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飛行艇の離着水時における艇底水圧の実測結果について

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Academic year: 2021

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(1)

飛 行 艇 の 離 着 水 時 に お け る艇 底 水 圧 の 実 測 結 果 に つ い て*

保**・ 桜

美***・ 永

正****

Test

Result

of Bottom

Pressure

Distribution

of STOL Seaplane

Model

Tamotsu NAGAI, Tatsumi SAKURAI and Junsei NAGAI

Abstract

Several kinds of test were carried out by using the three-fourth scale model of a Seaplane "PX-S".

In this report pressure distribution data are pre-sented and their differences between two cases of BLC on-and-off also discussed.

1. ま え が き 新 しいSTOL飛 行 艇PX-Sの3/4縮 尺寸 法 の実 験 機 UF-XSを 作 製 し約2年 間 の飛 行 実 験 が 終 了 した.実 験 結 果 の う ち高 揚 力装 置,低 速 の飛 行 性,水 上 で の飛 沫,安 定,衝 撃 等 の項 目に つ いて はす で に菊 原 が 講座 に 発表 して い る1)*****.そ こで こ こで は最 後 の 項 目で あ る衝 撃 す な わ ち特 に衝 撃 水 圧 の 実 測 結果 につ い て上 記 講 座 の 補 足 の 意 味 で報 告 す る. 飛 行 試 験 は,大 村 湾 内 お よ び外 洋 で行 な い,艇 底 に 配 置 した動 歪 型 の圧 力計 を用 いて,衝 撃水 圧 を 計 測 す る と同時 に,機 体 の 数点 に お け る加速 度 を計 測 した. ま た これ ら計 測 の 外 的条 件 と して,主 要 な機 体 条 件 お よ び波 高 等 も記 録 した. 水 圧 等 の 計 測値 を用 いて,各 外 的 条件 別 に圧 力 お よ び力 積 頻 度 分 布 を 求 め た が,特 に 境 界 層 制 御(以 下 BLCと 略記 す る)の 有 無 に よ る比 較 に つ き 検 討 した 結 果 につ い て 述 べ るこ と にす る. 2. 圧 力 ピ ック ・ア ップ の精 度 検 定 予 備 実 験 と して新 し く歪 計 を 利 用 して作 製 した 圧力 ピ ック ・ア ップ(以 下 水 圧 計 とよ ぶ)の 精 度 検 定 を し た.第1図 に 示 す ごと き重 量100kgの 木 製 艇 底 模型 (一部 は板 厚1mmの ジ ュラル ミン製)の 底 面 に水 圧 計 を 取 り付 け,こ の模 型 を 静 水 面 に水 平 に落 下 させ, 各高 さ に応 じて の 水圧 を動 的 歪計 を介 し,ビ ジ コー ダ ー にて 記 録 した.実 験 装 置 と計測 器 との 結 線概 略図 を 第2図 に示 す.記 録 され た水 圧 とH. WAGNER理 論2) に もとつ く実 験 算 定 式 とを 比 較 す る と第3∼7図 の ご と くにな る.図 よ りわ か る よ うに最 高 水圧 は4kg/cm2 以下 で あ るの で,計 測 装 置 の 検定 もこの 範 囲 で繰 り返 し行 な った.第3∼7図 の 比較 に よれ ば,水 圧 測 定 値 は理 論 値 と大 体 良 く一致 を 示 して い る と考 え られ る. 特 に力 積 に つ いて み る と,か な り良 い 一致 がみ ら れ る.し か し接 水 初 期 の最 高 水 圧 につ いて は実 験 値 の 散 らば りが大 き く,す べ て理 論 値 よ り小 さい値 を示 して い る,こ の種 の理 論 値 は これ まで 行 な わ れ た海 外 の 実 験 に よ って か な りの精 度 を もつ ことが 確 か め られ て い る点 を考 え れ ば,こ の予 備 実験 に用 いた計 測 装 置 は接 水初 期 の水圧 変 化 速 度 の早 い 領域 を除 い て は十 分 の精 度 を もっ とい え る.さ らに,実 艇試 験 の計 測で 明 らか な よ う に,実 際 の着 水 時 の 水圧 変 化 速 度 は この予 備 実 第1図 試験体外観図 * 昭 和42年5月8日 原 稿受 理 ** 防 衛 庁 技術 研 究 本 部 *** 元新 明 和工 業 株 式 会 社 **** 新 明 和 工業 株 式 会 社 ***** 参 考 文 献 の項1)を 参 照

(2)

2 航空 宇 宙学 会 誌 第16巻 第179号 (1968年12月) 第2図 ブ ロ ッ ク ・ ダ イ ヤ グ ラ ム 第3図 水 圧 計No.4に お け る水 圧 と時 間 の関 係 第4図 水圧計No.4に おけ る水圧 と時 間の関係 第5図 水 圧 計No.4に お け る水 圧 と時 間 の 関 係 第6図 水圧計No.4に おける水圧 と時 間の関係 験 と較 べ て か な り遅 い の で,実 艇試 験 の場 合 の水圧 測 定 の 精 度 は さ らに向 上 す る もの と考 え られ る. 3. 実 艇 試 験 の 概 要 に つ い て 計 測 した項 目お よ び使 用 器 材 に つ い て は第1表 に ま と めて あ る.こ の う ち 水圧 計,加 速 度 計,対 水 速 度 計,ポ テ ン シ ョメ ー タ ー(θ 計 お よ び β計)の 取 り付 け配 置 図 を第8図 に示 す.

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飛行艇の離着水時における艇底水圧の実測結果 について (永 井 保ほか)

3 第7図 水 圧 計No.4に お け る水 圧 と時 間 の 関係 試験 の種 類 は,(1)湾 内(BLCな し と あ り)で 離 水 と着 水,そ れ に(2)外 洋 でBLCを 作 用 させ,離 水 と着 水 とで あ る.一 方 試 験 回 数 は, 第1表 第8図 計測器取 り付け配置図

(4)

4 航 空 宇 宙 学 会 誌 第16巻 第179号 (1968年12月) 湾 内 でBLCな しで は 離水6回,着 水7回 湾 内でBLCあ りで は 離水16回,着 水15回 外 洋 で はBLCあ りで 離水28回,着 水27回 こ こ で試 験 時 の 風 向,風 速,波 長,波 高,全 機 重 量, 対 気 速 度,沈 下 率,重 心 位 置(MAC,%),フ ラ ッ プ 角 等 の種 々 な る組 み 合 わ せ の 値 は 下 記 の 範 囲 で あ っ た. 風速 は5ktか ら最 高22ktま で で あ った.湾 内 波 高 は0.2mよ り最 高1mま で で あ り,外 洋 で は 波高 と頻 度 数 と の 関係 と して は 第9図 に示 す ご と き状 態 で 第9図 外洋波高回数分布 あ っ た.全 機 重 量 は約15t,対 気 速 は44ktよ り73kt ま で,重 心 位 置 はMAC=20.7%か ら23%の 範 囲 内.ま た フ ラ ップ角 は2種 類 で 内 側 フ ラ ップ30°,外 側 フ ラ ップ22.5° と内 側 フ ラ ップ55°,外 側 フ ラ ップ 30°と で あ る.さ て航 走 中 の写 真 を 第10図 に示 す. 実 測 結果 は ビジ コー ダ ー のオ ッシ ロ ペ ーパ ー上 に 全 部 記 録 させ,そ の1例 を 第11図 に示 す.さ ら に方 位, 沈下 率,エ ンジ ン回転 数 等 を フ ォ トパ ネ ル に 記 録 し た. 4. 実 測 結 果 な らび に 考 察 第11図 に示 す ご と きオ ッ シ ロペ ーパ ー 上 の 記録 よ り水 圧 分 布 の 頻 度 数 を 算 出 した.結 果 の1例 を 第2∼ 3表 に示 す.こ れ らの表 か ら後 述 す る ご と く全 般 的 に 離 着 水 の別 で は 着 水 の場 合 の 方 が 大 き な圧 力 を示 して い る.圧 力 値 と して は い ず れ の場 合 で も海面 の状 態 か ら推 察 され た 値 よ り もか な り大 きい.こ の原 因 は一 つ に は機 体 の 剛 性 に よ る もの で あ って,主 翼 曲 げ一 次 モ ー ドが 衝 撃 に よ って 励振 され,そ の結 果 艇体 の上 下振 動 が 生 じ,水 との 相 対速 度 が増 加 して 圧 力 が 増 す 結果 と な った もの と思 わ れ る.今 一 つ の理 由 は滑 走 中に水 面 上 に 出て い る圧 力 ピ ッ ク ・ア ップ に波 頭 が あ た って 第10図 航 走 中 の 実 験 機UF-XS 第11図 湾内着水,境 界層制御な しの場合の実測例

(5)

飛行艇の離着水時 における艇底水圧の実測結果 について (永 井 保ほか)

5 第2表 湾 内着水の場合にお ける圧力頻度分布 (境界層制御 あ り) 第3表 外洋着水の場合 にお ける圧力頻度分布 (境界層制御あ り) 局 部 的 に大 き な圧 力 が 生 じるた め と推 測 で き る. 圧 力 の最 大 値 は湾 内着 水BLCな しの と きの 方 が外 洋 着 水BLCあ りの場 合 よ り も大 き くな った.こ の理 由に つ い て簡 単 に考 察 して み よ う. 圧 力 の大 き さは,上 述 の ご とき 因子 に よ って左 右 さ れ るが,具 体 的 に は艇 体 断 面 形 状 お よ び艇 底 と水 との 垂 直 な 相対 速 度 に よ って き ま る.こ の 速 度 成 分 と し て,つ ぎの3つ の部 分 を 考 え る.す な わ ち(1)機 体 の 沈下 速 度(艇 体 の 主 翼 曲 げ に伴 う速 度 を 含 む)(2) 機 体 の前 進 速 度,(3)波 の 粒 子運 動 速 度 とす る. そ こで湾 内着 水 境 界 層 制 御 な しで は,(1)は1m/s, (2)は5m/s,(3)は0.5 m/sで 合 計6.5m/sと な る. 一方 外 洋着 水 境 界 層 制 御 あ りで は ,(1)が1.5m/s, (2)は2.5m/s,(3)は1.3m/sで 合 計5.3m/sと な り,合 計 の両 者 の 比 較 か ら前 者 の方 が 大 き くな って い る.こ れ らの結 果 か ら水圧 の最 大 値 に は(3)の 波 の粒 子 運 動 速 度 の部 分 の 影 響 よ り もむ しろ(2)の 前 進 速 度 の部 分 の影 響 が よ り強 い こ とが わ か る. ま た圧 力 の力 積 を 求 め これ の頻 度 分 布 の 例 を第4∼ 5表 に示 す.こ れ らの表 を 利 用 して 湾 内離 着水 お よ び 外 洋 離 着水1回 あた りに対 してBLCの 有 無 に対 す る 水 圧 頻 度 分布 を も とめ て比 較 す る と た とえ ば代 表 的 に 水 圧 測 点E-41に お い て は,第12,13図 の ご と くに な り,ま た力 積 頻 度分 布 に て 比 較 す る と この点 で 第 14,15図 の ご と くに な る.こ れ らの図 よ りBLC作 動 に よ って高 水 圧 お よ び大 きい力 積 の 頻 度 が 減少 して い るこ とが わ か るが,こ の 理 由 と して,BLCの 作動 に よ って,離 着 水 時 の前 進 速 度 が低 め られ,か つ その と き の艇 体 姿勢 角 の 増 加 が防 が れ る た め と,接 水 直 前 の 沈 下 率 が 低下 して い る ことの2点 が あげ られ る. 衝 撃 加 速度 は圧 力 と同様 な 結果 とな って い る.す な わ ち全 般 的 にBLCあ りの 場合 が ない とき に比 し低 く な る.そ して重 心 位 置 にお け る値 はlgを 越 す こ とは まれ で あ った.翼 端 に お け る加速 度 は振 動 に よ って 大 巾 に増 加 し,特 に衝 撃 に よ って 励振 され た とき は重 心 位 置 に おけ る値 の6∼7倍 に達 す る場 合 が あ った.

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6 航 空 宇 宙学 会 誌 第16巻 第179号 (1968年12月) 第12図 離 着 水1回 あ た りの水 圧 頻 度 分 布(E-41 点 に お い て 離 内離 着水 の 場 合) 第13図 BLC作 動 時 に お け る離 着 水1回 あた りの 水 圧 頻度 分 布(E-41に お いて 外 洋 離 着 水 の 場 合) 第14図 離 着 水1回 あ た り の力 積 頻 度 分 布(E-41 に おい て 湾 内 離 着水 の場 合) 第15図 BLC作 動 時 に お け る離 着 水1回 あた りの 力 積 頻 度 分 布(E-41に お いて 外 洋 離 着 水 の場 合) 6. あ と が き UF-XS飛 行 艇 の艇 底 水 圧 を 実 測 す るた め に大 村 湾 内 お よび 外 洋 に お いて 飛 行 試 験 を 行 な った.得 られ た 結 果 はつ ぎの ご と くで あ る. (1) 大 村 湾 内(境 界 層 制 御 な しお よ び あ り)と 外 洋(境 界 層 制 御 あ り)の2つ の 場 合 に対 し,さ ら に各 々 を離 水 にお け る場 合 につ い て,つ ぎ の項 目 に関 す る 同時 計 測 に 成功 した. 計 測 項 目:機 首,機 体 重 心,翼 端 の3箇 所 に おけ る

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飛行 艇 の離 着 水 時 に おけ る艇底 水 圧 の実 測 結 果 につ い て (永 井 保 ほ か) 7 第4表 湾内著水の場合 における力積頻度分布 (境界層制御あ り) 上 下 加 速 度,機 体 姿 勢 角,横 す べ り角,対 水 速,艇 底 水 圧,方 位,沈 下 率,エ ン ジ ン回転 数,外 洋 の波 高. (2) 湾 内,外 洋 い ず れ に お い て も境 界 層 制 御 を行 な った場 合 は行 なわ な い と きに比 較 し,水 圧 な らび に 上下 加 速 度 は と もに 大 き く減少 す る.す な わ ち離 着 水 時 の水 と の相 対 速 度 の 低下 を期 待 す る こ とが で き る. 境 界 層 制 御 に よ って,水 か ら受 け る衝 撃 が軽 減 され る ことが 立 証 され た. (3) 艇底 水 圧 値 は全 般 的 に離 水 時 よ り着 水 時 の 方 が 大 きい.最 大水 圧 値 は境 界 層 制 御 な しの湾 内着 水 時 に生 じた.そ の理 由 と して は 波 高 よ りも前 進 速 度 の影 響 が大 き い こ とが 考 え られ る. (4) 艇底 水 圧 値 よ り判 断 す る と 水 圧 は 海面 の状 態,離 着 水 時 の機 体 の 運 動状 態 の ほか に機 体 の 剛性, 特 に主 翼 の一 次 曲げ 振 動 ま た さ らに波 頭 の 局 部 的衝 撃 に よ る影 響 が 含 まれ る もの と考 え られ る.翼 端上 下 加 速 度 は重 心 位 置 にお け る上下 加 速度 の6∼7倍 に達 す る場 合 が あ る.重 心 位 置 で は最 大約lgで あ る. さて こ の飛 行 試 験 の 実 施 に あ た り多 大 の 御協 力 を い 第5表 外洋着水 の場合における力積頻度分布 (境界層 制御 あり) た だい た そ の 当時 の 防衛 庁 技 本 航空 機第2班 長 中 村正 文2等 海佐,香 坂 哲哉3等 海 佐 を は じめ大 村航 空隊 司 令 日辻 常雄1等 海 佐 ほか 関 係各 諸 官 に感 謝致 す と と も に,計 測 に あた りい ろ い ろ ご指導 下 され た新 明和 工 業 株 式会 社 の徳 田 部 長,尾 崎 係 長 に厚 くお 礼 申 し上 げ る 次 第 で す. 参 考 文 献 1) 菊原静男:新 しいSTOL飛 行艇 の設計(講 座),日 本 航空学会 々誌,第14巻,第145号,昭 和41年2月 (Feb.1966).

2) Herbert WAGNER: Uber StoB-und Gleitvorgange an der Oberflache von Flussigkeiten, ZAMM Band 12, Helft 4, August 1932.

3) Model 270 Water Loads Investigation-Structural and Impact Loads Considering Airplane Flexi-bility, Martin Company Engineering Report 7515, Nov.,1955.

4) Model 270 Water Loads Investgation-Hull Bottom Pressures and Impact Loads, Martin Company Engineering Report 7516, Nov.,1955.

5) 中 村 正 文,永 井 保:UF-XS飛 行 艇 の技 術 試 験(第3 期 飛 行 試 験),防 衛 庁 技 術 研究 本 部 技報,第4巻,第 31号,昭 和40年9月(Sept.,1965).

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