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欧州における近年の知財情勢とジェトロ・デュッセルドルフ事務所の取組〜欧州IPGの活動を中心に〜

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(1)

 企業発展に必要な特許および特許活動とは如何なるものか。企業の特許戦略および特許活動 に携わるものにとっては、永遠の命題のように思える。この命題を少しでも解決するために、 特許の成功事例を分析して優れた特許戦略や活動の一部をご紹介したい。一般に広い特許請求 の範囲で権利化することは製品保護の観点から望ましいことであるが、権利化後に係争に巻き 込まれることがある。その係争の根拠や理由は、審判決や論文などから知ることができる。従っ て、係争に巻き込まれるあるいは巻き込まれやすい特許の問題点については、公表された内容 から容易に把握することができる。そして、この問題点を解消する対策や努力は絶えずなされ ていると思うが、係争事件は絶えず発生している。ここにご紹介する成功事例は複数の特許異 議申立を受けるものの、特許請求の範囲を全く変更することなく特許として登録され、その後 係争事件に巻き込まれないで期間満了している。この事例の分析では、

抄 録

 欧州では、40年ほどの間議論がされてきた欧州単一特許及び統一特許裁判所制度について、 統一特許裁判所手続規則が決定され、裁判官の研修やITシステムの整備など実施に向けた準備 が進められ、各国の批准を待つ状況となっています。また、欧州共同体商標規則・商標ハーモ 指令の改正も 2015 年 12 月に成立し、欧州共同体意匠商標庁(OHIM)から欧州連合知的財産 庁(EUIPO)への名称変更を含む商標制度の改善に向けた取組が進められました。さらに、 2016 年 11 月には、意匠の振興による経済発展という EU の政策的意図が反映された「デザイ ンヨーロッパ賞」がEUIPOにより設けられました。

 このように欧州の知財を取り巻く制度・運用が近年大きな動きをみせる中で、2016年2月に、 日系企業の欧州知財担当者を中心に「欧州IPG」が新たに設立されました。ジェトロ・デュッセ ルドルフ事務所はその事務局を担っています。

 2016年6月には、英国の国民投票結果を受けたBREXITの衝撃が走り、欧州の社会システム が不透明感を増す中で、その役割はますます重要となっています。本稿では、欧州IPGの活動 を中心として欧州における近年の知財情勢とジェトロ・デュッセルドルフ事務所の取組をご紹 介いたします。

日本貿易振興機構(ジェトロ)デュッセルドルフ事務所 知的財産部長

  

中野 宏和

知的財産副部長

  

田内 幸治

寄稿2

欧州における近年の知財情勢と

ジェトロ・デュッセルドルフ事務所の取組

〜欧州IPGの活動を中心に〜

1. 序章

 欧州の知財を取り巻く制度・運用が近年大きな動 きをみせる中で、日系企業に不意打ちとならないよ う、その検討状況を迅速・的確に把握し共有するこ とが一層重要となっています。また、模倣品が単独 の国に留まるのではなく欧州で広く流通することを 考えれば、欧州を広くカバーできる情報共有ネット ワークが必要不可欠となっていました。

 そこで、ジェトロ・デュッセルドルフ事務所では、 2016 年 2 月に、日系企業の欧州知財担当者を中心 に「欧州 IPG」を設立しました。ジェトロ・デュッ セルドルフ事務所はその事務局を担っています。

IPG 設立により、欧州全域において知財問題に関 心のある日系企業等が相互に協力、連携を図り、一 体となって知財問題の改善、解決に向けた情報共有、 活動が促進されることで、欧州における適切なビジ ネス環境の実現に資することが期待されています。  このような中で、今回、欧州 IPG の活動につい

てご紹介させていただく機会を頂きました。IPG と 称せられる活動は欧州以外では既に取り組まれてい るものであり、また、欧州には「IPG」こそなかっ たとはいえ、これまでも知財セミナーの開催や欧州 知財機関への訪問などがデュッセルドルフ事務所に より試みられてきたところ、若干の気後れを感じた ものの、欧州 IPG の紹介を中心に欧州事情をお伝 えできるせっかくの機会ととらえ、筆を執らせてい ただきました。

 なお、ここでの見解は、筆者の個人的なものであ り、組織とは何ら関係がないことを予めお断りいた します。

2. 総会

(2)

ずつ増加しています。今後の欧州の知財拠点の設置 において、IPG 事務局の所在地も一要素として考慮 するとのお言葉を頂くこともあります。現に、IPG 設置後にデュッセルドルフに日系企業の知財担当者 が新たな駐在員として配置されたり、また、他の日 系企業から新たな駐在員配置に係る具体的な計画の 相談も受けているのは、決して偶然ではないと励み に思うと同時に身を引き締めています。

3. 経緯

 ここで、欧州 IPG 設立に至る状況について振り 返ってみたいと思います。ジェトロのホームページ では「海外における日系企業情報交換グループ (IPG)」として「米国 IPG(ニューヨーク・ワシン トン DC)」(開始時期 2014 年 11 月)、「中国 IPG」(同

2014 年 4 月)、「東南アジア知財ネットワーク」(同

2012 年 3 月)、「インド IPG(ニューデリー)」(同

2006 年 10 月)、「中東 IPG(ドバイ)」(同 2016 年 2 月) が紹介されています。ただし、それぞれに目的、参 加資格に差がみられ、さらに実際の活動内容は各地 域の現状に応じて異なっているものと思われます。  欧州の場合には、各国に加えて欧州連合(EU)の 存在があります。意匠・商標制度では、各国に加え て欧州連合による制度がある一方、特許制度では、

EU による制度は未だ存在せず、各国に加えて、 EU 以上の広域をカバーする欧州特許条約による制 度が存在しています。さらに、営業秘密の保護にみ られるように、EU レベルでの調和が進められる分 野がある一方、標準必須特許の取扱いにみられるよ うに、依然として法令の解釈が争われることも度々 という状況です。

 我々の赴任前(2015 年 6 月)の段階では、とりわ け 40 年来議論がされてきた欧州単一特許・統一特 許裁判所制度が成立に向け大きな動きをみせていた ところ、このような制度が作られているタイミング においては、新たな制度・運用による日系企業への 不意打ちを防ぐこと、日系企業の観点において配慮 された運用を欧州機関に促していく上で、日系企業 との間で情報や関心を共有し、欧州において組織 的・定常的に欧州機関とも意見交換を行えるプラッ トフォームの必要性が従来にも増して高まっている 状況でした。

一回総会が開催され、特許庁伊藤仁顧問(当時)に よる特許庁の施策紹介のほか、今後の欧州IPGの活 動方針について活発な意見交換が行われました。  この記事は英語版でも発信され「The 1st General Meeting of the Intellectual Property Group in Europe(EuroIPG)was held on September 6 in Düsseldorf, Germany. Mr. Hitoshi Ito, Special Advisor to the Japan Patent Office(JPO)attended the Meeting, introducing initiatives that the JPO has been taking, and exchanging opinions regarding the future direction of EuroIPG activities.」と総会 の概要が紹介され、さらに、欧州 IPG について 「Intellectual Property Group in Europe, EuroIPG:

A group of IP staff members of Japanese companies across the Europe that was established in February, 2016, aiming to further enhancement of information exchange among them. The secretariat is JETRO DÜSSELDORF.」と注釈い ただいております。

 この英語での発信は、欧州における知財関係者の 注目を集めたようです。この後、欧州側の知財関係 者と会う際には欧州 IPG について問い合わせを頂 いたり、セミナーの立話などで話題に上ったことも しばしばです。欧州 IPG が、日系企業の知財担当 者により構成されるネットワークということで、欧 州の知財庁や法律家にとっては、ポテンシャルカス タマーのグループとして興味を引くのはあるとして も、特許庁から出張いただき特許庁のホームページ でご紹介いただくなど日本政府の全面的なバック アップを受けている姿が示されたのが、信頼感を高 める上で大きかったように思われます。

 欧州 IPG については、日系企業からの新たな問 い合わせも頂き、立ち上げ時よりもメンバーが少し

稿

(3)

4. 欧州

 ここで欧州を取り巻く状況をご紹介いたします。 欧州では、難民の大量流入やテロの衝撃などが欧州 を襲い、欧州の結束に大きな挑戦が突きつけられて います。そのような中で、2016 年 6 月 23 日の英国

における EU 離脱の是非を問う国民投票の結果2)

EU 離脱を是とする投票が過半数を占めた、いわゆ る「Brexit」のニュースは世界に衝撃を与えました。 一方、欧州ではインダストリー 4.0 に代表される次 世代イノベーション政策への取組や知財制度の改革 に向けた動きもみられます。

(1)インダストリー4.0と特許制度

 我が国では、産業構造審議会知的財産分科会や特 許制度小委員会での議論に加えて、「第四次産業革 命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検

討会」が設置されたり3)、特許庁が世界に先駆けて

IoT 関連技術の特許分類を新設する等、知財分野に おいてインダストリー 4.0 を視野に入れた様々な検 討や取組が行われています。

 欧州では、ドイツ政府による「Industrie 4.0」の構 想の下、政府・産業界・労働界や研究所という様々 な当事者が参加するプロジェクトとして「Plattform

Industrie 4.0(インダストリー4.0プラットフォーム)」4)

が積極的に活動しています。ただし、ドイツ特許商 標庁(DPMA)は司法省傘下の機関であることから その関与は限定的です。

 また、EUレベルでも、「Horizon 2020(ホライズ

ン2020)」5)と呼ばれる研究・イノベーションを推進

するイニシアティブにより、2014 年から 2020 年ま での 7 年間で総額 800 億ユーロ規模の予算により、 インダストリー4.0関連も含めた様々な研究開発プロ ジェクトが EUレベルで推進されるとともに、欧州  しかし、IPG を立ち上げるとしても、各地域の状

況に応じた活動が重要であるところ、赴任後の第一 の仕事は、在欧日系企業の知財担当者に挨拶周りを しつつ、そのニーズを伺い将来のメンバーとして賛 同を得ることとなりました。そして、2015 年 11 月 に事前ミーティングを行い、2016 年 2 月に果たし て欧州 IPG が設立されることとなりました。その

様子は欧州知財ニュース1)において「欧州 IPG 設立、

日系企業のための知財ネットワーク強化へ」で紹介 されています。

 設立後、メンバーに IPG の活動の方向性につい てアンケートをとったところ、(1)欧州知財関係機 関との意見交換、(2)セミナー開催、(3)欧州知財 情報の共有について関心が高いことが分かりまし た。具体的には、(1)欧州知財関係機関との意見交 換については、欧州特許庁(EPO)、欧州知的財産 庁(EUIPO)といった広域知財庁、ドイツ特許商標 庁(DPMA)、英国知的財産庁(UKIPO)といった 各国知財庁、裁判所に高い関心が示されました。ま た(2)セミナー開催については、特に、欧州単一特 許・統一特許裁判所制度に関するトピック、欧州に おける知財訴訟に関するトピックに関心が多く示さ れました。さらに(3)欧州知財情報の共有について は、欧州単一特許・統一特許裁判所制度、意匠制度・ 商標制度、職務発明制度、訴訟、競争法などでした。 その他として「欧州IPGが立ち上がったことに感謝」 「まだまだ欧州での知財活動実績が少なく欧州 IPG

で勉強をしていきたい」「欧州IPGに協力したい」「欧

州 IPG を中長期的に活動できるように体制・運営

を整備してほしい」「欧州 IPG と欧州知財機関との

コネクション強化を積極的に図り、日本企業とのパ

イプ役を果たしてほしい」「ジェトロの欧州知財情

報は非常に役に立っている」とのコメントも寄せて いただきました。

 

1)https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2016/20160202.pdf

2) EU 離脱を是とする投票(「Leave」)は 51.9%(約 1741 万票)であったのに対し、EU 離脱を否とする投票(「Remain」)は 48.1%(約 1614 万票)でした。国民投票結果については、以下参照:http://www.electoralcommission.org.uk/find-information-by-subject/elections-and-referendums/upcoming-elections-and-referendums/eu-referendum/electorate-and-count-information

3) 第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会については、以下参照:http://www.meti.go.jp/committee/ kenkyukai/economy.html#daiyoji_sangyo_chizai

4) 「インダストリー4.0 プラットフォーム」については、以下参照:http://www.plattform-i40.de/I40/Navigation/EN/Home/home.html;jsess ionid=061C612A4C6B7C1770DAD817948AB77E

(4)

稿

す る べ く、40 年 の 長 年 に 渡 る 激 し い 議 論 の 末、 2012 年末、欧州単一特許・統一特許裁判所制度を 実現するため法的枠組み案が最終合意され、それを 受けて、統一特許裁判所協定(UPC 協定)は欧州連 合(EU)加盟国のうち 25 か国によって署名されま した10)

 その後、2015 年 9 月に欧州単一特許の枠組みへ の参加を見送っていたイタリアが正式に参加するこ ととなり、その後も年末に向けて、紛糾していた欧 州単一特許の更新手数料収入の加盟国への分配割 合、統一特許裁判所手続規則が決定されるに至りま した。そして、裁判官の研修や IT システムの整備 など実施に向けた準備が進められると同時に、制度 の発効に必要な批准に向け各国の政治的な決断を残 すのみといえる状況まできていました。具体的には、 欧州単一特許・統一特許裁判所制度の施行のために は UPC 協定の発効が必要であるところ、この UPC 協定が発効するためには、英国、ドイツ、フランス を含む EU 加盟国 28 か国のうち 13 か国が UPC 協定 を批准する必要があります。しかしながら、2016 年 11 月現在、フランスを含む 11 か国が UPC 協定

を批准している一方11)、英国は UPC 協定を批准し

ておらず、また、Brexit の問題があり、英国による 批准の見通しは不透明な状況となっています。一方 で、2016 年 11 月には UK 政府から、BREXIT の議 論を予断するものではないとしつつも、EU 加盟国 であることを前提とした UPC 協定の批准に向かう

とのコメントが発せられたこと12)は、欧州におい

て驚きをもって迎えられました。

 欧州単一特許・統一特許裁判所制度は、裁判所の 新設等により特許の権利行使も一元化することが可 議会は、欧州議会の産業・研究・エネルギー委員会

(ITRE Committee)の要請により、インダストリー4.0

に関する調査報告書6)を策定して公表しています。

 特許分野に焦点を当てると、EPO が、インダス トリー 4.0 の特許制度に与える影響についてプレゼ

ンテーションを行ったり7)、カンファレンスを開催

し始めています。2016年12月にEPOにて行われた

カンファレンス(EPO とインドの共催)8)では、イ

ンダストリー 4.0 とその特許システムにおけるイン パクトについて議論されました。

(2)欧州単一特許・統一特許裁判所制度9)

欧州における特許の取得については、いわゆる欧 州特許条約の下、欧州特許庁(EPO)に特許出願を 行うことで権利化までのプロセスを一元化すること が可能となっています。他方、特許自体は、出願人 が権利化したい国を指定することにより各国で個別 に発生することとなるため、権利行使については、 各国でそれぞれ権利行使をする必要があります。  そこで、権利行使も含めて欧州特許制度を一元化

6) 報告書の概要については、以下参照:https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/news/commission-releases-2016-european-digital-progress-report-unequal-progress-towards-digital

7) EPO が行ったプレゼンテーションの資料については、以下参照:http://documents.epo.org/projects/babylon/eponot.nsf/0/7F06BAD2 291B13D0C125805800333771/$FILE/8_11_industry_4.0_grant_philpott.pdf

8)カンファレンスについては、以下参照:https://www.epo.org/learning-events/events/conferences/indo-european.html

9) 本制度については、ジェトロ・デュッセルドルフ事務所在籍時(当時)に川俣洋史氏ほかが執筆した記事、及び、同事務所在籍時(当時) に田名部拓也氏が執筆した記事に、それぞれ詳解されています。

  ・ 川 俣 洋 史、 山 崎 利 直、 竹 下 敦 也「欧 州 単 一 効 特 許 と 統 一 特 許 裁 判 所」(特 許 研 究 第 55 号)(2013):http://www.inpit.go.jp/ content/100526405.pdf

  ・田名部拓也「欧州単一特許制度の行方」(特技懇誌第 275 号)(2016):http://www.tokugikon.jp/gikonshi/275/275tokusyu2.pdf 10)UPC 協定の未署名国は、クロアチア、スペイン、及び、ポーランドの 3 か国。

11) UPC 協定の批准国は、オーストリア、フランス、スウェーデン、ベルギー、デンマーク、マルタ、ルクセンブルク、ポルトガル、フィ ンランド、ブルガリア、オランダ(正式批准の完了順に記載、2016 年 11 月現在)。

12)UKIPO のプレスリリース、及び、これに係る欧州知的財産ニュース(ジェトロ)は、それぞれ以下参照:   (UKIPO)https://www.gov.uk/government/news/uk-signals-green-light-to-unified-patent-court-agreement   (ジェトロ・欧州知的財産ニュース)https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2016/20161128r.pdf

(5)

いのか)不明です。しかしながら、実際に英国が EU から離脱する場合、EU の制度である共同体意 匠制度及び EU 商標制度を英国では活用できなくな るのではないか、特に、既に登録済みの共同体意匠 や EU 商標の取扱いはどうなるのかという点につい て、懸念が生じます。

 この点について、我が国政府は、英国の EU 離脱 に関する政府タスクフォースが「英国及び EU への メッセージ」として採択した文書において、「英国 及び EU 双方への要望事項」の一つである「統一的

な知財の保護」として掲げています14)。我が国政府

が発表したこのメッセージについては、日本が英国 及び EU に対し、Brexit によって英国に投資する日 系企業に悪影響を生じさせないことを強く要望して

いるとして、欧州でも大きく報道されました15)

なお、EPO に出願して特許を取得する欧州特許制 度については、本制度が、EU の枠組みではなく、 いわゆる欧州特許条約に基づく枠組みであるため、 仮に英国が EU から離脱したとしても特段影響は生 じないと考えられます。この点については、EPO バティステリ長官も、2016 年 6 月 24 日に声明を発 表し、国民投票の結果が、英国が欧州特許機構の一 員であること及び英国における欧州特許の効力につ

いて何ら問題を生じさせないとしています16)

(4)「DesignEuropaAwards(デザインヨーロッパ 賞)」の新設

 欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、2016 年 11 月、 「DesignEuropa Awards(デザインヨーロッパ賞)」 を新たに創設しました。デザインヨーロッパ賞は、 EU の共同体登録意匠権者の中から、意匠や意匠マ ネジメントの優秀な者を表彰するものであり、賞の 種類としては、①「Industry Award(産業賞)」、② 「Small and Emerging Companies Award(小規模・ 新興企業賞)」、③「Lifetime Achievement Award(生 涯功績賞)」の 3 種類が用意されています。このデザ 能となるという、欧州における特許制度全体に対し

て多大な影響を与えるものであることから、引き続 き、注視が必要です。

(3)Brexitと意匠・商標

 Brexit の問題については、EU における移民問題 や経済問題、世代間の違いや EU に対する英国民の 不信感など、様々な指摘がされていますが、国民投

票結果も僅差であったように13)、欧州現地において

も国民投票結果がどうなるかについては最後まで不 透明でした。実際に、欧州現地の弁護士等と話をし ても、Brexit を是とした国民投票結果に驚いている 人は欧州現地でもそれなりにいました。

 現時点(2016 年 11 月)では、EU の基本条約であ るいわゆるリスボン条約の第 50 条に基づく EU 離 脱の通知を英国は行っておらず、どのような条件で 英国が実際に EU から離脱するのか(又は離脱しな

13)同上。

14) 「英国及び EU へのメッセージ」では、次のとおり記載されています:「(既に EU で登録済みの知的財産の扱いへの懸念)離脱により, 既に登録済みの欧州共同体意匠,欧州連合商標等の知的財産の権利及び効力に影響が出るとなると大きな混乱が生じる。権利者に不利 益が生じないよう,離脱後も引き続き英国及び EU において統一的に保護されることを要望。」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ euridatsu_taskforce/pdf/message.pdf

15)例えば、フィナンシャル・タイムスや BBC の以下の報道を参照:https://www.ft.com/content/98dd4eb4-729f-11e6-bf48-b372cdb1043a   http://www.bbc.com/news/business-37270372

16) EPO バティステリ長官の声明「UK Referendum - Statement of President Battistelli」については、以下参照:http://www.epo.org/ news-issues/news/2016/20160624.html

EPO本部(ミュンヘン)

(6)

稿

(5)欧州連合知的財産庁(EUIPO)とEUの商標制度改 正17)

 2016 年 3 月 23 日、共同体商標意匠庁(OHIM)は 欧州連合知的財産庁(EUIPO)と改称しました。こ れは、2015 年に採択された EU の商標制度改正の一 環であり、これまで共同体商標(CTM)と呼ばれて いた商標も欧州連合商標(EU 商標)と改称されま した。

 この商標制度改正は、共同体商標規則、商標ハー モ指令、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)手数料規 則をそれぞれ改正するパッケージであり、具体的に は、共同体商標規則は欧州連合商標規則(EU 商標 規則)に改称されるとともに、OHIM 手数料規則は 廃止されて対応する内容が EU 商標規則の付属書と して組み込まれ、また、商標ハーモ指令も新たな指

令に改正となります18)

 本商標制度改正では、改正項目に応じて施行時期 が異なり、また、改正項目には様々なものが含まれ ていますが、改正項目として例えば、上記改称 (EUIPO、EU 商標)に加えて、① EU レベルでの証 明商標制度の導入(2017 年 10 月 1 日施行)、②円滑 な貿易を確保しつつも EU 領域を通過する模倣品へ の対抗手段の強化(2016 年 3 月 23 日施行済み)、③ EU 加盟国における商標の無効又は取消しのための 行政手続導入の義務付け(2023 年 1 月 14 日までに 導入する義務)、④料金改定(2016 年 3 月 23 日施行 済み)等があります。なお、料金改定の概要につい ては、次の表をご参照ください。

インヨーロッパ賞の新設を通じて、欧州における意 匠制度全体を盛り上げていこうという決意を感じる ことができます。

 授賞式には、イタリア産業次官、イギリス知財担 当大臣、EUIPO カンピーノス長官、審査員(バティ ステリ EPO 長官が含まれる)、EU 加盟国知財庁、 その他弁護士事務所など総勢 200 名を超える参加者 がありました。

 表彰式冒頭では、イタリア産業次官、イギリス知 財担当大臣、EUIPO カンピーノス長官からスピー チがあり、いずれも意匠の意義について、その経済 的価値、中小・新興企業への貢献が強調されており ました。EUIPO カンピーノス長官からは、デザイ ン産業が EU において全雇用の内 11.9%を占め、 GDP の 13.4%に寄与しており、またデザインを保 有する企業はそうでない企業に比べて 38%高い収 益を確保している旨強調されておりました。次回は、 2018 年にポーランドで開催予定です。

デザインヨーロッパ賞(2016年11月)

17)本改正については、ジェトロ・デュッセルドルフ事務所在籍時(当時)に嶋田研司氏が執筆した記事に詳解されています。   ・嶋田研司、「欧州連合における商標制度改革の概要」(商標懇誌第 114 号)(2016)

18)規則の改正(EU 規則 2015/2424)及び新商標ハーモ指令(EU 指令 2015/2436)については、以下参照:   (規則の改正)http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32015R2424&from=en   (新商標ハーモ指令)http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32015L2436&from=EN

欧州連合商標(EUTM)の料金改定

改正前(ユーロ) 改正後(ユーロ)

出願手数料(電子出願) 900(3区分まで) 850(1区分)

区分手数料 2区分目 -- 50

      3区分目 -- 150       4区分目以降 150 150

更新手数料(電子更新) 1350(3区分まで) 850(1区分)

区分手数料 2区分目 -- 50

      3区分目 -- 150

(7)

とができることとなります。なお、このプレスリリー スによりますと、この救済措置は、公正、効果的、 かつ抑制的でなければならず、決して不必要に複雑 で過剰なコストが発生し、不合理な遅延が発生する ようなものであってはならないとしており、請求に 係る時効期間は6年を超えないとしています。また、 この EU 指令は、ジャーナリズムの業務において新 たな制限を何ら導入するものではなく、従業員の雇 用契約に新たな制限を課すものでもないと付言して います。

(7)模倣品対策

 欧州の中で欧州連合(EU)に加盟する 28 か国だ けをみても、人口は 5.8 億人、名目 GDP 総額は 15 兆ドルを超えており、経済成長著しい中国(約 10 兆ドル)を上回り、世界一位の米国に比肩する経済 規模を有しています。この大きな市場を狙って模倣 品の流通も問題となっています。

(6)営業秘密に関するEU指令の成立

 営業秘密については、EU レベルでの法令はこれ まで存在しておりませんでしたが、2016 年 6 月 8 日、 欧州議会及び EU 理事会は営業秘密に関する EU 指

令 2016/94319)を最終的に採択し、本 EU 指令は 6 月

15日のEU官報に掲載されました。各EU加盟国は、 この営業秘密に関する EU 指令の内容が仮に国内で 担保されていない場合、2018 年 6 月 9 日までに、本 EU 指令を担保するために必要な措置(国内法の法 改正)を講じる必要があります。

 営業秘密に関するEU 指令の背景として、これま でにおいても、各 EU 加盟国において一定程度の営 業秘密の保護がされていましたが、保護の方法や内 容は各 EU 加盟国によって異なっているため、国境 を越えた共同研究開発に支障をきたしているとの問 題点が指摘されていました。これに対し、2013 年 11月に、営業秘密の保護に関するEU指令案が欧州 委員会によって提案され、2015年12月に、EU議長 国ルクセンブルクと欧州議会の代表が EU 指令案に 仮合意をし、最終的にEU指令の採択となりました。

 EU 理事会のプレスリリースによりますと20)、こ

の営業秘密に関するEU指令により、各EU加盟国は、 営業秘密に係る不法使用等に対して民事上の救済手 段を確実なものとするため、救済措置を確保する義 務を負うこととなるとしています。これにより、営 業秘密保有者は、営業秘密の不法使用等により損害 が生じた場合、当該損害に対する救済を請求するこ

19) 営業秘密に関する EU 指令 2016/943 については、以下参照:http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:320 16L0943&from=EN

20) EU 理 事 会 の プ レ ス リ リ ー ス(2016 年 5 月 27 日)に つ い て は、 以 下 参 照: http://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2016/05/27-trade-secrets-new-directive/

欧州委員会

(8)

稿

いう意味では初回でしたが、同様の会合はこれまで も取り組まれてきました。現在の関心事項は、審査 が遅いこと(「Early-certainty from search」(サーチ レポート発効までの期間の早期化)が進められた半 面、その後の審査に大きな遅延が生じている)が大 きな位置を占めています(EPO では審査維持料金 がかかるため、審査が遅いことは料金の上昇にもつ ながります)。意見交換では、単に審査が遅いと訴 えるのではなく、日系企業からビジネス展開を図る 上でのタイムリネスな権利付与が EPO の審査価値 を高めるという文脈でプレゼンを行い、EPO の理 解と協力を図ることに留意しました。また、それに 付随して、日本の PPH の活用状況などについて問 いました。

 EPO からは、「Early-certainty from search」・ PACE(早期審査)への取組状況が説明されると共 に、審査官に対する事情説明の重要性が述べられま した。今後は、一層のビジネス展開に対するタイム リネスな審査の促進のため、欧州企業の評価も高い 我が国の「まとめ審査」の導入を訴えていきたいと 考えています。また、EPO のみならず、その他の 欧州機関との意見交換も視野に入れて活動を進めて います。

②マンハイム地方裁判所との意見交換

 知財訴訟に関して、欧州では、ドイツでの訴訟が 多いのですが、その中でも、デュッセルドルフ地方 裁判所を始め、いくつかの地方裁判所(地裁)に知

財訴訟が集中しています22)

 欧州委員会の報告21)によれば、EU 全体の輸入差

止申請数は2015年には33,191件(20,929件(2014年)) にも上ります。模倣品の出所については、40%が中国 であり、モンテネグロ(約18%)、香港(約9%)、マレー シア(約 9%)が続いています。さらに、特定の物品 については特定の国、例えば、アルコール飲料はメ キシコ、衣類はトルコからの流入が認められます。  欧州当局も模倣品対策を進めており、税関での模 倣品の差止は 2015 年には 81,098 件、金額ベースで は約 6 億 5,000 万ユーロに達しています。さらに、 税関における知財権行使に関するEU新規則が2014 年に適用開始となり、模倣品の廃棄のための簡略手 続の導入、インターネット上の模倣品対策の強化が 進められています。

 模倣品に対するドイツの取組の一つを紹介する と、模倣に対する非難の意味を込めた「プラギアリ アス賞(Plagiarius Award)」が、世界最大級の消費

財見本市である「アンビエンテ(Ambiente)」(フラン

クフルト)において授与されています。同賞は、 1977 年に創設されて、2016 年に 40 回目の節目を迎 えました。なお、「Plagiarius」とはラテン語で「模倣

品」「盗作」を意味する言葉です。実施団体であるア

クションプラギアリアス協会によると、ノミネート された物の中から審査員により選出された最も破廉 恥な(the most flagrant)模倣品について、非難の意 味を込めて、その製造業者や販売業者に対して授与 しているものです。同賞は、模倣品とされる物が合 法なのか違法なのかについて中立の立場をとってい ますが、製造業者や販売業者が、世間体や悪評が立 つことの恐れから、模倣品とされる物を市場から自 主的に回収するなどの動きに繋がっているようです。

5. 取組

 ここで、これまでの欧州 IPG の主な活動をご紹 介させていただきます。

(1)欧州知財機関との意見交換事業 ①EPOとの意見交換

 EPO との意見交換は、欧州 IPG との意見交換と

21)http://europa.eu/rapid/press-release_IP-16-3132_en.htm

22)加藤志麻子、「日本は魅力的な訴訟提起地になれるか? 」AIPPI(2015) Vol.60 No.1

(9)

裁判所とも意見交換を進めていきたいと考えてい ます。

(2)情報提供事業

①デュッセルドルフ知的財産カンファレンス2016

 2016年9月、ドイツ・デュッセルドルフにて、「デュッ

セルドルフ知的財産カンファレンス2016」23)を実施

しました。テーマは、日系企業の関心を考慮して、 欧州単一特許・統一特許裁判所、及び職務発明にし ました。日系企業が多いデュッセルドルフではあり ますが、知財に関しては、開発や営業の担当との兼 務の方がほとんどであるにも関わらず、多数の参加 者を得ることができました。また、ドイツ国内はも とより、英国、フランス、オランダなど欧州各国から、 さらには日本からの出張によりご参加いただいた方 もおり、関心の高さが伺えました。

 講師としては、第一部(欧州単一特許・統一特許 裁判所制度)では、Margot Fröhlinger 氏(EPO 欧 州単一特許制度、欧州及び国際法務課首席課長)、 Kevin Mooney 氏(Simmons & Simmons パートナー 弁護士、欧州統一特許裁判所協定手続規則起草委員 会議長)、Pierre Véron 氏(Véron & Associés パー トナー弁護士、欧州統一特許裁判所協定手続規則起 草委員会委員)、第二部(職務発明)では、Heinz Goddar 氏(Boehmert & Boehmert パートナー弁護 士)、竹中俊子氏(米国ワシントン大学法学部教授) といった第一人者に、それぞれご講演いただきまし た。また、特許庁から、伊藤仁顧問(当時)に来賓 のご挨拶を頂きました。

 裁判所の進め方・考え方を正しく理解することは、 訴訟戦略を適切に進める上で必要不可欠です。そこ で、まず、2016 年 11 月にマンハイム地裁と意見交 換を行いました。マンハイム地裁の特徴はそのス ピードにあり、およそ 1 年で決着がつくケースが多 いとのことでした。バイファーケーション(特許無 効訴訟(連邦特許裁判所で扱われ 2 年以上で決着す るケースが多い)と侵害訴訟が分離処理されるドイ ツの制度)において、侵害訴訟の早期の審理は権利 者に有利である一方で、悪意の PAE から訴えられ る場合を想定すると懸念とみる企業もおります。当 日は、マンハイム地裁における審理の流れ、ドイツ 連邦特許裁判所との連携などについて、質疑応答を 行いました。判事 3 名の参加を得て、大変丁寧に説 明をいただくことができました。

 今回、マンハイム地裁に対して裁判手続の考え方 について意見を伺うことができましたが、これは、 他の裁判所と比較することでより理解が深まり、日 系企業の訴訟戦略にも寄与するものと思われます。 そのため、今後、デュッセルドルフ地裁など、他の

23) 「『デュッセルドルフ知的財産カンファレンス 2016』特集号」(ジェトロ・欧州知的財産ニュース)(2016 年)(Vol.80)については、以下 参照:https://www.jetro.go.jp/world/europe/ip/archive/pdf/news_020_2.pdf

欧州における特実侵害訴訟件数(2011年)

ドイツ地方裁判所における特実侵害訴訟件数 (2011年)

0 500 1000 1500 ドイツ

フ ンス イタ イ ス

0 100 200 300 400 500 デュッセルドルフ

ン イ ン ル ミュンヘン ュルン ル

ル ン フ ン フル

(10)

稿

6. 終章

 最後に、弊所の所在地であるデュッセルドルフを

ご紹介したいと思います24)。デュッセルドルフは、

ドイツに 16 州ある内の一つの州(ノルトライン= ヴェストファーレン州 ※ドイツ随一の経済規模を 誇り、ドイツの GDP 全体のうち 20%以上を占めて

いる25))の州都です。ドイツでは、オランダやベル

ギーにもほど近い西端ですが、欧州全域からみれば 比較的中心部に位置しています。EU 理事会や欧州

委員会などが置かれるブリュッセル26)にも簡単に

アクセスできます。

 知財の観点でみても、デュッセルドルフには、ド イツ侵害訴訟の多くが集中するデュッセルドルフ地 裁があり、知財系の法律事務所も多く、デュッセル ドルフ大学でも知財カンファレンスが行われていま す。また、デュッセルドルフは、日本人が多く住む 街であり、日本人への関心と理解が高くドイツ側の 協力を得やすいように思われます。

 とはいえ、弊所のカバー範囲は、英国ロンドン(日 系企業の欧州統括が置かれており知財担当者も多 く、英国知的財産庁(UKIPO)もある)、独国ミュ ンヘン(欧州特許庁(EPO)やドイツ特許商標庁 (DPMA)があり日系企業知財担当者も多い)、西国 アリカンテ(欧州連合知財庁 EUIPO がある)、仏国 パリ(仏国産業財産庁(INPI)がある)、ロシア・ CIS 地域も含めて極めて広くなっています。そのよ うな中で、事業を推進するためには、各国のジェト ロ事務所、大使館・領事館のご協力は不可欠です。 さらに、在欧日系企業の知財担当者、欧州各地で活 躍されている日本人法律家のアドバイス、さらには、 欧州の政府機関、企業、法律家、大学・研究機関に 至るまで多大なるご協力をいただいております。こ の場を借りて感謝申し上げます。

 欧州 IPG は、今のところ、法律家などは含まな い日系企業メンバーによるグループとなっており、 日系企業メンバーを企業外の皆で周りから盛り立て

②ロシア知財セミナー

 欧州域内への模倣品の侵入ルートはいくつかあ り、蘭ロッテルダム、独ハンブルク、仏マルセイユ なども知られていますが、東欧やドバイ経由でも侵 入しているといわれています。ロシア・CIS 地域は その地域自体での模倣品の流通量が多いといわれて いますが、その中継地としても関心が高いこともあ り、2016 年 12 月にモスクワにて、ジェトロ・モス クワ事務所と協力しロシア知財セミナーを開催しま した。本セミナーでは、権利取得面、権利侵害面に ついて説明をするとともに、現に困っている者に対 する無料個別相談会も実施しました。現在、日ロ両 国は政府レベルでの交渉を進めている最中ですが、 本セミナーも知財協力事業の一つと位置付け、我が 国特許庁、ロシア特許庁、ユーラシア特許庁から講 師派遣の協力を得ました。日ロの特許庁が一堂に会 する場ができたことは、当地における日系企業に安 心感を与えられたように思われます。今後は、模倣 品の流通経路における情報交換を通じて企業の模倣 品対策に寄与していくために、ジェトロ・ドバイ事 務所に協力を得て共同 IPG の開催なども進めたい と考えています。

 なお、欧州IPG 活動のほか、ジェトロ・デュッセ ルドルフ事務所では、欧州における最新の知財関連 情報「欧州知的財産ニュース」の提供、来訪者の相 談に応じ欧州知財情報の提供などを行っています。  

24)デュッセルドルフの紹介は、北村弘樹、「“遅々として進む欧州”を振り返って」、特技懇、2010.1.29no256 にも詳しい。

25) 2015 年のノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW 州)の GDP は約 6,456 億ユーロであり、以下参照:https://www.nrwinvest.com/ en/nrw-at-a-glance/location-factors-nrw/business-location-germany-nrw/

26) 欧州議会本会議場がストラスブール(委員会等はブリュッセル)、欧州委員会及び EU 理事会はブリュッセルに置かれています。EU の 各実施機関も各地に置かれており、アリカンテ N に置かれている EUIPO もその一つです。

(11)

(ご参考)

 欧州知的財産ニュース購読はこちら

 〜 http://www.jetro.go.jp/world/europe/ip/ ていけるような体制を確立したいと考えています。

欧州では(でも)サッカーの人気が高いですが、ちょ うどサッカーのプレイヤーとサポーターの関係に重 ね合わせています。我々も熱狂的サポーターとして 微力を尽くしたいと思います。

 最後に、かなり前にご依頼をいただきながら、日々 の業務を言い訳に後回しにしてしまったせいで、も う年の瀬も迫った時期となってしまいました。街で はクリスマスマルクトが暗い冬の欧州に彩を添えて います。デュッセルドルフ知的財産部に飾られたク リスマスカードを眺めながら、ご協力いただいてい る皆様に感謝しつつ、今回のご報告をここで終えた いと思います。

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rofile

中野 宏和(なかの ひろかず) 1996 年 特許庁入庁(審査第三部) 2001 年 経済産業省大臣官房政策企画室 2004 年 南カリフォルニア大学 2006 年 総務部国際課長補佐

2010 年 内閣官房知的財産戦略推進事務局 2012 年 審判部審判官

2013 年 審判部審判課長補佐

2013 年 総務部国際政策課多国間政策室長

2015 年 ジェトロ・デュセルドルフ事務所 知的財産部長

田内 幸治(たうち こうじ)

2003年 特許庁入庁(特許審査第四部) 2008年 総務部企画調査課

2011年 ワシントン大学 2013年 総務部企画調査課長補佐 2014年 総務部総務課制度審議室長補佐

2016年  ジェトロ・デュッセルドルフ事務所 知的財産副部長

欧州地図(水色はEU28国) デン ー

ース ン ル ー

ロス ス

スロ

スロバ

ス イン フ ンス

イタ

ルタ ル ルー イ ス

ン ー ス ーデン

フ ン ンド

ドイツ ル セン ル

イル ンド ー ンド

ル ル

デュッセルドルフ

知的財産部メンバー

参照

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