37 山梨大学医学部が山梨医科大学だった頃,大 学の住所が中央市でも玉穂町でもなく玉穂村 だった頃,大学の周りは田んぼだけだった頃, 山梨医学会誌は誕生しました。その歴史は筆者 の医師歴にほぼ等しく,まったく駆け出しだっ た頃に初刊行されたと思うと本誌の歴史が筆者 のキャリアに重なり親近感を感じるとともに, 本誌の創設やその後の質の向上にご尽力されて こられた諸先生方に心から敬意を表します。筆 者自身,共著ですが 2 編の論文を掲載していた だいています。1 編は研修医に成りたての頃に 当時の内山暁教授がお書きになった上顎洞癌の 小線源治療の論文1)に共著者として入れてい ただいたもの,もう 1 編は昨年の学位指導論文2) です。後者の査読と校正においては,手塚英男 先生,森石恆司先生,藤井秀樹先生らをはじめ 編集委員の方々に大変お世話になり,深く感謝 申し上げます。 本誌が学位論文掲載の近道であることは否め ませんが,論文は引用されないと意味がありま せんので,本誌の pubmed への掲載やインパ クトファクタ(IF)の取得を目指さないといけ ないと考えます。その為には,質の高い原著論 文やレビュー論文の投稿を促すことが必要であ り,これからの本学の評価にも関わる重要な課 題です。 ところで,本原稿作成をきっかけに,実感と して強く意識されるこの 30 年間の劇的変化と 30 年後の予想や期待を思いつくままに挙げて みます。 ☆これまでの 30 年間の大きな変化 ・ 高 齢 化(65 歳 以 上 の 人 口 割 合 は 30 年 前 15%,現在 25%) ・インターネットとメールの普及(莫大な情報量) ・研修医への対応の変化(奴隷から上客へ) ・アナログからデジタルへ(現学生の「シャー カ ス テ ン 」 と い う 用 語 認 知 度 3 %,1 回 の CT 読影画像 30 コマから 1000 コマに増加) ・放射線治療の使われ方(姑息から第一選択) ☆ 30 年後の予想,期待 ・超高齢化(日本人の 5 人に 1 人が 75 歳以上) ・人工知能やディープラーニングの発展による 情報運用の適正化 ・教育の一部効率化(電子化・ロボット化) ・医療の一部人工知能化,ロボット化と医師− 患者間の人間的関わりの向上 ・より集中化した画像診断と放射線治療の発展 ・世界平和(アジアの一体化,異文化や異宗教 の共存) ・本誌の pubmed 掲載,IF 取得 ☆今後 30 年間に避けたいこと ・大都市部の大震災(最大で死亡者 100 万人) ・地球温暖化で海面上昇による都市部水没(最 大で被災者数千万人) ・核戦争(最大で死亡者数億人?絶対避けなけ ればいけない。) ・人工知能とロボットによる産業置換(最大で 失業者数億人) ・社会保障の破綻(一切を国家に頼れなくなる 社会) 山梨医科学誌 31(2),37 ∼ 38,2016
山梨医学会誌 30 周年に寄せて
大 西 洋
山梨大学大学院放射線医学講座記念寄稿
38 大 西 洋 ちなみに 30 年間というと,室町幕府が倒れ た 1573 年から江戸幕府が開祖される 1603 年ま での丁度安土桃山時代の期間に相当し,世の中 を変えるには十分な長さです。コンピュータや ロボットにより席巻されそうな時代を迎えよう としていますが,活用するのも悪用するのも人 間の意志次第です。これからの 30 年間は,地 球と人間の終末を迎えるのか,未曾有の転機を 乗り越えられるのか,我々の英知と理性が人類 史上もっとも過酷に試される 30 年間かもしれ ません。併せて,本学と本誌が大きく発展して いることを願ってやみません。
1) Uchiyama G, Onishi H, Ogata H, et al.: Intraop-erative brachytherapy of carcinoma of the max-illary sinus. Yamanashi medical journal, 6(1), 71–76, 1991.
2) Tominaga L, Onishi H, Kuriyama K, et al.: Pre-diction on recurrence for stage I non-small cell lung carcinoma by Tl-SPECT and FDG-PET. Yamanashi medical journal, 30(2), 47–61, 2015.