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認知症研究の流れ

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Academic year: 2021

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認 知 症 研 究 の 流 れ

私は本学を卒業後, 院生として病理で免疫染色を身に つけ,1980年に神経内科に入局した.当時,平井俊策教授 が, 神経内科では珍しく認知症の研究をしていた. そこ で, 認知症の病理研究を始め, 以来 30年になる. 1980年代には, アルツハイマー病の脳病変である老人 斑と神経原線維変化の構成要素として βタンパクとタ ウタンパクが明らかにされ, 早速免疫染色にとりかかっ た. すると, 通常の銀染色では見落としていた老人斑が しっかり染め出され, これを diffuse plaqueとして幾つ か論文を書いた.現在,diffuse plaqueという用語は,世界 標準で われている. また, diffuse plaqueの中での βタ ンパクの存在様式を免疫電顕で詳しく調べ, 細胞膜に蓄 積し始めることを見いだした. これらが, 寝食を惜しん で臨床の傍らに行った研究の自慢話である. 若いからで きた その一方で, 病変のできあがった認知症の脳よりも, 加齢に伴う認知症病変の進展過程に興味を持ち, 病理研 究を続けているうちに, 臨床症状は脳病変だけでは決ま らないことに気づいた. 脳には脳病変に打ち勝つ力があ る. 1990年にリハビリテーション (リハ) 関連の教職に就 いた関係で, 2000年頃からは認知症のリハにも取り組ん でいる. 認知障害そのものを良くすることは困難である が, 妄想や徘徊などの行動・心理症状 (周辺症状) は, 関 わり方やリハで改善する例が多い. 認知症は治らないと する え方から, たとえ認知症になってもその人が持て る能力を発揮して楽しく過ごすことは不可能ではないと えた. そこで, ①快 : 楽しいリハ, ②コミュニ ケーション : 心の 流があるリハ, ③役割 : 認知症の人が役割 (能力) を発揮して自己効力感が高まるリハ, ④褒められる : す ごいねと言われて意欲が向上するリハ, ⑤ Error-less learning : 間違わないよう支援して褒めるリハ, を原則 とする脳活性化リハを提唱した. リハにもエビデンスが 求められるが, 介入方法を限定するのではなく, 介入原 則を決めることで, 介入効果を示しやすくなる. これからの認知症研究は, 認知症の認知障害だけを単 純に捉えるのではなく, そのために生じる生活障害, さ らには自己モニタリングの障害や, 周囲の人とのコミュ ニケーション障害などへの対応にまで拡げる必要があ る. 認知症を認知障害という側面だけでなく, 生活障害 や社会脳の障害と捉えて, 全人的な医療・ケアを提供す ることが医療人に求められる時代になっているのであ る. 30年に亘る認知症研究の中で, 脳病変を診る病理か ら, 症状を診る神経内科を経て, 生活を診るリハ医とな り, 現在は社会脳に注目して人間学を磨いている. 医学 から保 学に移り, 視野を広げられる幸運に恵まれた. 認知症一筋に, いろいろな人に出会い, 教えられ, 研究を 楽しめたことを感謝している. 文 献 1. 山口晴保編著 : 認知症の正しい理解と包括的医療ケアの ポイント∼快一徹 脳活性化リハビリテーションで進行 を防ごう. 2版, 協同医書出版, 2010 229 Kitakanto Med J 2011;61:229 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保 学研究科リハビリテーション学講座 平成23年2月21日 受付 論文別刷請求先 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保 学研究科リハビリテーション学講座 山口晴保

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