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巻頭言(立命館人文科学研究所紀要 102号)

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Academic year: 2021

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1 〈小特集〉東・東南アジアにおけるダークツーリズムに関する研究

〈巻頭言〉

〈小特集〉東・東南アジアにおける

ダークツーリズムに関する研究

Special Issue: Studies on Dark Tourism

in East and Southeast Asia

この特集は、立命館大学における 2 つの研究推進プログラム(2012 年度研 究推進プログラム(基盤研究)、2011・2012 年度 東日本大震災に関る研究推 進プログラム)に採択された「東・東南アジアにおけるダークツーリズムに 関する地域間比較研究」(代表:江口信清)、そして「観光による被災地振興 およびダーク・ツーリズムに関する研究」(代表:藤巻正己)の成果の一部 である。 これまでに、ツーリズム研究は国内外で相当量の蓄積を得てきたが、その ほとんどは死や災害といったものとは無縁の事象を対象にしたものだった。 しかし、近年、ヨーロッパを中心に、死や災害現場を訪れる観光現象に関心 が払われるようになってきている。ダークツーリズ(dark tourism)と称さ れてきたこの種のツーリズム研究は緒についたばかりだが、Lennon and Foley が Dark Tourism: The Attraction of Death and Disaster(London: Continuum)を 2000 年に出版して以来、世界各地で事例研究が積み重ねられ てきた。しかし、Sharpley and Stone が Darker Side of Travel: The Theory

and Practice of Dark Tourism(Richard Sharpley and Philip R. Stone, eds., Bristol: Channel View Publications, 2009)で指摘しているように、ダークツー リズムとその背景になる、より広い社会・文化的文脈の関係は明らかにされ ないままであり、他方では、ダークツーリズムの意味と目的をめぐる課題も 残されている。

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2 立命館大学人文科学研究所紀要(102号) 現場や「呼び物」を訪れるのか、このような訪問にどのような意味があるの か、死や災害に関連した現場への訪問は、より広い社会・文化的文脈とどの ように関係しているのか、などの諸問題について、日本を含む東アジアおよ び東南アジア諸国を対象に検討を加えることを目的とした研究に取り組ん できた。本特集に掲載された轟・羽谷・雨森・薬師寺四氏による論考は、こ のような企図をふまえて寄稿された労作である。 上記した 2 つの研究推進プログラムによる活動は、2012 年度をもって終了 してはいるが、引き続き、「グローバル化とアジアの観光」研究プロジェク ト(代表:藤巻正己)の主要課題のひとつとして位置づけ、現在もなお研究 を進めているところである。当面の検討課題は、各国・関係自治体の被災地 の観光に関する施策、地元民の被災地の観光化に対する意識、被災地で観光 を実践する観光者の動機や期待についての共通点や違い、そしてそれらの背 景にある社会・文化的要因を分析・考察し、東・東南アジアにおけるダーク ツーリズムの特徴を析出することにある。今後ともダークツーリズムという 呼称のあり方を含め、ダークツーリズムと括られる観光現象の意味や意義に ついて、広範にわたる調査研究と議論を深めていきたいと考えている。 なお、本特集とは別に、科研基盤(B)「多民族国家マレーシアにおける外 国人労働者に関する学際的総合的研究」(代表:藤巻正己)の中間報告の一 部として、山本勇次・村中亮夫氏、および山本勇次氏によるペナンで就労す るネパール人労働者に関する研究、そして立命館大学文学部と 2012 年 11 月 に学術交流協定を締結した上海師範大学旅游学院の郭鑫・王承云氏による寄 稿論文も掲載した。あわせて、これらの論考についてもご一読いただければ 幸いである。 2013年 11 月 江口 信清*・藤巻 正己立命館大学文学部教授)

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