メカニズムデザイン 宿題 6
奥村 恭平
∗†‡November 4, 2017
(1)期待収入を最大化する
(
y, r)
を導け売り手のvaluationをωs,買い手のvaluationをωbとする.ωs, ωbi.i.d.
∼
U[
0, 1]
である.このとき,売 り手にrを,買い手にyを提示したときの仲介人の期待利得Πは,Π
(
r, y)
:= (
y−
r)
Ps(
r)(
1−
Pb(
y))
= (
y−
r)
r(
1−
y) ((
r, y) ∈ [
0, 1] × [
0, 1])
FOCは,
∂Π
∂r
=
0,∂Π
∂y
=
0⇐⇒ (
1−
y)(
y−
2r) =
0, r(
r−
2y+
1) =
0[
0, 1] × [
0, 1]
の範囲でFOCを満たす(
r, y)
の組は,(
0, 0)
,(
0, 1)
,(
1/3, 2/3)
の3組.そのうち最大値を 与えるのは,(
r∗, y∗)
:= (
1/3, 2/3)
であり,Π
(
r∗, y∗) =
1 27>
0となる.1つまり,仲介人は,効率性を無視して利益最大化を図った結果,正の期待利得を実現している.
(2)効率的配分が達成されないタイプの組の範囲を示せ.
効率的配分が達成される
⇐⇒
[ωs≤
ωb⇐⇒
売買取引が成立] であるが,(1)の結果より,取引はωs≤
1/3, ωb≥
2/3のときしか成立しない.いま,ΩE :
= { (
ωs, ωb
) |
ωs≤
ωb}
ΩI :
=
{(
ωs, ωb)
ωs
≤
1 3, ωb≥
2 3
}
と定義する.ΩEは効率的な配分のためには取引が成立する必要があるタイプの組の集合を,ΩIは仲介 人が
(
y∗, r∗)
を提示するとき実際に取引が成立するようなタイプの組の集合をそれぞれ表している.よって,
(
ωs, ωb) ∈
ΩE\
ΩIのときは,効率的配分が達成されない.ΩE\
ΩIを図示すると,次図の 赤い領域のようになる.∗first-year master student at Graduate School of Economics, the University of Tokyo
†E-mail: utgame2017@gmail.com
‡誤り等見つけた場合は教えて頂ければ幸いです.質問がある場合も上のメールアドレスまでご連絡ください.
1Πは連続関数であるので,[0, 1] × [0, 1]上で最大値をとる.FOCを満たす点と境界点が最大値を与える点の候補になる. この場合境界点では関数値は0になっている.
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