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大気中微粒子成分の遠隔計測のためのレーザーレーダー技術

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

大気中のエアロゾルや雲の化学成分を明らかにすることにより、広域気象モデルの開発や酸性雨の原因解明 等大気科学分野において重要な知見を得ることができる。また、電力分野においても塩害等による構造物の腐 食対策のため、海塩粒子等大気中浮遊微粒子の遠隔計測技術の開発が望まれる。 しかしながら、大気中浮遊微粒子の成分を数十メートル以上の距離から遠隔計測する技術は実用化されてい ない。レーザー誘起ブレークダウン分光(Laser Induced Breakdown Spectroscopy : LIBS)* 1は物質の成分

を非接触かつリアルタイムに計測することが可能であり、上記ニーズへの適用が有望である。近年開発された 超短パルス高強度レーザーを用いると、フィラメントと呼ばれる集光された状態で長距離伝播する光を多数発 生することができる。この特殊なレーザー光を利用すれば空間的に広い領域で高強度のレーザー光が存在する ため、大気中浮遊微粒子の LIBS 計測の感度を飛躍的に向上することが期待でき、レーザーレーダー(Light Detection and Ranging : LIDAR)による遠隔計測が可能になる。

目 的

LIBS と LIDAR を組み合わせた大気中浮遊微粒子成分の遠隔計測技術(LIBS-LIDAR)を開発する。

主な成果

1.超短パルス高強度レーザーを用いたフィラメントの生成と模擬海塩粒子からのNa発光計測* 2 超短パルス高強度レーザー光(パルス幅 7.5 × 10-14秒、ピーク出力 2 × 1012W)を大気中に伝播させてフィ ラメントを生成した(図 1)。このフィラメントの生成したレーザー光を食塩水から作成した模擬海塩粒子 (NaCl)に照射し、Na の発光を測定することに成功した。これは、模擬海塩粒子がプラズマ化され Na の発 光が観測されたことを示している。レーザー照射直後はレーザー光の自己位相変調* 3による白色光に隠れ て Na の発光は観測されなかったが、レーザー照射に対する測定の遅延時間を制御することにより、レー ザー照射から 20ns 後に最も明瞭に Na の発光が観測された。この結果より、遅延時間の制御が計測上重要で あることを明らかにした(図 2、3)。 2.LIBS-LIDARの実証* 2 超短パルス高強度レーザー照射による模擬海塩粒子からの Na の発光を、16m 離れた地点からレーザー レーダーにより遠隔計測することに成功した。これにより、実用化には測定感度の向上が必要であるが、超 短パルス高強度レーザーを用いた LIBS-LIDAR による大気中浮遊微粒子成分の遠隔計測を実証した(図 2、 4)。

今後の展開

測定感度および測定可能距離を向上させると共に、実大気中エアロゾル成分の遠隔計測を行う。 主担当者 電力技術研究所 高エネルギー領域 上席研究員 藤井 隆

関連報告書 “LIBS-LIDAR using femtosecond terawatt laser for measurement of constituent of mi-croparticles in air,”Reviewed and Revised Papers Presented at the 23rd International

Laser Radar Conference, 67 (2006).

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大気中微粒子成分の遠隔計測のためのレーザーレーダー技術

* 1 :物質にレーザー光を照射し、発生するプラズマの発光スペクトルを測定することにより物質の成分を測定する方 法。 * 2 :本成果に関しては基本特許を出願済(特願 2005-272665 号)。 * 3 :レーザー光自身の光強度により媒質の屈折率変化が生じ、レーザー光の位相が変調されてスペクトルが拡がる現 象。

(2)

10.先端的基礎研究/レーザー・プラズマ科学

125 580 590 600 610 強度 ( 波長(nm)

Naの発光

遅延時間: 遅延時間:40ns 40ns 遅延時間:40ns 遅延時間: 遅延時間:20 ns20 ns 遅延時間:20 ns 遅延時間: 遅延時間:120ns120ns 遅延時間:120ns 相対 値 ) 580 590 600 610 強度( 波長(nm)

模擬海塩粒子

アルコールランプ

Naの発光

90 0 相対 値 ) 長

図2 実験系 超音波加湿器 模擬海塩粒子 レーザー光 凹面鏡 f:20m 受光望遠 光ファイバー 460mm 分光器 ICCDカメラ パソコン フィラメント 塩水 23° 超音波加湿器 模擬海塩粒子 レーザー光 凹面鏡 f:20m 受光望遠鏡(φ 30cm) 光ファイバー 460mm 分光器 ICCDカメラ パソコン フィラメント 塩水 23° レーザー光 海塩粒子閉じ 込め用円筒 フィラメント レーザービーム断面 レーザー光 海塩粒子閉じ 込め用円筒 フィラメント レーザービーム断面 図1 測定点付近におけるフィラメントの伝播とレーザービーム断面 レーザービーム中に観測される 多数の明るい輝線および輝点が フィラメントである。 レーザー光を模擬海塩粒子に照射し、発光スペクトルを直接または望遠鏡で集光して分光した。 ICCD:intensified charge-coupled device

図3 遅延時間制御によるNa発光の高感度計測 図4 Na発光の遠隔計測結果と塩分含有アル    コールランプの発光スペクトル(参照光)

参照

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