vi 上皮筋上皮癌は稀な唾液腺腫瘍で，組織学的 に内側は上皮細胞，外側は淡明な筋上皮細胞の 二層腺管構造が特徴である。低悪性度であるが， 他の唾液腺腫瘍と組織学的に重複するvariant の報告があり，鑑別診断や治療に際し臨床的 な問題となる可能性がある。今回，典型的な 上皮筋上皮癌の一例に対し免疫組織学的検討を 行った。 症例は 87 歳の女性。4 か月来の左耳下部の しこりを主訴に前医を受診した。FNA で class2 と良性腫瘍が考えられたが，CT で周囲の組織 への浸潤が疑われ生検を施行，耳下腺の上皮 筋上皮癌の診断となり加療目的に当科紹介と なった。初診時，顔面神経麻痺はなく頸部リン パ節は触知せず。MRI で左耳下腺内に最大径 5 cm，T1 強調像で均一な低信号，T2 強調像で 充実成分と嚢胞成分から構成される不均一な信 号で，造影効果のある腫瘤を認めた。左耳下腺 全摘術を施行，腫瘍は境界明瞭で多発する結節 を認め嚢胞成分を伴っていた。 病理組織検査で，腫瘍は大型の主結節の周囲 に分葉状，多結節性に拡がり，不完全な線維性 被膜構造であった。二層性が明らかな小腺管を 形成し，内腔の上皮成分は少量の好酸性細胞質 を有していた。また淡明な細胞質をもつ，多形 ∼紡錘形の筋上皮成分を認め，典型的な上皮筋 上皮癌であった。脈管浸潤はなかったが，神経 周囲への浸潤と脂肪組織への浸潤が一部に認め られた。 免疫組織学的検査で，腺管内側の上皮細胞は， AE1/AE3（pan-cytokeratin），CAM5.2，EMA などが陽性。外側の筋上皮細胞はp63，SMA， vimentin が陽性であった。S-100 は上皮，筋上 皮ともに陽性。Ki-67 は腺管内腔の上皮細胞の 1％で，外側の筋上皮細胞の 3％で陽性であっ た。 ま た 上 皮 細 胞 はp53，Her-2/neu 陰 性 で Bcl-2 でわずかに陽性，CEA は陽性で，筋上皮 細胞はp53，Bcl-2 陰性で Her-2/neu と CEA で わずかに陽性であった。 典型的な上皮筋上皮癌の一例であったが，そ の診断及び治療における免疫組織学的解析の有 用性について若干の考察を加えて報告した。
<平成25年度山梨県医師会優秀賞 受賞記念講演要旨> 耳下腺上皮筋上皮癌の一例:免疫組織学的検討 利用統計を見る
1
0
0
全文
関連したドキュメント
兵庫県 神戸市 ひまわりらぼ 優秀賞 環境省「Non 温暖化！こ ども壁新聞コンクール」. 和歌山県 田辺市 和歌山県立田辺高等学
そこで本研究ではまず、乗合バス市場の変遷や事業者の経営状況などを考察し、運転手不
１７）鶴岡市自殺予防対策ネットワーク会議について
社会調査論 調査企画演習 調査統計演習 フィールドワーク演習 統計解析演習Ａ～Ｃ 社会統計学Ⅰ 社会統計学Ⅱ 社会統計学Ⅲ.
The Service has since changed its position, however, and ruled that smoking cessation costs are medical expenses because nicotine causes disease and
（参考）埋立処分場の見学実績・見学風景 見学人数 平成１８年度 ５５，８３３人 平成１９年度 ６２，１７２人 平成２０年度
2011 （平成 23 ）年度、 2013 （平成 25 ）年度及び 2014 （平成 26 ）年度には、 VOC
平成 31 年度アウトドアリーダー養成講習会 後援 秋田県キャンプ協会 キャンプインストラクター養成講習会 後援. （公財）日本教育科学研究所
