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乳幼児を持つ母親の子育ての理想と現実が育児不安に及ぼす影響~理想の母親イメージと養育者イメージ、母親としての自己イメージの検討~

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Academic year: 2021

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(1)乳幼児を持つ母親の子育ての理想と現実が育児不安に及ぼす影響    理想の母線イメージと養育者イメージ、母真としての自己イメージの検討∼  学校教育学専攻 臨床心理学コース.    M08047C     青木富美          問題と目的.    育児場面とのギャップがさらに大きくなり,.  育児不安と子育てにおける「理想と現実」との関.    育児不安もより高くなる..           方法. 係を明らかにした研究では,母親の幼児への理想と する対応と,現実に行う対応は一致しない傾向があ. 記査対象者就学前の乳幼児(2∼6歳児)を持つ母親. り,その対応の不一致が育児不安を構成する要素の. 381名(縁故法171名,3歳児健診受診者200名,子. 一つであること(石山,200φが示されている.また,. 育てサロン参加者3名).. 実際に子育ての生活に入り,思い描いていた理想と. 質問経の構成①フェイスシート年齢,家族構成,. いかにかけ離れているか,その落差に樗然とするこ. 子どもの年齢と人数,母親の就労の有無と時間,子. とが育児不安の一要因となる(大目向,2002).以上. 育てに関するサポート資源の有無,母親の疾病の有. のことから,本研究では,母親イメージに焦点を当. 無一②SD法による母親イメージ尺度(24項目,6件. て,①理想の母親イメージ,②母親自身の養育者イ. 法):理想の母親イメージ,母親としての自己イメー. メージ,③母親としての自己イメージの関連につい. ジ,母親自身の養育者イメージ.③1歳6ヶ月用育. て明らかにする.さらに,これらのイメージと育児. 児不安スクリーニング尺度(41項目,4件法)(吉田ら,. 不安との関連および①,②,③のギャップと育児不. 1999).④自由記述:子育て中に不安を感じるとき,. 安との関連について検討する.また,理想の母親イ. それへの対処行動.. メージと実際の育児行動における母親としての自己.          結果と者寮. 認知との相違を検討する.また,具体的な育児場面. 1.3つのイメージに関する検討. で困り感や不安,それへの対処について,育児不安.  対象者は147名(平均年齢34.7歳,年齢不明2名). との関連から検討する.なお,本研究では育児不安. であった.3つのイメージ×147=441のサンプル数. をr育児や子どもとのかかわりの中で生じる,後悔. で因子分析(プロマックス回転)を行ったところ,3. やいらだちからくる育児に対する不安」と定義する.. 因子が抽出された.第1因子は「陰気な一陽気な. 仮説i:養育者イメージをネガティブに持つ母親は理. (0,938)」「つまらない一おもしろい(0,819)」などの項.   憩の母親イメージをよりポジティブに持つ傾. 目で,「快活」と名付けた.第2因子は「短気な一気.   向にある.. の長い(O.876)」「おこりっぽい一おだやかな(α828)」. 仮説血:母親としての自己イメージと理想の母親イメ. などの項目で,唆心」と名付けた.第3因子は「平.   ージのギャップが大きくなることが育児不安. 凡な一すばらしい(α976)」r魅力のない一魅力的な.   の一要因となる.. (0,796)」などの項目で,「魅力」と名付けた.. 理想の母親イメージの形成要因としての養育者イ. 仮説並:仮説iと仮説五より,仮説iの場合に実際の. 112.

(2) メージの検討を行ったところ,養育者イメージから. である.母親としての自己イメージは養育者イメー. 理想の母親イメージヘの関係性は示されず,むしろ,. ジの影響を受けおり,養育者イメージをよりよいも. 養育者イメージは母親としての自己イメージとの関. のとして振り返り,認知できるかが育児不安軽減に. 係性が高いことが明らかとなった.つまり,養育者. おいて重要である.. イメージをどのように持つのかということは,理想.         今後の課題と展望. の母親イメージをどのように描き,持つのかという.   本研究では,対象者の健康度が高レ噸向にある. ことよりも,母親としての自己イメージをどのよう. など,サンプルに偏り見られた.今後,育児不安が. に持つのかということに関連していると考えられる.. 高いと思われる対象者の協力を求め,育児不安の程. 氏家(1995)は,子どものころの自分の母親を否定的. 度にあわせたサポートついて考えていく必要ある.. にとらえている母親は,育児に関わる出来事をより. また,理想の母親イメージの形成要因について明ら. 否定的に知覚する傾向を持つことを示しており,本. かにすることで,子育てにおける理想と現実のギャ. 研究でもこれを支持する結果となった、. ップに対するサポートをより明確になることが期待. 2育児不安に関する検討. される.さらに,面接調査などより深く,育児不安.  3つのイメージと育児不安の関係性について検討. の要因を探る必要性が指摘される.. したところ,育児不安において,母親としての自己 イメージが重要な要素として働いていることがより.          引用文献. 明確にしめされた.また,育児不安の要因として,. 石山るつ美 2004母親の幼児への対応における. 母親イメージを含む,子育てにおけるr理想と現実」.  理想と実際の相違およびその育児不安との関連. のギャップが影響していることも。確認された.以上.  山梨学院短期大学研究紀要,25,109・11吐. のことから,養育者イメージの影響により形成され. 牧野カツ子 1982乳幼児をもつ母親の生活と〈育. た母親としての自己イメージが育児不安の一要因と.  児不安〉 家庭教育研究所紀要,3,34−56.. して働き,さらに,その母親イメージと理想の母親. 中村敬・堀内勤・星旦二 20032002年度厚生労. イメージとのギャップが大きくなることが育児不安.  働科学研究子ども家庭総合研究事業「地域におけ. を高めると考えられる.また,育児不安の高低にお.  る子育て支援ネットワーク構築に関する研究」. ける,具体的な育児場面での不安には違いが見られ.  総括研究報告書1. た.育児不安の高い母親は,自分自身のことに目が. 大目向雅美 2002育児不安・発達心理学の立場か. 向いている傾向があり,子育てに対して自信のなさ.  ら・こころの科学,103,9−15.. が伺われた.. 吉田弘道・山中龍宏・巻野吾郎・太岡百合子・中村.  中村ら(2003)は,「育児不安を軽減するためには母.  孝・山口規容子・牛島廣治 1999育児不安尺度. 親の自己肯定感を高め,育児意識をポジティブな視.  の作成に関する研究一1歳半児の母親用試作モテ. 点で捉え,育児に対する自信を高めることが効果的」.  ルの検討一 チャイルドヘルス,2,45−49.. と述べている.よって,育児不安を軽減するために. 氏家達夫 1995 子ども時代の母親についての記. は,母親としての自己イメージをポジティブに持つ.  億が母親としての態度に及ぼす影響について 母. ということが大切であり,さらに,子育てにおける.  性衛生,36,173.. r理想と現実」のギャップを小さくすることが重要.             主任指導教員 遠藤裕乃             指導教員   遠藤裕乃. 113一.

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