の日本. 合分析に具体的に導入した加瀬の視角は秀れて. の金融構造を重層的金融構造と把握し,両大戦. おり,多くの示唆をうけた.. 間にその再編成が進行したという見地を打ち出. だが,はたして加瀬のいうように地主資金が. す.この重層的金融構造は,全国的には普通銀. 1920 ∼ 30 年代の産業組合にどれだけの重みを. 行内部,機能の異なる金融機関のあいだ,日銀. もっていたのかという点になると必ずしも明瞭. を頂点とした政策金融の 3 層から構成されてお. でない.具体的にいえば,近畿と東北という著. り,伊牟田によれば「重層的金融構造」は地方. しい農業構造=地主制の地帯差をもった日本で. 銀行を筆頭にした地域にも存在し,両大戦間に. は,地主資金が産業組合にとってもつ意味が決. 再編成されたとする.その際に注目すべきは,. して一様ではないと思われる.さらに地主資金. 地域的な「重層的金融構造」の末端では「政策. の結集による階級協調的機能獲得というシェー. 的な信用組合育成が,信用組合と直接競合する. マ自身にも問題がある.加瀬によれば,地主資. 下級金融機関ばかりでなく,地方銀行・貯蓄銀. 金の結集が産業組合の四種兼営事業を容易に. 行などにも少なからぬ影響を与えている」10)と. し,産業組合と農民経営の密着度を深めたとい. して,産業組合を核とした地域的な金融構造の. うことになるが,そもそも産業組合が農民経営. 地殻変動に注目していることである.. に密着した経営を行うためには,すでにその見. 一方,浅井 11)は,1920 年代を「地主的金融. 返りとしての農民資金の結集が一定程度前提に. 機関の後退」に対する「小農的金融機関の発展」. されなければならないのではないか.つまり,. 過程ととらえ,「国家は後退期に入った地主層. 極端にいえば,地主資金ではなく農民資金の結. を排除して直接に小農を把握するための機関と. 集こそが組合事業と農民経営の関連を強める推. して信用組合を位置づけ,地主的金融機関の体. 進力だったのではないだろうか.この点は,本. 系とはまったく別に,半額政府出資の産業組合. 稿での具体的な分析ポイントであり,ここでは とりあえず,地主制の問題を産業組合分析にく みこむ重要な論点が提示されているものの,加 瀬の場合には地主資金の存在を過大視する問題 点が含まれているのではないかということを指 摘しておきたい. さて,このように産業組合の研究史を追究し てくると,地主制を固定的にとらえるか(井上),. 9)伊牟田敏允「日本金融構造の再編成と地方 銀行」朝倉孝吉編著『両大戦間における金融構造』 御茶の水書房,1980 年. 10)同前,102 頁. 11)浅井良夫「独占確立期の金融構造」石井寛 治ほか『近代日本経済史を学ぶ』下,有斐閣, 1977 年..

(4) . 中央金庫(1923 年設立)を頂点に各県信連,. 運用においてどのような機能をもったのかとい. 各信用組合と連なる系統的金融機関を整備し. うことが,1 つの重要な論点となる.. た」. 12). というように,1920 年代について説明. 第 3 は,1920 ・ 30 年代の系統組合金融を実態. している.系統的金融機関の整備により,産業. と政策の双方のレベルで確定することである.. 組合が地主的地方銀行の下限からとき放たれる. 実態の分析視角は第 1 ・第 2 の課題でのべた.. というシェーマは,以前に井上晴丸が指摘した. 政策については独自の考察が必要であり,ここ. ものであり,金融構造史研究の側から産業組合. ではとくに 1920 ・ 30 年代における系統組合金. の地位上昇と地主層の排除が関連づけて把握さ. 融の起点と終点の 2 つの時期に注目したい.起. れている点は,組合金融の研究に多くの示唆を. 点における政策方向は 1920 年代から 30 年代前. 与えるように思われる.. 半までほぼ継続し,それが変容して終点に至る. 以上のべた産業組合史研究と金融構造史研究 の整理から得られた論点をもとに,以下,本稿 の課題と方法を具体的にまとめておきたい.. のが1930年代の半ば以降だからである. 起点における重要な政策は,いうまでもなく 1923 年の産業組合中央金庫法の制定である.. 第 1 に,組合金融の究明にあたっては,産業. 産業組合中央金庫(以下,中金の略記)の設立. 組合と地主制=農業構造の関連に留意する必要. によって組合金融は体系的に整備され,国家資. があり,そのためにはまず日本農業の地帯構造. 金の流入ルートが形成された.産業組合中央金. に即して組合金融の分析を行うことである.そ. 庫法制定をめぐっては,諸勢力の対応について. の際,対象とすべきは産業組合レベルだけでな. すでに分析してある 13).産業組合,地主団体,. く,系統組合金融の 3 段階(産業組合中央金庫. 政友会,銀行資本,官僚の対応を検討した結果,. ―県信用組合連合会―産業組合)を通じて表れ. 産業組合中央金庫法は,一面で地主負担を国家. る地帯別組合金融の構造的差異に光をあて,組. が代位する側面をもちながら,他面では地主の. 合金融体系の全体像を日本農業の地帯性から解. 基盤を掘り崩す側面をもち,地主的利害を調整. き明かすことである.. して独占段階に照応した農村体制を構築しよう. 第 2 は,産業組合と地主制=農業構造の関連. とする官僚や政党の意図が強く反映していたこ. をより構造的に把握するためにも,組合金融の. とを明らかにした.いいかえれば,中金は,資. 階層構造を解明することである.問題とすべき. 本家・地主・農民などの諸階級の利害を調整す. は,組合資金における地主資金の位置だけでな. る社会政策と,独占段階に対応した農村金融体. く,農民資金や借入金(国家資金,銀行資金な. 系の再編という金融政策の2つの意図を含んだ. ど)の役割である.そして組合資金構造との関. ものということができる.. 連で資金運用の内容(貸付金の用途,階層性,. このような政策意図のもとに設立された中金. 余裕金の構成など)を検討し,組合金融の階層. は,系統組合金融の形成と展開に対してどのよ. 構造を確定したい.その場合,産業組合を通じ. うな役割をはたしたのか,本稿ではこの点を検. る社会政策的機能のあり方に問題関心をおく本. 討する.とくに,注目すべきは 1930 年代後半. 稿の見地からすれば,産業組合中央金庫より流. における系統組合金融の終点の過程であり,そ. 入する国家資金が,産業組合の運転資金・資金. こでは管理通貨制移行下で展開された公債政 策・低金利政策・インフレ政策の三政策が組合. 12)同前,114 頁.ここでいう地主的金融機関と は地方銀行・信託会社・貸付業者・質屋および日 本勧業銀行・農工銀行・北海道拓殖銀行の特殊金 融機関を指す.小農的金融機関は,信用組合・農 業組合中央金庫である.. 13)大門正克「第一次大戦後の農村振興問題と 諸勢力― 産業組合中央金庫の設立をめぐって」 『一橋論叢』第 89 巻 5 号,1983 年 5 月..

(5) . 図1 産業組合貯貸率の推移―近畿型―. 金融に大きな影響をあたえていた.これらの政 策は,一見すると組合金融と直接関係なさそう に見えるが,そうではない.1930 年代後半の 戦時体制に至って組合金融はどのような変貌を 遂げたのか,本稿の最後に政策との関連を考察. 150 140 130 120. し,実態とあわせて組合金融の全体像を考察す 110. ることにしたい 14). 1 産業組合金融の地域的展開. 100 90 80. 産業組合金融の展開過程の考察にあたり,以 下では次の 2 点に留意する.. 岐阜. 70 60. 第 1 は,日本農業=地主制の地帯的差異に着. 50. 目して,組合金融の地帯的特徴を明らかにする. 40. ことである.日本農業における地帯的差異は,. 30. 近畿型・東北型の 2 類型として早くから指摘さ. 20. 兵庫. 京都. 10. 滋賀. 1915. 14)本稿は,もともと 1982 年 1 月に一橋大学大 学院経済学研究科博士課程単位修得論文として執 筆されたものの 1 部である.その後,発表する機会 を失するまま長い時間が経過してしまった.相当 以前の論文を現在発表するのは,次の 2 つの理由に よる.ひとつは,その後の産業組合金融研究に十 分な進展がなく,本稿でも発表する意味があるの ではないかと判断したためであり,もうひとつは, 権上康男先生の退職を記念する本号に金融に関連 した論文を掲載したく思ったことによる.単位修 得論文のうち,農業地帯に照応して分析した個別 産業組合の3つの事例については省略し,それに ともなって議論の整理を必要最低限行なった. なお,本稿執筆後の研究史として,伊藤正直 「農家経済と農村財政金融問題」(伊藤正直・大門 正克・鈴木正幸『戦間期の日本農村』世界思想社, 1988 年)は紹介しておかなくてはならない.伊藤 は,地主制=農業構造の相違に留意して戦間期に おける農村の財政と金融を検討し,そのなかで産 業組合金融をとりあげている.具体的には,産業 組合金融の動向を道府県別の貯貸率や系統利用率 に即して検討し,その点を地帯別の農家経済の動 向と関連づけて考察している.産業組合金融の検 討にあたって地帯別の農業構造に留意している点 は,本稿と共通しており,伊藤論文から学ぶ点は 多い.ただし,伊藤論文は,戦間期農村の金融と 財政の双方を検討しており,産業組合金融の考察 のスペースは必ずしも十分でなく,また系統産業 組合金融(産業組合中央金庫―県信用組合連合会 ―産業組合)の全体像の検討は残された課題とな っている.本稿は,農業構造と系統金融の両面か ら産業組合金融を考察しようとするものである.. 1920. 25. 30. 35. 40. (1) 『農林中央金庫50 年の歩み』1973 年より作成.. 図2 産業組合貯貸率の推移―東北型―. 200 190 180 宮城. 170 160 150. 秋田. 140 130 120. 山形 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20. 1915. 20. (1)前図に同じ.. 25. 30. 35. 40.

(6) . 図3 産業組合貯貸率の推移―養蚕型―. 展開されるなかで,産業組合は「寄生地主型地. 180. 方銀行の下属的機関」17)をいかに脱却して「中. 170. 産以下ノ農民」の機関へと発展していったのか,. 160. その地域的偏差はどうであったのか.この点を. 150. 考察するために,本稿では私自身が行なった村. 140. レベルの個別産業組合分析をふまえ,農村の諸. 130. 階層との関連を追究する.. 120 110. a 時期区分. 100. 図 1 ・ 2 ・ 3 は,近畿・東北・養蚕 3 地帯の府. 90. 県をとりだし,産業組合の貯貸率の推移を示し. 80. たものである.この 3 つの図によれば,第 1 次. 70. 世界大戦以前は,全国的にオーバーローンであ り,組合事業の展開も微弱である.その後,第. 60 群 馬. 50. 1 次世界大戦から 1920 年代になると 3 地帯のな かに変化が生じる.東北型は依然としてオーバ. 40. ーローンを継続するのに対し,近畿型・養蚕型. 30 長 野. ではオーバーローンを解消し,貯金組合に転化. 20. する.この傾向に再び変化があらわれるのが. 10. 1930 年代前半の昭和恐慌期である.1920 年代 1915. 20. 25. 30. 35. 40. (1)前図に同じ.. に貯金組合化した養蚕型は,再びオーバーロー ンをかかえこみ,東北型と同様の構造になる. 近畿型だけは,この時期も貯金組合を維持する.. れてきた 15).ここでは,「米と繭」という日本. 3 地帯がひとしく貯金組合になるのは,このあ. の農業構造の特徴を体現し,昭和恐慌以後にド. との 1930 年代後半である.東北・養蚕両地帯. ラスティックな再編をとげる養蚕型を加えた三. はそれまでのオーバーローンを解消し,3 地帯. 類型を設定したい .. ともに貯貸率を傾向的に低下させ,1940 年頃. 16). 第 2 は,組合金融の地帯的特徴を,農村の諸. には全国的に20∼ 40%にまで低落する.. 階層に即して検討することである.中金の設立. 以上より,3 地帯に着目した組合金融の分析. 目的が「中産以下の農民」への低利資金供給に. を行うのに際し,第 1 次世界大戦期まで<Ⅰ. あったのだから,組合金融の考察のポイントは. 期>,第 1 次世界大戦以後∼ 1920年代<Ⅱ期>,. 諸階層との関連にあるといっていいだろう.低. 1930 年代前半の昭和恐慌期<Ⅲ期>,1930 年. 利資金供給機関の設置など産業組合保護政策が. 代後半<Ⅳ期>の 4 つの時期区分が必要である ことが判明した.このうちで本稿では,中金が 設立され,系統産業組合金融が整備されたⅡ∼. 15)山田盛太郎『日本資本主義分析』岩波書店, 1934年,199頁. 16)養蚕型については,中村政則「地主制」大 石嘉一郎編『日本産業革命の研究』下,東京大学 出版会,1975 年,森武磨「戦時下農村構造の変化」 『岩波講座日本歴史 近代 7』,岩波書店,1976 年, を参照のこと.. Ⅳ期を中心に分析を進めていく.. 17)前掲,井上晴丸『日本協同組合論』180 頁..

(7) . 表1 産業組合運転資金の構成(1928 年1月) (%,千円). 地 域. 内 訳 府 県 青 森. 東. 北. 養 蚕 近. 畿. 自  給. 他  給. (内   訳). 1 組合. 資  金. 資  金. 貯  金. 借 入 金. 平均計. 49.0. 51.0. (40.0). (10.9). 68. 岩 手. 34.9. 65.1. (51.5). (13.7). 63. 宮 城. 27.1. 72.9. (50.5). (22.4). 64. 秋 田. 47.2. 52.8. (45.0). (7.7). 97. 山 形. 33.8. 66.2. (51.9). (14.3). 100. 福 島. 38.6. 61.4. (45.7). (15.7). 57. 新 潟. 41.3. 58.7. (54.6). (4.1). 88. 長 野. 20.1. 79.9. (66.1). (13.8). 239. 群 馬. 22.2. 77.8. (65.4). (12.1). 98. 滋 賀. 8.9. 91.1. (82.3). (8.8). 476. 京 都. 11.5. 88.5. (82.8). (5.7). 280. 大 阪. 12.9. 87.0. (84.1). (2.9). 325. 兵 庫. 16.1. 83.9. (77.4). (6.5). 249. 奈 良. 11.5. 88.4. (80.6). (7.8). 154. 和歌山. 14.9. 85.2. (82.8). (2.4). 191. 岐 阜. 13.7. 86.3. (79.8). (6.5). 188. (1)農林省農務局『産業組合要覧』1928年度より作成.. s 1920 年代. まず,1920 年代<Ⅱ期>の産業組合金融の. なるのに対し,貯金の比重がもっとも高いのは 近畿型(80 %前後)であり,ついで養蚕型. 動向を検討する.対象とする時期は,1920 年. (60 %台),東北型(50 %前後)の順番となる.. 代の組合金融が一定の展開をとげた 1927 ∼ 28. 1920 年代の近畿型の産業組合は,80 %前後の. 年頃である.. 貯金を中核にして,残りを自給資金(10 %前. 表1は,1928 年 1 月の産業組合運転資金の構. 後)と借入金(5 %前後)でまかなっており,. 成を各府県別に示したものである 18).1 組合平. 運転資金の構成はかなり安定的である.とりわ. 均の運転資金は,近畿型・養蚕型・東北型の順. け圧倒的部分をしめる貯金の増大が,1920 年. で少なくなり,近畿型と東北型の間には 2 ∼ 8. 代の近畿型の産業組合貯貸率の低下,および 1. 倍もの格差が存在する.運転資金の構成では,. 組合当の運転資金規模の大きさにつながってい. 自給資金(払込済出資金+諸積立金)と借入金. る 19).. の比重が東北型・養蚕型・近畿型の順に小さく. これに対して,東北型では貯金の比重が近畿 型よりかなり低く,自給資金の比重が依然とし. 18)ここでは東北 6 県と近畿 6 府県,養蚕型を代 表する長野・群馬両県を掲げてある.また,のち の議論との関連で,参考として新潟・岐阜両県も 掲載した.. 19)この近畿の産業組合貯金の増大が,第 1 章で のべた産業組合と地方銀行の対立状況の基盤であ る..

(8) . 表2. 産業組合借入金の構成(1928 年1月) (%,円). 府 県 東. 中 金. 信 連. 普 銀. 勧 銀. 個 人. 県. その他. 1 組合計. 青 森. 23.2. 25.9. 9.4. 26.4. 3.2. −. 12.1. 7,539. 岩 手. 19.3. 14.8. 9.8. 49.8. 1.4. −. 5.1. 8,764. 宮 城. 36.4. 11.0. 13.3. 20.0. 4.7. 11.2. 3.3. 14,507. 秋 田. 10.7. 26.5. 9.6. 34.2. 2.0. 2.0. 14.9. 7,565. 山 形. 25.1. 18.3. 2.3. 25.8. 0.2. 27.2. 1.0. 14,377. 福 島. 37.7. 22.1. 3.8. 33.8. 2.3. −. 0.3. 8,952. 新 潟. 23.3. 50.2. 8.8. 12.1. 3.5. −. 2.0. 9,672. 養. 長 野. 49.6. 32.1. 3.2. 13.4. 0.1. 1.0. 0.6. 32,939. 蚕. 群 馬. 2.4. 64.0. 13.1. 16.5. 2.2. −. 1.8. 11,866. 滋 賀. 7.4. 33.9. 8.0. 29.0. 0.4. 0.4. 21.0. 41,747. 近. 京 都. 1.0. 23.7. 4.0. 19.2. 0.2. 40.9. 11.0. 16,055. 北. 畿. 大 阪. 0.8. 41.4. 10.0. 40.4. 1.0. −. 6.4. 9,528. 兵 庫. 8.7. 32.9. 10.6. 21.8. 3.8. 10.4. 11.8. 16,144. 奈 良. 0.8. 26.4. 4.1. 63.2. −. 1.1. 4.4. 12,042. 和歌山. 20.6. 31.7. 7.5. 23.2. 0.4. −. −. 4,544. 岐 阜. 33.8. 12.1. 6.2. 25.5. 1.4. 21.0. 0.1. 12,334. (1)産業組合中央金庫『農村市街地信用組合金融事情調査』第4回,1928年より作成. (2)全国 3,839組合の調査.. て高いこと(30 ∼ 50 %),また借入金依存度が. 行の構成比が高いのがこの時期の特徴であり,. 高い(10 ∼ 20 %)という構成をとる.貯金の. 東北型で 20 ∼ 50 %,近畿型で 20 ∼ 60 %をしめ. 伸びの鈍さが,1920 年代にオーバーローンを. る.これは,1920 年代の産業組合がいまだ地. 解消できない主要因であった.そしてこの近. 主的金融機関の下限を脱しきれていないこと,. 畿・東北両地帯の中間に位置するのが養蚕地帯. とりわけ借入金依存の高い東北型ではこの特徴. の産業組合である.. を強く示す.. 同じ時期の借入金の借入先を表2に示した.. 以上の組合運転資金の構成に対し,資金運用. 1 組合平均借入金額は,滋賀,長野を除けば全. はどうだったのか.資金運用は貸付金と余裕金. 国的にそれほど大差ない.運転資金のなかで借. で構成される.1929 年末の運転資金にしめる. 入金比重の高い東北型では,中金の比重が近畿. 貸付金の割合は,東北 74 %,北陸・東山 59 %,. 型よりも高く,中金と信連を合わせた系統金融. 近畿45%と東北が圧倒的に多い 20).東北型では,. 依存度は 35 ∼ 60 %に達する.養蚕型の系統依. 産業組合の資金基盤が脆弱であり,資金運用で. 存度はもっとも高くて 60 ∼ 80 %である.近畿. は余裕金を生み出す余地がきわめて乏しかった. 型の系統依存度はむしろ低い(20 ∼ 50 %).以. のである.貸付金の用途別構成が表3である. 上の地帯別特徴に対し,養蚕型を除いて特殊銀 20)組合金融研究会『組合金融』1930 年 5 月,62 頁による.中金による全国 631 組合の調査.この中 金調査は 1929 年から始められており,1920 年代の 調査としては同年が唯一である..

(9) . 表3 産業組合貸出金用途の府県別構成(1929 年末) (%,千円). 地 域. 内訳 府県 青 森. 東. 北. 養 蚕 近. 畿. 農 業 資 金 土 地 17.0. 商 業. 肥 料 (小 計) 3.3. (22.0). 家 計 資 金 経 済. 4.2. 5.9. 1 組合. 旧債借替 (小 計) 平均計 36.0. (41.9). 75. 岩 手. 28.1. 6.1. (40.2). 8.3. 10.1. 23.9. (34.0). 122. 宮 城. 15.7. 13.1. (41.7). 3.9. 6.9. 33.2. (40.1). 59. 秋 田. 15.9. 8.3. (29.1). 8.9. 10.4. 38.6. (49.0). 44. 山 形. 20.1. 8.3. (33.6). 14.9. 19.0. 15.9. (34.9). 162. 福 島. 15.8. 11.7. (32.7). 18.9. 21.4. 22.7. (44.1). 97. 新 潟. 15.2. 7.2. (28.9). 14.8. 7.5. 20.2. (27.9). 86. 長 野. 11.3. 10.4. (28.0). 22.6. 16.3. 20.2. (36.5). 260. 群 馬. 16.9. 14.3. (35.9). 9.3. 10.4. 32.8. (43.2). 52. 滋 賀. 26.1. 4.2. (33.8). 23.4. 11.3. 21.4. (32.7). 244. 京 都. 15.3. 2.1. (23.3). 28.9. 7.5. 17.9. (25.4). 191. 大 阪. 27.6. 5.4. (34.0). 13.7. 1.9. 24.7. (26.6). 111. 兵 庫. −. −. −. −. −. 奈 良. 17.3. 12.5. (34.3). −. 19.6. 10.5. 22.1. (32.6). −. 134 116. 和歌山. 24.1. 8.9. (39.4). 23.0. 18.1. 7.6. (25.7). 124. 岐 阜. 20.4. 6.0. (31.4). 22.7. 10.4. 25.0. (35.4). 172. 全 国. 20.8. 7.4. (33.8). 18.9. 10.8. 18.9. (29.7). 140. (1)組合金融研究会『組合金融』1930 年5月より作成. (2)全国 485農村信用組合の調査.. (1929 年末).1 組合当の貸付金額に地域別格差. るものの消費的貸付が多く,農民の生産・流通. があることはいうまでもなく,低額の東北型と. 部門にまで産業組合の貸付金が浸透しているの. 近畿型のあいだには 2 ∼ 4 倍の差がある.用途. は近畿型だけであった.. 別では,農業資金の比重に全国的な差異はなく,. 貸付金とともに資金運用の柱をなす余裕金. むしろ差異を示すのは家計資金である.東北型. は,運転資金に対して近畿 51 %,北陸・東山. では貸付金の 35 ∼ 50 %が家計資金にまわされ. 33 %,東北 19 %と逆の順番になっている. ているのに対し,近畿型では 25 ∼ 33 %にすぎ. (1929 年末)21).これを全国府県別 1 組合員当の. ない.養蚕型の家計資金は 37 ∼ 43 %と東北型. 余裕金額で表示してみれば表4のようであり. に近い水準を示す.しかも東北型・養蚕型の家. (1928 年),1 人当 100 円以上の高位県は,近畿. 計資金の内容では,総じて旧債借替資金の比重. 型を中心とした西日本に多く,ついで養蚕型・. が高い(16 ∼ 39 %).近畿型では,農業資金と. 東北型の順である.養蚕・東北両地帯は全国平. 商業資金中心である.このように東北型では,. 均(108 円)を下まわっており,ことに東北型. 20 年代にオーバーローンを解消できないなか. は 1 人当 50 円以下に集中している.東北型と近. で,貸付金の用途も生産的部門ではなく旧債償. 畿型の差異は,先にのべた 1920 年代の貯貸率. 還を中心とした消費的部門が多く,産業組合の 機能が農業生産にまでなかなか到達していな い.養蚕型では,オーバーローンを解消してい. 21)同前..

(10) . 表4 余裕金 1 組合員当の道府県別構成(1928 年) 金  額 円以上. (円). 道府県別. 円未満. 300∼ 350. 大阪. 250∼. 京都. 200∼. 滋賀,山口. 150∼. 香川,和歌山,兵庫,愛知,東京,奈良,三重. 100∼. 岐阜,広島,福岡,高知,全国平均(108),福井. 75∼. 長野,埼玉,静岡,徳島,鳥取,石川,島根,佐賀,富山,愛媛,岡山,群馬. 50∼. 熊本,神奈川,茨城,新潟,宮崎,青森. 25∼. 山梨,北海道,山形,大分,千葉,栃木,長崎,鹿児島,岩手,福島,秋田. 15∼. 宮城,沖縄. (1)農林省農務局『産業組合要覧』1928 年より作成. (2)道府県の順番は,左から右へ金額が少なくなる.. の相違(東北のオーバーローン,近畿の貯金組. した.近畿型では,貯金を中核にして安定的な. 合化)の反映にほかならない.東北型では,余. 運転資金を擁し,オーバーローンを解消する一. 裕金を生み出すほどの運転資金を形成できてい. 方で,集積した余裕金はより有利な銀行へ流入. なかったのであり,資金運用も大部分が貸付金. していた.また貸付金は消費部門よりも生産・. にまわされていたのである.また,この時期の. 流通部門へ集中している.これに対し,東北型. 近畿型・養蚕型の産業組合はともに貯金組合で. の産業組合は運転資金規模も小さいなかで払込. あったが,運転資金量では両地帯に差があった. 出資金と借入金に依存する構造をかかえこみ,. ように余裕金でも両地帯に差があり,近畿型の. 借入金では系統機関への依存が高い.一方,資. 方が多額の余裕金を創出する.1920 年代の産. 金運用の圧倒的部分は,消費部門を中心とした. 業組合は,養蚕型よりも近畿型でより発展して. 貸付金にまわされていた.両地帯の中間的性格. いたのである.. をもつのが養蚕型である.養蚕型の産業組合で. だが,近畿型で集積された余裕金が系統機関 (中金,県連)へ多く預金されたかというと, 必ずしもそうではない.1928 年の近畿型の産. は,貯金の比重が東北型より高く,オーバーロ ーンも解消するが,近畿型ほどの余裕金を生み 出す発展段階にはなかった.. 業組合余裕金の運用先を示した表5によれば, 余裕金の中心をしめる預ヶ金は,系統機関より. d 昭和恐慌期. も銀行を多く活用している.これは,近畿の銀. このような地帯的特徴は昭和恐慌期にいかに. 行が産業組合の大量の余裕金をねらって他の預 金よりも高利な預貯金・金利を設定するなど, 産業組合にとってはこの時期,県信連よりも銀 行の方が概して有利な相手であったことによ る.このことがまた地方銀行間の預貯金協定を 乱し,産業組合への反発を強める一因ともなっ た 22). 以上から,1920 年代の組合金融は 3 地帯でか なり異なった特徴を生み出していることが判明. 22)たとえば岐阜県銀行会は,産業組合の銀行 預金は大口なので銀行間で競争が生じ共倒れの危 険があるとして,1924 年 11 月,産業組合からの預 金金利だけを引下げ(定期年 7 分),協定違反の銀 行には 2,000 円の違約金を課すことにした(『大阪 朝日新聞』東海版,1924 年 11 月 17 日).また富山 県同盟銀行会でも,産業組合からの預金を協定利 率以上で争奪しないよう 1925 年に決議している (『銀行通信録』第 472 号,1925 年 5 月,72 頁)..

(11) . 表5 近畿における産業組合余裕金の構成(1928 年) 内訳 府県. 預 ヶ 金 小 計. 中 金. 県 連. 有 価 銀 行. 証 券. (%). 現 金. 合 計. 滋 賀. 70.5. (10.5). (20.8). (38.6). 27.8. 1.7. 100.0. 京 都. 84.4. (1.2). (24.7). (57.4). 12.3. 3.3. 100.0. 大 阪. 64.7. (0.2). (21.3). (39.8). 32.5. 7.8. 100.0. 兵 庫. 84.3. (0.3). (11.5). (72.4). 10.4. 5.3. 100.0. 奈 良. 74.8. (0.1). (23.9). (43.4). 21.4. 3.9. 100.0. 和歌山. 90.5. (0.2). (21.4). (67.6). 4.6. 4.9. 100.0. (1)産業組合中央金庫『農村市街地信用組合金融事情調査』第4回,1928 年より作成. (2)全国 3,839組合の調査.. 変容したのか.表6は,1933 年の産業組合運. 金の系統機関からの借入れが中心になる.かく. 転資金の地域別構成である.1928 年と比較し. して,借入金における系統機関の位置は,昭和. て,東北型では自給資金の比率が減少する一方. 恐慌期に全国的な高まりをみせること,とりわ. で借入金比率の増大が著しい(20 ∼ 40 %).貯. け東北型での系統機関は,運転資金における借. 金の比率には変化がない.1 組合平均の運転資. 入金比重の高さからしても,重要な役割を担っ. 金は,1928 年から 1933 年にかけてそれほど変. ていたといえる.. わらないから,1933 年の構成比の変化はその. 資金運用では運転資金に対する貸付金の比率. まま絶対額の変化と考えてよい.つまり,昭和. が 東 北 ( 6 2 % ), 北 陸 東 山 ( 6 0 % ), 近 畿. 恐慌期の東北型では,自給資金さえも減額する. (44 %)という序列をとり,依然として東北型. なかで借入金の依存度をいっそう深めたのであ. が高い(1933 年末)23).昭和恐慌期には全国的に. る.1928 年から 1933 年のあいだに自給資金の. 貸付金比率が低下し,とくに東北型で著しい 24).. 比率を低下させなかった代わりに,貯金の比率. これは貸付金需要の減少を示すというよりは貸. が著減し(65 %→ 40 ∼ 50 %),逆に借入金依存. 付金固定化が著しく進み,組合側が不良貸付を. 度を高めたのが養蚕型である(12 ∼ 14 %→ 26. 手控えたことによる 25).1933 年末の貸付金を用. ∼ 37 %).これに対して近畿型では,貯金の構. 途別に検討してみれば(表9),1929 年と比し. 成比が 80 %前後→ 70 %台へと低下し,その分. て東北型・養蚕型の家計資金比率が増加してい. だけ借入金の構成比を上昇させたが(5 %前後. る(35 ∼ 49 %).なかでも旧債借替資金の比率. → 10 %前後),東北型・養蚕型の両地帯に比べ. がいっそう増えている.東北型・養蚕型では,. れば借入金依存度はまだまだ小さく,貯金を中. 昭和恐慌期に負債が累積し,そのことが産業組. 核にした運転資金構造を維持していた.. 合の貸付金にも反映したのであり,両地帯では. 表7・8は,1933 ・ 35 年の産業組合借入金. 貸付金の固定化が深刻であった.これに対して,. を借入先別に示したものである.1 組合当の借 入金は全国的に増加しており,昭和恐慌下の経 営悪化の中で借入金需要が増大している.東北 型および長野は 1933 ・ 35 年ともに系統機関か らの借入れ比重を高めており,銀行の比重は低 下している.近畿型では,1933 年に銀行の比 重が依然として高く信連と半々であるが,1935 年には銀行の構成比が低下し,県信連および中. 23)『組合金融』1934 年 5 月,13 頁.全国 831 組 合の調査. 24)同前資料によれば,運転資金に対する貸付 金比率は,全国統計では 59 %(1930 年),60 % (1932 年),51 %(1934 年)と漸減する.同時期に 東北では 69 %,66 %,62 %と低下する(『組合金 融』1934 年 5 月,1936 年 5 月)..

(12) . 表6 産業組合運転資金の構成(1933年) 地 域. 内訳 府県. 自 給 資 金. (内 訳) 払込済出資金. 他 給. 積立金. 資 金. (%) (円). (内 訳) 貯 金. 借入金. 1 組合 平均計. 青 森. 36.6. (25.7). (10.9). 63.4. (38.9). (24.4). 72,123. 東. 岩 手. 26.7. (17.0). (9.7). 73.3. (44.9). (28.4). 47,788. 宮 城. 25.1. (15.7). (9.4). 74.9. (36.6). (38.4). 97,804. 北. 秋 田. 27.8. (17.5). (10.3). 72.2. (51.2). (21.0). 85,951. 山 形. 28.0. (19.7). (8.3). 72.0. (52.4). (19.6). 81,566. 福 島. 23.3. (24.4). (8.9). 76.7. (47.1). (19.6). 91,593. 新 潟. 21.3. (13.1). (8.2). 78.7. (67.1). (11.5). 132,618. 養. 長 野. 25.4. (20.1). (5.3). 74.6. (48.5). (26.0). 194,945. 蚕. 群 馬. 22.6. (14.8). (7.8). 77.4. (40.0). (37.4). 138,236. 滋 賀. 9.9. (5.7). (4.2). 90.1. (78.8). (11.3). 330,130. 近. 京 都. 10.4. (7.1). (3.9). 89.6. (72.3). (16.6). 268,031. 大 阪. 16.8. (11.3). (5.5). 83.2. (72.2). (11.0). 263,700. 畿. 兵 庫. 16.2. (10.5). (5.7). 83.8. (75.7). (8.1). 253,590. 奈 良. 12.4. (7.8). (4.6). 87.6. (76.9). (10.6). 151,736. 和歌山. 15.6. (8.7). (6.9). 84.4. (75.2). (9.1). 175,084. 岐 阜. 16.1. (10.6). (5.5). 83.9. (72.0). (11.9). 138,236. (1)農林省経済更生部『産業組合要覧』1933 年度より作成.. 近畿型では家計資金の比率は増えているものの. る.これは,地方銀行が昭和恐慌の打撃で経営. (25 ∼ 33 %),東北型・養蚕型ほどではなく,. 悪化を招くなかで,産業組合から地方銀行へ預. 昭和恐慌下でも貸付金の 6 ∼ 7 割が生産・流通. けられていた預金はしだいに引き上げられた. 部門へ流入していた.. が,それは県信連への預金よりも有利な有価証. 資金運用のもう一方である余裕金は,運転資. 券投資へと流入していったからである.近畿型. 金に対して近畿(49 %),北陸・東山(28 %),. の農業構造をもつ岐阜県西濃地方では,昭和恐. 東北(18 %)という比率を示し,依然として. 慌下に地方長官と争ってまで余裕金運用範囲に. 近畿型の比重が高い(1933 年末)26).1 人当の. 関する定款を変更し,有価証券投資を拡大する. 余裕金額は,1920 年代より低下しているもの. 産業組合の例さえあった 27).. の,近畿型を中心に西日本が高位をしめている. 以上のように,昭和恐慌期の近畿型では,貯. (表 10,1931 年).表 11 から近畿型における余. 金を中核として集積された運転資金の約半分を. 裕金の運用先をみると,銀行への預ヶ金が減少. 貸付金に,残りを余裕金に運用するという. して系統機関への預金と有価証券が増えてい. 1920 年代の構造を基本的に維持した.もちろ んこの時期には,借入金や消費的貸付が増える. 25)このことは,昭和恐慌期の産業組合貸付で 無担保が減少し,逆に有担保が増加することから も確認されよう.全国における無担保貸の比率は, 55.9 %(1930 年),53.0 %(32 年),52.7 %(34 年) と減少する(『組合金融』同前号による) . 26)『組合金融』1934年5月,13頁.. など恐慌の影響があらわれたが,東北型・養蚕 型と比較すればそれも軽微であった.貸付金で も生産・流通の両部門への投下を維持したのが 近畿型の特質である.ただし,この時期も余裕 金の系統化は漸増にとどまり,有価証券投資が.

(13) . 表7 産業組合借入金の構成(1933年). (%,円). 府 県. 中金. 信連. 銀行. その他. 青 森. 42.4. 40.6. 12.2. 4.7. 17,631. 岩 手. 41.1. 35.5. 6.5. 16.9. 13,584. 宮 城. 43.3. 47.3. 8.5. 0.9. 37,438. 秋 田. 13.4. 67.8. 12.3. 6.5. 18,080. 山 形. 14.0. 69.0. 14.2. 2.8. 15,950. 福 島. 42.0. 49.6. 4.5. 3.9. 17,993. 新 潟. 15.6. 58.7. 23.3. 2.3. 15,299. 養. 長 野. 50.2. 39.4. 4.9. 5.5. 50,713. 蚕. 群 馬. 8.1. 31.0. 46.0. 14.8. 48,519. 滋 賀. 6.2. 68.6. 10.8. 14.4. 37,350. 京 都. 0.7. 3.9. 77.7. 17.7. 47,619. 大 阪. 9.7. 31.8. 52.9. 5.6. 29,105. 兵 庫. 19.3. 35.6. 41.6. 3.6. 20,457. 奈 良. 10.6. 33.0. 35.6. 20.8. 16,079. 和歌山. 20.7. 67.1. 10.7. 1.5. 15,986. 岐 阜. 33.8. 57.5. 6.4. 2.4. 16,443. 東 北. 近 畿. 1 組合計. (1)前表に同じ.. 表8 産業組合借入金の構成(1935年) 府 県 東 北. (%,円). 中 金. 信 連. 銀 行. その他. 1 組合計. 青 森. 47.6. 34.4. 13.0. 5.0. 22,437. 岩 手. 41.2. 33.3. 5.6. 19.9. 15,718. 宮 城. 38.7. 34.2. 19.5. 7.6. 37,762. 秋 田. 32.2. 46.7. 17.0. 4.1. 20,442. 山 形. 38.5. 38.9. 14.6. 8.0. 14,262. 福 島. 46.7. 36.2. 13.5. 3.6. 15,897. 新 潟. 26.0. 54.8. 11.3. 7.9. 13,981. 養. 長 野. 46.9. 31.8. 14.2. 7.1. 49,259. 蚕. 群 馬. 23.0. 13.7. 53.2. 10.1. 45,702. 滋 賀. 25.4. 22.7. 35.2. 16.7. 23,223. 京 都. 23.8. 14.8. 35.2. 26.7. 19,048. 大 阪. 19.0. 37.3. 26.2. 17.5. 22,267. 兵 庫. 32.8. 33.9. 18.2. 15.1. 17,211. 近 畿. 奈 良. 17.8. 40.3. 18.0. 23.9. 14,709. 和歌山. 33.4. 48.1. 12.0. 6.5. 10,701. 岐 阜. 31.0. 38.1. 12.7. 18.2. 10,895. (1)農林省経済更生部『産業組合要覧』1935 年度より作成..

(14) . 表9 産業組合貸出金用途の府県別構成(1933 年度) 地. 内訳. 域. 府県. 農 業 資 金 土 地. 商 業. 肥 料 (小 計). (%,千円). 家 計 資 金 経 済. 1 組合. 旧債借替 (小 計) 平均計. 青 森. 20.7. 13.1. (38.9). 7.2. 11.4. 33.1. (44.5). 61. 東. 岩 手. 19.2. 5.1. (28.3). 10.7. 15.9. 27.7. (43.6). 99. 宮 城. 13.1. 8.0. (26.4). 5.6. 13.1. 27.6. (40.7). 80. 北. 秋 田. 14.2. 3.9. (23.6). 6.1. 27.0. 31.2. (58.2). 61. 山 形. 23.6. 6.4. (34.0). 9.5. 17.2. 20.6. (37.8). 138. 福 島. 9.7. 5.5. (22.4). 21.4. 21.7. 30.1. (51.8). 63. 新 潟. 12.2. 5.4. (21.4). 16.0. 17.4. 25.5. (42.9). 102. 養. 長 野. 12.4. 8.4. (28.3). 15.8. 17.5. 29.7. (47.2). 211. 蚕. 群 馬. 15.6. 8.2. (41.7). 7.3. 21.1. 23.8. (44.9). 45. 滋 賀. 19.8. 2.9. (25.6). 20.7. 15.7. 24.5. (40.2). 222. 近. 京 都. 18.3. 1.6. (22.1). 28.4. 16.2. 12.7. (28.9). 181. 大 阪. 22.7. 8.3. (31.4). 15.8. 9.7. 24.2. (33.9). 112. 畿. 兵 庫. 17.3. 2.6. (22.7). 16.0. 22.2. 17.0. (39.2). 145. 奈 良. 13.9. 4.4. (22.9). 33.6. 11.6. 18.8. (30.4). 127. 和歌山. 18.2. 10.0. (30.0). 26.7. 11.9. 23.9. (35.8). 113. 岐 阜. 22.7. 3.8. (29.4). 19.2. 12.5. 26.3. (38.8). 128. 全 国. 17.4. 1.2. (27.8). 18.1. 16.1. 23.2. (39.4). 117. (1)組合金融研究会『組合金融』1934 年5月より作成. (2)全国 831農村信用組合の調査.. 表 10 金 額 円以上. 余裕金1組合員当の道府県別構成(1931 年). (円). 道 府 県 別. 円未満. 250∼ 300. 京都. 200∼. 滋賀,大阪. 150∼. 香川,山口,和歌山,愛知,兵庫,東京. 100∼. 三重,広島,福井,石川. 75∼. 全国平均(94),島根,福岡,静岡,岐阜,埼玉,熊本,富山,佐賀. 50∼. 高知,徳島,岡山,群馬,長野,神奈川,鳥取,愛媛,新潟,宮崎. 25∼. 青森,大分,北海道,山形,山梨,長崎,福島,千葉,栃木,岩手,宮城,茨城,秋田. 1∼. 鹿児島,沖縄. (1)農林省農務局『産業組合要覧』1931 年より作成. (2)道府県の順番は,左から右へ金額が少なくなる..

(15) . 表 11 内訳 府県. 近畿における産業組合余裕金の構成(1931 年) 預 ヶ 金. 有 価. (%). 現 金. 合 計. 39.9. 1.8. 100.0. 26.9. 3.2. 100.0. (18.7). 19.9. 4.9. 100.0. (51.7). 19.7. 4.9. 100.0. (44.3). (19.0). 26.9. 4.1. 100.0. (27.1). (42.9). 14.4. 7.4. 100.0. 小 計. 中 金. 県 連. 銀 行. 証 券. 滋 賀. 58.3. (20.4). (26.1). (11.4). 京 都. 64.9. (0.2). (23.0). (40.7). 大 阪. 75.4. (0.8). (14.3). 兵 庫. 75.4. (0.5). (21.0). 奈 良. 69.0. (0.9). 和歌山. 78.1. (4.5). (1)前表に同じ.. 拡大された.. 化はいっそう強まっており,昭和恐慌期におけ. これに対し,1920 年代のオーバーローンを. る東北での系統機関は,組合と組合員の両者の. ひきずりながら,組合経営をいっそう悪化させ. 経営悪化をくいとめる点で重要な役割を担っ. たのが東北型であった.運転資金における借入. た.. 金比重の増加,消費的貸付(特に旧債借替)の. 昭和恐慌の打撃を東北型と同じように激しく. 増大など,恐慌の打撃は組合経営と組合員の双. 受けたのが養蚕型であった.養蚕型は 1920 年. 方に色濃く反映した.そのなかで借入金の系統. 代に解消したオーバーローンに再びおちいり, 借入金への依存および系統化を強める一方で, 貸付金の中核は家計資金がしめるという東北型. 27)岐阜県本巣郡文殊産業組合は,1933 年の貯 貸率が 34 %であり,膨大な余裕金の運用が組合経 営にとって重大な問題となっていた.恐慌下の文 殊産業組合の余裕金運用をみると,目立つのが有 価証券投資であり,余裕金内での比率を 0.1 % (1931 年),35.9 %(33 年),55.3 %(35 年)と急増 させる.これは,県信連への定期預金(年利 3 分 5 厘∼ 4 分,32 ∼ 35 年)よりも有利な植民地債券(4 分 5 厘∼ 5 分 5 厘の満鉄社債,4 分 5 厘の東拓社債が 中心)へと投資をきりかえたからであり,そのき っかけとなったのが 1933 年 1 月総会における定款 変更であった.文殊産業組合では,従来,余裕金 の運用が中金・県信連と総会での承認銀行への預 金ならびに国債,地方債,特殊金融機関の債権投 資に限定されていたのに対し,新たに北海道拓殖 銀行・朝鮮拓産・東洋拓殖・満鉄の社債投資認可 を県知事に申請した.県知事は,余裕金は「成可 系統機関ニ預入スルコト」を原則としたうえで, 新たに拓銀だけを認可する方針を示した.しかし 組合側は,「資金運用ニ際シ甚ダ窮屈ヲ感ジ」てお り,変更後も「堅実ヲ期ス」ため「政府保護の特 殊銀行会社ニ限定」したのだから申請通り認可す べきであるとして再度申請し,結局産業組合側の 主張が全面的に認められて根民地債への途を開い た(文殊組合『重要書類綴貸借対照表綴』1932 年 度,岐阜県本巣農協所蔵) .. 同様の構造を形成した. f 1930 年代後半. 近畿型と東北型・養蚕型という昭和恐慌期の 対照的な構造がしだいに解消されていくのが, 次の 1930 年代後半である.1938 年末の産業組 合の運転資金を示した表 12 によれば,自給資 金は東北型が,逆に他給資金は近畿型がそれぞ れ多く,その中間に養蚕型が位置するという 3 地帯の序列に変化はないが,東北型では自給資 金・借入金の比重が 23 %・ 16 %へと低減し, 逆に貯金の比重がはじめて 60 %台をしめた. また養蚕型でも借入金依存度が一挙に 9 %に減 少し,貯金への依存を 70 %まで高めた.1 組合 平均の運転資金は近畿型が東北型・養蚕型のそ れぞれ 2.4 倍,1.4 倍と格差はあるものの,1933 年とくらべれば全国的に倍化している.しかも その主導力は貯金にあり,ここに東北型ははじ めて近畿型と同質の構造をもつようになった. また養蚕型では昭和恐慌期の打撃を克服して.

(16) . 表 12. 産業組合運転資金・資金運用の地域別構成(1938 年末). 自 給 資 金 地域 東北. 小 計. 払込済. 諸積. 出資金. 立金. 他 給 資 金. 1 組合. 小 計 貯 金 借入金 平均計. 22.8 (13.4) (9.4). 77.2 (61.3)(15.9). 200. (%,千円). 余 裕 金 貸出金 51.1. 小 計. 預ヶ金. 有価. 現 金. 証券. 27.0 (22.8) (2.6) (1.6). 東山. 21.2 (14.4) (6.8). 78.8 (69.5) (9.3). 351. 41.2. 39.2 (28.6) (9.3) (1.4). 近畿. 10.9 (5.9) (5.9). 89.1 (86.7) (2.4). 480. 32.1. 70.7 (37.7)(31.7) (1.4). (1)組合金融研究会『組合金融』1939 年5月号より作成. (2)貸出金,余裕金の比重は,運転資金に対するもの. (3)全国 635組合の調査.. 表 13 府 県. 近畿における産業組合余裕金の構成(1938 年). 預 ヶ 金 小 計. 中 金. 県 連. (%). 有 価 証 券 銀 行. 小 計. 国 債. 地方債. 現 金 農工債. 滋 賀. 54.3. (10.9). (35.7). (6.7). 44.1. (3.9). (9.8). (14.2). 1.5. 京 都. 66.4. (0.8). (41.3). (22.3). 31.2. (3.8). (9.6). (6.1). 2.4. 大 阪. 67.3. (0.8). (27.8). (36.1). 31.1. (3.0). (6.3). (6.8). 1.6. 兵 庫. 70.1. (1.0). (33.1). (34.1). 27.2. (3.1). (4.9). (9.2). 2.7. 奈 良. 63.9. (0.5). (53.1). (0.3). 34.0. (2.6). (8.1). (16.0). 2.1. 和歌山. 73.4. (12.5). (40.8). (18.6). 22.0. (5.6). (4.2). (4.5). 4.5. (1)農林省経済更生部『産業組合要覧』1938 年より作成.. 1920 年代の構造を再びとったのでである.. の点後述).このように,1930 年代後半は,全. 1930 年代後半には,増大する貯金を中核にし. 国的に増大する余裕金が系統機関へ集中する時. た運転資金の構造をよりいっそう強固にしつ. 期であり,ここに系統産業組合機関は,全国的. つ,全国的に貯貸率の低落を導いていたのであ. な資金の「有無相通」という当初の目的を預金. る.. 面において達成していったのである.. 増勢する運転資金は余裕金の増加へとつなが. 資金運用の他方の柱である貸付金は,東北. る.1938 年には,近畿型で運転資金の 71 %が,. 型・養蚕型では運転資金の 51 %・ 41 %をそれ. 養蚕型・東北型でも 39 %・ 27 %が余裕金へ流. ぞれしめ,依然として高い比率を示した(1938. 入した(表 12 参照).養蚕型・東北型では余裕. 年,表 12 参照).ただし,1 組合当の貸付金額. 金の大部分が系統機関への預ヶ金である.近畿. は近畿型が依然として東北型の約 2 倍の規模を. 型産業組合余裕金の内訳を詳細に示した表 13. もっている.1937 年の貸付金用途を表 14 に示. によれば,1938 年には,Ⅱ期に近畿型産業組. した.1933 年(表 9)と比して家計資金が漸減. 合余裕金の多くを吸収していた銀行の地位がい. し,その代わりに生産・流通資金が漸増してい. っそう後退し,それに代わって系統預ヶ金と有. る.3 地帯のなかでの家計資金の割合は,依然. 価証券の比率が増大する.昭和恐慌期には,利. として東北型・養蚕型で高かったが,昭和恐慌. 率面で不利であった系統への預ヶ金も,Ⅳ期の. 期に固定化した貸付金もこの時期にやっと整理. 低金利政策の遂行の過程で一定の金利水準を確. され出したのである.. 保し,系統預ヶ金の比率増大をもたらした(こ. 以上,県レベルに集計された数値をもとに産.

(17) . 表 14 地 域. 内訳 府県. 産業組合貸出金用途の府県別構成(1937年末). 農 業 資 金 土地. 肥料. 商 業. (小計). (%,千円). 家 計 資 金. 1 組合. 旧債借替. 平均計. 経済. (小計). 青 森. 21.9. 8.7. (37.1). 3.1. 19.9. 30.6. (50.5). 70. 東. 岩 手. 14.7. 3.3. (22.0). 18.8. 10.0. 35.1. (45.1). 68. 宮 城. 10.4. 6.9. (25.1). 3.4. 12.3. 44.0. (56.3). 65. 北. 秋 田. 13.6. 5.6. (27.2). 2.3. 15.9. 45.4. (61.3). 62. 山 形. 14.9. 4.1. (22.4). 6.2. 9.0. 12.9. (21.9). 212. 福 島. 8.9. 7.2. (22.0). 16.3. 15.5. 40.0. (55.5). 79. 新 潟. 9.4. 0.4. (19.9). 18.2. 18.1. 22.4. (40.5). 112. 養. 長 野. 11.1. 1.9. (22.4). 18.1. 14.7. 32.4. (47.1). 199. 蚕. 群 馬. 8.1. 14.6. (50.9). 7.4. 4.0. 32.0. (36.0). 54. 滋 賀. 20.3. 3.2. (28.9). 21.3. 14.3. 23.4. (37.7). 209. 近. 京 都. 13.8. 1.4. (19.5). 27.4. 22.7. 12.6. (35.3). 175. 大 阪. 28.6. 4.2. (35.1). 15.1. 13.3. 24.3. (37.6). 126. 畿. 兵 庫. 16.7. 4.6. (25.1). 15.5. 25.3. 14.1. (39.4). 135. 奈 良. 21.7. 5.3. (34.0). 13.7. 10.8. 18.1. (28.9). 198. 和歌山. 22.9. 10.5. (38.8). 16.9. 12.5. 13.2. (25.7). 122. 岐 阜. 29.1. 2.4. (36.6). 19.0. 10.0. 22.1. (32.1). 113. 全 国. 16.6. 5.6. (27.8). 17.3. 16.6. 21.5. (38.1). 124. (1)組合金融研究会『組合金融』1938 年5月より作成. (2)全国 645農村信用組合の調査.. 業組合の資金構造を時期別・地帯別に分析して. た.ここでは,資金規模に地域的な差があるも. きた.ごく要約的にその特徴をまとめれば,貯. のの,資金構造は全国的に同質的な貯金組合と. 金を中核に規模の大きい運転資金をⅡ期に集積. なることを特徴とした.. した近畿型では,生産部門への貸付金も多く, 余裕金も創出してⅢ期の恐慌の打撃も相対的に. g 資金市場と階層構造―― 3 地帯の比較――. 転微であった.この対極に位置する東北型では,. ①資金市場のなかの産業組合. 運転資金規模が小さく,Ⅱ期から借入金依存を. 県レベルの数字に即して産業組合金融のあり. 深めながらオーバーローンに苦しんでいる.貸. 方を地帯別に検討してきた特徴をさらに深く把. 付金用途は消費資金が多く,Ⅲ期には組合経営. 握するために,資金市場と農村の階層構造の 2. がいっそう悪化した.これに対し,近畿型・東. つの面から考察する.その際に,地域としては. 北型の中間に位置する養蚕型はⅡ期にオーバー. 長野県,岐阜県,新潟県の3つをとりあげる.. ローンを解消するものの,運転資金規模は近畿. この 3 県を対象にするのは,村レベルの産業組. 型ほど大きくなく,消費的貸付が多かった.Ⅲ. 合の事例を分析したことによる.私はすでに長. 期に入ると再びオーバーローンにおちいり,借. 野県安曇地方(南安曇郡温村)と岐阜県西濃地. 入金に大きく依存する構造に変転していった.. 方(本栄郡網代村)の事例を分析している 28).. Ⅲ期までは,以上のような構造をとっていた 3. 長野県安曇地方は養蚕型を代表する地域であ. 地帯の産業組合の資金構造が,オーバーローン. り,岐阜県は県としては近畿型に相当しないも. を全国的に解消していくのが次のⅣ期であっ. のの,そのなかの西濃地方は近畿型農業構造を.

(18) . 表 15. 預貯金市場・. 預  貯  金  市  場 年次. 新 潟 県. 貸. 長 野 県. 銀行(A) 産組(B) 郵貯(C) 計. A. B. C. 岐 阜 県 計. 1916. 80.1. 2.3. 17.6 4517. 20. 80.2. 3.1. 16.6 10725. A. B. 82.4. C. 3.8. 年次. 新 潟 県. 計. 銀行(D) 産組(E) 1916. 94.9. 5.1. 20. 93.8. 6.2. 13.9 10742. 22. 82.3. 5.5. 12.2 1766. 78.3. 7.2. 14.4 13044. 81.8. 4.6. 13.6 12687. 22. 91.6. 8.4. 24. 78.2. 9.7. 12.1 1957. 73.0. 12.6. 14.4 14611. 77.8. 10.1. 12.0 15343. 24. 89.5. 10.5. 26. 78.3. 11.5. 10.2 1843. 66.8. 20.8. 12.5 18164. 75.3. 15.0. 9.7 18706. 26. 86.3. 13.7. 28. 75.5. 11.3. 13.2 2730. 64.7. 22.3. 13.1 20979. 69.6. 15.6. 14.9 20454. 28. 83.8. 16.3. 30. 71.4. 13.5. 15.0 3434. 54.6. 21.1. 24.3 21066. 56.8. 16.5. 26.7 21347. 30. 80.2. 19.8. 32. 67.3. 15.4. 17.3 3492. 48.8. 18.1. 33.1 18824. 49.5. 14.5. 36.0 21353. 32. 80.1. 19.9. 34. 71.2. 13.9. 14.9 3636. 49.0. 17.2. 33.9 19806. 41.4. 19.0. 39.6 20192. 34. 78.3. 21.7. 36. 71.3. 14.4. 14.4 4178. 48.2. 17.5. 34.3 21882. 41.5. 20.1. 38.4 22836. 36. 78.9. 21.1. 38. 68.3. 15.9. 15.8 5759. 41.1. 22.5. 36.4 28811. 38. 79.8. 20.2. (1) 『銀行局年報』 , 『産業組合要覧』 , 『貯金局統計年報』各年より作成.. 表 16 新  潟  県 中金 1926.1. 0.1. 信連. 普銀. 特銀. 56.7. 15.6. 長  野  県 個人. 6.0. 産業組合借入. その他. 17.2. 4.3. 中金 3.0. 信連. 普銀. 特銀. 65.8. 5.8. 個人. 21.3. その他. 0.1. 4.0. 27.1. 3.1. 61.0. 17.6. 8.0. 4.8. 5.5. 4.5. 62.8. 11.7. 13.3. -. 7.7. 28.1. 23.3. 50.2. 8.8. 12.1. 3.5. 2.0. 49.5. 32.1. 3.1. 13.4. 0.1. 1.6. 33.6. 28.7. 48.3. 15.8. 7.2. 44.5. 30.8. 18.3. 6.4. 35.6. 16.4. 63.3. 18.0. 2.4. 45.8. 31.0. 16.7. 6.6. 37.6. 4.9. 71.2. 20.4. 3.4. 34.6. 58.0. 5.5. 1.9. 39.6. 25.8. 60.3. 6.5. 7.4. 42.3. 39.0. 9.0. 9.6. (1)1926∼28年は,産業組合中央金庫『農村市街地信用組合金融事情調査』,1933 ∼39 年は『産業組合要覧』より作成. (2)前資料は,3500組合前後のサンプル調査であり,後資料と異なるが,比較は可能であると思われる.. 表 17 新  潟  県 中金. 信連. 銀行. 産業組合預. 長  野  県. 個人. その他. 中金. 信連. 銀行. 個人. その他. 1926.1. −. 39.8. 50.8. 8.9. 0.4. −. 33.6. 65.9. 0.4. 27.1. −. 31.5. 56.1. 12.0. 0.5. −. 32.7. 67.0. 0.2. 2.3. 28.1. 0.5. 35.6. 61.1. 33.6. 1.0. 49.1. 49.3. 0.5 0.7. −. 49.7. 50.1. 0.1. 2.6. 58.2. 38.7. 0.5. 35.6. 0.8. 55.2. 42.9. 1.0. 6.8. 64.0. 28.7. 0.4. 37.6. 0.2. 54.9. 44.4. 0.5. 7.2. 73.9. 19.1. 0.7. 39.6. 0.1. 58.3. 41.0. 0.6. 4.5. 80.9. 13.8. 0.7. (1)前表に同じ..

(19) . 貸出市場の構成(三県). 体現した地域ということができる 29).また,こ. (%,万円). こでは詳述できないが,新潟県蒲原地方の事例. 貸  出  市  場 県. 長 野 県 D. 5496. 96.7. 3.3 5092. 96.4. 3.6 3048. 業構造に類似した性格をもっている.近畿型・. 10470. 96.3. 3.7 15104. 93.9. 6.1 7641. 東北型は,本来ならば今まで検討してきた 6. 12562. 95.2. 4.8 17786. 91.7. 8.3 8465. (府)県の中から事例を選定すべきであり,岐. 13976. 91.8. 8.2 16292. 87.9. 12.1 9784. 阜県西濃地方及び新潟県蒲原地方をとりあげた. 15816. 86.7. 13.3 20510. 83.4. 16.6 11994. のは主として私の史料収集状況によっている. 14744. 81.6. 18.4 23638. 75.8. 24.2 9819. が,これらの事例からでも 3 地帯の比較は可能. 15389. 73.2. 26.8 18240. 70.8. 29.2 10513. であり,以下,対象とする岐阜・新潟・長野 3. 15827. 66.7. 33.3 14340. 56.7. 43.3 6765. 県をとりだして,県レベルの預貯金市場,貸出. 14542. 67.2. 32.8 13994. 56.7. 43.3 6797. 市場,産業組合の展開度などを検討しておく.. 14746. 68.3. 31.7 13594. 59.3. 40.7 7109. 表 15 から表 18 をみてほしい.表 15 は,預貯. 41.1 7158. 金市場・貸出市場の構成,表 16 は産業組合借. 70.3. 計. D. 29.7 13050. E. 潟県は東北地方に属さないとはいえ,東北型農. 計. 14585. E. (北蒲原郡黒川村)を別途考察している 30).新. 岐 阜 県. 58.9. 計. 入金の借入先別比率,表 17 は産業組合預ヶ金 の預ヶ先別比率,そして表 18 は産業組合の資 金の構成(三県). (%). とにはじめに岐阜県の位置を確定する.. 岐  阜  県 中金. 信連. 普銀. 特銀. 金構造を 3 県ごとに示してある.この 4 表をも. 個人. その他. 表 15 から岐阜県の預貯金市場にしめる産業. 1.0. 14.4. 4.9. 28.8. 2.1. 48.8. 組合貯金の比重をみると,1920 年代前半に 4 %. 0.3. 22.7. 7.9. 31.4. 0.2. 37.5. → 15 %に急増し,1920 年代後半には 17 %まで. 33.8. 12.1. 6.2. 25.5. 1.4. 21.1. 漸増する.Ⅲ期になると 15 %までダウンする. 31.7. 39.6. 16.9. 11.7. が,Ⅳ期には再び上昇して 20 %を超える水準. 27.4. 65.6. 5.0. 2.0. に到達する.これに対して,貸出市場では産業. 14.3. 76.9. 7.5. 1.3. 組合の位置がより高く,Ⅱ期にはすでに 30 %. 27.6. 33.3. 8.4. 30.6. 近くの比率をしめながら,Ⅲ・Ⅳ期には 40 % へとさらに上昇する(同表参照).金融市場に おける産業組の地位は,3 県のなかで岐阜県が もっとも高く,一方それと反比例的に銀行の地. ヶ金の構成(三県). (%). 位低下が著しいのも岐阜県であった.金融市場. 岐  阜  県 中金. 信連. 銀行. 個人. その他. −. 36.1. 61.7. −. 2.1. −. 36.8. 63.2. −. 0.02. 0.5. 0.01. 41.1. 58.4. 6.3. 67.6. 25.1. 0.03 1.0. 0.7. 75.1. 23.1. 1.1. 0.4. 76.9. 21.6. 1.2. 0.1. 76.7. 22.2. 0.9. 28)長野県南安曇郡温産業組合― 大門正克 「産業組合の拡充と農村構造の再編」『土地制度史 学』第 91 号,1981 年 4 月,岐阜県本巣郡網代産業 組合―大門正克「農民的小商品生産の組織化と 農村支配構造」『日本史研究』第 248 号,1983 年4 月. 29)岐阜県西濃地方の位置づけについては,森 武麿編『近代農民運動と支配体制』柏書房,1985 年,参照. 30)新潟県北蒲原郡黒川産業組合(未発表)..

(20) . 表 18 地. (%,千円). 運  転  資  金 年次. 域 新. 産業組合の資金構造(三県). 自給. 他給. 資金. 資金. 資 金 運 用. (内  訳) 貯金. 借入金. 1928. 41.3. 58.7. (54.6). 1 組合. 貸付金. 余裕金. 平均計. ( 4.1). 88. 71.1. 28.9. 33. 21.3. 78.7. (67.1). (11.5). 132. 72.7. 27.3. 潟. 38. 18.3. 81.6. (76.4). ( 5.2). 155. 46.7. 53.3. 長. 1928. 20.1. 79.9. (66.1). (13.8). 239. 65.8. 34.3. 33. 25.4. 74.6. (48.5). (26.0). 194. 70.2. 29.8. 野. 38. 25.9. 74.1. (55.9). (18.2). 177. 60.8. 39.2. 岐. 1928. 13.7. 86.3. (79.8). ( 6.5). 188. 60.4. 39.6. 33. 16.1. 83.9. (72.0). (11.9). 138. 68.9. 31.1. 38. 15.4. 84.6. (81.2). ( 3.4). 187. 42.2. 57.8. 阜. (1) 『産業組合要覧』より作成. (2)資金運用の 1933年は,1932 年.. における銀行の地位は,とりわけⅢ・Ⅳ期に大. った.また,貯貸率はⅡ期に 100 %を割り,そ. きく低下し,預貯金市場では 4 割の水準に,貸. の後もオーバーローンにならずに推移した(図. 出市場でも 6 割の比重にまで下降した.. 1参照).以上,金融市場との関連,資金構造. 岐阜県における産業組合と銀行の関係を,産 業組合の借入金・預ヶ金の側から検討してみよ. の性格からして,岐阜県の産業組合は,近畿型 の特徴を典型的にもつといえる.. う.まず借入金は,Ⅱ期に特殊銀行の割合が大. 次に新潟県の産業組合は,金融市場における. きく,系統機関の比率は小さい(表 16).しか. 比重が 3 県のなかでもっとも低く,逆に銀行の. し,Ⅲ期になると借入金の系統化が進み,借入. 比重が一番高い(表 15).預貯金市場での産業. 金の 6 ∼ 9 割を系統に依存するように変化して. 組合貯金の比率は,Ⅱ期に 6 %∼ 14 %まで伸び. 逆に銀行の比重がわずかとなる.銀行と系統機. るが,Ⅲ期以後の上昇は鈍く,Ⅳ期にも 15 %. 関の逆転的関係は産業組合の預ヶ金についても. 前後にとどまる.貸出市場でも産業組合の貸出. 確認される(表 17).Ⅱ期には 6 割が銀行預ヶ. 比率はⅢ・Ⅳ期に 2 割であり,4 割をしめる岐. 金として運用された産業組合の余裕金は,Ⅲ期. 阜県とは大きな差があった.ただし,産業組合. になると県信連にその比重を移し,以後は 7 ∼. の借入金はⅡ期から系統利用が高いが(表 16) ,. 8 割を県信連に預ヶ入れるようになる.このよ. これは東北型に早期にみられる傾向である.産. うに,岐阜県にあっては,銀行の地位低下の画. 業組合預ヶ金の預ヶ先が,Ⅱ期の銀行からⅢ期. 期が金融市場の構成でも産業組合との関係でも. の県信連に転換する点は岐阜県と同様である. Ⅲ期にあることがわかる.また金融市場にしめ. (表 17).表 17 から産業組合の資金構造をみれ. る産業組合の比重がもっとも高いのも岐阜県で. ば,Ⅲ期以降運転資金にしめる貯金の比重が 7. あった.. ∼ 8 割だった近畿型と相似した構造になるが,. 表 17 から岐阜県産業組合の資金構造を一瞥. 自給資金の比重も依然として高く,資金運用は. しておけば,3 県の中でⅡ∼Ⅳ期を通じて運転. 貸付金を中心としていて,しかもⅢ期にはオー. 資金中の貯金比重が最も高く(7 ∼ 8 割),資金. バーローンになっている.新潟県の産業組合は,. 運用中の余裕金比重が最も高いのも岐阜県であ. 東北型としての特徴をかなり反映しているとい.

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