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段階動詞と副詞的修飾成分との共起関係についての研究 : 「V1つづける」を中心に

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Academic year: 2021

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平成二十七年度

 

修士論文要旨

  

段階動詞と副詞的修飾成分との共起関係についての研究

――

「V1つづける」を中心に――

   

 

    1.研究目的   本研究の目的はアスぺクチュアリティの各表現手段、各 アスペクト的な意味を視野に入れ、統語論的な研究におい て、修飾成分と修飾される述語成分との共起関係という視 点から、アスペクト的な意味機能を記述することにある。   アスペクチュアリティとは、時間的限定性のある動的事 象の時間的展開における様々な姿を表し分けるカテゴリー である。言い換えれば、アスペクチュアリティは文におけ る様々なアスペクト的な意味と、様々な表現手段との体系 である。戦後のアスペクト研究は主に形態論的に、動詞や 述語を中心に進んでいる。アスペクト標示に関して形態論 的カテゴリー、語形変化がない言語もあるが、語彙的、語 順など様々な表現手段によって表現される文レベルでのア スぺクチュアリティはどの言語にもある。つまり、形態論 的手段ではなく、ほかのアスペクト的な表現手段に関する 研究はアスぺクチュアリティ研究にとって意義があり、さ らには、出来事の時間的展開の本質的な特徴が窺え、諸言 語間の対照研究にとっても価値がある。本研究は、語彙的 なアスペクト表現手段に属する「V1+つづける」を中心 に、段階動詞と副詞的修飾成分との共起関係から、アスペ クト的な意味機能をより明らかにすることをめざした。 2.論文構成   本研究は、一~六章によって構成されているが、中心は 第四章「段階動詞と副詞的修飾成分」と第五章「段階動詞 と時の表現との共起関係」である。詳細は以下のとおりで ある。   第一章   本研究の目的及び構成   第二章   先行研究のまとめと、本研究の位置づけ   第三章   研究方法及びデータの構成   第 四 章   「 V 1 + つ づ け る 」 と 副 詞 的 修 飾 成 分 と の 共 起

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- 43 - 関係の考察および、 「~ている」形式との対照   第 五 章   「 V 1 + つ づ け る 」 と 時 の 表 現 と の 共 起 関 係 の 考察および、 「~ている」形式との対照   第六章   結論と今後の課題 3.研究方法   本 研 究 は 先 行 研 究 を 踏 ま え 、「 V 1 + つ づ け る 」 を 中 心 に段階動詞と副詞的修飾成分との共起関係を考察するため、 『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コ ー パ ス ( 中 納 言 )』 を 利 用 し 、 用 例 を 収 集 し た 。 元 デ ー タ は 、「 V 1 + つ づ け る 」 に 関 わ る デ ー タ 一 七 八 八 文 (「 短 単 位 検 索 」 で 動 詞 の 連 用 形 を 前 方 共 起 条 件 に 設 定 し 、「 ツ ヅ ケ ル 」 を 検 索 の キ ー と し て 検 索)と「V1+つづける」と類似性を持ち、対照項目と見 な す 「 ~ て い る 」 形 式 に 関 わ る デ ー タ 一 八 〇 〇 文 (「 文 字 列 検 索 」 で そ れ ぞ れ 「 て い る 」「 て い ま す 」「 て い た 」「 て いました」を検索のキーとして検索)が含まれる。そして、 仁田義雄(二〇〇二)で規定されている副詞分類により、 収集した用例の中から関連する構文成分を抽出し、分類整 理した。 4.研究成果   本研究の分析考察はデータベースの整理結果に基づき、 共起関係の傾向や形成原因を分析し、アスペクト的な意味 機能を考察した。結論としては、以下のとおりである。   ①「V1+つづける」は明らかに事象を表す前項V1と、 時間を表す後項ツヅケルから構成される。つまり、一方は 内部の前後二項がある程度分化し、もう一方は、語彙的意 味 に 制 限 を 受 け 、 結 合 条 件 が あ る 。 そ こ で 、「 V 1 + つ づ け る 」 と 副 詞 的 修 飾 成 分 と の 共 起 関 係 は 、< 様 態 >   ( ゆ っ く り 、 え ん え ん ) と < 時 間 > ( ず っ と 、 次 々 ) に 集 中 し 、 ほぼ平等に分化し、 V1になりにくい動詞と相性がいい 「程 度量の副詞」 (とても、非常に) 、「結果の副詞」 (赤く、丈 夫 に ) と は 共 起 し に く い 。 一 方 、「 ~ て い る 」 形 式 は 文 法 的意味のみを持ち、内部が分化せず、結合制限もおよそな い の で 、< 様 態 > 外 の 副 詞 と の 共 起 は ほ と ん ど 差 が な く 、 一様である。   ②ツヅケルは「V1+つづける」の後項動詞として、一 方 は < 限 界 消 去 > と い う 機 能 を 持 ち 、 も う 一 方 は 事 象 が 持 続 中 の 段 階 に 限 定 す る 。 そ こ で 、「 V 1 + つ づ け る 」 と 時 間関係の副詞との共起関係は限界性と相関するタイプ「事 態存続の時間量」 、「時間における事態の進展」を表す副詞 ( ex : ず っ と 、 し ば ら く ) に 偏 り 、 出 来 事 と 異 な る < 想 定 事 態 > 必 要 と す る 「 マ ダ ・ モ ウ 」 と の 共 起 関 係 が 弱 い 。 そ れ に 対 し て 、「 ~ て い る 」 形 式 は 「 マ ダ ・ モ ウ 」 と 共 起 しやすい。   ③「V1+つづける」は語彙的アスペクト表現手段とし て、外的時間との相関性が弱く、形態論的手段に頼る。ゆ えに、外的時間を表すテンポラリティ表現としての時の状

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- 44 - 況成分における共起関係は、出来事時を指示する相対的な もの(その時、翌日)に偏り、発話時を基準とするものと の 共 起 関 係 が 弱 い 。 一 方 、「 ~ て い る 」 形 式 は テ ク ス ト 機 能を持ち、外的時間と相関する。継続相として、発話活動、 発話時を基準にするテンポラリティ表現(今、最近)と共 起しやすい。   ④ 時 の 表 現 に お い て 、「 V 1 + つ づ け る 」、 「 ~ て い る 」 との共起関係は、時の状況成分における傾向と形成原因と 類 似 し て い る 。 二 つ の 表 現 と < 内 的 時 間 > 、< 外 的 時 間 > と の 相 関 性 の 差 異 に よ り 、「 V 1 + つ づ け る 」 の 方 は 内 的 時 間を表す 「時間関係の副詞」 と共起しやすく、 「~ている」 の方は外的時間を表す「時の状況成分」と共起しやすい。   ⑤期間表現において、 「V1+つづける」 との共起関係は、 「事態存続の時間量」を表す副詞との共起と類似している。 すなわち、非内的限界である「V1+つづける」の表現に 外 か ら 限 界 を 設 け 、 限 定 す る こ と で あ り 、「 V 1 + つ づ け る」と相性がよく、共起しやすい。

参照

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