• 検索結果がありません。

教員を対象とした青少年の自殺予防プログラムに関する予備的研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "教員を対象とした青少年の自殺予防プログラムに関する予備的研究"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)兵庫教育大学研究紀要第23巻2003年3月pp.89-96. 教員を対象とした青少年の自殺予防プログラムに関する予備的研究 A Preliminary Study on the Prevention Program of Juvenile Suicide forTeachers.. 遠藤裕乃* Hirono ENDO. In Japan surprisingly few studies have so far been made on the education for preventing juvenile suicide. The purpose of this study is to provide basic data to develop the prevention program of juvenile suicide for teachers. A pilot program based on仇e manual developed by Takahashi(1999) was conducted on 103 teachers who had been working for averating over 25 years.. After the program the teachers were requested to answer questionnaire about ①Basic knowledge of suicide before attending the program,ゥInterest in the education for preventing suicides before and after attending the program,ゥExpectations for the future program. By analyzing the result of questionnaire survey, three points were indicated to make the program more effective : (王)To explain the details of depression, ②To illustrate how to listen to an juvenile getting counseling cases, C訂ro master basic counseling technique by role play training.. キーワード:青少年、自殺、予防プログラム、教員 Key words : juvenile, suicide, prevention program, , teachers. なる可能性が高いことが指摘されている(高橋,1999), したがって、青少年の成長発達過程で、自殺の危機が迫 った場合の対処法や、危機が迫る以前の予防について教 育する必要がある。 ところが、わが国の学校教育における自殺の予防教育 の試みは、皆無に等しい。これは、就学前から実施され ている交通安全教育と対照的である。諸外国の状況をみ ると、自殺予防プログラムが学校教育の一環として位置 づけられており、その代表例は米国カルフォルニア州の. I.はじめに 「自殺」という言葉は聞くだけでショッキングであり、 人々の心に抵抗感を呼び起こす。 「自殺」という言葉を 耳にしたときに起る一般的な反応は、 「自分には関係が ない」 「そんな恐ろしいことは考えたくもない」 「自殺は、 病的な人だけが起す稀な出来事だ」といった拒絶反応だ ろう。 しかし、警察庁(2002)による統計をみると、自殺は 決して稀なことではない。日本では、毎年24000人から 25000人が自殺で亡くなっている。これは、人口10万人 中、 18人-19人の割合である。わが国の交通事故の死亡. 高校で1984年から実施されているプログラムである。こ れは、生徒・保護者・教員を対象とした3つのコースか ら構成されており、プログラムを実施した結果、自殺率 の低下が報告されている(高橋,1999)tわが国では、高 橋祥友が、 「青少年のための自殺予防マニュアル」 (1999) を著しており、これが現在、本邦唯一の自殺予防プログ ラムの手引きとなっている。 筆者はこれまで、精神科領域や教育臨床領域において、 臨床心理士としてカウンセリング・心理療法を実践し、. 者数は、年間約10000人であるから、自殺者数はその2.5 倍に昇ることになる。そして、 1998年からは、深刻な不 況による経済苦を理由にした中高年の自殺が増え、最近 4年間の自殺件数は、 30000人以上を数えている。昨年 (2001年)は、 31042人を記録し、これは、人口10万人中、 24.4人の出現率である。さらに、自殺未遂者は少なく見 積もっても自殺既遂者の10倍は存在すると言われている (高橋,1999),こうしたことから、自殺はごく一部の人 に限られた特異な現象ではなく、大きな社会問題と言え る。. さまざまな悩みをから「死にたい」気持ちに至った青少 年と向き合う経験をしてきた。その経験から学んだこと は、深い悩みに苦しむ青少年が、一時的に「死にたい」 と思うのは正常心理として理解し得ることであった。そ して、自殺したいと思いつめるほどの苦しみを理解可能 なものとして受けとめることで、自殺を決行する行為を 未然に防げることを知った.白線心と自殺行為を分離し、 前者を肯定することで、後者の実現に歯止めをかけるこ とができるのである。 しかし、カウンセリング・心理療法とは無縁な一般の. 自殺が深刻な問題であることは、青少年(20歳未満人 口)においても当てはまる。青少年の年間自殺者数は年 間500人から600人で、昨年は586人に昇っており(警察 庁, 2002)、 15歳から19歳の年代では自殺が不慮の死につ いで第2位の死因となっている。さらに青少年の場合、 自殺未遂者は既遂者の100倍から200倍存在すると推定さ れており、青少年の自殺未遂者は、将来、自殺既遂者に *兵庫教育大学第1部(教育臨床講座). 平成14年10月21日受理. 89.

(2) 逮.藤裕乃. 人々にとって、自殺心を正常心理ととらえることは、非. 2.自殺予防教育プログラムの内容. 常に困難である。先に述べたように「自殺」と聞くだけ で抵抗感を感じる人は少なくない。また、 「自殺はどう するとともできない」という先入観もあるだろう。青少 年に日々接している学校教員もその例外ではない。これ までの学校教育に自殺予防の試みが導入されていない要 因の一つには、自殺に対する教員側の抵抗感や先入観が. き、わが国の自殺件数の年次推移、青少年の自殺件数、 自殺未遂者の嘘京について述べた。 「2.青少年の自殺の原因はさまざま」では、青少年 が死を思いつめるまでには、学校生活、進路選択、家族. あると推測される。 そこで、本研究では、高橋の「青少年のための自殺予 防マニュアル」 (1999)を基本としながら、筆者の臨床 経験を踏まえて作成した自殺予防プログラムを学校教員 を対象に実施した。そして、質問紙により対象教員の、 ①プログラム実施前の自殺に関する基礎知識、 ②プログ ラム実施前の自殺予防教育への関心、 ③プログラム実施. 関係、友人関係、性格、素質などいくつかの要因が絡み 合っていることを解説し、直接のきっかけ(とくにいじ め)を原因と決めつける危険性について指摘した。また、 児童・生徒は人生経験が短く、ストレスや絶望感が永遠 に続くものではないことを知らないため、大人からみる ときさいなことでも、彼らにとっては深刻な問題になり 得ることを解説した。. 後の自殺予防教育への関心、 ④今後の自殺予防プログラ ムへの期待・希望、などを調査した。本稿の目的は、質 問紙調査の結果を分析し、本邦の学校教育の現状や風土 に合った青少年の自殺予防プログラムを開発するための 基礎資料を提供することにある。. 「3.青少年の自殺のサイン」では、 「投げやりな態 度が目立つ」 「これまで関心のあった事柄に対して興味 を失う」など、自殺の危険が高い児童・生徒に現れる兆 候のリストを提示した。 「4.うつ病について」では、うつ病にかかると自殺 の危険性が高まることを示し、うつ病の早期発見・早期 治療が自殺予防の大きなポイントになることを解説し. プログラムは6つの内容から構成された(表2)0 「1.日本の自殺の実態」では、警視庁の統計に基づ. Ⅱ.対象と方法. た。そして、うつ病の四大症状、 ①抑うつ気分、 ②精神 運動制止、 ③不安焦燥感、 ④自律神経症状について説明 した。. 1.プE]グラムの対象 プログラムは、 A県B市教育委員会主催の教職員研修 会として2002年8月に行われた。研修会のタイトルは、 「青少年の健全育成と危機管理-青少年の自殺予防に ついて-」であった。プログラムの本来の対象は、中 学校ならびに高校の教員であるが、今回は教育委員会が 主催する関係上、幼稚園、小学校、中学校の教職員103 名が対象となった。これは、 B市内のすべての幼稚園、 小学校、中学校の教員の約半数であった。参加者のプロ. 「5.自殺の危険の高い子どもへの援助」では、危機 的な状況にある児童・生徒の絶望感をどのように受けと めたらよいのか、具体的な傾聴技法について解説した。 そして、 「自殺したい」と相談をもちかけられた教員は 一人で抱え込まずに、専門家や保護者と速やかに連絡を 取る原則を示した。 「6.自殺予防教育の必要性」では、児童・生徒を対 象とした自殺予防教育の試案を5つ提示した。それらは、. フ_イ-ルは表1のとおりであったo参加者の経験年数の 内訳をみると、教員歴25年以上30年未満が28名で全体の 28.9%、 30年以上35年未満が19名で19.6%となっており、. (丑うつ病をはじめとする心の病気について正しい知識を 教える、 ②長い人生のなかで、不幸や絶望感に打ちひし がれるときが誰にでもあり得るという事実を強調し、自 殺したい気持ちについて語れる雰囲気や信頼関係を作 る、 ③ストレスに庄倒されてひどく落ち込んだときの対. 経験25年以上、年齢40代後半であった。つまり児童・生 徒の親世代よりも年輩の教員が48.5%と半数を占めてい た。. 表1研修会参加者のプロフィール(単位:人, ( )内は%) 園校. 恒 別. 経験年数. 計. 5 年未満 5 年以上. 10 年 以 上 1 5 年 以 上 2 0 年 以 上 2 5 年 以 上 3 0 年 以 上 10 年 未 満 15 年 未 満 2 0 年 未 満 2 5 年 未 満 3 0 年未 満 3 5 年 未 満. 幼稚囲. 女性. 2 (1 2 .5) 2 (12 .5 ). 1 (6 .3). 1 (6 .3 ). 小学校. 男性. 3 (2 1 .4). 1 (7 .1 ). 0 (0 .0 ). 3 (2 1.4 ). 女 性 2 (6 ,3 ). 0 (0 .0 ). 2 (6 .3). 2 (6 .3 ). 男性. 0 (0 .0 ). 1 (5 .0 ). 2 (10 .0. 女性. 2 (1 3 .3). 1 (6 .7 ). 9 (9 .2 ). 5 (5 .1 ). 中学校. 5 (3 1 .3 ). 4 (2 5 .0 ). 16. 2 (1 4 .3. 1 (6 .3 ). 2 (1 4 .3 ). 3 (2 1 .4 ). 14. 6 (1 8 .8 ). 14 (4 3 .8 ) 6 (1 8 .8 ). 32. 5 (2 5 .0 ). 3 ( 15 .0. 4 (20 .0 ). 5 (2 5 .0 ). 20. 1 (6 .7. 3 (20 .0 J. 4 (2 6 .7). 3 (20 .0 ). 1 (6 .7. 15. 6 (6 .2 ). 14 (1 4 .4 ) 16 (16 .5 ) 2 8 (2 8 .9 ) 19 (19 .6 ). 無記 名 計. 6. 90. 10 3.

(3) 教員を対象とした青少年の自殺予防プログラムに関する予備的研究. 4.質問紙の構成 プログラム実施後、 ①プログラム実施前の自殺予防教 育への関心、 (診プログラム実施後の自殺予防教育への関 心、 ③今後の自殺予防プログラムへの期待・希望、など に関する質問紙調査を行った。質問紙の内容は、表4の とおりであった。. 処法について話し合う、 ④児童・生徒が友達に「死にた い」と相談されたら、どうしたらいいかを教える、 ⑤死 にたい気持ちが起ったときに、どこに相談したらいいの か地域の専門機関の情報を提供する、であった。 表2自殺予防プログラムの内容 1.日本の自殺の実態 2,青少年の自殺の原因はさまざま 青少年の自殺のサイン うつ病について 5.自殺の危険の高い子どもへの援助 6.自殺予防教育の必要性. Ⅲ.結果と考察 1.自殺予防教育への関心 表4の質問項目(1) 「これまで、青少年の自殺予防教 育について必要性を感じることはありましたか?」に対 する回答の結果は、表5のとおりであった。 「大変あった」 と回答した参加者は全体の10.8%、 「少しあった」と回 答した参加者は42.2%で、両者を合わせると53.0%とな り、半数以上が自殺予防教育に関心があるとの結果であ った。属性別でみると、最も関心が高いのは、中学校女 性教員(「大変あった」が26.7%、 「少しあった」が 53.3%)、次に高いのは中学校男性教員(「大変あった」. 3.自殺に関する基礎知識テスト プログラム実施前に、参加者が自殺についてどれぐら い正しい知識をもっているのかをチェックするために、 高橋(1999)による自殺に関する基礎知識テストを筆者 が改変したもの(全20間、選択解答方式)を行った。テ ストの内容は、表3のとおりであった。. 表3自殺に関する基礎知識テスト Ql :毎年の自殺者数は、交通事故の犠牲者教と比べてどのぐらいか? 半分以下ほとんど同じ約2倍約3倍 Q2:日本の自殺率は、世界で1、2位の高さである. ○ / × Q3:男性は女性よりも自殺率が高い. ○ / × Q4:自殺未遂は男性より女性が多い。 ○ ! × Q5 :いったん自殺の危険が過ぎたら、二度とそのような行為を繰り返すことはない. ○/× Q6:社会的に孤立している人はそうでない人に比べて自殺の危険が高い. ○ / × Q7 :日本における毎年の未成年の自殺者はどれぐらいか? 50人から60人500人から600人5000人から6000人 Q8 : 15歳から19歳の年代では自殺は不慮の死についで第2位の死因である。 ○/× Q9:自殺の流行現象などない.単なる偶然の-一致である。 ○ / × QIO :自殺はある日突然に何の前触れもなく起きることがほとんどであるので、予判は 不可能である. ○ / × Oil:自殺をほのめかす人は実際には自殺しない. ○ ! × Q12:自殺の前に事故を繰り返す人がいる. ○ / × Q13 :実願に死ぬ危険が低い方法で自殺を図った人(手首を浅く切る,薬を数鍵余分に飲 む)でも、その後、自殺によって生命を失う危険は高い。 ○ / × Q14:自殺について話すと、かえって自殺の危険を高めてしまう。 ○ / × Q15 :自殺を考えている人は死ぬ覚悟が確固としているので、自殺予防は不可能である. 0/×. ×. /×. ○/. ○. Q16:大部分の人は自殺の直前に精神的開局を認めない. ○ / × Q17:うつ病は自殺に強く関連している. ○ / × Q18:うつ病には有効な治療法がある。 ○ / × Q19 :自殺した人のほとんどは生前に精神科治療を受けている。 Q20 :小学生・中学生の自殺の第一の原因はいじめである。 く正解>. Ql:約3倍、 Q2:×、 Q3:〇、 Q4:〇、 Q5:×、 Q6:〇、 Q7:500人から600人、 Q8:〇、 Q9:×、QIO:×、Qll:×、Q12:〇、Q13:〇、Q14:×、Q15:×、 Q16:×、 Q17:〇、 Q18:〇、 Q19:×、 Q20:×. 91.

(4) 遠藤裕乃. 表4質問紙の構成 (1)これまで.青少年の自殺予防教育について必要性を感じることはありましたか? ①大変あった②少しあった⑧普通④あまりなかった⑤全然なかった (2)今回の研修会の内容は、先生の興味・関心にあっていましたか? ①大変あった②少しあった③普通④少しあわなかった⑤全然あわなかった (3)過去に青少年の自殺に関する研修会に参加したことがありますか? ①はい⇒これまでに参加したのは計( )回 主催者・謙師名( ②いいえ(今回がはじめて) (4)これまでに青少年の自殺に関する本を読んだことがありますか? ①はい⇒これまでに読んだのは計( )筋 書名・著者( ②いいえ (5)基礎知識テストの結果はどうでしたか?正解だった間確番号にOをつけて下さい。 1・2・3・4・S. 7・8・9・10・11・12・13・14・15・16・17・18・19・20. (6)この研修会を受けてみて、学校現場における自殺予防教育の必要性を感じますか? ①大変感じる②少し感じる③普通④あまり感じない⑤全然感じない (7)今後、自由参加形式の自殺予防教育の研修会があれば、参加したいと思いますか? ①ぜひ参加したい②できれば参加したい③あまり参加したくない④参加しない (8)青少年の自殺予防について、今後、取り上げてほしい間嶺や詳しく知りたいことがあ れば,お聞かせ下さい。 (9)今回の研修会に関するご意見・ご感想をご自由にお書き下さい.. 2.研修会の内容評価. が10.0%、 「少しあった」が55.0%)、第3位が小学校男 性教員(「大変あった」が14.3%、 「少しあった」が 42.9%)であった。逆に関心が低かったのは、小学校女 性教員(「あまりなかった」が53.1%)、幼稚園教員. 表4の質問項目(2) 「今回の研修会の内容は、先生の 興味・関心にあっていましたか?」に対する回答の結果 は、表6のとおりであった。 「大変あった」と回答した参 加者は全体の18.8%、 「少しあった」と回答した参加者 は48.5%で、両者を合わせると67.3%となり、 6割以上が 研修会の内容に満足している結果となった。属性別でみ ると、満足度が最も高かったのは、小学校男性教員. (「普通」が37.5%)であった。 中学校教員の関心が高いのは、 13歳から15歳の生徒が 思春期の不安定さからさまざまな心理的問題を生じるこ とを日々実感しているので、生徒の自殺の可能性につい て危機意識を感じているためと考えられる。また、同じ 小学校教員でも女性より男性の方が自殺について関心が 高いのは、女性教員が低学年児童を受け持つことが多い のに対し、男性教員の方は高学年の児童の担任となるこ とが多く、男性教員の方が必然的に、思春期にさしかか って悩む児童に接する機会が多くなるためと思われる。 なお、中学校男性教員のなかには、関心が「あまりな. (「大変あった」が28.6%、 「少しあった」が57.1%)、次 に高かったのは、中学校女性教員(「大変あった」が 40.0%、 「少しあった」が40.0%)であった。 それに対して、満足度が低かったのは、幼稚園教員 (「普通」が50.0%)、中学校男性教員(「少しあわなかっ た」が25.0%)であった。幼稚園教員の関心にあわなか ったのは、プログラムの内容が中学生以上の生徒を対象 にしていたためと思われる。中学校男性教員で「少しあ. かった」と回答している者が30%いる。このことから中 学校男性教員は、生徒の自殺問題に危機意識がある者と ない者がはっきりと別れていると言える。. わなかった」と回答した5名のうち、 3名は、質問項目 (1) 「自殺予防教育の必要性について感じることはあり ましたか?」に対し、 「少しあった」と回答し、残る2名. 表5自殺予防教育への関心(単位:人) 蘭校 -. 性別. ( 人数 ). I 幼稚 囲. l 女性. 小学 校. 男性 女性. 中学 校. (16 ). 計. 1. (14 (3 2 ). . 男性 女性. 無記 名. (1) これ まで、 甘少年の 自勅予防救郎 こついて必垂性 を感 じることがあ りま したか ? ①大変あった (㌔) ②少しあった (㌔). Iー 10 2 /. 2 *. (6 .3. 6. (3 7 .5 ). (14 .3 ). 6. (4 2 .9. 0. ③t a (v > 6. ④あまりなかった (% ). ⑨全点なかった (‰). (3 7 .5). 2. (12 .5 ). 1. 0. 0). 5 (3 5 .7 ). 1. 7 .1. 1 7 (5 3 .1). 2. (6 .3. (0 ). ll. (3 4 .4 ). 1 (3 .1). (6 .3). (20 ). 2. (10 .0 ). ll. (5 5 .0 ). 1 (5 .0). 6. (3 0 .0 ). 0. (0. 15. 4. (26 .7 ). 8. (5 3 .3 ). 1 (6 .7. 2 (1 3 .3 ). 0. (0. (6 ). 2. (33 .3 ). 1 (16 .7). ll. (10 .8 ). 103. 43. (4 2 .2. 0 9. (0 (8 .8). 2 (3 3 .3 ) 3 4 (3 3 .3 ). 1 (16 .7 ) 5. (4 .9 ). *32名中、 1名無記入. 92.

(5) 教員を対象とした青少年の自殺予防プログラムに関する予備的研究. は「あまりなかった」と回答していた。つまり、自殺予. 件数を実際よりも低く見積もっている。これは自殺の深 刻さが正しく認知されていないことを示している。. 防教育に関心があったものの、研修会の内容に満足でき なかった者が3名いたことになる。この3名のニーズは何. Q2 「日本の自殺率は、世界で1、 2位の高さである」 の正解は、 「×」であるが、 68.6%は「O」と答えてい. であったのかを探るため、研修会に対する感想などの自 由記述を検討した。しかし、いずれも無記入であった。 したがって、プログラムのどの部分がこの3名にとって あわなかったのか、明らかにできなかった。. る。これは、日本が自殺大国であるかのように報道され て、客観的なデータが一般に示されないことの反映と思 われる。日本の自殺率は実際には、先進諸国のなかでは 中位に位置し、 1997年の時点ではドイツよりもやや高く、 フランスよりもやや低い程度である1998年以降、年間 自殺件数が30000人台になっても、中位の上である。自 殺件数上位の団は、バルト三国、ロシア、ハンガリーと いった東欧諸国であり、人口10万人中40人の自殺率を認 めている(高橋,1999;WHO,2001)c Q20 「小学生・中学生の自殺の第一の原因はいじめで ある」の正解は「×」であるが、 59.3%の回答者は「O」 と答えている。これは、 「いじめを苦に自殺」という報 道のあり方に教員も多分に影響されてしまい、家庭環境、 本人の性格、友人関係などさまざまな要因が複雑に絡み 合って自殺に至るという事実が見過ごされていることを 示している。. 3.参加者の準備状態 表4の質問項目(3) 「過去に青少年の自殺に関する研 修会に参加したことはありますか?」に対する回答は、 参加者全員が「いいえ」であった。つまり、参加者全員 が、今回の研修会ではじめて青少年の自殺予防について 触れたことになる。また、質問項目(4) 「これまでに青 少年の自殺に関する本を読んだことがありますか?」に 対しては、 1名が高野悦子著「二十歳の原点」 (新潮社) を挙げたのみであった。 「二十歳の原点」とは、 1969年 に20歳で自殺を果たした著者の日記が死後の1971年に出 版されたものである。したがって、青少年の自殺に関す る客観的なデータや実態に関する文献を目にしたことの ある教員は皆無であったOこうした結果から、自殺問題 について研修会か文献によって客観的な理解を深めてい る教員はほとんどいないと結論される。. 逆に、正答率の高かった問題をみてみると、 Q3 「男 性は女性よりも自殺率が高い(○)」が、 98.8%、 Q4 「自殺未遂は男性より女性が多い(○)」が81.4%、 Q5 「いったん自殺の危険が過ぎたら、二度とそのような行 為を繰り返すことはない(×)」が95.3%、 Q8 「15歳か ら19歳の年代では自殺は不慮の死についで第2位の死因 である(○)」が89.5%、 Q9 「自殺の流行現象などない。 単なる偶然の一致である(×)」が87.2%、 QIO 「自殺は ある日突然に何の前触れもなく起きることがほとんどで あるので、予測は不可能である(×)」が91.9%、 Q12 「自殺の前に事故を繰り返す人がいる(○)」が80.2%、 Q15 「自殺を考えている人は死ぬ覚悟が確固としている. 4.自殺に関する基礎知識 プラグラム実施前に行った「自殺に関する基礎知識テ スト」 (表3)の結果は、表7のとおりであった。全体の 正答率は、 76.7%、園校・男女別では、幼稚園教員 72.7%、小学校男性教員72.9%、小学校女性教員75.9%、 中学校男性教員79.7%、中学校女性教員79.6%という結 果で、青少年の自殺に関心の高い中学校教員が幼稚園・ 小学校教員よりも高い正答率を示し、正確な知識をもっ ていることがわかった。. ので、自殺予防は不可能である(×)」が96.5%、 Q17 「うつ病は自殺に強く関連している(○)」が95.3%、. 次に問題別に正答率をみてみると、 Qlは53.5%、 Q2 は31.4%、 Q20は40.7%と低くなっている。 Ql 「毎年の 自殺者数は、交通事故の犠牲者数と比べてどのぐらい. Q19 「自殺した人のほとんどは生前に精神科治療を受け ている(×)」が89.9%となっている。以上をまとめる と、 ①自殺の既遂者には男性が多く、未遂者には女性が 多いこと、 ②自殺の危険は繰り返し起ること、 ③青少年. か?」の正解は「約3倍」である。しかし、 46.5%の回 答者は「半分以下」から「約2倍」と答えており、自殺. 表6研修会の内容の評価(単位:人) 園校. 性別. (人 数 ). (2 ) 今回の研書会の内容は. 先生の典味 . 感心にあっていましたか? J *B* サ た し 、, (あ少しあった (㌔) ①書a ( % >. ④少しあわなかった (㌔) ⑤全点あわなかった (% ). 幼稚 囲. 女 性. (16). 2 ( 1 2 .5 ). 6. 3 7 .5. 8. (5 0 .0 ). 0 ( 0 .0 ). 0. (0 .0 ). 小学 校. 男 性. (14). 4 ( 2 8 .6 ). 8. 5 7.1). 2. ( 1 4 .3 ). 0 ( 0 .0 ). 0. (0 .0 ). 4 ( 1 3 .3 ). 17. (5 6 .7 ). 9. 3 0 .0 ). 0 ( 0 .0 ). 0. (0 .0 ). (5 0 .0 ). 3. ( 1 5 .0 ). (2 5 .0 ). 0. (0 .0 ). 女 性 中学 校. 無記 名 計. (32 ). *. 男 性. (2 0 ). 2 ( 1 0 .0 ). 10. 女 性. ( 15. 6 ( 4 0 .0 ). 6. 4 0 .0. 3. (2 0 .0 ). 0 ( 0 .0 ). 0. (0 .0. 1 ( 1 6 .6. 2. 3 3 .3 ). 2. (3 3 .3 ). 1 ( 1 6 .6 ). 0. (0 .0 ). 1 9 ( 1 8 .8. 49. (4 8 .5 ). 27. (2 6 .7 ). 6 ( 5 .9 ). 0. (0 .0 ). -. (6). 10 1/ 10 3. 5. *32名中、 2名来者己入. 93.

(6) 遠・藤裕乃. 表7自殺に関する基礎知識テストの結果 閲 l故. 性 別. (人 数 } Q 1. Q 2. Q 3. 幼稚 囲. 女 性. (13 ). 4 6 .2. 1 0 0 .0 7 6 .9. 小学 故. 中学 校. 兼 記 名 計. 5 3 .8. Q 4. Q 5. Q 6. Q. 9 2 .3. 8 4 .6. 6 1 .5. 8. Q. Q ll. Q 12. Q 13. Q 14. Q l5. Q 16. Q 17. Q 18. Q 19. Q 20. 計. 8 4 .6. 9. 8 4 .6. 6 1 .5. 7 6 .9. 6 1 .5. 9 2 .3. 9 2 .3. 4 2 .6. 9 2 .3. 6 9 .2. 6 9 .2. 3 0 .8. 7 2 .7. 1 0 0 .0 6 6 .7. 7 5 .0. 6 6 J 7 6 6 .7. 8 3 .3. 2 5 .0. 7 2 .9. 6 6 .7. 8 3 .3. 1 0 0 .0 7 5 .0. 8 1 .5 6 6 .7. 9 6 .3. 8 8 .9. 9 2 .6. 7 4 .1. 7 0 .4. 8 1 .5. 5 5 .6. 1 0 0 .0 8 5 .2. 4 6 .3. 7 0 .4. 9 2 .6. 3 3 .3. 7 5 .9. 10 0 .0 7 0 .1 6 4 .7. 8 8 .2. 9 4 .1 8 8 .2. 7 0 .1. 9 4 . 1 6 4 .7. 8 2 .4. 1 0 0 .0 8 2 .4. 1 0 0 .0 9 4 .1. 8 2 .4. 6 2 .9. 7 9 .7. 1 0 0 .0 6 9 .2. 8 4 .6. 8 4 .6. (12 ). 6 6 .7. 1 6 .7. 1 0 0 .0 7 5 .0. 10 0 .0 8 3 .3. (2 7). 3 3 .3. 2 9 .6. 4 6 .3. 8 8 .9. 男 性. (17 ). 7 6 .5. 2 3 .5. 1 0 0 .0 6 4 .7. 女 性. 13 ). 3 8 .3. 8 6 / 10 3. Q. 8 3 .3. 女性. 4). Q 10. 7 6 .9. 7 5 .0. 男性. 8 5 .2. 7. 5 0 .0. 3 8 .5. 1 0 0 0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 6 9 .2. 4 6 .2. 9 2 .3 9 2 .3 9 2 . 3. 8 4 .6. 9 2 .3. 8 4 .6. 9 2 .3. 6 1 .5. 7 9 .6. 1 0 0 .0 5 0 .0. 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 7 5 .0. 7 5 .0. 1 0 0 .0 7 5 .0. 1 0 0 .0 5 0 . 0. 7 5 .0. 5 0 .0. 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 1 0 0 .0 5 0 .0. 8 5 .0. 5 3 .5. 9 8 .8. 6 2 .8. 8 9 .5. 9 1 .9. 8 0 .2. 7 2 .1. 7 5 .6. 7 6 .7. 3 1 .4. 8 1 .4. 9 5 .3. 7 7 .9. 8 7 .2. 7 0 .9. 9 6 .5. 7 2 .1 9 5 .3. 6 9 .2. 7 6 .7 8 4 .9. 4 0 .7. *未記入者:幼稚薗3名、小学校男性2名,岡女性5名、中学校男性3名、同女性2名、無記名2名. の自殺は、死因の第2位になるほど深刻であること、 ④ 自殺は予防可能で、自殺の前に事故を繰り返したり、う. 「あまり感じない」が9.4%)、幼稚園教員(「普通」が 31.3%)であった。 研修会による意識の変化をより詳しくみるために質問 項目(1) 「これまで、青少年の自殺予防教育について必 要性を感じることがありましたか?」に対する回答と、. つ病にかかっていたりすることが多いこと、 ⑤うつ病が 未治療だと自殺の危険が高まること、を80%以上の教員 は正しく理解していると言える。. 質問項目(6) 「この研修会を受けてみて、学校現場にお ける自殺予防教育の必要性を感じますか?」に対する回. 5.研修会による意識の変化 表4の質問項目(6) 「この研修会を受けてみて、学校 現場における自殺予防教育の必要性を感じますか?」に 対する回答の結果は、表&1のとおりであった。 「大変感 じる」と回答した参加者は全体の17.6%、 「少し感じる」 と回答した参加者は60.8%で、両者を合わせると78.4% となり、 8割近くの参加者が研修会を受けて自殺予防教. 答との関連性を検討した。その際、自殺予防教育に対す る意識・関心が1ランク高まった場合(例: (l) ③ 「普 通」- (6)②「少し感じる」)は+1ポイントとした。 同様に2ランク高まった場合(例: (l) ③ 「普通」 - (6) ①「大変感じる」)は+2ポイントとし、 3ランク高まっ た場合(例: (1) ④「あまりなかった」-(6) ①「大変 感じる」)は+3ポイントとした。逆に、自殺予防教育に 対する意識・関心が1ランク低まった場合(例: (l) ② 「少し感じる」 - (6) ③「普通」)は-1ポイントとし、 同様に2ランク低まった場合(例:(D ①「大変感じる」 - (6)③「普通」)は-2ポイントとした。また、不変 の場合(例:(1) ③「普通」 - (6) ③「普通」)は±0. 育に対する関心をもったことになる。属性別でみると、 最も意識が高いのは、中学校女性教員(「大変感じる」 が33.3%、 「少し感じる」が53.3%)、次に高いのは小学 校男性教員(「大変感じる」が21.4%、 「少し感じる」が 78.6%)、第3位が中学校男性教員(「大変感じる」が 20.0%、 「少し感じる」が60.0%)であった。逆に関心が 低かったのは、小学校女性教員(「大変感じる」が6.3%、. とした。その結果が表8-2である。自殺予防教育に対す. 表8-1研修会後の自殺予防教育への関心 開校. 性別. (人 数 ). l 2 ポイ ン ト - 1 ポイン ト 土0 ポイ ン ト + 1 ポ イン ト + 2 ポイ ン ト 十3 ポ イン ト 平均 ポイ ン ト. 幼稚観. 女性 (1 6 ). 0. 3. 5. 4. 3. 1. + 0 .6 3. 小学校. 男性 (1 4 ). 0. I. 5. 2. 5. 1. + 1 .0 0. 0. 0. 12. 8. 10. 1. + 0 .7 4. 1. 2. 8. 5. 3. 1. 十 0 .6 0. 女性 (3 1) 詛 中学校. 男性 (2 0 ) 女性 (1 5 ) * ◆. 0. 1. 9. 3. I. 0. + 0 .2 9. 無 音己名. -… (6 ) 書●*. 0. 1. 1. 3. 0. 0. 十 0 .4 0. 計. 10 0/ 10 3. 1. 8. 40. 25. 22. 4. 十 0 .5 9. 鵬叫も軋りI, I I -f.TlH的Z軋‖B3J閏IJW.l-l.ua門蝣*一蝣{ i*l. 表812研修会による意識の変化 開校. 性別. (人 数 ). 一 Ll2 ポイ ン ト ▼.1 ポ イン ト l土0 ポイ ント + l ポイ ン ト + 2 ポイン ト + 3 ポイ ン ト 平均 ポイ ン ト. 幼稚闇. 女性. 16 ). 0. 3. 5. 4. 3. 1. 小. 男性 (14 ). 0. I. 5. 2. 5. 1. + 1 .C氾. 女性 (3 1 ) 詛. 0. 0. 12. 8. 10. I. + 0 .7 4. 中学校. 無記名 計. + 0 .6 3. 男性 (2 0 ). 1. 2. 8. 5. 3. 1. 十0 .6 0. 女性 ( 15 ) * *. 0. 1. 9. 3. 1. 0. + 0 .2 9. 一 … (6. 0. I. 1. 3. 0. 0. + 0 .4 0. 1. 8. 40. 25. 22. 4. 十0 .5 9. * 事*. 100 / 103. *32島中・ lもhL!入・サ15K'I'. 1も■肥大. *・ォ68if. I*tだ入. 94.

(7) 教員を対象とした青少年の自殺予防プログラムに関する予備的研究. る意識・関心が高まった順に属性グループを並べると、 小学校男性教員(+1.0ポイント)、小学校女性教員(+ 0.74ポイント)、幼稚園教員(+0.63ポイント)、中学校 男性教員(+0.5ポイント)、中学校女性教員(+0.29ポ イント)となった。中学校教員は男性、女性とも、もと もとの意識・関心が高かったので、ポイントが上らなか ったのは、天井効果と思われる。中学校以外の小学校、 幼稚園の教員で全般的に自殺予防教育に対する意識・関 心が高まったことが認められたので、今回の研修会は、 青少年の自殺に対する危機意識を学校数員一般に喚起す るという点で一定の成果を認めたと言える。. この点は今後の検討課題である。 7.自由記述回答から 表4の質問項目(8) 「青少年の自殺予防について、今 後、取り上げてほしい問題や詳しく知りたいことがあれ ば、お聞かせ下さい」、ならびに質問項目(9) 「今回の 研修会に関するご意見・ご感想をご自由にお書き下さ い」に対する回答を整理したところ、以下のようであっ た(複数回答)0. 6.今後の研修会への参加意欲 表4の質問項目(7) 「今後、自由参加形式の自殺予防 教育の研修会があれば、参加したいと思いますか?」に. (1)青少年の自殺と親子関係、生育歴との関係につい てもっと詳しく知りたい(4名)0 (2)自殺を引き起こす社会的要因についてもっと知り たい(3名)0 (3)自殺心と他傷他殺との関係について教えてほしい. 対する回答の結果は、表9のとおりであった。 「ぜひ参加 したい」と回答した参加者は全体の6.9%、 「できれば参 加したい」と回答したのは72.5%で、両者を合わせると. (1名)0 (4)実際のカウンセリングの事例に基づいて自殺を考 えている生徒にどう対応したらいいのか具体的に教え. 79.4%となり、 8割近くの参加者が今後も同様の研修会 に参加したいと考えていることがわかった。属性別でみ. てほしい(12名)0 (5)自殺の危険性が高い子どもの家族への対応につい. ると、最も参加意欲が高いのは、小学校男性教員(「ぜ ひ参加したい」が7.1%、 「できれば参加したい」が 92.9%)、次に高いのは、中学校女性教員(「ぜひ参加し たい」が13.3%、 「できれば参加したい」が60.0%)、第 3位が小学校女性教員(「ぜひ参加したい」が9.4%、 「できれば参加したい」が78.1%であった。逆に参加 意欲が低いのは、幼稚園教員(「ぜひ参加したい」が 6.7%、 「あまり参加したくない」が33.3%)、中学校男性 教員(「ぜひ参加したい」が0.0%、 「あまり参加したく ない」が25.0%)であった。幼稚園教員の参加意欲が低 いのは、幼児教育のなかでは、青少年の自殺を切実な問 題として感じる場面が少ないからと思われる。しかし、 中学校男性教員で参加意欲が低いのは不自然な結果であ る。今回の参加者に限って危機意識が薄かったのか、プ ログラムの内容が彼らの関心にあわなかったのか、ある いは、プログラムの講師が彼らより年少の女性だったた め講師に対する抵抗感があったのかなど、いつくか理由 を考えることができるが、いずれも推測の域は出ない。. て教えてほしい(2名)。 (6)学校と専門家の連携について詳しく話してほしい (1名)0 (7)うつ病についてもっと詳しく知りたい(4名)0 (8)生徒に対する自殺予防教育について、実践を踏ま えて話してほしい(3名)0 (9)自殺現象はメディアに左右されることがわかって いるのなら、メディアに対する指導をしっかりしてほ しい(3名)。 (10)自殺が起きてしまう背景には、架空の世界で他者 を殺したり、あるいは自分が殺されたりするテレビゲ -ムの影響があると思う。社会全体で子どもを取り巻 く環境を変えていかなければならない(1名)0 (ll)学校現場は多忙を極めているので、自殺予防教育 まで手が回らない。社会全体で取り組むべき問題であ る(2名)0 (12)自殺だけに焦点を当てるのは視野が狭い。命を大 切にする教育のなかで自殺予防を考えていくべきであ. 表9今後の研修会への参加意欲 淘 校. 性 別. (人 数 ). (7 ) 今後、自由参加形 式の自殺予U J-教育の研 修会が あれ ば、参加 した いと患 いますか ? ⑧ぜひ. 加したい (% ) ⑧できれば事加 したい ( % ) ③ あまり. 加 したくない (% ) ④事加しない (% ). 幼 稚 囲 小学 校. 中学 校. 無 記 名 計. 女性. 9. ( 6 0 .0 ). 男 性. (1 6 ) (14. 1. (7.1). 13. ( 9 2 .9 ). 女 性. (3 2 ). 3. (9 .4 ). 25. 男 性. (2 0 ). 0. (0 .0 ). 女 性. (15 ). (13 一 3). (6 ) 10 2 / 10 3. *. 1 (6 .7. 2. (3 3 .3 ). 0. (0 .0 ). (0 .0 ). 0. (0 .0 ). ( 7 8 .1 ). 4 ( 1 2 .5 ). 0. (0 .0 ). 15. ( 7 5 .0 ). 5. 0. (0 .0 ). 9. ( 6 0 .0 ). 3 ( 2 0 .0 ). 1 (6 .7. 3 ( 5 0 .0 ). 0. 0. (0 .0 ). 3. ( 5 0 .0 ). 7. (6 .9 ). 74. ( 7 2 .6 ). 5 0. 20. (2 5 .0 ). ( 1 9 .6 ). ( 0 .0 ). 1 ( 1 .0. *16名中、 1名未記入. 95.

(8) 遠藤裕乃. するようになった。しかし、プログラム実施後も、自殺 予防教育に対する意識・関心が向上しない教員も認めら れ、その背景に関するさらなる分析が課題として残され た。. る(2名)0 (13)大人がマニュアルどおりに動こうとしてもかえっ て逆効果ではないか。結局は子どもの悩みを受けとめ る大人の人間性にかかっていると思う(2名)0. 今回の実践を踏まえて、今後の教員を対象とした自殺 予防プログラムには、 ①うつ病に関する詳しい解説、 ②. (14)うつ病について正しい知識が得られてよかった (4名)0. カウンセリングの事例の提示、 ③ロールプレイによる傾 聴技法の修得、の3点を取り入れていくことが期待され た。また、中学校ならびに高校の教員を対象とした自殺 予防プログラムの実践を重ねる必要性も指摘される。. (15)自幕別ま思ったより身近な問題であることがわかっ た。日頃、見過ごしていた問題を考えることができて よかった(15名)0 (14) 「うつ病の正しい知識が得られてよかった」、 (15) 「自殺は思ったより身近な問題であることがわかっ. ai. た」という感想が多いことから、今回のプログラムによ って、うつ病について理解を深めることができたととも. 警察庁生活安全局地域課(2002)平成13年中における自 殺の概要資料.. に、青少年の自殺に対する教員の意識を高めることがで. Pitcher,G.D.& Poland.S. (1992) Crisis Intervention in the. Schools.上地安昭・中野真寿美訳(2001)学校の危機 介入.金剛出版.. きたといえる。 一方、今後の課題としては以下の3つが挙げられる。 まず一つは、うつ病の解説を手がかりに自殺予防教育. MaltsbergerJ.T. (1986) Sucide Risk ; The Formation of Clinical Ju奄ment. New York University Press.高橋祥友 釈(1994)自殺の精神分析臨床的判断の精神力動的 定式化.星和書店.. を生徒に広げていくことである。 「うつ病についてもっ と知りたい」、 「うつ病について正しい知識が得られてよ かった」という回答が多いことから、教員一般のうつ病 に対する関心は高いことがうかがわれる。自殺そのもの よりも、うつ病の方が身近に感じられる問題で受け入れ. Shneidman, E. S. (1996) The SuicidalMind. Regina Ryan Publishing Enterprises.白井徳満・白井幸子訳(2001) 自殺者のこころ.誠信書房. 高橋祥友(1992)自殺の危険臨床的評価と危機介入. 金剛出版. 高橋祥友(1997)自殺の心理学.講談社 高橋祥友(1999青少年のための自殺予防マニュアル. 金剛出版. 高野悦子(1971二十歳の原点.新潮社.. やすいのだろう。そうすると教員にとっては、生徒に対 して自殺についてストレートに語るよりも、うつ病の早. 期発見・早期治療の必要性を説明し、発見・治療が遅れ ると自殺につながることもあると解説する方が抵抗感が 少ないと思われる。・ 第2点は、具体的なカウンセリングの事例を通して、 児童・生徒から「死にたい」と打ち明けられたときの最. World Health Organization(2001) Sucide. The World. 初の対応、家族との連絡の取り方、専門家との連携の仕 方について解説することである。そして、子どもが「死 にたい」と思うに至ったのはどのような精神力動による のか、生育歴、社会的要因がどのようにかかわっている のか、複数の事例を挙げて解説していくことである。最 近は児童虐待のケースが増えており、被虐待児は自殺率 が高いことが知られているので、虐待の事例も取り上げ. Health Report 2001.. て危機介入のノウハウを解説することが望まれる。 第3点は、自殺心を抱いた青少年に対するカウンセリ ングの基礎技法を学ぶために、ロールプレイを用いた訓 練を取り入れることである。講師からの一方的な知識の 提供に留まらず、学校現場で即戦力となるような技能を 体験学習を適して学ぶことも今後、視野に入れていきた い。 Ⅳ.まとめ 教員を対象とした青少年の自殺予防プログラムを実施 した結果、参加者の8割は自殺予防教育の必要性を認識 %.

(9)

参照

関連したドキュメント

Hong: Asymptotic behavior for minimizers of a Ginzburg-Landau type functional in higher dimensions associated with n-harmonic maps, Adv. Yuan: Radial minimizers of a

Since the boundary integral equation is Fredholm, the solvability theorem follows from the uniqueness theorem, which is ensured for the Neumann problem in the case of the

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

Our method of proof can also be used to recover the rational homotopy of L K(2) S 0 as well as the chromatic splitting conjecture at primes p > 3 [16]; we only need to use the

This paper presents an investigation into the mechanics of this specific problem and develops an analytical approach that accounts for the effects of geometrical and material data on

While conducting an experiment regarding fetal move- ments as a result of Pulsed Wave Doppler (PWD) ultrasound, [8] we encountered the severe artifacts in the acquired image2.

The theory of log-links and log-shells, both of which are closely related to the lo- cal units of number fields under consideration (Section 5, Section 12), together with the

We relate group-theoretic constructions (´ etale-like objects) and Frobenioid-theoretic constructions (Frobenius-like objects) by transforming them into mono-theta environments (and