練習問題 解答
1 競争市場均衡モデル
• 今右下がりの労働需要曲線と右上がりの労働供給曲線によって、表現される完全競争的な労働市場が 存在しているとする。
• 以下の問について、労働需要曲線と労働供給曲線を用いて説明せよ。
問1: IT技術の進歩によって、労働の限界生産性が増大したとする。この場合、均衡における賃金、雇 用量はどのように変化するか?
労働需要の増大によって、賃金、雇用量ともに増大する(図1参照)。
問2: IT技術の進歩によって労働の限界生産性が増大すると同時に、少子化によって労働力人口が減少 したとする。この場合、均衡における賃金、雇用量はどのように変化するか?
労働需要の増大、労働供給の減少によって、賃金は確実に増大する。雇用量に与える影響は不明瞭(図2 参照)。
問3: 今主要取引相手国の金融危機によって、労働需要が大きく低下したとする。また賃金の下方硬直性 が存在し、金融危機前の均衡賃金から賃下げは不可能であるとする。この場合、金融危機は労働市場 にどのような影響を与えるか?
労働需要の低下によって、失業が発生する(図3参照)。
2 労働移動モデル
• 二つの地域(地域1と2)からなる社会を考える。
• 各地域において地域労働市場が存在する。
• 各地域労働市場は、まったく同じ形状の右下がりな労働需要曲線を持つ。
• 以下の問について、労働需要曲線と労働供給曲線を用いて説明せよ。
問1: 地域1のほうが2に比べて労働供給が大きく、地域間労働移動は不可能であるとする。両地域の賃 金水準の間にはどのような関係が予想されるか説明せよ。
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地域1は地域2に比べ、賃金が低い(図4参照)。
問2: いま地域間労働移動が費用 0 で可能になったとする。この変化によって、どのような労働移動が発 生するか、説明せよ。またその結果、両地域の賃金水準はどのように変化するか、合わせて述べよ。 地域1から2への労働移動が生じ、地域1の賃金は増加、地域2では低下する。結果地域間賃金格差は消
滅する(図5参照)。
問3: 今地域2において、労働の限界生産性が低下したとする。この変化が各地域労働市場、および地域 間労働移動に与える影響について、需要曲線と供給曲線を用いて説明せよ。
労働移動がなければ、地域2において労働需要が低下し、地域2の賃金が低下する。しかし地域2から1 への労働移動が生じ、地域1において賃金が低下する。地域2においては、この労働移動によって、 増大するが、生産性低下前の水準までは戻らない。結果、地域1、2ともに賃金が低下する。(図6 参照)
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