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Academic year: 2017

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(1)

第1回

ガイダンス

(2)

産業組織論とは

•  産業組織論は、対象とする産業について、その組織構造 や参加者の行動を分析・評価し、公共政策への理論的・ 実証的な基礎を与えることを目指す学問分野である 

•  産業組織論は、産業の主要参加者である企業の行動につ いての分析が欠かせないため、経営戦略論とも関連が深 い 

•  理論的には、産業組織論はミクロ経済学の応用である 

–  ミクロ経済学には市場間の相互依存を考慮に入れる一般均衡 分析と、個別の市場に焦点を当てる部分均衡分析があり、この 部分均衡分析を現実の市場・産業に対応させて行うのが産業 組織論 

–  市場の参加者をゲームのプレイヤーに例え、ゲーム理論を用 いて分析することが一般化している 

(3)

産業・市場

•  産業組織論は「産業」あるいは「市場」を分析対象とする 

–  産業とは、同一の商品(財あるいはサービス)を生産し販売す る企業の集まりを指す 

–  市場とは、売手と買手が参加して、ある同一の商品について取 引を行う具体的あるいは仮想的な場を指す 

•  産業に含まれるのはどこまでか? 

–  現時点で生産あるいは販売を行なっている企業のみか、現在 は生産も販売もしていないが、価格や技術などの条件によって は将来的に生産や販売を検討する企業も含まれるか? 

–  前者を既存企業、後者を潜在的参入企業として両者の関係を 考えることも産業組織論の主要テーマ 

•  同一の商品とはどこまでか? 

–  「市場の画定の問題」と呼ばれ、合併などに対する競争政策運 用上の大きな論点となっている→後期のトピックの一つ 

(4)

市場構造

•  市場の構造は競争に大きな影響を与える 

•  売り手の数が1社の時を独占、複数だが少数の

時を寡占、十分に多い時を競争市場と呼ぶ 

–  ただし、独占の場合を除けば、企業の数だけではなく

その分布も重要である 

–  数と分布を単一の指標に集約するために集中度と呼

ばれる概念が用いられる→後期のトピック 

•  前期は売り手の数に注目したが、買い手の数が

少ない買い手独占や買い手寡占も市場の均衡

に影響を及ぼす→後期のトピック 

(5)

市場構造

•  買い手が売り手A社の商品とB社の商品とを異なるも

のと認識するとき、製品が差別化されているという 

–  都市経済学・地域経済学における主要テーマの1つであ る立地理論は、製品差別化を分析するのに有用である 

•  物理的には全く同じものであっても、買い手が異なる

ものと認識していれば差別化である 

–  ブランドによる差別化など 

•  参入障壁も市場構造の決定に重要な役割を果たす 

–  新規企業がどの程度参入可能であるかによって、競争環 境は大きな影響を受ける 

(6)

市場内の行動

•  市場に参加する経済主体は様々な行動を取

る 

–  企業戦略・経営戦略の問題とも重なる 

–  設備投資、製品戦略、広告、研究開発、流通戦

略、合併、提携、垂直的統合、多角化など様々な

行動を企業は選択する

(7)

市場における成果

•  成果としてどの指標を重視するかは企業の行動原理に依存する 

–  経済学では多くの場合、利潤最大化を仮定する 

–  ただし、経営者資本主義と呼ばれる考え方のように、経営者が株価 や利潤の他に成長率や従業員生涯賃金などを経営目標とする場合 もある 

•  産業組織論では指標として、主に経済的厚生を考える 

–  資源配分の効率性が重視され、「他の誰の効用も下げることなく、誰 かの効用を上げることがもはや不可能な状態」であるパレート最適性 の達成が基準となる 

–  産業組織論における分析は主として部分均衡分析なので、パレート 最適性は市場での社会余剰、すなわち消費者余剰と生産者余剰の 和が最大化されていれば満たされていると判断される 

•  進歩性や公平性なども考慮される場合がある 

–  研究開発と経営効率化の問題 

–  不当廉売の規制や優越的地位濫用禁止の規定

(8)

分析に用いるモデル

•  分析の中心となるのは需要関数と費用関数

(供給関数)である 

•  需要曲線は消費者の効用最大化問題の解と

して導かれる 

•  費用関数は企業の生産技術によって決定さ

れる 

•  企業は費用関数を所与として、利潤を最大化

する供給量を決定する

(9)

完全競争均衡

•  以下の4つの条件を満たす市場における競争を完全

競争と呼ぶ 

–  市場内の財が同質である 

–  無数の消費者・供給者が存在し、プライス・テイカーとして 行動する 

–  完全情報である 

–  参入・退出が自由である 

•  この時、企業による供給は限界費用曲線と一致し、需

要曲線と供給曲線(限界費用曲線)の交点で市場均

衡数量・価格が決まる 

•  この均衡においては社会余剰は最大化されており、

パレート最適である

(10)

独占市場

•  企業が1社しか存在しない市場を独占市場と呼ぶ 

•  独占市場においては、完全競争の仮定のうち、「プライス・ テイカーとして行動する」という仮定(と、多くの場合「参入・ 退出が自由である」という仮定)が満たされていない 

•  この時、企業は1社しか存在しないため、自らの行動が価 格に及ぼす影響も考慮した上で、利潤最大化生産量を決 定する 

•  この時、均衡における数量は限界収入曲線と限界費用曲 線が一致する数量となり、価格はその数量における需要 曲線の価格で決まる 

•  完全競争と比べると数量が減少し、価格が上昇する 

•  そのため、生産者余剰は増加するが消費者余剰が減少し、 死荷重が発生する

(11)

自然独占

•  独占においては死荷重が発生し、社会余剰が最

大化されないため、独占禁止法などにより是正

が試みられる 

•  しかし、費用逓減産業のように、複数の企業が

操業するよりも1社で操業したほうが社会余剰が

大きくなる場合がある 

•  このような場合を自然独占のケースと呼ぶ 

•  この時、規制当局は独占を認める代わりに様々

な価格規制を用いて独占の弊害が最小になるよ

うに試みる 

(12)

参入の経済効果

•  実際に操業している企業が1社ないし数社であったと

しても、参入圧力が十分に高ければ、結果として限界

費用、あるいは平均費用と等しい価格付けが実現し、

不完全競争の弊害が軽減される場合がある 

•  この理論をコンテスタブル市場の理論と呼び、参入障

壁がなく、既存企業が参入によって価格を変えないと

潜在的参入者が考える市場においては、企業利潤の

非負制約下で社会余剰が最大化されるラムゼイ最適

が実現する 

•  ちなみに、コンテスタブル市場の理論において想定さ

れている競争はベルトラン競争である

(13)

寡占市場

•  企業数が2社以上だが完全競争ほど多くはなく、各企業の行動が市場内 の他の主体の行動に影響を及ぼし、そのことを各企業が認識しているよ うな市場を寡占市場と呼ぶ 

•  寡占市場の分析を行うためには、各企業がどのような競争を行なってい るかを知ることが重要である 

–  市場内の企業が共謀して生産量や価格を決定するカルテルを結んでいる場 合、競争は行われず、独占と同じ状況が実現する 

–  企業が互いに価格を決定し、それに応じた生産を行うベルトラン競争(価格 競争)では、企業数が2社であっても価格は限界費用まで減少し、完全競争 均衡と等しい均衡が実現する 

–  企業が互いに数量を決定するクールノー競争(数量競争)では、独占と完全 競争の中間で均衡が達成され、企業数が増えるに従って完全競争に、減る に従って独占に、近づいていく 

–  ベルトラン競争であっても製品差別化が行われている場合、やはり完全競争 と独占の中間で均衡が達成されるが、その構造は戦略的代替であったクー ルノー競争と異なり、戦略的補完である 

–  また、各企業の行動タイミングが異なるシュタッケルベルグ競争なども考えら れる

参照

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