誠
難
眈
畑
旺
疎
求
償
権
の
制
限
に
つ
い
て
武
久
征
, 治一
は
し
が
き
最 近 の 巨 大 . 複 雑 な 企 業 設 備 、 高 速 交 通 機 関 の 発 達 は 、 人 類 文 化 の 発 展 に 貢 献 す る 反 面 、 諸 々 の 複 雑 ・ 多 数 の 災 害 を も た ら す 結 果 と な っ た 。 こ れ ら の 、災 害 は 今 や 人 々 が 注 意 義 務 を 果 し た か 否 か に 関 係 な く 必 然 的 に 生 ず る も の と な っ て い る 。 か か る 現 実 は 、 法 の 領 域 に も さ ま ざ ま な 矛 盾 を 持 込 ん で い る 。 そ の 一 つ は 、 ロ ー マ 法 以 来 の 民 法 、 特 に 不 法 行 為 法 の 大 原 則 で あ る ﹁ 過 失 な け れ ば 責 任 な し ﹂ の 原 則 の 単 純 な 適 用 を も っ て し て は 、 著 し い 不 公 平 を 生 ず る 場 合 が あ る 。 例 え ば 高 度 に 技 術 的 専 門 的 な 工 場 設 備 に よ っ て 生 じ た 損 害 に つ い て 、 被 害 者 は そ の ﹁ 過 失 ﹂ を 立 証 出 来 な い 場 合 が 多 く 、 従 っ て 、 ヘ へ 過 失 責 任 主 義 の 下 で は 損 害 賠 償 を 受 け 得 な い こ と に な る 。 こ の よ う な 現 実 と 法 と の ズ レ を 解 決 す る 努 力 は 、 従 来 か ら ﹁ 無 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 過 失 損 害 賠 償 論 責 任 論 ﹂ と し て 研 究 さ れ て き た 。 と こ ろ で 、 右 の 加 害 者 と 被 害 者 と の 課 題 と 並 ん で 、 今 日 重 要 と な っ て い ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ る の が 、 企 業 等 を 媒 介 と す る 直 接 の 加 唐 者 た る 被 用 者 と 使 用 者 と の 課 題 で あ る 。 両 者 の 関 係 は 、 民 法 七 一 五 条 に よ っ て 規 定 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 諸 危 険 の 中 で 働 く 被 用 者 は 、 社 会 的 に み て 必 然 的 で あ る と 思 わ れ る よ う な 事 故 を 起 し た 場 合 で も 、 何 等 か の 過 失 が 認 め ら れ る 限 り 、 過 失 責 任 主 義 、 自 己 責 任 主 義 の 下 に 、 損 害 賠 償 の 義 務 を 負 う こ と に な る 。 そ レ て 、 七 一 五 条 に よ り 、 使 用 者 が 損 害 を 支 払 っ た 場 合 で も 、 使 用 者 は 直 接 の 加 害 者 た る 被 屠 者 に ・ ﹁ 求 償 ﹂ を 為 し 得 る の で あ る 。 民 法 七 一 五 条 三 項 に お け る 求 償 権 の 制 限 に つ い て 、 四 七﹁ 民 法 七 一 五 条 三 項 に お け る 求 償 権 の 制 限 に つ い て 四 八 し か し 、 使 用 者 が 危 険 な 企 業 に よ り 多 大 の 利 益 を 収 め 、 反 面 、 被 用 者 は そ の 危 険 の 中 で 働 き つ つ も 経 済 的 に は 貧 し い 、 と へ . い う 一 般 的 事 情 を 考 え る 時 、 こ こ で は 、 ﹁ 過 失 な け れ ば 責 任 な し ﹂ の 原 則 が 、 前 者 の 理 由 と は 全 く 逆 の 意 味 で 、 つ ま り 古 へ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ ね へ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヤ も も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ を ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ
典
的
な
意
味
で
の
過
失
が
存
在
し
て
も
責
任
(
こ
こ
で
は
、
使
用
者
に
対
す
る
﹁
求
償
義
務
﹂)
な
し
、
と
す
る
方
が
一
層
公
平
で
あ
る
、
と
い
う
意
・
、 、 (3 ) ﹁ 味 で 、 現 実 と 法 と の ズ レ が 感 じ ら れ る の で あ る 。 . 右 の ご と き 現 実 と 法 と の ズ レ に 着 眼 し 、 被 用 者 保 護 の 合 理 的 解 決 を 図 ろ う と す る の が 本 稿 の 目 的 で あ る 。 尚 、 本 稿 で の 理 論 構 成 は 、 危 険 複 雑 な 企 業 等 に お け る 使 用 者 と 被 用 者 と の 関 係 を 対 象 と す る も の で あ る 。 叙 述 の 順 序 と し て は 、 ま ず 我 国 の 従 来 の 学 説 、 判 例 を 整 理 し ⇔ 、 次 に 、 求 償 権 制 限 の 理 論 構 成 に つ 、い て 考 え て み る 。 こ こ で は 、 . そ の 解 (4 ) 釈 論 的 構 成 ⇔ 、 と 実 質 的 ( 保 険 制 度 に よ る 被 用 者 保 護 ) 構 成 ㈲ 、 と に 分 け 、 主 に イ ギ リ ス 法 と の 対 比 を 通 し て 考 え て み る 。 ( 1 ) 使 用 者 責 任 の 根 拠 お よ び 歴 史 に つ い て は 、 片 岡 昇 ﹁ ↓ 冨 冨 ≦ o h ζ 霧 言 ﹁ 四 民 ω ① ≦ 皿 暮 に 関 す る 一 考 察 ﹂ (法 学 論 叢 五 九 巻 三 号 ) に 詳 し い 。 ● ( 2 ) 民 法 七 一 五 条 三 項 。 な お イ ギ リ ス 法 に お い て は 、 使 用 者 と 被 用 者 は ﹁ 共 同 不 法 行 為 ﹂ (日 o 一再 ↓ o 詳 ) と さ れ 、 使 用 者 は 被 用 者 が そ の 雇 用 関 係 の 過 程 に お い て (ぎ 夢 Φ 8 霞 ω。 o h 三 ω ① B 艮 o 冤 ヨ 。 馨 ) 為 し た 不 法 行 為 に つ ぎ 代 替 責 任 (三 岳 ユ o 器 = ⇔ げ 集 曙 ) を 負 う も の と し 、 使 用 者 は 自 己 が 賠 償 し た 損 害 を ﹁ 契 約 義 務 違 反 ﹂ と し て 被 用 者 に 求 償 し 得 る こ と が 判 例 法 上 確 立 し て い る 。 ( 3 ) 被 用 者 保 護 に 着 眼 し 、 そ れ を 、 単 に 被 用 者 の ﹁ 過 失 ﹂ 概 念 を 狭 く す る こ と で 解 決 す る と す れ ぽ 、 不 法 行 為 の 成 立 自 体 が 困 難 と な り 、 そ の 為 に 被 害 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 者 保 護 が 希 薄 と な る 、 と い う 欠 陥 が 生 ず る 。 つ ま り 、 現 実 社 会 が 法 に 要 請 し て い る の 憶 、 正 に 、 被 害 者 保 護 と 被 用 者 保 護 が 同 時 に 為 さ れ な け れ ば な ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ ら な い こ と で あ る ゆ 従 っ て 、 法 の 理 論 構 成 は 、 不 法 行 為 の 成 立 要 件 と し て の 過 失 と 求 償 権 制 限 の 規 準 と し て の 過 失 と を ど の よ う な 関 連 で と ら え る か が 重 要 な 問 題 と な る 。 本 稿 の 中 心 課 題 も こ の 点 に 存 す る の で あ る が 、 結 論 的 に 言 え ば 、 私 は 、 二 つ の 過 失 を そ れ ぞ れ 異 っ た 程 度 の も の と し て と ら え る べ き も の と 考 え る 。﹁ (4 ). 使 用 者 の 求 償 権 に 関 す る イ ギ リ ス 判 例 法 の 研 究 と し て 、 伊 藤 正 已 ﹁ 使 用 者 の 求 償 権 ﹂ ( 法 学 協 会 雑 誌 七 四 巻 五 ・、 六 号 ) 六 〇 五 頁 以 下 に 詳 し い 。 本 稿 も こ れ に よ る と こ ろ が 大 き い 。 、e
学
説
の
動
向
二
求
償
権
制
限
に
関
す
る
従
来
の
学
説
・
判
例
' ,民
法
七
一
五
条
三
項
の
使
用
者
の
求
償
権
を
制
限
的
に
解
釈
し
、
被
用
者
保
護
に
貢
献
し
よ
う
と
す
る
試
み
は
従
来
か
ら
行
わ
れ
て
き
た
。
エ
石
田
博
士
は
、
・使
用
者
の
求
償
権
行
使
を
、
﹁
信
義
則
違
反
﹂
、
﹁
権
利
監
用
﹂
の
理
論
構
成
に
よ
っ
て
制
限
す
べ
し
、
と
さ
れ
る
。
こ
の
理
論
に
つ
い
て
は
、
七
一
五
条
三
項
窺
定
が
無
視
さ
れ
る
結
果
と
な
り
、
解
釈
論
と
し
て
は
無
理
が
あ
る
・
﹂
と
の
批
判
が
㌍
毬
れ
華
勝
本
博
士
は
、
﹁
(使
用
者
の
)
選
任
監
督
に
関
す
る
過
失
が
非
常
に
大
き
け
れ
ば
、
被
用
者
の
行
為
と
の
問
に
相
当
因
果
関
係
が
あ
る
場
合
(3
)
に
限
り
、
例
外
と
し
て
求
償
権
を
制
限
す
べ
き
で
あ
る
﹂
と
さ
れ
る
。
我
妻
博
士
は
、
勝
本
説
を
発
展
さ
せ
、
次
の
よ
う
に
説
か
れ
る
。
rす
な
わ
ち
、
﹁
企
業
者
の
責
任
と
い
う
立
場
か
ら
見
る
時
は
、
被
用
者
に
対
外
的
責
任
を
負
わ
し
め
ざ
る
を
至
当
と
す
る
の
み
な
ら
ず
、
対
内
的
に
も
そ
の
損
害
賠
償
の
不
利
益
を
悉
く
被
用
者
の
負
担
に
帰
せ
し
め
る
こ
と
は
妥
当
を
欠
く
。
従
っ
て
企
業
者
が
被
用
者
に
求
償
権
を
行
使
す
る
に
当
っ
て
は
、
両
者
の
関
係
、
加
害
行
為
の
態
様
、
.
そ
の
他
諸
般
の
る
事
情
を
考
慮
し
、
そ
の
求
償
権
に
妥
当
な
る
制
限
を
加
え
る
こ
と
に
努
む
べ
き
で
あ
る
、
﹂
と
さ
れ
、
具
体
的
に
は
、
﹁
賃
金
の
低
廉
な
る
こ
と
労
務
の
過
度
な
る
こ
と
、
企
業
施
設
の
不
充
分
な
る
こ
と
や
規
律
の
素
れ
て
い
る
こ
と
な
ど
が
加
害
行
為
の
原
因
と
な
っ
た
こ
と
、
そ
の
他
諸
般
の
事
情
を
根
拠
と
し
て
過
失
相
殺
の
理
論
を
適
用
す
る
こ
ど
、
﹂
に
よ
り
求
償
権
を
制
限
す
べ
し
、
と
さ
れ
て
い
る
。
加
藤
教
授
は
、
我
妻
説
に
対
し
て
、
﹁
過
失
相
殺
の
理
論
も
、
被
用
者
自
身
の
責
任
を
認
め
る
以
上
、
、被
用
者
が
被
害
者
に
直
接
に
賠
償
し
た
場
合
に
、
逆
に
使
用
者
へ
の
求
償
が
調
め
ら
れ
る
程
使
用
者
分
不
法
な
行
為
が
競
合
し
て
い
る
の
で
な
け
れ
ば
、
そ
の
場
合
と
の
間
に
均
衡
を
失
す
る
こ
と
に
な
ろ
う
。
﹂
と
批
判
さ
れ
、
求
償
権
を
制
限
す
る
に
あ
た
っ
て
は
、
使
用
者
と
被
用
者
の
﹁
共
同
不
法
行
為
﹂
の
問
題
と
し
ア
て
、
相
互
の
負
担
部
分
を
決
定
す
べ
し
、
と
さ
れ
る
。
し
か
し
こ
こ
で
我
妻
説
と
加
藤
説
と
は
、
正
面
か
ら
対
立
す
る
も
の
で
は
な
い
と
思
わ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
ヘ
へ
れ
る
。
と
い
う
の
は
、
加
藤
説
に
い
わ
ゆ
る
﹁
負
担
部
分
の
決
定
﹂
は
、
相
互
の
過
失
の
割
合
を
比
較
し
て
決
定
さ
れ
る
こ
と
と
な
り
、
従
っ
て
、
加
藤
説
は
我
妻
説
を
ふ
ま
え
使
用
者
と
被
用
者
の
関
係
を
被
害
者
に
対
し
て
共
同
不
法
行
為
と
し
て
構
成
す
惹
こ
と
に
よ
り
、
相
互
に
求
償
し
得
る
可
能
性
を
み
い
だ
し
た
点
で
、
我
妻
説
の
一
つ
の
発
展
と
し
て
把
え
得
よ
う
。
民
法
七
一
五
条
三
項
に
お
け
る
求
償
権
の
制
限
に
つ
い
て
四
九
民 法 七 一 五 条 三 項 に お け る 求 償 権 の 制 限 に つ い て 五 〇 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 椿 教 授 は 、 使 用 者 、 被 用 者 の 被 害 者 に 対 す る 債 務 関 係 を ﹁ 不 真 正 連 帯 債 務 ﹂ と さ れ 、 こ の ﹁ 不 真 正 連 帯 債 務 ﹂ 自 身 の 属 へ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 性 と し て 求 償 権 を 是 認 す る こ と に よ り 、 相 互 の 、 す な わ ち 、 使 用 者 被 用 者 の 如 何 を 問 わ ず 、 直 接 賠 償 者 か ら 他 方 へ の 求 償 を 認 め る 、 と い う 方 法 を 主 張 さ れ る 。 そ し て 同 教 授 は 、 こ の 求 償 の 割 合 を 決 定 す る 要 素 と し て 、 相 互 の ﹁ 過 失 ﹂ や ﹁ 結 果 ゆ 発 生 に た い す る 加 巧 度 な い し 原 因 力 ﹂ 等 を 考 慮 す べ し 、 と さ れ る 。 さ て 、 右 に の べ た 学 説 は 、 そ の 理 論 構 成 上 相 違 す る 点 も あ る が 、 他 面 、 次 の よ う な 共 通 点 を も っ て い る 。 第 一 に 、 求 償 権 制 限 に つ い て 、 過 失 の 割 合 の 相 互 比 較 に よ る 負 担 部 分 の 決 定 、 と い う 方 法 を と る こ と で あ る 。 第 二 に 、 こ の 場 合 の ﹁ 過 け 失 ﹂ が 対 外 的 な 、 即 ち 、 不 法 行 為 の 発 生 と 因 果 関 係 に あ る 過 失 、 と し て 把 え ら れ て い 為 こ と で あ る 。 こ の よ う な ﹁ 対 外 的 ﹂ な 関 係 に よ っ て 負 担 部 分 を 決 定 す る 方 法 に 対 し て 、 全 く 純 粋 に ﹁ 対 内 的 ﹂ な 関 係 に 負 担 部 分 決 定 の 要 素 を 求 め よ う と す る の が 、 中 元 説 で あ る 。 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 中 元 氏 は 、 求 償 権 に 関 す る 使 用 者 と 被 用 者 の 法 律 関 係 を 、 両 者 の 間 に 存 す る 委 任 、 そ の 他 の 契 約 関 係 に 求 め ら れ ( あ る 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 (12 ) い は 、 単 な る 事 実 上 の 使 用 関 係 し か 存 在 し な い 場 合 で も 、 ﹁ 事 実 上 の 契 約 関 係 ﹂ に 求 め ら れ る 。 そ し て 、 七 一 五 条 三 項 の 求 償 権 規 定 は 、 `被 用 者 の 契 約 義 務 違 反 1一 債 務 不 履 行 に 基 づ く も の と し て 理 解 さ れ 、 、 従 っ て 、 求 償 の 割 合 す な わ ち 相 互 の 負 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 (13 ) 担 部 分 の 割 合 は 、 相 互 が ど れ 程 契 約 義 務 を 守 っ て い た か 、 を 比 較 す る こ と に よ り 決 定 す べ き も の と さ れ る 。 ま た 同 氏 は 、
か
か
る
求
償
権
制
限
の
実
質
的
根
拠
を
・
使
用
者
の
﹁
危
険
分
散
可
能
性
﹁
蓄
者
負
担
説
﹂
に
求
め
ら
れ
る
の
で
為
・
ζ
・
ろ
で
・
中
め 元 氏 の 理 論 構 成 の 基 礎 は 、 民 法 起 草 者 の 一 人 で あ る 梅 博 士 の 考 え に 存 す る の で あ り 、 求 償 権 の 問 題 を 対 外 的 関 係 か ら 独 立 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヤ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ さ せ て 、 い わ ば 純 粋 に 対 内 的 関 係 と し て 解 決 し よ う と す る こ と は 、 非 常 に す っ き り と し た 解 決 方 法 で あ る と 思 わ れ る 。 し か し 反 面 求 償 権 の 問 題 が 生 ず る の は 、 そ の 前 提 と し て 、 ﹁ 不 法 行 為 ﹂ に よ る 損 害 の 発 生 が あ る ・こ と を 考 え る と 、 そ れ と の 関 連 を ぬ き に し で 問 題 を 解 決 す る こ と に は 疑 問 が 残 る 。 換 言 す れ ば ( 不 法 行 為 に つ い て の 使 用 者 と 被 用 者 ど の 法 律 関 係 を(16 ) 明 白 に し た う え で 、 そ こ に 、. 契 約 義 務 違 反 に よ る 求 償 権 の 問 題 を 位 置 づ け る こ と が 、 理 論 構 成 上 要 求 さ れ る で あ ろ う 。 さ て 以 上 の よ う に 、 学 説 は 、 理 論 上 い く ぶ ん 異 っ て い る よ う で あ る が 、 総 じ て 、 求 償 権 を 制 限 す る 方 向 に あ る 。 私 は 、 こ れ ぢ の 諸 学 説 を 、 各 々 、 対 立 的 関 係 に あ る も の と し て で は な く 、 求 償 権 制 限 理 論 の 部 分 的 位 置 を 占 め る も の と し て 理 解 す る 。 従 っ て 、 こ れ ら の 学 説 を 踏 ま え て こ ぞ 、 新 し い 理 論 構 成 が 出 来 よ う 。 ( 1 ) 石 田 博 士 は ﹁ 企 業 の 経 営 に よ っ て 多 大 の 利 益 を 収 め て い る 使 用 者 又 は 代 理 監 督 者 が 被 用 者 に 対 し て 求 償 権 を 行 使 す る こ と は 信 義 の 原 則 に 反 し 権 利 の 濫 用 で あ み と 解 し て よ い 。 ﹂ ( 石 田 文 次 郎, ﹁ 債 権 各 論 講 義 ﹂ 二 八 八 頁 ) と さ れ て い る 。 ( 2 ) 加 藤 一 郎 ﹁ 不 法 行 為 ﹂ (法 律 学 全 集 ) 一 九 〇 頁 参 照 。 ( 3 ) 勝 本 正 晃 ﹁ 債 権 法 各 論 概 説 ﹂ 三 二 五 頁 。 ( 4 ) 我 妻 栄 ﹁ 不 当 利 得 、 事 務 管 理 、 不 法 行 為 ﹂ (新 法 学 全 集 一 〇 巻 ) 一 七 八 頁 。 ( 5 ) 我 妻 、 前 掲 書 、 一 七 八 頁 。 - 、 .( 6 ) 加 藤 一 郎 、 前 掲 書 、 一 九 〇 頁 。 ( 7 ) 加 藤 一 郎 、 前 掲 書 、 一 九 〇 頁 参 照 。 ( 8 ) 椿 寿 夫 、 ﹁ 民 法 七 一 五 条 三 項 に よ る 求 償 権 の 行 使 に 過 失 相 殺 の 類 推 適 用 が 認 め ら れ た 事 例 ﹂ (判 例 時 報 五 二 五 号 ) = = 頁 参 照 。 ( 6 ) 椿 教 授 は 、 使 用 者 責 任 に お け る 使 用 者 と 被 用 者 が 学 説 判 例 上 、 被 害 者 に 対 し て 不 真 正 連 帯 債 務 を 負 う と さ れ 、 ま た 共 同 不 法 行 為 者 も 不 真 正 連 帯 債 務 の 関 係 に 立 つ と さ れ て い る こ と に 着 眼 さ れ 、 同 教 授 の 説 が 加 藤 教 授 説 に い わ ゆ る ﹁ 共 同 不 法 行 為 に お け る 求 償 ﹂ と 基 本 的 に は 一 致 す る も の で あ る 、 と さ れ て い る (椿 、 前 掲 、 一 二 一 頁 参 照 )。 尚 、 不 真 正 連 帯 債 務 に そ の 属 性 と し て 求 償 を 是 認 す る 考 え 方 に つ い て は 、 椿 ﹁ 注 釈 民 法 ( H )﹂ ( 西 封 信 雄 編 ) 六 七 頁 参 照 。 ( 10 ) 椿 、 ﹁ 民 法 七 一 五 条 三 項 に よ る 求 償 権 の 行 使 に 過 失 相 殺 の 類 推 適 用 が 認 め ら れ た 事 例 (判 例 時 報 五 二 五 号 ) 一 二 二 頁 参 照 。 ( n ) 加 藤 教 授 の 説 に つ い て は 、 共 同 不 法 行 為 者 の 負 担 部 分 を 決 定 す る 要 素 が 何 で あ る か に つ き 不 明 確 で あ る が 、 ﹁ 本 来 負 担 す べ き 責 任 の 割 合 に 応 じ ・て ﹂ ( 加 藤 、 前 掲 害 、 二 = 一頁 参 照 ) と さ れ て い る と こ ろ が ら 、 ﹁ 過 失 ﹂ と し て 理 解 し て も よ い で あ ろ う φ ( 12 ) ﹁ 事 実 上 の 契 約 関 係 ﹂ (鍵 ζ 一ω ∩ 冨 く o 答 壁 σq のく o ﹁ず 弾 三 器 Φ) と は 、 一 九 四 一 年 に ハ ウ プ ト (置 磐 讐 ) が {6 げ 興 貯 算 ぢ 。 冨 く ① 含 益 σq ωく ① } 似一 什三 馨 .. と い う 論 文 に よ っ て 提 唱 し て 以 来 、 ド イ ツ 私 法 学 会 の 重 要 な テ ー マ と な っ て い る 。 こ れ は 、 要 す る に 、 当 事 者 が 契 約 締 結 の 意 思 表 示 を し た わ け で は な い が 、 使 用 関 係 の よ う な 一 定 の 事 実 関 係 が あ れ ば 、 契 約 締 結 の 意 思 表 示 が あ っ た の と 同 様 に と り あ つ か う こ と を 承 認 す る の で あ る 。 ( 13 ) 中 元 紘 一 郎 ﹁ 被 用 者 に 対 す る 求 償 ﹂ (別 冊 ジ ュ リ ス ト 2 9 一。。 ) 一 四 頁 参 照 。 尚 、 同 氏 は 、 契 約 義 務 違 反 の 認 定 は 、 ω 被 用 者 が 使 用 者 の 指 揮 命 令 に ど れ 程 従 っ て い た か 、 ② 被 用 者 が ど の 程 度 誠 実 に 労 務 に 服 し て い た か 、 ③ 労 務 の 内 容 が ど の 程 度 の 注 意 、 技 能 、 素 養 を 要 す る か 、 ω 賃 金 や 労 務 、 規 民 法 七 一 五 条 三 項 に お け る 求 償 権 の 制 限 に つ い て 五 一
﹁ 民 法 七 一 五 条 三 項 に お け る 求 償 権 め 制 限 に つ い て . . 五 二 律 の 乱 れ 、 企 業 施 設 の 点 、 等 を 考 慮 し て 行 う こ と を 提 案 さ れ る 。 ( 14 ) 中 元 、 前 掲 、 一 五 頁 参 照 。 ( 15 ) 梅 博 士 は 、 七 一 五 条 三 項 を 説 明 し て ﹁ 是 レ 委 任 ソ ノ 他 ノ 契 約 関 係 ヨ リ 生 ズ ル 所 ノ 権 利 二 属 ス 故 二 、 或 ハ 被 用 者 ハ 是 等 ノ 者 二 対 シ テ 責 任 ナ キ カ ヲ 疑 シ ム ル 疑 ア ル ヲ 以 ッ テ 、 本 条 第 三 項 ノ 規 定 ヲ 置 キ タ ル ナ リ ﹂ ( 梅 ﹁ 民 法 要 録 ﹂ ( 債 権 編 ) 八 九 七 頁 ) と さ れ て い る 。 ( 16 ) 本 稿 に お い て 、 私 は 、 ・最 終 的 に は 、 求 償 権 を 契 約 義 務 違 反 に 基 く も の と し て と ら え る の で あ る が 、 し か し そ れ は 、 使 用 者 と 被 用 者 が 共 同 不 法 行 為 者 で あ り 、 そ こ に 不 真 正 連 帯 債 務 が 考 え ら れ 、 そ こ で 始 め て 、 契 約 義 務 違 反 に よ る 求 償 が 導 か れ る の で あ り 、 単 に 求 償 権 を 契 約 義 務 違 反 と す る だ け へ あ ぬ ヘ へ も ヘ へ ぬ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ マ へ も へ も モ モ う ヘ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 不 充 分 で あ ろ う 。 要 す る に 、 求 償 権 が 契 約 義 務 違 反 に 基 く 根 拠 を 明 白 に 理 論 構 成 す べ き で あ る と 思 わ れ る 。 ⇔ 判 例 の 動 向 民 法 七 一 五 条 三 項 に 関 す る 判 例 は 、 過 去 、 ほ と ん ど 見 当 ら な い 。 次 の 二 つ が そ の 例 で あ ろ う 。 . (1 ) ④ 京 都 地 裁 、 昭 和 三 八 年 一 一 月 三 〇 日 判 決 本 件 の 事 実 は 、 次 の ご と く で あ る 。 ﹁即 ち 、 被 告 Y は 、 自 動 車 運 送 業 を 営 む 原 告 X 会 社 に 整 備 工 と し て 勤 務 し た が 、 X に 運 転 手 が 不 足 し た 際 、 Y を 運 転 業 務 忽 従 事 さ せ 距 。 Y は X に 対 し て 、 自 分 は 整 蒲 工 止 し て 勤 務 し た の で あ り 、 運 転 に は 自 信 が な い の で 、 運 転 手 と し て 勤 務 す る の は 嫌 だ 、 と 告 げ た 事 実 が あ る 。 Y は 運 転 業 務 に 従 毒 中 、 三 度 に わ た り 事 故 を 起 し た の で 、 K は 民 法 七 一 五 条 に も と づ き そ の 損 害 を 賠 償 し た 。 そ こ で X ば Y に 対 し 、 同 条 三 項 に よ っ. て 求 償 権 を 行 使 し た 、 と い う も の で あ る 。 京 都 地 方 裁 判 所 、 乾 裁 判 官 は 、 次 の よ う に 判 示 。 ﹁ 本 件 各 事 故 の 発 生 は 、 原 告 会 社 代 表 者 が 被 告 を 運 転 手 と し て 選 任 す る こ と が 適 当 で な い こ と を 知 り な が ら 敢 え て こ れ を 運 転 手 と し て 勤 務 せ し め た こ と に も 起 因 す る も の 、と 言 う べ く 、 被 害 者 に 対 し て は 、 原 告 会 社 と 被 告 は 民 法 第 七 〇 九 条 、 第 七 一 九 条 に よ る 共 同 不 法 行 為 老 の 関 係 に も 立 ち 、 真 正 連 帯 債 務 を 負 う も の と 解 す べ き と こ ろ 、 こ の 観 点 か ら 原 被 告 の 内 部 関 係 に お け る 責 任 の 分 担 を み る に 、 前 記 ヘ ロ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ へ も も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ へ も も ヘ ヘ ヘ へ も ヘ ヘ へ の 事 実 関 係 か ら す れ ば 、 被 告 の 故 意 又 は 重 過 失 に 基 く 損 害 の 賠 償 に つ い て は 、 被 告 自 か ら こ れ を 負 担 し 、 被 告 の 軽 過 失 に 基 く 損 害 の 賠 ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も ヘ へ も ヘ ヘ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も も ヘ ヘ ヘ へ も ヘ へ ゐ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も へ も あ へ 償 に つ い て は 原 告 会 社 に お い て こ れ を 負 担 す る と 解 す る の が 正 義 公 平 に 合 す る ゆ え ん で あ っ て 、 民 法 七-一 五 条 三 項 の 求 償 権 も こ の 限 度 9
レ も レ た ひ レ へ も し も ヤ レ も も へ し レ ト レ も に 制 限 せ ら れ る も の と 解 す る の が 相 当 で あ る (傍 点 筆 者 )。 ⋮ (中 略 ) ⋮ 本 件 各 事 故 は 被 告 の 故 意 又 は 重 過 失 に よ っ て 生 じ た も の と は 認 め な い 。﹂
と
し
て
、
X
の
請
求
を
棄
却
。
本
判
決
の
理
論
構
成
は
、
第
一
に
、
使
用
者
と
被
用
者
が
﹁
共
同
不
法
行
為
の
関
係
に
立
つ
こ
と
、
第
二
に
両
者
の
被
害
者
に
対
す
る
債
務
は
﹁
真
正
連
帯
債
務
﹂
で
あ
る
こ
と
、
第
三
に
、
求
償
は
、
被
用
者
に
﹁
故
意
も
し
く
は
重
過
失
﹂
が
あ
る
場
合
に
の
み
可
能
で
あ
る
こ
と
、
と
い
う
方
法
を
と
っ
て
い
る
。
判
例
・
学
説
上
、
第
一
の
﹁
共
同
不
法
行
為
﹂
の
成
立
は
是
認
さ
れ
よ
う
。
し
か
し
、
第
二
の
﹁
真
正
連
帯
債
務
﹂
に
つ
い
て
は
、
近
時
の
学
説
が
示
す
よ
う
に
、
共
同
不
法
行
為
は
不
真
正
連
帯
債
務
と
す
る
方
が
有
力
で
あ
り
、
ま
た
判
例
も
、
明
確
な
表
現
を
す
る
に
は
至
っ
て
い
な
い
が
、
不
真
正
連
帯
債
務
と
解
す
る
方
向
に
あ
る
こ
と
を
考
え
れ
ば
、
疑
問
が
残
る
(後
述
)
。
ま
た
第
三
の
﹁
故
意
ま
た
は
重
過
失
﹂
に
つ
い
て
は
、
本
判
決
が
使
用
者
の
過
失
を
前
提
と
し
て
い
る
こ
と
を
考
え
れ
ば
、
﹁
国
家
賠
償
法
﹂
に
規
定
す
る
よ
う
に
、
一
般
的
に
被
用
者
の
軽
過
失
は
求
償
権
を
否
定
す
る
、
と
い
う
構
成
と
ス
ト
レ
ー
ト
に
は
一
致
し
な
い
。
こ
の
よ
う
に
、
本
判
決
が
未
だ
そ
の
理
論
上
ま
た
は
実
際
上
、
い
く
ら
か
の
不
充
分
性
を
残
し
て
知
る
こ
と
は
指
摘
さ
れ
よ
う
が
、
し
か
し
、
使
用
者
の
求
償
権
を
制
限
的
に
解
釈
し
た
最
初
の
判
決
と
し
て
意
義
が
あ
る
。
@
松
江
地
裁
浜
田
支
部
、
昭
和
四
二
年
一
一
月
一
二
日
判
決
本
件
事
実
は
、
次
の
ご
と
く
で
あ
る
。
す
な
わ
ち
被
告
Y
は
、
原
告
X
会
社
の
営
業
用
ダ
ン
プ
車
で
土
砂
を
運
搬
中
、
前
方
注
視
を
怠
た
り
、
折
柄
道
路
わ
き
に
駐
車
中
の
訴
外
A
工
務
所
所
有
の
乗
用
者
に
追
突
、
こ
れ
を
大
破
せ
し
め
た
。
X
は
使
用
者
責
任
に
基
き
A
に
対
し
四
〇
万
.
円
の
損
害
賠
償
を
行
っ
た
。
そ
こ
で
X
は
Y
に
対
し
、
七
一
五
条
三
項
に
基
き
、
右
四
〇
万
円
、
お
よ
び
こ
れ
に
つ
い
て
の
遅
延
損
害
金
の
支
払
を
求
め
た
。
Y
は
X
に
対
し
て
、
次
の
よ
う
に
抗
弁
。
す
な
わ
ち
、
仮
り
に
Y
に
お
い
て
求
償
義
務
が
あ
る
と
し
て
も
、
原
告
の
労
務
管
理
は
適
正
で
な
か
っ
た
ば
か
り
で
な
く
、
Y
の
月
収
は
二
万
四
、,
五
千
円
の
低
廉
で
あ
り
、
ま
た
一
〇
時
間
労
働
で
過
労
で
あ
っ
た
こ
と
が
本
件
事
故
の
原
因
で
あ
る
。
従
っ
て
本
件
事
故
に
は
X
に
も
過
失
が
あ
り
、
過
失
相
殺
さ
れ
る
べ
き
で
あ
る
、
と
主
張
。
民
法
七
一
五
条
三
項
に
お
け
る
求
償
権
の
制
限
に
つ
い
て
'
五
三
、 民 法 七 一 五 条 三 項 に お け る 求 償 権 の 制 限 に つ い て
五
四
松
江
地
裁
は
、
右
の
事
実
に
基
き
、
次
の
よ
う
に
判
決
し
た
。
す
な
わ
ち
、
Y
の
不
法
行
為
に
よ
る
損
害
を
七
一
五
条
に
基
き
X
が
賠
償
し
た
の
で
あ
る
か
ら
、
一
応
X
は
、
Y
に
対
し
、
同
条
三
項
に
よ
る
求
償
権
を
取
得
す
る
、
と
し
た
の
ち
、
﹁ ⋮ ⋮ し か し な が ら 、 も と も と 原 告 の 経 営 す る 運 送 業 は 、 自 動 車 事 故 等 が 伴 う 企 業 で あ り 、 原 告 は そ の 事 業 に よ り 収 益 を あ げ て い る と い う 事 実 に 着 眼 す れ ば 、 原 告 の 右 求 償 権 の 行 使 に よ り そ の 事 業 上 生 じ た 不 利 益 を こ と ご と く 被 用 者 で あ る 被 告 の 負 担 に 帰 せ し め る こ へ も ヘ へ も も も ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ と は 妥 当 を 欠 く 。 右 の ご と き 企 業 者 が 被 用 者 に 求 償 権 を 行 使 す る に あ た っ て は 、 企 業 者 の 選 任 ・ 監 督 に 関 す る 過 失 が 存 し 、 そ れ が 被 用 へ ヘ カ ヘ へ も ヘ ヘ ヘ へ も ヘ へ も へ も ヘ へ も ヘ へ も も へ も も も も も へ も へ も も も も も も ヘ へ も ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ も カ ヤ も へ 老 の 不 法 行 為 と の 間 に 相 当 因 果 が あ る 場 合 に 過 失 相 殺 さ る べ き で あ る し 、 そ う で な く て も 賃 金 が 低 廉 で あ る と か 労 務 が 過 度 で あ る 場 合 に 、 こ れ ら が 加 害 行 為 と 相 当 因 果 関 係 が あ る 限 り 、 過 失 相 殺 を 類 推 し て 求 償 権 を 制 限 す る の が 妥 当 で あ る (傍 点 筆 者 )。 い ま こ れ を 本 件 に ・つ い て み る に 、 ⋮ ⋮ (中 略 ) ⋮ ⋮ 右 賃 金 は 低 廉 で あ る と 評 価 せ ざ る を 得 な い し 、 ま た こ の 賃 金 率 か ら す れ ば 、 被 告 の 労 務 は 過 度 で あ た と 認 め 得 る 。 し か し て こ の 被 告 の 労 務 の 過 度 が 自 動 車 運 転 上 の 注 意 力 に 影 響 し 、 ひ い て は そ れ が 被 告 の 前 記 前 方 不 注 意 の 一 因 子 と な り 両 者 間 に 相 当 因 果 関 係 が あ る も の と い え な い こ と は な い 。 そ う だ と す る と 、 こ と 衡 平 の 原 則 上 、 さ ぎ に 説 示 し た よ う に 過 失 相 殺 を 類 推 し て 原 告 に も 損 害 賠 償 責 任 を 分 担 さ せ る た め そ の 求 償 権 を 制 限 す る の が 相 当 で あ る 。﹂と
し
て
、
求
償
額
四
〇
万
円
の
う
ち
三
〇
万
円
を
認
め
た
。
.
本
判
決
の
理
論
構
成
は
、
前
述
の
我
妻
説
と
勝
本
説
に
基
づ
く
も
の
で
あ
り
、
ま
た
七
一
五
条
三
項
に
つ
い
て
立
法
当
初
考
え
ら
れ
て
い
た
よ
う
な
求
償
権
の
当
然
視
を
、
そ
の
後
の
学
説
に
基
い
て
修
正
し
、
そ
れ
が
﹁
社
コ
会
的
衡
平
﹂
の
視
点
か
ら
制
限
さ
れ
ね
ば
な
ら
な
い
こ
と
を
明
示
し
た
点
で
注
目
に
値
す
る
。
、
同
時
に
、
前
述
④
の
判
決
が
、
い
わ
ぽ
﹁
オ
ー
ル
・
オ
ア
・
ナ
ッ
シ
ン
グ
﹂
の
方
法
を
と
っ
た
の
に
対
し
、
本
判
決
が
﹁
過
失
の
割
合
に
応
じ
た
分
担
﹂
を
と
っ
た
こ
と
も
重
要
で
あ
る
。
し
か
し
反
面
、
本
判
決
が
、
使
用
者
と
被
用
者
の
被
害
者
に
対
す
る
法
律
関
係
あ
る
い
は
、
そ
の
債
務
関
係
を
明
示
し
て
い
な
い
点
に
疑
問
が
残
る
。
さ
て
、
七
.一
五
条
三
項
に
関
す
る
判
例
は
、
,右
の
二
つ
を
の
ぞ
い
て
ほ
と
ん
ど
み
あ
た
ら
な
い
。
両
判
例
は
共
に
自
動
車
事
故
に
よ
る
使
用
者
責
任
に
関
す
る
も
の
で
あ
る
が
、
交
通
事
情
の
悪
化
、
危
険
化
が
増
大
し
つ
つ
あ
る
今
日
、
同
種
の
事
件
は
、
今
後
ま
す
ま
す
増
大
す
る
も
ノの と 考 え ら れ る 。 そ の 意 味 か ら し て も 、 圏 こ の 二 つ の 判 例 は 今 後 重 要 な 意 義 を も つ で あ ろ う 。 ( 1 ) 昭 和 三 五 年 ( ワ ) 第 一 〇 二 六 号 求 償 債 権 請 求 事 件 (下 民 集 一 四 巻 一 一 号 一 八 九 頁 )。 尚 本 判 決 に つ い て は 、 中 元 氏 の 判 例 批 評 が あ る (中 元 ﹁ 被 用 者 に 対 す る 求 償 ﹂ (別 冊 ジ ュ リ ス ト Z ρ 一。。 、 一 八 頁 以 下 ) )。 (2 ) 昭 和 四 二 年 ( ワ ) 第 一 九 号 、 求 償 権 請 求 事 件 (判 例 時 報 五 一 七 号 七 九 頁 以 下 )。 本 判 決 に つ い て は 、 椿 教 授 の 判 例 批 評 が あ る (椿 ﹁ 民 法 第 七 一 五 条 三 項 に よ る 求 償 権 の 行 使 に 過 失 相 殺 の 類 推 適 用 が 認 め ら れ た 事 例 ﹂ (判 例 時 報 五 二 五 号 ) 一 一 = 頁 以 下 )。
三
求
償
権
制
限
の
理
論
構
成
1
そ
の
1
解
釈
論
的
構
成
i
前 述 に お い て 、 従 来 の 学 説 、 判 例 の 動 向 を 概 観 し た 。 そ こ で こ れ ら を 踏 ま え て 解 釈 論 の 範 囲 内 で の 求 償 権 制 限 に つ い て 考 え て み よ う ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ 求 償 権 を み る に あ た っ て 、 そ の ﹁ 基 本 的 態 度 ﹂ と せ ね ぽ な ら ぬ こ と は 、 蕊 用 者 と 被 用 者 と の 現 実 的 社 会 的 関 係 で あ ろ う 。 企 業 の 複 雑 性 、 危 険 性 、 交 通 事 情 の 悪 化 等 の 中 で 、 ・使 用 者 が 多 大 の 利 益 を 収 め 、 被 用 者 は 経 済 的 に も 、 恵 ま れ な い 、 と い う 一 般 的 事 情 の も と で は 、 た と え 被 用 者 が 不 法 行 為 を 生 ぜ し み た と し て も 、 そ の 損 害 を 賠 償 し た 使 用 者 に 直 ち に 求 償 権 を (1 ) 是 認 す る こ と は 、 社 会 的 公 平 に 反 す る こ 止 に な る 。 勿 論 、 か か る 報 償 責 任 的 、 あ る い は 危 険 責 任 的 考 え 方 、 さ ら に は 、 使 用 者 は 自 己 の 負 担 し た 損 失 を 製 品 コ ス ト 等 に よ り 、 分 散 、 転 化 し 得 る 、 と い う 考 え 方 を 、 解 釈 論 の 中 は ス ト レ ー ト に 持 ち 込 む こ と は 、 説 得 力 に 乏 し い で あ ろ う 。 し か し 、 求 償 権 制 限 の 基 本 的 態 度 と し て は 、 か か る 考 え 方 に 立 脚 せ ね ば な ら な い ヨ と 思 わ れ る 。 右 の ご と き 態 度 に 基 づ い て 、 次 ぎ に 解 釈 の 理 論 構 成 が 問 題 と な る 。 ' 第 一 に 、 不 法 行 為 に お け る 使 用 者 と 被 用 者 の 法 律 関 係 が 問 題 と な る 。 私 は 、 こ れ を ﹁ 共 同 不 法 行 為 ﹂ と し て 構 成 し 得 る 民 法 七 一 五 条 三 項 に お け る 求 償 権 の 制 限 に つ い て 五 五魅