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Academic year: 2021

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論 文

DATを用いたデジタルホルター心電計

(平成元年8月31日受理) 橋口住久

近藤芳人

中田一人 田村康二 渡辺雄一郎

Ambulatory ecg Recorder utilizing DAT

SumihisaHASHIGUCHI YoshihitoKONDO KazuhitoNAKATA

KohjiTAMURA YuichiroWATANABE       Abstract   Adigital ambulatory ecg system was manufactured. The system consists of a Digital Audio Tape Recorder and reproducer. The recorder provided with two banks of buffer memory and adigital audio tape recorder.   The ecg signals are sampled at the rate of 250 Hz and converted to 12 bit digital data, which are stored temporally in one of the two buffer memories. When the buffer memory becomes full of data, the data is converted to a DAT format signal and fed into the DAT recorder, and the DAT recorder starts to record the digital signal from the buffer memory.   This configuration enables to record 12channel ecg signals for more than 30 hours with a high fidelity. 2.ハードウェア設計の目標 1.はじめに  ボルター心電計は,長時間にわたって心電図を記録 する装置である.最近では,心筋虚血などの診断に利 用されるようになり,波形の忠実な再現が要求される ようになった.  市販のボルター心電計では,低速走行の磁気テープ にアナログ記録しているため.忠実な再生波形が得ら れない.ここでは忠実な波形記録を行うために,心電 図波形をデジタル記録する方式を検討し.現行のボル ター心電計よりはるかによい再生波形を得ることがで きたD.  ここでは,小型軽量のデジタルボルター心電計を実 現するために.新たに,記録媒体としてDATを用い たシスデムを開発したので報告する.  心電図を長時間にわたって記録する装置として以下 のような条件を満足することが必要てある. 1)十分な記録容量を持っていること. 2)小型.軽量で,携帯可能であること. 3)持ち運んでも十分に安定した記録を続けられる構   造であること. 4)その消費電力を.搭載した電池で賄えること.  ここでは,記録装置としてデジタルオーディオテー プレコーダ(DATレコーダ)を採用した.

 DATは,最長4時間(120分テープ,2倍速時)

の連続記録が可能であるが,24時間以上にわたる長 時間記録を行わせるために前試作器1)と同様に間欠運 転法をとる. 3.システムの仕様 ’ 電子情報工学科,Departmen土of Electronics. 一’ R梨医科大学,Yamanashi Medical ColIege. 試作したシステムの仕様は表一1の通りである.

(2)

  表一1 試作システム仕様 Tablel Spec i f i ca七ion of the sys tem 量子化ビット数 サンプリング周波数(Hz) データ記録媒体 12 250 DAT 4.システムの構成  試作システムは,心電図波信号を増幅するアナログ 回路.デジタル変換する回路(変換器),データを記’ 録するDATレコーダ,記録したテータを再生する再 生器で構成される.

 4.1 変換器

 図一1は変換器のブロック図である.変換器は,A D変換回路.バッファメモリ回路,デジタルオーディ オ信号変調部.システムを制御するアドレス発生・切 り替え回路から構成されている.

 4.1.1 AD変換回路

 12チャンネル心電図波形をマルチブレクサにより

3kHz(12チャンネル×250Hz)のクロック

周波数で切り替える.最大許容入力は5Vppである. 時分割されta入力波形をADコンバータで12ヒット のデジタルデータに変換する.システムのマスターク

ロックであるDAT回路の96kHzのクロックを3

2分の1に分周して3kHzのクロックを得る.

 ADコンバータには低消費電力型のAD7572J

NO5を用いた.  4.1.2 バッファメモリ回路  AD変換回路からのデジタルデータを.いったん, バッファメモリに格納する.バッファメモリには,1 2ビットの心電図デー一タに4ビットのチャンネルデー タを加えて16ビットのデータとして記録する.メモ リは,1アドレスに対して8ビットの記録を行うので. 16ビットのデv・一タを4ビットのチteンネルデータと 心電図データの下位4ビットまでの8ビットと.心電 図データの5ビット目から最上位ビットまでの8ヒッ トとして2つに分割する.  DATの消費電力を少なくするには,間欠運転の間 隔を長くして.DATの起動回数を少なくすることが 必要である.そうするには.メモリの容量を大きくす れば良いが,寸法,重量が増加するので.携帯制約か ら限界がある.ここでは.消貴電力が小さく、周辺回 路も簡単に作ることができるCMOSスタティックR AM(8 bit×128k word)を4チップ使用し512kバ イトとした.  心電図波形をメモリに連続的に記録するためには, メモリは書き込み操作と読みだし操作を同時に進行す る必要があるので,リングバッファ方式を採用した. 図一2は.リングバッファメモリのアクセスタイミン グである.メモリは,AブロックとBブロックの2つ で構成する.テータは,まず,Aブロックに書き込む Aブロックにデー・・タがいっぱいになったところで,B ブロックに書き込みを開始する.Bブロックの残り容 量が4096バイトとなった時点でAブロックからデ ータの読み出しを開始する.読み出しを開始するタイ ミングは,次のようにして決定した.

 16ビット12チャンネル分のデータを250Hz

のサンプリング周波数で512kバイトのメモリに書 き込む時間Twは,

Tw「2(、h)㍊1、1撒「=87・4(・)

である.  一方,16ビットのデータを2チャンネル.48キ ロHzで512キロバイ㌔トのメモリから読みだす時間 Trは, Control logic OLK(3kH2} OLK(96kH2} 12Gh `nalog 奄獅垂浮狽W Multiplexer

AD

bonverter Buffer 盾?盾盾窒 Para1【e【 狽潤@Serial bonversion Biphase lolulator σo

DAT

図一1 試作システムのゴqック図 Fig.1 Blook diagram of    digitalized recorder    for ambu[atory ECG    system

(3)

A block B blook 図一2 メモリのアクセスタイミング Fig・2Timing chart of memory access,

T・=

V,h)撒i)呈{6(bit)=2・73(・) となる.したがって,図一2でAブロックから読みだ しを開始する時刻Tsは,

o曇【{儘 L 箪 5       s9       8 hr畠M 狽緒Wrtgl セ鴨r31㎝ LSBlLSB2

h搬一→識1→

図一3 16ビット・シリフルデータの生成 htl Fig,3 Format of l6bit seriol dota, 4.2 再生器

Ts = Tw 一

Tr

 一  =  86.04 (s)

2

となる.これは,Bブロックの残り4096バイト目 までの記録時間に相当する.  4.1.3 デジタルオーディオ信号変調  DAT装置でテープに信号を記録するためには,デ ータをデジタル・オーディオ・インターフェース・フ th一マット2)信号に変調する必要がある.  デV一タのデジタルオーディオ信号変調には.デジタ

ルオーディオ信号変調用IC(SONY:CXD12

11P)を使用した.このICのデータ入力は,16 ビットシリアルであるので,バッファメモリから読み 出される16ビットパラレルデータから,ICのデー一 タ入力に適合する16ビットシリアルデータを生成す る.これには,図一3に示すように,8ビットのシフ トレジスタを2個並列接続して,16ビットバラレル ・シリアル変換回路を構成した.  4.1.4 アドレス発生・切り替え回路  ここでは,データをメモリに書き込み時及び読み出 し時のメモリへのアFレス制御を行っている.  アドレス発生は19ビットカウンタで行う.データ を書き込む速度と読みだす速度が違うので,書き込み アドレス用と読みだしアドレス用の2種類用意した.

それぞれのカウンタにFs/8.4Fs(Fs=48

kHz)のクロックを入力する.  カウンタの下位17ビットはメモリのアドレスに使 用し,上位2ビットはデコードして4つのメモリチッ プのCS信号および各ブロックにデータを送るための バスバッファのON/OFFに使用した.  図一4は再生器のブロック図である.

 DATに記録したデータは,1/32倍に時間圧縮

されている.システムの再生波形を原波形と比較する には,圧縮されたデータを実時間で再生することが必 要である.  図一4のように.再生器でDATの信号を復調して 得たデジタルテータを,シリアルバラレル変換した後. いったん.1Mバイトのメモリに格納する.このとき. 間欠書き込みされたデータの間の”すきま”を取除 く.格納が終了した後,実時間でデータを読み出す. 各チャンネル別にDA変換を行い,最後にローパスフ ィルタ(遮断周波数130Hz)を経て各チャンネル の再生心電図波形を得る.  4.2.1 復調回路,シリアルパラレル変換  DATにテジタルオーディオ変調されて記録された デー一タを復調して,16ビットシリアルデータを取り 出す.復調にはデシタルオーディオ信号復調用IC(

SONY:CX23053)を使用した.

 このICは外付けのPLL回路を用いて同期を取り. デジタル・オーディオ・インターフェース・フt一マ ットで伝送されてきたデジタルデータを,NRZ( Non Return to Zero)に復調し.16ビットシリアル データ,ヒットクロック(1.54MHz),ワード クロック(96kHz)を出力する.  復調回路で取り出した16ビットシリアルデータを シリアルパラレル変換回路において16ビットバラレ ルデータに変換する.  バッファメモリ回路ヘデータを送るバスラインは, バッファメモリ回路からDA変換回路へのデータ出力 線と共通のため,出力が衝突しないようにバッファを 通して出力する.  4.2.2 メモリコントロール回路  心電図波形の再生速度を制御するコントロールクロ ックを発生させる.

(4)

Memory

bontroller Bit Clook

i1.54MHz) Control Clook

DAT

ミo

Demodulator

Serialto

oarallel bonverter Buff帥

lemory

i1Mbytg)    DA bonverters   120h

`nalog

盾浮狽垂浮狽

PIay/Pause  DAT

Controller

Memory Full

 復調回路で抽出したビットクロックを分周して,8 種類のクロックを発生し,その中の1つをコン1・ロー ルクロックとする.分周して得られるコントロールク ロックの周波数とそれに対する心電図の再生速度を表 一2に不す.  実時間再生をする場合.コントロールクロックの周 波数は12kHzとなっている. 表一2 コントロールクロックと再生速度 Table2 Control Clock and time rate of    reproduced wave form コントロールクロッ    再生速度

768kHz

384kHz

192kHz

 96kHz

芸㍑

1::罷

  64倍速

  32倍速

   16倍速

   8倍速

   :讐

1」灘IL

 4.2.3 バッフヲメモリ回路  シリアルバラレル変換回路からの16ビットバラレ ルデータを.8ヒットずつに分割して1Mバイトのバ ッファメモリに格納する.Xモリは256kビット( 8ヒット×32キロワード)のスタティックRAMを 32個使用する.データをいったんメモリに記録し, それを順次読み出すことで心電図波形の再生速度を可 変にできる.  この回路には再生開始と停止のスタート/ストップ スイッチ(START!STOP)と,メモリへのデータ書き込 み/読み出し切り替えスイッチ(WRITE!READ)があり, データの書き込みと読み出しを手動で切り替える.  データ書き込みの場合,DATテープに記録された データとデータの間の”すきま”を取り除く必要が ある.チャンネルデータが記録されている部分では変 図一4 再生器ブロック図 Fig.4   Block  diagra扇  of  real    ti■e reprOducing ci「cu i t. 化し”すきま”の部分では変化しないことから,連 続する2つのチャンネルデータをコンバレータで比較 してコンパレータの出力(A=B)が高レベルとなっ たときデータの書き込みを中断させる.  メモリのアトレスをカウントするクロック周波数は

192kHzであるから,1回の格納でDATテープ

の5.46秒分のデータを格納する.このデータを実 時間で再生した場合には,32倍の2分55秒の心電 図波形が得られる.  16ビットのデータを8ビットずつに分割して記録 しているため,上位8ヒットを先に処理することが起 こるとデータを正しく取り出せなくなるので,必ず下 位8ビットから処理するようにしている.

 4.2.4 DA変換回路

 DAコンバーtタはAD DAC80(アナログデバ

イス)を用いた。分解能は12ビットであり.12ビ ットのDA変換を1チップで行うことができる.全消 費電力は300mWであり,高安定の電圧リファレン スと出力増幅器を内臓している.この再生器は出力電 圧範囲を±2.5Vとした.  メモリから取り出した16ビットパラレルデータの チャンネルデータ(上位4ビット)により12個のD Aコンバータの1つを選択し,選択されたDAコンバ ータは心電図データをDA変換してアナログ波形を出

力する.この波形をLPF(遮断周波数130Hz)

に通して.なめらかな波形にする.また,DAコンバ ータは反転出力であるので,反転アンプに通して,各 チャンネルの再生波形を得る.  再生器のLPFには2次のバタワースフィルタを用 いta.心電図波形を記録してから再生するまでのシス テム全体の位相特性において,周波数100Hzで位 相が一90°以内ならば波形の歪はないことが分かっ ている3).ここで,LPFのカットオフ周波数を13

0Hzとすると,周波数100Hzでの位相は記録器

で一15°.再生器で一一 7S°となり位相おくれによ る波形の歪はない.

(5)

 4.2.5 DATコントロー一ル回路  この回路はDATの再生と停止を自動的に切り替え る回路である.記録器と同様にDATの再生と停止を 制御する.DATを再生状態にする場合の条件は 1)メモリがいっぱいでないとき 2)メモリ書き込み状態のとき

3)START/STOPスイッチがONのとき

の3つが同時に満足されるときである.この条件を1 つでも満足しないときはDATを停止状態にする. 5.試作器の特性 }__v−−t 」.一も}_.一■r... ,_n.声一 _“__,^___,_“一_.∼鳥‥__〔___..⇔,____  _       ‘一 ,      一  _       _  _ _,_ _ ,_    ‘     _  一   一一_ 一一  _ ...、..,._4.一一_1二_一      一μ     一^1ピ      11 ⑪ri,91na l Wave Form

 表一3は,DAT用に試作した変換器と,8mmVT

R用に試作した変換器の諸元である.

 DAT用変換器は,大きさ150mmX40mm×18

0㎜,重量約1kg(電池含む)となり.体積.重量 とも8mrnVTR使用の前試作器の約1/2となった. また,消費電力は約0.9W(130附A)であり. リテウム電池を使用すれば,単2形4個,1/22A A形5個で,24時間の連続動作が可能である.  この変換器を用いると.120分用DATテープで. 12誘導の心電図データを約30時間にわたって連続 記録することができる.また,量子化ヒット数を12 ヒットとしてあるので.通常型のデシタル心電計との データの互換性をもたせることができる.  図一5は試作したシステムで実際に心電図を記録し, その再生波形と原波形を比較したものである.心電図 波形が忠実に再現されており,診断上有意と思われる 歪は認められない. :.i:;i:1.li4Jlilillii””V( IL..:lll:Ll:lllL−[ ;.’r”” ,:ニノへこ二      Reproduced Wave Form     図一5 原波形と再生波形 Fig.5 ⑪riginal and reprodticed wave forms. 6.おわりに  記録媒体としてDATテープを使用することにより, システムの小型.軽量化が可能となった.  現行のアナログボルター心電計は,消費電力約12 0mW.重量約750gであるので.本試作器は小型, 軽量化が必要である.  DATテープの記録容量が大きいので、現システム は情報圧縮を行っていないが,心電図の周期性なとを 利用して,高能率.高品質のデータ圧縮を行なうこと が可能となれば,1Cメモリーカードを記録媒体とし て使用することができ.システムの簡略化,小型化を はかることが期待できる. 謝  辞       表一3 変換器の諸元 Table3 Deta i l of DAT system and 8mm\↑R syste弼 記録媒体 記録誘導数 サンプリング周波数(H2) 量子化ビット数 寸法  高さ  幅  奥行 重量 消費電流 記録ビットレト 〈ttttn) (rnm) (ram) (kg) (mA) (キ0バイト/秒)

8nunVTR

 12

262.2

  8

 80

190

295

  2

500

新試作器

DAT

 12

250

 12

 40

150

180

 心電図の記録に御協力いたたいた山梨療養所窪田 章技師および心電図室の方々,入手困難なIC等の部 品を提供していただいたフクダ電子株式会社の関係各 位の方々に感謝致します. 参考文献 1)三富高行ほか:ボルター心電計のディジタル化の   検討、医用電子と生体工学.Vo1.26,No.2.pp.25・31   ,1988 2)SONYSemiconductor IC Data Book,86   音響機器.SONY,pp.624−643.689−703,1986 3)平賀 仁:磁気記録再生装置の特性測定法,昭和   63年度山梨大学修士論文.1988.3

参照

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