験j震 時 報 第37巻 (1972)89~96頁 89
1
9
7
2
年
2
月
29
日八丈島東方沖地震
についての
2j3
の考察*
山
本
雅
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専牢*
550.
340
Note on t
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Earthquake ofFebruary 2
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East C
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Hachij
0-j
i
i
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a
Masahiro Yamamoto (Seismological Division,よM.A.)
A large earthquake occured 0百 Hachijo・jima Island on Feb. 29,ヘ1972. ThoughHachijo-jima region belongs to the active zone of Izu・Mariana,in the past the seismic activity near this region was noιso high. It is very interesting to know the precise hypocenter of this earthquake
,
especially,
in connection wi th the concept of li thosphere.Since the. seismograph network is only onone side of the epicenter and furthermore no stations can be found in the near field
,
H
:
.
is very difficult to locate accurately earthquakes in this region.The auther re-located the hypocenter using not onlyJMA data but also all available data of university stations. In -re-calculation, many precise dataof
P
arrival time in a relatively short distance(120 km-550 km) are used.The re-located hypocenter is located in the middle of JMA's and NOAA's hypocenters.' It is noticeable that the location accuracy of the hypocenter is more influenced by the distribution of the seismic stationsrather than the' employed travel-time table and the accuracy of used data.
From the re-computed hypocenter and origin time, itwas found that社leveloci ty of S wave is 2ー3%larger in NE Japan and smaller in S W Japan than the normal velocity. On the other hand
,
in P wave,
thereis not so much anomaly. The seismic intensity contours of this earthquake extends towards in NE Japan. The abundant short period waves are also, found in the seismograms in NE Japan, but not in S W Japan. These thenomena suggest that
the path towards NE Japan is High-V and High-Q
,
and Low-V and Low-Q towards S W Japan. Two significant phases (X1 and X2) appear afterP wave,
especially in the region of Sanriku Coast (NE Honshu). X1 phase appeares 5 to 6 sec and X2 phase about 10 se'c after P wave. It is possible to explain that these phases are converted from P wave to S wave a t 20 km and 60 km depth respecti vely. つ 臼 庁 i Q U 噌E ム QU W A e L U m ρ - v n叫 諜 吋 地 ・ 叩 庁 口象 1 N 気 * ネ * 象との関連もよくわかっていない.したがって,この地 震の正確な震源位置ー特に,いわゆる mリゾスフェア" のどの部分に相当するかーを知る事は興味あるこ!とであ る. このために,気象庁の59迦 地 震 計 (T=5sec; V = 100), 67型地震計(T=lsec; V=1000),火山観測所等 の記録を再験測し,さらに各大学等の微小地震観測所の 資料を加えて,この地震の震源位置について若干の考察1
.
はじめに 1972年2月29日,八丈島東方沖に,この地域としては 珍らしく大規模な地震が発生した.この地域は伊豆ーマ リアナ活動帯に属しているが,過去における地震活動度 は比較的低い地域で,地震発生と他の地球物理学的諸現-11-90 験 震 時 報 第 37巻 第 3 号 をおこなった.
2
.
資 料 調査に使用したデータを Table1に示す. 気象庁関 係の資料は筆者らが再験測したもので,読取値は地震月 報のものとは多少差がある.一般にP
波は月報のものに くらべ幾分早くなる傾向が認められるが,その差は小さ く,大部分が読取り誤差の範囲内のものと思われる. Table 1. StationArrival times of P and S phase Arrival time (J.S.T)
P
S
18h 23m 18.28 23m 33. Os 22.8 28.9 Hachijojima Miyakejima Tateyama Ajiro Yokohama Choshi 34.6 24 06 36.4 37.4 39.0 41.2 12 Tokyo a 印 t y t 山 駅 即 四 郎 即 旬 .uuao 日 K H K 46.8 46.4 46.8 24' 47.0 24 49.3 51. 0 52.8 36 55.9 42 56.4 5.8.3 46 Mito UtsUnomiya Maebashi Onahama Shirakawa Nagoya Matsushiro Takayama Fukushima Hikone Takada 24 03.4 q a q L R U A U ﹁ ひ っ “ ワ 臼 1 i 戸 b 1 4 4 5 5 6 ハ U ハ リ ハ U ハ U Nara Toyama Osaka Sendai Kyoto Niigata Yamagata Ishinomaki Maizuru Aikawa Wajini.a, Sumoto Ofunato 08 10.4手 05 10.4 10.5 04 10.7 11.1 08 11. 4 14.9 ,16.4 09 17 20 17.1 21. 0 21 35 k a Q U H a 町 m + L 伺 d o v d r a u 一 王M α
24 27.6 28.0 29.9 39 Tottori 恥1iyako Morioka Akita Ashizurimisaki Saigo Hachinohe Hamada Nobeoka Oita Hakodate Miyasaki Shimonoseki Kumamoto Urakawa Fukuoka Nagasaki Sapporo Obihiro Kushiro Nemuro Asahikawa Abashid Wakkanai Oshima Nasu Bandai Adatara Azuma Asama Wakaura Oishiyama λrita 耳idaka Kainokawa Shichikawa Sarutani Haibara Kumano Ise Oyama Okuno Tateyama Aobayama οmineyama Inuyama Dodaira Tsukuba Kiyosumi に U Q O 2 8 6 3 6 7 6 4 5 4 2 2 8 1 0 1 5 1 8 0 A T 4 A F D Q U F b 1 ょ っ 中 ヮ “ q δ q d F D A T A U A U A υ o u -つ 山 ヮ “ ハ V 6 5 6 6 7 8 2 2 2 2 2 2 1 0 2 5 2 5 5 8 7 1 6 5 1 2 0 4 7 2 0 3 8 8 5 2 8 5 1 i O A V 5 1 5 5 1 6 2 8 っ d 8 9 6 6 9 0 0 6 7 1 1 0 3 3 9 1 2 4 5 8 4 7 7 7 5 6 3 9 9 5 2 3 5 3 2 0 3 2 8 5 4 3 守 1 4 8 3 3 0 9 6 4 2 0 3 3 3 4 4 5 5 5 5 0 0 A v o n u 1 1 1 1 2 2 3 5 2 5 0 0 O R D I -1 0 0 0 0 0 5 3 3 3 1 5 5 4 4 3 ﹁ D q J つ d A 官 A 吐 刈 せ q d d T 4 A A 吐 バ せ A T A 吐 A T A 吐 ATqdqd つ dquATqaqtuqdqdqδ 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 23
.
震源計算 この地震に対して,観測点の配置は震央の片側に偏在L
ており,また震央にば較的近い観測点は八丈島が在る のみである.このため,この地域の精度の高い震源、を求 、めるζとは一般に困難である.1972年 2月29日八丈島東方沖地震についての 2,3 の考察一一一山本 91 a: Seismic stations used in the calculation, of EP 21 and EP 22. b: Seismic stations used in the calculation of EP 31.and EP 32. Fig. 1 Distribution of Seismic stations 日本付近に発生した地震の震源、が,世界的な観測網に よるNOAAのもηと, JMAの決めたものとで系統的な ずれを示すことが,多くの人達によって指摘されてい る.たとえば,市川・望月 (1971) は本州、IfH方沖地域の 地震では, NOAAの震源要素は JMA (和達・益田の走 時を用いている〉のものとくらべ,平均的に,震央は日 ぼ西に51km,発震時は1.1秒早く,深さは8km浅く なっている事を指摘している.市川らは,新走時(市川 ・望月, 1971) を用いた場合にも両者の震源要素の差は さほど小さくならないとしている. 今回の地震の震源は, JMAと NOAAではほぼ 50km 離れて決めら札ている.これは上に述べた系統的なず、れ とほぼ一致した傾向となっている. ここでは次の様な 3種の方法で震源再計算をおこなっ
7
こ. i ) EP 22: EP 21 (後述〉と同じ観測点の配置 (Fig. 1-a) でP
の発現時とs-p
時間を用い, 新走時により 計算したものである.なお,5
9
型地震計・6
7
型地震計の 設置されてドる観測点の資料は再験測したものを用いて いるので, EP 21のものとは多少資料に差がある. ii) EP 31 :観測点を Fig.1-bの様に, 比較的震央 距離の近い地域に限定した.また,多数の資料を付加し たため,観測点は密な分布となっている.p波の発現時 のみを計算に用い,データは精度の良いと思われるもの を選択して使用した.走時は和達・益田のものを用いて し、る. i ii), EP 32: 資料は EP31と全く同様であるが, 新 走時を用いている.なお, NOAA, JMAによる震源を'それぞれ EP10, EP 21 とする. これら5つの震源要素を Table2と Fig.2広示す. EP 31と EP32から,使用した走時(ここでは和達・ 益田のものと新走時)による震央位置の差はほとんど無 く, Origin Timeに差が生じるだけであることがわか る. また, EP 21 と EP22から,使用したデ、ータの相違 が震源決定におよぼす影響はさほど大きくない、ことがわ かる.
EP 31 (あるいは EP32)と EP21 (あるいは EP22) との差から,観測点の配置による震源要素は前記のもの と比べ大きいといえる.すなわち,震源要素に対する影 響は,使用する走時や観測値の相違によるよりは,観測 点の配置によるものが大である. 震源計算は一般に,走時偏差が最小になるような位置 を求めるものであり,もし地域的な速度異常が存在する としても,これを無視して計算される.八丈島周辺の地 震で、は東北日本に達する地震波速度と西南日本への速度 に差が存在すると推定される.すなわち,速度の速い東 北側と,速度の遅い西南側とがほぼ逆方向になるので, 観測点の選び方により両者の差が求められる震源位置を 左右するものと考えられる.EP 31,'EP 32 では,この 影響を小さくするために比較的震央距離の近い観測点を -
13-P波のそれよりはるかに大きい.しかし, EP 32による ものは他の震源要素におけるものより最も小さい. EP 31とEP32は上記のように震央位置の差はほと ん ど 無 く , 用 い た 走 時 の 相 違 に よ っ て 生 じ た Origin Timeの差だけである. 以上を総合しEP32 (あるいは EP31)が此較的良好 な震源といえよう. 第 3号 第 37巻 報 時 震 験 92
Table 2. Hypocenters obtained by various methods. Abbreviation,Origin Time Lat. Long. Depth
。
。
5 4 3ト 、 o 0 L' 0 0。
ノ ← 向 。
;仁。。。∞。:作;。且♂。
Oト一一---:<is;S一二τ0-と ーτ ー1ト 。 マ
ー2ト 。 0 0 。 -3ト ♂O -4ト1 2∞
4∞
6∞
E
P
1
0
EP 10 18h 22m 59. 8s 33021' 140047' 56 km EP 21 54. 7 33 11 141 16 70 EP 22 57.1 33 17 '14111 60 EP 31 57.4 33 21 141 03 60 EP 32 58.5 33 22 141 02 60 EP 10: From' the Earthquake Data Reports of theNOAA.
EP 21: From the Seismological Bulletin of ]MA. EP 22: Solution used data of the same stations as
EP 21 (Fig. Fa) and the Ichikawa and Mochizuki travel-time tables (1971). EP 31: Solution used P data from local stations
only' (Fieg. 1-b) and the Wadati and Masuda travel-time tables.
EP 32: Solution used tlie same data with. EP 31 and the Ichikawa andMochizuki travel-time
tables.
α
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Locations of the' Epicenters in Table 2. 10∞
Km 1000km 。 。。
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﹄ 勺 , h q,
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F E I P -ド i l l↑ l L 4 3 2 1 0 寸 そ う 2∞
Fig.2 用いた. Fig.3はEP10, EP 21, EP 22, EP 32の各震源、につい て,新走時を用いたP波のO-c(観測値一計算値〉分布 を示す.EP 21は和達・益田の走時で決められた震源、で あるので,新走時との OriginTimeの差により見かけ 上大きな偏差となっている.これを考慮しOriginTime を1秒おくらした場合には点線からの偏差分布となる. Fig.3によれば, EP 10では全体のぼらつきおよび追 い地点、でのばらつきが大きい. また.EP 21で、はOriginTimeの差を考慮しでも大 きい点線からのばらつきをしている・ EP32は[全体と してばらつきが最も小さく走時に適合している. EP 10, EP,21, 'EP 22の震源計算にはP
とs-p
時間 を用いているが, EP'31, EP 32は P だ け を 用 い て い る.S
波の検出はP
波より困難で,一般に誤差は大きいも のと思われる.このため,s波の走時偏差のばらつきは1972年2月29日八丈島東方沖地震についての 2,3の考察一一山本 4. 走時異常について 走時異常の量は震源、精度や記録の読み取り誤差等に大 きく左右されるが,前節で述べたようにEP32を確から しい震源とすると次のような結果を得る. Fig.4は震源から観測点への方位と
P
波 S波の走 時偏差の関係である.Sec
+5
P
。
。
。
O
。
o 00000 CD)O 000 0αlI>0 0XlP 0・o(]J)O・0 - 0ー@一一一0>>0000-ー
∞
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S
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。
Fig. 4
P
and S residuals as a function of azimuth(counter.c1ockwise) for EP 32. Pi,皮は束北日本側に HighV, 西南日本側に LowV の 傾向は認められるが,その差は小さい
.S
i
皮は偏差の 絶対値はかなりばらつくがP
波と同様な傾向を 示 し て いる.平均的にみて,東北日本側にほぼ2,-...,3%速く,西 南日本側に対しては2,-...,3%遅くなっている.すなわち, 両者の差は4,-...,6% となる.このオーダーは宇津 (1967; <6%),勝叉 (1970;6,-...,7%)等の結果とほぼ一致してい る. Table 3.は紀伊半島に集中している観測点のP
波の 走時偏差である.これらは絶対値としては小さいがほと んどがマイナスの偏差を示しているととが注目される. とのことと,金森 (1971)により推定されている紀伊半 島付近のリゾスフェアと関連するものかどうか興味ーある 問題である. 93 Tab!e 3. P travel-time Residual. These stations locate in Kii Peninsula. Station P travel-time Residuals Ise -0.4sec Kumano -0.7 Haibara -0.3 Sarutani -1.2 Shichikawa -0.6 Kainokawa -0.3 Hidaka -0.3 Oishiyama -0.3 羽Takaura 0.2 Nara -0.1 Shionomisaki -0.95
.
初動付近の顕著な相について 今回の地震記録の中にPの初動から十数秒以内に1な いし2つのかなり顕著な相が認められる観測点がある. これらの相をX1相 X2相と呼ぶことにする.Photo. 1 にとれらの柏が明瞭に出現している石巻の記録を示す. X1相はかなり全国的に認められるが,全体として P 波の初動と同様に微弱で不明瞭な地点も多い.Photo. 1 The seismogram recorded at Ishinomaki,
NE-
J
apan (JM A Intensity Scale : III), showing the two phases X1 and X2 between P and S.The short period waves predominate than the long period waves.
15-94 験 震 時 報 第37巻 第 3号
X
2相は三陸沿岸地域の観測点のみに出現しており, その振幅は大きく X1相に較べではるかに顕著である. しかし,他の地域の観測点では X2相の識別は困難であ る. Photo.2は白河における余震の記録である.これにも 本震の時ほど顕著ではないが,P
相に続く相が 1----2相 みとめられるX
2相 の 出 現 に か な り 地 域 性 が あ る こ と,余震の記録にも同様な相が出現していること等か ら,これらの相は震源過程を反映するものではなく,地 震波の経路によるものと推定される.しかし,余震のす べての記録にこれらの相が出現するものではない.震央 位置,深さによって出現したり,し な か っ た り す る の は,X
1相X
2相が地震波経路に起因するものであると とを裏書きしているものと思われる. Table 4.に三陸沿岸の観測点における X1- P,X2-P
時間を示す.Photo.2 Two seismograms ofaftershocks recorded at Shirakawa, NE-]apan.
The same phases asPhoto. 1 indicate by arrows.
Table 4. X1- P and X2- P arrivaltimes and L1
for stationslocated in Sanriku Distinct (NE-]apan).
Station L1 X1- P X2- P
Shirakawa 423 km 6sec 10sec Fukushima 490 5 9 Sendai 543 5 Yamagata 546 6 11 Ishinomaki 562 5 9 Ofunato 635 4 10 Morioka 702 4 9 Hachinohe 702 ? 9 Fig. 5 Orbitsofthehorizontalcomponent near the
X1 phase atHikone and Ishinomaki.
Dotted lineshows longitudinalparticlemotions (corresponding toP wave) and solidline trans -versal(corresponding toS wa ve). 石巻と彦根 (X1-P=5sec)の
X
1相前後のほぼ1秒 間のOrbitをFig.5に示す. 振動方向はいずれの地点においてもX
1相 付 近 で 震 源方向の振動から震源方向に直交する振動へと変化して いる.とのことから X1相はS波的な性質をもつもの と思われる.X
2相付近のOrbitはX
1相付近のものより複雑な運 動を示しているが,ほぼX1相と同様な振動方向の変化 がみられる. 振動方向の変化および以下に述べる走時解析の結果か らX1相 X2相はP
i
,皮からS波に変換したものとして 説明出来る. 不連続面においてP波からS
i
皮への褒換率は Guten-berg (1944)によれば,速度比と入射角により Fig.6 のようになる.ただし,速度比を Vp2jVp1=
Vs2jVS1=
1. 07および1.29とした場合である.Fig.6によれば入1972年 2月29日八丈島東方沖地震についての 2,3の考察一一山本 95
'
0
.
3
Fig. 6 Transmission coe伍CI'ent 'asafuncton of incident angles e for converting ,from P phase
to S one (velocity ratios of low layer Vp1jVp2
=
Vs1jVS2 are1. 07 and 1. 29 respectively, after Gutenberg (1944)) 射角が10度前後で最も変換率が大きい.P
波の三陸沿岸観測点への地震波経路は Fig.7 のよ うになり最深点は約90kmとなる.三陸沿岸の地下構造 として Fig.7のように深さ 20km と 60km に速度の 不連続面を考える.深さ 20kmの面 (Plane1) は一応 Moqo面と考える.c
たとえばHashizumeet al (1968) による東北日本の地殻構造断面図で:は三陸沿岸地域にお いて Moho面を 20----30kmとしている. 両層の速度は 6.6 kmjsec, 8.,0 kmjsec となっているJ
60kmの 面 (Plane II)はこの地域の震源密度の高い層の了下面とほ ぼ一致している. Plane IIへの P波の入射角は震央距離が300:"""800km で8度から15度になることから ,P-S変換は能率よく おこなわれることになる.深さ 60kmと 20kmでのS
-P
時間と震央距離の関係を用いるとX
1-P
時聞が5--- -6秒であることから, Fig.7に示すようにX1相は観測 点、の 40----50km手前(ほぼ Fig.7の B点〉で,また,X
2-P
時間が10秒前後であることから,約80km手前(ほ ぼFig.7の A点〉でおのおのX1相 X2相がP波から S波に変換したものと考えることが出来る. 三陸沿岸地域の観測点では今回の地震に限らず他の地 域(特にさF陸沖の地震の場合〉の地震においてもP
相と S相の:聞に玲回:主i同様ながなり顕著な相が出現すること が知ら:れて4いる. に,典型:é"J~なJ島7孤:とし τ の諸要素を備えた地域である.X
2相がこのi地域防顕著に出現することと,団地域での 山海洋性リグス4 フ・ムァの形状との関連は興味ぁ-る問題であ る.6
.
震度分布と地震記録について 今回の八丈島東方沖の地震の震度分布は東北・北海道 南部地方で,いわゆる異常震域の現象を示している. (気象庁地震課(1972))八丈島東方沖地域には過去に大 規模地震は少ないが,比較的この地域の近くに発生した 大正5年 9月15日の八丈島東方沖の地震や,昭和28年11 月26日の房総沖地震でも,今回とほぼ同様な震度分布と なっている.一方東海道はるか沖や,鳥島近海の深発地 震にともなう異常震域はよく知られている. (たとえば 正務, 1944)今回の地震とこれらの深発地震では地震波 の経路はかなり異なっているにもかかわらず,ー異常震域 の現われ方はほぼ同様な傾向を示していることは,上部 マントル構造に関連して興味深い現象である. 異常震域の現象は経路、における地震波の減衰の機構に 関係していることが勝又(1970),宇津 (1967)等 に 指 摘されている. 有感地域の東北から北海道にかけては例外なく地震記 録に短周期の波が卓越しているのがみられるが(Photo. 1は石巻の記録.震度皿),無感地域の西南日本では周 期が長くなり短周期の波はみられない.(Photo. 3は西 郷の記録,震度0) 地域により地震記録に差があることは,観測点付近の 局所的な影響で、有感となるのではなく,到達する地震波 の振動特性が異なることと関係すると考えられる.つま / り東北日本へは短周期の波の減衰の少い媒質を,また西 南日本へは減衰の大きu
、媒質を通過してきた事を反映し 200 300 4∞
5∞
Km 20附n一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 τ 一 一 一 ~B 一一一一一 e エ~一一一一一一一一込
¥
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1
1
1
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60 c;;,・Fig. 7 Approximate ray path from the hypocenter. Plane 1: Apprbximate Moho. discontinuity.
Plane II:The lower boundary of the most active seismic zone.
Points A and B are the approximate generating points of the phase X2 and X1 respectively_ - 17ー
9
6
験 震 時 報 第37巻 第 3号Photo. 3 The seismograms recorded at Saigo, SW-Japan.
The long period waves predominate.
ている.北海道南部への地震波線の最深点は約 100km となることから,三陸沖では少なくとも 100km程度ま では減衰の少い媒質が存在すると推定される.
7
.
ま と め 今回の八丈島東方沖の地震は島孤一海溝系の中間に発 生じた大規模な地震で,震源の深さがやや深いという点 から興味深い. この地震に対して観測網の配置が偏在していること, 近 接した観測点が無いこと等により精度の高い震源を得 ることはやや困難である.今 回 再 験 測 の 資 料 お よ び 補 強された資料を使用し震源の再計算をおこなった結果, jMAの与えている震源とNOAAのものとのほぼ中間の 値を得た.なお,震源要素の決定にあたっては,もちろ ん用いる走時や記録の読み取り精度にも左右されるが, 観測点の配置の相違による影響の方がはるかに大きいこ とに注意すべきであろう。 再計算による震源にもとずいて走時異常を検計した結 果,P波では大きな異常は認められないが,s
波では東 北日本へは2--3%速く,西南日本へは2--3%遅く,こ れら両者の差は4--6%となる. P--S相聞に出現する2種の相X1相 X2相はそれぞ れ深さ 20km,60kmで,P波からS
波に変換された波 として説明可能である. 今回の地震による異常震域の現象は,地震波経路にお ける減衰の機構の相違に起因するものとして解釈するこ とが出来る. 謝辞 資料を提供していただ、いた各大学の微小地震観測所に 感謝します。 御指導をいただいた気象庁地震課勝又護博士に厚く御 礼申し上げます.再験測,震源計算には地震課現業班の 諸氏,並びに地震課望月英志氏の御助力を得た.また地 震課長末広重二博士,渡辺偉夫博士の方々には御助言を 得た.ここに謝意を表します. 参 考 文 献Gutenberg
,
B (1944): Energy RatioofRe.Bectedand Refrac ted Seismic Waves, Bul.lSeism. Soc. Ame,r.34, 85~ 102.Hashizume, M., K. Oike, S. Asano, H. Hamaguchi, A.
Okada, S. Murauchi, E.Shima, and M. Nogoshi, (1968)
Crustal structur巴inthe Pro五leAcrossthe Northeastern Part of Honshu