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現代の<森の民>—中部アフリカ、バボンゴ・ピグミーの民族誌— (資料紹介)

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Academic year: 2021

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現代の<森の民> 中部アフリカ、バボンゴ・ピグ

ミーの民族誌 (資料紹介)

著者

児玉 由佳

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アフリカレポート

発行年

2013

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

(2)

31 アフリカレポート 2013 年 No.51 Ⓒ IDE-JETRO 2013

現代の〈森の民〉

――中部アフリカ、バボンゴ・ピグミーの民族誌――

松浦 直毅 著 京都 昭和堂 2012 年 xi+ 244+ivp. 本書は、著者が 2002 年よりフィールド調査を行ってきた中部アフリカ・ガボンのバボンゴ・ピ グミーに関する民族誌である。2008 年に京都大学大学院理学研究科に提出された博士学位論文に 大幅な加筆・修正を加えたものである。 バボンゴ・ピグミーは、他地域のピグミーとは異なり、定住化が進む中で周辺の民族と比較的 対等な社会的地位を獲得している。本書は、それを可能としている要因について、経済的、社会 的そして文化的側面から分析を進めている。 本書の特徴として、調査過程における著者の思考を率直に語っている点が挙げられる。著者が 意図したものなのかはわからないが、ストレートな心情の吐露は本書に独特の「軽さ」をもたら している。文化人類学を専門としていない読者にも読み進めやすい本である。 本書は、終章を入れて 7 章で構成されているが、大きな流れとして 3 つに分けることができる。 まず、バボンゴの定住生活の実態が明らかにされ、次に近隣の農耕民とどのような関係を構築し ているのかが分析される。そして最後に、どのような歴史過程を経てバボンゴ社会が現在の形へ と変容してきたのかが検討されている。 もっとも多くのスペースが割かれているのが、二番目の近隣の農耕民との関係構築に関する分 析である。先行研究では、ピグミーが狩猟採集活動から農耕へと生業の軸足を移していく過程で、 農耕民によるピグミーへの差別が強まる傾向にあることが指摘されてきた。しかし、バボンゴの 場合は、頻繁な交流を通して近隣の農耕民と友好的な経済的・社会的紐帯を形成することで、差 別の拡大ではなく、より対等に近い関係を築いている。本書は、その要因について、経済的関係 だけでなく、社会制度や言語の共有、彼ら独特の儀礼のもつ政治的・社会的権威など、さまざま な側面から検討している。特に、バボンゴと周辺民族との間の文化的、社会的そして政治的な関 係性の構築において、儀礼が大きな役割を果たしていることが明らかになる第 5 章は非常に興味 深い。ピグミーの文化人類学的研究において、一つの重要な参照枠となる研究である。 児玉 由佳 (こだま・ゆか/アジア経済研究所)

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