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イスラーム金融とは何か (レファレンス・コーナー)

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Academic year: 2021

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イスラーム金融とは何か (レファレンス・コーナー

)

著者

東川 繁

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

182

ページ

58-58

発行年

2010-11

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004391

(2)

58

アジ研ワールド・トレンド No.182 (2010. 11)   「 イ ス ラ ー ム 金 融 に つ い て 何か知っていますか?」ある 経済関係の講演会があったお り、知人の助けも借りて周囲 の 参 加 者 に 尋 ね て み た。 「 利 子 を 禁 止 し て い る ら し い が、 それ以上はわからない」とい う 答 え が 多 か っ た。 「 利 子 を 伴わない金融制度がどうして 成立するのか?」と逆に質問 されたりもした。   このように、イスラーム金 融はまだ日本ではなじみの薄 い仕組みだといえる。しかし 世界的にみると、イスラーム 圏を中心として既に七〇カ国 以上で導入の実績を持つとい う。しかも、年一五〜二〇% の高い成長率を示しているら しい。ロンドン、シンガポー ル、香港といった主要な国際 金融センターにおいても、そ の地位向上と競争力強化を目 指し、イスラーム金融の拡大 に努めている。その一方、こ の分野での日本の取り組みの 遅れが指摘されている。   そこで、イスラーム金融に ついての理解を深めていただ くため、参考となる日本語図 書を紹介してみよう。出版時 期は、この分野に関する一般 向けの書籍が出版され始めた 二〇〇七年以降に限定する。   糠谷英輝著『拡大するイス ラ ー ム 金 融 』( 蒼 天 社 出 版   二〇〇七年九月) は、この分 野に関する単行書としては最 も出版時期の早いもの。イス ラーム金融の基本原理、金融 市 場 お よ び 金 融 機 関 の 現 状、 課題と展望など、全体的にバ ランスの取れた構成となって いる。著者は財団法人国際通 貨研究所主任研究員。同じ著 者によるものとして、 糠谷英 輝著『世界を席巻するイスラ ム 金 融 』( か ん き 出 版   二 〇 〇 〇 七 年 一 二 月 ) が あ る 。 前 著 作 と 類 似 の 目 次 構 成 か ら な る 概 説 書 。 ま た 、糠 谷 英 輝 著 『 中 東 マ ネ ー と イ ス ラ ム 金 融 』( 同 友 館   二 〇 〇 八 年 五 月 ) も あ る 。書 名 の 通 り 、 前 半 を オ イ ル マ ネ ーと 湾 岸 諸 国 経 済 の 動 向 分 析 に 、 後 半 を イ ス ラ ー ム 金 融 の 解 説 に 充 て て い る 。   糠谷著作と同様、早い時期 に出版されたものとして、 吉 田悦章著 『イスラム金融入門』 ( 東 洋 経 済 新 報 社   二 〇 〇 七 年一〇月) がある。概説書で あ る が、 日 本 に お け る イ ス ラーム金融の位置づけと、日 本の金融機関の取り組みにも 触れている。イスラームにな じみのない日本の読者に何と か制度の仕組みを伝えようと いう熱意がうかがえる。著者 は国際協力銀行に所属するイ スラーム金融の専門家。著者 には、 吉田悦章著『イスラム 金 融 は な ぜ 強 い 』( 光 文 社   二〇〇八年一〇月) という新 書版の著作もある。イスラー ム金融の基本原理、金融取引 の基本概念、商品取引の実際 に重点を置いて解説する。入 門書としての役割が期待でき よう。また、共著として 北村 歳治、吉田悦章著『現代のイ ス ラ ム 金 融 』( 日 経 B P 社   二 〇 〇 八 年 一 二 月 ) が あ る。 概説書の構成を取ってはいる ものの、利子概念の明確性の 問題、イスラーム金融のガバ ナビリティの検証、など専門 的な内容も含んでいる。   このほかの文献についても 刊行順に紹介しておこう。   イ ス ラ ム 金 融 検 討 会 編 著 『 イ ス ラ ム 金 融 : 仕 組 み と 動 向 』 ( 日 本 経 済 新 聞 出 版 社   二 〇 〇 八 年 一 月 ) は 、 民 間 大 手 金 融 機関 に 所 属 す る 行員 と 国 際 協 力 銀 行 の 行員 で 構 成 さ れ る 「イ ス ラ ム 金 融 検 討 会 」 の 、 一 七 人 に よ る 共 同 著 作 。イ ス ラ ー ム 金 融 の 市 場 、 制 度 、 機 関 、 実 務 、 契 約 と 広 範 で 網 羅 的 な 記 述 と な っ て い る 。 参 考 図 書 的 な 利 用 方 法 も 可 能 で あ ろ う 。   前 田 匡 史 著『 「 詳 解 」 イ ス ラム金融:世界を動かすダイ ナ ミ ズ ム 』( 亜 紀 書 房   二 〇 〇八年四月) は、急拡大する イスラーム金融の動きを追う 一方で日本の立ち後れを指摘 し、積極的な参入の必要性を 説いている。   櫻井秀子著『イスラーム金 融:贈与と交換、その共存の シ ス テ ム を 解 く 』( 新 評 論   二 〇 〇 八 年 九 月 ) は、 贈 与、 交換、エートスといった経済 人類学的な分析枠組みに依拠 しながら、イスラーム金融の 今日的意義について本格的に 考察した研究書。イスラーム の思想や社会についての予備 知識がないと、読むのに困難 が伴うかもしれない。   バハレーン中央銀行著、今 平和雄、渡辺喜宏訳『イスラ ム 銀 行 と イ ス ラ ム 金 融 』( P H P 研 究 所   二 〇 〇 九 年 九 月) は、中東における有力な 金融センターであるバハレー ンを中心に、イスラーム銀行 における業務の実際と金融市 場の現状を解説したもの。各 種規制や関連機構の役割など 制度面の記述も詳しい。   小 杉 泰 、 長 岡 慎 介 著 『 イ ス ラ ー ム 銀 行 : 金 融 と 国 際 経 済 』 ( 山 川 出 版 社   二 〇 一 〇 年 一 月 ) は 、 イ ス ラ ー ム 学 ・ 中 東 地 域 研 究 の 専 門 家 と 、イ ス ラ ー ム 経 済 ・ 金 融 研 究 の 専 門 家 に よ る 共 著 。 イ ス ラ ー ム の 思 想 的 源 流 か ら 話 を 起 こ し 、 金 融 制 度 の 発 展 へ の 道 筋 を わ か り や す く 語 る 。 ペ ー ジ 数 も 少 な く 、 読 み や す い 。 歴 史 図 書 専 門 出 版 社 ら し い 本 で あ る 。   最後にアジア経済研究所の 成果を紹介しておこう。 福田 安志編『イスラーム金融のグ ローバル化と各国の対応』 (ア ジア経済研究所   調査研究報 告 書   二 〇 〇 九 年 三 月 ) は、 外国人二人を含む九人の研究 者 の 共 同 著 作。 地 域 的 に は、 中東、南アジア、東南アジア のほか、非イスラーム国(英 国およびシンガポール)を取 り上げている。本書は、その 全文を当研究所のウェブサイ トからダウンロードすること ができる。 ( ひ が し か わ   し げ る / 図 書 館資料企画課 )

東川

 

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