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中東地域の政治・安全保障における湾岸産油国の影響力 -- 「アラブの春」後のGCC諸国の台頭とその持続性 (特集 激変する湾岸の安全保障環境)

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Academic year: 2021

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二〇一一年初頭から顕在化した ﹁アラブの春﹂はチュニジア 、 エ ジプト、リビア、イエメンに体制 変動を迫っただけでなく、中東域 内のパワーバランスの変化を誘発 し、中東地域国際秩序の組み替え を余儀なくさせている。ここにお いて存在感を増しているのが、湾 岸協力会議︵ GCC ︶に加盟する ペルシア湾岸アラブ産油国であ り、そのなかでも特にサウジアラ ビアとカタールが突出している。 本稿では﹁アラブの春﹂勃発以 降の GCC 諸国の、中東地域国際 政治における﹁台頭﹂を事例・現 象面からまとめつつ、その背景と なる原因を考察し、 そのうえで ﹁台 頭﹂の中長期的な将来における持 続可能性を検討する。 ﹁アラブの春﹂以前の段階で 、 GCC に加盟する湾岸アラブ産油 国は、そのエネルギー資源に由来 する経済力によって、中東地域国 際政治あるいはさらに広く国際政 治一般に影響力を行使している 、 あるいは行使しうる存在とみられ てきた。しかしその政治・安全保 障上の影響力は限定的なものとす るのが通例だった。中東・北アフ リカ地域の国際政治における政 治・軍事的な影響力の面では、エ ジプトやシリアなど人口規模が大 きく大規模な軍を擁する諸国が G CC 諸国を凌ぐものとみられてい た時期が長かったのである。 しかし ﹁アラブの春﹂以後は 、 サウジアラビアやカタールをはじ めとする GCC 諸国の、中東・北 アフリカの地域国際政治 ︵ 以下 、 ﹁中東地域国際政治﹂と記す︶に おける、政治・安全保障上の存在 感が増している。各国の政治変動 に介在し、各国内政の特定の勢力 に加担して権力関係を変化させ 、 国際機関への影響力を発揮して国 際介入を導き入れる、あるいは紛 争解決をめぐる仲介外交を行うと いった様々な形で、中東地域国際 政治の主要なアクターとして活躍 する場面が増えている。 一. GCC 台頭の現象 GCC 諸国あるいは地域機構 ・ ブロックとしての GCC が 、﹁ア ラブの春﹂による各国内政の変動 や、それに関連した中東地域国際 政治に、主導的あるいは重要な役 割を果たした事例を挙げてみよ う。 ⑴バーレーン GCC 諸国が 、﹁アラブの春﹂ の勃発に対処して、政治・安全保 障の側面で存在感を示したのは 、 二〇一一年三月のバーレーンへの 介入がその嚆矢といえよう。バー レーンでは GCC 諸国のなかで唯 一 、﹁アラブの春﹂の社会からの 異議申し立ての波が、早期にかつ 大規模な形で及んだ。二〇一一年 二月一一日にエジプトでムバーラ ク政権が崩壊すると、時をおかず してバーレーンで大規模デモが発 生し、国王に改革を要求するだけ でなく、一部は政権打倒を叫ぶま でになった。この段階では、 GC C 域外の大国の政治的・イデオロ ギー的影響力が GCC 内部に及ぶ という、従来の構図が依然として 成り立っていた。しかし三月一四 日に、サウジアラビアは U A E と 共に、 GCC の共同部隊﹁半島の 楯﹂としてバーレーンに部隊を送 り込み、バーレーンの政権崩壊を 防いだ。ここで GCC 諸国の安全 保障上の固有のパワーが顕在化し たといえる。 ⑵リビア バーレーンへの介入だけなら ば、 GCC 域内の政治への域外政 治からの影響の波及を阻止するた めの限定的な行動として、従来の 湾岸地域国際政治のあり方からさ ほど変化はないともいえよう。し かしバーレーンで政権崩壊を阻止 するのと並行して、 GCC 諸国は リビアでカダフィ政権打倒を目指 す反政府勢力に強く肩入れし、政 権崩壊をもたらした重要な要因と なった。 GCC 諸国はリビアへの 軍事介入を国連安全保障理事会

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中東地域の政治・安全保障における湾岸産油国の影響力 ―「アラブの春」後の GCC 諸国の台頭とその持続性― ︵以下 、国連安保理︶など国際社 会に要求すると共に、カタールな どは N A TO 軍によるリビア空爆 に空軍戦闘機を参加させ、現地の 反政府諸勢力に直接的な資金・兵 器の供給を行うなど直接的な関与 を行った。リビア反政府勢力への 支援によって、 GCC 諸国は、い わば先手を打つ形で、 GCC 域外 での政治変動を方向づけ、それに よって GCC 諸国の体制を揺るが すような形での影響が及ぶことを 阻止しようとしたといえよう。 リビア内戦で GCC 諸国が発揮 した政治力として重要なのは、リ ビアへの軍事制裁を可能にする安 保理決議の採択を後押しする外交 的な役割を果たしたことだろう 。 二〇一一年三月一一日に GCC は リヤードで首相・外相級会合を開 き、 カダフィ政権は ﹁正統性を失っ た﹂とする声明を出した。この時 GCC は、アラブ連盟に対し、リ ビアに飛行禁止空域を設けてカダ フィ政権の反体制勢力弾圧を阻止 するよう国際社会に要請すること を求めた。 GCC は自ら主導して 三月一二日のアラブ連盟外相会議 を開催し、国連安保理に対し、飛 行禁止空域を即座に設けるよう要 請した。これを受けて三月一七日 に国連安保理は決議一九七三を採 択し、リビア市民の保護を目的と した飛行禁止空域の設定を承認し た。この決議の推進力となったの は、 GCC そしてアラブ連盟とい う地域機構が介入を要請し、正統 性の裏打ちを与えたことだった 。 GCC 諸国は GCC で結束してカ ダフィ政権打倒への意思を統一す ると共に、アラブ連盟での議論の 主導権を握ってアラブ世界の総意 として国際社会に介入を要請した ことで、国連安保理決議一九七三 の採択を可能にする少なくともひ とつの大きな要因を提供した。そ して国連安保理決議を得たこと で、カダフィ政権打倒という目標 のために英米仏をはじめとした域 外大国・超大国の軍事的な介入を 呼び込むことに成功した。 GCC 外交がこれまでにない主導的な形 で影響力を発揮した場面といえ る。 GCC 諸国は国際的な対リビ ア・カダフィ政権への制裁を要請 するだけでなく、リビア反政府勢 力への直接支援によっても内戦に 関与していった。これに関しては バーレーンの場合とは異なり、 G CC が地域機構として一致して行 動したというよりは、各国がそれ ぞれの思惑から、異なる水準で関 与していった。そこにおいて突出 していたのはカタールだった。カ タールはリビア上空への飛行禁止 空域の実施に空軍戦闘機を提供す ると共に、各地の反政府勢力に数 百名のカタール軍兵員を提供し 、 反体制勢力のカダフィ政権打倒を 支援した。また、設立間もない国 民移行評議会︵ NTC ︶をリビア の正統な代表として承認し、ドー ハに拠点を提供した。また、カダ フィ政権から離反する高官の受け 入れ先を提供した。例えば、二〇 一一年三月三〇日に、外相を務め ていたムーサ・クーサがイギリス に亡命し、辞任を表明したが、そ の後カタールのドーハに住居を与 えられて隠遁政策をしているもの と伝えられた。欧米諸国が受け入 れにくい亡命者にカタールが場所 を与えたことで、政権の内部から の崩壊を加速させる条件を用意し たといえよう。 ⑶イエメン イエメンについても、 GCC は 地域機構として一致して解決への 仲介に乗り出した。 GCC は二〇 一一年四月に ﹁ GCC イニシア ティブ﹂を提示し、サーレハ大統 領と、野党や反政府諸勢力に対し て受け入れを要求した。 GCC イ ニシアティブは、サーレハ大統領 が訴追免除を条件に退陣するこ と、ハーディー副大統領に権限委 譲を行って暫定政権を設立するこ と、その後、諸勢力を広範に集め た国民対話会議を招集して恒久的 な体制設立への議論を行うことな どを骨子とする。二〇一一年一一 月二三日にこの GCC イニシア ティブにサーレハ大統領が署名し たことで、イエメンでは旧体制へ の過酷な報復をともなわないより 穏健な体制移行を目指す独自の移 行期プロセスに入った。 GCC イ ニシアティブに盛り込まれた国民 対話会議の招集と運営にも GCC は財政的 ・政治的な支援を行い 、 二〇一四年一月の最終報告書の発 表に導いた。このように GCC は イエメンの政治対立が内戦に陥る ことを仲介と妥協案の提示によっ て回避し、その後の移行期政治の 指針と基準を与えて、イエメンの 国家崩壊と内戦の勃発を防ぐ役割 を果たしているといえよう︵イエ メンの移行期と GCC イニシア ティブについては参考文献⑥を参 照︶ 。 ⑷シリア GCC 諸国はシリア内戦におい

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GCC 諸国に対して GCC 諸国の ﹁イスラーム戦線﹂ GCC 内部 GCC 諸国はシリア GCC はそ ラビアとカタールの対立によっ て、 GCC の結束の乱れも表面化 している。 ⑸エジプト GCC 諸国は二〇一一年二月の ムバーラク政権崩壊時には目立っ た影響力を行使できなかった。し かし二〇一二年六月末のムルシー 大統領就任・ムスリム同胞団の政 権獲得に際しては、カタールが積 極的にこれを支持し、それによっ てエジプト内政・経済への影響力 を高めた。しかしムルシー大統領 は二〇一三年七月三日のクーデタ で失脚し、ムスリム同胞団は治安 機構による弾圧を受け、エジプト のメディアにおける盛大な反ムス リム同胞団キャンペーンの対象と なった。カタールはムスリム同胞 団を支持したとしてエジプトの暫 定政権やメディアの攻撃をムスリ ム同胞団と共に受ける立場となっ た。これに対してサウジアラビア とアラブ首長国連邦 ︵ U A E ︶、 そしてクウェートは、七月三日の クーデタを強く支持し、早期に大 規模な金融支援を発表して政権の 安定化を支えた。 U A E は大規模 住宅建設プロジェクトを発表する など、住宅問題解決や雇用促進な ど、エジプトの抱える社会経済的 問題の解決にも支援を行うこと で、エジプトの政権の安定化を担 う外部勢力としてエジプト内政上 の影響を高めている。 二.要因 GCC 諸国の中東地域国際政治 における影響力の上昇は、どのよ うな要因によって生じているのだ ろうか。ここでは考え得る五つの 要因を挙げておきたい。 ⑴体制の安定性 第一は GCC 諸国の政治的安定 性である 。﹁アラブの春﹂以後に GCC 諸国が、各国単位で、ある いは地域機構 ・ブロックとして 、 政治的な存在感を増したことの背 景には、エジプトやシリアなど G CC 域外の従来の地域大国が軒並 み内政的に動揺し、国際的な影響 力を弱めたのに対して、 GCC 諸 国が相対的に内政の安定を保った ことが挙げられる。 GCC 諸国が ﹁アラブの春﹂前後に急に政治力 や軍事力を増したというよりは 、 GCC 域外のアラブ諸国の政治 ・ 軍事力の地域国際政治への投射が 弱まったことで、相対的に GCC 諸国の影響力が増大したとみるべ きかもしれない。 なぜ GCC 諸国は内政上安定し ているのか、またその安定は今後 も持続可能なのか、という問題は 本稿の射程を離れる ︵参考文献②、 ③、④、⑤などを参照していただ きたい︶ 。 ⑵経済力 第二に、 GCC 諸国の経済力が 挙げられる。いうまでもなく、 G CC 諸国、なかでもサウジアラビ アや、 U A E のアブダビ、そして カタールは、石油・天然ガスを中 心とした天然資源により富裕であ るだけでなく、富が国王・首長家 など指導者層に、そしてそれらの 指導者層が非民主的に運営する政 府に集中している。そこから、地 域国際政治において、経済力を用 いた外交・安全保障上の施策を大 規模かつ機動的に行うことが可能 である。天然資源による外生的収 入は、 GCC 諸国の内政において 体制の安定性の一因となっている とみられるが、同時に、外交・安 全保障上も影響力の主要な源泉と なっているとみることができる 。 経済力は、 GCC 域内の安定と結 束を固めるための資源としても 、 あるいは GCC 域外での友好的な 政権への支援や、敵対する政権に 対抗する現地の反政府勢力への支 援に用いられている。 GCC 域内

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中東地域の政治・安全保障における湾岸産油国の影響力 ―「アラブの春」後の GCC 諸国の台頭とその持続性― ではサウジアラビアが主導して バーレーンやオマーンのような比 較的に経済的脆弱性を抱える国へ の財政支援を行って政権の不安定 化を食い止めた。 GCC 域外では、 リビアやシリアの反政府勢力への 財政・武器支援に、 GCC 諸国の 経済力は発揮されている。イエメ ンではサーレハ大統領の退陣をも たらす交渉でも、また国民対話会 議の運営を支え諸勢力の参加を取 り付けるインセンティブとして 、 GCC 諸国の財政支援は多大な効 果を持ったと考えられる。 エジプトをめぐっては GCC の 結束の足並みが乱れている。ムス リム同胞団のムルシー政権に対し てカタールが金融支援を行ったの に対して、クーデタ後の暫定政権 には 、サウジアラビア ・ U A E ・ クウェートが金融支援によって財 政安定化を図ると共に、大規模投 資を約束して雇用・経済成長を支 援する動きをみせている。 ⑶政治力 相対的な内政の安定と、莫大な 経済力は、それらを有効に政治力 に転化させる外交政策を考案・実 施する政治指導層が存在しなけれ ば政治・安全保障上の影響力の向 上にはつながらない。少なくとも ﹁アラブの春﹂以降の GCC 諸国 は、外交政策に関する限り、経済 力を巧みに政治力に転化させるこ とにある程度成功しているといっ てよい。それらは揺らいだ各国政 府への財政支援によって、各国の 国民へのばらまき政策を後押しし て一定の安定化をもたらすこと や、逆に反政府諸勢力に選択的に 資金・武器を注入して、政府対反 政府諸勢力の力関係をより GCC 諸国にとって有利な形で変化させ ることなどを通じて行われる。 G CC にとって有利な形で各国の内 政や内戦を推移させるためのイン センティブとして、 GCC 諸国の 経済力は有効に用いられてきたと みていい。 ⑷ GCC 諸国の結束 そして、 GCC 諸国が結束した がゆえに、あるいは結束した時に は、中東地域政治への介入はより 有効に行われたといえよう。リビ アをめぐっては GCC が結束して アラブ連盟へ飛行禁止空域設定を 要求し、 GCC 自らがアラブ連盟 外相会議での議論を主導して、ア ラブ連盟として国連安保理に要求 するに至った。 GCC が地域機構 として議論を一本化し、さらに経 済力も用いてアラブ連盟の声明と して要求を行うことで、国連安保 理による対リビア制裁に中東地域 の地域機構の支持という正統性を 与えることになった。 逆に、 シリア内戦をめぐっては、 アラブ諸国のなかでの議論の一致 を取りまとめられず、 GCC 内部 でもサウジアラビアとカタールが シリア反政府勢力のうちどの勢力 に支援を与えるかで争ってきた 。 そこから、国連安保理での議論を 推進する正統性も GCC は付与で きていない。 ⑸域外超大国による安全保障 GCC 諸国は根本的な国防力の 面で脆弱性を持っている。この面 で、アメリカという域外の超大国 との強固な安全保障関係を築いて きたことは、 GCC 諸国の内政の 安定を担保する、重要な要因とい える︵参考文献①︶ 。 三.将来的な持続性 このような諸要因が重なって 、 GCC 諸国は﹁アラブの春﹂以後 に、従来のような経済的な側面だ けでなく、政治的・軍事的な側面 でも中東の地域国際政治に大きな 影響力を行使するに至ったと考え られる。それでは、 GCC 諸国の 政治・軍事的な﹁台頭﹂は持続可 能性があるのだろうか。持続可能 性があるとする見方も、持続可能 性に疑問符を付す見方も、いずれ も現状では否定できない。双方の 見解のいずれが妥当かを今後の事 態の推移をみながら検討するに は 、 上記の 、﹁台頭﹂を可能にし たとみられる諸要因をメルクマー ルとして観察しておくことが有益 だろう。 GCC 諸国の﹁台頭﹂が持続す るには 、﹁台頭﹂の背景の諸要因 が今後も持続するという条件が満 たされる必要があるだろう。もし GCC 諸国の内政の安定性が今後 も維持され、エジプトやシリアな ど GCC 域外の大国の安定性が中 長期的に回復しなければ、 GCC 諸国の相対的な影響力の向上は今 後も続くか、少なくとも現状の水 準を維持するだろう 。もし石油 ・ 天然ガス価格が高止まりし、安定 的に需要が創出され続け、輸送経 路が安定的に確保され続ければ 、 GCC 諸国の経済力は維持され る。もちろん、有利な経済的条件 を外交・安全保障面での政治力に 転化させるには、今後も GCC 諸 国に活発で賢明な政治指導層が持 続的に形成され再生産されていく 必要がある。そのためには、各国

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・ 。 諸国の団結を維持し 、 GCC 諸国の政 G リアの内政安定化も、 GCC 諸国 の束の間の政治・安全保障上の台 頭を終了させる可能性がある。新 興国経済の減速によって、湾岸産 油国の産出する石油・天然ガスへ の需要の伸びは減速する可能性が あり、石油価格が今後も高止まり することは保証されていない。サ ウジアラビアの王家指導層の高齢 化や、第三世代への王位継承にと もなって生じかねない内紛は、経 済力を有効に政治力に転化させる 政治指導層の形成や合理的な政策 の策定・実施に障害となりかねな い。エジプト情勢やムスリム同胞 団の活動をめぐって、サウジアラ ビアとカタールの間に生じた対立 は、 U A E やクウェートを巻き込 んで激化しており、 GCC 諸国内 の団結にはほころびが見えかけて いる。そして、アメリカの中東に おける覇権の希薄化は、アメリカ による GCC 諸国の体制の保障と いう、各国の存立の大前提を揺る がしかねない。そしてアメリカの 中東離れが本格化すれば、中東の 石油・天然ガスの輸送路の確保に も不安を生じさせる場面が将来に 生じないとも限らない。 GCC 諸国の繁栄と、それに根 差した近年の政治・安全保障上の 影響力の向上は、多くは GCC 諸 国が左右できない外的要因に根差 している。それらの要因は国際的 な条件の変化によって、急激な変 化を蒙る可能性がある 。そして 、 GCC が自ら各国の政治変動に介 入して変化を促進したことは、地 域秩序の変動を加速し 、 そ こ に 関 与す る 域 外大国 の 動 向 を も 左右す ること で 、 か え っ て GCC 諸 国 の 内 政・ 外 交 上 の 安 定 性 や 優 位 な 地 位 を掘 り 崩 す 結 果 も も た ら し か ね な い 。 GCC 諸 国 の 近 年の ﹁ 台 頭 ﹂ は 、 脆弱 さ を 抱 え 込 ん だ も の で あ る 。 ︵いけうち   さとし/東京大学先端 科学技術研究センター准教授︶ ︽参考文献︾ ①池内恵 [二〇一三 a ]﹁同盟国 を求めて│米国の中東政策の困 難と課題﹂久保文明編﹃アメリ カにとって同盟とは何か﹄中央 公論新社、二〇一三年二月、二 一九︱二四二ページ。 ②︱︱︱[二〇一三 b ]﹁ ﹃政治的 ツナミ﹄を越えて│湾岸産油国 の対応とその帰結│﹂ ﹃中東協 力センターニュース﹄二〇一三 年四/五月号、六〇︱六七ペー ジ。 ③︱ ︱ ︱ [二〇一三 c ]﹁アラブ の君主制はなぜ持続してきたの か﹂ ﹃中東協力センターニュー ス﹄二〇一三年六/七月号、五 三︱五八ページ。 ④︱ ︱ ︱ [二〇一三 d ]﹁正統性 の謎

アラブ世界の君主制は なぜ倒れないか ︵上︶ ﹂﹃ U P ﹄ 四八八号 ︵第四二巻第六号︶ 、 東京大学出版会、二〇一三年六 月、三二︱四〇ページ。 ⑤︱︱︱[二〇一三 e ]﹁ ﹃石油君 主国﹄とその庇護者

アラブ 世界の君主制はなぜ倒れないか ︵下︶ ﹂﹃ U P ﹄四八九号 ︵ 第四 二巻第七号︶ 、東京大学出版会、 二〇一三年七月 、三九︱四六 ページ。 ⑥︱︱︱[二〇一四] ﹁﹃アラブの 春﹄後の移行期過程﹂ ﹃中東レ ビュー ﹄ Volume 1 、アジア経 済研究所、二〇一四年二月、九 二︱一二八ページ。

参照

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