精神薄弱児における職業的社会化の様相とパターン
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(2) 26. retarded. 原 cbildten. exists. in the. process. 純輔・渡辺裕子. of role. negotiation.. 1. 日. 次. 1.はじ竣)に. 2.職業的社会化の状況 2.1問題 2.2. 調査の手続きと方法. 2.3. 職業認知. 2.4. 職業興味. ・2.5 2.6. 職業選択態度 職業的自我. 3.職業的社会化の仮説的モデル 3.1職業的社会化の様相 3・2. 職業的社会化のJ!ターンとその問題点. 1.は. じ. め. に. 「職業」というLものが,われわれの社会生活にとって重大な意義をもっていること,それ 故・われわれの職業生活にかかわるさまざまな問題が,社会学や心理学をほじめとする諸. 学問領域の重要な研究テーマであることは,ここで改めて指摘するまでもないだろう1'。 このことは,また,知的能力の発達が遅滞しているいわゆる精神薄弱児や精神薄弱者(本 稿の2および3で分析の対象とするのほ前者の方であるので,以下でほ,まとめて「精神 薄弱児」と記すことにする)にとっても,同様である。 ただ,これまでのところ精神薄弱児の職業に関する研究は,それはど活発になされてき たとは言い難い。なされてきたとしても,それらは精神薄弱児を社会生活を送ったり職務 を遂行する上で能力に欠陥を有する存在としてだけ注目し,取り扱ってきているように思 われるo確かに,精神薄弱児の就労を可能にする上で基本的に問題とされるのは,労働者 として働ける能力があるのか;職場に適応していけるのか;ということであろう。したが ってこれ草セ,先ず,職業訓練や適職開発,雇用管理等の研究がなされてきたことは,当 然であるかもしれない。. しかしながら,これらのアプローチからともすれば見落Lてしまいがちになるのは,精 神薄弱児の側の「生きがいの論理」である。精神薄弱児自身は,職業や職業生活をどのよ うに捉えているのであろうか。労働能力を身につけ,職場に適応しているようにみえたと しでも,働く意志や態度をもっていないとすれば,就労ほ成功したとほいえないであろう。 精神薄弱児に対しても,職業の領域における態度・行動の形成(この過程を,われわれ ほ「職業的社会化」と呼ぶ)に関する理論的および実証的研究がなされることが,必要であ るように思われる。.
(3) 精神薄弱児における職業的社会化の様相とパターン. 27. しかし,職業的社会化の研究は,その重要性に比して,最近まで健常者についてさえ, それはど学問的関心をもたれてきたとほいえない..応用心理学の一分野であり,進路指導 への実践的志向をもつ職業心理学からのアプローチが,その一側面を捉えるものとLて,I 「職業興味」や「職業選択」等の研究を,断片的・個別的に行ってき 1930年代の頃から, た.しかし,この研究が,もっとトータルな職業的社会化ないしは職業的発達という概念 の下で体系的・理論的紅扱われるようになJ,たのほ,. 1950年頃からである.. 職業的発達を, 「職業1Lと自我との関わりの発達」皇)であって, 「誕生から死に至るまで継 (D・ 続して学習される過程」8)と捉え,職業的発達概念を初めて使用したのは,ス-′<E.. Super)であったoこの概念を=.よって,成人期とせいぜい職業選択期になされるものと. 考えられていた職業意職・態度の獲得は,発達的・形成由視点から捉えられることになっ た.そしてその後,スーパーの研究を発端として,職業的発達の構造を明らかにするいく っかの努力がなされた。しかしそれらは,職業的発達の構成要素と考えられるものを並列 的に扱うのみで,構成要素間の相互関連を明らかにしようという試みがなされることほな く,職業的発達というトータルな概念が含意する全体構造性の解明に迫るものではなかっ た。また,スーパーのいう自我の確立と職業的発達との関連も,その重要性が指摘されな がらも,自我概念の操作化に伴なう困難から,あまり明らかにはされなかった。 社会環境的要田に,より強調点を置いた職業的社会化概念ほ,職業的発達概念にやや遅 「職業的社会化」と題する論文が発表されたり4),また, れて用いられ始めた。今日では, 社会化の概論書の中で1つの章が与えられが)等,社会化研究における一領域を占めてい るといえよう。これらの研究ほ,態度・行動様式の獲得状況を把握するとともに,これに 加えて,それが職業的社会化研究と呼ばれるものである以上,社会化エイジェソトとの相 互作用のメカニズムや環境要因の分析が,その課題とされるべきである。しかし,これま でこの点については,あまり研究されてこなかったといえる.一般的な社会化と比べ,職. 業的社会化,政治的社会化,道徳的社会化等々の行動領域別社会化ほ,社会化される(普 たはする)内容を重視した結果,分化した概念であるから,研究の初期において,その内 容の記述が中心的課題とされるのも,理由のないことではない。しかし,このような社会. 化の状況把捉の研究の背後に特,少なくとも社会化のメカニズムや要田についての問題関 心が,控えていて然るべきであろう。. 以上の視点から,本稿でほ,精神薄弱児の職業的社会化にかかわるいくつかの問題をと りあげ,分析を行いたい。 本稿の構成は,先ず第1に,中学・高校段階の精神薄弱児の職業的社会化の状況を,同 等め知的能力をもつ普通児と比較することによって分析する. 職業的社会化を論ずる際にとりあげられるべき構成要素に関しては,種々の議論がある。 「職業認知」 「職業興味」およ 詳しくは別稿にゆずりたいが,ここでほそれらのうちから,. び「職業選択態度」をとりあげる。これらわ間の関連が,筆者が「職業的自我」と呼ぶも のの分析を通して,検討される。 第2に,データ分析結果にもとづいて,精神薄弱児に特徴的な社会化のいくつかの様相.
(4) 28. 原. 紙輔・渡辺裕子. (phases)杏,筆者なりに構成してみる。 そして最後に,これらの様相を結合することによって,精神薄弱児における職業的社会 化の仮説的な進行の′1ターンを提示し,このパターンから,社会化における問題点を指摘 する。. この第2,第3の手続きにおいては,社会化エイジェソトの「役割期待」,社会化主体自 身の規定する「役割観念」およぴ「役割行動」という役割の3変数の相互連関システムと して,社会化の様相と.1ターンが示され,社会化エイジェ./トと社会化主体との相互作用 の仕方や社会化の安国などが,考察される。. 2.職業的社会化の状況 2.1同. 産. 筆者は,これまで,. 「精神薄弱児の職業的社会化」をテーマとして, 2回の調査(1978年, 1981年)を実施した6).本稿で分析の対象とするのは,第2回目の調査結果であるが,そ こでの問題設定の基礎となったのは,第1回の分析結果である。そこで,先ず,第1回目 の調査における知見の一部を要約するとともに,そこから引き出されるいくつかの問題点 を示すことにしよう。. 散華興味 質問ほ, 25の職業名の一つ一つについて,. 「あなたほ,これからあげる職業をやってみ. たいですか,それともやってみたくありませんか」という形でなされ,. 「やってみたい」. 「やってみたくない」のいずれかのカテゴ.)-で,回答を求めた.. 「やってみたい」と答え. た者の比率の一部抜粋が,蓑2.1に示されている。ここで大変興味深いのは,精神薄弱の 男子が,普通児の場合であれば選択されないようないわゆる女性的職業に対して,また, 蓑2・1やってみたい職業(%)a) 調 職. 業. 精神薄弱児b) 6年生c) (N-47) (N-44). の. 属. 3年生d) (N-39). 30. 21. 13. 57. 64. 44. 0. 0. 26. 27. 13. 49. 27. 36. 34. 9. 3. 40. 7. 5. 精神薄弱児. a)各職業に対して, 「やってみたい」と答えた者の比率である. b)養護学校高等部および中学校特殊学級の生徒である. c)小学校6年生. a)小学校3年生.精神薄弱児と同等の知的レベルにあると考えられるo. (N-29). 45252. 19. 性. 女. (. 1錨241. デザイナー とこや・)i-マ星. 象. g32. 漁師 鉄道の駅員 看護婦 工 員 トラックの運転手. 対. 子. 男. 名. 査. 子. 6年生3年生 (N-33) (N-36) 6 12 46. 47. 3. 3. 0. 0. 9. 61. 6. 25.
(5) 29. 揖神薄弱児における職業的社会化の様相とパターン. 「看護. 女子が同様の男性的職業に対して,肯定的反応をしているという点であるo例えば・. 婦」は,普通児であれば男子にほまったく選ばれていないにも拘らず・精神薄弱児でほ19 「トラックの運転手」は,普通児の女子にはまったく選ばれて %が選択している。また, いないのであるが,精神薄弱児では14%が選択しているoつまり・精神薄弱児には,輿 性役割の回避傾向が社会化されていないのであるo一方,この25の職業について,その 職業の内容についての理解の程度も調べてみたが(職業知識)・精神薄弱児は普通児と比 べて,理解の程度が低いとはいえなかった.職業内容の正解率は,精神薄弱児が54%,同 等の知的能力をもつ小学校3年生は47%であるoしたがって・職業に対する知識がなか ったがため甘こ,このような興味の示し方をしてしまったとは,いえないであろう。 職業における性役帥ミ,普遍兄と同じように社会化されないのは・何故であろうか¢第 1回目の調査における職業知熟ま,職業内容の理解であったoもっと直接的に・男性的職 業・女性的職業についての認知の仕方を尋ねたら,どのような結果が見い出されるであろ ぅか.職業興味だけでなく,他の認知の仕方においても,やぼり・異性役割に対して肯定 的なのだろうか。. 希望職業 自由回答法によって,希望職業名を調べてみると,精神薄弱児は普通児よりも社会化さ 「レーサ-」. 「野球の選. れている,という結果がみられた.回答に非現実的職業(例えば, 手」「デザイナー」等があげられた)の占める割合は・コントロール・グループの普通児が 40%であるのに対して,精神薄弱児は25%であり,内容的に現実化していたoまた,回 答にみられた職種は,普通児の28種に対して・精神薄弱児ほ35種になっており・職種. が多様化していた。精神薄弱児は普通児よりも就職期に近いため,社会化エイジェソトか らの意識的・意図的な働きかけも多くなされ・このように社会化されたのであろうと思わ れる。. しかし,表明された希望職業名から,直ちに・職業選択の社会化が進んでいると判断で きるであろうか。第1に,希望職業は単一回答であるから・複数回答で捉えられる職業興 味よりも,不安定で,偶然的要素に左右されやすいのでほないだろうかo第2に,なされ た職業選択が,社会化主体にとって,どの程度横極的な意味をもっているのであろうか。. 精神薄弱児は,職衰運択過程をどのようなものとして捉え・どの程度の関心をもっている のであろうか。. 2.2. 調査の手続きと方法. 調査期間 1981年5月12日-7月8日 調査対象 精神薄弱児については,神奈川県川崎市内の公立中学校7校の特殊学級生徒・並びに神 奈川県内の養護学校4校の高等部生徒を,対象としたo年齢は12-19歳,知能指数(IQ) は37-96であり,中・軽度の精神薄弱児および境界線児である.一方,比較グループの.
(6) 30. 原. 表2・2 -. ・=. --・--. 純輔・渡辺裕子 調査対象の構成. -. ・-- ---・. ..____________________=. 人(人)数年(読)齢平欝笥齢 知簡数 精神薄弱児. 143. 12-19. 8:. 6年生. 168. 11-12. 12:10. 2年生. 144. 7-. 5. 37-96. 普通知であると鑑定. 養護学校高等敵中学校 特殊学級生徒 社会化の方向を検討する ためのグループ. 8. 8:. 6. 〝. 知的能力をコントロール したグループ. 普通児についてほ,神奈川県藤沢市内の公立小学校から,. 2年生と6年生を各4クラスず つ一計8クラスを対象としたo精神薄弱児の平均精神年齢は8歳5ケ月,普通好,である と仮定したときの2年生の平均精神年齢は8歳6ケ月であり,社会化を規定する要因とし て最も重要なものの1つである知的能力は,はぼコントロールされているとみてもよいで あろう8'o. したがって,両グループの社会化の達成に差がみられる場合,それほ,知的能 力以外の環境や年齢によるものと考えられる.もう1つの比較グル-プである6年生は, 社会化が進んでいく方向を検討するために設定されているo. 2年生と6年生の社会化状況 を比較することによって,年齢の増加に伴う社会化の方向が明らかにされるoそれによっ て,精神薄弱児ほ,単に2年生との差異からだけでなく,通常の社会化の進行過程のどこ. に位置づけられるのか,それほ進んでいるのか遅れているのか,という分析視角から把擾 することが可能になるであろうo調査対象の構成ほ,表2・2に示すとおりである。 調査方法 精神薄弱児については・直接学校を訪問し,質問鰍こ従って個別面接調査を実施した. 普通児については,調査を学級担任に俵療L,学級担任によって,自記式の集合調査が行 われた。. 2.3. 耽業認知. 10の具体的な職業のそれぞれに対して,どのように認知しているかを調べたo社会化に. おける性差は本稿の基本的関心でほないが,職業認知と次に示す職業興味に関しては,男 女別に集計を行った。というのは・ここでは具体的な職業名が用いられており,それに対 する意味づ桝i,自己の役割概念に適合的な方向でなされるために,男性役割とみなされ る職業と女性役割とみなされる職業でほ,男女によって意味づけ方が異なると考えられる からである。. 2つの質問の一方ほ, るoこれは,. 「男性的職業・女性的戦業」という認知の仕方に関するものーであ. 「これからあげる職業は,ふつう,男の子がなるものですか,女の子がなるも. のですか・それとも両方なるものですか」,という形式で質問がなされた。回答カテゴ1) ほ,. 「男の子」. 「女の子」. -. 「両方」の3つである俵2,3)0. 結果を要約すれば,普通児においては,女子に比べて男子ほ学年差があまり顕著ではな いoしかし,学年間に差のみられる2職業に着目してみれば,. 6年生になると,. 「両方」と.
(7) 31. 精神薄弱児における職業的社会化の様相とパターン 表2・革. 男性的職業・女性的職業(%) 調. 業. 性. 属. の. 子. 女. l. ●l:.. ・・号…:J書:!≡. ‥:. ... 職. 象. 対. 子. 男 き一…:童=:::. 査. 名 答. 回. カ. 24. 1. 75. 23. 0. 41. 59. 37. 3. 6. 4l. 14. o. 5. 74. 21. 0. 28. 7 9】. 3. 39. 3. 0. 063. 33661. 52 2. 5. 11. 8 CO. 5. 13. 6 ウ】 0. 3 CO. 73. nV. 31. 80. ウ】. 44. 33. 0. 67. 47. 152. 56. 11. 33. 14. ll. 78. 0. 1. 99. 1. 396. 5. 26. 69. 8. 20. 20. 60. 1. 6. 93. 1 1089. 14. 39. 47. 1. 67. 3. 30. 76. 0. 24. 52. 14. 3. 83. 3. 1. 89 1. 94. 5. 0. 97. 3. 41. 15. 44. 23. 11. 66. 17. 9. 75. 0. 50. 平均(M). 93. 0. 70. 69. 0. 0. 90. 10. 0. 98. 2. 3. 94. 21. 277. 34. 29. 37. 7. 19. 74. 26. 7. 3. 394. 3. 21. 76. 0. 0 10 0. 2. 5. 094. 0100. I. 7 6. 67. I. 46. 1. 77. 1. 71 836793. 83. 4. 11. 032. 2. O 1 nV0. 52. 68. 2ー. 方 77584893822. 44. 69. 両. 女の子. 1. $. 方. 男の子. 55. 4.4. (1)スポーツ選手 (2)美容師 (3)お百姓 (4)歌手 (5)デパートの店員 (6)エ員 (7)会社の会長 (8)看護婦 (9)会社の事務員 (10)先生. 両. 86. 方. 女の子. 子子方. 両. 男の子. の. リ. 女の子. の. ゴ. 男の子. 男女両. テ. 66. 1. 2年生の男子では, 「お古姓」になるのは「男の子」で 「両方」ほ52%であり, 「男の子」という回答が「両方」と同程. いう回答が増加している.例えば, あると答える者ほ47%,. 度にみられるoしかし,. 6年生になると,. 少するのである.女子の場合は,明確に,. 「男の子」 「男の子」. (33%)は「両方」. (67%)の半分に減. 「女の子」という回答から「両方」. -. と,変化している.このような学年間の差から,その職業のもつ固定的な性役害IjJfメ-ジ から客観・的資格要件を認識するようになり, 「男の子」 「女の子」という回答から「両方」 に移行した場合,それは社会化とみなせるであろう。 それでは,. 10職業中の「両方」という回答(但し,. 「看護婦」甲み「女の子」という回 「両方」とい. 答)の平均比率を,普通児と精神薄弱児とで比較してみよう。精神薄弱児は, う回答が非常に少ないo 6年生でほ,男子が70%,女子が77%であり,. 2年生では,罪. 子が67%,女子が66%であるのに対し,精神薄弱児は,男子が50%,女子が46%で あるo精神薄弱児は職業の客観的資格要件を認識する段階軒こまでは到達しておらず,かな り保守的な性役割分化をしている職業イメージをもっているといえようo もう1つの質問は,. 「カツコいい職業」という認知の仕方に関してである.これは,. 「こ. れからあげる職業ほカツコいいですか,それともあまりカツコよくありませんか」という. 形式で質問がなされた.回答カテゴ1)-ほ,. 「カツコいい」. _る(表2.4)。 普通児において2年生と6年生との問にみられる差異は,. 「カツコよくない」の2つであ. 10職業中にみられる「カツコ. いい」という回答の平均比率であり,男子は53%から40%に,女子は62%から53%.
(8) 32. 原. 表2・4. カツコいい職業(潔)a) 調. 職. 業. 名. 純輔・渡辺裕子. 男. 査. 対. 象. r:. 女. 子. 幣璽野(6N鵠(N2名著 91. 96. 100. 59. 58. 30. 16. 15. 5. 2. 87. 98. 94. 92. 26. 61. 24. 38. 58. 41. 5. 45. (XU. 456防47637. 006ー0錨171680131. 944527806. (古. 14 15. 平均(M) 標準偏差(SD). 性. (. 子. 幣警野(6N鵠(2N鵠 (1)スポーツ選手 (2)美容師 (3)お百姓 (4)歌手 (5)デパートの店員 (6)工員 (7)会社の社長 (8)看護婦 (9)会社の事務員 (10)先生. 属. の. 77. 91. 81. 65. 48. 69. 74. 64. 40. 53. 65. 53. 62. 20. 37. 34. 25. 37. 33. &)各職業に対して,カツコいいと答えた者の比率であるo. に減少するo社会化が進むにつれて,. 「カツコいい」という肯定的な認知の仕方は減少する. といえよう。. 精神薄弱児の「カツコいい」という回答の平均比率ほ,男子が64%,女子が65%であ った。. 2年生よりも,やや肯定的な受けとめ方をしている。. しかし,普通児との差をもっと顧著に表わしている面がある。それほ,普通児の場合に ほ比率の高い職業と低い職業との差,すなわちレンジが大きいのに対し,精神薄弱児の廃 合には小さく,どの職業の比率も,比較的平均しているということであるoこの10職業 -の反応比率の偏差は,何を表わすのであろうか。もし,認知枠組というものが欠如して 10職業の反応比率はほぼ等しくなるであろう。しかし, いれば,反応はランダムに生C, 認知枠組が確立されてくれば,各職業ほ枠組に従って区B[)がなされ,次第に比率に上下が 生じてくる。したがって,この偏差は,認知枠組の確立度を表わすものと考えられる9)o 10職業の反応比率の標準偏差を調べてみると,. 6年生は男女とも37, 2年生ほ,男子 が34,女子が33で,普通児は大体同程度であるのに対し,精神薄弱児は,男子が20, 女子が25となっている。精神薄弱児は,カツコいいか悪いかということで職業を捉える 認知枠組が,あまり確立されていないように思われる。 さらに職業の内容について検討してみれば,男子の場合,普通児と比べ,. 「美容師」 「デ. パートの店員」 「看護婦」に対する肯定的反応が多いoこれらは女性的職業と一応捉えるこ とができ,精神薄弱の男子は,女性的職業に対しても「カツコいい」と認知するといえよう しかし,第2回目の調査は全体としての調査項目がかなり多く10),ここで質問に用いる職 業数を制限せざるを得なかったために,女子の場合には殆ど,またはあまり選ばれない職 業を含むことができず,精神薄弱の女子が,同様に男性的職業に対して肯定的反応を示す.
(9) 33. 精神薄弱児における職業的社会化の様相とパターン かどうかは,残念ながら調べることができなかったo. 「男性的職業・女性的職業」という認知枠組でほ保守的で固定的な性役割を措き. しかL,. ながら,一方,. 「カツコいい」という捉え方においては性役割のイメ-ジに拘束されず,異. 性役割に対しても肯定的なのは何故であろうかoこの点は,後軒こ精神薄弱児の職業的自我 を探りつつ,考察することとしたい。 2.4. 職業興味 「あなたはこれからあげ. ここでは職業認知に関して用いたのと同じ10の職業について,. る職業をやってみたいですか,それともやってみたくありませんか」,という形で質問が 「やってみたくない」の2つである俵 「やってみたい」. なされた。回答カテゴ.)-紘, 2.5)o. 「カツ. 普通兜においては,職業興味はどのように社会化されていくのであろうかo先ず・ コいい職業」という認知の仕方の減少と同様に,興味も特定化していくものなのであるか どうか調べた。両学年の10職業-の興味の平均比率は,男子の場合は39%から30% 表2・5. やってみたい職業(%)a) 調. 業. 職. 名. 対. 象. 79. 32. 3. 10. 40. 23. 10. 15. 14. 33. 17. 24. 56. 52. 31. 27. 50. 56. 37. 47. 29. 38. 65. 77. 27. 9. 1. 0. 57. 52. 35 36. 35. (10)先生. 平均(M). 34. 29. 28. 58. 32. 30. 39. 4. 'f.ヽ′. 34 19 0 66 50 9 22 83 1 0O. 87. 70. 6. '・i.:I. 6佃年ニ 生的. (N -62). 35 51 63 857728662. (4)歌手 (5)デパートの店員 (6)工員 (7)会社の社長 (8)看護婦 (9)会社の事務員. 性. 精神薄弱児. 45. (2)美容師 (3)お百姓. 属. の. 精神薄弱児 (N-81). (1)スポーツ選手. a)各職業紅対して,. 査. 〈8. 4. 7. 38. 1. 「やってみたい」と答えた者の比率であるo 表2・6. やってみたい職業との相関a). 男性的職業・女性的織業 コ ヵ ツ いい職業 a)ピアソソの横率相関係数. 子. 女. 子. 男. 6年生. 精神薄弱児. 6年生. 2年生. 精神薄弱児. ・72. ・70. ・72. ・76. ・65. .50. .64. ・84. ・65. ・52. 2年生.
(10) 34. 原. 純輔・渡辺裕子. へと減少し,興味の特定化がみられる。しかし,女子は,. 2年生が39%,. 6年生が4、1%. と差はなかった。. ■そこで次に,先に示した職業認知と職業興味の関係を調べた(表2.6)。学年・男女を問 わず, 「やってみたい職業」と「男性的職業・女性的職業」との間にほ,高い相関がある。 その職業が男性的であるか女性的であるかということは,興味の基本的な判断基準である といえよう。しかし,両学年の差異に着目するならば,. 2年生の方が,職業興味と職業認. 知の相関がより高くなっている.すなわち,. 2年生の場合,やってみたい職業ほ男らしく (または女らしく)カツコいい職業なのであるが, 6年生になると,自己のやってみたいと. いう意識と他の捉え方が分化し,認知の客観化が進むのである。 興味の内容についても若干述べると,.B常接触度の高い職業への興味が減少するように 思われる.. 「先生」は,女子の場合にはそれはど急激には減少しないが,男子では,順位は. 第3位から第6位-,比率は58%から28%へと,かなり減少する。また,女子におい ては,. 「看護婦」が83%から66%. -と減少しているb 今度は,精神薄弱児の職業興味についてみていこう.職業認知において,. 「カツコいい職. 業」では肯定的態度が普通児と比べかなり多かったのであるが,. 「やってみたい職業」では それはど多くの職業には反応していない.普通児と同程度に,特定化されている. 次に,職業認知と職業興味との関連では,精神薄弱児の男子は「カツコいい職業」と. rやってみたい職業」との相関が,. 3つのグループのうち最も低い。自分がやってみたいこ. とから生じる職業-の好悪に,他の認知の仕方が影響されないようになりつつあり,より 社会化された状態にあるといえるo例えば,. 「工員」ほ最もやってみたい職業であるにも拘. らず,カツコいいという基準では,. 10職業中第7番目になっているのである。 今度は,内容についてみていこう。精神薄弱の男子ほ普通児と比べ, 「デパートの店員」. 「看護婦」の女性的職業-の興味が高い.特に「デパートの店員」は,. 6年生では第5位, 2年生では第6位で,男子の間ではそう人気のある職業とほいえないのであるが,精神薄 弱児においては第2位に選ばれている。 しかしながらそれ以外の点でほ,むしろ社会化が進んでいるといえようo2年生よりも, 現実的な職業を志向しているo精神薄弱児にとって実際に就職可能性の最も高い職業であ る「工員」は,男子においては第1位になっており,女子においても普通児よりも高い. 適に,. 「先生」の選択が少なく,その他,男子においては「会社の社長」が,女子において. ほ「看護婦」の選択が少ない。精神薄弱児は,高度な知的能力,専門的知識を必要とする 職業に就くことを断念している老も多く,調査時の面接において,. 「難しい」. 「無理だか ら」という回答がみられ,なかには「大学を出ていないと」というような,学歴社会の構. 造を認識している著さえいた。. 職業興味に関して示された結果を先の職業認知と対比させて述べるならば,具体的職業 を捉える認知枠組が未確立であるにも拘らず,興味は比較的社会化されているといえよう。 これは,精神薄弱児が就職期に近いこと,そのためになされる職業教育や訓練,・家族・教 師の期待,友人の影響等が,普通児よりも大きいことによるものと考えられる。一方,職.
(11) 35. 精神薄弱児軒こおける職業的社会化の様相とパターン. 業興味においても職業認知と同様に,異性役割の回避債向の欠如がみられた。質問に用い られている職業数がやや少ないのであるが,第1回目の調査結果と併せて判断してみれば, 性役割の社会化の遅れは,精神薄弱児の社会化における1つの特徴であるということがで きよう。. 2.5. 職業選択態度. 精神薄弱児はコントロール・グループの普通児と比較した場合,職業興味が現実的であ ラ,より社会化された状態にあることが示された。しかしながら,この結果から,直ちに 職業選択の社会化が進んでいると判断できるであろうか。このような疑問を検討するため に,職業選択態度について調べたo 2つの相反する意見項目. ここでの質問と次の職業的自我でほ2項選択法を用いており,. のうち,自己の考えに近いものを選択するようになっている。 表2.7はその結果であり,表中には,意見項目対のうち片方の選択比率が表わされてい 「私は将来の職業のことをあま る.職業選択への関心ほ年齢と共に増大するものと思われ, 2年生よりも6年生の方が少ないであろうと予想した。しか 6年生 6年生ほ42%であった.これは, し,実際には連になっており, 2年生が22%, が2年生に比べて職業選択への関心が低いというよりも, 2年生の方がより規範的な回答 り考えない」と答える者は,. をしがちであるためであり,実際にほ数字で表わされているような差ほないのでほないか と思われる。. 精神薄弱児の回答は36%であり,やはりあまり高いとはいえない。というよりも,規 範的な回答が回避されたために,実際の関心よりも比率が多少下げられているのだと解釈 したとしても,この年齢での, この職業選択への関心は,. 36%という比率はかなり低いといえよう。 1つには,個人が職業選択過掛こついて如何なる概念をもっ 「一度職業を選んだら,もう. ているかということと,関係しているであろう.この過程を, 選びなおすことができない」ものであると捉える老は,. 2年生では41%であるが,. 6年生. では56%となり,普通児の場合,増加している。実際には転職はそれほど少ないものでは ないにせよ,終身雇用制は日本の労使関係の特徴の1つとされている.また,転職ほ望ま しくないという価値観もあるといえよう。そのような価値観は,小学生においても次第に. 認識されつつあるのであるoそt/て,このよぅな職業選択過程の概念が社会化されている 場合にほ,学校の修了時は生涯の運命を大きく左右する就職の時期と捉えられることにな 表2・7. 職業選択態度(潔)a) 精神薄弱児 (N-143). 私は将来の職業のことをあまり考えない 一度職業を選んだら,もう職業を選びなおすことほできない. 6年生 (N-168). 2年生 (N-144). 36. 42. 22. 23. 56. 5ー. a)相対立する2つの文章のうち,表中の文章を選んだ者の比率であるoつまり,各文章K1ついて 「ほい」と答えた者の比率とみなしてよい。.
(12) 36. 原. 純輔・渡辺裕子. り,その時期が近づくと共に,職業選択-の関心は急速に高まっていくのでほないかと思 われる。. Lかしながら精神薄弱児の場合には,職業選択をそのように捉える老ほわずかに23% しかなく, 「一番いいのは,いくつかの職業をためしてみてから,気に入ったのを選ぶこと. である」と考える暑が,大半を占める。精神薄弱児が普通児とはかなり異なる職業選択過 程の概念をもつのは,実際の社会化のされ方が異なっているためであろう。精神薄弱児の 場合には,最終的な職場が決定されるまでの過程で,適職をみつけるための実習や仮の職 場雇用が,幾度か繰り返されるからである。就労する時期もさまざまであって,普通児は ど明確な就職期はもたない。能力に応じ,訓練が学齢期以降も行われることが多々あるの である。実際にこのような社会化が行われ,また,職業選択の概念をもっていれば,年齢 が増加したとしても,就労-の危機感というものはおそらくあまり生じないであろうし, 職業選択への関心もそれはど高まらないであろう。 2.6. 職業的自我. 先の職業認知,職業興味,および職業選択態度の分析結果から,各構成要素の社会化の 進行のアンバランスな状態が示された。結果を再述すれば,第1に,職業認知でほ,どの 職業にも比較的肯定的であって,カツコいいという認知枠組が未確立であるにも拘らず, 興味ほ特定化・現実化していた.第2に,職業における役割イメージはかなり固定的であ るにも拘らず,自己の職業興味でほそれらの規範にほ拘束されずに,異性役割とみなされ た職業に対しても肯定的であった.第3に,職業興味が現実的であるからといって,職業 選択の社会化は必ずしも進んでいるわけではなく,職業選択への関心ほ低いものであった。 このように職業的社会化の進行がアンバランスであったのは,職業的自我の問題と関係. があるように思われる。自我が確立されていれば,社会化の各構成要素の統合度は高めら れるであろうb. しかし,自我が未確立な場合には,環境要因の一方的な働きか桝こよって 部分的にある内容の社会化だけが進められてしまうこともあるであろう。精神薄弱児は, 職業の領域における自己をどのように貌定しているのであろうか。自己をどの程度客観的 に評価しうるであろうかo自己規定の際に他者はどのような存在なのであろうかo意志決 定はどの程度の主体性をもってなされているのであろうかDこれまでに示された調査結果 問の関連を考察するために,最後に職業的自我の分析を行うことにしよう(表2.8)o 自己評価に関して, 2つの意見項目への回答がなされた.「私が仕事をしても,たいして 社会の役に立てないと思う」と考える老ほ,. 2年生では17%であるが, 6年生では45% となり,大きく増加する。精神薄弱児は35%であり, 「たいていの 6年生に近い。また,. ことで,人より自分の方ができないように思う」と考える老も, 2年生が17%, 6年生が 35%とやはり増加し,精神薄弱児ほ38%で, 6年生と同程度になっている。この結果か ら,社会化が進むにつれて自己評価は低くなるものと考えられるが,精神薄弱児は自己の 能力を比較的低く評価しているといえよう。職業興味が現実的であったのは,年齢の増加 に伴い社会化エイジェソトからの働きかけが多くなされたことに加えて,自己能力が低く.
(13) 37. 精神薄弱児における職業的社会化の様相とパターン 表2・8. 職業的自我(%)a) 2年生 (N-144). 精神薄弱児 (N-143). 6年生 (N-168). 私が仕事をしても!たいして社会の役紅立てないように思う たいていのことで,人より自分の方ができないように思う 私は自分が何が得意で何が不得意であるかを知っている. 35. 45. 17. 38. 35. 17. 68. 86. 60. 一度決めたことでも人から言われるとすぐ決心が変わってし. 40. 34. 33. 63. 18. 41. 50. 67. 57. まうほうだ. どの職業を選んだらいいか,先生や家の人のいうことを聞け ばそう間違うことはない 私は人が私のことをどうみているか気になるほうだ. ・)表2・7と同様,各文部こ対して「ほい」と答えた者の比率とみなしてよいo. 認識されていたためであろうと思われるo 次に,職業選択との関連において, 「自己評価能力」 「意志決定の独立性」 「他者の認知の 仕方」についてみていこう。自己評価が明確となり,また,意志決定が主体的になされる ようになれば,自己の意志に従った積極的な職業選択がなされるはずである。また,他者 の役割期待を認知し,それに対して拘束されるならば,その際に同調するか否かは別とし て,職業選択をより意識するようになるであろう。 これらの項目に対する回答ほ,次のとおりであった。. 「私は自分が何が得意で何が不得意. 6年生でほ86%と 2年生では60%であるが, であるかを知っている」と答えた老は, 大きく増加していた.回答者自身の自己規定をある程度信頼できるものと考えるとすれば・ 社会化が深まれば自己評価能力は高まるものと考えられよう。この項目への精神薄弱児の 回答は68%であり,. 2年生に近く位置づけられる・この結果から考えてみれば,精神薄. 弱児が自分自身の判断によって職業を選択的に決意できるかは,疑問であるといえようo 次に,意志決定の独立性に関して,普通児の場合,ト度決めたことでも,人から言われ るとすぐ決心が変わってしまう方だ」という一般的な項目でほ,差はみられない.しかし, 「どの職業を選んだらいいか,先生や家の人の言うことを聞桝まそう間違うことほない」と 6年生でほかなり比率が 6年生は18%と, いう具体的な項目になると, 2年生ほ41%, 低下し,意志決定の独立性が高まっているo小学校高学年になると,大人に対する心理的 離乳が急速に進むものと思われる.これに対し精神薄弱児は,. 「どの職業を選んだらいい. か,先生や家の人の言うことを聞桝ゴそう間違うことはない」と答える老が63%とかな り高く, 「一度決めたことでも,人から言われるとすぐ決心が変わってしまうはうだ」とい う項目でも,普通児よりやや高くなっている.精神薄弱児は,自我が未確立で依存性が強 いといえるであろうoこの結果は,精神薄弱児が社会化エイジェソトによって教え込まれ た希望職業をそのまま表明してしまいやすいということを表わし,職業選択が主体的にな されていない可能性を示唆している。 また,. 57%,. 「私ほ人が私のことをどうみているか気になる方だ」という項目では,. 6年生では67%とやや上昇し,自己中心的な判断から,次第に他者との関わりに. 2年生が.
(14) 38. 原. 純輔・渡辺裕子. おいて態度や行動の判断を下すように変化していくのではないかと思われる。この項目で ほ・精神薄弱児は3つのグループのうちで最も低く, 50%である。精神薄弱児は自我が未 確立で依存性が高く,容易に他者に従ってしまう反面,社会的規範や他者からの役割期待 に拘束されない面があるのではないだろうか.この結果から,年齢段階からすれば当然期 待される職業選択に対して関心が高まらなし丁こと・性役割の規範から逸脱した異性役割へ も興味を示すことが,説明されるように思われる。. 8・職業的社会化の仮説的モデル 311職業的社会化の様相 今度は,先に見い出されたデータ分析結果にもとづいて,精神薄弱児に特徴的な職業的 社会化の様相を・筆者なりに構成してみるoこれまで述べられてきた職業的社会化の内容 には,知識の獲得や知識がその基礎となっているものが,少なからず含まれている。しか し,社会あるいは社会集団の中においてある位置を占める人間として遂行する行為の学習, すなわち「役割学習」ほ,社会化の内容のうち主要なものであろう。そこでここでは, 「役 割」の概念を用いて家族における社会化過程を捉えた渡辺秀樹のモデルを借用して,検討 を行う11)。. 最初に,簡単にこのモデルについて概述しておこう○渡辺によれば家族における社会化 過程は・家族の発達課題,個人の発達課題・役割期待・役割観念・役割行動などの分析要 素によって把捉されるoモデルの説明ほこうである○個人の発達課題ほ,個人の成熟過程, 家族の発達課題,および個人をとりまく社会的規範によって規定されている。また,家族 の発達課題ほ・家族の生活周期段階,家族成員個々の発達課題,および家族をとりまく社 会的規範によって規定されている。家族における社会化ほ,家族の発達課題にもとづく役 割期待と,個人の発達課題にもとづく役割観念との役割交渉過程,およびこの通称こよっ て調整された役割行動の顕在化の過程,という2つの過程の継時的・累積的な過程として. 社会的規範. 止 庭. :_='-. 役割期待. の. J家 -A:'=t=-;.:I;;-:i.?-i 発達的課題. Role-Expectation. 役割行動 Role-Behavior. 成熟過程=〇. 個. 人. 役割観念. の. 発達的課題. =二∵ つ. Role-Conception. _.:-::よ:二二:二(渡辺秀樹,. 図3・1家族における社会化過程の一般モデル,. 1975,. p・. 43より).
(15) 39. 精神薄弱児における職業的社会化の様相と′1ターン 捉えられる(図3.1).. 1. ここで分析、の焦点となるのは役割の3変数,すなわも役割期待・役割観念・役割行動の 間の相対的な一致・不一致であるo頂在化された役割行動が役割期待の鹿範時内容に相称 l. 的に一致している場合,両者は役割適応的な関係にあり,不一致の場今は,役割不適応の 関係にあると捉えられる。また,顕在化された役割行動が▲自己の役割観念と相対的に一致 しているとき,その行動は自己実現的行動であり,. -敦していないときには,その行動は. 自己疎外的行動となる。さらに,役割期待と役割観念との相対的な一致は,両者が役割合 意に達している状態であり,不一致の場合ほ,両者が合意に達していない状態である.o以 上のような3変数間の相対的な一致・不一致の組み合わせによって,社会化の5つの様相 が析出されている。. 渡辺のモデルを用いれば,精神薄弱児の職業的社会化は,次の2つの様相を呈するもの` として把捉されるであろう。その1つほ,役割観念と役割行動のみが一致している場合で. ある。精神薄弱児は男性的職業・女性的職業という性役割に関して普通児以上に固定的な 理解をしており,それが役割期待の規範的内容と比べ歪んでいたわけではないにも拘卑ず・ 異性役割に対しても肯定的な自己の役割観念が,ストレートに役割行動として顕在赦され l. ていた。これは,精神薄弱児が他者の役割期待に拘束されないた軌自己の役割観念と他 者の役割期待との間に調整がなされず,役割観念と役割行動ほ,役割期待と不一致になる のである。. もう1つの様相は,職業興味と職業選択態度の結果から構成されるo精神薄弱妙ま職業 選択-の関心が低いにも拘らず,職業興味は比較的社会化されていた。これほ,社会化エ. イジェソトからの役割期待が高いので,社会化エイジェソトによって期待されている職業 杏,そのまま自己の興味として表現してしまうためである。精神薄弱児は依存的で主体性 が欠如しているために自己の役割観念が形成されず,社会化エイジェソトの役割期待との 問で役割交渉を行うことができずに,役割期待と役割行動だけが一致するのである○ これら2つの様相から捉えられるように,精神薄弱児の職業的態度・行動の形成ほ,こ のように役割の3変数に不一致のある不均衡な状態で生じている場合が,多いのではない だろうか。. 3.2. 職業的社会化のパターンとその問題点. それでは,これらの様相の継続的な変容過程として捉えられる社会化過程は,どのよう なものであろうか.先述の渡辺秀樹ほ,. 5つの様相とともに4つの様相の進行パターンを. 析出しているが,子どもの社会化に典型的にみられるのほ,次の2つの進行のパターンで あろうと思われる(図3.2)。すなわち第1の塑ほ,社会化主体にまだその行動についての 役割観念が形成されていないため,先ず行動が適応し(tl),その後に社会化主体にもその 意見が理解され,自己の役割観念をその行動にふさわしいものに変化させて(t乞),均衡状 態に達する場合である。第2の型でほ,始め社会化主体は自己の役割観念に従って行動する が(tl),後に社会化エイジ‡ソトとの合意を得たり,また,得られるような形に行動を詞.
(16) 40. 原. (Ⅰ). 純輔・渡辺裕子 り1). tl. tl. RE、. l 1. C」. 1 -.-ー・. /. RIc・ ・h・). a)役割期待(Role・Expectation) b)役割観念(Role-Conception). RB. -.. d3F■aisB l. Ric d). e). ・--:相対的不一致を表わす -:相対的一致を表わす. c)役割行動(Role・Bebavior) 図3・2. tl. 子どもの社会化にみられる典型的fi進行のパターy. 重し(t2),相対的に均衡状態に達するのであるo. r÷. t3. 精神薄弱児の職業的社会化における進行のパタ. ・---I. RE-、.. 芸E㌔BC, l l. ∼. ;. 良B. -. A.C. 9.I/'. /. R:c. a(役割期待((Role・Expectation) b)役割観念(Role・Conception) c)役割行動(Role・Behavior) d) --・:相対的不一致を表わす e) -:相対的一致を表わす 囲3・3 精神薄弱児における職業的社 会化の進行パターン. ーンをやや単純化した形で特徴的に表ゎせば,先 に示された2つの様相の反復として捉えられるの でほないかと思われる(図3.3)。はじめ,社会化. 主体が自己自身の知識や態度・行動の準拠枠をも ちあわせておらず,役割観念が形成されていない ときにほ,依存性が強いために,社会化エイジェ ソトの役割期待に沿った態度や行動をそのまま採 用する(tl)が,知識を獲得したり態度・行動を 形成するための判断基準を取得したりすると,今. 度はそれが社会化エイジェソトの役割期待や社会 的規範に拘束されることなく,役割行動-と結びつくようになるのである(t2)。そしてさ らにその行動をとり続けることが環境との間に不適応を生じるようになると,役割期待に 沿った行動をとる元の依存的な塑に移行してしまい(t3),再び,同様の社会化パターンを 繰り返すのである。. このような社会化の進行のパターンが生じるのほ,役割期待と役割観念との役割交渉が うまく行われていないからである。この過程がうまくいかないために,周囲の役割期待と. 自己の役割観念の調整がなされず,他者によって過社会化されたり,自己中心的な態度や 行動をそのまま形成するという,両極端な様相を呈するのである。精神薄弱児の職業的社 会化においてネックとなっているのは,役割交渉過程であるといえるだろう.. それでほ,このような社会化パターンほ何故生じるのであろうか.それは第1に,自我 (Self)が未発達であるために起こるものと思われる。精神薄弱児には言語に障害があった り言語発達が遅滞していることが多く,そのために言語コミュニケーションが困難となり, 結果として自店を喪失して自閉的な懐向が生じるなど,実際の相互作用過程において困難 が生じやすい。この相互作用過程における障害によって,社会化主体の側かまたは社会環 境の側,あるいは両方から接触機会を回避するような行動が生C,相互作用機会の減少と.
(17) 41. 精神薄弱児における職業的社会化の様相とパターン. ともに,役割学習の機会も少なくなる。この役割学習の機会の減少が自我の確立を遅らせ, 基本的な社会化能力の1つである「対人交渉性」が養われず,役割交渉過程に支障をきた すのである。. しかし,役割交渉過程がうまくいかない一次的な障害が精神薄弱児個人にあるとしても, 二次的な障害は社会の側にもあるのではないだろうか。社会化は環境へのフィットのあり 方やその程度を問題にする適応とは異なり,自己を変えるとともに他者をも変えていく相 互影響の過程である。しかし,ノ健常者が精神薄弱児によって変えられることがなく,精神 薄弱児のみが変えられることが要求されるとすれば,そもそも相対的な一致などはありえ ない。精神薄弱児が他者の役割期待に沿うような行動をとる以外に,適応的状態は達成さ れないのである。精神薄弱児は他者ととり結ぷ社会関係において「精神薄弱」という役割 を与えられており,われわれは無意識的に精神薄弱役割を遂行するように期待してはいな いだろうか。. 精神薄弱児の職業的社会化における問題に関する以上の考察から,今後の社会化を促進 させていくためにほ,根本的に社会化のポテンシャルを増大させるような自我の確立をは かっていくことが,重要であるように思われる○そしてそのためには・精神薄弱役害旭浜 じることのない,役割交渉過程において優位者-劣位老関係の場合に生じる社会の側から の二次的な障害が除かれた,相互影響しあう関係が必要である。そのような社会関係とし て,水平的な友人関係が極めて有効であるという知見を第2回目の調査で得ているが・こ れについては別稿で論じることとしたいo 本稿でほ,精神薄弱児の職業的社会化の状況を職業的自我を分析要素とすることによっ て,さらにその相互関連性も把握しようと試みた○しかし,ここで用いた職業的自我が本 当に自我と呼びうるものであるのかについては,問題があろう。それは,パーソナリティ. 特性に近いものになってしまっていたのではないだろうか。場面によって使いわけがなさ れる自己の役害概念と自我との区別は,どのようになされているだろうか。現在のところ・ 自我概念にはコンセンサスがみられず,各人がそれぞれの定義に従って・研究に用いてい る。しかし,自我の確立と役割取得とが密接な関連をもち,社会化論において自我が重要 な概念であるならば,それの理論的検討は急務であり・さらに実証的研究に向けての概念 操作化のための工夫がなされなくてはならないであろうQ 〔注〕 1)麻. 2). 紀輔(1974) 「職歴データの蒐集・処理・分析」 所, 47-70貫. D. E. Super (1957) The Psychology of Careers, (1970) 『職業生活の心理学』誠信書房, 238京・. 3). D. E. Super. 4). W.. 8, pp.. (1953) "A. of Vocationral. Harper. &. Brothers・日本職業指導学会訳 The. Development・". American. Psychologist. 185-190.. E. Moore. izaiion. Theory. 『職業の社会学的研究』 (その2)職業研究. Theory. D・ A・. (1969) ・・OccupationalSocialization・" and. Research,. Rand. McNally,. 化」 『職業の社会学的研究』(その2)職業研究所,. pp・. Goslin. (ed・) Handbook. ofSocial-. 861-884∴直井道子訳(1974) 「職業的社会. 105-147貫・.
(18) 42. 原. 純輔・渡辺裕子. 5) ′斎藤耕二・菊地章夫編(1974). 『社会化の心理学』川島書店;斎藤耕二・菊地章夫編(1979) 『社 会化の理論』有斐閤. 6)第1回目の調査ほ・ 1978年10月3日-11月11日に実施された・調査結果の分析については, 渡辺裕子(1979) 「精神薄弱児の職業的社会化の研究」 (横浜国立大学教育学部卒業論文)紅ま とめられている・また,第2回目の調査は, 1981年5月12日-7月8日に実施された。分析結 果ほ,渡辺裕子(1982) 「精神薄弱児の職業的社会化-その状況・過程・要因-」 (東京都立大 学大学院社会科学研究科社会学専攻修士論文)にまとめられている.. 17)知能指数は平均IQ-100の正規分布をするものと考えられているが,ビネ一式知能検査で謝定 された知能指数は・実際には平均IQ-110程劇こなっている・そこで,ここでも普通知をIQ Mental Age)を算出した・ピネ一式知能検査で測定された知 =110として,精神年齢(MA; 能指数は精神年齢を生活年齢(CA; Chronological Age)で険した概念であり, x 100 IQ-MA/CA という関係がある.. 8)ここで比較を行なう場合,統制変数として最も考慮すべきものは,知的能力と発達課題であろ うと思われる・発達課題が異なれば行動をひき出す条件も異なり,また,達成された社会化が 同じものであっても,その意味が異なってくるからである・しかしながら精神薄弱児の場合に は・知的能力と発達課題の両方を同時にコントロールすることができない・知的能力をヲソト ロールした場合にほ,精神薄弱児よりもかなり低い年齢の普通児を比較グループとすることに なるし,また・就労への準備をすることという発達課題をコントロールした場合剛も精神薄 弱児よりもほるかに知的能力の高い普通児を比較グループとすることになる,本調査では,発 達課題が異なるという比較上の限界を認めた上で・知的能力をコントロールする方法を採用し た.. 9)この指標は,まったく認知枠組がつくられていない状態からある程度の確立がみられる状態に おいては・有効であると思われる・しかし,集酔こ属する諸個人が完全に同じ認知の仕方をす るようになることはないので・ある程度以上の社会化レベルに達している集団の場合剛も今 度は集団における認知の固定度を表わす指標となるであろう.. 10)第2回目の調査には・職業的社会イヒの状況の一側面を捉えるものとして,ここでとりあげられ ているもの以外の「職業認知」や「職業生活への態度」の他に,家鼠教師,友人,テレビ等の 社会化の環境に関する質問項目も含まれている. ll)渡辺秀樹(1975) 「家族における社会化過程について一構造機能分析による理論モデル構築の試 み-」 『社会学評論』26-1, 36-52貢..
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Soil Surface (Drench) Applications at Any Stage of Growth: Apply the finished spray mixture to the surface of the soil as a drench or directed spray using hand-held, mechanical
For prolonged control of lambsquarters and pigweed, in addition to a broad spectrum of annual broadleaf and grass weeds, Parallel in tank mix combination with AAtrex* or Princep +
the flow of fluid back toward the injection pump. 3) The pesticide injection pipeline must also contain a functional, normally closed, solenoid-operated valve located on the
For postemergence weed control, this product should be applied through a hooded or shielded sprayer or at layby, at 2 ounces per acre, in combinations with MSMA or at 1 to 2 ounces