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ヨーロッパ特許弁理士インタビュー 「特技懇」誌のページ(特許庁技術懇話会 会員サイト)

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寄稿 2

ヨーロッパ特許弁理士インタビュー

す る パ ン フ レ ッ ト を 貰 い ま し た 。 そ れ を 読 ん で 「これはよい折衷案だ」と考えたので、物理を勉強 し始めるとともに、法律も少し勉強し始めました。

し か し 、 物 理 の 方 が 面 白 か っ た の で 法 律 は そ っ ち の け で 物 理 に 没 頭 し て し ま い ま し た 。 私 は 物 理 学 の 学 士 号 と 博 士 号 を 持 っ て い ま す が 、 学 士 号 を 取

っ た 後 、 マ イ ン ツ 大 学 で 博 士 論 文 を 書 い て い た と き 、 初 志 に 従 い 特 許 弁 理 士 に な ろ う と 最 終 決 断 し ま し た ( 途 中 で は 、 物 理 学 者 と し て 大 学 に 残 る べ

き で は な い か と 思 っ た こ と も あ り ま し た 。)。この よ う な 経 緯 で 、 物 理 学 者 と し て の 博 士 論 文 を 書 い

て い る 最 中 に 、 憲 法 と 民 法 を 勉 強 し 、 試 験 を 受 け て 特 許 弁 理 士 と し て の 一 般 的 な 研 修 を 始 め た の で す。

(アッペルト氏)答えはいたってシンプルです。私

は 大 学 に い た こ ろ 、 こ の 特 許 弁 理 士 の 仕 事 に つ い て 初 め て 聞 い て 、 そ の 頃 か ら 特 許 弁 理 士 に な る こ と に 興 味 を 持 っ て い た の で す 。 と 言 う の も 、 機 械

エ ン ジ ニ ア で あ る 父 親 が 様 々 な 特 許 出 願 に お け る 発 明 者 で 、 そ の 頃 は 、 父 親 の 会 社 の 特 許 弁 理 士 と の 連 絡 に 携 わ っ て い た た め で す 。 そ の 後 、 特 許 弁

理 士 の こ と は す っ か り 忘 れ て し ま い 、 物 理 学 の 研 究 を 始 め た の で す が 、 そ れ も 一 区 切 り が つ き 、 卒

業 が 近 づ く に つ れ 、 外 国 で 経 験 を 積 ん で み る こ と に 関 心 が わ き 、 知 財 分 野 で の キ ャ リ ア を ス タ ー ト さ せ た い と 考 え る よ う に な り ま し た 。 大 学 卒 業 後

は 、 外 国 で の 研 究 に は 興 味 が な く 、 外 国 で 働 き た 平成 1 8年1 0月1 6日∼ 1 0月2 7日に、 E P O で開催さ

れました国際審査官協議に参加した内の3名(山本、 岡 、 富 士 ) が 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 弁 理 士 と し て 活 躍

している、P rof. D r. H ei nz G oddarとM r. C hri sti an A p p e l tの両名にインタビューをする機会に恵まれ、 様 々 な 話 題 に つ い て 語 っ て い た だ き ま し た の で 、

その内容について紹介いたします。(記事はインタ

ビ ュ ー に お け る 発 言 を 基 に 特 技 懇 誌 編 集 委 員 会 で 編 集 し た も の で す 。 基 本 的 に は 録 音 を 基 に し て い

る の で 、 一 般 的 な 記 事 の よ う に は っ き り と 正 確 に は 表 現 さ れ て い な い 部 分 も あ る 旨 、 ご 注 意 く だ さ

い。)

インタビュー内容

1. キャリアについて

2. 特許制度や審査基準の違い

3. 特許の質

4. ヨーロッパの特許制度の将来

1. キャリアについて

−まず始めに、何故特許弁理士になろうと決めたの かお伺いしたいと思います。お話し頂けますか。

( ゴ ダ ー ル 氏 ) 高 校 を 卒 業 し て 軍 隊 に い た こ ろ は 、 物 理 と 法 律 の ど ち ら を 勉 強 す る か 決 め か ね て い ま

し た 。 ど ち ら も 勉 強 し た い と 考 え て い た と こ ろ 、 偶然にも学校のアドバイザーから特許弁理士に関

Heinz Goddar

German and European Patent and Trademark Attorney Partner of Boehmert & Boehmert and of Forrester & Boehmert

Christian W. Appelt

German and European Patent and Trademark Attorney Partner of Boehmert & Boehmert and of Forrester & Boehmert

(2)

−そのとき、機械メーカーや多国籍企業に、外国人 の特許弁理士はいたのですか?

(アッペルト氏)機械メーカーの知財部には1人もい ませんでした。そして私の知っている限り、多国籍

企業にいたときも、 1 9 9 7年でしたが、1人もいませ んでした。

−それらの企業ではどのようなことをしていたので すか?

(アッペルト氏) 当然のことですが、私は外国への 手続や訴訟に関することを扱いました。そのため、

ヨ ー ロ ッ パ や ア メ リ カ へ の 外 国 出 願 に 関 す る こ と は 、 ご く 自 然 に 、 何 で も 私 の と こ ろ に 来 ま し た 。 勿 論 、 ヨ ー ロ ッ パ の 知 財 関 係 は 、 私 の 国 の 裁 判 に

関係するものでしたから、扱いやすいものでした。 し か し 、 私 は 日 本 の 特 許 出 願 も ま た 扱 い ま し た 。

認 め ざ る 得 な い で す が 、 言 語 の 問 題 で 若 干 、 困 難 を 伴 い ま し た 。 当 然 で す が 、 日 本 語 の 拒 絶 理 由 通 知 書 を 理 解 す る の に は 長 い 時 間 が か か り ま し た 。

しかし、それはとてもよい経験でした。ちなみに、 実 際 私 は 一 度 J P O で 面 接 に 同 席 し た こ と が あ り ま す。それは J P O に出願された機械メーカーの案件で

した。

−J P Oでの面接ですが、 J P Oと他の特許庁の間で何 か違いはありましたか?

(アッペルト氏) その頃、私が G P T O やE P O の口頭 手続(oral proc eeding s)について記憶していたよ りも、 J P O の面接は、よりフォーマルな印象を持ち

ました。G P T O やE P Oで口頭手続があるときは、出 願 人 の 前 に 、 1人 の 審 査 官 も し く は 、 3人 の 審 査 官

により構成される審査部(ex ami ni ng di vi si on)が 座 り 、 最 後 に 結 論 を 必 ず 出 し ま す が 、 そ の 手 続 き と 議 論 自 体 は 、 比 較 的 打 ち 解 け た 感 じ の 中 で 行 わ

れます。それに対して、 J P O の場合は手続き的に、 よ り フ ォ ー マ ル に 見 え ま し た 。 そ れ は 、 議 論 の 際

に 従 わ な い と い け な い 「 ル ー ル 」 が よ り 多 か っ た い と 切 に 願 っ て い ま し た 。 そ し て 、 私 は 知 財 、 特

に 特 許 に 関 し 、 最 も 重 要 な 国 に つ い て 考 え て み ま

し た 。 ド イ ツ は 言 う ま で も な く 重 要 な 国 で す が 、 私 は ド イ ツ 人 で す か ら 、 こ の 国 に お け る 知 財 を と

り ま く 状 況 が ど の よ う な も の か 知 っ て い ま す 。 次 に当然のように頭に浮かんだ国はアメリカでした。 私は大学時代に2ヶ月そこに滞在したことがありま

し た か ら 。 そ し て 勿 論 、 日 本 に つ い て も 考 え ま し た 。 日 本 で は 、 ほ と ん ど の 特 許 出 願 が 世 界 中 に 提 出 さ れ て い ま す 。 私 は 、 そ れ ま で 日 本 に 行 っ た こ

と が あ り ま せ ん で し た の で 、 日 本 に 行 く チ ャ ン ス が あ れ ば 、 そ こ で プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル な 経 験 を 積

も う と 決 め ま し た 。 そ し て 、 ド イ ツ 政 府 が ス ポ ン サーになっているドイツ学術交流会(T he G erman A c ademi c E x c hang e S er vi c e) か ら 、 日 本 で の 2年

間 の 留 学 に 対 し て 奨 学 金 が 下 り ま し た の で 、 語 学 の 勉 強 と 知 財 分 野 の 仕 事 の 両 方 に 携 わ る こ と が 可

能となりました。私は1 9 9 5年の初めにB oehmert & B o e h m e rに入り、 1 9 9 5年の終わりに日本に行くこ ととなりました

−アッペルトさんは日本で特許事務所や企業で働い ていらっしゃったようですが、どのような仕事に

関わったか教えていただけますか。

(アッペルト氏)実際のところ、日本では、3つの異

なるところで働いていました。最初は大阪の特許事

務所で弁理士と共に業務を行っていました。そして、

東京に戻って機械メーカーの知財部で働きました。 知財部は、当時、30名で構成されていました。最後 に、私は日本の多国籍企業の知財部に移りました。

個人の運営する事務所、産業界、例えば企業の知財 部( 3 0人くらいの比較的小さな知財部や、 2 5 0名近 くに及ぶ大きな知財部)を通し、知財の仕事に関す

る様々な側面を包括的に見ることができたと感じて います。とても興味深く日本における様々な知財関 連の仕事をザッと見ることができ、日本における滞

在自体もさることながら、先ほど述べた事務所や企 業における活動も、私はとても楽しむことができま

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す か ら 、 出 願 人 は 審 査 の 迅 速 化 よ り も 、 む し ろ 遅

延 を 望 む こ と は 往 々 に し て 起 こ り 得 る こ と な の で す 。 そ し て 、 審 査 の 迅 速 化 を 望 め ば 、 例 え ば E P O では、 P A C E プログラムがあります。現在、査定ま

での平均処理期間は約4 5ヶ月ですが、 P A C E を請求 す れ ば 、 約 1 9ヶ 月 ま で 期 間 を 短 縮 化 で き ま す 。 し かし、2 0 0 5年では、6 . 5%しか請求されていません。

そのため、私は、統計データが、J P OやE P Oのよう な 特 許 庁 に 対 し て プ レ ッ シ ャ ー を か け て い る 気 が

し て な ら な い の で す 。 つ ま り 、 本 当 に 必 要 性 が あ っ て の こ と で は な く て 、 政 治 的 な 側 面 か ら 引 き 起 こ さ れ て い る の で は な い の か と 時 々 思 い ま す 。 出

願 人 に と っ て は 、 フ レ キ シ ビ リ テ ィ ー が 何 よ り も 重要なのです。

2. 特許制度や審査基準の違い

− グ ロ ー バ ル な 特 許 制 度 を 作 る と い う 最 終 目 標 に

対 し て 、 他 庁 の サ ー チ や 審 査 結 果 を 使 う こ と は 大 切 で あ り 、 そ れ ら を 効 果 的 に 使 う た め に は 、

審 査 基 準 の 統 一 が 必 要 と 思 わ れ ま す 。 E P O と J P Oの間で、また、 E P O とG P T Oの間で、進歩性 の 基 準 の 違 い に つ い て 感 じ る と こ ろ は あ り ま す

か?

(ゴダール氏) そうですね。多くの経験に基づいた

私 見 と し て は 、 次 の と お り で す 。 ま ず 、 J P O と G P T O に求められる進歩性の水準は似通っており、

要件も同様であると思います 1)

。次に、 E P O で必要 と さ れ る 進 歩 性 の 水 準 は そ れ よ り も 低 い と 思 い ま す。理由は後で説明します。そして、 U S P T O は更

に 低 い と 思 い ま す 。 ア メ リ カ で は 進 歩 性 の 要 件 を 満 足 す る こ と に 、 何 の 困 難 も あ り ま せ ん 。 水 準 は

か な り 低 い と 言 わ ざ る 得 ず 、 不 幸 に も 、 そ れ は つ ま り 、 市 場 が 沢 山 の ジ ャ ン ク パ テ ン ト の 洪 水 に 溢 れ る と い う こ と で す 。 産 業 界 、 特 に ア メ リ カ の 中

小 企 業 に と っ て は 非 常 に 由 々 し き 問 題 で す 。 な ぜ ためです。

しかしながら、私の知る限り、J P O では、審査官 と連絡を取ることのできる多くの機会があります。 私 た ち と 一 緒 に 仕 事 を し て い る 日 本 の 弁 理 士 も 、

審 査 官 と 議 論 の た め に 、 知 ら せ た り 、 電 話 し た り する機会があると言っていました。それはG P T O や E P O と同様です。 1 0ペ ー ジ の 紙 を 扱 う よ り 1 5分の

会 話 で 明 ら か に な る こ と は よ く あ る の で す か ら 、 こ れ は と て も 良 い 機 会 で あ る と 思 い ま す 。 私 の 感

覚では U S P T O で同じことをするのは、困難である と 思 い ま す 。 繰 り 返 し に な り ま す が 、 こ の よ う な 手 続 は 日 本 、 ド イ ツ 、 ヨ ー ロ ッ パ の 間 で 大 変 似 通

っており、今後も続けばよいと願っています。 ただ、 E P O で は 、 最 近 、 フ ォ ー マ ル な 口 頭 手 続 を、少しでも早く進めようとする傾向があります。

この頃、 E P O が 口 頭 手 続 の 召 喚 に 対 し て 早 く な っ てきているのは、すべての特許庁が、様々な形で、 出 願 ま た は 審 査 請 求 か ら 、 査 定 ま で の 審 査 処 理 期

間を短くしようと競争しているのが、原因の1つで はないかと考えています。

それに類する簡単な方法として、特許庁は手続に か か る 様 々 な 時 間 を 短 縮 化 し て い ま す 。 し か し な

が ら 、 そ れ が 出 願 人 に と っ て 助 け と な っ て い る の か は 疑 問 で す 。 当 然 な が ら 、 迅 速 化 に は 良 い ポ イ ン ト は あ り ま す 。 し か し 、 コ ス ト の 発 生 を 遅 ら せ

る 意 味 で 、 遅 延 が 出 願 人 に と っ て 望 ま し い こ と も あるのです。

しかし、 E P C 5 1条(4)に基づくコミュニケーシ ョ ン の 応 答 期 間 の 延 長 が な く な る な ど 、 す べ て の 方法が出願人の利益になっているとは言えません。

一 般 人 、 特 に 知 財 に 関 係 な い 人 々 と 議 論 す る と 、 審 査 処 理 期 間 を 短 く す る べ き だ と い う 意 見 を 耳 に

す る こ と が あ る と 思 い ま す が 、 私 達 の 経 験 で は 、 出 願 人 は 通 常 、 製 品 を 市 場 に 出 す 何 年 も 前 に 、 出 願 を 始 め な け れ ば な り ま せ ん 。 出 願 時 に は 、 市 場

に お い て 何 が 必 要 と さ れ る の か 知 る よ し も な い で

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に 、 他 の 文 献 を 参 照 す る た め の 示 唆 が 、 絶 対 に 記 載されている必要があるのです。そうでなければ、

発 明 は 進 歩 性 が あ る と さ れ 、 有 名 な 一 文 、 す な わ ち「当業者は組み合わせることはできるが(c o u l d)、

そのようにはしない(w o u l d)。」という結論に達す る の で す 。 ド イ ツ で は 異 な り ま す 、 ド イ ツ で は 、 次 の よ う な ア プ ロ ー チ が 採 用 さ れ て い ま す 。 そ れ

は 、 2つ の 文 献 を 別 々 に 見 て 、「 当 業 者 が 、 発 明 の 優 先 日 に お い て 身 に 付 け て い る で あ ろ う 、 自 身 の 考 え 方 、 経 験 や 知 識 に 基 づ い て 、 組 み 合 わ せ る に

足る十分な理由を見つけたか?」、と自分自身に問

い か け る こ と で す 。 つ ま り 、 文 献 中 に 、 他 の 文 献

に 関 す る 示 唆 を 必 ず し も 必 要 と せ ず 、 当 業 者 の 視 野からみて単に決断すればよいのです。そのため、 E P O に 比 べ 、 よ り 多 く の ケ ー ス で 進 歩 性 な し と 結

論付けられるのです。

(アッペルト氏) 私も基本的に同感です。私の感覚 では、E P Oのcould-would approachは、どんどん厳 し く な っ て き て い る と 思 い ま す が 、 少 な く と も

G P T O が言っているのは、当業者が接しうる2つの 文 献 が あ れ ば 、 そ れ を 常 に 組 み 合 わ せ る だ ろ う (w o u l d)ということです。つまり、先ほどの E P O

の課題−解決アプローチに従うことはありません。 E P O では、どの文献からスタートするかによって、 課 題 が 異 な る た め に 、 文 献 1と 文 献 2の 組 み 合 わ せ

は 、 文 献 2と 文 献 1の 組 み 合 わ せ と は 異 な る こ と が あ り ま す 。 そ の た め 、 文 献 1と 文 献 2で は 、 進 歩 性

が な い と 言 え て も 、 文 献 2と 文 献 1で は 、 異 な る 課 題 か ら ス タ ー ト す る た め に 、 進 歩 性 が あ る と い う 結果もあり得るのです。このようなことは、単に2

つの文献を考慮に入れるだけの G P T O では、通常、 起 こ り 得 ま せ ん 。 そ れ で 、 簡 単 に 言 え ば 、 進 歩 性 の基準は、 G P T O とJ P O では同程度で、 E P O では少

しそれよりも低く、 U S P T O ではかなり低いと言え る の で す 。 私 た ち の ア メ リ カ の ク ラ イ ア ン ト も 、 E P O やG P T O は、 U S P T O に 比 べ る と 高 い 進 歩 性 が

求められることを知っています。

−J P Oの進歩性は G P T Oと同程度のレベルであると な ら 、 特 許 の 有 効 性 に つ い て 争 う に は 大 変 な 困 難

が 伴 い 、 コ ス ト も 膨 大 だ か ら で す 。 本 当 に 困 っ た 問 題 で す 。 私 の 個 人 的 な 経 験 に 基 づ い て 言 わ せ て もらうと、進歩性の水準は、 U S P T Oはかなり低く、

E P O ではそれよりずっと高く、 G P T OとJ P O は同程 度でE POよりなお高いと言えるでしょう。

ここで、 E P OとG P T O の違いと、その理由を説明 し ま し ょ う 。 私 は こ の こ と に つ い て 、 随 分 と 長 い

間 、 考 え て き ま し た が 、 ド イ ツ 最 高 裁 判 事 な ど と の た く さ ん の 議 論 を 基 に す る と 、 次 の よ う な 考 え に 達 し ま し た 。 ち な み に 、 同 様 の 問 題 が 、 米 国 最

高 裁 の 意 思 決 定 の 過 程 に お い て 影 響 を 与 え て い る ことは興味深いことです。なお、私が‘ G P T O ’ と 言 う と き は 、 ド イ ツ に お い て 決 定 を 下 す 連 邦 特 許

裁 判 所 と ド イ ツ 連 邦 最 高 裁 判 所 を 含 む と 考 え て く だ さ い 。 さ て 、 違 い は 次 の 通 り で す 。 E P O は、こ こ で 詳 細 に 語 る ま で も な く 有 名 な 課 題 − 解 決 ア プ

ローチ(problem-solution approach)に従っていま す 。 私 が こ れ か ら お 話 す る こ の ア プ ロ ー チ の 大 き な特徴(問題ではなく)は、E P Oの、2つの先行技

術文献の組み合わせに関する考え方です。つまり、 少なくとも1つの文献中に、他の文献を示唆する記

載 が あ る 場 合 に の み 、 両 文 献 は 進 歩 性 を 否 定 す る こ と が で き る の で す 。 例 え ば 、 車 の ブ レ ー キ に 関 する文献が1つあり、他方が合金に関する文献だっ

た と し ま す 。 そ し て 、 本 願 発 明 は ブ レ ー キ デ ィ ス ク に 特 別 な 合 金 を 使 っ た 車 の ブ レ ー キ に 関 す る も のとします。

そ の 場 合 、 E P O 審 査 官 は 次 の よ う に 述 べ る で し ょ う 。 一 番 近 い 車 の ブ レ ー キ の 先 行 技 術 文 献 の 中 に 「 こ れ を 改 良 す る た め に 、 別 の 合 金 、 好 ま し く

は銅と鉄の合金を試すべきである。」という記載を

見 つ け た ら 、 当 業 者 は 「 こ れ を 組 み 合 わ せ な け れ

ばならない。」と言うでしょう。または、合金の公

報 を 見 つ け て 、 そ こ に 、 こ の 合 金 は 飛 行 機 や バ イ ク の ブ レ ー キ に 特 別 に 用 い る こ と が で き る 、 と の

示 唆 を 見 つ け た 場 合 も 、 同 様 に 当 業 者 は 組 み 合 わ せるでしょう。

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J P Oにおいて、すべての出願人がオンラインで出願

で き る よ う に な っ て 何 年 経 つ の か は 分 か り ま せ ん が 、 他 の 特 許 庁 は そ の 点 で は ず っ と 歩 み は 遅 い と 言わざるを得ません。この点において J P O は世界の

先端を行く特許庁であると言えるでしょう。

現 在 は 電 子 出 願 が で き ま す が 、 電 子 出 願 さ れ て

い る 数 は ず っ と 少 な い で す 。 そ れ は 出 願 人 の 「 文 化 」 に 関 係 す る 点 も 多 少 あ る の で す が 、 コ ン ピ ュ

ータ化に関し、 J P O は完璧な仕事をしていると私は 信じて疑いません。

これは J P O とヨーロッパ、特にG P T O とは大きな

違 い で す 。 少 な く と も 、 E P O で は 全 て の フ ァ イ ル デ ー タ を 電 子 的 に 持 っ て い て 、 オ ン ラ イ ン で 出 願 包袋を閲覧できるようになっています。 G P T Oでは

必ずしもそうではないので、J P O は、私たちの持っ て い る 全 て の 電 子 的 な 手 段 を う ま く 利 用 し て い る と思います。J POは世界でも突出したリーダーです。

(ゴダール氏) 私たちにとって大口のクライアント の1つであるマイクロソフトやインテルからは、電

子 的 に 全 て の 書 類 を 受 け 取 り 、 そ の 電 子 デ ー タ を 使 っ て 、 紙 書 類 を 作 成 し ま す 。 私 た ち は そ れ を 特

許 庁 に 送 付 す る の で す が 、 今 度 は そ れ ら を 、 電 子 的 に 取 り 込 む べ く ス キ ャ ン し て い る の で す 。 全 く 円 滑 な 仕 組 み に は 思 え ず 、 実 に ば か ば か し い で す

よね。

3. 特許の質

−審査の質についてお伺いします。迅速化する特許 審査の中、ヨーロッパのユーザの意見では、特許 の質についての懸念があるようですね。特許の質

という観点からお聞きしたいのですが、ヨーロッ パにおいて質とはどのようなものであると考えま

すか?

(アッペルト氏)私の個人的な考え方から言わせて

も ら え ば 、 高 い レ ベ ル に あ る J P O ,E P O ,G P T O , そ し て 明 ら か に や や 低 い 水 準 に あ る U S P T O で は 、 の こ と で す が 、 そ の よ う に 感 じ た 経 験 は あ り ま

したか?

(アッペルト氏) 今まで話したことを裏付けるだけ

で す し 、 日 本 の 弁 理 士 や ク ラ イ ア ン ト と の や り 取 り か ら 得 ら れ た 経 験 か ら も 言 え る こ と で す が 、 ド イ ツ と ヨ ー ロ ッ パ の 弁 理 士 と し て 、 少 な く と も 私

は、 J P O と働くのはいつも簡単です。なぜならば、 J P O の全ての制度、つまり考え方やクレームの構成

な ど が 、 私 た ち の も の と 大 変 似 て い る か ら で す 。 そのため、私は E P OやG P T O と並行して、 J P O から の 反 論 や オ フ ィ ス ア ク シ ョ ン を 比 較 す る こ と が で

き ま す 。 ま た 、 進 歩 性 の 要 件 や 審 査 手 順 も 似 て い る こ と か ら 、 特 許 出 願 の た め の 準 備 や 審 査 手 続 の 際 に は 、 ヨ ー ロ ッ パ と 日 本 と の 間 で 協 力 し 合 う こ

とはずっと簡単にできます。

−J P Oに対して他に印象はありますか?

(ゴダール氏)これまでに私は2度 J P O を訪問したこ

と が あ り 、 そ の 内 の 1回 は 2年 前 の こ と で 、 審 査 部 にお邪魔したのですが、生命工学の案件について、 審 査 官 が 、 世 の 中 に あ る 全 て の デ ー タ ベ ー ス に 対

し て 、 自 由 に ア ク セ ス し て い た の が 印 象 深 か っ た で す 。 つ ま り 、 コ ス ト は 問 題 で は な く 、 デ ー タ ベ

ー ス の 中 で 審 査 官 が 関 心 の あ る も の で 、 手 に 入 ら な い も の で な け れ ば 、 審 査 官 は ア ク セ ス す る こ と が で き る 点 は 、 大 変 素 晴 ら し い と 思 い ま し た 。 そ

こ で は 審 査 官 が ど の よ う に コ ス ト の か か る デ ー タ ベ ー ス に ア ク セ ス す る の か 見 せ て く れ ま し た 。 こ れは G P T O の審査官とは大きく異なります。G P T O

で は 、 お 金 の か か る デ ー タ ベ ー ス に ア ク セ ス し た い 場 合 は 、 管 理 職 の サ イ ン が 必 要 に な り ま す 。 無 料 で は な い 外 部 デ ー タ ベ ー ス に 対 し 、 コ ス ト に か

か わ ら ず 、 幅 広 く 自 由 に ア ク セ ス で き る 環 境 は 、 J POの素晴らしい点だと思います。

(アッペルト氏)ヨーロッパまたは U S P T O の立場か ら考えると、特に情報システム部門において、J P O

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仕 事 を し て い る と 言 う こ と に な る で し ょ う ね 。

E P O ,G P T O,J P O では、良好なサーチは、質の良 い特許を生み出していると思います。なぜならば、 私 た ち が 見 る 限 り 、 サ ー チ が 素 晴 ら し い と 、 そ の

サ ー チ 結 果 に 基 づ い て 、 審 査 官 は 良 い 仕 事 が で き るからです。

(ゴダール氏) 特許や特許の質に対する政策的な見 地 か ら 見 て 、 私 は 、 特 許 庁 は 出 願 人 を 「 お 客 様 」

扱 い す べ き で は な い と 考 え て い ま す 。 特 許 庁 は 、 良 い 発 明 に 対 し て 良 い 特 許 を 付 与 す る だ け で は な く 、 悪 い 特 許 は 技 術 の 発 展 を 阻 害 す る と し て 世 に

出 な い よ う に 防 ぐ 素 晴 ら し い 能 力 を 有 し 、 ま た 義 務 を 負 っ て い ま す 。 悪 い 特 許 は 災 難 で あ り 、 良 い

特許は大変有益ですが、(このように見極めること

は ) 審 査 官 が 担 う べ き 大 変 な バ ラ ン ス 感 覚 が 必 要

とされる役割です。(特許庁は)良い特許を付与す

る だ け で は な く 、 積 極 的 に 悪 い 特 許 を 防 ぐ べ き で

す 。 な ぜ な ら 、 良 い 特 許 こ そ が 、 技 術 の 発 展 に 寄 与 す る 要 因 で あ る の に 対 し 、 悪 い 特 許 は 技 術 の 発 展に対する障害でしかないからです。

(アッペルト氏)(審査と裁判の)中間に位置し、認

め ら れ た 有 効 な 特 許 を よ り 高 い レ ベ ル に 保 証 す る 手 段 と し て 、 良 質 な 準 訴 訟 手 続 が あ り ま す 。 す な わち異議や無効手続であり、E P O もG P T Oも、異議

制 度 と 、 そ れ を フ ォ ロ ー ア ッ プ す る 無 効 制 度 を 備 え て い ま す 。 日 本 で は 無 効 と 異 議 を 一 本 化 し て い る の で 、 今 は 無 効 制 度 し か な い で す が 、 こ れ も ま

た 審 査 段 階 に お け る サ ー チ で カ バ ー で き な か っ た 先 行 技 術 ( 例 え ば 、 公 用 な ど ) を 第 三 者 に 提 供 す る た め の 優 れ た 機 会 で す 。 こ れ は 効 果 的 な 当 事 者

系の手続でしかなされません。

(ゴダール氏) 私は、特許庁が権限として、新しい 特許、好ましくは良い特許だけを付与するという責 任だけではなく、その国でのこれらの特許の将来を

継続的に見て、必要であれば要求に応じてジャンク パテントを取消すという監視人の役割を担う責任が

あると思います。特許庁は、当然ながらいつもこの 先行技術文献に対する異なった考え方があります。

しかし、私は、特許の質というものは、サーチによ

って主に決まると考えています。なぜならば、関連 する先行技術文献を見つけられなかったら、審査官 は何もできないからです。関連する文献を見つける

ことができなかったが、実際にはある、という場合 に 審 査 段 階 で は 何 が で き る の で し ょ う か 。 何 も で き ま せ ん 。 な ぜ な ら ば 、 手 元 に あ る 文 献 し か 、 審

査 官 に は 見 え て い な い か ら で す 。 な の で 、 も し 審 査 官 が 非 常 に 関 連 す る 文 献 を 発 見 で き な け れ ば 、

大問題となります。ハインツ ゴダール氏が先ほど

触 れ た よ う に 、 U S P T O の 進 歩 性 の 要 件 は 、 J P O や E P O の 新 規 性 の 要 件 に 近 い も の で す 。 ま た 、 少 な

く と も あ る 特 定 の 技 術 分 野 で は 、 サ ー チ も 完 璧 で はないため、私たちのアメリカのクライアントは、

U S P T O では質が異なると言います。彼らの多くは、 当然、 U S P T O に最初に出願しますが、頻繁に、そ の出願を優先基礎としてPC T 出願をします。そして、

彼 ら は 、 国 際 調 査 機 関 と し て E P Oを 指 定 す る の で す 。 ア メ リ カ の ク ラ イ ア ン ト が 言 う に は 、 そ の 理 由は E P O の 方 が 適 切 な サ ー チ 結 果 を 得 ら れ る か ら

なのです。 J P O のサーチも十分に完璧で、同様に適 切 な サ ー チ 結 果 が 得 ら れ る と は 思 い ま す が 、 お そ

らく言語の問題で彼らは出願しないのでしょう。

(ゴダール氏) 話を遮ってしまいますが、言いたい

こ と が あ り ま す 。 名 前 は 言 え ま せ ん が 、 ア メ リ カ のある大きなクライアントから、 K I P O 、すなわち

韓 国 特 許 庁 に お い て 素 晴 ら し い 経 験 を し た こ と が あるという話を聞いたことがあります。K I P O は国 際調査機関であり、 P C T を大変早く処理し、迅速で

素 晴 ら し い サ ー チ の サ ー ビ ス を 提 供 し て い ま す 。 あ る 技 術 分 野 で 審 査 が 遅 す ぎ る と い う 人 は 、 と て も早く良いサーチ結果を得るために、 K I P O に行く

のです。 K I P Oはこのサービスをアメリカに売り込 んで、促進させようとしています。

(アッペルト氏) やはり、サーチは決定的なファク タ ー だ と 思 い ま す 。 も し サ ー チ が 良 け れ ば 、 審 査

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料 金 を 追 加 徴 収 す る か 、 又 は 手 続 を 省 略 せ ざ る を 得 な い と 思 い ま す 。 し か し 、 現 在 の と こ ろ 、 請 求

数 は 低 い 割 合 で あ る た め 、 そ の よ う な こ と を 行 う 必要はありません。

私 た ち は 、 ア メ リ カ の ク ラ イ ア ン ト の よ う な 、 大 口 の ク ラ イ ア ン ト の 多 く か ら 、 は っ き り と 指 示 さ れ て い ま す 。 E P O で は 手 続 を 早 め る な 、 と 。

P A C E は せ い ぜ い 5% 程 度 し か 請 求 さ れ て は い ま せ ん。私たちはその他の特許では P A C E を必要として

いません。(より)新しい製品が完成したら、恐ら

く 、 放 棄 す ら す る 出 願 も あ る か も し れ ま せ ん 。 私 た ち は そ の よ う な 状 況 は 望 み ま せ ん の で 、 5% か

1 0%の割合で早く特許が欲しい場合には、P A C E を 請求することになります。

(アッペルト氏) 正直に言うと、私たちのクライア ン ト か ら は 、 で き る だ け 手 続 を 遅 ら せ る た め に 期

間 延 長 を 請 求 す る ケ ー ス の 方 が 、 手 続 を 早 め る 請 求 を す る ケ ー ス よ り も 多 い の で す 。 こ れ は 、 公 衆 のメディアでいつも見ることと全く反対です。

(ゴダール氏) その理由は、例えば私たちのクライ アントが U S P T O に対して不満を言うように、イン

フォーマルかつ簡単に迅速な審査が可能な P A C E プ ロ グ ラ ム に 類 す る 制 度 が な い 特 許 庁 に 対 し て 不 満 が あ る か ら だ と 思 い ま す 。 早 期 審 査 制 度 が な い と

こ ろ で は 、 問 題 が 生 じ ま す 。 ク ラ イ ア ン ト が な る べく早く特許がほしいと思っている、5%の重要な

発明に対処できないからです。それらはすべて 3 . 5 年 の 平 均 処 理 期 間 が あ り ま す が 、 当 然 な が ら 、 時 間がかかり過ぎてしまいます。しかし、J P O でもそ

う で す が 、 特 許 庁 が 出 願 人 に 対 し て 全 て の 出 願 の 手 続 を 早 め る 可 能 性 を 与 え る の な ら 、 膨 大 な 数 の 利用はなく、せいぜい5%か 1 0%でしょう。それが

産 業 界 の 相 場 観 で あ り 、 特 許 庁 が 産 業 界 に こ の 救 済 ( 早 期 審 査 制 度 ) を オ ー プ ン に し た ら 、 一 般 的 に 言 わ れ て い る 、 審 査 期 間 が 長 い こ と に つ い て の

不満は少なくなるのではないかと思います。

(アッペルト氏)確かに、簡単に言えば、統計デー 二重のタスクを担っていますが、アメリカでは、後

者の機能は実質的には機能していません。

−審査のスピードと質についてお聞きします。実際

にはヨーロッパでは P A C E プログラムはほとんど 使われていないようですが、日本では早期審査制 度があり、審査の迅速化が求められています。ヨ

ーロッパで出願人が P A C E プログラムを利用して いないことには驚きました。彼らはスピードに満 足しているということですか?

(アッペルト氏) ま ず 始 め に 、 私 自 身 も P A C E プロ

グ ラ ム に 基 づ く 早 期 審 査 の 請 求 が 比 較 的 少 な い こ とに驚きました。PA C E の請求には料金がかからず、 単 に 申 請 さ え す れ ば よ い の で す が 、 な ぜ 彼 ら は 利

用しないのか? その理由は、先ほども私が簡単に

述 べ た よ う に 、 多 く の 出 願 人 が 手 続 に か か る コ ス

ト の 発 生 を 遅 ら せ た い と 考 え て い る か ら で す 。 彼 ら は 最 先 の 出 願 人 に な る た め に 、 早 め 早 め に 出 願 す る 必 要 が あ り ま す 。 出 願 段 階 で は 、 製 品 化 に そ

の 出 願 が 必 要 な の か 、 競 合 者 が 同 様 の 事 業 を 行 う の か 、 製 品 化 が 成 功 す る の か 否 か 、 そ れ ら 全 て が 出 願 人 に と っ て 未 知 な の で す か ら 、 早 め に 出 願 を

す る こ と に よ り 、 自 分 た ち の 権 利 を 確 保 し て お き たいと思うのです。

そ し て 、 彼 ら は 、 市 場 に お い て ど う す れ ば 成 功

で き る の か 十 分 に 知 る こ と が で き る ま で 、 コ ス ト の 発 生 を 遅 ら せ た い と 願 う の で す 。 審 査 段 階 で は

平 均 で 3∼ 4年 か か り ま す 。 そ れ は 出 願 人 に と っ て は間違いなく良いことす。2つめのポイントとして、 早 期 審 査 の 請 求 数 が 少 な い た め 、 E P O は 早 期 審 査

を 追 加 料 金 な し に 行 う こ と が で き 、 審 査 段 階 に お ける質の低下を招くことがないことです。それは、 単 に 審 査 が 早 く 行 わ れ る 、 と い う こ と の み を 意 味

します。それが、 P A C E により質の低下が起こって いない理由です。もし 5 0%の出願が P A C E の請求を 行っていたら、このようにはいかないでしょう。

(ゴダール氏)現在は出願の5%が早期審査の対象で

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変 化 し て い ま す 。 そ れ が 現 れ た り 、 消 え た り 、 ま た 現 れ た り 、 消 え た り … … 私 の 現 在 の 感 覚 で は 、

共 同 体 特 許 は 近 い 将 来 で は 実 現 す る こ と は あ り ま せ ん 。 各 国 は 、 一 番 の 問 題 で あ る 言 語 の 問 題 に 対 する規則の基準に対して合意できないからです。

共同体特許の目標の1つは、ヨーロッパでの特許 取 得 に 係 る コ ス ト 、 特 に 翻 訳 に 要 す る コ ス ト を 抑

え る 点 に あ り ま す 。 こ の 考 え で は 、 発 明 の 詳 細 な 説明は翻訳しないが、クレームは E U のすべての言

語 に つ い て 翻 訳 す る と い う も の で し た 。 E U には、 2 0 0 6年現在で 2 5の 加 盟 国 が あ り 2 0の 異 な る 言 語 が 使 わ れ て い ま す 。 そ し て 、 ク レ ー ム を す べ て の 言

語 に 翻 訳 し な け れ ば な ら な い の で す 。 最 新 の 規 則 に 関 す る 問 題 で 議 論 に 上 が っ て い る の は 、 拘 束 す

る ク レ ー ム は 翻 訳 さ れ た ク レ ー ム で あ る と い う こ と で す 。 す な わ ち 、 共 同 体 特 許 の 権 利 を 行 使 し よ う と ギ リ シ ャ の 裁 判 所 に 行 っ た な ら ば 、 そ れ が イ

ギ リ ス に お い て 特 許 査 定 さ れ た も の で も 、 法 的 に は 、 ギ リ シ ャ 語 に 翻 訳 さ れ た そ の ク レ ー ム が 拘 束 す る と い う こ と で す 。 そ し て 、 そ れ は 、 も と の 言

語 の 手 続 に お け る ク レ ー ム と 見 比 べ た 場 合 、 権 利 範 囲 が 異 な る こ と が あ り ま す 。 つ ま り 、 共 同 体 特

許 は 簡 単 に は 実 現 し な い で し ょ う し 、 こ れ か ら も ず っ と 実 現 し な い か も し れ ま せ ん 。 少 な く と も 私 が 弁 理 士 と し て の 業 務 を 行 っ て い る 間 に は 、 実 現

しないだろうと考えています。

2つめは、おそらくより良い解決方法である、ロ ンドンプロトコルです。E P C によれば、E P Oによっ て 付 与 さ れ た ヨ ー ロ ッ パ 特 許 は 、 必 ず し も 翻 訳 さ

れ る 必 要 は な く 、 各 国 に お い て 、 そ の 特 許 が 有 効 に な る に は 、 各 国 の 公 用 語 に 翻 訳 さ れ な け れ ば な らない、ということを規定しています。最近では、

ルクセンブルグを除く、本質的に全ての E P C 加盟国 に は 、 こ の 要 件 が あ り ま す 。 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 制 度

が 当 初 出 来 た 頃 に は 、 ド イ ツ は 、 こ の 要 件 を 必 要 と し て お ら ず 、 ド イ ツ 語 に 翻 訳 さ れ て い な い ヨ ー ロ ッ パ 特 許 も 存 在 し て い ま し た 。 そ の た め 、 ロ ン

ド ン プ ロ ト コ ル は 、 ほ と ん ど の 国 に お い て 翻 訳 コ タ 上 の 平 均 処 理 期 間 を 小 さ く す る こ と が 重 要 で は

な い で す し 、 そ の 統 計 デ ー タ が 実 態 を 表 す も の で は 全 く あ り ま せ ん 。 案 件 毎 に 、 早 く ま た は 遅 く す る こ と が 決 定 で き る フ レ キ シ ビ リ テ ィ ー を 持 つ こ

とが、出願人にとって重要なのです。

(ゴダール氏)G P T Oでは、P A C E のような早期審査

制 度 が あ り ま せ ん 。 し か し 、 出 願 人 側 が 、 ド イ ツ

の審査官に電話し、「この案件はとても重要なので

特許が欲しいのです。」と伝えれば、彼は「他の出

願と区別するための理由を教えてください。」と言

い、「 ラ イ セ ン ス 交 渉 が 未 解 決 な の で す 。」または

「侵害があるのです。」と、もし出願人が答えれば、

審 査 官 は 正 に E P O が 行 っ て い る よ う な 早 期 審 査 (例えば、ファイルを取り出して一番上に置き、他

の 案 件 よ り も ず っ と 早 く こ れ を 審 査 す る な ど ) を 行うでしょう。

4. ヨーロッパの特許制度の将来

−次はヨーロッパの特許制度の将来についてお伺い したいと思います。去る6月1 9日には、ポンピド ゥ ー 長 官 が ロ ン ド ン ア グ リ ー メ ン ト の 実 施 と

E P L A (欧州特許訴訟協定)の採択が大切である と言っていました。欧州特許裁判所が設立される

ことになったら、どのように作られるのでしょう か。どのような国の裁判所がモデルになるのです か?また、共同体特許裁判所が設立されることに

なったら、各国の裁判所と、欧州特許裁判所と共 同体特許裁判所の3つがヨーロッパに存在するこ とになりますが、それは、ヨーロッパの出願人や

特許権者にとって望ましいのですか?また、何か 他の選択肢は考えられますか?

(アッペルト氏)よい質問ですね。今、私たちは3つ の 議 題 が あ り ま す 。 1つ は ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル 、 2

つめは欧州特許訴訟協定、すなわち E P L A ,最後は 共 同 体 特 許 で す 。 最 後 の 議 題 は 、 簡 単 に ま と め や

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このような理由により、共同体特許は「死に体」 で あ る と い え ま す 。 し か し 、 ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル

が あ り ま す 。 フ ラ ン ス は 未 だ に 批 准 す る か わ か り ま せ ん が 、 2 0 0 7年 は 、 大 統 領 選 挙 が あ り ま す 。 そ

の 次 の 年 に は 議 員 選 挙 が あ り ま す 。 そ れ で 、 私 の 友 人 が 言 う に は 、 そ の 前 に は 何 も 起 こ ら な い だ ろ う と い う こ と で す 。 ま た 、 別 の 友 人 が 言 う に は 、

ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル の 実 現 は 、 E P L A に 関 連 し て 、 私 た ち が 考 え て い る よ り も 近 い と い う 噂 が あ る と のことです。 E P L A が発効されれば、欧州委員会が

支 持 し て い る と い う こ と で す か ら 、 共 同 体 特 許 を 断 念 し た と い う こ と に な り ま す 。 結 果 と し て 、 欧

州 特 許 裁 判 所 が 設 立 さ れ な く て は な ら な い し 、 そ の た め の 場 所 が 必 要 に な り ま す 。 そ の と き に 、 フ ラ ン ス は 取 引 す る だ ろ う と い う 人 が 大 勢 い ま す 。

彼 ら が 言 う に は 、 フ ラ ン ス に 欧 州 特 許 裁 判 所 を 設 立 す る な ら 、 フ ラ ン ス は ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル を 批

准 す る 、 と の こ と で す 。 フ ラ ン ス の ど こ か で し ょ う 。 ド イ ツ と 妥 協 で き る ス ト ラ ス ブ ル グ で し ょ う か 。 パ リ で は な い で し ょ う が 、 こ れ も 取 引 に な る

で し ょ う 。 フ ラ ン ス が 批 准 し な け れ ば 、 ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル に は 、 取 引 も 、 追 加 さ れ る 事 項 は 何 も 発 生 し な い で し ょ う 。 お そ ら く 欧 州 特 許 裁 判 所 の

場 所 は 、 大 勢 の 人 が 住 ん で い る 場 所 に な る の で は ないでしょうか。

−ロンドンプロトコルが実施されると、クレーム解 釈において影響は生じるのですか。

(ゴダール氏)生じません。既に、 E P C の特許が英 語 に よ っ て 出 願 さ れ 、 ド イ ツ を 指 定 し て い て も 、

ク レ ー ム の 英 語 バ ー ジ ョ ン が 拘 束 力 を 有 し ま す か ら 、 こ の 言 語 に 関 す る 協 定 に よ っ て は 、 こ の 部 分 は 変 わ り ま せ ん 。 E P O の 特 許 に お い て 添 付 さ れ る

ク レ ー ム の 翻 訳 は 、 こ れ は ド イ ツ の 裁 判 所 で 何 の 意味も成さないし、 G P T O に出願され公開された特 許全体の翻訳も同様です。ドイツの特許訴訟では、

英 語 は 使 わ れ な い の で 、 ク レ ー ム が 英 語 で あ る 場 合 に は 、 こ の ヨ ー ロ ッ パ 特 許 を ド イ ツ の 裁 判 所 に

提 示 す る こ と か ら 始 ま り ま す 。 裁 判 所 で の 言 語 は ス ト を 削 減 で き る よ う に 定 め ら れ ま し た 。 た だ 、

フ ラ ン ス で の み 問 題 が 起 こ っ て い ま す 。 フ ラ ン ス は 、 批 准 し な け れ ば な ら な い の に 、 未 だ し て お ら ず 、 今 後 、 ど の よ う に な る か は わ か り ま せ ん 。 フ

ラ ン ス が 批 准 す れ ば 、 ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル は 発 効 し 、 翻 訳 コ ス ト が 大 幅 に 削 減 さ れ る こ と に な り ま す。そういうこともあり、ロンドンプロトコルは、

全 て の 出 願 人 に と っ て 間 違 い な く 素 晴 ら し い ア イ デアなのです。

最後の議題は訴訟に関することですね。E PL A は、 理 に 適 っ た シ ス テ ム で あ り 、 共 同 体 特 許 が カ バ ー

す る べ き 側 面 を も 網 羅 し て い ま す 。 共 同 体 特 許 が 実 現 し な い な ら 、 共 同 体 特 許 に よ っ て 達 成 さ れ る べきそもそもの課題は、2つのシステムによって解

決 で き る こ と に な り ま す 。 す な わ ち 、 翻 訳 に 関 し て は ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル 、 集 権 化 さ れ た 訴 訟 手 続 に関してはE PL A です。

(ゴダール氏) 私の方で少し付け加えます。共同体 特 許 は 、 主 に 次 の よ う な 理 由 に よ り 「 死 に 体 」 で

あるといえます。すなわち、すべての E U 全加盟国 の 言 語 に 翻 訳 さ れ た ク レ ー ム は 、 そ れ ぞ れ の 言 語

によって拘束されます。一方で、 E P C 特許は、たっ た1つの手続言語にしか拘束されません。その言語 は 、 す べ て の ヨ ー ロ ッ パ の 国 で 訴 訟 手 続 に お い て

使われ、これから説明する E P L A においてもまた拘 束 し ま す 。 共 同 体 特 許 は 、 ヨ ー ロ ッ パ の 産 業 界 と 議 論 を 進 め て き ま し た が 、 翻 訳 コ ス ト の 問 題 で は

な く 、 ク レ ー ム の 構 成 要 件 が 各 国 の 公 用 語 に 拘 束 さ れ る と い う 点 で 、 実 現 で き な い で し ょ う 。 1 7又 は そ れ 以 上 の 言 語 の 権 利 の 束 が あ る と き 、 そ れ ぞ

れ が 同 一 で あ る こ と は 不 可 能 で あ り 、 翻 訳 は で き な い で し ょ う 。 現 在 の E P O に お け る 「 不 注 意 」 な

翻訳や、E P C 特許の各国の公用語による翻訳バージ ョ ン は 、 拘 束 力 を 有 し ま せ ん 。 し か し 、 共 同 体 特 許 で は 拘 束 力 が あ り ま す 。 そ う す る と 、 共 同 体 特

許 の 場 合 、 翻 訳 は 弁 理 士 に よ っ て さ れ な け れ ば な ら な い し 、 そ れ は と て も 高 額 で あ る し 、 弁 理 士 に

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度です。ロンドンプロトコルはコストを節約でき、

E P L A は大きなコスト要因が翻訳だけであり、そし て 非 常 に 重 要 な こ と に 、 後 の 法 廷 手 続 に 影 響 を 及 ぼ す こ と な く コ ス ト を 節 約 で き る こ と か ら 、 メ リ

ットがあります。

(ゴダール氏) ロンドンプロトコルは、 E P C 下にお

い て 、 お 金 の か か る 翻 訳 の 要 件 に 対 し て の み 対 処 す る も の で す 。 そ れ は 特 許 訴 訟 に お い て 影 響 を 与

え る こ と は 絶 対 に あ り ま せ ん 。 権 利 範 囲 の 狭 く な る 翻 訳 で 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス 、 フ ィ ン ラ ン ド 、 ス ウ ェ ー デ ン で 公 報 が 発 行 さ れ 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 の

も と も と の 拘 束 す る 言 語 は 英 語 で あ る と い う 状 況 に 置 か れ て い る と し ま す 。 こ こ で 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス 、 フ ィ ン ラ ン ド 、 ス ウ ェ ー デ ン に お い て も 、

英 語 が 拘 束 す る 言 語 と な り ま す 。 こ の 例 で 、 ド イ ツ 語 、 フ ラ ン ス 語 、 フ ィ ン ラ ン ド 語 、 ス ウ ェ ー デ ン 語 で 出 願 さ れ て 公 報 が 発 行 さ れ た 場 合 に 、 本 来

の 英 語 バ ー ジ ョ ン よ り 狭 い 翻 訳 に な っ た と し ま し ょ う 。 例 え ば ア ル コ ー ル を メ タ ノ ー ル と 翻 訳 し た 場 合 に は 、 権 利 範 囲 の 狭 い 翻 訳 と 、 も と も と の 特

許 に 記 載 さ れ た 広 い 意 味 で あ る ア ル コ ー ル と の 間 に ギ ャ ッ プ が 生 じ て い ま す 。 も し 、 メ タ ノ ー ル 以

外 の 、 エ タ ノ ー ル や イ ソ プ ロ パ ノ ー ル や 他 の ア ル コールを善意で使う人、例えばドイツ人がいれば、 ド イ ツ 語 、 フ ラ ン ス 語 、 フ ィ ン ラ ン ド 語 、 ス ウ ェ

ー デ ン 語 の 「 広 い 」 翻 訳 で 特 許 権 者 が 後 に 訂 正 し ド イ ツ 語 で す か ら 、 信 頼 の お け る 翻 訳 者 が 英 語 か

らドイツ語に翻訳します。

こ の 翻 訳 は 、 単 に 情 報 を 与 え る と い う 意 味 だ け で 公 開 さ れ た 翻 訳 と は 異 な る も の で し ょ う ね 。 こ

の よ う な こ と は よ く あ り ま す 。 た だ 、 ド イ ツ の 裁 判 所 に お い て 、 特 許 権 者 と 侵 害 被 疑 者 の 当 事 者 間 で は 、 こ れ ら の 英 語 の ク レ ー ム の 意 味 す る 内 容 に

つ い て 争 う こ と に な る で し ょ う ね 。 私 が デ ュ ッ セ ル ド ル フ で 訴 訟 手 続 が あ っ た と き に は 、 両 方 に 言 語 の 専 門 家 が 付 き 添 い ま し た 。 オ ッ ク ス フ ォ ー ド

と ウ ェ ブ ス タ ー の 辞 書 が 置 い て あ っ て 、 こ の 単 語 は 、 ド イ ツ 語 で は 本 来 ど の よ う な 意 味 で あ る の か

決 定 し て い ま し た 。 し か し 、 そ の 日 の 終 わ り に 、 最 終 的 に 裁 判 所 が ど れ を 基 に 判 決 を 下 し た か と 言 うと、それは英語バージョンでした。したがって、

言 語 の 取 り 決 め が な く と も 、 ク レ ー ム 解 釈 に は 全 く影響しないのです。

(アッペルト氏) 出願人、発明者、個人発明家がヨ ー ロ ッ パ に 対 し て 何 を 期 待 す る か 、 に つ い て ヨ ー

ロッパで、最近、調査がありました。当然、E P L A と共同体特許もカバーしていました。この調査は、 今年( 2 0 0 6年)の中旬に行われ、2 0 0 6年7月に公聴

会がありました。

簡 単 に 言 え ば 、 そ の 結 果 で は 、 共 同 体 特 許 が な く て も 、 ほ と ん ど の ユ ー ザ は や っ て い く こ と が で

きる、というものです。 E P C は本当に素晴らしい制

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創設が望まれている、とみんなが言ったとしても、

次のステップはE P C の締約国が集まる外交上の会議 で す 。 そ こ で 結 論 が 出 る で し ょ う 。 そ し て 、 そ の 会議は 2 0 0 7年 の 終 わ り に 開 か れ る 予 定 で す が 、 現

実的には 2 0 0 8年でしょう。もし会議で「 E P L A を成 功させよう」と決まったら、E P C のすべての締約国 で 批 准 さ れ な く て は な ら ず 、 7年 か ら 8年 か か る で

し ょ う 。 そ れ で 、 最 も 好 ま し い 場 合 で 、 今 か ら 1 0 年で E P L A を採用することです。各国の裁判所が依

然として権限を持ちながら、E P L A の移行期間とし て5年から 1 0年が設定されるでしょう。そして、今 から 1 5年経つ前に、E P L A 下における欧州特許裁判

所の最初の決定が下されるのかは予測できません。 私 た ち は 、 E P L A が 採 択 さ れ た 場 合 の 、 遠 い 将 来 、 非 常 に 遠 い 将 来 の 青 写 真 に つ い て お 話 し し た だ け

です。

−ありがとうございました。

( 平成1 8年1 0月2 4日 ミュンヘンにて)

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た と し て も 、 そ の 人 は 継 続 し て そ れ を 使 う こ と が

できてしまうのです。

ク レ ー ム が 訂 正 さ れ 、 ド イ ツ 語 、 フ ラ ン ス 語 、 フ ィ ン ラ ン ド 後 、 ス ウ ェ ー デ ン 語 で 各 国 特 許 庁 に

よ っ て 公 開 さ れ る 前 に 、 メ タ ノ ー ル と は 異 な っ た ア ル コ ー ル を 善 意 で 使 い 始 め て い た 第 三 者 は 、 先 に 述 べ た 訂 正 後 に 、 そ の 「 ギ ャ ッ プ 」 に 位 置 し た

ア ル コ ー ル を 使 い 続 け る こ と が で き る の で す 。 言 い 換 え れ ば 、 も し 翻 訳 を 用 意 す る な ら ば 、 高 い 質

で あ る 必 要 は な く 、 ヨ ー ロ ッ パ 特 許 よ り も 狭 く な らないことに留意するべきです。

ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル が 受 け 入 れ ら れ れ ば 、 ド イ

ツ 、 フ ラ ン ス 、 フ ィ ン ラ ン ド 、 ス ウ ェ ー デ ン の よ う な 国 に お い て 翻 訳 を 提 出 す る 必 要 が な い の で 、 先 ほ ど の 狭 い 翻 訳 に 関 す る 問 題 は な く な り ま す 。

ま た 、 ロ ン ド ン プ ロ ト コ ル は 、 特 許 出 願 と ク レ ー ム 解 釈 に 対 し て 何 も 影 響 を 及 ぼ し ま せ ん 。 も と も との言語が拘束するのは今と変わらず、 E P L A がこ

の状況を変えることはないのです。

(アッペルト氏)加えて、新しい展開と 2 0 0 6年の欧

州裁判所の決定により、国境を越えた差止命令は、 E P L A の実施なくしては、基本的には不可能になり

ました。

(ゴダール氏) 欧州裁判所は、7月に、実際、2つの

判 決 を 出 し て い ま す 。 裁 判 所 は 、 こ の よ う に 述 べ て い ま す 。 す な わ ち 、 特 許 侵 害 訴 訟 は 、 そ の 中 で 特 許 の 有 効 性 に つ い て も 争 わ れ ま す が ( 私 は 特 許

の 有 効 性 に つ い て 争 わ れ な か っ た 特 許 侵 害 訴 訟 を

見たことがありませんが)、その国の裁判所が管轄

であるということです。そのため、国境を越えた訴

訟は、起こすことができなくなってしまいました。 ただし、この状況だけが、 E P L A のような制度の

必 要 性 を 意 味 す る も の で は あ り ま せ ん 。 む し ろ 、 ド イ ツ の よ う に 素 晴 ら し い 成 功 を 収 め て い る 例 を 見 る と 、 現 在 、 機 能 し て い る 各 国 の 裁 判 制 度 を 全

て残すことも可能です。そもそも、E PL A の目的は、 集中化(共通) した訴訟制度の創設を可能にする点

に あ り ま す 。 た だ 、 E P L A に つ い て 、 今 、 E P L A の

訳者

p

ro f i l e

山本 英一(やまもと えいいち) 平成1 1年4月 特許庁入庁(有機化学配属) 平成15年4月 審査官昇任

調 整 課 を 経 て 、 平 成 1 7 年 8 月 よ り 、 特 許 審 査第三部有機化学

訳者

p

ro f i l e

富士 春奈(ふじ はるな)

平成1 4年4月 特許庁入庁(住環境(住宅設 備)配属)

平成18年4月 審査官昇任

参照

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