2016年度 基礎ゼミナール
マンキュー入門経済学 第 1 部イントロダクション
第 3 章「相互依存と交易からの利益」
1. 第3章では何を議論しているか?それを議論する目的は何だろうか? 1. 現代経済の寓話 (p.79~)
2. <考察>牛飼が牛肉しか作れず、農夫がジャガイモしか作れない場合、どうして取引を行うこ とで2人ともより豊かになると言えるのか?(隠れた前提は何か?)
3. 牛飼はジャガイモも作れるが牛肉を作るほうが得意だとする(例:牛飼の土地は栽培に向いて ない)。農夫は牛肉も作れるがジャガイモを作るほうが得意だとする(例:農夫は牛飼いの知識 に乏しい)。このような場合にも取引をすることで2人とも豊かになるのか?
A. 「特化」とは何か?
4. 牛飼は牛肉もジャガイモも作れて、しかもこの2つを作るのが農夫よりも得意だとする。この 場合はさすがに農夫などとは取引せずに自給自足したほうがいいのだろうか?
5. 図3-1は何を述べているのか?経済学の第1原理「トレードオフ」との関係は?
6. 自給自足の生活を続けた後、牛飼は農夫にどのような提案をしたのか?
B. <考察>この牛飼は自分がした提案を農夫が確実に受け入れるだろうと予測できている。 それは何故だろうか?それを考えるために、あなたが農夫で現在牛肉を5オンス、ジャガイモ を5オンス作って持っているとする。そこに牛飼がやってきて取引の交渉が始まった。もし取 引が失敗すればあなたは自分で作った牛肉とジャガイモをそのまま食べることになる。さて、 以下のうち、あなたが「確実に受け入れる提案」「確実に受け入れない提案」はどれか?
提案A「あなたのジャガイモ1オンスを私に譲って下さい」
提案B「あなたのジャガイモ1オンスと私の牛肉1オンスを交換しましょう」 提案C「あなたの牛肉1オンスと私のジャガイモ1オンスを交換しましょう」 提案D「あなたに私のジャガイモ1オンスを譲ります」
提案E「あなたに私のジャガイモ1オンスと牛肉1オンスを譲ります」 7. 牛飼の提案によって牛飼も農夫も得をすることを証明しよう。
C. <考察>図3-2(a)(b)では取引後の消費点がA*, B*で表されている。2人とも得をしている と言えるのはどうしてだろうか?この図から考えよう。
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D. <考察>実はこの牛飼の提案は、牛飼にとって最適なものではない。牛飼がもっと利己的 な提案をすれば、牛飼はもっと食料を食べられる。農夫が受け入れ、かつ牛飼が更に得をする ような他の提案はどのようなものだろうか?
2. 比較優位:特化をもたらす力 (p.84~)
8. ジャガイモの生産費用を測る2つの方法は?
9. 「絶対優位」とは何か?
牛肉1オンス ジャガイモ1オンス 農夫 60分かかる 15分かかる 牛飼 20分かかる 10分かかる
10. 牛飼と農夫、どちらがより少ない時間で1オンスの牛肉を作れるか?
11. 牛飼と農夫、どちらがより少ない時間で1オンスのジャガイモを作れるか?
12. <考察>あなたが畑のオーナーで、1 人を雇って働かせて 12 オンスのジャガイモを収穫した いとする。時給1000 円でこの牛飼か農夫を雇うとしたら、どちらを雇うか?またそれは何故 か?(ヒント:牛飼は1時間で6オンス、農夫は1時間で4オンスのジャガイモが作れる) 13. 自給自足状態を考えよう。このとき牛飼と農夫はどんなトレードオフに直面しているのか?
14. 牛飼にとって、ジャガイモ1オンス作ることの機会費用と、牛肉を1オンス作ることの機会費 用は何か?
15. 農夫にとって、ジャガイモ1オンス作ることの機会費用と、牛肉を1オンス作ることの機会費 用は何か?
16. 「比較優位」とは何か?
17. 「1人が2つの財の両方に比較優位を持つことはない」と言えるのは何故か? E.<考察>牛飼の提案は絶対優位と比較優位、どちらの観点からのものか?
18. 15オンスのジャガイモと5オンスの牛肉を交換するとき、牛肉1オンスの価格はいくらか?
19. 農夫にとって、牛肉を1オンス作ることの機会費用と、交換するときの費用、どちらが高いか?
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F. <考察>あなたは何かを得るために時間を犠牲にする派?それともお金を犠牲にする派?
G. <考察>あなたは夏休み中に、急に東京から京都に二泊三日の一人旅に行きたくなった。 選択肢として①新幹線で行く(片道14000円、2時間15分)、②青春18きっぷで行く(片道 2370円、約9時間)、の2つがあるとしよう。このとき交通費が高いのは①だが、機会費用が 高いのはもしかしたら②かもしれない。その理由を答えなさい。(ヒント:②はお金を節約する 代わりに何が犠牲になっているのか?)
H. <考察>ここに京都に通じている“どこでもドア”があり、それを通って 7 時間だけ向こう で自由に過ごして良いというチケットがあるとしよう。あなたはこのチケットに最大何円まで お金を出しても良いですか?(つまり:京都で過ごす7時間の金銭価値はいくら?)
I. <考察>農夫にとって「自分で牛肉を1オンス作る」のは時間とお金どちらを犠牲にしてい るのか?(この場合、物々交換の世界なのでお金=手持ちのジャガイモ)
20. 結局、なぜ牛飼の提案によって2人とも得をすることが出来たのか?
J. <考察>アダム・スミスはテキストp.89の国富論の中で何を唱えているのか?
21. 「両者が取引から利益を得るには、価格は両者の機会費用の間に無ければならない」は本当 か?農夫と牛飼の例で考えてみよう。
農夫にとっての牛肉1オンスの機会費用:
牛飼にとっての牛肉1オンスの機会費用:
交換における牛肉1オンスの価格:
もし牛肉1オンスの価格がジャガイモ2オンス未満なら?→
もし牛肉1オンスの価格がジャガイモ4オンスより大きいなら?→ 22. もし価格が両者の機会費用の間に無ければどうなる?
3. 比較優位の応用例(p.90~)
23. アメフトの有名選手トム・ブレイディは恐らく誰よりも早く芝刈りが出来る。したがって他の 人に代わって彼が芝刈りの仕事をするべきか?
24. <考察>2人が別々なことに特化した後に交換を行なってお互いに得をした経験はあるか? 25. アメリカが食料生産において比較優位を持ち、日本が自動車生産において比較優位を持つとし
よう。このとき、両国はどのような行動を取ればお互いで得をするだろうか?
2016年度 基礎ゼミナール
以上、マンキュー第3章について概観してきた。ここからは、それを踏まえて「比較優位と特化」 が本当に望ましいのか一緒に掘り下げていこう。(以下はテキストには無いオリジナルのトピック) 4. 両国が特化をすれば必ずお互いに豊かになれるのか?
26. <考察>「モノカルチャー経済」を考えてみよう。例えばエチオピアは輸出額の8割が食料品 で、輸入額の7割が工業製品である。同時にエチオピアは貧困国であり1人あたりGDPは5.5 万円しかない。確かに現在は工業製品よりも食料品に比較優位があるが、今後も永遠にモノカ ルチャー経済を続けることがエチオピアの人々にとって得だと言えるだろうか?
27. <考察>トヨタ社はアメリカで自動車を売るために技術開発を行い、日々その性能を向上させ ている。先ほどの比較優位の議論に基づいてアメリカが食料品の生産に特化した場合(つまり GM 社やフォード社のようなライバル企業が消えた場合)、トヨタはわざわざお金をかけて技 術開発をするインセンティブはあるだろうか?
28. <考察>同じ自動車でも、会社によってデザインやコンセプト、燃費やアフターサービスなど で大きく差があるのが現状である。消費者が自動車を購入するときは、決して値段だけでなく そういうものへの自分の好みも関わってくるだろう。さて、アメリカが食料生産に特化して自 動車生産をやめた場合、アメリカの消費者はどういう問題に直面するだろうか?
29. <考察>地球規模の気候変動に伴い、大型のハリケーン(台風)が毎年のように各地で甚大な 被害をもたらしている。さて、仮に日本が自動車に特化して、アメリカがコメや小麦に特化し たとしよう。比較優位の理論上はこれで両国が得をするはずだが、それはあるリスクが無いと 考えた元での議論である。さて、それは何だろうか?
次回予告(5 月 17 日、第 4 章 pp.104-137)
「市場価格」は何によって決まるのか?
経済全体で何かイベントが発生すると、それがどのように消費者の需要曲線、生産者の供給曲 線を動かすのか?そしてその結果、価格と取引量はどうなるか?