ドイツ計算制度論考
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(2) 一 つ の 領 域 が 計 算 制 度(Rechnungswesen)で. あ る1) 。 経 営 と 企 業 の 計 算 制 度 の シ ス テ ム化 の 科 学. 的 取 扱 い が 研 究 と して 整 序 さ れ た 始 ま り は 、 レー マ ン(Lehmann,M.1886-1965)に メ ス(Calmes,A)と. シ ュ マ ー レ ン バ ッハ(Schmalenbach,E.1873-1955)に. 求 め ら れ る2)、の で あ. る 。 そ し て 経 営 計 算 制 度 の 基 本 的 構 想 は 、 モ ッ ク ス タ ー(Moxter,A.)に. よ れ ば 、1920年 代 の 終 り. に 獲 得 さ れ た3)、 の で あ る 。 現 代 に お け る 計 算 制 度 部 門 は 、 ヴ ェー エ(W 決 算(Jahresabschu゚)、 gleichsrechnung)に. 原 価 計 算(Kostenrechnung)、. よれ ば 、 カル. he,G.)に. 統 計(Statistik)お. よれ ば 、 年 次. よ び 比 較 計 算(Ver-. よ り4)、有 機 的 に 構 成 さ れ 、 さ ら に ヴ ェ ー バ ー(Weber,W.1939-)に. よれ ば 、. 外 部 志 向 的 年 次 決 算 、 企 業 内 部 的 な 利 用 目的 を も つ 原 価 計 算 、 長 期 的 な 投 資 決 定 を 志 向 す る 投 資 計 算(lnvestitionsrechnung)に. よ り5)、 構 成 さ れ て い る 。 し か し計 算 制 度 の 各 部 門 は 、 本 来 、個 別. 的 に 生 成 し て 来 た も の で あ り、 そ れ ぞ れ の 個 別 部 門 史 を 有 し て 来 て い る 。 例 え ば 、 簿 記 の 部 門 で は 、 商 業 企 業 の 会 計 実 務 か ら 、 物 的 勘 定 学 説 の 一 つ と し て 物 的 二 勘 定 学 説 が 、1880年 ー グ リ(Hugli. ,F.1833-1902)6)や. シ ェ ア ー(Schar,J.F.1846-1924)7)に. 代か ら ヒュ. よ り、 資 本 主 理 論 と し て 形 成. さ れ て 来 て い る 。 今 一 つ の 貸 借 対 照 表 学 説 と し て 、 ニッ ク リ ッ シ ュ(Nicklisch,H.1876-1946)8)の 企 業 主 体 理 論 が 展 開 さ れ て 来 て い る 。 原 価 計 算 で は 、 工 業 企 業 の 会 計 実 務 か ら 、1860年 トシ ャ ル ク(Gottschalk,C.G.)9)や. そ の 後 の バ レ ブ ス キ ィー(Ballewski,A.)10)の. 代 の ゴッ. 原 価 計算 論が成 立. して い る の で あ る 。 こ の よ う に19世 紀 末 ま で は 、 計 算 制 度 の う ち 、 簿 記 と原 価 計 算 は 、 実 務 に お い て も 、 計 算 制 度 と し て も、 相 互 関 連 付 け て 取 り扱 わ れ て 来 な か っ た 。 し か し ドイ ツ に お い て 1903年 経 済 恐 慌 後 の 工 業 企 業 の 大 規 模 化 に 伴 な い 、1904年. 以 降 、 工 業 大 企 業 の 組 織 化 と管 理 化 が. 進 め られ 、 そ の 一 環 と して 、工 業 大 企 業 で の簿 記 と原 価 計 算 との有 機 的 に結 合 した計 算 制 度 が 問 題 と な り、 経 営 学 と の 関 連 が 取 り上 げ ら れ る よ うに な っ た の で あ る 。 こ の よ うに 経 営 学 の 対 象 と して 経 営 組 織 と 簿 記 と原 価 計 算 の 結 合 し た 計 算 制 度 を 研 究 した 最 初 の経 営 学 者 が 、 カ ル メ ス で あ る。 以 下 の 論 述 で は 、 カ ル メ ス に 始 ま り、1930年. 度 の計 算 制 度 の 統 一 案 お よ び1930年. 代 ニ ック リ ッ. シ ュの 計 算制 度 論 確 立 の 期 間 ま で に 自己 限定 す る。. Ⅲ力ル メス経営学 と計算制度論. 1組. 織 と計 算制度. ドイ ツ経 済 発 展 の 構 造 上 の変 化 は 、1904年 以降 、 新 興 工 業 大 企 業 コ ン ツ ェル ンを 形成 し始 め る 時 期 を 迎 え る もの とな る。 この よ うな 時 期 に至 り、 カル メ ス は 、有 機 的 な 計 算 制度 論 を 問題 と し 始 め るの で あ る。 カル メス は 、1906年 著 書 『 工 業経 営 論 』初 版 序 文 で 、 まず 簿記 と原 価 計 算 に つ い て の計 算 制 度 を問 題 と し、 次 に 管 理 組 織 と計 算 制 度 との有 機 的 関 連 の研 究 の必 要 性 を 述 べ 、 工 業組 織 の有 機 的 部 分 として 、工 業 的計 算 制 度 を把 握 す る こ とが 正 しい と考 え る1)、の で あ る。 そ の後 、 カル メス の 26.
(3) 工 業 組 織 に 対 す る認 識 が さ らに 深 ま り、『前 掲 書 』第 二 版1908年 序 文 で、著 書 の基 本 的 構 想 を3点 に要 約 し、 工 業 組織 が 全 体 の 基礎 を 形成 す る、 とす る。 そ の構 成 は 、1.組 織 と計 算 制 度 、2 .簿記 と原 価 計 算 、3.原 価 計 算 の形 態 で あ る。 第 一 版 に比 して 、第 二 版 は、 そ れ 自体 に お い て 、 工 業 の 商 事 的経 営学(kaufmannischeBetriebslehrederIndustrie)を. 論 述 す る よ うに 拡 大 され る もの と. な った2)、の で あ る。 カル メ ス に よれ ば、計 算 制 度 とは 、組 織 の 統 合 的 な 構 成 部 分 を 形 成 す る3)、も ので あ るの で 、 ま ず 組 織 を 、 しか る後 に 計 算 制 度 を 取 扱 うもの と して 、「 組 織 の概 念 」 とそ の基 本 的特 質 を 問題 とす る4)。そ の 際 、 カル メス は 、 合 理 的 な 技術 的経 営 で な く、 合理 的 な商 事 的経 営 の 諸 原 理 を 理 解 す る4)もの と して 、 そ の 対 象 を 限 定 す る。 こ の よ うに 規 定 さ れ た 商 事 的 経 営 組 織 の 概 念 は 、 秩 序 (Ordnung)と. 分 業(Arbeitsteilung)と. 統 制(Kontrolle)の3様. を含 む も の で あ る 。 ま ず 秩 序. は 、収 益 的 営 業 の基 本 的 杭 で あ る4)。次 に 分 業 は 、商 事 的 管 理 の 領域 に も適 用 され るべ きで あ り、 拡 大 した 分業 は 、す べ て の協 働 者 と して 、 そ の義 務 の達 成 に導 く厳 格 な統 制 を 不 可 欠 とす る 。 さ らに統 制 は 、主 と して 計 算 制 度 、特 に原 価 計 算 の 内 に あ る5)。こ の よ うに 〔経 営 〕組 織 と計 算 制 度 は、 相 互 に補 完 し、 影 響 し合 う6)、の で あ る。 カル メ ス は 「 組 織 の観 点 か ら」 工 場 を 同 じ く商 事 的 と技 術 的 部 門 に 分 け 、 商 事 的部 門 は売 買 を 行 う営 業 で あ り、 技 術 的 部 門 は 材 料 を 資 本 と労 働 に よ り加 工 す る生産 経 営 で あ る。 こ の 分 類 は 、 〔2部 門 の〕 簿 記 の 勘 定 体 系 に お い て 最 大 の 意 義 を 有 す る もの とな る7)。ま た 「 管 理 」 を商 事 的 と 技 術 的 部 門 に 分 け 、 特 に 商 事 的 部 門 で は 、 合議 制 原 則(kollegialesPrinzip)と. 指 導 者原 則(direk-. torialesPrinzip)が 取 り扱 わ れ8)、指 導 者原 則 の下 で は 、 管理 が唯 一 者 の手 に統 一 され る とい う利 点 を有 して い る9)、と評 価 す る。. 2計. 算制度. カル メ スに よれ ば 、 工 場 の 個 々 の部 門 を経 済 性 に 基 づ い て判 定 し よ うとす る製 造 業 者 は 誰 で も、 各 部 門 の 成 果 を 測 定 しな け れ ば な らず 、 こ こか ら簿 記 と原 価 計 算 の重 要 性 が 明か に な る、 とす る。 つ ま り計 算 制 度 と は 、 原 価 計 算 と結 び つ い た 簿 記(BuchhaltunginVerbindungmitder Kalkulation)が. 、技 術 的製 造過 程 とそ れ と結 びつ い た商 事 的営 業 を詳 し く計 数 的 に 叙 述 す る とい. う 目的 を追 求す る10)、こ とで あ る。 カ ル メ ス は、 計 算 制 度 を企 業 の経 済 的 状 態 の 計数 的 形 象 を 与 え る11)ところ の体 系 的記 録 を計 算 の全 体 と理 解 し、 計 算 制 度 を 領 域 と技 術 に よ り、 簿 記 、 原 価 計 算 、 統 計 の3部 門 に分 け る12)、とす る の で あ る。 まず1.簿 記 は 、 企 業 財 産 の全 体 と部 分 〔積 極 と消 極 〕 を 表 示 し、 また価 値 諸 変 動 に よ り、 企 業 内部 で 発 生 す る損 益 を 体 系 的 に 表 示 す る もの で あ る。 次 に2.原 価 計 算 は 、一 定 の経 済 活 動 の費 用 と成 果 の 計 算 〔特 殊 原 価 計 算 〕 と一 定 の 継 続 期 問 の 同 種 の経 済 的給 付 な い し一 企 業 の全 体 給 付 と そ の 部 分 給 付 の 計 算 〔全 体 原 価 計 算 〕 を 包括 す る12)もの で あ る。 さ らに3.統 計 と統 制 は、 企 業 内 部 で の経 済 的 に 重 要 な諸 事 実 に つ い て の 継続 的諸 記録 を包 括 し、 そ の諸 記 録 が 簿 記 や 原 価 計 算 の 27.
(4) 尺 度 〔領域 〕を 越 え て問 題 と され る 場 合 に 初 め て、計 算 制 度 の特 別 な部 門 と して 取 り扱 わ れ る13)、 の であ る。 さて 簿記 と原 価 計 算 の 関係 に つ いて 、 カル メス に よれ ば 、前 者 は商 業 実 務 か ら、 後 者 は工 業 実 務 か ら発 生 した もの で あ るた め 、 実 際 界 で は 、 両者 は相 互 に何 等 共 通 した もの を 少 しも持 た な い 計 算構 造 で あ る とい う視 点 に 立 って い る。 しか しな が ら 、工 場 の簿 記 と原 価 計 算 との 間 に は 密 接 な関 係 が あ る。 第 一 に 、簿 記 は 、 諸 勘 定 に 基 づ い て企 業 の価 値 諸 変 動 を 秩 序 づ け る。 す な わ ち 各 勘 定 は 、原 価 計 算 の各 要 素 を 含 む もの で あ るか ら、少 な くと も原 価 計 算 に役 立 つ とい うこ とで あ る。 第二 に 、簿 記 は 、二 重 記 帳 原 則 の た め 、 自 らを統 制 す る ので 、 原 価 計 算 の統 制 は 、 簿 記 に 内 在 す る14)、 とい う ことで あ る。以上 の考 察 か ら、カル メ ス は、工 業 企 業 に お け る簿 記 と原 価 計 算 の 完 全 な 分離 は、 非 論 理 的、 非経 済 的 で 危 険 です らあ る、 と し、 工 場経 営 に お け る両 者 の密 接 な結 合 に つ い て、 簿 記 は原 価 計 算 の 基 礎 と統 制 で あ り、 原 価 計 算 は 簿 記 の補 完 で あ る15)、と 関 係 づ け るの で あ る。. 3工. 場簿記 と原価計算. カル メス に よれ ば、 まず 工場 簿 記 は 、特 別 の簿 記 で は な く、 工業 経 営 で の生 産 技 術 の種 類 に よ り条件 づ け られ た 簿 記 学 原 理 の応 用 に よる もの で、 そ の 独 自的 諸 要素 は次 の4点 で あ る。1.諸 経 営 の分 割 か ら、 計 算 単 位 と して特 別 の勘 定 が表 示 され る。2.簿 記 と原 価 計 算 の関 係 は、 特 別 の原 価 計算 勘 定 の設 置 とな る。3.簿 記 は 、概 観 と統 制 に つ い て 、 商 事 的営 業 に お い て よ りも、 工 場 経 営 に お いて 高 度 の必 要 性 を 示す 。4.工 場 経 営 の簿 記 は 、工 場 管 理 の特 別 の正 確 な測 定 と原 価 計 算 に よ り影 響 を 受 け る16)、 の で あ る。 カル メス は 、 次 に 原 価 計 算 を 、 まず 時点 を基 準 に して 、事 前原 価 計 算 と事 後 原 価 計 算 に2分 す る。そ の うち 事 前 原 価 計 算 は、見 積 り、予 算 また は経 営 計 画 と いわ れ る17)。 次 に原 価 計 算 を 、対 象 を 基準 に して3区 分 し、 そ れ を1.購 買 原 価 計 算 、2.生 産 〔製 造 〕 原 価 計 算 、3.販 売 原 価 計 算 とす る。 これ ら原 価 計 算 の うち 、商 業 企 業 は、1.と3.の 原 価 計 算 を認 知 す るが 、 工 業 企 業 で は 、 さ ら に2.の 原 価 計 算 を も考 慮 す る。2.の 生 産 原 価 計 算 の諸 要 素 は、〔販 売 費 用 を含 ま な い〕全 体 的 な 製 造原 価 とな るの で 、 そ の計 算 の定 式 化 は、 製 造 原価 =1.消 費 され た原 料+2.賃. 金+3.各. 種 の経 費. 〔管 理 費 、 租 税 、 給 与 、減 価 償 却 費 等 〕 とな り、 この3点 に 対 応 す る報 告 を 、1.原 料 管 理 、2.賃 金管 理 、3.簿 記 の3部 門 か ら受 け と る の で、 製 造原 価 計 算 は、 これ ら3部 門 の 正確 な組 織 を 前 提 とす る18)、 の で あ る。 さ らに製 造 原 価 計 算 を 形 態 に よ り、 全 体 原 価 計 算 と特殊 原 価 計 算 と に2分 す る。 この うち 全 体 原 価計 算 は、 経 営 、 す な わ ち全 体 工 場 の製 造 原 価 の 測 定 に 向 け られ 、 しか も そ の測 定 は 、簿 記 で行 われ る19)。 一方 、特 殊 原価 計 算 は、個 々の製 品 の生 産 原 価 を 個 々に 直 接 的 で 詳細 な 方 法 で 計 算 す るの で 、簿 記 の勘 定 組 織 に 適合 しな い20)、ので あ る。 また製 造 原 価 の うち1. 原料(Rohstoff)、2.賃. 金 の よ うな 確 実 な 生産 原 価 は 、発 生 した一 定 の経 営 に 、容 易 に確 定 され 、. 割 り当て られ る が 、 これ に対 して、3.各 種 の経 費 は、 工 場 全 体 に よ り引 き起 こ され る の で 、 容 易 28.
(5) に 確 定 され ず 、 割 り当 て られ な い 。 しか し3.各 種 の経 費 も、 一 定 の 尺 度 に 従 って 、 全 体 原 価 計 算 で は 諸経 営 に 、 特 殊 原 価 計 算 で は 諸 製 品 に 、 割 り当 て られ る21)、 の で あ る。. 4計. 算制度 の分類. 以上 か らカ ル メ ス計 算 制 度 の3部 門 を一 括 して示 せ ば、 次 の よ うで あ る。. カル メ ス の計 算 制 度 論 につ い て、 シ ュマー レ ンバッハ は、1908年 次 の書 評 で 、 私 経 済 学 の 立 場 から 「 記 述 的種 類 の提 起 を驚 くべ き方 法 で拡 張 し...簿 記 に お い て 最 良 の ま と ま りあ る叙 述 を 行 って い る」22)と 賞 賛 して い た 。 しか し シ ュ マー レンバ ッハ は、第 一 次 大戦 直 後 、 ドイ ツ国 が 資 本 主 義 体 制 維 持 のた め 、 革 命 ・社 会 化 か ら の政 治 的 、 社 会 的 危 機 を 切 り抜 け よ うと して い た 時 期 の 1919年 に 、 全 体 志 向の 立 場 か ら、 ドイ ツ経 済 に つ いて 「共 同 経 済 的 に は 有 害 で 、 私経 済 的 に は 極 め て 利 益 の 多 い 出 来 事 が 大 量 に 観 察 され る」23}と 慨 嘆 し、経 営 経 済 学 の観 点 か ら、計 算 制 度 の 研 究 を 行 って い る。. IV. シ ュマ ー レ ンバ ッハ 経 営 学 と計 算 制 度論. 1経. 営 と計 算制度. 第 一 次 大 戦 の敗 北 に続 い て起 こ った11月 革 命 は 、経 済 局 面 で 、基 幹 産 業 の社 会 化 の試 み を何 度 か実 施 した が 、失 敗 に 帰 した の で あ る。 しか し戦 後 の経 済 は、 戦 前 ・戦 中 とは全 く異 な った もの とな っ て行 く。 シ ュマー レ ン・バッハ が計 算 制 度 論 を 問題 と した時 期 は 、 ま さ に こ の よ うな1919年 代 に始 ま る の で あ る。 戦 後 、 社 会 化 委 員 会 委 員 を歴 任 した シ ュマー レ ンバッハ は、1919年 論 文 「 原価計算論」で 「 理 論 的 研 究 活 動 を方 向づ け る の は、 共 同経 済 的経 済 性(gemeinwirtschafnicheWirtschaftlichkeit) で あ っ て、 私 経 済 的経 済 性 で は な い」1)の で 、 〔従 来 の〕 専 門 学 「私 経 済 学」 に 対 し、 新 しい 名 称 〔経 営 経 済 学 〕 を 示 す ことが 合 目的 的 で あ る2)、とす る。 しか し現 実 の 多 くの場 合 、私 経 済 的利 害 29.
(6) と共 同経 済 的 利 害 は 一 致 しな い の で 、 党 派 的 な 弱 小 政 府 を もつ 〔ドイ ツ 〕 国家 に あ って は 、 か か る共 同経 済 的 利 害 と私 経 済 的 利害 の不 一 致 は 、 経 済 的 な 重病 とな り、 国家 の 力 とそ の健 康 を 害 せ しめ て い る3)、とす る。 この よ うな ドイ ツ の 現 実 的 な経 済 問題 を 、シ ュ マー レンバ ッハ は、経 営 経 済 学 と計 算制 度 の関 係 づ け 問 題 と して 考 察 し よ う とす る もの で あ る。 か れ に よれ ば 、経 営 経 済 学 の研 究対 象 と して の 「 経 営 〔経 済組 織 体 〕 を 人 間 組 織 体 に な ぞ らえ る な ら、神 経 の課 題 が 、経 営 の計 算制 度 に該 当す る」4)。 ゆ えに 経 営 の 計 算 制 度 は、 身 体 の 神 経 の よ うに 、経 営 の 各 々 の不 足 、 負 傷 、 不 調 を 、経 営 の頭 脳 、 す な わ ち 経 営 管 理 に伝 え る とい う課 題 を 有 す る4)、の で あ る。 そ の 際 、経 営経 済 学 に お け る計 算 制 度 の最 も重 要 な課 題 は 、 共 同経 済 性 の観 点 か ら、原 価 計 算 で あ る と し、 原 価計 算 論 を 以下 の よ うに 定義 す る。 経 営 経 済 学 の 部 分 対 象 と して の原 価 計 算 論 は 、経 営 の 経 済 性 が最 良 の方 法 で促 進 され る よ うに 、 原 価 計 算 を 理 論 的 に 形成 す る。...そ. して す べ て の. 経 営 〔経 済 組 織 体 〕 が で き る限 り、経 済 的 に作 用す る こ とが 、全 体 の利 害 で あ る5)、とす る ので あ る。 しか しな が ら シ ュマ ー レ ンバッハ に よれ ば 、経 営 を 共 同経 済 的 観 点 か ら考 察 す る とは い え 、 国 民 経 済 的 研 究 とは 隔 た って お り、 国 民 経 済 学 と経 営 経 済 学 が 共 有 す る も の は 、 素 材 の 大 部 分 で あ っ て、 精 神 で は な い 、 の で あ る。 つ ま り国民 経 済 学 が 哲 学 的 学 問 で あ るな ら、経 営経 済 学 は 応 用 科 学(angewandteWissenschaft)〔 (Zweckdenken)と. 2計. 当 為 科 学 〕 で あ る の で 、 経 営 経 済 的 思 考 は 、 目的 思 考. な り、計 算 的 思 考(kalkulatorischesDenken)と. な る6)、の で あ る。. 算制度. シ ュマ ー レンバ ッハ は 、経 営 の計 算制 度 を 、外 面 〔通 念 〕的 認 識 に 従 い 、まず 商 事 的 簿 記(kaufmannischeBuchfuhrung)と. 経 営 簿 記(Betriebsbuchfiihrung)に2分. す る。 この うち商 事 的 簿 記. は 、 債 権 、 債 務 お よび交 換 手 段 の 管 理 に 関 係 し、 そ の 対 象 は外 部 〔営業 〕 取 引 で あ る。 これ に 対 し経 営 簿 記 は 、 内 部取 引 を対 象 と し、 そ の 目標 は経 営 過程 を追 跡 し、経 営 過 程 を 経 済 性 に よ り、 経 営 設 備 を 管 理 の秩 序 性 に よ り統 制 す る こ とで あ るが 、例 外 現 象 が存 在 す る と して 次 の よ うに表 現 す る。 す な わ ち年 次成 果 計 算 と貸借 対 照 表 計 算 とは 、 主 と して経 営 〔簿 記 〕 計 算 に属 す る と思 わ れ るが 、 これ ら計 算 は 、複 式 簿 記 の 現 存 に よ り正 規 に は、 商 事 的 簿 記 に属 す る6)、もの で あ る。 そ の上 、経 営 簿記 に属 す る4つ の 計 算 と して、 シ ュマ ー レ ンバッハ は 、1.賃 金 計 算 、2.材 料 計 算 、3.原 価 計 算 、4.成 果 計 算 を取 り扱 う7)。この うち前2者 の1.賃 金 と2.材 料 の計 算 は 、給 付計 算 で あ り、 す べ て 限定 され た対 象 と計 算 目的 を 有 す る。 これ に対 し、後2者. の3.原 価 と4.成 果 の計. 算 は、 前2者 が算 出 した 数 値 の 加 工 の 計 算 で あ り、 経 営 過 程 に お い て 行 わ れ る価 値 移 転 過 程 (Umwandlungsprozeβ)の. 明確 な 追 跡 過 程 を有 してい る。 す な わ ち原 価 計 算 は 、一 成 果 単 位 に. つ い て の原価 の確 定 を 目的 とす るの に 対 し、 成 果 計 算 は 、一 定 期 間 につ い て の最 終 の成 果 と費 用 の 把 握 を 目的 とす る。 成 果 計 算 は さ らに2分. され 、 そ の一 つ は 一 営業 期 間 につ い て の成 果 を計 算. す る年 次 成 果計 算(Jahreserfolgsrechnung)で. 、 そ の 公 的性 格 に よ り商 事 的 簿 記 に 属 し、今 一 つ. 30.
(7) は短 期 間 に つ い て の成 果 を計 算 す る月 次 成 果 計 算(monatlicheErfolgsrechnung)で. 、 〔非 公 的 性. 格 に よ り〕 通 常 、経 営 簿記 に属 す る8)、も ので あ る。 さ らに成 果 計 算 と原 価 計 算 の本 質 的 な相 違 は 、 まず 成 果 計 算が 継 続 的 、 連続 的性 格 を有 す るの に対 し、 原 価 計 算 はそ の よ うな 性 格 で な い こと9)、次 に成 果計 算 が 公 開 性 を 前 提 と す る10) のに 対 し、 原 価 計 算 は 隠 者 で、 経 営 内部 に あ って 公 開 性 を 恐 れ る こ と、 で あ る 。つ ま りこの双 方 計 算 の 性 格 か ら、 原 価 計 算 に おけ る原 価 概 念 と成 果 計 算 に お け る費 用 概 念 との相 違 が 問題 と な る11)。一 方 、 双 方 計 算 の 類 似 性 は 、 公 的 性 格 を 有 す る成 果 計 算 に 正 しい 真実 な計 算 が 存 在 しな い よ うに 、 原 価 計 算 も計 算 技 術 上 の 限 界 を 有 して い る限 り、完 全 な原 価 計 算 は、...高. 度 な 正 確 性 で は な く、. む しろ 正 確性 に経 済 的 限 界 を 有 す る よ うな原 価 計 算 を意 味 す る12)、も の とな るの で あ る。. 3原. 価計算. シ ュマ ー レンバッハ に よれ ば、 経 営 経 済 学 〔の一 部 の 原 価 計 算 〕 の原 価概 念 は 、超 越 的 で な く、 一 定 の 目的 追 求 を 容 易 に し、 そ の 目的 に 従 うべ き もの13)であ る。 そ こで原 価 計 算 の一 般 目的 は 、 経 済 的 給 付 〔生 産 〕 の た め に 、 どれ だ け の 財 貨 価 値 が 消費 され る か を確 定 す る こ とに な る。 こ の 経 済 的 給 付 は 、 財 貨 の 犠 牲 に よ って の み遂 行 され る の で 、 生産 財 貨 が消 費 財 貨 に 対 して 、 余 剰 価 値 を 、 す な わ ち価 値 落 差(Wertgefalle)を. 示 す こ とが重 要 とな る の で あ る。原 価 計 算 の課 題 は 、. この価 値 落差 を個 々 の経 済 的給 付 に つ い て計 算 的 に追 跡 す る こ と と な る14) 、 の で あ る。 次 にす で に見 た 、原 価 計 算 で の原 価 概 念 と成 果 計 算 で の費 用 概 念 と の相違 の確 定 を さ らに詳 し く見 て み る。 まず 原 価 と費 用 は、 発 生 す る財 貨 の消 費15)とい う対 象 に お い て は 、重 な り合 う。 し か し費 用 計 算 が 支 出 に 関わ り合 うた め 、 原 価 と費 用 は 、価 値 評価 に お い て は、 一 致 す る こ とは な い16 ) 、 の で あ る。. す な わ ち 原 価 計 算 に は 、 原 価 と関 連 しな い 費 用 が あ り、 そ の 費 用 を 中 性 費 用. (neutra1erAufwand)と 価(Zusatzkosten)と. 呼 び 、 費 用 計 算 に は 、 費 用 を 意 味 し な い 原 価 が あ り、 そ の 原 価 を 付 加 原 呼 ん で い る。 さ て 原 価 概 念 や 費 用 概 念 は 財 貨 の 消 費 に 関 わ る が 、 こ の 消 費. さ れ た 財 貨 の た め に 支 払 わ れ た 価 格 に は 、 い く らか の 偶 然 性 が 内 在 す る 。 そ こ で 支 払 わ れ た 価 格 は 特 別 の 計 算 価 値 に 取 り替 え る 必 要 が あ り、 そ の 特 別 の 計 算 価 値 に 取 り替 え る 尺 度 と し て 、 原 価 を 原 価 と し て 測 定 し う る最 大 の 比 較 可 能 性 の 原 則(Prinzipdergr6βtenVergleichbarkeit)を て る17). 立. 、の で あ る 。 こ の 比 較 可 能 性 の 原 則 か ら 、 消 費 財 貨 の 評 価 価 値 は 、 計 算 価 値(Kaikulations一. wert)に. 求 め らる もの とな る。この 計 算価 値 の確 定 は 、経 済 性 の 必 要 に 対応 し18)、 こ の 経 済 性 の 追. 求 こ そ が 、 シ ュ マ ー レ ン バ ッハ の い う経 営 の 課 題 な の で あ る。. 4計. 算制度の分類. 以 上 か ら シ ュ マ ー レ ン バ ッ ハ の い う計 算 制 度 の 枠 組 を 一 括 し て 示 せ ば 、 次 の よ うで あ る 。. 31.
(8) 以 上 、 カ ル メ ス や シ ュ マ ー レ ン バ ッハ に 見 ら れ る よ う に 有 機 的 構 成 を も つ 計 算 制 度 論 は 、 経 営 学 の 中 核 を 編 成 して い る 。 さ ら に そ の 後 の ニ ッ ク リ ッ シ ュ1929-1932年 オ ー ル(Kosio1,E.1899-1967)1973年 er,D,1935-)1987年. 著書. 著書. 著書. 『経 営 経 済 』19)やコ ジ. 『経 営 経 済 学 の 構 成 要 素 』20)、シ ュ ナ イ ダ ー(Schneid-. 『経 営 経 済 学 』21)にお い て も 、 計 算 制 度 が 経 営 経 済 学 の 大 部 を 構 成 し て い. る 。 従 っ て 経 営 学 と計 算 制 度 論 の 双 方 の 関 係 づ け が 、 現 在 に お い て も 、 自 明 で あ る と して 、 以 下 で は 、 計 算 制 度 論 に 限 定 し、1930年. Vレ. 1. 代 まで の 、 二 、三 の諸 論 につ い て考 察 す る もの とす る。. ー ヴ ェ ンシ ュタ イ ンの計 算 制 度 論. 計算制度. ドイ ツ経 済 は 、 そ の後1922年 に は、 イ ンフ レ ー シ ョンに よ り通 貨 の 加速 度 的 崩 壊 が 進 み 、対 ド ル 為 替 レー トが 上 昇 運 動 を 示 す に 至 た る の で あ る。 この よ うな 経 済 不 安 定 の時 期 に、 レー ヴ ェ ン シ ュ タ イ ン(Lowenstein,R.)は. 、1922年. に お て 計算制 の 著 書 『計 算 利 益 と 貸 借 対 照 表 成 果 計 算 』1). 度 論 を 展 開す る。 か れ の計 算 制 度 の 分類 は 、 レー マ ンに よれ ば 、 カル メス と シ ュマ ー レンバ ッハ の 区 分 原 則 の 違 い を 結 び つ け よ う とす る試 み で あ る2)、と す る 。 レ ー ヴ ェ ン シ ュ タ イ ン は 、 計 算 制 度 を 、 ま ず1.商 事 的 簿 記 、2.経 営 簿 記 、3.統 計 の3つ 算(Vermogensrechnung)・ nung)の2つ. 交 換 手 段 計 算(Tauschmittelrechnung)と. 成 果 計 算(Erfolgsrech-. と し3)、2.経 営 簿 記 を 、 賃 金 計 算 、 材 料 計 算 、 間 接 費 計 算(Unkostenrechnung)お. よ び 原 価 計 算(Selbstkostenrechnung)の4つ. 2商. に 分 け3)、そ の う ち1.商 事 的 簿 記 を 、 財 産 計. と す る4)。. 事的簿記. 商 事 的 簿 記 の うち 、最 初 の 財産 計 算 は、貨 幣 、債 権 、ス トッ ク(Vorrote)、 機 械 、建 物 、有 価 証 券 等 を 記 録 し、 さ らに営 業 資 本 、資 本 金 、 積 立 金 、債 務 等 を計 算 処 理 す る。 これ ら計 算 記 録 は 、 複 式 簿 記 に お い て在 高勘 定 と して処 理 され 、 そ の残 高 は 、期 末 貸 借 対 照 表 に 財産 と資 本 に 算 入 さ れ る もの で あ る。 貸 借 対 照表 は 、経 営 経 済 的 な 正 しい利 益 計 算 に役 立 ち、 企 業 の 一 定 時 点 に おけ る財 産 価 値 を 示 す5)。第 二 の成 果 計 算 は 、企 業 の一 定 期 間 に お け る経 済 的 活 動 の 成 果 を 表 示 す る6)。 この 成 果 計 算 は 、 長 期 と短 期 に 分 け られ 、 長 期 成 果 計 算 は商 法 上規 定 され た 計 算 で 、 通 常 一 年 毎 32.
(9) に 、 短 期 成 果 計 算 は、 経 営 内部 統 制 のた め に 、 通 常 一 ヶ月 毎 に 行 わ れ る7)、も の で あ る。. 3経. 営 簿 記 と統 計. 経 営 簿 記 は 、狭 義 で は 、経 営 の経 済 〔生産 〕 過 程 の追 跡 を 目的 とす る計 算 部 門 で あ る8)。そ の う ち 、第 一 の賃 金 計 算 は、 工 場 経 営 のた め に費 や され た賃 金 を 記 録 、 分 類 し、 個 々の 生 産 物 の 上 に 費 用 と して どれ だ け の賃 金 が 配 分 され るべ きか の決 定 を 課 題 とす る。 賃 金 体 系 の うち 、 直 接 賃 金 とは 別 に 、 非 生 産 的 賃 金 と称 せ られ る間 接 賃 金 部 分 は 、 間 接 費 と して 一 定 の配 布率 に従 って 配 分 され る もの で 、第三 の 間 接 費 計 算 に属 す る9)もの で あ る。第 二 の材 料 計 算 は、一 部 分 、在 高 計 算 で あ るた め 、商 事 的 簿 記 の在 高 〔勘 定 〕計 算 と極 め て類 似 して い る10)。 この 材料 計 算 は 、材 料 変 動 過 程 の 管 理 を 課題 と し、 賃 金 の 場 合 と同 じ く、 直接 材 料 と間接 材 料 に 分 け られ る。 第 三 の間 接 費 計 算 は 、 間 接 賃金 費 用 と間 接材 料費 用 の記 録 、配 分 を課 題 とす る。 この 間接 費 計 算 の 問 題 は 、 直 接 費 計 算 と異 な り、実 際 の経 費 支 出 を集 計 す る だ け で は解 決 され ず 、 そ の 因果 関 係(Kausalzusammenhang)の. 追 求 、す なわ ち 間接 費 の科 学 的 認 識 に よっ て解 決 され る。第 四 の原 価 計 算 は 、上 の. 三 つ の計 算 の結 果 が、 集 中、 集 約 され る も の で あ り、 経 営 簿 記 の 一 部 分 と して 、上 の三 つ の 計 算 と 同等 の意 義 を 有 す る11)、も ので あ る。 な お この 原 価 計 算 の位 置 づ け は 、 レー ヴ ェ ン シ ュ タ イ ン が 、 カル メ ス と異 な り、 シ ュ マ ー レンバッハ に 合 わ せ た こ とに 拠 って い る もの で あ る。 ま た レー タイン は 、シュ マ ー レンバ ッハ と異 な り、経 営 簿記 か ら成 果 計 算 を 切 り離 し、 商 事 的 ヴェンシュ 簿 記 に位 置 づ け 、経 営 簿 記 に 新 し く間接 費計 算 を 設 定 して い た。 この こ とはシュ マ ー レンバ ッハ が 、成 果 計 算 の公 式 、非 公式 の性 格 を基 準 とす る の に対 し、 レーヴェンシュ タイン が 、 計 算 技 法 を基 準 と した こ とに拠 って い る とい え よ う。 統 計 は 、商 事 的 簿 記 と経 営 簿 記 の枠 内 で取 り上 げ られ えな い 課 題 を 設 定 す る もの で 、統 計 の 目 的 は、 総 合 経 営 を そ の個 々 の機 能 に お い て統 制 し、 監督(Beaufsichtigung)す. る も の で、 カル メ. ス の統 計 概 念 と同 様 で あ る。. 4計. 算制度の分類. 以 上 か ら レーヴェンシュ タイン に よる計 算 制 度 の3部 門 を一 括 して示 せ ば、 次 の よ うで あ る 。. レ ーヴェンシュ. タ イ ン に よ る カ ル メ ス とシュ マ ー レ ン バ ッハ の 結 合 に つ い て 、 レ ー マ ン に よ れ.
(10) ば 、 カル メ スの 区 分 原 則 が計 算 制 度 の領 域 と技 術 に関 わ り、シュ マ ー レンバ ッハ のそ れ は 内部 取 引 と外 部 取 引 の 領 域 区分 に あ る の で、 双 方 の 区 分原 則 の結 合 が 不 可能 な こ とは 明か で あ る12)とし て 、 自ら の計 算 制 度 論 を展 開す る の で あ る。. Ⅵレー マ ンの計算制度論. 1計. 算制度の論理的分類. ドイ ツ経 済 は 、1923年 の通 貨 危 機 か ら、1924年1月. のドーズ 案(賠 償 軽 減 案)成 立 後 、 ア メ リ. カ資 金 が 流 入 し、 投 資 活 動 を 活 発 化 させ た の で あ る。 ドイ ツ で は 、産 業 活 動 が 拡 大 す る と共 に 、 「合理 化 」 政 策 が進 め られ 、新 た な カル テ ル や コ ンツ ェルン が 成 立 し、 「 黄 金 の20年 代」 が 出現 し た の で あ る。 か か る合 理 化 の 時 期 に 至 り、 レーマ ンは 、計 算 制 度 論 を 問 題 にす る の で あ る。 レーマ ンは 、1925年 著 書 『工 業 原価 計 算 論 』1)で は 、 カル メス とシュ マ ー レンバッハ の 区 分原 則 を レーヴェンシュ タイン の よ うに結 合 す る こ とを 回避 し、 区 分 原 則 を 「部 門」 と 「 領 域(組 織)」 に分 け て 、 計 算制 度 を 分 類 して い る。 そ の うち 部 門 の性 格 か ら、 計 算 制 度 を 、簿 記 、 原 価 計 算 、 統 計 お よび経 済 計 画 の4つ に 、 領域 の観 点 か ら、商 事 的 簿 記 と経 営 計 算 の二 重 に 区 分 す る。 しか し レーマ ンは 、 そ の後 の1926年 論文 「 経 営 と企 業 の計 算 制 度 の 体 系 」 に お いて 、25年 の二 重 区 分 原 則 が 、 内 部 的 に深 め られ るべ き方 向 を示 しえず 、そ の欠 陥 を 克 服 す べ き、 新 しい 計 算 制 度 論 、 す な わ ち計 算制 度 の論 理 的 分類 を提 示 す る2)、ので あ る。 レーマン に よれ ば 、 この論 理 的 分 類 の 区 分 原 則 は 、事 前 計 算(Vorrechnung)と. 事 後 計 算(Nachrechnung)で. あ る が、従 来 〔1925年著 書. で 〕 この 区分 原 則 が成 立 しな か った の は、 そ こで は組 織 化 され た 原 価 計 算 の み を考 慮 に 入 れ て い た か らで あ る2)、とす る。 か れ は、 計 算 制 度 の論 理 的分 類 につ い て、26年 前 掲 論文 で 、 ま ず 第 一 に 事 前計 算 に は 、事 前 原 価 計 算 と経 済 計 画 が 含 まれ る。 次 に計 算 制 度 を 部 門 の性 格 か ら 〔1925年著 書 と同 じ く〕1.簿 記 を 期 間計 算 、2.原 価 計 算 を 対 象 計 算 、3.統 計 を 比 較 計 算 、4.経 済 計 画 を 未 来計 算 と見做 して い る。 この うち経 済 計 画 を 事 前 計 算 に 、 簿 記 を 事 後 計 算 に位 置 づ け る。 さ らに こ こで事 前 計 算 と事 後 計 算 との原 則 的 な 〔論 理 的 〕 区 分 に 立 ち 帰 り、 事 後 原価 計 算 に 事 前 原 価 計 算 を対 比 し、 統 計 を 事 後 計 算 に 、 投 機 的 計 算(Spekulationsrechnung)を. 事 前 計 算 に 対 比 す る な ら、 計 算 制 度 の 左 右 対 照. の構 成 を 手 に 入 れ る と して 、 一 時 的 、 暫 定 的 に 次 の よ うな図 表 一1を 示 す3)、の で あ る。 図 表 −1レ. ー マ ン 計算 制 度 の 論 理 的 分 類. 事. 算. 事 1.経. 済計画. 後原 価 計 算. 2.事. 前原 価 計 算. 3.投. 機的計算. .簿 .事 ,統. 後 計 記. 計. 出 所Lehmann,MaxRudolf:SystematikdesRechnungswesensdesBetriebsandderUnternehmung, in:ZfHH.,Heft3.1926.S.60.Sp.2.(abgek.Rechnungswesen).. 34. 前. 計. 算.
(11) 2計. 算制度 の方法論的分類. レー マ ンは 、論 理 の差 異 か ら、さ らに 方 法 の差 異(Methodenunterschied)3)を. 区 分原 則 とす る計. 算 制 度 の 分 類 へ と論 を 進 め る。 レーマ ンが 依 拠 す る方法 論 は シ リンク(Schilling,A.)の1925年. 著. 書 『経 済 学 』70)で 論 述 され た 経 済 の 次 元 、 よ り厳 密 に い えば 、原 価 の立 体 的 表 現 で あ る。 この立 体 的 表 現 は 、 原 価 の 三 つ に 編成 され た計 算 に つ い て 、個 々 の現 実 可 能 な計 算 が 示 し うる様 々な 確 実 性の度合い 〔 尺 度 〕 で あ る。 この確 実 性 の尺 度 は 、三 つ の原 価 計 算 集 団 の対 象 を 形 成 す る数 値 の 比較 可 能 性 に よ って条 件 づ け られ る4)、もの で あ る。 レーマ ンに よれ ば、 こ の シ リンク が 示 す 三 つ の原 価 考 察様 式 は 、計 算制 度 の 簿記 、 原 価 計 算 お よび統 計 の 三 つ の相 違 を 正 し く示 し、 そ の 方 法 論 が 、計 算 部 門 の三 つ の数 値 材 料 の比 較 可 能 性 に役 立 つ5) 、 とす る の で あ る。 シ リンク の 専 門 用 語 に従 っ て 、 レーマン は、 まず 簿 記 を二 つ の確 実 性 あ る尺 度 、 原 価 計 算 を 一 つ の 確実 性 あ る尺 度 、 統 計 を一 つ の確 実 性 も な い尺 度 を 有 す る計 算 部 門 とす る。 特 に 統 計 の 確 実性 が ゼ ロの 意味 に つ い て は、 統 計 が 比 較 不 可 能 な 数 値 の使 用 で あ る とす るが 、 他方 で統 計 は 、 適切 な編 成 と評 価 に よ り 比 較 可 能 を 統 計 的 方 法 の 本 質 とす るの で 、 統 計 は 比較 計 算 で あ る、 とす る。 こ の よ うに して レー マ ンは 、 計 算 制 度 の3部 門 の 方 法 の差 異 が 、 個 々の 計 算 の確 実 性 の尺 度 か ら無 理 な く示 され る と して 、 次 の よ うな 図 表 −2を 構 想 す る 。. 図 表 一2レ. 様式\時点. 事. 期間計算. 1.簿. 対象計算 比較計算 出所. 後. ー マ ン計 算 制 度 の 方 法 論 的 分類. 計. 算. 事. 記. 前. 計. 算. 確実性の尺度. 1.経 済 計 画. 2. 2.事 後 原 価 計 算. 2.事 前 原価 計 算. 1. 3.統. 3.投 機 的 計 算. 0. 計. Le hmann:Rechnungswesen,S.62.Sp.1.. レ ー マ ン の 分 類 は 、 カ ル メ ス 、シュ マ ー レ ン バ ッハ お よ び レ ーヴェンシュ. タ イ ン のそ れ に 比 し. て 論 理 的 、 方 法 論 的 構 成 に お い て 、 は るか に優 れ て い る。 元 来 、 レー マ ンの計 算 制 度 論 の 背 景 に は 、1925年. に 合 理 化 運 動 を 開 始 す る. Wirtschaft1ichkeit)」. 「 ド イ ツ 経 済 性 本 部RKW(Reichskuratoriumfur. の 課 題 に 対 応 す る も の が あ っ た の で あ る 。 し か も こ のRKWの. 本 来 の課 題 で. あ る合理 化 は 、経 済 性 を 高 め る とい う 目的 で 、技 術 や 計 画 的 な 組 織 が 示 す と ころ の あ らゆ る手 段 を 検 討 し て 適 用 す る こ と で あ る6)。 こ のRKWが ある. 課 題 遂 行 の た め に 設 置 し た 多 く の 委 員 会 の1つ. 「 経 済 的 管 理 委 員 会AWV(Ausschu,BfurwirtschaftlicheVerwaltung)」. 指 導・管理. を よ り経済 的 に 形 成 す る も の で あ る 。 特 にAWは. る 計 算 制 度 の 明 確 化 と統 一 化 の た め に terminologie-UntergruppeRechnungswesen)」 下 した1929年. で. 、予算統. は 、 経 営 と企 業 の 制 と原 価 計 算 を 中 心 と す. 「計 算 制 度 術 語 専 門 委 員 会FTUR(Fachausschuβfur を 設 置 した 。 こ のFTURは. に 、 計 算 制 度 の 分 類 と 統 一 化 の た め に 、 ニ ッ クリッシュ7)、. 、 工 業 生 産が 急 速 に 低 ゲ ル ト マ ッ ハ ー(Gelt-. 35.
(12) macher,E.1885-1965)8)お. よ び レー マ ン9)の学 者 達 に よ り、 『経 営 学 雑 誌 』 に 提 案 さ れ た 諸 論 文 を 考. 慮 に 入 れ た 活 動 成 果 を 公 表 し て い る。 そ こ で ま ずFTURの つ い て 、 次 い で1930年. のFTURの. 議 長 を 務 め た ニ ッ ク リ ッシ ュの提 案 に. 統 一 案 につ い て検 討 す る。. Ⅶ ニ ッ ク リッシ ュの 計 算制 度論(1). 1. 計算制度. 1929年1月. 末 ニ ュー ヨー ク株 式 市 場 が、 大 暴 落 を来 た し、 ア メ リカ の 投 資 資 金 が 引 き上 げ られ. る と、 ドイ ツ経 済 は急 速 に崩 壊 し始 め る ので あ る。 この時 期 に 、 ニ ックリッシュ は 、1929年 提 案 論 文 「予 算 編成 と計 算 制 度 」 で 、特 に予 算 編 成 が 経 営 経 済 に い お て 必 要 欠 くべ か ら ざ る傾 向に あ る の で 、計 算 制 度 の 統 一 化 の 前 構 想 で 、予 算 編 成 の役 割 を 重 視 す る1)、の で あ る。か れ は 計 算 制 度 を そ の 目的 に従 って、 予 算 、 簿記 お よび統 計 の順 に3分 す る2)、の で あ る。 第 一 の 予 算 は 、 ニ ッ クリッシュ に よれ ば 、 経 営 にお け る事 前 計 算 を総 体 的 に 把 握 す る もの で あ り、 次 の 四 つ に 区分 され る。1.各 々 の営 業 の 開 始 前 に 行 わ れ る と ころ の経 営 に と り必 要 な 資 本 量 とそ の 設備 に至 る一 回 限 りの事 前 計 算 、 す な わ ち創 業 時 の見 積 り予算 で あ る。 こ こで は 、 どれ だ け の資 本量 か 、ど こか ら の資 本 源 泉 か 、 どの よ うな 資 本 設備 か を見 積 る2)。2.長期 単 位 の 事 前 計 算 が あ り、 こ こで は、 推 定 の年 次 売 上 高 、 費 用 、 収 益 を 算 出 す る。3.短 期 単位 の 事 前計 算 が あ り、 これ は 月 次 にわ た る計 算 で あ る3)。4.給付単 位 当 りの事 前計 算 が あ り、 こ こ で は推 定 の部 分 費 用 、 売 上 高 、成 果 を算 出す る。 第 二 の 簿記 は、 事 後 計 算 で 、 予 算 が 推 定 未 来 数 値 を 把 握 す る の に対 し、事 実 上 発 生 した価 値 事 象 を体 系 的方 法 に よ り計 算 表 示 す る もの で あ る。 簿 記 は 、 予 算 の項 の2.3.4.に 対 応 して 、次 の三 つ に分 け られ る。1.年 次 計 算 表 示 は、 事 実 上 発 生 した 年 次費 用 、 売 上 高 か ら成 果 を算 出す る。2. 月 次 計 算表 示 は、 生 産 過 程 の 成 果 を 詳 し く正 確 に 表 現 す る短 期 単 位 の計 算 で あ る。3.給 付 単 位 当 りの計 算 表 示 は、 価 値 事 象 の 部 分 費 用 、 売 上 高 、 成 果 を算 出す る。 な お予 算 と簿 記 は 、 経 営 に お い て 同 等 の重 要 性 を持 つ。 す なわ ち経 営 は 、 事 前 計 算 な しに 、 一 般 的 、合 理 的 に 営 まれ る こ とは 不 可能 で あ り4)、さ らに 事後 計 算 の数 値 は、本 質 的 に事 前 計 算 の基 準 と して役 立 つ 。 そ れ ゆ え 予 算 の 数値 が 、簿 記 の そ れ と比 較 され る こ とに よ り、 統 制 可 能 性 が 与 え られ る。 こ こか ら双 方 計 算 は 、 経 営 に対 して 同 じ重 要 性 と相 互 関 連 性 を 持 つ の で 、 主 要 計 算 と い う上 位 概 念 に 包 括 され る5)。 主 要 計 算 は 、 また計 算 の 対 象 に よ り三 つ に分 け られ る。 そ れ は 、1.長 期 単 位 計 算 と して の 総 体 計 算 、2.短 期 単位 計 算 と して の経 営 〔部 分 〕 計 算 、3.時 間 に 関 係 しな い給 付 単 位 計 算 と して の 経 営 価 値 計 算 で あ る。 そ こに は 、 そ れ ぞ れ1.総 体 計 算 とみ な され る年 次 の 事 前 と事 後計 算 、2.経 営 計 算 とみな され る 月次 の 事 前 と事 後計 算、3.経 営 価 値 計 算 と して の給 付 単位 当 りの事 前 と事 後 計 算 が 含 まれ る6)。 36.
(13) 第三 の統 計 は 、 事実 上 発 生 した 価値 変 動 に つ い て の数 値 を比 較 対 照 す る も の で あ る。 そ して 統 計 は 、費 用 、 売 上 高 、成 果 の 各 数値 を 、 月次 か給 付 単 位 に従 っ て比 較 し、 また 内外 の 数 値 を 比 較 して 、経 営 の規 則 性 を把 握す る。 この よ うに して統 計 は 、各 数 値 の比 較 か ら、 未 来 の結 論 を 引 き 出す 限 りで 、 事 前計 算 に類 似 す る が 、本 質 的 に は比 較 計 算 で あ る 。 比 較 計 算 は 、 外 部 形 式(勘 定)に 拘 束 さ れず 、他 の双 方 計 算 に役 立 ち、 さ ら に計 算 制 度 と して の 統 制 の た め に 有益 な効 果 を 上 げ る の で 、主 要 計 算 に対 して補 助 計 算 と見做 され る7)、の で あ る。. 2計. 算制度 の分類. ニック リッシュ は、 予 算 、 簿 記 、 統 計 を 横 軸 に 、 総 体 計 算 、経 営 計 算 、経 営 価 値 計 算 を 縦 軸 に 分 け 、 計 算 制 度 を 次 の よ うな 図 表 −3に 分類 す る。. 図表 −3ニ. 出所. Nicklisch,. Heinrich:. Budgetierung. ッ クリッシュ の 計 算 制 度. und Rechnungswesen,in:. Zf HH.,. Heft. 2.1929.S.52.Sp.1.. 37.
(14) VII. 統一案 の計算 制度論. 1930年 代 初 頭 の ドイ ツ経 済 恐慌 に あ って 、計 算 制 度 の統 一 案 は 、1930年4月 成 果 と して確 定 さ れ て い る。FTURで RKWの. に 、FTURの. 活動. は、統 一 案 の作 成 に 当 り、 主観 的 な判 断 を排 除 す るた め 量 》i. 精 神 、つ ま り合理 化 の促 進 を基 準 と した。統 一 案 は 、 ニ ッ クリッシュ 議 長 案 と他 学 者 の提. 案 との 比較 検 討 か ら、 共 通性 と本 質性 を 抽 出 して作 成 され た もの で あ る。 統 一 案 に よる計 算制 度 の 分類 は 、組 織 の観 点 で な く、 計 算 の対 象 と 目的 とい う原 則 に 基 づ い て い る2)。まず 計 算 対 象 の垂 直 分 類 で は、多 数 の相 違 す る 特質 を 除 去 す る方 法 に拠 っ て い る ため 、総 体 計 算 は長 期 計 算 に 、 部 分計 算 は 短 期 計 算 に 限定 され 、 さ らに給 付 単 位 計 算 が あ る。 な お ニ ック の計 算 対 象 の3分 類 の 名 称 は 、変 更 され て い るが 、そ こで は 何 ら問題 は な い2)。次 に 計 算 リッシュ 目的 の水平 分類 で は 、 事 前 、 事後 お よび 比較 計 算 が並 立 され て い るが 、 そ の 分 類 方 法 に 明 確 さは な い。 す な わ ち事 前 と事 後 計 算 は 時 点 対 立 の方 法 に拠 っ て い る が、 比 較 計 算 は 、 この 点 で 事 前 、 事 後 計 算 に 対立 しな い か らで あ る。 な おニックリッシュ. の い う主 要 計 算 と補 助 計 算 の 区 別 は 、 そ. こでは 取 り入 れ られ て い な い2)。 統 一 案 の 計 算制 度 は 、 次 の よ うな 図 表 一4に 分類 され て い る。. 図表 一4統. 計 計算対象. 出所. 一案の計算制度. 事前計算. 算. 目. 比較計算. 事後計 算. (経営)統 計. 総体計算(長 期計算). 総体予算. 総体簿記. 部分計算(短 期計算). 部分経営予算. 部分経営 簿記. 給付単位計算(時 間単 位に関係 しない計算). 事前原価計算. 事後原価計 算. Veröfffentlicht. Nicklisch:System Jg.,Heft. vom. 的. 同期間の未来数 と現在数 の比較、その他多数の他. Fachausschu. und einheitliche. /3. für. Terminologie. Terminologie des. beim. betrieblichen. の比較 に役立つ もの AWV.,. Obmann. Rechnungswesen. Prof.Dr.,. in :ZfHH.,23.. 4.1930.S.98.Sp.l.. 統 一 案 の 長 所 は 、計 算 の対 象 と 目的 の分 類 原則 に基 づ い て 、1.計 算 制 度 の 本 質 と重 要 性 が 示 さ れ た こ と、2.計 算 術 語 の概 念 が統 一 され た こ と、3.多 様 な経 営 に応 用 可 能 とな った こ と、 で あ る。 短 所 は 、1.費 用 や 収 益 の 〔概 念 〕 形 成 が 断 念 され た こ と、2.計 算 制 度 と して 考 察 され るす べ て の 視 点 が考 慮 され な か っ た こ と3)、で あ る。 統 一 案 に つ い て 、 ニ ックリッシュ は 、1932年 に 、計 算 制 度 に属 す るす べ て の 事 柄 を 概 観 す る秩 序 づ け は困 難 で あ る4)、と した 。 しか し統 一 案 に拠 って 計 算 制 度 の諸 提 案 を調 整 し、統 一 化 を 計 っ た こ と、そ して カ ル メ ス 以前 に見 られ た 計 算 制度 の各 部 門 を 、個 別 に 追 求 す るの で は な く、 計 算 制 度 を有 機 的 に構 想 した こ とは、 計 算 制 度 論 が経 営経 済 学 研 究 の 中心 領 域 を 占め る もの と して 、 正 し く意 味 あ ら しめ る もの に な っ て い る と、 考 え られ るの で あ る。 38.
(15) さ らにニックリッシュ. は また 、 計 算制 度 を次 の よ うに規 定 して い る。 計 算 制 度 は 、 経 営 の価 値. 発 展 と価 値 運 動 の活 動 の 領 域 と実 質 領域 を記 録 し、処 理 し、経 営 に と り重 要 な 内部 的 と外 部 的 数 値 を比 較 す る。 この よ うな 計 算制 度 に よ って保 証 され る機 能 は 、意 識 機 能 、 す な わ ち計 算 表 示 、 経 済 管 理 で あ る5)、と して い る。 ニ ックリッシュ は 、計 算制 度 論 が経 営 経 済 学 の 中核 を 形 成 す る と 見 て い る が 、そ れ で は計 算 制 度 の枠 組 み の うち全 体 と して何 を 重 要 視 して い るの か 。 そ れ は1929 年 前 掲 論 文 で ニ ッ クリッシュ の い う計 算 制 度 の うち の主 要 計 算 で あ り、 そ の うち の 総 体 計 算 の簿 記(貸 借 対 照 表)と 経 営 価 値 計 算 の簿 記(給 付 単 位 計 算 、 原 価 計 算)と 考 え られ る。 そ こで 次 に ニ ックリッシュ 計 算 制 度 に含 まれ る総 体 計 算 と して の簿 記(1912年)と. 給 付 単 位 計 算 論(1932. 年)の 構 造 と機 能 につ い て見 て お く こ とにす る。. Ⅸ ニ ックリッシュ の 計 算 制 度 論(2). 1簿. 記、貸借対照表論. ニ ックリッシュ は 、計 算 表 示(Rechnungslegung)と. して の 簿 記 を 、1912年 著 書『私 経 済 学 と し. て の 商 事 経 営 学 』 に お い て 確 立 して い る。 研 究 対 象 は 、 新 自由 貿 易政 策 を推 進 す る ドイ ツ商 工 大 規 模企 業 で あ り、 ニ ックリッシュ に よれ ば 、 企 業 全 体 の 継続 的 営業 行 為 は 、財 産 に よ り成 り立 っ て い る1)、の で 、 まず 企 業 は財 産 に よっ て装 備 され て い る、 と認 識 す る。そ して企 業 の財 産 概 念 と 最 も密 接 な 関 係 を 有 して い る概 念 が資 本 で あ る。 しか も双方 概 念 を 明 らか にす るに は、 そ れ ら の 概 念 が 、 実 際 上 い か な る意 味 で 用 い られ て い る か 、 そ の実 態 が考 え られ なけ れ ばな らな い。 そ れ は簿 記 の助 力 に よ り解 決 され るべ き問題 で あ る と し、 そ の た め に は、 まず 商 事 貸 借 対 照 表 を も っ て考 察 す る こ とが好 都 合 で あ る2)、とす る の で あ る。 ニ ッ クリッシュ が 、財 産 と資 本 の概 念 を解 明 す るに 当 た り、 そ の 出発 点 を 簿 記 に で な く、 貸 借 対 照 表 に求 め た こ とは 、商 業 企 業 を対 象 と した シ ェア ー の物 的 二 勘 定 学 説 ・資 本 方 程 式(Kapitalichung)と. 異 な り、注 目す べ き こ と で あ る と いえ よ う。す なわ ち企 業 の解 明 に 当 たgle って は 、簿. 記 は、 そ の手 段 で あ る が 、 さ らに企 業 の私 経 済 的解 明 の ため に 、 簿 記 の上 位概 念 と して 、貸 借 対 照 表 を 位 置 づ け る とす る の で あ る。 つ ま り貸 借 対 照 表 か ら 出発 す る勘 定 学 説 ・貸借 対 照表 方 程 式 (Bilanzgleichung)の. 確 立 で あ る。. ニ ックリッシュ に よれ ば 、 貸 借 対 照 表 に 先 行 して、 まず 企 業 の経 済 的 財 貨 を構 成 す る財 産 目録 が 存 在 し、 貸 借 対 照 表 は、 そ れ ぞれ の簿 記 期 間 の 開始 と決 算 に 位 置 して い る。従 って 、財 産 目録 と貸 借 対 照 表 は 、 簿 記 の本 質(先 行 性 、 基 本 性)を 示 して い る。 そ して 簿 記 の 主 目的 は 、計 算 表 示 す る3)、こ と、す なわ ち 、価 値 事 象 を形 式 と して の勘 定 に よっ て表 現 す る計 算表 示 と して の 思 考 に よ って 達 成 す る こ とで あ る。. 39.
(16) 本来 、 簿 記 は 、 そ の 目的 を 形 式 と して の勘 定 に よっ て追 跡 しな けれ ば な い もの で あ る。 勘 定 形 式 に よる計 算 方 法 で は 、 複 式 〔二 重 〕 記 入 が行 われ 、 勘 定 の 貸 借 に記 入 され るの で 、 そ こに 貸 借 平 均 の原 理 が 認 め られ る こ とに な る。 簿記 の表 現 に は 、処 理 され る材料 が重 要 で あ り、 次 に 、 そ の 材 料 の 整 理 ・記 録 が 問 題 とな る。 処 理 に関 して 、継 続 と連 続 の 整 理原 則 が あ り、前 者 の 原 則 は 、 材 料 の 時 系 列 の 整 理(仕. 訳 帳作. 成)に 現 わ れ 、後 者 の原 則 は 、 実質 的 な材 料 グル ー プが相 互 に 立 て られ て い る場 合 に 、並 列 に導 く整 理 で あ る。 そ して一 定 期 間 内 で の この実 質 的 整 理 は 、決 定 的 に重 要 で あ る。 なぜ な ら実 質 的 整 理 に 関 して の最 小 の組 織 単 位 が勘 定 で あ り、 す べ て の勘 定 は 、共 に元 帳(Hauptbuch)を. 形成. す る もの で あ るか らで あ る。 簿 記 は ま た、 そ の計 算 表 示 の 目的 を 個 別 計 算 に よっ て追 跡 しな けれ ば な らな い。 個 別 計 算 は 、 1.財産 在 高 、2.出 所 に基 づ く資 本 と特 別 価 値 に 基 づ く資 本(積 立 金)、3.営 業 成 果 、の 、そ れ ぞ れ 三 つ の事 柄 に 関 連 す る4)、もの で あ る。そ して 簿 記 は 、企 業 につ い て の個 々 の財 産 在 高 の数 量 と価 値 を変 動 させ る もの を 記 帳 す る こ とに よ って 、利 益 の確 証 に も役 立 て られ るの で あ る。 しか し、 そ の 利 益 は 、 財 産 の み に よ って は確 証 され え な い 。 利 益 は 、 財産 を 具現 す る手段 の増 大 に よって 、 つ ま り活 動 を 通 して 、財 産 と共 に獲 得 され た 自己 資本 に よ って見 出だ され るの で あ る。 そ して 実 際 的利 益 は 、 財産 と共 に資 本 が増 大 す る場 合 に 、初 め て確 証 され うる。 この よ うに 利 益 が 確 証 され る とす れ ば 、 簿 記 の勘 定 に よ って 、資 本 を通 して行 わ れ る の で、 利 益 を計 上 す る 成 果 勘 定 は 、 そ の機 能 か らみ れ ば 、本 質 上 、 資 本 勘定 で あ る。 これ に よ って 、 資 本 と財 産 の二 種 類 の勘 定 の み が 、存 す る こ とに な る。 財 産 =資 本 とい う方 程 式 の対 照 は、 貸 借 対 照 表 のみ な らず 、 簿 記 の 勘定 に よっ て も貫 徹 す る ことが 明 か に な る。 す な わ ち貸 借 対 照 表 に お い て、 資 本 と財産 とは対 照 され るべ き で あ るか ら、 財産 勘 定 と資 本 勘 定 で の収 入 と支 出 とは 対 立 して 取 り扱 わ れ る もの とな る。 つ ま り簿 記 に お い て は 、財 産 額 が財 産 勘 定 の借 方 に 設 定 され る な ら、 資 本額 は資 本 勘 定 の貸 方 側 に 設 置 され るの で あ る。 こ こか ら、次 の よ うな 勘 定 記 入 方 式 が 確 定 さ れ る5)。す な わ ち 、 財 産 勘 定 で の 収 入 = 借 方 、 支 出 = 貸 方. (Eingang auf Vermögenskonten= Soll, 方 (Eingang auf Kapitalkonten=Haben,. Ausgang. =Haben). Ausgang=Soll). 、資 本 勘 定 で の収 入 =貸方 、支 出 =借 で あ る。. これ に よ って 、貸 借 対 照表 の貸 借 と勘 定 の 貸 借 の 関係 が成 立 す る も の とな る。 ニ ックリッシュ の論 述 を 図 式 化 して示 せ ば 、 す な わ ち 、 開 始 記 帳 と決 算 記 帳. Schol ß buchung). は 、貸 借 対 照 表 が 、図 表 −5の. よ うに 、 ま ず 開 始貸 借 対 照 表 に、次 い で 決 算 貸. 借 対 照表 とみ な され る場 合 、 以 下 の 様 式 とな る の で あ る。. 40. ( Eröffnungsbuchung u..
(17) 図表−5貸. 財 産 勘 定 は、 図表 一5の. 借対 照表形式. よ うに、 そ れ が 開 始 貸 借 対 照 表 か ら受 け 取 っ た価 値 を 借 方 に 記 入 す. る6)。一 方 、資 本 勘 定 は、財 産 を 具 現 した 手段 で 、そ の価 値 を 貸 方 に記 入 す る。 そ れ を も って 、簿 記 は 開 始 され る、 ので あ る。 決 算 貸 借 対 照 表 は 、 損 益 額 が 前 も って 、 財 産 勘 定 か ら、 成 果 勘 定 へ 転 記 され た こ とに よ っ て、 締 め 切 られ る財 産 勘 定 の 在 高 を 受 け取 り、 同 様 に 資 本 勘 定 の 資 本 額 を 受 け 取 る7)。そ して 貸 借 対 照 表 の 両側 面 の額 が決 算 され る こ とに よ り全 簿 記 は 、締 め切 られ る8)。簿 記 の 全構 造 は 、開 始 貸 借 対 照 表 →取 引→ 仕 訳 帳 → 元 帳 →決 算 貸 借 対 照 表 とな る の で あ る。 こ の よ うにニッ ク リッシュ が1912年 に確 立 した貸 借 対 照 表 と簿 記 の 関 係、 す な わ ち、 貸 借 対 照 表 の貸 借 と勘 定 の貸 借 の関 係 認 識 の枠 組 は 、 後 年 の1932年 著 書 『経 営 経 済 』 第 三 部 「計 算 制 度 」 に お い て も変 化 は 見 られ ず9)、生 か さ れ て い る の で あ る。. 2給. 付単位計 算論. ニックリッシュ が、1929年 の前 掲 提 案 論 文 「 予 算 編 成 と計 算 制 度 」 に お いて 示 した 、 計 算 制 度 の うちの 主 要 計 算 の一 部 で あ る経 営 価 値 計 算 の簿 記 と して の給 付 単 位 計 算 論 が 確 立 され てい る の は 、1932年 著 書 の 「計 算 制 度 」 に お い て で あ る。 そ こで ニ ック リ ッシ ュが 構 想 す る給 付 単 位 計 算 論 を 解 明 す るに 当 た り、1932年 著 書 で 使 用 され て い る計 算 諸 概 念 に つ い て 見 て お くこ とに した い。 そ の 際 、ニックリッシュ. が 、 使 用 す る 計 算 諸概 念 を 、1910年 代 の 商 工 大 企業 確 立 期 に お け る1912. 年 著 書 『私経 済 学 』 に 見 られ る企 業 の立 場 、 す な わ ち編 成 され た 営 業 有 機体 の観 点 で な く、 正 し く1929年 に始 ま る経 済 恐 慌 の 回復 期 に 当 た る1932年 の経 営 の立 場 、 つ ま り経 営 共 同体 の観 点 よ り 規 定 して い る こ とに注 意 して お き た い。 これ ら諸 概 念 は 、費 用 、売 上 高 、成 果 で あ り、 それ らに 基 づ い て給 付 単 位 計 算 論 が展 開 され る の で あ る。 まず 第 一 に、 費 用 概 念 に は、 二 つ の価 値 が 区 別 され て い る。 一 つ は 、 経 営 の生 産 過 程 が 始 ま る と きに 、 材 料 に属 してい る総 価 値 と して の原 価 で あ る。 原 価 は 、経 営 の 生産 過 程 に お い て 必 要 と され る もの で 、 経 営 の外 部 か ら獲 得 され る もの に 対 して な さ 41.
(18) れ る支 出、 す な わ ち外 部 価 値 を さ して い る。 外 部 か ら提 供 され る価 値 とは 、原 料 、機 械 、資 本 使 用 に対 す る支 払利 子 、 さ らに補 助 材 料 で あ る10)。 今 一 つ は 、 上 に 見 られ る原価 の よ うな 実 質 財 貨 価 値 で な く、経 営 の 生 産 過程 で増 大す る経 営 給 付(Betriebsleistung)に. 結 合 す る価 値 、す なわ ち経 営 に 属 す る人 間 の給 付 で あ る。 経 営 給 付 は、. す なわ ち 内部 価 値 で あ る。 費 用 は、 この よ うな経 営 の 外 部 価 値 と 内部 価 値 に よ って構 成 され 、経 営 の統 一過 程 に 関 わ り、 経 営全 体 と して 生 み 出 す と こ ろ の経 営 成 果 に 連 な る もの で る。 今 、経 営 の立 場 か ら、 この 原 価 、 経 営 給 付 お よび 費 用 の諸 概 念 を 勘 定 形 式 で 示す と図 表 一6の A 形式 で示 され 、 企 業 の 立 場 か ら見 る と、 B形 式 とな る の で あ る。 こ こか ら労 務費 を 、 B 形 式 の よ うに外 部 価 値 と見 るか 、 A 形 式 の如 く、 内部 価 値(経 営給 付)と 見 るか は 、 正 し くそ の 立 場 の 相 違 に よ って、 明確 に 区 別 され る も の とな る の で あ る。. 図表−6給. 付単位計算形式. 第二 に 、 売 上 高概 念 は 、原 価 と経 営 給 付 を含 む財 貨 を 市 場 で 売 却 し、 そ の対 価 と して 収 入 され る価 値 量 の こ とで あ る。 す なわ ち財 貨 の売 却 に よ って 、 売 上 高 が そ の 対 価 と して 流 入 す るの で あ る。売 上 高 は 、 まず 経 営 の外 部 価 値(原 価)を 補 償 し、 次 に 期 間 外 的 な 自己 価 値(減 価 償 却 費 、 利 子)を 補 償 し、最 後 に そ の財 貨 に の み含 ま れ て い る当 期 間 の 経 営 給 付 部 分 を 補 償 す る11)、も の で あ る。 第三 に、 経 営成 果 は 、費 用 と売 上 高 の結 果 を 比較 して 確 定 され る差 額 で あ る。 す な わ ち ニ ック に よれ ば 、経 営 給 付 は 物量 的 に 、費 用 一原 価=経 営 給 付 と して 表 され るが 、 価 格 的 に は、 リッシュ 売 上高 一 原 価 =経 営 成 果 と して 表 され るの で あ る。 この こ とか ら、 成 果 は、 す で に 経 営 給 付 の対 価 と して、 認 め られ て い る こ とが わ か る。 もち ろ ん成 果 は 、 貨 幣 価 値 に よって 示 され る。 つ ま り 取 引活 動 が 行 わ れ る と き、取 引 され た財 貨 は 、 貨幣 価 値 を 表 示 す る。 そ して売 却 され た 財 貨 の売 上 高 は 、経 営 の 外 部価 値 へ の補 償 で あ るほ か に 、 な おそ の財 貨 が 含 む 経 営 給 付 の 対 価 値 で あ る限 りに お い て、 成 果 を 意 味 す る も ので あ る。従 って 、原 価 の補 償 分 を 売 上 高 か ら差 し引 け ば 、 経 営 給 付 の対 価 と して成 果 を 有 す る こ とに な る12)、 の で あ る。 以 上 、原 価 、経 営 給 付 、 売 上 高 お よび 経 営成 果 の諸 関 係 を 勘 定 形 式 で見 る と図 表 −7の 表 示 され る ので あ る。. 42. よ うに.
(19) 図表一7経. 営成果勘定形式. さて給 付 単位 計 算 論 に つ い て 見 る こ とにす る。 そ の 際 、既 述 の費 用 、 売 上 高 お よび 経 営 成 果 の 諸 概 念 が 前提 とな る。 そ こで 図 表 一8の 製 産 品別 の販 売 の事 例 につ い て見 る こ とに した い。. 図 表 一8製. 産品別給付単位計算形式. その他. 品. abcdef. 用. 253327182436. 月 次 売 上 高. 333829192843. 生 直. 総. 産 接. 利. 費. 益. 8. 2147. 5. =総. 額27 =〃14. 月次間 接 費 用. 月次利益総額13. 生産 品aに つ い て 、 総 利益 は 、 月 次 売 上 高 か ら直接 費 用 を控 除 して算 定 され る も の とな る。 次 に 、総 利 益 か ら月 次 間 接 費用 を 控 除 す るに 当 り、 そ の月 次 間接 費 用 は、 他 のす べ て の生 産 品 に共 通 す るの で 、利 益 の 算 出 に 当 って は 、個 々の 生産 品 の総 利 益 の総 額 か ら、 月 次 間 接 費 用 総 額 を 控 除 して 、 月 次利 益 総 額 を 算 出 す る もの とな る。 次 に 、給 付 単位 計 算 論 の持 つ 特 色 に つ い て 見 て お こ う。ニッ ク リッシュ は、1929年 著 書 『経 営 経 済 』 第一 部 「 一 般 と基 礎」 に お い て 、経 営経 済学 の研 究対 象 は 、経 営 と呼 ばれ る経 済 単 位 の活 動 で あ る13)、 とす る。 この経 済 単 位 とは、複 数 人 間 の 有機 的活 動 体 と して の経 営 組 織 、つ ま り経 営 共 同体 で あ る。経 営 共 同体 は 、経 営 の職 員 全 体 と して現 れ る の で 、人 間 は経 営 内部 の も の とな る。 こ こか ら、ニッ ク リッシュ に よれ ば 、費 用概 念 に よ って 、 労務 費 は 、経 営 給 付 と して 内部 価 値 と 見 られ 、 そ こか ら図 表 一6の 費 用 計 算 の 勘 定 A 形 式 が構 成 され る もの とな る の で る。 しか し原 価 、 売 上 高 、経 営成 果 お よび 利 益 とい う諸 概 念 は 、 本 来 、1912年 著 書 『私 経 済 学 』 の企 業 活 動 研 究 に お い て形 成 され た もの で あ り、 そ れ が1932年 の経 営 共 同 体活 動 研 究 に転 用 され て い る とい う制 約 を 有 して い る とい うこ とは 、 注 意 す べ きで あ る とい って よい で あ ろ う。. Ⅸお わ りに. 以 上 の 考 察 に お い て、 ドイ ツに おけ る各 論 者 の経 営 学 と計 算制 度論 の 関 係認 識 お よび計 算 制 度 論 の 内的 構 成 とそ の機 能 につ い て検 討 した 。 そ こ では 単 に 経 営 学 と計 算制 度 論 が不 可 分 の 関 係 に あ るの み な らず 、 しか も各 論 者 の恣 意 的 、 主 観 的 に して 任 意 の発 想 に よ る もの で な く、経 済 的 、 43.
(20) 社 会 的 、制 度 的 に是 認 され る よ うな客 観 的 内 容 を 有 す る計 算制 度 と して特 徴 づ け る こ とが 出来 る もの で あ る とい って よい で あ ろ う。 従 って 、今 日で は最 早 、 カル メ スが 指 摘 した よ うに 、計 算 制 度 の各 部 門 を 、個 別 に追 求 す る の で な く、 計 算 制 度 を 有 機 的 に 構 想 す る こ とは 、 計 算 制 度 論 が 経 営 経 済 学 研 究 の 中心 領 域 を 占め る もの と して 、 意 味 あ ら しめ る もの に な って い る と い って よ いで あ ろ う。 しか しこの カテ ゴ リーに 対 して 、 計 算 制 度 の各 部 門 の 一 つ とい え ど も経 営 経 済 学(私 経 済 学)の 重要 な 構 成 要 素 で あ る と して 、 計 算 制度 の個 別 部 門 史 そ れ 自体 を論 述 して い る研 究 が 現 代 に お い て も存 在 して い る の で あ る 。 例 え ば 、ボルコフ ス キ ー(Borkowsky,R.)の1945年. 著 書 『貸 借 対 照 表 論 とそ の 経 済 的 基. 礎 』1)は 、 ドイ ツ簿 記 と貸 借 対 照表 論 の歴 史 的 考 察 であ り、 ドル ンの1961年 著 書 『工 業原 価 計 算 の 発 展 』2)は 、 ドイ ツ原 価 計 算 論 史 の考 察 で あ り、 いず れ も単 独 部 門史 に よる制 約 の た め、 これ ら の 研 究 は 、経 営 経 済 学 の歴 史 との関 係 で は、 単 な る 関係 づ け 考 察 に止 ま って い る と い え よ う。 そ れ 故 、 これ ら の部 門 史 は 、 計 算 制 度 論 の 歴 史 の一 つ と して他 の部 門 史 と相 互 関 連 づ け て 総 合 的 に 論 究 され る な ら、 経 営経 済 学 史 研 究 の 中 心 部 分 を 占め る もの とな る とい って よい で あ ろ う。 以 上 本 論 の よ うな 計 算制 度論 の歴 史 的 研 究 か ら も、 計 算 制 度 の3部 門 の 有機 的構 成 を 前 提 とす る計 算 制 度 論 考 は 、 企業 経 済現 象 を 研 究対 象 とす る経 営経 済学 の必 要 条 件 を成 し、従 って 、経 営 学 と不 可 分 の 関 係 を構 成 す る もの で あ る。. (注) Iは. じめ に. 1)青. 木茂 夫 「 管 理 会 計 と経 営 学 」 後 藤 幸 男 他 編 『経 営 学 を学 ぶ 』 所 収 、 有 斐 閣 選 書 、 東 京1971年. 、274上. ペ ー ジ。 2)中. 村 忠 『現 代 会 計 学 』 白桃 書 房 、 新 版 全 訂 版 、 東 京1975年 、17ペ ー ジ。. 3)山. 本安次郎 『 経 営学 本 質 論 』 森 山 書 店 、 東 京1961年 、 第 二版1965年 、307ペ ー ジ。. 4)斉. 藤 隆 夫 『会 計 制度 の 基礎 』 森 山 書店 、 東 京1975年 、増 補版1987年 、 は じめ に2ペ ー ジ。. 5)斉. 藤 隆 夫 『前掲 書』 は 、シュ マ ー レンバ ッハ 経 営 経 済 学 の単 著 に よ る総 合 的 研 究 書 で あ る。本 小 論 の視 点. よ りす れ ば 、シュ マ ー レンバ ッハ の経 営 学 と会 計 学 の 関 係 づ け は 、そ の背 景 の考 察 か ら も 明確 に 指 摘 され 、 また 計 算制 度 論 の 内的 枠 組 の厳 密 な分 析 も行 わ れ お り、参 照 した。 本 小 論 では 、 そ こ で取 り扱 わ れ な か っ たシュ マ ー レンバ ッハ1919年 論文 「 原 価 計 算 論 」 そ れ 自体 を、 ドイ ツ計 算 制 度 論 の 史 的 形 成 の 一 コマ と し て取 り上 げ る も の で あ る。. Ⅱドイ ツ 計 算 制 度 論 1)Weber,Wolfgang:EinfiihrungindieBetriebswirtschaftslehre,lAufl.,Wiesbaden1991.5.195.2Aufl., 1993.((第. 二 版)深. 山 明 ・海 道 ノ ブチカ 監 訳. 『ヴェ ー バ ー 経 営 経 済 学 入 門 』 中 央 経 済 社 、 東 京1996年)。. 2)Lehmann,MaxRudolf:SystematikdesRechnungswesensdesBetriebsandderUnternehmung,in ZfHH.,Heft3.1926.5.58.Sp.1.(abgek.Rechnungswesen). 3)Moxter,Adolf:MethodologieGrundfragenderBetriebswirtscha/tslehre,KolnundOpladen1957.(池 信 行 ・鈴 木 英 寿 共 訳 『モック ス タ ー 経 営 経 済 学 の 基 本 問 題 』 森 山 書 店 、 東 京1969年 文 − 最 近 ドイ ツ経 営 経 済 学 の 方 向 に つ い て − 、170ペ. ー ジ)。. 4)Wohe,Giinter:EinfiihrungindieallgemeineBetriebswirtschaftslehre,1Aufl.,1960.16uberarbeitete. 44. 内 、 所 収 、 日本 語 版 へ の 序.
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