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パラグアイにおける野鳥による野菜被害 4. 野菜の被害パターン: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title

パラグアイにおける野鳥による野菜被害 4. 野菜の被害パ

ターン

Author(s)

外間, 数男; フアナ, カバゼーロ; グラシエラ, エステイガリ

ビア; エンリケ, ゴンザレス

Citation

沖縄農業, 44(1): 119-125

Issue Date

2010-08

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/10541

Rights

沖縄農業研究会

(2)

パラグアイにおける野鳥による野菜被害

4. 野菜の被害パターン

外 間 数 男・フアナ カパゼーロ1)・グラシエラ エステイガリビアリ エンリケ ゴンザレス1)

(JICAパラグアイ事務所 1)パラグアイ農牧省農業普及局)

Kazuo HOKAMA, Juana B.CABALLERO, Graciela V. ESTIGARRIBIA, Enrique GONZALEZ: Danos causados por pajaros en hortalizas en Paraguay.

(4)Modelo de danos causados por pajaros en hortalizas

要 約 野鳥による野菜の被害パターンは3型に分け られる.本圃定楠直後に発生する初期発生型, 幼苗期から生育中期までに発生する後期回復型, 植付け時から収稽期まで発生する全期発生型の 3タイプである.初期発生型はフダンソウ,後 期回復型は紫キャベツ,全期発生型はブロッコ リーで代表される.今回3種野菜の被害パター ンを調査した フダンソウは定植後直ぐに加害を受け,

2

日 後に80%近い被害葉率に達した.その後新展開 葉に被害がなく,業数の増加で被害葉率は急減 した.また草丈は防除区と大差がなかった.紫 キャベツは定植直後に加害を受け, 5 EI後には 60%の被害業率になった.その後,生育中期ま で被害葉率は高かったが,結球開始期以降に極 めて低くなった.草丈は生育後期に回復した. ブ口ッコリーは定植直後から加害を受け,全生 育期間を通して被害葉率は高かった.草丈は生 育初期から後期まで著しく悪かった. はじめに パラグアイにおける野鳥による野菜被害は葉 菜類から果菜類, 根菜類に及び,その程度は種 類や品種によって大きく異なる.また品種によっ ては生育のステージでも程度に違いがあった (外間ら, 2009). レタス,カラシナは定植直後 から活着期に被害が多かったが,生育が進むに つれて被害は減少し,収穫期に極めて少なくなっ た.またレタスは定植直後から生育期に被害が 多いが,結球開始以降から被害が少なくなり, 収穫期に極少となった(外間ら, 2009). また葉菜類は活着期に加害を受けると,生育 が著しく悪くなり,枯死にいたることもあった 生育不良株は収穫が遅延し, カリフラワーでは 異常花の出現で収穫不能になることもあった. 一方フダンソウは,活着期の加害で生育は遅延 するが,収穫が不能になることはなかった.野 鳥による野菜の被害は,種類や品種によって異 なり,生育収量に及ぼす影響に違いがあった. そこで今回野鳥による野菜の被害パターンを調 査し,生育との関係を検討したので報告する. 試験方法 試験はパラグアイ農牧省農業普及局で行った 圃場はアスンシオン大学に隣接し,周囲は中高 木の植栽樹が固い,野鳥類が常時観察される場 所であった.野菜の被害パターンを調査するた

(3)

第l号 (2010) 第44巻 沖 純j員業 120 これを防除区とした. 目白色ネッ トで被覆した めに3種野菜を選定した. 試験は 対照として無被覆の無防除区を設けた. (品種不詳)は畝幅1.3m,株間 本葉3枚 フタFンソウ 10株の2連 と し た 調 査は7月4日から適宜行っ 列問30cmの3列植えとした 50cm, 草丈は最 た 被害調査は全株の全葉を調査し, 直ちに半透明ポ 苗を2009年7月27日に定植し, 高位葉を計った. これを防除区 リエチレンビニールで被誼した. とした.対照として無被覆の無防除区を設けた. 果 高 吉 試験は3株の3連とした 調査は7月29日から 1 )初期発生型 適宜行った被害調査は全株の全業を調査し, 無防除区のフダンソウ (図1)は定植すると 草丈は最高位業を計った. 2日後には80%近い被害葉 直ぐに加害を受け, (品種不詳) は 畝11幅1.3m,株間 本葉 3~ 紫キャベツ 50cm,列間50cmの2列植えとした. 4枚 苗 を2009年 6月29日に定植し, 直ちに5 これを防除区と m m目白色ネットで被覆した. した.対照として無被覆の無防除区を設けた. 試験は10株の2連とした.調査は7月4日から 適宜行っ た 被 害 調 査は全株の全葉を調査した 草丈は最 が,結球開始以降は外葉のみとした 高位葉を計った. 株 (品種不詳)は畝l隠1.3m, ブロッコリー 図1 野鳥によるフダンソウの被害.

Figura 1.Dano de acelga causados por pajaros. 2009年 列問50cmの2列植えとした. 問50cm, 直ちに5m m 6月29日に本葉3枚時を定締し, 90 30 20 80 70 60 50 40 ( 揖 ) 2 4 M m ω E E u ω e E 工 ω 百 ω ﹃ 可 制 C ω O ﹄ o a ( 揖 ) 凶 柑 鰍 仰 援 10 21/9 17/9 8/9 31/8 18/日 10/8 29/7. 27/7

Fecha de investigaci6n 調査時期 図2.野鳥によるフダンソウの被害消長

Figura 2. Culva de danos por pajaros plastico en acelga

__._防除区 Proteccion ー・一無防除区 sinprotecci6n

(4)

外間・カバゼーロ ・エステイガリビア・ゴンザレス:パラグアイにおける野鳥による野菜被害 121 2撃を示した.その後新しく展開した楽には被害 が見られなくなった.被害葉は活着期に生じた ものだけとなり,生育に伴う葉数の増加で被害 葉率は急激に低くなった.定楠2ヶ月後には被 害葉が収穫時に除去されたことで被害が確認さ れ な く な っ た 収 穫 は 下 位 か ら 生 育 の 進 ん だ 葉 を採ることで被害業が除去された.その時点で 被害調査は打ち切った.防除区のフダンソウは 全く被害が確認されなかった(図

2

).

定植直後の~!l~防除区の幼苗は葉の先端から加 害を受け,業身が消失することもあり,植付け 時より草丈が低くなった.その後新築に被害が 見られなくなったことで,草丈は防除区と同じ 様な伸長生長を示した.しかし定植2ヶ月後ま で無防除区は,防除区に比べて草丈が低く推移 し,約10cmの生育差が生じた(図3).その差 は定植直後の加害によるものであった. 45 40 35 E ) に2 30 E、ZZ司" ~ ーc. 25 わ<~ 初十 E 20 +二コ3 〈 15 10 5

2)後期回復型 無防除区の紫キャベツ(図4)は定植直後か ら加害を受け,定植5日後には60%近い被害葉 率を示したその後も被害は増加傾向を示し, 定植2週間後には業の殆どが被害業となった しかし定植2ヶ月後から被害業は少なくなり, 図 4. 野鳥による紫キャベツの被害

Figura 4.Dano de repollo morado causados por

pajaros.

27/7. 29/7. 10/8. 18/8. 31/8. 8/9. 17/9. 21/9

調査時期Fechade investigaci6n

図3 フダンソウの生育推移. Figura 3. Curva de crecimiento en acelga

一令ー防除区 Proteccion

(5)

第1号 (2010) 第44巻 沖縄農業 122 害を受けたことで植村け時より草丈が低くなっ 出 古 生育後期から被害葉率が極めて低くなった しかし被害率 が低くなるにつれて,生育は回復傾向を示し, 結球開始期までには防除区と草丈がほぼ同じに たのはフダンソウと同じである. 球期以降は外業のみにわずかに加害が確認され るだけであった.防除区の紫キャベツは全く被 害が確認されなかった(図

5

).

(図 6). なった 葉の先端が加 定植直後の無防除区の幼苗は, 40 20 120 当R ';;;"100

'

"

o' 4二 r、c 揖 ω u) 悦ト.o e lllHl 制E呉 ~ ~ 「 ‘u . ... C ω O L

且 80 60

DF ¥ ∞ 由 ¥ 門 N 回 ¥ 凶 由 ¥ 円 ∞ ¥ 由 N ∞ ¥ 守 N ∞ ¥ 白 国 ¥ D ト ¥ mN h ¥ 口 N 九 日 ¥ 円 九 戸 ¥ 由 九 日 ¥ 寸 由 ¥ 由 N Fecha de investigaci6n 図5 野鳥による紫キャベツの被害消長.

Figura 5. Curva de danos por pajaros巴n repollo morado.

調査時期 一+ー防除区 Protecci6n 一・一無防除区 Sinprotecci6n 50 45 40 30 20 35 25 15 10 (E O ) S C 句 一 且 ω 司 E コ パ F コ 一周 (E O ) 何冊 5

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も 'v Fecha deinvestigaci6n 調査時期 図6 紫キャベツの生育推移.

Figura 6.Curva delcrecimiento en repollo morado.

一+ー防除区 Protecci6n

(6)

123 外聞・カバゼーロ・エステイガリビア・ゴンザレス ーパラグアイにおける野鳥による野菜被害 3)全期発生型 (図7)は定植直後 無防除区のブロッコリー から加害を受け,定植2週間後には80%以上の その後も被害葉率は高い状 被害業は葉 また新しく展 態で推移し,生育後半まで続いた. 身が全て食われ葉脈だけが残り, 開しでも直ぐに加害を受けるなど被害は止まる 被害葉率を示した. 防除区は全く被害が確認され ことがなかった. 図7.野鳥によるブロッコリーの被害 Figura 7. Dano de brocolicausadospor pajaros. (図 8). 定植直後の無防除区の幼苗は,葉の先端から 加害を受けて植付け時より草丈が低くなること なかった 120 100 80 60 40 20 師 団 J H C 司 一 ac 由 回 O C 田 万 U ℃ 企 町 一 三 由 OLO 止 ( ま ) 機 械仰擦 白 ¥ 。 門 ∞ ¥ 門 N 由 ¥ 回 F 由 ¥ 門 ∞ ¥ 申 N ∞ ¥ 寸 N ∞ ¥ 白 戸

¥ OF ト ¥ 白 N 作 ¥ 。 N . h ¥ 門↑ h ¥ ∞ h ¥ 守 . 由 ¥ 白 N

Fecha deinvestigacion 図8. 野鳥によるブ口ッコリーの被害消長. Figura 8. Curvadel danosporpajaros enbrocol.i 調査時期 四令ー防除区 Proteccion ー・ー無防除区 Sinproteccion その後伸長したが,防除区に比べて草丈は (図

9

)

.

る. しか はフダンソウと紫キャベツと同じである. 半分以下となった し定植

2

ヶ月後でも生育の悪い状態が続いたの はフダンソウや紫キャベツと大きく異なる点で 察 考 あった.ブロッコリーは生育初期から後期まで 野鳥による野菜の被害パターンは3タイプに 分けられた.本固定植直後に発生する初期発生 加害 が止まることなく繰り返されたことで,イ申 長生長が大きく抑えられたことによるものであ

(7)

第l号 (2010) 第44巻 沖 縄 農 業 124 70 60 50 40 30 20 10 80 ( E O ) 町 一 三 回 一 au 万 四 ﹂ コ 恒 三 ︿

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U )

M M

附 . ∞ ¥ O 門 白 ¥ 門 N 白 ¥ 由 F 白 ¥ 円 ∞ ¥ 由 N ∞ ¥ 白 F ∞ ¥ O 九 い ¥ 白 N 九円 ¥ ON . h ¥ 門 F 九 日 ¥ 由 由 ¥ 由 N

Fecha deinvestigaci6n 図9.ブロッコリーの生育推移 Figura 9. Curvadecrecimiento en brocoli 調査時期 Protecci6n ー+ー防除区 Sinprotecci6n 対策で被害防止を図り,著しい収穫減を回避す 一ーー無防除区 型,幼苗期から生育中期まで発生する後期回復 型,幼苗期から収穫期まで発生する全期発生型 ることができる 鳥害防止を図るうえで生育段 階と被害は重要である. 初期発生型は野鳥 の3パターンに分類できる 生育ステージで被害が異なることはシロガシ の被害を受け難い野菜であり,今回調査したフ 結球レ 1999) (外問・村上, ラでもみられる カラシナやテンサイなどが ダンソウをはじめ, タスは活着期に被害が多いが,その後被害は減 また後期回復型は比較 このタイプに含まれる. しかし結球 少することから初期発生型である 的被害を受け難い野菜であるが,栽培や周辺環 期に被害があると商品価値を著しく損なうこと 境条件によって被害の多くなる野菜である.紫 野鳥による野菜の被 から全期発生型でもある 全期発生型 キャベツやレタスなどが含まれる. 害パターンは野菜の種類や栽培条件,環境条件 特に周辺環境が大きく影響す フロッコ は野鳥による被害の多い野菜であり, によって異なり, 野菜の被 リーやカリフラワーなどが含まれる. ると思われる. 筈パターンは概ねこの3タイプに分けられるが, 栽培や周辺環境条件によってパターンは変わる 百 字 謝 ことカtあった. 本研究はJICAシニアボランティア活動の一 野菜の生育ステージによって被害が異なるこ 環として行ったものである.関係者に対し厚く 防除対策を行ううえで貴重である 特に とは, 感謝の意を表す. 初期発生型は,植付け後数日間対策すれば被害 また後期回復型は初期生育時の が回避できる.

(8)

外間・カパゼーロ・エステイガリビア・ゴンザレス・パラグアイにおける野鳥による野菜被筈 125

Resumen 60% de 10s dano por pajaro. Los dano por

Los dano de 1as horta1izascausados por pajaroaumentaron y 10 p1antey habia e1

pajaroesclasificadoen tres pa10s. SO10 dano a1 1a mayoriade 1a hojadespues dos

ocurre como una ace1ga en primer perfido semanas despues. Sinembargo

allise vo1vio

de cresimientoy desaparece despues. E1 a1guno dana despues. E1crecimientose

da白ode repollo morado ocurre a1medio de restauro巴n1a u1tima mitad.

cresimientoy primer perfido de cresimiento Recibique dana causados por pajaroa en

y desapareceen e1 u1timo periodo. Ocurre cuanto e1broculi10 p1antara pronto. Lo p1ante

hastae1 crecimiento 1a u1tima mitad de y mostre que 10sdano por pajaroestan

esttime como un broculi.Cada mode10 de despues mas de 80% dos semanas. La

dano parecias巴r1uego. proporcion de dano continuomuy despues

Recibique dana causados porpajaroa en hasta e1 crecimiento1a u1tima mitad. E1

cuanto 1a ace1ga 10 p1antarapronto. Mostre crecimientode 1asdanadas erama10 hasta

dos dias despues a 80% de 10s dano por e1 u1timo periodo de cu1tivas. pajaro. E1 dalI.o desaparecioen 1a nueva hojamas tarde.Era so101a cosaque 1a hoja 引用文献 de1 dalI.o 10 p1antey erahecho so10 despues 外間数男・村上昭人 1999.シロガシラによる de eso.E1 numero de hojasaumento y 1a 露地野菜の被害と対策. 1.被害の実態.九 proporcion de dalI.o sebaje.Ademas, 1a a1tura 州病害虫研究会会報45: 84-87.

de p1antade 1a misma manera como una 外 間 数 男 .F.カパゼーロ・ G.エステイガリ

p1anta sin e1 dalI.o. ビア・

E

ゴンザレス 2009. パラグアイ

Recibi que dana causados por pajaroa en における野鳥による野菜被害1.被害の綴相

cuanto 1arepollomorado 10 p1antara pronto 沖縄農業43 (1) : 67-78.

図 3 フダンソウの生育推移.
Figur a  6 .   Curv a  d e l   crec i m i ento e n  r e p o l l o morado. 

参照

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