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生命科学・動物実験に関する最近のトピックス

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拳考資料 生命 科学 ・動物 実鹿 に関する最近 の トピックス 最 近 、新 聞紙 面 に取 り上 げ られ た生命 科 学 ・ 動物実験 に関す る主な 話題 を以 下 に 日付順 に紹 介 します 。 なお 、一部 を除 き朝 日新 聞 と毎 日新 聞 のみ にな った こと、重 要な話題 を全 て紹 介 で きなか った ことを、 ご 了承 くだ さい。 ES細胞 、サル で成 功 医療 へ の応用 に逆 :京大 グル ー プ 京 都大 や滋 賀 医大 、近畿 大 な どで つ くる研 究 グル ー プは 18 日、 あ らゆる組 織や臓 器 にな る 可能性 が あ るため 「万能細胞」と呼 ばれ る腫性 幹細胞 (ES細胞 ) をカニ クイザル とニ ホ ンザル の体外 受 精卵 か ら作 る ことに成功 した と発 表 し た。米 国で は既 に、人間や アカゲザ ル な どのES 細胞 が作 られ て いるが 、 グル ー プは 「カニ クイ ザ ル は 日本 の動物 実験 で よ く使 わ れ る種類 で、 ES細胞 の医療へ の応用 につ いて の今後 の研 究 に 役 立つ だ ろ う」 と話 して いる。 ES細胞 を使 うと、神経細胞や血管 、臓 器 な ど を作 って 人体 に移植 す る 「再 生 医療」 に道 を開 く可能性 が あ り、注 目され て い る。 グル ー プは これ まで 、マ ウス を使 った研 究 を進 めて きた。 グル ー プ は、 カニ クイザ ル とニ ホ ンザ ル の体 外 受精卵 を、受 精 7-9 日後 の腫 盤胞 と呼 ばれ る段 階 まで分裂 させ 、そ の一部 を取 り出 して培 養 を重ね る ことで、ES細胞 を取 り出す ことに成 功 した。今 後 は、安定 して増殖 で き る方 法 の研 究 を進 め る。来 年 まで にはそ の方法 を確 立 し、 どの よ うな条 件下 で培 養す れ ば どんな細 胞 や 組 織 にな るか を探 る研究 を始 めた い とい う。 グル ー プ代 表 の 中辻 憲 夫 ・京 大 再 生 医科 学 研 究 所 教 授 は 「マ ウス で で き た ことが 人 間 で で き る とは 限 らず 、 で きた細 胞 を移 植 して み る実 験 にサ ル は欠 かせ な い。体 外 受 精 を使 え ば効 率 的 にES細胞 を作 る こともで き るので、 世界 の研 究者 に無償 で ES細胞 を提供 して いき た い」と話 して いる。(毎 日新 聞2000年 9月 19 日) 患者 か らの 骨髄 か ら皮膚噂 義一 重傷 や け どで移 植成 功 :奈 良県立 医大研 究グル ープ 重 傷 のや け ど患 者 か ら採 取 した 骨髄 細 胞 を 培 養 して 作 った 皮 膚 組 織 を、 本 人 に移 植 す る 治 療 に吉 川 隆 幸 ・奈 良県 立 医科 大講 師 らの研 究 グル ー プが成 功 したO 骨 髄 細 胞 は血 液 や 骨 な どの組 織 にな る た め再 生 医 療 の 中核 にな る と期待 され 、既 に軟 骨 の 一部 が 治 療 に使 わ れ て いるが 、皮膚 の移植 治療 は初 めて だ とい う。 移 植 を受 けた患 者2人 は いず れ も退 院 し、研 究 グル ー プで は今 後 も この治 療 を続 け るoll 月 7 日か ら横 浜 市 で始 まる 日本 バイオ マテ リ アル学会 で発 表 す る。 研 究 グル ー プ は今 夏 、そ れ ぞ れ 全身の 60% と 50%をや け ど した患者 2人か ら骨髄 細胞 を 採 取 し、1-2週 間培 養 した。 培 養細胞 をスポ ンジ状 の人工皮膚 に染 み込 ませ て、2人の胸 、 腹 な どや け どの ひ どか った 部 分 に移 植 した 結 果 、表 皮 の 下 に厚 さ数 ミリの 真 皮 が 形 成 され 、 皮膚 として機能 して いる ことが分か った。 従 来 の 人 工 皮 膚 移 植 は 、拒 絶 反 応 の た め に 患者 に定 着 しな い課 題 が あ った 。研 究 グル ー プ は患 者 本 人 か ら取 り出 した 骨髄 細 胞 を使 う ことを検討 、動 物実 験 を重ね た。

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月には学 内 の倫理委員会 の承 認 を得 て いた。 吉 川 講 師 は 「重 傷 の や け ど患 者 の場 合 、 真 皮 を元 に戻 す こ とが 難 しか った 。今 後 も救 急 患 者 の治 療 に役 立 て た い」 と話 して いる。 (毎 日新 聞2000年 10月 25日) 脳神 経細胞 生 成 に成 功 パ ーキ ンソン病 治療 に 「光」:京大グル ー プ マ ウスで実験 マ ウス の腰 性幹 細 胞 (ES細 胞 ) を使 い、試 験管 内で効 率 よ く神経細胞 を作 る新技術 「SDIA 法」 の 開発 に、 京 都 大 再 生 医科 学研 究 所 の 笹 井 芳樹 教 授 (再 生 統 御 学 ) らの グル ー プが 成 功 したし この細 胞 か らさ らに神 経 伝 達 物 質 ド ー パ ミ ンを放 出す る 中脳 神 経 細 胞 を作 り出す ことに も成 功 し、 ドー パ ミ ンが減 少 す る こ と で運 動機 能 障 害 を起 こす 難 病 、パ ー キ ン ソ ン 病 の移 植 治 療 に道 を 開 く成 果 と して注 目され るO論文 は26日発行 の米科学誌 「ニ ュー ロン」 に掲載 され る。 笹 井教 授 らは、神 経 へ の分化 を阻害す る物 質 (BMP4)を含 まな い培養 地 で 、マ ウス の骨髄 中 にあるス トロー マ細 胞 を敷 いた上 に ES細 胞 を 置 き、変化 を観察 した。培養 開始 4-5 日で ES 細胞 の90%以 上が神 経細胞 にな り、そ の約 30% が 8日目には ドー パ ミ ン神経細胞 に分化 した。 BMP4を含 む培 養 地 で は、ES細 胞 は神経 にな ら ず に皮膚 の表皮細 胞 に分化 した。 こう して で きた ドー パ ミ ン神 経細胞 をマ ウス の脳 に注入す る と、2週 間後 には約 2割 の細胞 が 生 き残 った。米 国 の研 究 グル ー プが別 の方法 で実験 した ケー スで は、 ドー パ ミン神経細 胞 が 生 じるのに24日以 上 を要 し、分化 の頻度 は 7-30%に とどまった とい う。 欧米 で はパ ー キ ン ソ ン病 の治 療 に中絶 胎 児 の 脳 を材料 に した細 胞 移 植 の研 究 が行われ て い る が 、細胞 供給 と倫 理 の両 面 で 大 きな 問題 を抱 え る。笹 井教 授 は 「日本 で ヒ トES細胞 利用 のガ イ ドライ ンが 成 立す れ ば、サ ル を使 って効果 ・ 安全性 を厳 しくチ ェ ッ ク した 上で、 ヒ トへ の臨

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床応 用 の研 究 に進 む ことにな る」と話 して いる。 (毎 日新 聞2000年10月 26日) 人 工遺 伝 子 合 成 時 間 を大 幡海 瀬 生 命 体 開発 に道 :農 林省試験場 農 林 省 の家畜衛 生試験 場 (茨 城県 つ くば市 ) は 27 日、野 生型 の遺 伝子 と塩 基 配列 が 同 じ人 工遺 伝 子 を、従 来 よ り数十分 の 1の短縮 時 間で 正確 に作 れ る新 しい合 成法 を 開発 した と発 表 し た。 この 手法 で ウマイ ンター フェ ロ ンの人工遺 伝 子 を 6日間で完成 させ る ことに成功 した。今 後 、 医薬 品 な ど有 用 たん ぱ く質 の生産 効 率 を飛 躍 的 に高 め る ことが可能 にな る ほか 、将 来 的 に は 、 人 間 が 設計 した遺 伝 子 を持 つ作 物 や 家畜 な ど 「人工 生命体 」 の開発 につ な が る基 礎 技 術 と して も期待 され る。 遺 伝 子 は二 重 らせ ん といわ れ る よ うに、2本 鎖 の DNA(デ オキ シ リボ核酸 ) で構 成 され る。 従 来 の人工遺伝子 は、 まず 、DNA合成機 で約 50 塩 基 の DNA断片 (1本鎖 ) を作 り、酵 素 の働 き で 2本鎖 に した あ と、断片 の端 と端 をつ な ぎな が ら、配 列 を長 く して完 成 させ て いた。 合 成機 で作 る とき にDNA断片 の両端 の塩 基配 列 が 欠 け た り、 間違 った りLやす いた め 、そ の修 正作 業 に手 間取 り、数 百塩 基 の遺 伝 子 で数 カ 月∼1年 か か って いた。 SPR法 と名付 け られ た新 合成法 は、2本 のDNA の構 成 が互 い に鋳 型 にな って い る点 に着 目。 一 部 だ けが重 な り、それぞ れ 左右 別 方 向 に伸 び た DNAの 2本鎖 をまず作製 したo酵 素 の働 きで 1 本鎖 の相 手 の欠損 部分 が互 い に 自動 的 に複 製 さ れ 、 よ り良 い完全 な 2本鎖 を作 れた。 この手法 を繰 り返せ ば、2本鎖 を長 くで き る上 、 間違 い が 非常 に少 な く、短 時 間で の作 業 が 可 能 にな る とい う。 同試験 場 は SPR法で塩 基 数約 620の ウマイ ン ター フェ ロ ンの人工遺伝子 を 6日間で完 成 させ た。 従 来 の方法 で は数 カ 月以 上 か か って いた。 不 良遺 伝 子 がで き る割 合 も従 来 法 に比 べ低 か っ た 。 数 千 、数万塩 基 の長 い人 工遺 伝 子 の合 成 も 基 本 的 には可能 とい う。 (毎 日新 聞 2000年 10 月 28日) マ ラ リア原 虫 蚊 の体 内で死 漉 ワクチ ン開発 に成 功 :愛媛 大 グル ー プ マ ラ リア の原 虫 を 、媒 介 す る蚊 の 中 に い る 段 階 で 死 滅 させ る ワ クチ ンの 開発 に、愛 媛 大 医 学 部 の 鳥 居 本 美 教 授 (寄 生 虫 学 ) らの研 究 グル - プ が 成功 した 。 マ ラ リア に対 して は 人 間 に直接 、投 与す る治 療薬 は あ るが 、薬 剤 耐 性 を持 つ マ ラ リア が 出現 した た め 、 新 た な ま ん延 防止策 の研 究 を進 めて いた。11月1日、米 国 ヒュー ス トンで 開か れ る米 国熱 帯 医学 会 で 発 表す る。 マ ラ リア は 、 病 原 体 の マ ラ リア原 虫 に よ る 伝 染病 。 熱 帯 や 亜 熱 帯 に生 息 す るハ マ ダ ラカ が媒 介 す るO 研 究 グル ー プ は蚊 の体 内 に い る 段 階 で の マ ラ リ ア 原 虫 の 固 有 の た ん ば く 「Pvs25」 を発 見 。 これ を抗 原 と して 東南 ア ジ ア に多 い三 日熱 マ ラ リアの ワクチ ンを作 った。 ワ クチ ンは 人 の血 液 中で抗 体 を形 成 。 最 初 に 刺 され た 人 は感 染 す るが 、抗 体 は吸 血 した 蚊 の体 内 に移 ってか ら原 虫 を死滅 させ る。 タイ 人 17人 の血液 とワクチ ンをマ ウス に注 射 して 得 た抗 体 を混 ぜ 、原 虫 を持 った 蚊 に 吸 わせ た と ころ、 うち 15人 の血 を吸 った蚊 の 中 の原 虫 は全 滅 、残 り 2人 につ いて もほ とん ど 死 滅 した 。 来 年 初 め に も、 ア メ リカ 国立衛 生 研 究 所 の協 力 を得 て 実 際 に 人体 に ワ クチ ン を 注射す る実験 を行 う。 世界保 健 機 構

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の推 計 な どによ る と、 マ ラ リアの罷患 者 は、年 間約3億 人 とされ,150 万-300万 人が死 んで いる。 国 内で も海外渡航 者 が年 間で 100人以 上感 染 し、死 亡す るケ ー ス もある。 鳥 居 教 授 は 「ワ クチ ンの大 量 生産 な ど課 題 も あ るが 、マ ラ リア の根 絶 につ なが る可能 性 も高 い」と話 して いる。 狩 野 繁 之 ・国 立 国 際 医 療 セ ンター研 究 所 部 良 (寄 生虫学) の話 動物実験 で は 100%以 上 効 果 が あ った と聞 い て お り、 人体 に注 射 して も有効 性 は 高 い だ ろ う。 ほか の薬 と併 用 す れ ば、根絶 も夢 で はな くな った。 (毎 日新 聞 2000 年 11月 1日) ES細胞 で 血管 生成 心筋 こ うそ く治療 に道 :慕 大大学院グル - プ マ ウス実験 京 都 大 大 学 院 医 学 研 究 科 の グル ー プが 、 マ ウス の腫 性 幹 細 胞 (ES細 胞 ) を使 って試験 管 内 で 血管 を 生 成 す る こ とに成 功 した 。 血 管 を 構 成す る 2種 類 の細胞 の うち、血管 内壁 を覆 う内皮細胞 が ES細胞 か ら分化 す る ことは分 か って いた が 、 内 皮 細 胞 を取 り巻 き血 管 の収 縮 弛 緩 な ど にか か わ る壁 細 胞 を 同時 に分 化 させ た の は初 め て 。 生 体 で の血 管 発 生 の メカ ニ ズ ム解 明 と、再 生血管 移植 によ る心筋 こうそ く、 動 脈 硬 化 な どの新 しい治 療 法 につ な が る成 果 だ。2日発行 の英 科 学誌 「ネイチ ャー」 に掲載 され る。 山下 潤 研 究 員 と、 西 川 伸 一 教 授 (分 子 遺 伝 学)、 中尾 -和 教 授 (臨床 病 態 医科 学 ) らの グ ルー プが研 究 。 山下研 究 員 らは、 マ ウス の ES細胞 を培 養 し て で き た 血 管 前 駆 細 胞 に 、 血 管 内 皮 増 殖 因 子 (VEGF)を加 え る と内皮細胞 が発 生 し,血 小板 由来増殖 因 子 (PDGF)を加 え る と壁 細胞 が発 生 す る ことを確 認 した。 また 、血管 前駆 細胞 の塊

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を コ ラー ゲ ンゲ ル の 中で培 養 す る と、培 養 開始 5日∼7日で 内皮細 胞 、壁 細 胞 か らな る血管 構 造 が 形 成 された。 (毎 日新 聞

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日) 変 異 で寿 命 2倍 シ ョウジ ョウバ エ の遺伝 子発 見 長寿薬 開発 に光 ? 米 大博 士 ら発 表 変 異 が起 きる と寿命 が 2倍 にな る シ ョウジ ョ ウバ エ の遺 伝 子 を発 見 した と、 米 コネ テ ィカ ッ ト大 の ス テ ィー ブ ン ・ヘル フ ァン ド博 士 らが 15 日発 行 の米 科 学誌 サ イ エ ンス に発 表 した 。 人間 な どは乳 類 に も似 た遺 伝 子が あ り、 長 寿薬 開発 の糸 口にな るか も しれ な い、 と指摘 して いる。 同博 士 らは シ ョウ ジ ョウバ エ の実 験 を続 け る うち偶 然 、寿命 が通常 の

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倍 の約

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日あ る系 統 を発 見 。 「Indy」 と名 付 け た 遺 伝 子 に変 異 が 起 こる と寿命 が延 び る ことを突 き止 めた。 同遺 伝 子 は体 内 の栄 養 の代 謝 に関連 が あ る。 マ ウス の実 験 で はえ さの量 を減 らす と寿命 が延 び る こ とが 分 か って いる こ とか ら、 変 異 が起 き た シ ョウ ジ ョウバ エ は栄養 を十 分 吸 収 で きず 、 結 果 的 にえ さ を減 らした の と同 じ効 果 が 出て い るので はな いか、 と同博士 らは推測 して いる。 発 見 した変 異 の最 大 の特 徴 は 、寿 命 を延 ばす 以 外 の副 作 用 が な い こ と。 変 異 を持 つ シ ョウジ ョウバ エ は運 動 能 力 も普通 と変 わ らず 、 え さを 食 べ る頻 度 も同 じ。 そ の うえ 、雌 が 健 康 な卵 を 産 む 生殖 期 間 も約 40%延 びて お り、長 寿 に加 え 若 々 し さ も維 持 して い る ら し い 。 (毎 日新 聞

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日) が ん ワクチ ン開発 新 種 の抗 原 を発 見

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種類 目国 内初 :岡大 の小野俊郎 助 手 が ん ワ クチ ンの 素材 と して 有 効 とされ て いる

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抗 原 」 の新 種 を、 岡山大 学 医学 部 生体 防御 医学 講 座 の小野 俊 郎 助 手 が 人 間 のが ん細胞 か ら 発 見 した。

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抗 原 は これ で

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種類確 認 された こ とにな るが 、国 内で の発 見 は初 めて 。

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抗 原 は、が ん細胞 と、正 常 な組 織 で は精巣 のみ に見 られ るが ん抗 原 の総称 。 自分 の体 を守 る免 疫 系 に対 し、細 菌 や 異物 を排 除 す べ き もの と知 らせ る役割 をす る。 これ まで の 11種 類 の うち 2種 類 が欧米 の臨床 試験 で実 用化 されて い る。 小野 助 手 によ る と、 自 らが 発 見 した マ ウスの

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抗 原 の遺伝子 配列 な どか ら、が ん だ け に存 在 す る新 しいた ん ぱ く質 を人 の精 巣 で発 見。 同一 の た ん ぱ く質 を、 ぼ う こうが んや 大 腸 が ん の患 者 のが ん細胞 の一部 か らも見 つ け、

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抗 原 と確 認 した。 小 野 助 手 は 「発 見 した

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抗 原 は 、 が ん細 胞 を撃 退 す る抗 体 をつ く りだす 力が 強 い。 が ん細 胞 を直接 攻 撃す る 『キ ラーT細 胞 』 と呼 ばれ る リンパ 球 を活 性 化 させ 、患 者 の免 疫 力 を 高め る 可能 性 が 実 証 され れ ば、が ん ワ クチ ン と して臨 床 試験 に入 る こ とが で き る」 と話す 。 今 春 、米 国 の学術 専 門誌 上 で 発 表 す る。 (朝 日新 聞

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年1月6日) 豪 で遺 伝 子 組 み 換 え 実 壌 中 偶 然 致 死 ウイル ス 出現 オー ス トラ リア 国 立 大 な どの研 究 グル ー プ が 、 マ ウ ス の ウ イ ル ス を使 って遺 伝 子 組 み 換 え実 験 中 、 偶 然 、 致 死 性 の ウ イ ル ス を作 り出 して しま った と、米 医学 誌 「ウイル ス学」2月 号 に発 表 した O この ウ イ ル ス は 人 間 へ の危 険 はな い もの の、こ う した技 術 が悪用 され れ ば、 生 物 兵 器 の 開発 に もつ な が り、 議 論 を呼 び そ うだ。 グル ー プ は 3 年 近 く、政 府 と軍 に しか 報 告 して い な か っ た が 、 危 険性 を広 く知 らせ る 義 務 が ある と して公 表 した。 グル ー プ は 、 ネ ズ ミ に よ る農 作 物 被 害 を 防 ぐた め 、 不 妊 に して 繁 殖 を迎 え よ う と い う研 究 を して い た 。 マ ウ ス の病 気 で あ るマ ウ ス 痘 の ウイ ル ス に、イ ンター ロイ キ ン 4とい う、 免 疫 細 胞 を活 性 化 させ る物 質 の遺 伝 子 を組 み 込 んで マ ウ ス に注 射 。 免 疫 反 応 で 生 殖 細 胞 を 壊 して不妊化 を狙 った 。 ところが 、注 射 したマ ウスが次 々 と死 んだ。 免 疫 を持 っ て い て マ ウ ス痘 にか か らな い もの も死 亡。 ワ クチ ン の効 果 も非 常 に低 か っ た と い う。 マ ウ ス 痘 は 、 人 の天 然 痘 に近 く、 実 験 室 で広 く使 わ れ て い る。 生物 学 な どの研 究 中 、 偶 然 に こ う した 予 期 しな い こ とが 起 き る 可 能 性 は あ る。 専 門 家 か らは 「潜 在 的 な危 険 は増 して お り、

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年 に ま とま っ た 生 物 兵 器 禁 止 条 約 の強 化 を急 ぐべ きだ」 との声 が 上が って い る。 (朝 日新 聞

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年 1月 25日) 牛 の腐器 、 肉骨粉 年

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㌧ 日本 に

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年狂牛病流 行 期 の 英 か ら 人 間 に伝 染 す る 恐 れ が あ る と指 摘 され て い る狂 牛 病 の 主感 染 源 とみ られ る牛 や 羊 の 「臓 器 」 や 「肉 骨 粉 」 が 、 狂 牛 病 流 行 期 の英 国 か ら日本 に輸 出 され て いた こ とが 5日、 明 らか にな った 。 英 税 関 当局 によ る と、 「臓 器 」 は、

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年 か ら

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㌧前後 輸 出 され て いたO英 国で は、

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年代 後 半 か ら

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年代 前 半 にか け 、 狂 牛 病 が 爆 発 的 に流 行 。 感 染 牛 の 脳 や せ き髄 を含 む 「臓 器」な どを飼 料 添 加 物 と して 用 い た こ とが 、 伝 染 原 因 とみ られ て い る。 狂 牛 病 は 、 特 殊 な た ん ぱ く質 「プ リオ ン」 によ り、脳 が海 綿 状 にな る病 気 で 、英 政府 は

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年 7月、脳 、せ き髄 や リンパ 節 な ど 「プ リオ ン」 が 集 積 しや す い特 定 の臓 器 の加 工品 を輸 出禁 止 と した 。 感 染 す る と、 牛 の場 合

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年 程

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度 で 発 症 。 人間 の場 合 、10-20年 の潜 伏 期 間 を経 て 、 致 死 性 の痴 ほ う性 症 「ク ロイ ツ フ ェ ル ト ・ヤ コ ブ病 」 を発 症 す る 公 算 が 大 き い と され る。 日本 に流 入 した 「臓 器 」や 「肉骨粉 」 の主 用 途 は、牛 、鶏 、豚 の飼 料 や ペ ッ トフー ドとみ ら れ る。 税 関統 計 によ る と、牛 と羊 の 「臓 器 」 の 対 日輸 出 は88年が349㌧、89年350㌧、90年 262㌧。96年 に欧州 委 員会 が 全 面禁 輸 を決 めた た め 、同年 の23㌧を最後 に対 日輸 出 はな い。 (毎 日新 聞2001年2月7日) マ ウスの 「設 計 図」解 読 遺 伝 子 約 1万 5200個 新 薬 開発 に直轄 も :理研 文 部 科 学 省 の特 殊 法 人 「理 化 学 研 究 所 」 (本 所 ・埼 玉 県 和 光 市 ) は 、 マ ウ ス につ いて 、新 発 見 の約1万 2400個 を含む約 1万 5200個 の遺伝 子 の解 読 に成 功 し,8日発 行 の英 科 学 誌 「ネイ チ ャー 」 に掲 載 したO 今 回解 読 した の は 、遺 伝 情 報 が 整 理 され て 細 胞 内 の 「た ん ぱ く質 の 工 場 」 に運 ばれ る直 前 の 「設 計 図」 に相 当す るO この た め従 来 のデ ー タ よ り実 用 度 が 高 く、新 し い薬 や 治 療 法 の 開発 に直接 つ な が る可 能 性 が あ る とい う。 同研 究 所 は成果 をイ ンター ネ ッ トで も公 開す る。 細 胞 内 の た ん ぱ く質 製 造 は 、DNA(デ オ キ シ リボ 核 酸 ) に詰 め られ た遺 伝 情 報 を 、「mRNA」 と呼 ばれ る情 報 の運 び 屋 が コ ピー し、 必 要 な部 分 を整 理 した 上 で た ん ぱ く質 の 工 場 「リボ ソー ム 」 に伝 え る と い う仕 組 み 。 研 究 グル ー プ は mRNAに集 約 され て い る 「設 計 図」 を、おお もと のDNAの形 (完 全 長 cDNA)に作 り直 し、分析 に 取 り組 んで いた。 マ ウス の遺伝 子 は4万-1

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万個 あ る といわれ る。 今 回解 読 した の は 、優 先 的 に解 析 を進 め た 約 1万5200個 の遺 伝 子 で 、うち8割 の1万2400 個 が新 発 見 だ った。 さ らに、 この うち の約 8200 個 は 、 ほ乳 類 全 体 で も未 発 見 の遺 伝 子 だ った。 新 発 見 の遺 伝 子 の 中 には、 生 物 が母 胎 内で体 を 構 成 す る発 生 の段 階で 働 いた り、 が ん の増 殖 ・ 抑 制 な ど に関与す る ら しい遺 伝 子 も見 つ か って い る とい う。 マ ウ ス は遺 伝 情 報 が ヒ トと ほ とん ど同 じで 、 今 回 のデ ー タ を有 効 活 用 す れ ば、 ヒ トの病 気 を 再 現 す る マ ウス を効 率 的 に作 れ る。 どん な た ん ぱ く質 が 体 内で製 造 され 、 ど う働 くか とい う生 体 の メカ ニ ズ ム解 明 に も役 立 つ 。 同研 究 所 で は 来 年 、残 る遺伝 子 の うち 5万個 前後 の分 析 を終 えて 公 開 した い、 と して い る。 (毎 日新 聞 2001 年 2月 8日) ヒ ト遺 伝 子 最 大 で 4万個 国 際 チ ー ム と米 セ レ ラ社 、ゲ ノム を解 読 ヒ トゲ ノム (人 の遺 伝 子 情 報 全体 ) の解 読 を 進 め て きた 日米 欧 な どの 国 際研 究 チ ー ム と、米 遺 伝 情 報 解 析 会 社 セ レ ラ ・ジ ェ ノ ミ ク スそ れ ぞ れ の解 析 結 果 が 11日、 明 らか にな った。 遺 伝 子 の数 は2万6千一4万個 と、 これ まで考 え られ て いた 10万 個 の 半 分 に満 た な か った 。 成 果 は 病 気 の解 明や 新 薬 の 開発 な どにつ な が る と期 待 され る。 ゲ ノム は細 胞 の核 にあ る DNAに記 録 され て い る。 そ の所 ど ころ にた ん ぱ く質 の設 計 図で あ る 遺 伝 子 が あ る。 受 精 か ら誕 生 、成 長 、老 い 、そ して病 気 - i- ・。 そ の時 々 に遺 伝 子 が 必 要 な役 割 を果 して 「生命 」 をつ く り、維 持 して い る。 解 読 成果 は こ う した現 象や 生物進化 の解 明 、 人 とは何 か とい う研 究 に役 立 つ 。 昨 年 6 月 に 「解 読 完 了 」 が 宣 言 され た が 、詳 細 が わ か る の は今 回が 初 め て 。 ヒ トゲ ノム は約 30億 個 の文 字 (塩 基 ) か ら な り、 理 化 学 研 究 所 や 慶 応 大 な どが 加 わ る 国 際チ ー ム が解 読 した の は 91%で 、セ レラ社 が 95%。 細 部 に違 い は あ る もの の 、 両 者 は大 筋 で一致 して い る。国際 チー ム は2003年 まで に、 100パー セ ン トの解 読 をめ ざす。 遺 伝子 数 につ いて 、 国際チ ー ム は 3万-4万 個 、セ レラ社 は 2万 6千一3万 9千個 と発 表 し た 。 す で にわ か っ て い る遺 伝 子 と似 た も の を 探 した り、 理 化 学 研 究 所 の マ ウ ス遺 伝 子 の解 析 と比較 した りして推 定 した。 この数 は 、 シ ョウ ジ ョウバ エや 線 虫 の 2倍 ほ ど。 これ まで の 遺 伝 子 研 究 や 、 高 度 で 複 雑 な 生 命 活 動 な どか ら、 ヒ トの遺 伝 子 は ほ か の 生物 と比 べ て た くさん あ る とみ られ て いたが 、 それ ほ どまで もな い結果 とな った。 た ん ぱ く質 の 情 報 を直 接 担 う部 分 は ゲ ノム 全体 の約 1.5%に過 ぎなか った。 限 られ た 遺 伝 子 が ど う して 多 様 な 働 き を 生 み 出す のか 。 これ を解 き明かす ことが 、医学 ・ 生物 学研 究 の重 要 な課 題 にな った。 セ レ ラ社 は 5人 の 男 女 で ゲ ノム を 比 較 。 99.9%は共 通 で 、 体 質 な ど個 人差 を生 む 違 い はわず か だ った と明 らか に した。 国際 チー ム の論 文 は 15日発行 の英 科 学 誌 ネ イ チ ャー に、セ レラ社 の論 文 は 16日発 行 の米 科 学 誌 サ イ エ ンス に掲 載 さ れ る 。 (朝 日新 聞 2001年2月 12日) 骨 に含 有 の た ん ぱ く質 無 重 力 感 知 . 骨 減 らす 骨岨 しょう症 薬 に応 用 も 骨 に含 まれ る オ ス テ オ ポ ンチ ンとい うた ん ぱ く質 に 、無 重 力 を感 知 して 骨 を減 らす 働 きが あ る ことを、東 京 医 科 歯 科 大 の野 田政樹 教 授 (分 子 薬 理 学 ) のチ ー ム が マ ウス を使 った実 験 で 突 き止 め た 。 国 内 に約 1000万 人 と推 定 され る骨 粗 しょ う症 患 者 の治 療薬 開発 に役立 ちそ うだ。

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寝 た き りの患者 や 宇 宙 飛行 士 の体 の研 究 で 、 無 重 力空 間 の よ うな物 理 的 な刺 激 が 少 な い環 境 で は 、 骨 を作 る骨 芽細 胞 の働 きが鈍 くな り、骨 粗 しょ う症 にな る ことが知 られ て いる。 そ こで研 究 チー ム は、遺 伝 子 操作 によ って オ ス テオ ボ ンテ ンを体 内で 生成 で きな いマ ウス を 作 り出 した。そ して マ ウス の尾 をひ もでつ り、 後 ろ足 の骨 の形 成速度 を測 定 した。 通 常 のマ ウス は 、 つ らな い場 合 に比 べ て つ っ た方 は1日当た りの骨形成 速 度 が約40%減 少 し た が 、遺 伝 子 操 作 を した マ ウ ス はつ って も減 ら な か った。 この こ とか らオ ステ オポ ンチ ンは 、 重 力 を感 知 し、骨 芽 細胞 に重 力 の存 在 を伝 え る働 きが あ る ことが分か った。 森 井浩 世 ・大 阪市立 大 名誉 教 授 (内分 泌 学 ) の話 骨 形 成 が進 みす ぎ る病 気 の治 療 に も役 立 つ 可 能性 が あ る。 重 力が 筋 肉 を刺 激 し、筋 肉が 骨 を刺 激 す る こ とで骨 を成 長 させ る と考 え られ る の で 、筋 肉の作 用 を絡 め た研 究 も深 ま って ほ しい。 (毎 日新 聞2001年2月22日) 薬 品 開発 にク ロー ン牛 キ リン ビール が 共 同研 究 ヒ ト遺伝 子入 れ 、 ミル クか ら抗体 キ リ ン ビール は、 ヒ トの遺 伝 子 を組 み込 んで ヒ トの免疫 システ ム の一部 を もった ク ロー ン牛 を誕 生 させ 、 これ を動 物 工 場 と して 医薬 品 を作 る研 究 を始 めた。細菌や ウイル ス によ る感 染症 、 自己 免疫病 な どの治療薬 の 開発 をめ ざす 。 米 バ イ オ ベ ンチ ャー企 業 のへ マ テ ック社 (コ ネテ ィカ ッ ト州 ) との共 同研 究 で 、 目標 は、 ポ リク ロー ナル抗 体 とい う、免 疫 反 応 を起 こす 医 薬 品 の開発 だ。 ヒ トの体 は細 菌 や ウイ ル ス の よ うな病 原体 が 入 って くる と、抗 体 をつ くって これ らをや っつ け よ う とす る。 ウイル ス にはイ ンフル エ ンザ ウ イ ル ス の よ うに姿 を変 え る もの もあ る。 そ れぞ れ に対 応 した様 々な抗体 が で き る。 キ リ ン は 、 多 様 な 抗 体 を大 量 生 産 す る方 法 を考 え た 。 まず 抗 体 を作 る ヒ トの遺 伝 子 を牛 の体 細 胞 に組 み 込 む 。 この 体 細 胞 か らク ロー ン牛 をつ くって 細 菌 や ウイ ル ス に感 染 させ 、 で きた抗 体 を ミル クや血液 か ら取 り出す 。 ポ リク ロー ナ ル 抗 体 は現 在 、 ヒ トの血 液 や 動 物 か ら作 られ て い る。 しか し、 ヒ トで は大 量 生 産 が 難 しいo 動 物 か らの も の は 、 一 回 使 う と、 これ に対 す る抗 体 が で き て 、 も う使 え な くな るな どの問題 が ある。 キ リ ンの 手 法 は こ う した 問 題 を解 決 で き る 可 能性 が あ る とい う。 (朝 日新 聞2001年3月8 冒) 遺 伝 子個 人 差 2500個確認 1500個 の特 許 出席 新 薬 開発 に有 効 :東大 医科研 な ど 人 によ って 酒 の 強 さが異 な る よ うに、薬 の効 き方 や 副作 用 の起 こ りやす さ に も違 いが あ る。 日本 人 で 、 これ に 関係 す る遺 伝子 の個 人差 を、 東京 大 学 医科 学 研 究 所 と理 化 学研 究 所 な どが 約 2500個 突 き 止め た。 うち約 1500個 は特 許 を出 願 、残 りも近 く出願 す る。 こ う した研 究 は よ り 効 き 目が確 か な 新 薬 の 開発 な どに欠 かせ ず 、欧 米企 業 を中心 に激 しい競 争が展 開 され て いる。 この個 人 差 は - 塩 基 型 (SNP) と呼 ば れ る 。 遺 伝子 情報 は 4種 類 の文字 (塩 基) の並 び で記 され るが 、 人 に よ って 文 字 が 一 つ 異 な る場 所 が あ る。 そ の結 果 、遺 伝 子 の働 き に差 が 出 た りた ん ぱ く質 の 量 な どが 違 った りす る。 これ が 、薬 の効 きや 副 作 用 の程 度 、病 気 のかか りや す さ と い った体 質 をつ くる と考 え られ る。 アル コー ル を分解 しに くい体 質 の人 が 酒 に酔 いや す い の と同様 、薬 の成 分 が うま く分解 で き な い と副 作 用 が起 こ りや す くな る。 研 究 チ ー ム は、約 180個 の遺 伝 子 に注 目 し、 個 人差 を探 した 。 抗 が ん剤 や 免疫 抑 制剤 な ど多 くの薬 に関係 が あ り、 成 分 を細 胞 内 に運 ん だ り 肝臓 な どで 分解 した りす るの にか かわ る。 チー ム は 、 これ らに個 人差 は さ らに約 500個 ある と予測 。6月 まで に見 つ ける計画 だ。 日本 製薬 工 業 協 会 の加 盟 企 業 43社 によ る研 究 組織 も参 画 。 一 般 の 協 力で 血液 を集 め 、病 気 や薬 の効 き方 との 関係 を具 体 的 に調 べ 、デ ー タ ベー ス化 す る。 特 許 庁 によ る と、 SNP は病 気 や 薬 の効 き方 と 関係 して いれ ば特 許 と して 認 め られ る。 バ イ オ テ ク ノ ロジー の分 野 で 、 日本 の研 究機 関が これ ほ どの量 を ま とめ て 出願 す るの は極 めて珍 しい とい う。 (朝 日新 聞2001年3月18日) 知 性 の遺 伝 子 探 せ 文 部 省 、 ヒ トゲ ノム解 読 受 け研 究本 格 化 チ ンパ ンジー と人比 較 文 部科 学 省 は 31日、類 人猿 と人 間 の全 遺 伝 情報 (ゲ ノム ) の 比較 か ら、 人 間 の知 性 にか か わ る遺伝 子 を見 つ け る 「智 (ち)の遺 伝子 探 求」 研 究 に、4 月か らの新 年度 予算 で 3億 円 を配 分 し、独 立 した 重 要 プ ロジ ェ ク トと して推 進 す る ことを明 らか に した。 ヒ トゲ ノ ム の 概 要 が 解 読 され た の を 受 け た 「ポ ス トゲ ノム」研 究 の一環 o 手始 め は、 理化 学研 究 所 ・ゲ ノム 科 学 総 合研 究 セ ンター (横 浜 市) が研 究 を進 め て き た チ ンパ ンジー のゲ ノム 解読 を 目標 にす る。 理 研 の 榊 原 佳 之 プ ロ ジ ェ ク トデ ィ レ ク タ ー (東 大 医科 学 研 究 所 教 授 ) は 「3年 をめ どにチ ンパ ンジー ゲ ノム の塩 基 配 列 を決 定す る のが 目 標」と して い る。 人間 に最 も近縁 とされ るチ ンパ ンジー と人 間 のゲ ノム の違 い は わ ず か 1.5%。 両者 を比較 す

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70 る こ とで 、 人間 の言 語 や 文 化 を支 え て い る複 雑 な 脳 機 能 にか か わ る遺 伝 子 を突 き止 め られ る と 考 え られ て いる。 また 人 間 とチ ンパ ンジー で発 症 の仕 方 が 異 な る アル ツハ イ マー 病 な どの解 明 に も役 立 つ と期 待 され る。 類 人 猿 ゲ ノム に 関 して は 国 立 遺 伝 学 研 究 所 (静 岡県 三 島市) もゴ リラな どの解 読 を進 めて お り、文 部 科 学 省 は理研 と合 わ せ た 予 算 措 置 の 検 討 を進 め て いる。 (山陽新 聞2001年4月 1日) 心 臓 の傷 、 骨 髄 細 胞 で件 復 NIHが マ ウス実 験 再 生 医学 へ の応 用 に期待 心 臓 まひ で傷 つ いた マ ウス の心 筋 に、骨髄 か ら採 った幹 細 胞 を注 入 して修 復 す る こ とに、米 国 立 保 健 研 究 所 (NIH)とニ ュ ー ヨー ク 医 大 の グル ー プが成功 した。 英 科 学 誌 ネイ チ ャー5月 号 に発 表す る。 グル ー プ は 、 骨 髄 中 の幹 細 胞 を採 取 ・培 養 して か ら、 同 じマ ウ ス に心 臓 ま ひ を起 こさせ た 。 心 臓 の傷 つ い た 場 所 に 、 培 養 した幹 細 胞 を注 射 した ところ、肝 細胞 は 7日か ら11日で 増 え始 め る と と も に 、 心 筋 細 胞 や 血 管 細 胞 に 変 わ り、組織 を修 復 した とい う。 失 わ れ た 組 織 や 臓 器 を再 生 す る 治 療 法 と し て 、 細 胞 移 植 の研 究 が 進 ん で い る。 移 植 用 の 細 胞 と して は、腫 性 幹 細 胞 (ES細 胞 ) を さ ま ざ ま な 種 類 の細 胞 に分 化 させ た もの が 候 補 と な って いるが、受精 卵 か ら作 製 され る ES細胞 の使 用 には反対 の声 もある。 骨髄 細 胞 を ES細 胞 の よ う に使 う こ とが で き れ ば 、 倫 理 的 な 問 題 が 少 な いO 今 回 の研 究 は 、幹 細 胞 が 周 囲 の状 況 に応 じ て 必 要 な 細 胞 を作 る能 力 を持 って い る こ と を 示 し、今 後 、幅広 い応 用 が考 え られ そ うだ。(朝 日新 聞2001年4月5日) ホ ヤ で 「細 胞 の運 命

探 った ら 薪 肉作 tJ遺 伝 子 発 見 、卵 の上 下で違 い 生 物 の体 を形 づ く る数 多 くの細 胞 は 、 組 織 や 臓 器 な どそ れ ぞ れ 特 定 の働 き を して い る 。 しか し、元 は 1個 の受 精 卵 。 個 々 の細 胞 の運 命 を何 が 最 初 に決 め る の か と い う発 生 学 の課 題 に迫 る 1 つ の研 究 を、 東 京 工 業 大 学 の 西 田 宏 記 ・助 教 授 (発 生 生 物 学 ) らが ホ ヤ を使 っ て報 告 した 。 西 田 さ ん らは ホ ヤ の卵 の 上 側 と下 側 で 働 い て い る遺 伝 子 を比 較 し、 下 だ け で 働 く遺 伝 子 を い くつ か 取 り出 した 。 そ れ らの 働 き を 止 め て い っ た と ころ、 あ る遺 伝 子 の と き に筋 肉 が で きな くな った。 西 田 さん らは この遺 伝 子 をマ ッチ ョ 1 と名 づ けた 。 「マ ボ ヤ チ ョウオ モ シ ロイ遺 伝 子 」 と い う意 味 を込 めた。 筋 肉以 外 の細 胞 で も、 マ ッチ ョ 1 を働 か せ る と筋 肉 に変 わ った。 この遺 伝子 は、DNAに結 合 す る 部 分 を も ち 、 筋 肉 をつ くる の に必 要 な ほか の遺 伝 子の ス イ ッチ を入 れ る と推 定 さ れ る。 卵 は 分 割 しな が ら筋 肉や 神 経 な ど特 有 の 働 き をす る細 胞 をつ く り出 して い く。20世 紀 初 め に は 、 ホ ヤ の 卵 の 中 に偏 在 す る 「組 織 決 定 因子」が 一 定 の卵 割 パ ター ンに従 っ て 特 定 の 細 胞 に分 配 され 、 分 配 され た細 胞 が 筋 肉 に な る と想 定 され た。 この概 念 は発 生学 の教科 書 に も出て い るが 、 因子 は 特 定 され な か った 。 西 田 さ ん らの研 究 は これ を 分 子 レベ ル で 証 明す る もの とい え そ うだ。 ホ ヤ は 脊 索 動 物 。 ヒ トを含 む 脊 椎 動 物 は 脊 索 動 物 に含 まれ 、 進 化 の過 程 で 脊 索 の ま わ り に骨 をつ くった と考 え られ る。 ホ ヤ は発 生 の 様 式 もよ く研 究 され て い る 。 筋 肉や 表 皮 な どあ らか じめ細 胞 の運 命 が 決 ま っ て い る もの と、 脊 索 な ど細 胞 ど う しの 相 互 作 用 で 運 命 が 決 ま る もの が あ る こ と もわ か っ て いる。 西 田 さ ん は 「どの細 胞 で どん な遺 伝 子 が 働 いて い るの か 、 1万 個 以 上 の遺 伝子す べて を網 羅 的 に調 べ る研 究 も進 ん で い る。 遺 伝 子 の 働 き か ら細 胞 の運 命 決 定 の仕 組 み を調 べ て い き た い」と話 して い る。(朝 日新 聞2001年4月12 日)

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型肝 炎 治 療 薬 の効 果 遺 伝 子 の違 いで 左 右 : 大 阪大教 授 ら研 究発 表 へ C型肝 炎 の治 療薬 イ ンター フェ ロ ンの効 果 が 、 遺 伝 子 のわ ず か な違 いで左右 され る こ とを大 阪 大 の林 紀 夫 教 授 (消化 器 内科 ) らが 見 つ け た。 この薬 が効 きや す い人 と、そ うで な い人が いて 、 遺 伝 子 情 報 の個 人差 が影 響 す る と考 え られ て い たが 、具 体 的 な遺 伝 子 が わ か った の は初 め て と い う。 治 療 期 間 な どの判 断 に使 えそ うだ と期 待 され る。 この薬 は免疫 を刺 激 して C型肝 炎 ウイル スが 感 染 した細 胞 ごとウイル ス を壊 す とされ るo 林 教 授 らは 、 免 疫 反 応 に関連 した酵 素 をつ く る複 数 の遺 伝 子 を研 究 。治 療効 果 の差 は 、

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とい う遺 伝 子 の タイ プで 生 じて いた。 タイ プ は 2種類 あ り、塩 基 配 列 が1カ所 だ け違 って いる。 イ ンター フェ ロ ン治 療 に よ って ウ イル ス が 消 えた 49人 と、消 えな か った 126人 を対 象 に こ の 遺 伝 子 を 調 べ た 。 ウ イ ル ス が 消 え た 人 の 約 16%が持 って い る タイ プ は、消 えなか った 人 で は約 8%と少 なか った。 ウイ ル スの 量 が 比 較 的 少 な い場 合 、 この タイ プだ と 8割 の 人で ウイル スが 消 えたの に、そ う

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で な い場 合 は5割 だ った。 イ ンター フェ ロ ンは うつ状 態 にな るな ど副 作 用 が あ る。 林 教 授 は 「治 療 効 果 の 予測 や 適 切 な 治 療期 間 の決 定 な どに応用 で き る」 と話 して い る。 研 究 は、 18日か ら東京 で 開か れ る 日本 消化器 病 学会 で発表 され る。 (朝 日新 聞2001年4月15 冒) 口の 中の粘膜 で角 膜 再生 拒 絶 反 応 な く ドナ ー 不 要 に 年 内 にも治療 開始 :名 古 屋 大 けが や病 気 で失 明 した 人 の傷 つ いた 角膜 を、 口の 中の粘膜 細胞 を使 って 再 生す る治 療 法 を名 古屋 大 医学 部 の グル ー プが 世 界 で 初 め て 開発 し た。 近 く学 内 の倫 理委 員 会 に、患 者 に対 す る臨 床 試 験 の実 施 を 申請 す る。 角膜 損 傷 の治 療 は、 第 三 者 の ドナー (提 供 者 ) か ら死 後 、 角膜 提 供 を受 けて行 う角膜 移植 が 中心 だ が 、新 治 療法 で は提 供 を持 つ必 要 が な くな る。 角膜 の大 量再 生 も可能 にな り、再 生医 療 の学 期 的 成 果 と して注 目されそ うだ。 開発 した の は名 大 口腔 外 科 、 眼科 、組織 工学 科 の研 究 グル ー プ。 まず 、 ほお の 内側 の粘膜 を 数 ミリ切 開 し、深 さ 0.2-0.5ミリの部 分 か ら、粘 膜 細胞 の幹 細胞 を取 り出す 。 これ を 2-3週 間培 養 して薄 い透 明膜 を作製。 この培 養 膜 を コ ンタ ク トレ ンズ の 内 側 に張 り つ け 、傷 つ いた 角 膜 を切 除 した 眼 球 にか ぶ せ る と、 培 養 膜 の 内側 に角膜 (上 皮 の 部 分 ) が 再 生 す る 。 培 養 膜 が 出す 化 学 物 質 が 患 者 の 目 に あ る 角膜 幹 細 胞 を刺 激 し、 再 生 が 進 む 。 た だ し角膜 の内皮 まで深 く損 傷 して い る場 合 は、 正 常 な再 生が難 しい。 角膜 を壊 した ウサ ギ に新 治 療 法 を使 った と こ ろ 、数週 間で 角膜 が再 生 し、 動 きの あ る物体 を 目で追 えるよ うにな った。 自分 の粘 膜 細 胞 を使 え ば 、 角 膜 移 植 で 懸 念 され る拒 絶 反 応 は起 き な い 。 研 究 チ ー ム は 、 倫 理 委 員 会 の承 認 を得 て 、 年 内 に も角膜 損 傷 患 者 の 治 療 を始 め る。 さ ら に 、 歯科 医 院 な ど で 抜 い た 歯 に付 いた 歯 肉 か ら培 養 膜 を大 量 に 作 り、 製 品化す る こと も検 討 して い る。 (毎 日 新 聞2001年 5月11日) アル ツハ イ マ ー病 防 止 遺 伝 子 を発 見 根 本 治 療 の可能 性 も :慶 大 赦捜 ら ア ル ツハ イ マ ー 病 の原 因 とな っ て い る脳 の 神 経 細 胞 の死 を 防 ぐ遺 伝 子 を 、 西本 征 央 ・慶 応 大 医学 部 教 授 (薬 理 学 ) らの 国 際研 究 グ ル ー プが 世 界 で 初 め て発 見 した 。 ア ル ツハ イ マ ー 病 は 、 最 初 の患 者 が 報 告 され て か ら約 100 年 が た つ が 、 この 成 果 は根 本 的 な 治 療 につ な が る可 能 性 もあ る とい う。22日付 米 科 学 ア カ デ ミー 紀 要 に発 表 され る。 アル ツ ハ イ マ ー 病 は 、複 数 の遺 伝 子 に異 変 が起 きた り、 「ベ ー タ ア ミロイ ド」 とい う特 殊 な た ん ぱ く質 が 脳 内 に蓄 積 して 神 経 細 胞 が 死 ん で い き 、 痴 呆 症 が 進 行 す る O 世 界 の 治 療 の 研 究 は 、 ベ ー タ ア ミ ロイ ドを除 去 した り、 そ の 生 成 を迎 え る方 法 が 主 流 だ が 、 同研 究 グル ー プ は神 経 細 胞 の 死 そ の もの を 防 ぐ方 法 は な いか と考 えた。 アル ツハ イ マ ー 病 患 者 の脳 で 、 「後 頭 葉 」 と い う部分 の神 経 細 胞 が ほ とん ど死 な な い こ とに 注 目 し、後 頭 葉 の神 経 細 胞 で働 いて い る遺 伝 子 を探 す 方 法 を 開発 。 そ の結 果 、数 十 種 類 の遺 伝 子 を特 定 し、 一 つ が 、 アル ツハ イ マー 病 によ る 神 経 細 胞 の死 を防 ぐ こ とが わ か った。 この遺 伝 子 は 24個 の ア ミ ノ酸 で構 成 され ,研 究 グル ー プ は 「ヒュ- マ ニ ン」と名付 けた。 マ ウ ス の脳 か ら取 り出 した神 経 細 胞 にベ ー タ ア ミ ロイ ドを 蓄 積 させ る 際 、遺 伝 子 が 作 り出す た ん ぱ く質 を 加 えた と ころ、微 量 で も神 経 細胞 は死 な な くな った。 アル ツハ イ マ ー 病 に詳 しい国立 長 寿 医 療研 究 セ ンター (愛 知 県 大 府 市 ) の 田中武 セ ンター 長 の話 試 験 管 内で の結 果 で 、 このた ん ぱ く質 を どの よ うに脳 内 に入 れ る のか な ど、安 全性 、技 術 面 で の課 題 は残 され て い る。 (毎 日新 聞 2001 年 5月 23日) r肝 細 胞 人 工 肝 」 を 手 許 異 種 移 植 指 針 作 成 臨床 応用 へ :九 大倫 理 委 九州 大 医学 部 倫 理 委 員会 (居石克 夫 委 員 長 ) は 21日、 異 種 の細 胞 を治 療 に使 う異 種 移 植 治 療実 施 に向 けた 学 内 の ガイ ドライ ンを承 認 した 。 99年7月 に同学 部第2外科 の杉 町圭蔵 教 授 らが 申請 した豚 の肝 細 胞 を使 う体 外 型 人工 心臓 を急 性肝 不 全 な どの患 者 に臨 床 応 用す る こ とをガイ ドライ ンの厳 守 を条 件 に認 め る判 断 。 異 種 移 植 は未 知 の病 原 体 な どが 人 間 に広 が る こ とが懸 念 され 、 旧厚 生省 は昨 年 9月 「臨床応用 は慎 重 に 行 う」よ う通 知 を 出 して いた。 この通 知 後 で は 初 の承 認 にな る。 人工 心臓 は工 学 部 の船 津 和 守 教 授 (化 学 シス テム工 学 ) ら と共 同開発 C ポ リウ レタ ン フ ォー ム を詰 め た樹 脂 製 円筒 容 器 内で豚 の肝 細 胞 を培 養 、そ の 中 に患 者 の血 し ょ う成分 を流 して ア ン モ ニ アな どを除 き、体 内 に戻す 。 倫 理 委 は ウイ ル ス専 門家 らの ワー キ ング グル ー プ を作 って 安 全 性 を検 討 させ たO 同 グル ー プ は感 染 症 か ら レ シ ピエ ン ト (移 植 を受 け る 患 者 )や 一般 人 を守 るた め の規 定 を盛 り込 ん で 、 異種 移植 治 療 の ガ イ ドライ ンを作 成 。倫 理 委 が 承 認 した。 移 植 に用 い る動 物 は感 染 を コ ン トロー ル で き る専 用 施 設 で 作 り、飼 育 され た もの だ け を用

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い る 飼 育 動 物 は定 期 的 に微 生物 の検 査 を行 い、 飼 育歴 や 種 々 の検 査 結 果 な どす べ て の 記録 を と り、手術 前 の血液 や臓 器 を 50年 間保 存 す るQ レシ ピエ ン トと、家族 ら密 接 な接 触 の あ る人 の 健 康 状 態 を生涯 にわ た って 観 察 す る な ど を条 件 に挙 げた。 人 工 心臓 は 劇症肝 炎 患 者 の延 命 や 移 植 を受 け る まで の 「つ な ぎ」 と して 効 果 が期 待 で き る と い う。 厚 生 労 働 省研 究 開発 振 興 課 の話 昨 年 、異 種 移 植 の臨 床応 用 は慎 重 に実 施 す るよ う通 知 を出 して お り、九州 大 に も慎 重 な対 応 を望 む。 監視 体 制 の整 備 の必 要 性 も含 め 、 専 門家 の意 見 を聞 き、国 と して の対 応 を考 え た い。(毎 日新 聞 2001 年 5月 23日) が ん 転 移 抑 制物 質発 見- ネ ズ ミ使 った 実験 で確 罪 :武 田薬 品 武 田薬 品工 業 は 31日、 が ん の 転移 を迎 え る ア ミ ノ酸 結 合 物質 を世界 で 初 め て発 見 した と、 と発 表 した。 ネ ズ ミを用 いた 実 験 で 転 移 抑 制 作 用 を確 認 した。 同社 は ヒ トのが ん細 胞 な どで実 験 を続 け、製薬化 を 目指す 。 ヒ トの 胎 盤 か ら発 見 した ア ミ ノ酸 結 合 物 質 「メ タ ス チ ン」。 ネズ ミに皮 膚 が ん の細 胞 を注 射 した 後 、 メ タ ス チ ン を注 入 した グル ー プ と しな い グル ー プ に分 け る と 、 注 入 した ネ ズ ミ の が ん細胞 の転移 数 は 3分 の 1以 下 だ った。 メ タ ス チ ンは細 胞 を取 り囲 ん で 動 か な い よ う に迎 え る性 質 が あ り、 同社 は ヒ トの が ん細 胞 の 転 移 を迎 え る効 果 も あ る とみ て い る。研 究 成 果 は 、 同 日発 売 され た 英 国 の 科 学 誌 「ネ イ チ ャー 」 に掲 載 され た。 (毎 日新 聞 2001年 6 月1日) 抗 膏薬 効 かぬ VRE広 が るわ け 捷 合 し耐性遺伝 子複 写 普通 膏 、次 々 と VRE に :群 馬 大 学教授 解 明 ほ とん どの抗 菌 薬 が 効 か な い バ ン コマ イ シ ン耐 性 腸 球菌 (∀RE) が 、 自分 の耐 性 遺 伝 子 を ふ つ うの腸 球菌 に高頻 度 に伝 染 させ 、VREに変 身 させ て い る こ と を 、群 馬 大 医 学 部 の池 康 嘉 教 授 が 世 界 で初 めて突 き止 め た 。VRE感 染症 が 欧 米 で 猛 烈 な 勢 いで 広 が っ て い る理 由 に、抗 菌薬 の使 い過 ぎの ほか 、VREの優 秀 な 「情 報伝 達 能 力」 が あ ったわ けだ。 汚 染 した 鶏 肉な どか ら VRE に感 染 して も、 健 康 な 人 は 問題 な い が 、 高 齢 や 病 気 で 体 の抵 抗 力が落 ちて い る人 は、発 熱 や 炎 症 を起 こ し、 敗 血 症 にな って死 ぬ こともあ る。 池 教 授 らは、米 国 の あ る大 学 病 院 で 94- 99 年 の間 に患者 か ら見 つ か った VRE640株 を調 査。 バ ン コマ イ シ ンが 効 くふ つ うの腸 球 菌 と 一緒 に培 養 す る と、54%に あた る 347株 が 、 ふ っ うの腸 球 歯 を VREに変 えて いた。 調 べ て み る と、 これ らの VRE には 、 腸 球 菌 同士 を結 び つ け る 「接 合」を起 こす 新 型 プ ラ ス ミ ド (菌 本 来 の 染 色 体 とは別 の リ ン グ状 遺 伝子 ) が あ った。 この プ ラス ミ ドは、2つ の菌 の 間 に通 路 を 開 く と同 時 に 、 自分 自身 とバ ン コ マ イ シ ン耐 性 遺 伝 子 の コ ピー をそ れ ぞ れ 作 り、 開 い た 通 路 を通 じて 乗 り移 る。 この 働 き で 、 バ ン コ マ イ シ ン耐 性 遺 伝 子 が 、 腸 球 菌 の 間 にね ず み算 式 に広 が り、VREが腸 内 に一 つで もあれ ば、急 激 に汚 染が拡 大 す る こ とにな る。 欧米 で は、集 中治 療 室 な どで死者 もで て い る。 池 教 授 らが 報 告 を した 日本 化 学 療 法 会 の シ ンポ ジ ウ ム で は 、 この 新 プ ラス ミ ドに話 題 が 集 中。 日本 に も汚 染 が 広 が る懸 念 な どが 話 し 合われ た。 池 教 授 は 「VRE汚染 が深刻化 す る前 に 、抗 菌 薬 の慎 重 使 用 の徹 底 や 院 内 感 染 防 御 な ど十 分 な 対 策 を と っ て お く必 要 が あ る 」 と 話す 。 (朝 日新 聞 2001年 6月 3日) 血管 詰 まる病 気 遺 伝 子治療 試験 :阪大 大 阪大 病 院 (大 阪府 吹 田市) は 25日、脚 の 血 管 が 詰 ま る病 気 の患 者 に 、遺 伝 子 治 療 の 臨 床 試験 を始 めた。第 1段 階 と して約 3カ 月間 で 計 6人 に試 験 を行 い、 主 に安 全性 を確 認 す る。 が ん な ど生 死 に直 結 した 病 気 以 外 で 、 遺 伝 子 治 療 の 臨床 試 験 を行 うの は国内初 。 阪大 病 院老 年 ・高 血 圧 内科 の萩原 俊 男 教 授 ら の グル ー プが 実 施 した。対 象 は動脈 硬 化 な どで 脚 の 血管 が詰 ま る慢 性 閉塞性 動脈 硬 化 や ビ ュル ガー病 の患 者 。 血 管 を新 し く作 る働 きが あ るた ん ぱ く質 「HGF」の遺 伝 子 を脚 の筋 肉 に注 射 し、 詰 ま った 部 分 を う回す る新 た な血 管 を作 らせ て 血 流 を作 らせ て血 流 を回復 させ るのが 狙 い。 この 日は慢 性 閉塞 性 動脈 硬 化 症 の男 性 (56) の右 ふ く らは ぎ にHGFO、4mgを注射 。 ア レル ギ ー反応 な ど問題 が な けれ ば、2週 間後 と 6週 間 後 に量 を増 や して注 射 す る。 (毎 日新 聞 2001年 6月 26日) 片頭 痛 遺 伝 子 を発 見 英 の大 手 製 薬 会 社 r棟 数 の うちの - つ

新 薬 開発 に期待 片頭 痛 へ のか か りや す さ を左右 す る 「片 頭 痛 感 受性 遺 伝 子 」 の 一 つ を、大 手製薬 会 社 の グ ラ ク ソ ・ク ライ ンス ミス (本社 ・ロ ン ドン) が発 見 し、米 ニ ュー ヨー クで 開か れ た 国 際頭 痛 学 会 議 で 1日、発 表 した。 片頭 痛 に は遺 伝 が 関係 し、親 が片 頭 痛 だ と子 供 が片 頭 痛 にな る危 険性 が増 す といわ れ て いた 。 グ ラク ソ は 、片 頭 痛 の患 者 はが 多 い 16 家 系 を 調 べ 、 この遺 伝 子 が 19番 染 色体 に存 在 す る こ とを突 き 止め た 。 さ らに、片頭痛患 者 800人 と、 片頭痛 のな い 800人 の DNAを比較 して 、感 受性 遺 伝 子そ の もの を発 見 した。

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この遺伝 子 は、イ ンス リン受 容体 と して知 ら れ て いた もの。 ゲ ラク ソは、 この遺 伝 子の うち 5カ所 の塩 基 配列が片 頭 痛 の発 病 の しや す さに 関係 して いる ことを確認 した。 同社 は 「片頭痛 の感 受性 遺 伝 子 は複 数 あ る と 考 え られ 、そ れ らを発 見す る ことによ って 、よ り効 果 的 な薬剤 が 開発 で き る」 と話 して い る。 (毎 日新 聞2001年 7月4日) ニ ワ トリの卵 で抗 が ん な ど有 用 物 箕 大 量生 産 カギ とな る遺伝 子発 見 :広 島大 ・松 田教授 ら 広 島大 生物生産学部 の松 田治男教授 らが6日、 ホル モ ンや抗 が ん成 分 な ど、 さ ま ざ まな有用物 質 を含 んだ卵 を産 む ニ ワ トリをつ くるの に必 要 な 、タ ンパ ク質 の遺伝子 を発 見 した と発表 した。 ニ ワ トリの品種改 良 に も応 用 で きる とい う。 イ ンス リンや ヒ ト成 長 ホル モ ンな どの遺 伝子 を家畜 に組 み込 み 、乳 な どに分泌 させ る 「動物 工場 」 は実 用化研 究 が進 み 、既 に牛や ヒツ ジな どの遺 伝子 導入動 物 が誕 生 して いる。 しか し最 近 は、大 型動物 に比 べ安価 に大 量 生産 が可能 な ニ ワ トリが注 目され て いる。 今 回、発見 され た の はニ ワ トリ白血病 阻 止因 千

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の遺伝子 。 マ ウスで見 つか った

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は、受精卵 が成長す る途 中の腔 (は い) か ら採 取 し培 養 した、 あ ら ゆ る器官 に分化 しうる腫性幹 細胞 (ES細胞) を 分化 せ ず に増殖 させ る働 き もあ り、 これ で分化 を迎 えた幹 細胞 を使 う と、 目的 の有用 物 質 をつ くらせ る遺伝子 を動物 に組 み込 む ことがで きる。 しか し、マ ウス

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ではニ ワ トリの幹細胞 の 分化抑 制 は不十分 なため、ニ ワ トリ

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の探索 が続 いて いた。 松 田教 授 らは別 の研 究 の 中で この遺 伝子 を偶 然発見 した。松 田教 授 は 「これ を使 い大 量 生産 した

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で、遺伝子改変 ニ ワ トリをつ くる こと が で き る」と話 して お り、 品種 改 良 に も使 え る とい う。 (山陽新 聞2001年 7月 7日) 精 子使わ ず受精 に成 功 豪 で マ ウス実験 オー ス トラ リアの メル ボル ンにあ るモ ナ シュ 大学 のチー ムが、精子 を使 わ ず にマ ウス の卵子 を受 精す る実験 に成功 して いた ことが 11 日、 明 らか にな った。 無精子症 の男性 の ほか 、女性 の 同性 愛 カ ップル も子 供 を持 て る よ うにな るか も しれ な い とい う。 (毎 日新 聞 2001年 7月 13 日) 糖 尿病 の遺 伝子発 見 ヒ トゲ ノム解 析 で 13

老人 性痴 呆 や神 経 系 関連 も :第 一製薬 一部特 許 申請 第 一製薬 は 28日、糖尿病 な ど 13種類 の病気 の原 因 とな る遺 伝 子 を発 見 し、一 部 につ いて特 許 申請 した ことを明 らか に した。 昨 年 、概 要の 解 読 が 終 わ った ヒ トゲ ノム (人 間 の 全遺 伝 情 報) のデ ー タを コ ン ピュー ター で解 析 した 。 ヒ トゲ ノム を コ ン ピュー ター で解 析 し,有 用 な情 報 を見 つ け 出す 技 術 はバ イ オイ ンフ ォマ テ ィク ス と呼 ばれ 、 世界 の製薬企 業が しの ぎ を削 って いる。 同技 術 を使 った病気 の遺伝子 の大 量発見 は国 内で は初 めて で 、新薬 や 診 断法 の 開発 につ なが る と期待 され る。 見 つ か った の は、糖 尿病 の ほか 、老 人性 痴 呆 や神 経 系 の病 気 に関連 した遺 伝 子。 バ イ オ ベ ン チ ャー 「セ レス タ一 ・レキ シコ ・サ イエ ンシズ」 社 (CLS、本社 ・千葉市) と共 同研 究 を行 った。 まず 、cLS の親 会 社 で ある富 士 通 と第 一製薬 が共 同 開発 した プ ログ ラム を使 って 、既 に機 能 が判 明 して いる遺 伝 子 と類似 した塩 基配 列 を持 つ未知 の遺 伝子 を探 し出す。 次 に ラ ッ トの遺 伝 子 の 中か ら この遺 伝 子 とそ っ く りな遺 伝 子 を見 つ け、 ラ ッ トで この遺 伝子 の働 き を迎 え る実験 な どを行 って機 能 を確 認 し た。確 認が済 ん だ ものか ら特 許 申請 を行 って い る。 今 回発 見 した遺 伝 子 の 内容 につ いて第 一 製薬 は 「他社 と競 争 して い る分野 で あ り、詳 し くは明 らか にで きな いが 、今 回の もの も含 め て 70程 度 の遺 伝 子 を発 見 し、新薬 に結 びつ けた い」 と 話 して いる。 (毎 日新 聞2001年 7月29日)

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